JP3009351B2 - 難燃性ポリエステル系樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリエステル系樹脂組成物

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JP3009351B2 JP7300662A JP30066295A JP3009351B2 JP 3009351 B2 JP3009351 B2 JP 3009351B2 JP 7300662 A JP7300662 A JP 7300662A JP 30066295 A JP30066295 A JP 30066295A JP 3009351 B2 JP3009351 B2 JP 3009351B2
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和典 中野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性、機械特性
に優れ、成形時における滞留熱安定性が良好で、成形機
内における熱滞留による流れ性の変化がほとんどなく、
しかも、熱分解による腐食性ガスの発生がほとんどない
為、電気絶縁材料として適した難燃性ポリエステル系樹
脂組成物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレートなどに代表される熱可塑性ポリエス
テル系樹脂は、成形加工性、機械特性などの優れた諸特
性を利用して機械機構部品、電気部品及び自動車部品な
どに、エンジニアリングプラスチックとして近年広く用
いられている。一方これらの工業材料の中でも特に電気
及び電子部品の分野では火災に対する安全性の要求が高
まり、米国UL規格に代表される難燃化に関する各種規
制が強化されるにともない、多くの使用上の制限を受け
てきている。
【0003】この中でエポキシ系難燃剤を使用した難燃
ポリエステル樹脂は、コネクター、スイッチ、リレーな
どの電子部品の用途に使用されており、エポキシ系難燃
剤はオリゴマー型あるいはポリマー型の難燃剤とするこ
とにより樹脂との相溶性が良いため、難燃剤による悪影
響が少なく、また機械特性のバランスが良いなどの各種
長所を生かした使い方がなされている。
【0004】エポキシ系難燃剤は、エポキシ基の持つ優
れた反応性を生かして、樹脂の熱分解による強度低下の
保持などの機能で機械特性に優れ、また耐候性、耐加水
分解性、電気特性に優れた難燃性樹脂を提供している。
しかしながらこれと相反した欠点としては、エポキシ基
の影響で金属との付着性が生じるため、難燃樹脂のコン
パウンド時や成形時に熱やけを発生しやすく、樹脂の着
色を引き起こしたり、黒いやけ物の発生がみられるなど
の問題点が生じる場合が出ていた。また、樹脂との反応
が起こるために増粘が見られたり、熱滞留が長くなると
ゲル化の発生による機内のつまりが起こる場合もあり、
難燃樹脂の流れ性が一定しにくいなどの欠点が出るた
め、この解決が強く求められてきた。
【0005】臭素化エポキシ樹脂を用いる例は特公昭5
3−18068号公報などに示されている。しかし、両
末端がエポキシ基であるものが大部分で、しかも低分子
量であるため、成型加工時にポリエステル樹脂がシリン
ダー内で滞留した時には、加熱によりエポキシ基による
三次元架橋反応が起こりやすくなり、ゲル化しやすいた
め成型が困難となる問題点がしばしば見られた。
【0006】また、この問題点を改良する方法として、
特公昭60−26431号公報に示された末端封鎖型の
臭素化エポキシ樹脂を用いる例がある。しかし、末端封
止剤としてトリブロモフェノールを使用した難燃剤の場
合、樹脂とのコンパウンド時や成形時に250℃以上の
高温に曝されると熱解離が生じやすくなり、これによっ
て生じたトリブロモフェノールが不純物となって着色を
引き起こしたり、金形や成形機の腐食も起こりやすくな
る。また、樹脂からの腐食性ガスの発生原因ともなって
電子部品用途には使えない等の欠点があった。
【0007】また、エポキシ基によるゲル化の改良とし
て、特開昭59−149954号公報においては、高分
子量ハロゲン化ビスフェノールA型フェノキシ樹脂を使
用する例が挙げられている。この特許の場合には、エポ
キシ価とフェノール性酸価の合計の数値を10(KOHmg/
g) 以下に規定している。しかし、実際にはフェノール
性酸価が1以上に高い場合などは、高温での熱安定性が
悪く、成型時250℃以上の高温に曝されると、この残
存フェノール性水酸基の活性が高くなるため、熱による
難燃剤自身の劣化が、熱分解による腐食性ガス発生の大
きな原因ともなり、このものを電気絶縁材料として使用
した場合など接点不良などによるトラブル発生の可能性
があった。更にこの特許の場合、ゲル化をできるだけ抑
えるためエポキシ価の値を下げて、熱安定性をよくする
ため酸価を1以下にすると、かなりの高分子量の難燃剤
となり、ポリエステル系樹脂に添加した時の流れ性低下
が顕著に見られ、低分子量のものに比べかなり悪くなる
等の欠点を有していた。
【0008】また、従来のエポキシ、フェノキシ系難燃
剤の合成には、製造工程中に起こるエポキシ基と水との
開環反応で生じるような末端基を持つものの割合がほと
んどない(実際には1%以下の含有量)グリシジル化合
物原料が使われている。この様な原料を使った場合、末
端にエポキシ基かフェノール性水酸基を持つ2官能生成
物となるため、エポキシ価と酸価を下げて高分子量の難
燃剤としても、長時間の加熱により、やはりゲル化する
傾向はみられ、樹脂の流れ性に問題が残った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のような状況か
ら、樹脂の流れ性に悪影響を起こさないで、しかも熱安
定性の良好な比較的低分子量の難燃剤を用いて、ゲル化
の原因となる両末端エポキシ基の化合物が少なく、着色
の原因となるフェノール性水酸基をなくし、尚かつ熱安
定性を悪くするトリブロムフェノール等の末端変性物を
使っていないハロゲン化エポキシ樹脂が強く求められて
きた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ポリエステル系
樹脂100重量部に対して(a)一般式(I)
【0011】
【化1】(ただし、式中R1 及びR2 はグリシジル基又
【0012】
【化2】で示される基であり、R1 及びR2 のうち
【0013】
【化2】で示される基である割合が3〜30mol%、
nは0または自然数を示す。)で表されるグリシジルエ
ーテル化合物と(b)テトラブロムビスフェノールAと
を主成分とする付加反応生成物であり、この付加反応生
成物のフェノール性酸価が1.0(KOHmg/g)以
下、末端基が
【0014】
【化2】で示される基となる割合が50 mol%以上であ
る難燃剤を3〜50重量部、難燃助剤0.1〜20重量
部、強化充填剤0〜150重量部を配合することによ
り、臭素化エポキシ型難燃剤を添加したときと同様の優
れた特徴を保持しながら、更に成形時の滞留による、着
色、ゲル化の恐れがなく、熱安定性の良好な樹脂が得ら
れた。しかも、熱安定性が良いため電気特性に悪影響を
及ぼす腐食性ガスの発生が少ない事を見いだし本発明に
至った。
【0015】
【発明の細部構成と作用】本発明の難燃剤の製造方法と
しては、(a)一般式(I)
【0016】
【化1】(ただし、式中R1 及びR2 はグリシジル基又
【0017】
【化2】で示される基であり、R1 及びR2 のうち
【0018】
【化2】で示される基である割合が3〜30mol%、
nは0または自然数を示す。)で表されるグリシジルエ
ーテル化合物と(b)テトラブロムビスフェノールAと
を触媒の存在化で80〜250℃に加熱することにより
容易に得られるが、分子量の高いものを製造する場合に
は、高粘度用の反応釜が必要となる。特に、高分子量の
ものを製造する場合には、本発明者らが特開平1−18
5323号公報及び特開平1−240520号公報で開
示した製造方法を応用すればよく、この方法では、フェ
ノール性酸価が1(mgKOH/g)以下で、触媒の残
存量の極めて少ないものの製造が可能であり、本発明で
いう成形加工時の熱安定性が極めて良い難燃剤を得るこ
とができる。
【0019】すなわち、(a)一般式(I)のグリシジ
ルエーテル化合物と(b)テトラブロムビスフェノール
Aを、触媒存在下、溶媒中で加熱反応を行い、反応終了
後、反応液を生成物がほとんど溶解しない大量の溶媒中
に投入し生成物を析出させた後、乾燥させることにより
本発明の難燃剤を得る方法、もしくは、(a)一般式
(I)のグリシジルエーテル化合物と(b)テトラブロ
ムビスフェノールAを、触媒存在化、溶媒中で加熱反応
を行い、反応終了後、反応液をイオン交換樹脂で処理
し、触媒を除いた後、溶媒を除去乾燥することにより本
発明の難燃剤を得る方法である。
【0020】しかし、本発明の難燃剤の製造方法はこれ
らに限定されるものではなく、公知慣用な方法に従えば
よいことは無論である。更に、得られた難燃剤の末端基
【0021】
【化2】で示される基となっていることが重要であり、
この割合が50 mol%以下では、増粘及びゲル化に対す
る改良効果がほとんど見られず、70 mol%以上にする
ことが好ましい。
【0022】このようにして得られた難燃剤は、従来の
末端がエポキシ基またはフェノール性水酸基のみで構成
されたものとは異なり、特開昭59−149954号公
報に見られる化合物とも異なる。すなわち、エポキシ価
と酸価の和が10以下であっても本難燃剤の組成を構成
している化合物は、両末端に反応性のエポキシ基を持つ
二官能性の化合物と末端基の形状が異なるため、樹脂の
流れ性が良好でしかも、熱滞留時の増粘、ゲル化傾向の
ない全く別の特徴を有する難燃剤となる。
【0023】また、本難燃剤を製造するための重要な原
料である(a)一般式(I)
【0024】
【化1】(ただし、式中R1 及びR2 はグリシジル基又
【0025】
【化2】で示される基であり、R1 及びR2 のうち
【0026】
【化2】で示される基である割合が3〜30 mol%、n
は0または自然数を示す。)で表されるグリシジルエー
テル化合物は、テトラブロムビスフェノールAのジグリ
シジルエーテル化合物に溶媒と水を添加し、触媒の存在
化で加熱することにより容易に得ることが出来る。ま
た、テトラブロムビスフェノールAのジグリシジルエー
テルを製造する場合は、テロラブロムビスフェノールA
とエピクロルヒドリンより製造するが、この製造時にエ
ピクロルヒドリンの何割かをグリシドールに置き換えて
製造を行えば一般式(I)の化合物が容易に得られる。
この他にも、一般式(I)の化合物を得る方法はさまざ
まあり、今回紹介した方法に限られるものではなく、公
知の慣用な方法に従えばよいことは無論である。
【0027】さらに、この原料を使い難燃剤を合成する
場合、得られるグリシジルエーテル化合物(一般式
(I))中のR1 及びR2
【0028】
【化2】で示される基である割合(以下α−グリコール
率と略す)は3〜30 mol%で、好ましくは5〜20 m
ol%である。3 mol%以下では、ゲル化などに対する改
良効果がほとんど見られず、30 mol%以上では、両末
端がともにα−グリコールとなるものが多く生成し、ハ
ロゲン化ビスフェノールと反応せずに難燃剤中に多く残
るため、熱安定性がかなり悪くなる。さらに、低分子量
の難燃剤を合成する場合には、α−グリコール率を10
mol%以上にし、高分子量の難燃剤を合成する場合は、
10 mol%以下にすることが望ましい。
【0029】本発明でいうα−グリコール率は、化学分
析によりグリシジルエーテル化合物のα−グリコール当
量とエポキシ当量、加水分解性塩素、酸価などを求め、
末端基の状態を調べることにより下記計算式で求めるこ
とができる。
【0030】
【数1】 G:α−グリコール当量(g/eq) C:加水分解性塩素(%) E:エポキシ当量(g/eq) A:酸価(KOHmg/g) しかし、使用した原料にはフェノール性水酸基と加水分
解性塩素がほとんど含まれないために無視でき、実際に
は下記計算式で求められる。
【0031】
【数2】
【0032】本発明でいうα−グリコール当量は次の測
定を行うことにより求められる。グリシジルエーテル化
合物を精秤し、クロロホルム25mlを加え溶解する。
これに、0.01M過ヨウ素酸アンモニウムメタノール
溶液25mlをホールピペットにて加え、密栓をして、
常温で2時間放置する。放置後、冷水100mlを加え
て30秒間振り混ぜた後、2N−HSO5mlと2
5%KI10mlを加え、0.1N−Na
て滴定する。終点は淡黄色が完全に消える点とする。同
様にブランクテストを行い、下記の式によって算出す
る。
【0033】
【数3】 W:試料採取量(g) B:ブランクテストの滴定量(ml) A:試料の滴定量(ml) f:0.1N-Na2S2O3の力価
【0034】また、難燃剤のα−グリコール率について
はα−グリコール当量の分析が困難であったため、原料
より生じる末端基が、フェノール性水酸基、エポキシ
基、α−グリコール基かのいずれかであると仮定し、数
平均分子量及び酸価、エポキシ当量より下記の計算式で
求めた。
【0035】
【数4】 M:数平均分子量 E:エポキシ当量(g/eq) A:酸価(KOHmg/g)
【0036】本発明でいうフェノール性酸価の測定は、
難燃剤1gをジオキサン10mlに溶かし、これをフェノ
ールフタレインを指示薬として、1/10NKOHメタノー
ル溶液で滴定し、下記の式によって算出した。
【0037】
【数5】 A:滴定量(ml) f:力価 W:試料(g)
【0038】本発明でいうポリエステル系樹脂とは、芳
香族ジカルボン酸とジオールの重縮合により得られる線
状高分子量のポリエステルのことである。芳香族ジカル
ボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェ
ニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等とそのエ
ステル類が挙げられ、特にテレフタル酸が好ましい。
【0039】又、ジオールとしては、エチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられるが特
にエチレングリコール、テトラメチレングリコール等が
好ましい。
【0040】このような難燃剤のポリエステル系樹脂へ
の配合量としては、樹脂100重量部に対して3〜50
重量部であり、特に好ましくは10〜30重量部の範囲
である。この配合量が3重量部未満では充分な難燃性が
得られず、逆に50重量部を越えると樹脂組成物の物性
などの悪影響を及ぼすことになる。
【0041】難燃助剤としては、酸化アンチモン、酸化
モリブデン、酸化スズなどが挙げられるが、好ましくは
酸化アンチモン化合物で三酸化アンチモン、四酸化アン
チモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダなどが
挙げられる。
【0042】また、強化充填剤としては、公知のものが
そのまま利用できるが、代表的なものとしては、ガラス
繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、チタン酸
カリ繊維、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグ
ネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化鉄黒
鉛、カーボンブラック、雲母、アスベスト、セラミッ
ク、金属フレーク、ガラスビーズ、ガラスパウダーなど
が挙げられる。
【0043】本発明の組成物には、その目的を阻害しな
い範囲で他の熱可塑性樹脂を併用することができる。例
えば、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、
ポリスチレン、AS、ABS、ポリアセタール、ポリフ
ェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリ
ブタジエン、ポリオレフィンなどを目的に応じて任意の
割合で配合することが可能である。
【0044】本発明に係る樹脂組成物には、耐熱性、耐
候性、耐衝撃性を著しく損わない範囲で、他の公知の難
燃剤(窒素系化合物、リン化合物、ハロゲン系化合物な
ど)を配合しても良く、更に、他の各種の添加剤、例え
ば、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤、充填剤、滑剤、安
定剤などを添加してもよい。
【0045】
【発明の実施の形態】以下に合成例及び実施例を挙げて
本発明を具体的に説明するが、本発明は、その要旨をこ
えないかぎり、以下に示す合成例及び実施例に制約され
るものではない。
【0046】
【合成例1】臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(SR−TBA400、エポキシ当量395(阪本薬品
工業製))395g(0.5モル)とジオキサン240
0gを四つ口フラスコにとり、溶解した後、これに水4
00gを加えた。内温50℃で、10%の希流酸を20
g加え、1時間反応した。この反応溶液を水酸価ナトリ
ウム1.6gで中和した後、ロータリーエバポレーター
で濃縮し、得られた固形物をトルエン400gで溶解し
た。この溶液を水洗分液した後、ロータリーエバポレー
ターで再度濃縮し、微黄色透明の固形樹脂を得た。この
生成物は、エポキシ当量(以下WPEと略す)445、
α−グリコール当量9850、軟化点72℃、臭素含有
量48.4重量%であり、α−グリコール率4.3 mol
%、GPC分析の結果、平均重合度n=0.24であっ
た。
【0047】
【合成例2】テトラブロムビスフェノールA(以下TB
Aと略す)272g(0.5モル)とエピクロルヒドリ
ン(以下ECHと略す)270g(4.5モル)、グリ
シドール72g(0.5モル)、トリエチルベンジルア
ンモニウムクロライド1gを4つ口フラスコに仕込み1
00℃で2時間反応し、続いて、80℃で水酸価ナトリ
ウム35gを1時間かけて添加し、更に1時間同温度に
保った。生成したNaClを水洗分液によって除去し、
更に2次処理として80℃で水酸価ナトリウム10gを
添加し、1時間熟成した。脱塩後、ロータリーエバポレ
ーターにて未反応のECHとグリシドールを留去し、微
黄色透明の固形樹脂を得た。この生成物は、WPE37
1、α−グリコール当量3620、軟化点65℃、臭素
含有量48.4重量%であり、α−グリコール率9.3
mol%、平均重合度n=0であった。
【0048】
【合成例3】TBA272g(0.5モル)とECH2
70g(4モル)、グリシドール72g(1モル)、ト
リエチルベンジルアンモニウムクロライド1gを4つ口
フラスコに仕込み、合成例2と同じ方法で微黄色透明の
固形樹脂を得た。この生成物は、WPE418、α−グ
リコール当量1720、軟化点70℃、臭素含有量4
8.2重量%であり、α−グリコール率19.6 mol
%、平均重合度n=0であった。
【0049】
【合成例4】合成例1で得られた化合物890gとTB
A531g(0.976モル)、ジオキサン600gを
四つ口フラスコにとり、トリブチルアミン5gを添加し
たのち、窒素気流下、還流温度(約100℃)にて24
時間反応した。反応終了後、ジオキサン2000g、陽
イオン交換樹脂(アンバーリスト15(オルガノ製))
60ml、陰イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA−20
(三菱化成工業製))90mlを加え、50〜60℃で1
時間攪拌した。この溶液を濾過しイオン交換樹脂を除去
した後、濾液中の溶媒を真空乾燥装置で除去し、白色粉
末の生成物を得た。この生成物は、酸価0.2(mgKOH/
g) 、WPE29,100、軟化点211℃、平均重合
度n=22、臭素含有量52.2重量%、α−グリコー
ル率74 mol%であった。
【0050】
【合成例5】合成例1で得られた化合物890gとTB
A518g(0.952モル)、ジオキサン600gを
四つ口フラスコにとり、テトラメチルアンモニウムクロ
ライド5gを添加したのち、窒素気流下、還流温度(約
100℃)にて、24時間反応した。反応終了後、合成
例4と同様にし、白色粉末の生成物を得た。この生成物
は、酸価0.1(mgKOH/g) 、WPE13,900、軟化
点201℃、平均重合度n=18、臭素含有量52.1
重量%、α−グリコール率58 mol%であった。
【0051】
【合成例6】合成例2で得られた化合物742gとTB
A532g(0.978モル)をセパラブル四つ口フラ
スコにとり、トリブチルアミン0.6gを添加した後、
窒素気流下140〜180℃で8時間反応した。反応終
了後、冷却、粉砕して、淡黄色粉末の生成物を得た。こ
の生成物は、酸価0.2(mgKOH/g) 、WPE28,60
0、軟化点195℃、平均重合度n=16、臭素含有量
52.5重量%、α−グリコール率80 mol%であっ
た。
【0052】
【合成例7】合成例3で得られた化合物836gとTB
A519g(0.954モル)をセパラブル四つ口フラ
スコにとり、トリブチルアミン0.6gを添加した後、
窒素気流下140〜180℃で8時間反応した。反応終
了後、冷却、粉砕して、淡黄色粉末の生成物を得た。こ
の生成物は、酸価0.1(mgKOH/g) 、WPE14,60
0、軟化点182℃、平均重合度n=9、臭素含有量5
2.1重量%、α−グリコール率79 mol%であった。
【0053】次に、比較のため、今までの臭素化エポキ
シ系難燃剤で、重合度の低い難燃剤と高い難燃剤、トリ
ブロモフェノールで変性した難燃剤および酸価の高い難
燃剤の合成を、以下のとおり行った。
【0054】
【合成例8】臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(SR−TBA400、WPE395(阪本薬品工業
製))790g(1モル)とTBA394g(0.72
5モル)をセパラブル四つ口フラスコにとり、トリブチ
ルアミン0.6gを添加した後、窒素気流下140〜1
80℃で8時間反応した。反応終了後、冷却、粉砕し
て、淡黄色粉末の生成物を得た。この生成物は、酸価
0.3(mgKOH/g) 、WPE2,150、軟化点163
℃、平均重合度n=6、臭素含有量52.2重量%であ
った。
【0055】
【合成例9】臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(SR−TBA400、WPE395(阪本薬品工業
製))790g(1モル)とTBA526g(0.96
7モル)とジオキサン600gを四つ口フラスコにと
り、テトラメチルアンモニウムクロライド5gを添加し
た後、窒素気流下、還流温度(約100℃)にて24時
間反応した。反応終了後、合成例4と同様にし、白色粉
末の生成物を得た。この生成物は、酸価0.6(mgKOH/
g) 、WPE18,000、軟化点240℃、平均重合
度n=54、臭素含有量52.5重量%であった。
【0056】
【合成例10】臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(SR−TBA400、WPE395(阪本薬品工業
製))790g(1モル)とTBA374g(0.68
8モル)とトリブロムフェノール186g(0.561
モル)をセパラブル四つ口フラスコにとり、テトラメチ
ルアンモニウムクロライド0.5gを添加した後、窒素
気流下、120〜170℃で24時間反応した。反応終
了後、冷却、粉砕して、淡黄色粉末の生成物を得た。こ
の生成物は、酸価0.9(mgKOH/g) 、WPE21,20
0、軟化点158℃、平均重合度n=6、臭素含有量5
4.5重量%であった。
【0057】
【合成例11】臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(SR−TBA400、WPE395(阪本薬品工業
製))790g(1モル)と、TBA544g(1モ
ル)をセパラブル四つ口フラスコにとり、テトラメチル
アンモニウムクロライド0.5gを添加した後、窒素気
流下120〜200℃で12時間反応した。反応終了
後、冷却、粉砕して、淡黄色粉末の生成物を得た。この
生成物は、酸価3.5(mgKOH/g) 、WPE16,30
0、軟化点222℃、平均重合度n=23、臭素含有量
52.5重量%であった。
【0058】
【実施例1〜4、比較例1〜3】ガラス強化PBT樹脂
(1101G−30(東レ))、合成例4〜8及び1
0、11で得られた化合物、三酸価アンチモンを第1表
の割合で配合し、押出機にてペレタイズし、射出成型機
にてそれぞれUL−94燃焼試験、アイゾット衝撃試
験、引張試験、熱安定性、熱変形温度測定の各種試験片
を成型し、各試験を行った。その結果を第1表に示し
た。
【0059】
【実施例5〜6、比較例4〜5】ガラス強化PBT樹脂
(ジュラネックス3105(ポリプラスチックス))、
合成例4及び6、9、10で得られた化合物、三酸化ア
ンチモンを第2表の割合で配合し、押出機にてペレタイ
ズし、メルトインデクサーにより滞留流れ性試験を行っ
た。その結果を第2表に示した。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】〔各試験方法〕引張強度試験はJIS K
7113、アイゾット衝撃試験はJIS K7110
(Vノッチつき、1/8")、熱変形温度測定はJIS K
7207(18.6kg/cm2 )、メルトインデックス
(以下M.I.と略す)はJIS K7210、燃焼性
試験はUL−94(1/16" )に準じて行った。
【0063】メルトインデックスについては、ゲル化を
見るためメルトインデクサーのシリンダー内で滞留(2
50℃−1時間、280℃−30分)させたものと滞留
させないものをJIS K7210に準じて測定した。
【0064】熱安定性については、試験片を200℃の
乾燥機内に30分間放置後の着色を観測し、〇△×の3
段階評価で表した。
【0065】腐食性については、難燃剤を練り込んだP
BT樹脂のペレットと共に銀片をシャーレに入れ、これ
を180℃で15時間加熱した後の銀片の状態を観察
し、○△×の3段階評価で表わした。
【0066】
【発明の効果】以上、本発明による難燃剤をポリエステ
ル系樹脂に使用することにより、臭素化エポキシ型難燃
剤を添加したときと同様の優れた特徴を保持しつつ、更
に成形時の滞留による、着色、ゲル化の恐れがなく、成
形加工時の熱分解による成形品の着色や気泡混入を防
ぎ、樹脂の耐衝撃性、耐熱性などの機械特性を低下させ
ず、高い難燃性を備えた難燃性可塑性樹脂を提供し、尚
かつ電気特性に悪影響を及ぼす腐食性ガスの発生が少な
い成形品を提供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 63:02 71:10) (72)発明者 田村 克之 大阪府泉大津市臨海町1丁目20番地 阪 本薬品工業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00 C08K 5/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル樹脂100重量部に対し、(a) 一般式(I) 【化1】 (ただし、式中R及びRはグリシジル基又は 【化2】 で示される基であり、R及びRのうち 【化2】で示される基である割合が3〜30mol%、
    nは0または自然数を示す。)で表されるグリシジルエ
    ーテル化合物と(b)テトラブロムビスフェノールAと
    を主成分とする付加反応生成物であり、この付加反応生
    成物のフェノール性酸価が1.0(KOHmg/g)以
    下、末端基が 【化2】で示される基となる割合が50mol%以上で
    ある難燃剤を3〜50重量部、 難燃助剤0.1〜20重量部、 強化充填剤0〜150重量部を配合してなる難燃性ポリ
    エステル系樹脂組成物。
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