JP3702403B2 - 気相成長方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板を設置した反応炉内に少なくとも2種類の原料ガスと、パージガスを導入して前記基板面に二成分系以上の元素からなる化合物半導体薄膜を形成する気相成長方法に適用して好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガリウム砒素(GaAs)やインジウムリン(InP)などの化合物半導体基板上へエピタキシャル膜を成長させる技術が非常に注目されている。最近の技術によれば、エピタキシャル膜としてインジウムガリウム砒素(InGaAs)、インジウムガリウムリン(InGaP)、アルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)、インジウムアルミニウム砒素(InAlAs)、インジウムガリウム砒素リン(InGaAsP)等のいわゆる混晶層を成長させることもできる。
【0003】
これらのエピタキシャル膜を成長させる有効な方法の一つに有機金属気相成長法(MOCVD法)がある。このMOCVD法とは、トリメチルインジウム(TMI)、トリメチルガリウム(TMG)、トリエチルガリウム(TEG)、トリメチルアルミニウム(TMA)等のいわゆる有機金属ガスとアルシン(AsH3)、ホスフィン(PH3)等の揮発性ガスを原料ガスとして、キャリアガスである水素(H2)とともに反応炉内に導入し、基板近傍で原料を熱分解させた後、基板部分を化合物半導体の成長温度となるように加熱して基板上に薄膜を成長させる方法である。なお、原料ガスとしてはアルシンやホスフィン等のガスの代わりにトリメチル砒素やターシャルブチルホスフィン等の有機金属を用いることもできる。
【0004】
MOCVD法により基板上に成長させた化合物半導体薄膜は、その用途からパーティクル等の表面欠陥のない均一な混晶組成および均一な膜厚を有することが求められる。かかる薄膜を成長させる装置として、例えば特開平9−260291号公報(気相成長装置及び方法)に記載されているような横型の気相成長装置装置が知られている。
【0005】
図4に従来の横型気相成長装置の概略断面図を示す。符号13は、一端にガス導入部11を、他端にガス排出管12を備えた気相成長装置の反応管であり、軸線を水平方向にして設置されている。また、前記反応管13の内部には基板14を保持するサセプタ15と、該サセプタ15の上流側のフローチャンネル16と、ガス導入部11側の2枚の仕切板17,18と、基板14を加熱するためのRF(高周波)コイル20が設けられている。
【0006】
この気相成長装置では、前記仕切板17,18によりガスの流路を第1流路21,第2流路22,第3流路の3つに区画し、それぞれの流路から所定のガス(第1原料ガスG1、第2原料ガスG2、成長促進ガスG3)を導入してIII−V族またはII−VI族化合物半導体の薄膜を成長させる。具体的には、基板面に近い第1流路21から第1原料ガスG1を導入し、第2流路22から第2原料ガスG2を導入することにより、基板近傍の原料ガス濃度を高め、原料ガスの利用効率を大幅に高めることができるとともに、成長薄膜から揮発性元素が揮発するのを防止できるようにしている。
【0007】
さらに、反応管13内に成長促進台19を設けて基板面近傍のガス流路断面積を減少させることにより、反応管13内を流れるガスを基板面に押しつけるとともに、この部分でのガス流速を増大させることができるので、成長促進台19の形状を適宜に設定することにより、基板近傍の実効的な原料濃度を増大させ、より良好な状態で効率よく薄膜を成長させるようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した気相成長装置では、成長促進台19により基板近傍の実効的な原料濃度を増大させ効率よく原料ガスを消費することができるが、反応管13内のガスの流れが乱れてしまうという問題点がある。すなわち、少なくとも成長促進ガスG3は成長促進台19の傾斜面に沿った流れとなるため原料ガスG1,G2の層流を乱してしまい、その結果基板近傍の原料ガスの濃度にばらつきが生じるために基板上に均一な組成・膜厚で薄膜を成長させることは困難であることを見出した。
【0009】
また、反応管13内にガスの流れの乱れが発生すれば、基板表面だけでなく反応管13の壁面等にも原料ガスの反応生成物が析出しやすくなり、壁面から剥離した反応生成物がガス流に運ばれ成長薄膜表面に付着してパーティクル等の表面欠陥を生じさせることもある。
【0010】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、反応管内のガス流を完全な層流とし、均一な組成・膜厚で薄膜を成長させるとともに原料ガスの利用効率を向上させることのできる気相成長方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためこの発明は、基板を設置した反応炉内に少なくとも2種類の原料ガスと、パージガスを導入して前記基板面に化合物半導体薄膜を形成する気相成長方法において、前記原料ガスおよびパージガスを前記反応炉内に導入する導入口における原料ガスの流速をvG、パージガスの流速をvPとしたとき、流速の比vP/vGを制御することにより、反応炉内に原料ガスとパージガスが層流状態で流れるようにした。望ましくは、前記流速の比vP/vGが0.8以上8.0以下になるようにした。
【0012】
これにより、反応炉内に設置された基板表面に原料ガスを均一な濃度で供給することができるので組成・膜厚を有する薄膜を成長させることができるとともに、原料ガスの利用効率を向上させることができる。
【0013】
さらに望ましくは、前記流速の比vP/vGが1.3以上4.0以下になるようにするとよい。さらに、前記流速の比vP/vGが2.0以上3.0以下になるようにすれば、効果がより顕著に現れる。
【0014】
また、導入口における原料ガスの流速vGとパージガスの流速vPは、50torrの状態で30cm/sec以上1000cm/sec以下であるようにすると、反応管内に導入されるガスの流れを確実に層流とすることができる。前記したように導入口における原料ガスの流速vGとパージガスの流速vPとの比vP/vGの範囲を決定しても、流速の絶対値が極端に大きかったり小さかったりすると反応管内に生じるガス流は層流とはならないので、反応管内に確実に層流を生じさせるためには各々の流速の範囲を決定することが重要となる。
【0015】
望ましくは、導入口における原料ガスの流速vGとパージガスの流速vPは50torrの状態で50cm/sec以上500cm/sec以下であるようにすると、さらに容易に層流を生じさせることが可能となる。
【0016】
また、前記原料ガスとして第3B族元素の原料および第5B族元素の原料を水素等のガスで希釈したものを、前記パージガスとして水素、ヘリウム、アルゴン、窒素等の気相成長反応に寄与しないガスを使用することができる。
【0017】
例えば、第3B族元素を含む原料ガスとしては、トリメチルインジウム、トリメチルインジウム、トリエチルガリウム、トリメチルアルミニウム等があり、第5B族元素を含む原料ガスとしては、アルシンやホスフィン等がある。
【0018】
また、III−V族化合物半導体基板を用いて、該基板上にIII−V族化合物半導体を成長させる気相成長方法に適用することにより特に顕著な効果を得ることができる。
【0019】
以下に、本発明に至るまでの考察内容及び研究結果について概説する。
【0020】
まず、有機金属成長法において均一な組成・膜厚で薄膜を成長させるためには、基板表面近傍に原料ガスを均一な濃度で導入することが重要であり、そのためには反応炉内のガス流が層流となることが望ましいと考えられる。
【0021】
そのうえ、反応炉内のガス流を層流にできれば、原料ガスは反応炉内の基板と対向する壁面等には接触しないので壁面上に反応生成物が析出することはなくなり、原料ガスの利用効率を著しく向上できるとともに、前記反応生成物が壁面から剥離され基板上に成長させた薄膜表面に付着して表面欠陥を生ずるのを防止することもできると考えられる。
【0022】
そこで本発明者等は、反応炉内のガス流を層流状態にすべく検討を重ねた結果、反応炉内に導入するときのガスの流速を適当に調節すれば反応炉内のガス流を効果的に層流にできるのではないかと推論した。この推論をもとに、図1に示すような気相成長装置において、原料ガスとパージガスの流速を変えて反応炉内に導入したときの反応炉内のガス流をコンピュータによりシミュレーションした。
【0023】
ここで、図1に示す有機金属気相成長装置の反応炉は、全体として高さの低い円筒形をなしており、下側壁体中央部にはガス導入管5,6が設置されている装置である。また、原料ガス導入管5を介して原料ガスが導入され、パージガス導入管6を介してパージガスが導入されるようになっている。なお、図1の気相成長装置の詳細な構成は実施形態の欄で説明する。
【0024】
シミュレーションの結果、原料ガスの流量に対するパージガスの流量をある程度増加すると、反応炉内にほとんど乱流が生じなくなることが分かった。例えば、図3に、導入ガスの総流量を60l/minとしたときの反応炉内のガス流のシミュレーション結果を示す。図3(a)は原料ガス(水素を含む総流量)を50l/min、パージガスを10l/minで反応炉内に導入したときのシミュレーション結果である。ガス導入口(図1中5a,6aに相当)付近で乱流が生じているため、ガス導入口付近の反応炉下側壁面に原料ガスが接触しやすくなり、反応生成物が析出すると考えられる。
【0025】
一方、図3(b)は原料ガス(水素を含む総流量)を30l/min、パージガスを30l/minで反応炉内に導入したときのシミュレーション結果である。ガス導入口からガス排出口にわたって一様に層流となっているため、原料ガスは基板表面に接触して効率よく薄膜を成長させることができると考えられる。
【0026】
このシミュレーション結果に基づいて実験を行ったところ、原料ガスを30l/min、パージガスを30l/min(図3(b))の条件で薄膜を成長させた方が、原料ガスを50l/min、パージガスを10l/min(図3(a))の条件で薄膜を成長させた方に比べて、原料ガスの利用効率が15%向上した。また、図3(b)の条件で成長させた薄膜の表面を光学顕微鏡により観察したところ、成長薄膜はパーティクル等の表面欠陥のない良好なものであった。
【0027】
これより、導入ガスの流量を調整して反応炉内のガス流を層流にすることができ、反応炉内のガス流を層流状態にすれば原料ガスの利用効率を大幅に向上するとともに表面欠陥のない薄膜を得られることを確認できた。
【0028】
そこで、原料ガスとパージガスの流量比の最適条件を決定するために、表1に示す組み合わせに従い流量比を変えて上記実験を繰り返し行った。なお、表1に示される原料ガス導入口およびパージガス導入口の各寸法は、図1のような気相成長装置における導入口の寸法の一例である。
【0029】
【表1】
【0030】
その結果、流量比(=パージガス流量/原料ガス流量)が0.2(10/50)から2(40/20)の範囲にある場合は、成長薄膜の表面にはパーティクル等の表面欠陥は観察されなかったので実用可能であることが分かった。さらに、流量比が0.33(15/45)から1(30/30)の範囲での原料ガスの利用効率はパージガスを流さない場合に比べて12%向上した。また、流量比が0.5(20/40)から0.71(25/35)の範囲での原料ガスの利用効率は18%向上し、より望ましいことが分かった。
【0031】
この実験から、図1に示した気相成長装置において、反応炉内に層流を生じさせて良好な薄膜を得るための原料ガスとパージガスの流量比の範囲を決定することができた。
【0032】
また、本発明者等は、反応炉内のガスの流速が遅すぎたり速すぎたりしても層流にはならないことに気づいた。そこで、図1に示す気相成長装置において、中心軸から仕切板8の端点までの距離(半径)が3cmで、仕切板8から反応炉上側壁面までの高さが4.02cmである原料ガス導入口5aから原料ガスを導入したときの反応炉内のガス流をコンピュータによりシミュレーションした。表2に、前記シミュレーションを行った条件を示し、特にシミュレーションにより反応炉内のガス流が層流状態になった条件を網目部分で示す。シミュレーション結果より、標準状態におけるガスの流量が10〜300l/min、すなわち流速が2.20〜65.98cm/secであればガス流は層流となることが分かった。また、ガス流を層流にするには、ガスの流量を15〜150l/min、すなわち流速を3.30〜32.99cm/secとすることが望ましいことがわかった。
【0033】
【表2】
【0034】
なお、前記した流速の条件はガスが標準状態にある場合のものであるが、実際に気相成長させる場合はその成長条件(温度、圧力)における流速に換算すればよい。つまり、表2に示すように圧力を50torrにしたときには、流速を30〜1000cm/sec、望ましくは50〜500cm/secにすればよい。
【0035】
上述のように導入ガスの流速比および流速の絶対値を制御することにより、反応炉内のガス流を効率的に層流とすることが可能となり、原料ガスの利用効率を著しく向上させることができるようになった。
【0036】
また、上記した流量比の条件は、本シミュレーションおよび本実験に用いた気相成長装置において有効であるが、この流量比をガス導入口での流速比(=パージガス流速/原料ガス流速)で表せば、導入口の形状や寸法またはガスの総流量が異なる場合においても適用できることに気づいて、本発明に至った。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる気相成長方法の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0038】
図1は本実施形態に用いられる有機金属気相成長装置の構成例を示す概略断面図である。図中符号1は、有機金属気相成長装置の反応炉であり、全体として高さの低い円筒形をなしており、この反応炉1の各壁体は例えばステンレスで構成され、下側壁体10は反応生成物が析出しにくいように厚さ3mm程度のステンレス製または石英製の内壁部材10aでカバーされている。また、下側壁体中央部にはガス導入管5,6が設置される。
【0039】
符号2は、反応炉1内に回転軸3により回転可能に吊設された基板保持台であり、円盤状に形成されたカーボンディスク2bと、該カーボンディスクの内側の同一円周上に複数形成されたサセプタ4aとで構成されている。この基板保持台の各サセプタ2aに基板4がフェイスダウンの状態で設置される。また、反応炉の外側にはサセプタ2aを介して基板4を加熱するための多段ヒータ7が同心円状に配設されている。
【0040】
符号5は反応管1の下側壁体の中央部に配置されたフランジを有する原料ガス導入管であり、符号6は原料導入管5の外周に沿って配置されたパージガス導入管である。また、原料ガスおよびパージガスの流れが層流となりやすくするため、フランジ端部に仕切板8を設けている。原料ガスは基板保持台2と仕切板8に挟まれた領域を導入口5aとして導入され、パージガスは反応管1の下側壁体と仕切板8に挟まれた領域を導入口6aとして水平方向に導入される。
【0041】
この原料ガス導入管5を介して、トリメチルインジウム(TMI)、トリメチルガリウム(TMG)等の第3B族原料ガスと、アルシン(AsH3)、ホスフィン(PH3)等の第5B族原料ガスの混合ガスが導入され、パージガス導入管6を介して水素(H2)等の不活性ガスが反応炉1内に導入される。
【0042】
また、反応炉1の側面には排気口9が形成されている。そして、原料ガス導入管5を介して導入口6aより反応炉1内に導入された原料ガスは、反応炉1の上流側で分解され、下流側である基板保持台2の周縁部に流れ、基板4上にエピタキシャル膜を形成した後、残った原料ガスがキャリアガスと共に排気口9から外部へ排出されるようになっている。
【0043】
また、図には示さないが回転軸3外周および反応炉1の下側壁面外壁には水冷ジャケットが設けられており、前記多段型ヒータおよびこれらの水冷ジャケットで反応炉1内の温度を制御するようになっている。
【0044】
以上が本実施形態に用いられる有機金属気相成長装置の概略構成である。
【0045】
次に、当該有機金属気相成長装置により、例えば図2に示すように、直径4インチのInP基板4上に、厚さ0.1μmのInP膜、厚さ0.5μmのGaInAs膜、厚さ0.5μmのInP膜を順次エピタキシャル成長させる場合の手順について説明する。
【0046】
まず、反応炉1の多段ヒータ7に通電を開始すると共に、各水冷ジャケットにおける冷却水の循環を開始する。そして、反応炉1内が十分に加熱された状態で、原料ガスおよびパージガスを導入し、成長温度650℃、成長圧力50torrの条件となるように制御する。
【0047】
本実施形態では、反応炉内のガスを層流状態として良好な薄膜を成長させるために、原料ガスとパージガスの流速比(vP/vG)が2となるように流量を調整した。なお、流速比が2であれば反応炉内のガス流が層流状態になることが前記シミュレーションおよび実験により分かっている。そこで、本実施形態では、各原料ガスおよびパージガスの流量を調整することにより流速比を調整するようにした。なお、以下に記載する流量は標準状態(25℃、1atm)におけるものである。
【0048】
まず、原料ガスとして0.01l/minのトリメチルインジウムと0.5l/minのホスフィンと39.49l/minの水素を原料ガス導入管5を介して導入し、パージガスとして20l/minの水素をパージガス導入管6を介して導入した。これらのガスを5min供給してInP基板4上にInPを0.1μm成長させた。
【0049】
次に、原料ガスとして0.002l/minのトリメチルガリウムと、0.002l/minのトリメチルインジウムおよび0.5l/minのアルシンと、39.496l/minの水素を原料ガス導入管5を介して導入し、パージガスとして20l/minの水素をパージガス導入管6を介して導入した。これらのガスを30min供給してInP上にGaInAsを0.5μm成長させた。
【0050】
最後に、原料ガスとして0.01l/minのトリメチルインジウムと0.5l/minのホスフィンと、39.49l/minの水素を原料ガス導入管5を介して導入し、パージガスとして20l/minの水素をパージガス導入管6を介して導入した。これらのガスを25min供給してGaInAs上にInPを0.5μm成長させた。
【0051】
このように導入ガスの流量を制御することにより、原料ガスとパージガスの流速比を2に制御することができ、反応炉内のガス流を層流状態にすることができる。もちろん、原料ガスおよびパージガスのそれぞれの流速も、表2におけるガス流を層流状態にするための流速の範囲を満たしている。
【0052】
このとき、各薄膜を成長させる際の温度条件は、下側壁体外壁に設けられた水冷ジャケットの流量を制御して、反応炉1の下側壁体に設けられた内壁部材10の温度が原料ガスの分解温度以下である100〜250℃になるようにした。また、回転軸5外周に設けられた水冷ジャケットの流量と多段ヒータ10の通電量を制御して、反応炉1の上流部の温度が原料ガスの分解温度以上である250℃以上、より具体的には400〜600℃になるようにした。
【0053】
このようにして成長させた成長薄膜を反応炉1より取り出して、光学顕微鏡による表面観察を行ったところ、パーティクル等の表面欠陥は観察されなかった。
【0054】
本実施形態によれば、反応炉内のガス流は層流状態となり基板上に均一な濃度で原料ガスを供給できたので、均一な混晶組成および均一な膜厚を有する薄膜を成長させるさせるとともに、原料ガスが反応炉内の壁面と接触して壁面に反応生成物として析出するのを防止することもできた。なお、本実施形態でのInP成長における原料ガスの利用効率は7.04%であり、従来方法による利用効率6.6%に比較して向上させることができた。また、本発明をInGaAs成長に適用することもでき、この場合従来方法によっては6.2%であった原料ガスの利用効率を7.0%まで向上させることができた。
【0055】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。例えば、本実施形態では基板保持台2を回転軸3で吊し、基板4の成長面を下側に向ける所謂フェイスダウン型について説明したが、基板保持台を反応炉の下側に設け、その上に基板を載置して薄膜成長面を上側に向けるフェイスアップ型にも適用できることは云うまでもない。
【0056】
また、本実施形態では、回転サセプタを有する円筒形の反応炉を用いたが、図4に示すような横型の反応管を反応炉として使用した場合も導入口における流速を同様に制御することにより本実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0057】
また、本実施形態では、2種類又は3種類の原料ガスを混合して原料ガス導入管5から導入するようにしたが、原料ガスを種類ごとに導入するようにしてもよい。例えば、原料ガスの種類ごとに導入管を反応炉導入口まで延設し、反応炉内に仕切板を設けるようにして導入口流速を制御するようにしてもよい。
【0058】
【発明の効果】
本願において開示される発明によれば、基板を設置した反応管内に少なくとも2種類の原料ガスと、パージガスを導入して前記基板面に二成分系以上の元素からなる化合物半導体薄膜を形成する気相成長方法において、導入口における原料ガスとパージガスの流速比を制御することにより反応管内に層流を生じさせるようにしたので、均一な組成・膜厚を有する薄膜を成長させることができるとともに、原料ガスの利用効率を著しく向上できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の有機金属気相成長装置の構成例を示す概略断面図である。
【図2】本実施形態でInP基板上に成長させるエピタキシャル膜の例を示す説明図である。
【図3】反応炉内におけるガス流のシミュレーション結果である。
【図4】従来の横型気相成長装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1 有機金属気相成長装置
2a サセプタ
2b カーボンディスク
3 回転軸
4 基板
5 原料ガス導入管
5a 原料ガス導入口
6 パージガス導入管
6a パージガス導入口
7 ヒータ
8 仕切板
9 排出口
10 下側壁面
10a 内部部材
Claims (7)
- 基板を設置した反応炉内に少なくとも2種類の原料を含む原料ガスと、パージガスを同一方向に導入して前記基板面に化合物半導体薄膜を形成する気相成長方法において、
前記原料ガスおよびパージガスを前記反応炉内に導入する導入口における原料ガスの流速をVG、パージガスの流速をVPとしたとき、それぞれの流速V G ,V P が単独では層流となる流速であり、かつ、流速の比V P / V G が所定の範囲内となるようにそれぞれの流速V G ,V P を制御し、反応炉内において原料ガスとパージガスが二層流状態で流れるようにしたことを特徴とする気相成長方法。 - 前記流速の比vP/vGが0.8以上8.0以下になるようにすることを特徴とする請求項1に記載の気相成長方法。
- より好ましくは、前記流速の比vP/vGが1.3以上4.0以下になるようにすることを特徴とする請求項1に記載の気相成長方法。
- 前記導入口における原料ガスの流速vGとパージガスの流速vPは、50torrの状態で30cm/sec以上1000cm/sec以下であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の気相成長方法。
- より好ましくは、前記導入口における原料ガスの流速vGとパージガスの流速vPは、50torrの状態で50cm/sec以上500cm/sec以下であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の気相成長方法。
- 前記原料ガスは第3B族元素の原料および第5B族元素の原料を水素ガスで希釈したものであり、前記パージガスは水素ガスであることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の気相成長方法。
- 前記基板および該基板面に形成される化合物半導体薄膜は、III−V族化合物半導体であることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の気相成長方法。
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