JP3010193B2 - 連続可変変速機の変速制御方法 - Google Patents

連続可変変速機の変速制御方法

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JP3010193B2
JP3010193B2 JP16004191A JP16004191A JP3010193B2 JP 3010193 B2 JP3010193 B2 JP 3010193B2 JP 16004191 A JP16004191 A JP 16004191A JP 16004191 A JP16004191 A JP 16004191A JP 3010193 B2 JP3010193 B2 JP 3010193B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、連続可変変速機の変
速制御方法に係り、特に作動用油圧制御弁手段の駆動周
波数を高側から低側に切換える際にスロットル開度をト
リガとすることにより、NULL値のずれによる変速の
不連続やショックの発生を軽減し得る連続可変変速機の
変速制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】車両においては、内燃機関と車輪間に変
速機を介在している。この変速機は、広範囲に変化する
車両の走行条件に合致させて車輪に伝達される駆動力を
変更し、内燃機関の性能を充分に発揮させている。変速
機には、例えば、回転軸に固定された固定プーリ部片と
固定プーリ部片に接離可能に回転軸に装着された可動プ
ーリ部片とを有するプーリを2つ設けてベルトを巻掛
け、夫々のプーリの両プーリ部片間に形成される溝幅を
油圧により増減することによりプーリに巻掛けられたベ
ルトの回転半径を増減させてベルトレシオ(変速比)を
連続的に変化させる連続可変変速機がある。
【0003】この連続可変変速機は、変速比用油圧制御
弁手段により油圧を制御して変速比を変化させる。この
変速比用油圧制御弁手段は、作動用油圧制御弁手段によ
り作動用油圧を制御させて作動される。この作動用油圧
制御弁手段は、電磁弁(ソレノイドバルブ)等からな
り、デューティ率の出力値である駆動周波数により駆動
される。
【0004】このような作動用油圧制御弁手段の駆動周
波数を切換え制御するものとしては、例えば、特開昭6
4−44348号公報、特開平1−153851号公報
に開示されている。特開昭64−44348号公報に記
載のものは、油温低下に併ない粘性が高まることを考慮
して、油温状態に応じて油温が低い場合には低い駆動周
波数に切換え制御するとともに油温が高い場合には高い
駆動周波数に切換え制御するものである。また、特開平
1−153851号公報に記載のものは、所定油温状態
においても、車速に応じて駆動周波数を切換え制御、つ
まり、車速が60〓/h以上の場合に駆動周波数を50
Hzに切換制御するとともに車速が55〓/h未満の場
合には駆動周波数を100Hzに切換え制御するもので
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、作動用油圧
制御弁手段により作動用油圧を制御される変速比用油圧
制御弁手段は、図5に示す如く、作動用油圧制御弁手段
へのレシオソレノイドデューティ(OPWRAT)の変
化に対して、出力圧力が急変する特性を有している。こ
の特性の急変する変速急変点における変速比の変化しな
いデューティ率を、NULL値という。この作動用油圧
制御弁手段のNULL値は、図6に示す如く、油温(T
EMPS)や駆動周波数の影響を受けて変動する。
【0006】このため、駆動周波数を駆動条件に応じ切
換え制御して作動用油圧制御弁手段を駆動した場合に、
NULL値が油温や駆動周波数の影響を受けて変動する
ことにより、切換え時点においてNULL値にずれが生
ずることになる。このNULL値のずれは、図7に示す
如く、特に、常温時においては油の粘性が低いので、変
速速度が変動して変速に不連続を生じさせ、また、ショ
ックを発生する不都合がある。
【0007】そこで、前記特開昭64−44348号公
報に開示のものは、油温状態に応じて駆動周波数を切換
え制御しており、ショックの発生がない制御モード(ニ
ュートラルモード、ホールドモード)やショックの発生
が少ない制御モード(ドライブモード)において切換え
制御を行っている。また、前記特開平1−153851
号公報に開示のものは、所定油温状態においても、車速
に応じて駆動周波数の切換え制御を行っている。
【0008】ところが、前記特開平1−153851号
公報に開示の如く、所定油温状態にいても車速に応じて
駆動周波数を切換え制御した場合に、駆動周波数の切換
えによるNULL値のずれが走行状態によっては顕著に
現れ、このNULL値のずれに起因して変速に不連続を
生じ、ショックを発生する不都合がある。
【0009】即ち、図8・図9に示す如く、常温時にお
いて、車速に応じて低速では高い駆動周波数である10
0Hzに切換え制御するとともに、高速では低い駆動周
波数である50Hzに切換え制御する場合に、図10に
示す如く、50Hzと100Hzとの間に圧力値のずれ
がある。
【0010】このため、常温時において、つまり、所定
油温状態において車速に応じて駆動周波数を切換え制御
した場合に、駆動周波数の切換えによるNULL値のず
れが走行状態によって、特に加速状態において顕著に現
れ、このNULL値のずれに起因して加速状態における
変速に不連続を生じ、ショックを発生する不都合があ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
述不都合を除去すべく、固定プーリ部片とこの固定プー
リ部片に接離可能に装着された可動プーリ部片との両プ
ーリ部片間の溝幅を油圧により増減させて前記両プーリ
に巻掛けられるベルトの回転半径を増減させて変速比を
連続的に変化させる連続可変変速機において、前記変速
比を変化させるべく油圧を制御する変速比用油圧制御弁
手段を設けるとともにこの変速比用油圧制御弁手段の作
動用油圧を制御するように駆動周波数で駆動される作動
用油圧制御弁手段を設け、前記作動用油圧制御弁手段を
駆動制御する制御手段を設け、この制御手段により、前
記作動用油圧制御弁手段を所定油温状態に応じて高側又
は低側の駆動周波数により駆動するとともに、車速が設
定値以上で前記作動用油圧制御弁手段の駆動周波数を高
側から低側に変更可能とし、車両走行中において車速が
前記設定値以上になって前記作動用油圧制御弁手段の駆
動周波数を高側から低側に切換える際にはスロットル開
度が小なる側に変化した時に前記作動用油圧制御弁手段
の駆動周波数を高側から低側に切換え制御することを特
徴とする。
【0012】
【作用】この発明の構成によれば、車両走行中において
車速が設定値以上になって作動用油圧制御弁手段の駆動
周波数を高側から低側に切換える際に、スロットル開度
が小なる側に変化した時に作動用油圧制御弁手段の駆動
周波数を高側から低側に切換え制御するので、加速状態
においてNULL値のずれによる変速の不連続やショッ
クの発生を軽減するとともに、スロットル開度をトリガ
として作動用油圧制御弁手段の駆動周波数を切換えて、
エンジン側のショックの発生と同時に駆動周波数の切換
えが行われ、駆動周波数の切換えをエンジン側のショッ
クにマスクさせることができる。
【0013】
【実施例】以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細
且つ具体的に説明する。図1〜図4は、この発明の実施
例を示すものである。図4において、2は連続可変変速
機、4はベルト、6は駆動側プーリ、8は駆動側固定プ
ーリ部片、10は駆動側可動プーリ部片、12は被駆動
側プーリ、14は被駆動側固定プーリ部片、16は被駆
動側可動プーリ部片である。前記駆動側プーリ6は、図
4に示す如く、回転軸18に固定される駆動側固定プー
リ部片10と、回転軸18の軸方向に移動可能且つ回転
不可能に回転軸18に装着された駆動側可動プーリ部片
10とを有する。また、前記被駆動側プーリ12は、前
記駆動側プーリ6と同様な構成で、被駆動側固定プーリ
部片14と被駆動側可動プーリ部片16とを有する。
【0014】前記駆動側可動プーリ部片10と被駆動側
可動プーリ部片16とには、第1、第2ハウジング2
0、22が夫々装着され、第1、第2油圧室24、26
が夫々形成される。また、被駆動側の第2油圧室26内
には、被駆動側可動プーリ部片16を被駆動側固定プー
リ部片14に接近すべく付勢する押圧スプリング28を
設ける。
【0015】前記回転軸18の端部には、オイルポンプ
30が設けられている。このオイルポンプ30は、オイ
ルを、オイルパン32からオイルフィルタ34を経て、
油圧回路36を構成する第1、第2オイル通路38、4
0によって前記第1、第2油圧室24、26に送給する
ものである。第1オイル通路38途中には、入力軸シー
ブ圧たるプライマリ圧(レシオ)を制御すべく変速機用
油圧制御弁手段たる圧力制御弁手段42を構成するプラ
イマリ圧制御弁44が介設される。また、プライマリ圧
制御弁44よりもオイルポンプ30側の第1オイル通路
38には、第3オイル通路46によってライン圧(一般
に5〜25〓/〓2 )を一定圧(4〜5〓/〓2 )に制
御する定圧制御弁48が連設される。更に、プライマリ
圧制御弁44には、第4オイル通路50を介して作動用
油圧制御弁手段の一つであるプライマリ圧力制御用第1
三方電磁弁52が連設される。
【0016】また、前記第2オイル通路40途中には、
ポンプ圧たるライン圧(ライン)を制御する逃し弁機能
を有するライン圧制御弁54が第5オイル通路56を介
して連設される。ライン圧制御弁54は、第6オイル通
路58を介して作動用油圧制御弁手段の一つであるライ
ン圧力制御用第2三方電磁弁60が連設される。
【0017】更に、前記ライン圧制御弁54の連通する
部位よりも第2油圧室26側の第2オイル通路40途中
には、クラッチ圧(クラッチ)を制御するクラッチ圧制
御弁62が第7オイル通路64を介して連設されてい
る。このクラッチ圧制御弁62には、第8オイル通路6
6を介して作動用油圧制御弁手段の一つであるクラッチ
圧制御用第3三方電磁弁68が連設される。
【0018】また、前記プライマリ圧制御弁44及びプ
ライマリ圧力制御用第1電磁弁52、定圧制御弁48、
ライン圧制御弁54、ライン圧力制御用第2三方電磁弁
60、そして、クラッチ圧制御弁62及びクラッチ圧力
制御用第3三方電磁弁68は、第9オイル通路70によ
って夫々連通している。
【0019】前記クラッチ圧制御弁62は、第10オイ
ル通路72を介して油圧クラッチ74に連絡するととも
に、この第10オイル通路72途中には第11オイル通
路76を介して圧力センサ78を連絡している。この圧
力センサ78は、ホールドおよびスタートモード等各種
モードのクラッチ圧を制御する際に直接油圧を検出する
ことができ、この検出油圧を目標クラッチ圧とすべく指
令する機能を有する。また、ドライブモード時にはクラ
ッチ圧がライン圧と略等しくなるので、ライン圧制御に
も寄与するものである。
【0020】前記油圧クラッチ74は、ピストン80、
円環状スリップ82、第1圧力プレート84、フリクシ
ョンプレート86、第2圧力プレート88等から構成さ
れている。
【0021】また、車両の図示しない気化器のスロット
ル開度やエンジン回転数等の種々条件を入力しデューテ
ィ率を変化させ変速制御を行う制御手段90を設け、こ
の制御手段90によって、前記プライマリ圧力制御用第
1三方電磁弁52、ライン圧力制御用第2三方電磁弁6
0、そして、クラッチ圧力制御用第3三方電磁弁68の
開閉動作を制御させる。また、前記制御手段90に入力
される各種信号と入力信号の機能について詳述すれば、
【0022】 、シフトレバー位置の検出信号……P、R、N、D、
L等の各レンジ信号により各レンジに要求されるライン
圧(ライン)やレシオ(プライマリ圧)、クラッチ(ク
ラッチ圧)の制御
【0023】 、キャブレタスロットル開度の検出信号……予めプロ
グラム内にインプットしたメモリからエンジントルクを
検知、目標レシオあるいは目標エンジン回転数の決定
【0024】 、キャブレタアイドル位置の検出信号……キャブレタ
スロットル開度センサの補正と制御における精度の向上
【0025】 、アクセルペダル信号……アクセルペダルの踏込み状
態によって運転者の意志を検知し、走行時あるいは発進
時の制御方法を決定
【0026】 、ブレーキ信号……ブレーキペダルの踏込み動作の有
無を検知し、油圧クラッチ74の切り離し等制御方向を
決定
【0027】 、パワーモードオプション信号……車両の性能をスポ
ーツ性(あるいはエコノミー性)とするためのオプショ
ンとして使用
【0028】 、油温信号……油圧回路の油温状態に応じた信号等が
ある。
【0029】なお、油温信号は、例えばオイルパン32
内に設置された油温センサ92から出力される。
【0030】また、制御手段90は、油圧回路36内の
油温状態に応じて、圧力制御弁手段42の例えば作動用
油圧制御弁手段の一つである第1三方電磁弁52の駆動
周波数を高側(100Hz)又は低側(例えば、50H
z、25Hz、12.5Hz)(図1参照)に切換え制
御するとともに、車速(NCO)が設定値(NCOTR
1)以上で第1三方電磁弁52の駆動周波数を高側(1
00Hz)から低側(50Hz)に変更可能とし(図3
参照)、車両走行中において車速が設定値以上になって
第1三方電磁弁52の駆動周波数を高側(100Hz)
から低側(50Hz)に切換える際にはスロットル開度
が小なる側に変化した時に第1三方電磁弁52の駆動周
波数を高側(100Hz)から低側(50Hz)に切換
え制御するものである。
【0031】次に、この実施例の作用について説明す
る。
【0032】連続可変変速機2は、図4に示す如く、回
転軸18上に位置するオイルポンプ30が回転軸18の
駆動に応じて作動し、そのオイルは変速機底部のオイル
パン32からオイルフィルタ34を介して吸収される。
このポンプ圧であるライン圧はライン圧制御弁54で制
御され、このライン圧制御弁54からの洩れ量、つまり
ライン圧制御弁54の逃し量が大であればライン圧は低
くなり、反対に少なければライン圧は高くなる。
【0033】前記ライン圧制御弁54の動作は専用の第
2三方電磁弁60により制御されるものであり、この第
2三方電磁弁60の動作に追従して前記ライン圧制御弁
54が動作するものであり、第2三方電磁弁60は所定
の周波数のデューティ率で制御される。即ち、デューテ
ィ率0%とは第2三方電磁弁60が全く動作しない状態
であり、出力側が大気側に導通し出力油圧はゼロとな
る。また、デューティ率100%とは第2三方電磁弁6
0が動作して出力側が大気側に導通し、制御圧力と同一
の最大出力油圧となり、デューティ率によって出力油圧
を可変させている。従って、前記第2三方電磁弁60の
特性は、前記ライン圧制御弁54をアナログ的に動作さ
せることが可能となり、第2三方電磁弁60のデューテ
ィ率を任意に変化させてライン圧を制御することができ
る。また、この第2三方電磁弁60の動作は前記制御手
段90によって制御されている。
【0034】変速制御用のプライマリ圧は前記プライマ
リ圧制御弁44によって制御され、このプライマリ圧制
御弁44も前記ライン圧制御弁54と同様に、専用の第
1三方電磁弁52によって動作が制御されている。この
第1三方電磁弁52は、プライマリ圧を前記ライン圧に
導通、あるいはプライマリ圧を大気側に導通させるため
に使用され、ライン圧に導通させてベルトレシオをフル
オーバドライブ側に移行、あるいは大気側に導通させて
フルロー側に移行させるものである。
【0035】クラッチ圧を制御するクラッチ圧制御弁6
2は、最大クラッチ圧を必要とする際にライン圧側と導
通させ、また最低クラッチ圧とする際には大気側と導通
させるものである。このクラッチ圧制御弁62も前記ラ
イン圧制御弁54やプライマリ圧制御弁44と同様に、
専用の第3三方電磁弁68によって動作が制御されてい
るので、ここでは説明を省略する。クラッチ圧は最低の
大気圧(ゼロ)から最大のライン圧までの範囲内で変化
するものである。
【0036】クラッチ圧の制御には、5つのパターンが
ある。
【0037】このパターンは、
【0038】 (1)、ニュートラルモード……シフト位置がNまたは
Pでクラッチを完全に切り離す場合、クラッチ圧は最低
圧(ゼロ)
【0039】 (2)、ホールドモード……シフト位置がDまたはRで
スロットルを離して走行意思の無い場合、あるいは走行
中に減速しエンジントルクを切りたい場合、クラッチ圧
はクラッチが接触する程度の低いレベル
【0040】 (3)、スタートモード……発進時あるいはクラッチ切
れの後に再びクラッチを結合しようとする場合、クラッ
チ圧をエンジン吹き上がりを防止するとともに車両をス
ムーズに動作できるエンジン発生トルク(クラッチイン
プットトルク)に応じて適切なレベル
【0041】 (4)、スペシャルスタートモード……(イ)、車速が
8〓/h以上でシフトレバーをD→N→Dと繰り返して
使用した状態、あるいは、……(ロ)、減速運転時に8
〓/h<車速<15〓/hでブレーキ状態を解除した状
【0042】 (5)、ドライブモード……完全な走行状態に移行しク
ラッチが完全に結合した場合、クラッチ圧はエンジント
ルクに十分に耐えるだけの余裕のある高いレベル の5つがある。このパターンの(1)はシフト操作と連
動する専用の図示しない切換バルブで行われ、他の
(2)、(3)、(4)、(5)は制御手段90による
第1、第2、第3三方電磁弁52、60、68のデュー
ティ率制御によって行われている。特に(5)の状態に
おいては、クラッチ圧制御弁62によって第7オイル通
路64と第10オイル通路72とを連通させ、最大圧発
生状態とし、クラッチ圧はライン圧と同一となる。
【0043】また、前記プライマリ圧制御弁44やライ
ン圧制御弁54、そしてクラッチ圧制御弁62は、第
1、第2、第3三方電磁弁52、60、68からの出力
油圧によって夫々制御されているが、これら第1、第
2、第3三方電磁弁52、60、68を制御するコント
ロール油圧は定圧制御弁48で調整される一定油圧であ
る。このコントロール油圧はライン圧より常に低い圧力
であるが、安定した一定の圧力である。また、コントロ
ール油圧は各制御弁44、54、62にも導入され、こ
れ等制御弁44、54、62の安定化を図っている。
【0044】次に、連続可変変速機2の電子制御につい
て説明する。
【0045】連続可変変速機2は油圧制御されていると
ともに、制御手段90からの指令により、ベルト保持と
トルク伝達のための適切なライン圧や、変速比の変更の
ためのプライマリ圧、及び油圧クラッチ74を確実に結
合させるためのクラッチ圧が夫々確保されている。
【0046】次いで、図1のフローチャートに基づいて
この実施例における第1三方電磁弁52の駆動周波数の
制御方法を説明する。
【0047】制御手段90においてプログラムがスター
トすると(ステップ302)、先ず、車両走行中である
ドライブモードか否かを判断する(ステップ304)。
【0048】このステップ304においてNOの場合に
は、他の変速制御を行い(ステップ306)、そして、
ステップ304に戻す。
【0049】このステップ304においてYESの場合
には、駆動周波数が高側の100Hzの油温領域か否か
を判断する(ステップ308)。
【0050】このステップ308でYESの場合には、
駆動周波数フラグが100Hzか50Hzかを判断する
(ステップ310)。
【0051】このステップ310がYESで駆動周波数
が高側の100Hzの場合には、車速(NCO)と車速
の設定値である100→50Hz用車速トリガ(NCO
TR1)とを比較する(ステップ312)。
【0052】このステップ312でNCO≧NCOTR
1の場合には、スロットル開度の変化量(DTHR)=
(THR−THRN)を算出し(ステップ314)、そ
して、スロットル開度の変化量(DTHR)と100→
50Hz用スロットル開度トリガ(DTRTR)とを比
較する(ステップ316)。
【0053】このステップ316においてDTHR<D
TRTRの場合には、FRQFLG←50Hzとして
(ステップ318)、第1三方電磁弁52の駆動周波数
を50Hzとする。
【0054】前記ステップ310においてNOの場合に
は、車速(NCO)50→100Hz用車速トリガ(N
COTR2)とを比較する(ステップ320)。
【0055】このステップ320でNCO≦NCOTR
2の場合には、FRQFLG←100Hzとし(ステッ
プ322)、第1三方電磁弁52の駆動周波数を100
Hzとする。一方、ステップ320においてNCO>N
COTR2の場合には、第1三方電磁弁52の駆動周波
数を50Hzとする。
【0056】更に、前記ステップ316においてDTH
R≧DTRTRの場合には、第1三方電磁弁52の駆動
周波数を100Hzとする。
【0057】一方、前記ステップ308においてNOの
場合には、他の周波数(12.5Hz、25Hz又は5
0Hz)を選択する。
【0058】これら駆動周波数が選択された後には、他
の変速制御を行い(ステップ326)、ステップ304
に戻す。
【0059】次に、この駆動周波数制御を、図2の制御
ブロック図に基づいて説明する。
【0060】スロットル開度(THR)と車速(NC
O)とエンジン回転数(NE)とから最終目標エンジン
回転数(NESPRF)を演算し、そして、この最終目
標エンジン回転数(NESPRF)に比例ゲイン(K
p)をかけ(204)、そして第1リミッタ(206)
をかける。
【0061】この第1リミッタ(206)からの値には
積分ゲイン(Ki/s)がかけられ(208)、そし
て、この積分ゲインからの値と中立値(NNUL)とが
加減される(210)。
【0062】この加減されて得られた値と第1リミッタ
(206)からの値とは、加減される。
【0063】この加減されて得られた値は、高側の10
0Hzの油温領域で低側の50Hz駆動か否かによって
作動するスイッチSW1がYESに接続されることによ
って得られる100Hzと50HzとのNULL値のず
れと加減される。
【0064】そして、この加減されて得られた値が第2
リミッタ(218)にかけられ、レシオソレノイドデュ
ーティ(OPWRAT)が第1三方電磁弁52に出力さ
れる。
【0065】即ち、駆動周波数が高側の100Hzから
低側の50Hzに変更されるのは、車両走行中であるド
ライブモード中で且つ高側の100Hzの油温領域で、
しかも、車速が設定値(NCOTR1)以上においてス
ロットル開度が減少した時とする。駆動周波数を低側の
50Hzから高側の100Hzに変更させるのは、車速
がNCOTR2(NCOTR2<NCOTR1)の時と
する。
【0066】このように、駆動周波数の50Hzから1
00Hzへの変更が、車速(NCO)トリガだけとした
のは、減速時、駆動周波数の変更に伴う不具合いが現れ
にくい点と、駆動周波数が高くなるため、変更に伴う不
具合いの吸収が速い点と、他のトリガを設け、その成立
を待っていたのでは、車速が低下した状態でも、駆動周
波数が50Hzのままとなり、クラッチ圧制御上、問題
を生じるためである。
【0067】このクラッチ圧を制御している時に低い振
動周波数を用いた場合、第3三方電磁弁68のソレノイ
ドの脈動が、顕著に、体感上現れてしまう。それは、油
圧クラッチ74は、応答性を確保するための油圧回路3
6の容量が小さく、脈動を吸収する機能になっていない
ためである。
【0068】スロットル開度の小なる側への減少を判定
するため、スロットル開度の変化量のトリガ(DTRT
R)を設けたが、これは、スロットル開度が減少状態に
転じた事を確実に判定するためのものである。
【0069】この結果、車両走行中において第1三方電
磁弁52の駆動周波数を高側(100Hz)から低側
(50Hz)に切換える際に、スロットル開度が小なる
側に変化した時に駆動周波数を高側(100Hz)から
低側(50Hz)に切換えるので、図3に示す如く、特
に加速状態においてNULL値のずれによる変速の不連
続やショックの発生を低減させることができる。
【0070】また、スロットル開度を切換えのトリガと
したことにより、エンジン側のショックの発生と同期し
て駆動周波数の切換えが行われるので、駆動周波数の切
換えがエンジン側のショックにマスクされる。
【0071】更に、制御手段90においてプログラム上
のNULL値と実際のNULL値に差が生じても、上述
したような不具合の発生を少なくすることができる。
【0072】さらにまた、制御手段90のプログラムの
変更のみで駆動周波数を変更させるので、コストを低廉
とし、実用上有利とすることができる。
【0073】なお、上述の実施例においては、作動油圧
制御弁手段として第1三方電磁弁52の駆動周波数の切
換制御について説明したが、第2、第3三方電磁弁6
0、68の駆動周波数を同様に制御することができる。
【0074】
【発明の効果】以上詳細な説明から明らかなようにこの
発明によれば、作動用油圧制御弁手段を所定油温状態に
応じて高側又は低側の駆動周波数により駆動するととも
に、車速が設定値以上で作動用油圧制御弁手段の駆動周
波数を高側から低側に変更可能とし、車両走行中におい
て車速が設定値以上になって作動用油圧制御弁手段の駆
動周波数を高側から低側に切換える際にはスロットル開
度が小なる側に変化した時に作動用油圧制御弁手段の駆
動周波数を高側から低側に切換え制御することにより、
NULL値のずれによる変速の不連続やショックの発生
を軽減するとともに、スロットル開度をトリガとして作
動用油圧制御弁手段の駆動周波数を切換えるので、エン
ジン側のショックの発生と同時に駆動周波数の切換えが
行われ、駆動周波数の切換えがエンジン側のショックに
マスクされ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁弁の駆動周波数制御のフローチャートであ
る。
【図2】電磁弁駆動周波数制御の制御ブロック図であ
る。
【図3】電磁弁の駆動周波数制御のタイムチャートであ
る。
【図4】連続可変変速機のシステム構成図である。
【図5】NULL値の圧力特性図である。
【図6】NULL値の特性図である。
【図7】電磁弁の駆動周波数の切換え点におけるNUL
L値のずれの影響を示す説明図である。
【図8】駆動周波数が100Hz時における電磁弁の電
流波形図である。
【図9】駆動周波数が50Hz時における電磁弁の電流
波形図である。
【図10】電磁弁の圧力波形図であ。
【符号の説明】
2 連続可変変速機 4 ベルト 6 駆動側プーリ 12 被駆動側プーリ 18 回転軸 30 オイルポンプ 38 第1オイル通路 40 第2オイル通路 42 圧力制御弁手段 44 プライマリ圧制御弁 46 第3オイル通路 48 定圧制御弁 50 第4オイル通路 52 プライマリ圧制御用第1三方電磁弁 54 ライン圧制御弁 56 第5オイル通路 58 第6オイル通路 60 ライン圧制御用第2三方電磁弁 62 クラッチ圧制御弁 64 第7オイル通路 66 第8オイル通路 68 クラッチ圧制御用第3三方電磁弁 70 第9オイル通路 72 第10オイル通路 74 油圧クラッチ 78 圧力センサ 90 制御手段 92 油温センサ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−44348(JP,A) 特開 平1−153851(JP,A) 特開 昭62−52267(JP,A) 特開 平2−190659(JP,A) 特開 平2−176257(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 61/04 F16H 9/00 F16H 59:24 F16H 59:72

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定プーリ部片とこの固定プーリ部片に
    接離可能に装着された可動プーリ部片との両プーリ部片
    間の溝幅を油圧により増減させて前記両プーリに巻掛け
    られるベルトの回転半径を増減させて変速比を連続的に
    変化させる連続可変変速機において、前記変速比を変化
    させるべく油圧を制御する変速比用油圧制御弁手段を設
    けるとともにこの変速比用油圧制御弁手段の作動用油圧
    を制御するように駆動周波数で駆動される作動用油圧制
    御弁手段を設け、前記作動用油圧制御弁手段を駆動制御
    する制御手段を設け、この制御手段により前記作動用
    油圧制御弁手段を所定油温状態に応じて高側又は低側の
    駆動周波数により駆動するとともに、車速が設定値以上
    で前記作動用油圧制御弁手段の駆動周波数を高側から低
    側に変更可能とし、車両走行中において車速が前記設定
    値以上になって前記作動用油圧制御弁手段の駆動周波数
    を高側から低側に切換える際にスロットル開度が小な
    る側に変化した時に前記作動用油圧制御弁手段の駆動周
    波数を高側から低側に切換え制御することを特徴とする
    連続可変変速機の変速制御方法。
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