JP3009580B2 - 火炎溶射材およびその製造方法 - Google Patents
火炎溶射材およびその製造方法Info
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Description
−CaO系の火炎溶射材に関するものである。
どの工業窯炉の内張り損傷を火炎溶射法をもって補修す
ることが知られている。この方法は、耐火物微粉末を高
速・高温の火炎中に通し、溶融または半溶融状態にして
損傷部分に溶射するものであり、緻密かつ高強度の補修
体組織が得られる。従来、この火炎溶射に使用される溶
射材として、CaO含有の溶射材が提案されている。例
えば特開昭63−107872号公報には石灰質クリン
カーとマグネシアクリンカーよりなる材質、特開昭63
−107873号公報にはさらにこれにスラグを配合し
た材質が示されている。
融点が高く、耐食性に優れている。しかし反面、接着性
において十分なものではない。溶射材の接着性を向上さ
せる手段として、例えばK2O、Na2O、スラグなどの
低融点物質を添加することが考えられるが、十分な効果
を得るだけの量を添加すると耐食性の低下を招く。
消化〔CaO+H2O→Ca(OH)2〕する。溶射材で
は粒径が一般に500μm以下の微粒のために比表面積
が大きく、消化は空気中の水蒸気などによっても進行す
る。消化によって水和物を含有した溶射材は火炎溶射の
際、水和物の分解に伴う吸熱反応で雰囲気温度を低下さ
せ、溶融が不十分となって接着性および付着性に劣る。
O含有の溶射材において上記従来の問題を解決すること
を目的とし、その特徴とするところは、表面にCaCO
3被膜を有する、CaO質および/またはMgO−Ca
O質のCaO含有クリンカーを配合した火炎溶射材とそ
の製造方法である。
を有するCaO含有クリンカーを配合したことで、接着
性が格段に向上する。これは、CaCO3被膜が火炎溶
射の高温を受けて分解し、粒子表面が多孔質となって溶
融が促進するためと思われる。 また、CaCO3被膜
は空気との遮断膜となってCaO含有クリンカーの消化
を防止する。消化を防止したことで水和物を含有してお
らず、水和物の分解に伴う吸熱反応で付着性が低下する
といった問題もない。CaCO3被膜の分解においても
吸熱反応を生じるが、CaCO3被膜は厚みが0.1〜
3μmと極めて薄く、この吸熱反応による付着性への影
響はない。
は、CaO質および/またはMgO−CaO質とする。
焼結品、電融品の何れでもよいが、製造コスト面から焼
結品が好ましい。MgO−CaO質の場合、化学成分値
でCaOが30wt%以上であることが好ましい。Ca
Oがこれより少ないと耐スラグ浸透性、耐スポーリング
性に劣る。CaO、MgO以外の成分は、5wt%以下
であることが好ましい。CaO含有クリンカーに対する
CaCO3被膜の形成は、CO2ガス雰囲気下で加熱する
ことで行うことができる。基本的には特開昭61−25
6961号、特開昭56−88825号などで既に示さ
れる方法が利用できる。しかし、同公報に示される耐火
レンガなどの骨材に対する場合と異なり、本発明では溶
射材としての微粒のCaO含有クリンカーに対するもで
ある。CO2ガス処理時の加熱温度は380〜830℃
が好ましい。
O3被膜を顕微鏡観察すると鱗片状をしている。CaC
O3被膜が鱗片状のためにCaO含有クリンカーの比表
面積が大きくなり、溶融しやすいことも接着性向上に作
用していると思われる。
好ましい。溶射材粒子は微粒なために被膜が相当薄くて
も本発明の効果が得られる。被膜の厚さを発達させるに
は加熱処理時間が長くなる。しかも、被膜の厚さが一定
の寸法を超えると接着性においてそれ以上の効果が望め
なくなるから、生産性の面から、3μmを超えることは
好ましくない。
有するCaO含有クリンカーだけでなく、これに他の耐
火物原料を組み合わせて配合してもよい。また、溶融助
剤を添加してもよい。他の耐火物原料としては、例えば
マグネシア、ドロマイト、ジルコン、ジルコニア、スピ
ネル、クロム鉱、アルミナ、ムライト、炭素、炭化物、
窒化物、CaCO3被膜を有していないCaO含有クリ
ンカーあるいはこれらを主材としたレンガ屑などから選
ばれる一種または二種以上である。本発明の効果を損な
わないために、その他の耐火物原料あるいは溶融助剤を
配合する場合でも、CaCO3被膜を有するCaO含有
クリンカーは少なくとも50wt%配合することが好ま
しい。
鉱石、タルク、K2O、Na2O、Fe2O3、FeO、酸
化リチウム、金属粉などから選ばれる一種または二種以
上である。溶融助剤は特に付着性に効果があるが、多量
の添加は耐食性の低下を招くので、30wt%以下の配
合量が好ましい。
い。ノズルからの噴出性、火炎による溶融性などを考慮
して、1mm以下、好ましくは平均で10〜500μm
である。 溶射方法は従来どおり、プロパンガス、アセ
チレン、水素、灯油などの気体または液体燃料やコーク
スなどの固形燃料を熱源とする高速・高温火炎溶射装置
を用いて行う。溶射材の搬送ガスは、例えば酸素、空
気、窒素、CO、CO2、天然ガス、アルゴンなどから
選ばれる一種または二種以上が使用できる。また、転炉
ガス、熱風炉ガス、コークス炉ガスなどの、工場からの
各種の排ガスを使用することもできる。
D炉、取鍋、タンデッシュ、真空脱ガス炉、混銑車、電
気炉、焼却炉などの工業窯炉の内張り形成、内張りに対
する被覆または補修の他、耐火物品の形成、被覆、補修
などにも使用できる。
す。表1は各例で使用した配合原料の化学分析値と表面
性状である。CaO含有クリンカーに対してのCO2ガ
ス処理は、溶射材としての粒径に予め微粉砕後、CO2
分圧95%、加熱温度600〜700℃×1時間で行っ
た。CaO含有量が多いものほどCaCO3被膜の厚さ
が発達している。
合組成と、その試験結果である。
使用した。火炎温度は最高温度部位で約2500℃であ
る。溶射材は平均粒径100〜150μmに調整し、3
Kg/分の速度で火炎中に供給した。被溶射面は、表面
温度を1200℃に加熱したMgO−C質レンガの垂直
面とした。
て、付着率を求めた。
体と溶射材とのせん断強度を求めた。
侵食にて溶損寸法を求めた。侵食剤は鋼片と転炉スラグ
を重量比で1:1で組合せたものとした。比較例1の溶
損寸法を1とした指数で示し、数値が大きいほど溶損寸
法が大きい。
補修を行い、耐用チャージ数を求めた。
に、本発明実施例はCaO質クリンカーを配合した溶射
材が本来もつ耐食性に加え、接着性が向上している。し
たがって、耐用性においても優れた効果を示している。
いCaO質クリンカーまたはMgO−CaO質クリンカ
ーを使用した比較例1〜3は、接着性に劣る。
に優れているが、接着性において十分なものではない。
本発明はCaCO3被膜を有するCaO質クリンカーの
使用によって接着性の問題を解消したことにより、Ca
O含有材質が本来有している耐食性の効果がいかんなく
発揮される。そして、例えば本発明の溶射材を炉の補修
材に使用すれば、補修工数および補修材の低減、さらに
は炉の稼動率向上などその効果はきわめて大きい。
Claims (2)
- 【請求項1】 表面にCaCO3被膜を有する、CaO
質および/またはMgO−CaO質のCaO含有クリン
カーを配合した火炎溶射材。 - 【請求項2】 CaO質および/またはMgO-CaO
質のCaO含有クリンカーをCO2ガス雰囲気下で加熱
し、その表面にCaCO3被膜を形成させる火炎溶射材
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5331554A JP3009580B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 火炎溶射材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP5331554A JP3009580B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 火炎溶射材およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07187819A JPH07187819A (ja) | 1995-07-25 |
JP3009580B2 true JP3009580B2 (ja) | 2000-02-14 |
Family
ID=18244967
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP5331554A Expired - Fee Related JP3009580B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 火炎溶射材およびその製造方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3009580B2 (ja) |
-
1993
- 1993-12-27 JP JP5331554A patent/JP3009580B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH07187819A (ja) | 1995-07-25 |
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