JP3008828B2 - スリットにおける対向面間の距離測定方法及び測定装置 - Google Patents

スリットにおける対向面間の距離測定方法及び測定装置

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JP3008828B2
JP3008828B2 JP7267296A JP26729695A JP3008828B2 JP 3008828 B2 JP3008828 B2 JP 3008828B2 JP 7267296 A JP7267296 A JP 7267296A JP 26729695 A JP26729695 A JP 26729695A JP 3008828 B2 JP3008828 B2 JP 3008828B2
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株式会社新潟鉄工所
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築材料などのア
ルミ型材を成形させる押出成形用の金型など微小なスリ
ットを有した金型を被測定物として、この被測定物の形
状を測定する計測装置に具備され前記スリットにおける
対向面間の距離測定方法及び測定装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、建築材料などのアルミ型材、例
えばサッシ枠などは、押出成形加工にて得られる。この
押出成形加工は、金型を用いるが、この金型は成型品で
あるサッシ枠などの断面形状であることから、スリット
状に形成されており、このスリットの善し悪しで成型品
の良・不良が決定される。そのため、この金型のスリッ
ト形状は精密に加工されることが前提となっており、金
型の使用前には、そのスリット形状などの精密な測定が
行われる。
【0003】従来、上記金型のような三次元被測定物
は、測定者がノギスやマイクロメータなどの測定器具を
用いて計測を行っていたが、このようなノギスやマイク
ロメータなどは、計測面に対して面接触であり、計測範
囲が限定されてしまうことから、正確な計測結果を得ら
れず、また、測定者毎に測定誤差量が変わったり、熟練
度が必要であったりと、自動化が望まれていた。
【0004】そこで、例えば、上下,左右,前後に接触
プローブ若しくは被測定物を移動させる接触式計測機器
を用いて、その外形状を計測する方法や、CCDカメラ
などの画像処理機器や、光センサなどの非接触式による
計測方法など、種々の計測方法及び計測装置が案出され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の計測装置では、前者の接触プローブを用いる装
置によれば、この接触プローブは、先端の接触子が、プ
ローブ本体に対して何れの方向にも揺動自在なものが採
用されるが、どの方向にも接触可能とされその接触時に
加わる衝撃に耐えられる大きさとされることから、先端
部の剛性を保つために直径の太いものとなるとともに、
被測定物に直接接触する接触子の大きさも十分なものに
設定される。このことから、前述したような押出成型に
用いられる金型のスリットに対して、接触子が挿入でき
ず、このスリット内の対向面間の距離やその形状を計測
することが不可能となる欠点を有する。
【0006】また、後者の画像処理機器などの非接触式
による場合では、画像処理機器の解像度で精度が決定さ
れるが、装置自体が、高コストとなってしまい、かつ被
測定物の表面形状の計測、特にその形状の角(エッジ)
部分のみであることから、スリット内における対向する
面間の距離やその形状を計測することが不可能であると
いう欠点がある。
【0007】そこで本発明は、上記問題点を解消するた
めに、被測定物に形成される微小な隙間であるスリット
内の対向する面間の距離を正確に計測することを可能と
するスリットにおける対向面間の距離測定方法及び測定
装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】次に、上記の目的を達成
するための手段を、実施例に対応する図面を参照して説
明する。この発明のスリットSにおける対向面間の距離
測定方法は、対向する垂直な2面WVa,WVbを有す
るスリットSが形成された被測定物Wを基台2上のワー
クテーブル11に固定し、該ワークテーブル11に対し
て水平方向及び上下方向に移動自在なヘッド21にて、
該ヘッド21に垂下方向に延出されて一方向にのみ揺動
自在とされて配設される細径な針状とされるフィーラ2
7先端の接触子30が前記揺動方向の一方向のみに凸球
面形状の接触面29を備えたプローブ26を、前記スリ
ットS内に挿入し、該挿入位置を対向面間距離測定の原
点とし、次に、該スリットSにおける一方の垂直面WV
aへ前記プローブ26を水平移動させ、該プローブ26
が接触した前記垂直面WVaの位置における縦,横,高
さの三次元座標を計測し、次に、前記プローブ26を前
記水平移動方向とは逆の方向に移動させ前記原点位置に
戻し、該原点位置にて前記プローブを180°反転さ
せ、該スリットSにおける他方の垂直面WVbへ前記プ
ローブ26を水平移動させ、該プローブ26が接触した
前記垂直面WVbの位置における縦,横,高さの三次元
座標を計測し、前記各垂直面WVa,WVbの各三次元
座標にて、前記スリットSにおける前記一方の垂直面W
Vaと前記他方の垂直面WVbとの2面間の距離を算出
することを特徴としている。
【0009】また、この発明のスリットにおける対向面
間の距離測定方法は、対向する垂直な2面WVaWVb
を有するスリットSが形成された被測定物Wを基台2上
のワークテーブル11に固定し、該ワークテーブル11
に対して水平方向及び上下方向に移動自在なヘッド21
にて、該ヘッド21に垂下方向に延出されて一方向にの
み揺動自在とされて配設される細径な針状とされるフィ
ーラ27先端の接触子30が前記揺動方向の一方のみに
凸球面形状の接触面29を備えたプローブ26を、前記
スリットS内に挿入し、該挿入位置を対向面間距離測定
の原点とし、次に、該スリットSにおける一方の垂直面
WVaへ前記プローブ26を水平移動させ、該プローブ
26が接触した前記垂直面WVaの位置における縦,
横,高さの三次元座標を計測し、次に、前記プローブ2
6を前記水平移動方向とは逆の方向に移動させ前記原点
位置に戻し、該原点位置にて前記プローブを上昇させ、
該プローブ26を180°反転させて、再び前記スリッ
トS内にプローブ26を挿入した後、該スリットSにお
ける他方の垂直面WVbへ前記プローブ26を水平移動
させ、該プローブ26が接触した前記垂直面WVbの位
置における縦,横,高さの三次元座標を計測し、前記各
垂直面WVa,WVbの各三次元座標にて、前記スリッ
トSにおける前記一方の垂直面WVaと前記他方の垂直
面WVbとの2面間の距離を算出することを特徴として
いる。
【0010】また、この発明のスリットにおける対向面
間の距離測定装置は、対向する垂直な2面WVa,WV
bを有するスリットSが形成された被測定物Wを保持す
る基台2上のワークテーブル11と、該ワークテーブル
11に対して水平方向及び上下方向に移動自在なヘッド
21と、該ヘッド21に垂下状に延出して配設されると
ともに、該ヘッド21に対して180°水平回動自在と
され、一方向にのみ揺動自在とされる細径な針状のフィ
ーラ27を備え、該フィーラ27先端の接触子30にお
ける接触面29が、前記揺動方向の一方にのみ凸球面状
に形成されて、前記ワークテーブル11上の被測定物W
のスリットSに挿入され、該スリットSにおける対向す
る両垂直面WVa,WVbの縦,横,高さの三次元座標
をそれぞれ計測するプローブ26と、を具備することを
特徴としている。
【0011】
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本発明によるスリットにお
ける対向面間の距離測定装置を具備する三次元測定装置
の一実施の形態を示す概略斜視図、図2は三次元測定装
置のY軸テーブルの側断面図、図3は三次元測定装置の
X軸テーブル及びヘッドの正面図、図4は同センサ部の
正面図である。
【0013】はじめに本発明のスリットにおける対向面
間の距離測定装置を具備する三次元測定装置1の構成に
ついて説明する。この三次元測定装置1は、図1に示す
ように、基台2と、Y軸テーブル9と、X軸テーブル1
6と、ヘッド21と、センサ部25とで大略構成されて
いる。
【0014】まず、基台2は、床面からの振動が伝達さ
れないように、防振台3上に設置されている。この基台
2の上面には、図1に示すように、ベッド2Aが固定さ
れており、このベッド2A上面に、図2に示すように、
互いに平行な一対の真直なガイドレール4と、各ガイド
レール4と平行に軸受5を介して配設されるボールネジ
6とが配設されている。
【0015】各ガイドレール4には、摺動自在なガイド
スライダ7がそれぞれ設けられており、また、ボールネ
ジ6にはナット8が螺着されている。そして、各ガイド
スライダ7と、ナット8との上部にY軸テーブル9が渡
設されるように配設され、ボールネジ6に連結されてい
る回転駆動用のモータ10によって、Y軸テーブル9が
基台2に対して水平な前後方向(図中Y軸方向)に移動
自在とされている。
【0016】また、Y軸テーブル9の上面にはワークテ
ーブル11が設けられている。このワークテーブル11
は、上面が平滑に仕上げられており、この測定装置1に
て測定される被測定物Wが載置されるようになってい
る。なお、このY軸テーブル9の移動方向両端部側は、
防塵用の蛇腹12にて被覆されている。
【0017】次に、基台2上のベッド2A上には、図1
に示すように、前記Y軸テーブル9上方を、このY軸テ
ーブル9の移動方向と直交する方向に渡るように門型ブ
リッジ13が垂直に立設固定されている。
【0018】この門型ブリッジ13には、上部の水平部
の正面側に、図3に示すように、上記Y軸テーブル9と
同構成の、互いに平行な一対の真直なガイドレール14
と、各ガイドレール14と平行に配設されるボールネジ
15が、それぞれが水平となって、かつ前記Y軸テーブ
ル9の移動方向に対して直交するように設けられてい
る。
【0019】そして、各ガイドレール14に摺動自在に
設けられているガイドスライダ(図示せず)、及びボー
ルネジ15に螺着されているナット(図示せず)を介し
て、X軸テーブル16が板面を垂直とされて設けられ、
すなわちこのX軸テーブル16が、ボールネジ15に連
結されている回転駆動用のモータ17によって、ベッド
2Aに対して水平な左右方向(図中X軸方向)に移動自
在となっている。
【0020】また、この移動自在なX軸テーブル16の
垂直な正面側の板面には、図3に示すように、上記Y軸
テーブル9及びX軸テーブル16と同構成の、互いに平
行な一対の真直なガイドレール18と、各ガイドレール
18と平行に配設されるボールネジ19が、前記Y軸テ
ーブル9及びX軸テーブル16の各移動方向に対して互
いに直交するように、X軸テーブル16板面に垂直とな
って設けられている。
【0021】そして、各ガイドレール18に摺動自在に
設けられているガイドスライダ(図示せず)、及びボー
ルネジ19に螺着されているナット(図示せず)を介し
てヘッド21を構成する基板20が板面を垂直とされて
設けられ、すなわちこの基板20が、ボールネジ19に
連結されている回転駆動用のモータ22によって、基板
20に対して垂直な上下方向(図中Z軸方向)に移動自
在となっている。
【0022】なお、X軸テーブル16及びヘッド基板2
0の移動軌跡上には、防塵用の蛇腹23,24がそれぞ
れ設けられている。
【0023】この基板20には、図1及び図4に示すよ
うに、直方形状のヘッド21が設けられており、底部2
1aにセンサ部25が延出するように配設されている。
【0024】このセンサ部25には、垂直面用プローブ
26が具備される本発明のスリットにおける対向面間の
距離測定装置50と、水平面用プローブ31とで構成さ
れており、それぞれが図4に示すように並列して、ヘッ
ド21の底部21aに垂下状となって設けられている。
【0025】まず、距離測定装置50は、回動機構部5
1と、垂直面用プローブ26とで構成されている。
【0026】回動機構部51は、図5に示すように、ヘ
ッド基板20に固設され、ハウジング52と、駆動源5
7と、スピンドル60と、検出部63とで大略構成され
ている。
【0027】ハウジング52は、垂直な基板20の表面
に突設されており、垂直方向に貫通する取付穴53が形
成されている。この取付穴53には、上下の各開口部分
に、ベアリング54,54がそれぞれ配設されるととも
に、各ベアリング54,54間に筒状のカラー55が嵌
入されている。
【0028】また、このハウジング52の垂直上方に位
置して、ブラケット56を介して駆動源57が基板20
に固設されている。この駆動源57は、例えばACサー
ボモータなどよりなり、その出力軸58の回動角度を所
望の角度、本実施の形態では、90°毎に回動停止が行
われるように制御されるようになっている。
【0029】そして、この駆動源57の出力軸58は、
鉛直方向に延出しており、カップリング59を介して、
スピンドル60の基端60aと接続されるようになって
いる。
【0030】このスピンドル60は、細径な筒状に形成
されており、前記ハウジング52の上下のベアリング5
4,54を介して垂直に設けられるとともに、このハウ
ジング52に対して回動自在に取り付けられている。
【0031】このスピンドル60の基端60aは、フラ
ンジ部61aを有する筒状カラー61が連結固定されて
おり、この筒状カラー61が前記駆動源57に連結され
るカップリング59に連結されるようになっている。
【0032】この筒状カラー61は、側面に貫通するガ
イド孔62が穿設されており、後述する垂直面用プロー
ブのケーブルが挿通されるようになっているとともに、
フランジ部の外周面には、凸部61bが設けられ、前記
駆動源を支えるブラケット56の下面に突設される規制
片56aに当接するようになっている。また、この筒状
カラー61には、検出部63を構成する回転板64が設
けられている。
【0033】検出部63は、基板20又はハウジング5
2に基端を固定され延設される支持ブラケット65の先
端に検知センサ66が配設されており、この検知センサ
66によって、フランジ部61aに設けられた回転板6
4の回動位置を検出するようになっている。
【0034】具体的に本実施の形態では、この検出部6
3は、図6に示すように、支持ブラケット65の先端部
65aが弓形に湾曲形成され水平に延出されており、こ
の先端部65aに、透過型の投受光一体型フォトセンサ
よりなる検知センサ66が前記スピンドル60の回転中
心に対して90°の範囲内に、それぞれが中心方向を向
くように3個配設され、それぞれ原点検知センサLS
1,オーバーラン検知センサLS2,LS3とされてい
る。また、回転板64は、円板状に形成され、外周の一
部に切欠部64aが形成されている。
【0035】また、スピンドル60の下方向となってい
る先端60bは、ハウジング52の下端より鉛直方向に
延出しており、その先端60bにクランプナット67が
螺着され、レセプタクル68が着脱自在に取り付けられ
ている。
【0036】このレセプタクル68には、ケーブル40
が接続されており、このケーブル40はスピンドル60
内を挿通されて、このスピンドル基端60aの筒状カラ
ー61のガイド孔62より外方に延出されるようになっ
ている。また、このレセプタクル68には、底面にホル
ダ69が取り付けられており、このホルダ69を介して
垂直面用プローブ26が垂下状に延出するように取り付
けられている。
【0037】次に、垂直面用プローブ26は、基部とな
る本体部28が前記ホルダ69に固定され、この本体部
28の下向きの先端28aに支軸42を介して取付部4
3が揺動自在に設けられ、この取付部43にフィーラ2
7の基端27aが取り付けられている。
【0038】すなわち、本体部28に対して垂下方向に
延出するフィーラ27の先端側が、支軸42にて揺動自
在とされ、このプローブ26は、この揺動により変化す
る静電容量を周波数変調方式にてアナログ信号で出力す
るレバー式のプローブよりなり、このフィーラ27の揺
動角度の変化を検出して被測定物Wの形状を計測するも
ので、本実施の形態の場合では、軸支部分に対してフィ
ーラ27先端側がやや傾斜するように、軸支部分が弾性
部材などにて付勢されて、この弾性部材の付勢力にてフ
ィーラ27の接触面29が、測定対象の面に当接するよ
うになっている。
【0039】また、このフィーラ27は、先端部27b
が、細径な針状の超硬ロッドよりなるとともに、最先端
に接触子30が設けられている。
【0040】この接触子30は、図7(a)(b)に示
すように、球体に、互いに隣り合う垂直な三面を切り欠
き(図7(a)中C及び(b)中C)形成し、平断面形
状が略かまぼこ状に形成され、すなわち、被測定物Wの
測定面に接触する側方を向いた接触面29のみが凸曲面
形状とされた形状となっている。
【0041】そして、この垂直面用プローブ26は、図
4に示すように、上方となる基端側の回動機構部51に
よって、フィーラ先端27bの凸球面形状の接触面29
が、所望の方向を向くように制御できるようになってい
る。
【0042】なお、この垂直面用プローブ26のフィー
ラ27の揺動方向は、支軸42による一方向のみとさ
れ、また、フィーラ27先端の接触面29の方向が揺動
方向の一方にのみと設定されている。
【0043】次に、水平面用プローブ31は、図4に示
すように、垂直面用プローブ26と並列してヘッド21
に設けられている。
【0044】この水平面用プローブ31は、プローブ本
体32が固定具(図示せず)を介して真直なスライドレ
ール34に固定されるとともに、ヘッド21の基板20
に配設されるガイドブロック35に摺動自在に設けられ
ており、その摺動方向はヘッド21の移動方向と平行な
同方向、すなわち垂直な上下方向とされて、このヘッド
21の底部21aに対してプローブ31が上下に進退自
在となるように設けられている。
【0045】そして、図4に示すように、スライドレー
ル34の上部には、水平方向に突出するブラケット36
が設けられ、ヘッド21の側部に形成されている上下に
長尺なガイドスリット(図示せず)を介して締結ネジ3
7が螺着されており、この水平面用プローブ31のヘッ
ド21に対する上下位置を固定できるようになってい
る。
【0046】また、この水平面用プローブ31の先端3
1aの接触子38は、底面となる先端面39が球面状に
形成されるとともに、この接触子38がプローブ本体3
2に対して長手方向に所定範囲内を進退自在とされ、こ
の進退により変化する静電容量を周波数変調方式にてア
ナログ信号で出力するプランジャ式のプローブより構成
されており、この接触子38の所定範囲内の進退距離
(変位)を検出し計測するものである。
【0047】なお、垂直面用及び水平面用の各プローブ
26,31は、基端よりケーブル40を介して図示しな
い制御部に接続され、各検出値の数値やこの数値を元に
表される変位図形などが、ディスプレイにて表示される
ようになっている。
【0048】また、図示はしないが、前述したY軸テー
ブル9,X軸テーブル16,ヘッド21の各部には、駆
動源であるモータ10,17,22に配設されるロータ
リエンコーダなどの回転位置センサが配設され、各位置
座標に変換でき、縦,横,高さの三次元座標が計測され
るようになっているとともに、各部9,16,21を駆
動制御するための制御部および、これら駆動を外部より
指示する操作卓K(図1参照)、計測された三次元座標
及び各プローブ26,31によって得られる各計測値を
記憶するコンピュータ装置などが接続される。
【0049】次に、上述した構成の三次元測定装置1に
よる被測定物Wの測定方法におけるこの被測定物Wのス
リットSの対向する垂直面間の距離の測定手順について
説明する。
【0050】なお、この測定装置1による測定対象とし
ての被測定物Wは、従来の技術でも述べた、建築材料な
どのアルミ型材を成形させる図8(a)に示すような押
出成形用の金型Wで、図8(b)に示すように水平面W
Hと、この水平面WHに対して直角をなす垂直面WVで
構成される口金となるスリットSとを具備した形状とさ
れている。
【0051】そして、被測定物である金型Wを、この測
定装置1のワークテーブル11上に載置する。なお、本
実施の形態では、測定対象である金型WのスリットS
は、ベッド2Aに対するY軸方向を長手方向とし、X軸
方向を幅方向とされて、Y軸テーブル9上に固定され
る。
【0052】また、Y軸テーブル9の移動方向である前
後方向をY軸方向、X軸テーブル16の移動方向である
左右方向をX軸方向、ヘッド21の移動方向である上下
方向をZ軸方向とし、Y軸方向における前方向を+Y方
向,後方向を−Y方向、X軸方向における左方向を+X
方向,右方向を−X方向、Z軸方向における上方向を+
Z方向,下方向を−Z方向、として説明を行う(図1,
図2,図3参照)。
【0053】まず、距離測定装置50の回動機構部51
における駆動源57を駆動させ、スピンドル60を回動
させて、垂直面用プローブ26の向きの原点調整を行
う。これは、まず、スピンドル60とともに回転板64
を時計回り方向(図6中R1方向)に回動を行い、回転
板64の切欠部64aを原点検知センサLS1が検知を
行うことで、この回動角度の位置を原点とさせる。
【0054】このとき、切欠部64aの位置が原点検知
センサLS1とオーバーラン検知センサLS2との間に
ある場合は、この切欠部64aをオーバーラン検知セン
サLS2が検知することとなるので、この検知信号をう
けた制御部は駆動源57を逆転させ、回転板64を反時
計回り方向(図6中R2方向)に回動させて、原点の検
知を行う。
【0055】そして、原点の位置を回動角度0°として
記憶する。なお、この回動角度0°の位置は、この垂直
面用プローブ26の接触子30における接触面29が+
Xの方向を向いた状態となる。
【0056】次に、モータ10,17による駆動で、Y
軸テーブル9及びX軸テーブル16をそれぞれ移動さ
せ、垂直面用プローブ26を金型WのスリットSの上方
に位置させるとともに、ヘッド21をモータ22による
駆動にて下(−Z)方向に移動させ、垂直面用プローブ
26の接触子30をスリットS内に挿入する。このと
き、接触子30の高さ位置は金型Wの水平面WHよりや
や下となる互いに対向する垂直面WVの略中間とさせ
る。
【0057】また、このときの垂直面用プローブ26の
三次元位置(座標)(図9中B点)を、対向面間距離測
定の原点として記憶する。なお、この垂直面用プローブ
26の、本体28に対するフィーラ27は、やや傾斜し
ており、このフィーラ27が垂直に変位する状態を検知
状態とされることから、接触子30の三次元的位置は記
憶される三次元座標と、その変位量δ(図9参照)が存
在することとなる。
【0058】次に、垂直面用プローブ26の接触子30
を金型Wの一方の垂直面WVaに当接状態となるように
X軸テーブル16を+X方向に移動させ、垂直面用プロ
ーブ26の接触子30を、金型Wの垂直面WVaに当接
させるとともに、このフィーラ27が略垂直となりプロ
ーブ本体28と略真直となる位置、すなわち変位量δの
長さを0とするまでX軸方向に移動させ、プローブのレ
ンジ表示(図示せず)が略0を指し示す位置にて停止さ
せる。
【0059】このときのフィーラ27は、基部27aの
軸支部分を中心として、垂直面WV方向に押圧付勢され
た状態となっている。また、このときの停止した位置
(図9中A点)の三次元座標値を計測し記憶されるとと
もに、このX軸テーブル16の+X方向の移動距離L1
(図9参照)が記憶される。
【0060】次に、X軸テーブル16が逆方向の−X方
向に移動し、垂直面用プローブ26の初期位置である前
記対向面間距離測定の原点位置(図9中B点)に戻り、
この位置で停止する。
【0061】次に、垂直面用プローブ26の基端に配設
されている回動機構部51の駆動源57の駆動により、
反時計回り(図6中R2方向)に180°水平回動が行
われ、接触子30の接触面29を逆方向、すなわち本実
施の形態ではこの接触面29を−X方向に向ける。
【0062】このとき、このプローブ26のフィーラ2
7は前述したように本体28に対して傾斜している(変
位量δ)ことから、接触子30はこの回転で図9中C点
に移動する。
【0063】次に、垂直面用プローブ26の接触子30
を金型Wの前記一方の垂直面WVaと対向する他方の垂
直面WVbに当接状態となるようにX軸テーブル16を
−X方向に移動させる。
【0064】次に、X軸テーブル16が移動し、垂直面
用プローブ26の接触子30を、金型Wの他方の垂直面
WVbに当接させるとともに、このフィーラ27が略垂
直となりプローブ本体28と略真直となる位置まで、す
なわち変位量δを0とするまで−X方向に移動させ、レ
ンジ表示(図示せず)が0を指し示す位置にて停止させ
る。
【0065】このときのフィーラ27は、基部の軸支部
分を中心として、垂直面WVb方向に押圧付勢された状
態となっている。また、このときの停止した位置(図9
中D点)の三次元座標値を計測し記憶されるとともに、
このX軸テーブル16の−X方向の原点からの移動距離
L2(図9参照)が記憶され、計測が終了となる。
【0066】計測後は、X軸テーブル16が+X方向に
移動を行い、垂直面用プローブ26を金型Wの垂直面W
Vから離脱させ、また、ヘッド21が上昇移動してスリ
ットS内から上昇させる。
【0067】次に、前述した手順により得られた各三次
元座標値などの計測値により金型WのスリットSにおけ
る対向した垂直な2面の間隔距離を算出する。
【0068】すなわち、対向面間距離測定の原点からの
プローブの各方向(+X,−X)の移動距離L1 ,L2
を加算するとともに、接触子30の半径rが各方向に垂
直なフィーラ27の中心線からあることから、このrを
各方向分加算する。ここで、垂直面用プローブ26の接
触子30の変位量δは、接触子30が原点の位置で図9
に示すように現れているが、この接触子30が垂直面W
Va,WVbに接触し実際に計測が行われる際にフィー
ラ27が垂直となったときの位置が計測されるので、こ
の変位量δは移動距離L1,L2に含まれることとな
る。
【0069】つまり、スリットSにおける対向する垂直
面WVa,WVb間の間隔の距離RLは、RL=L1+
L2+2(r)により得られることとなる。
【0070】従ってこのように構成されたスリットにお
ける対向面間の距離測定方法及び測定装置では、被測定
物としての金型Wに形成されている微小な隙間であるス
リットSの対向する垂直な面WVa,WVbの間隔の距
離を、一方向のみに揺動しその揺動方向の一方のみに接
触面29を有する構成のプローブ26を用い、このプロ
ーブ26を180°回動させて、計測方向を変えること
で行うので、このプローブ26の構造が簡素で細径なも
のとすることが可能となり、すなわち、このプローブの
計測面への接触方向が一方向のみであることから、剛性
の大きい構成としなくてよく、これによりスリットS内
に、プローブを挿入でき、確実にこのスリット内の対向
面間の距離が計測可能となる。
【0071】また、スリットS内にプローブ26のフィ
ーラ27が挿入可能とされて、このスリットS内の対向
するある一点における間隔距離を計測可能としているの
で、従来のような面接触による計測とは異なり、計測対
象の確実な間隔距離を測定できる。
【0072】さらに、単一のプローブにて、かつそのプ
ローブを同方向に作動させることで計測が行われるの
で、測定誤差が微小なものとなり、その測定結果に信頼
性を得ることとなり、すなわち正確な値を得ることが可
能となる。
【0073】なお、上述した実施の形態では、被測定物
WのスリットS内にてプローブ26の180°回動を行
い、対向する両面の距離を測定する例について述べた
が、このスリットS内で180°回動を行うことが不可
能な場合、例えば、対向する垂直面間の距離が小さく狭
い間隔である場合には、一方の垂直面WVaを計測した
のち、プローブ26を上昇させ、スリットSの上方にて
180°回動を行い、再びこのスリットS内にプローブ
26を挿入して他方の垂直面WVbを計測するように行
ってもよい。
【0074】また、上述した実施の形態では、スリット
S内の対向垂直面がX方向とされている例について述べ
たが、Y方向とされる場合は、回動機構部51の駆動源
57を、上述した回動角度0°の位置から90°と27
0°の位置でプローブ26を回動させ、計測を行うこと
とすればよい。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように本発明によるスリッ
トにおける対向面間の距離測定方法及び測定装置では、
被測定物に形成されている微小な隙間であるスリットの
対向する垂直な面の間隔の距離を、プローブ本体に対し
て一方向のみに揺動しその揺動方向の一方のみに凸球面
形状の接触面を有するフィーラを具備したプローブを用
い、このプローブを180°回動させて、計測方向を変
えることで行うとともに、この計測方向の変更時には、
前記スリットに対して挿入された位置を原点として、こ
の原点位置に戻してプローブの回動を行うので、このプ
ローブの構造が簡素で細径なものとすることが可能とな
り、すなわち、このプローブの計測面への接触方向が一
方向のみであることから、剛性の大きい構成とせず針状
に形成できるので、これにより微小な隙間のスリット内
へのフィーラの挿入が可能となり、確実にこのスリット
内の対向面間の距離を計測できるという効果がある。
【0076】また、スリット内にプローブフィーラが挿
入可能とされて、このスリット内の対向するある一点に
おける間隔距離を計測可能としているので、計測対象の
確実な間隔距離を測定することができるという効果があ
る。
【0077】さらに、単一のプローブにて、かつそのプ
ローブを同方向となる一方向のみの揺動方向に作動させ
ることで計測が行われるので、測定誤差が微小なものと
なり、その測定結果に信頼性を得ることとなり、すなわ
ち正確な値の距離を得ることが可能となるという効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるスリットにおける対向面間の距離
測定装置を具備する三次元測定装置の一実施の形態を示
す概略斜視図
【図2】同三次元測定装置のY軸テーブルの側断面図
【図3】同三次元測定装置のX軸テーブル及びヘッド部
の正面図
【図4】本発明によるスリットにおける対向面間の距離
測定装置の正面図
【図5】図4におけるV−V線断面図
【図6】図5におけるVI−VI線矢視図
【図7】(a)同実施の形態による垂直面用プローブの
先端形状を示す側面図 (b)同正面図
【図8】(a)被測定物(金型)の概略斜視図 (b)同側断面図
【図9】本発明によるスリットにおける対向面間の距離
測定方法の手順を示す概略側断面図
【符号の説明】
2…基台 11…ワークテーブル 21…ヘッド 26…垂直面用プローブ 27…フィーラ 28…検出プローブ本体 29…接触面 30接触子 S…スリット W…被測定物(金型) WVa…一方の垂直面 WVb…他方の垂直面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩切 利彦 東京都大田区蒲田本町1−9−3 株式 会社新潟鉄工所 エンジニアリングセン ター内 (56)参考文献 特開 昭51−107155(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 21/00 - 21/32 G01B 7/00 - 7/34

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する垂直な2面を有するスリットが
    形成された被測定物を基台上のワークテーブルに固定
    し、 該ワークテーブルに対して水平方向及び上下方向に移動
    自在なヘッドにて、該ヘッドに垂下方向に延出されて一
    方向にのみ揺動自在とされて配設される細径な針状とさ
    れるフィーラ先端の接触子が前記揺動方向の一方のみに
    凸球面形状の接触面を備えたプローブを、前記スリット
    内に挿入し、該挿入位置を対向面間距離測定の原点と
    し、 次に、 該スリットにおける一方の垂直面へ前記プローブ
    を水平移動させ、該プローブが接触した前記垂直面の位
    置における縦,横,高さの三次元座標を計測し、 次に、前記プローブを前記水平移動方向とは逆の方向に
    移動させ前記原点位置に戻し、該原点位置にて前記プロ
    ーブを180°反転させ、該スリットにおける他方の垂
    直面へ前記プローブを水平移動させ、該プローブが接触
    した前記垂直面の位置における縦,横,高さの三次元座
    標を計測し、 前記各垂直面の各三次元座標にて、前記スリットにおけ
    る前記一方の垂直面と前記他方の垂直面との2面間の距
    離を算出することを特徴とするスリットにおける対向面
    間の距離測定方法。
  2. 【請求項2】 対向する垂直な2面を有するスリットが
    形成された被測定物を基台上のワークテーブルに固定
    し、 該ワークテーブルに対して水平方向及び上下方向に移動
    自在なヘッドにて、該ヘッドに垂下方向に延出されて一
    方向にのみ揺動自在とされて配設される細径な針状とさ
    れるフィーラ先端の接触子が前記揺動方向の一方のみに
    凸球面形状の接触面を備えたプローブを、前記スリット
    内に挿入し、該挿入位置を対向面間距離測定の原点と
    し、 次に、 該スリットにおける一方の垂直面へ前記プローブ
    を水平移動させ、該プローブが接触した前記垂直面の位
    置における縦,横,高さの三次元座標を計測し、 次に、前記プローブを前記水平移動方向とは逆の方向に
    移動させ前記原点位置 に戻し、該原点位置にて前記プロ
    ーブを上昇させ、該プローブを180°反転させて、再
    び前記スリット内にプローブを挿入した後、該スリット
    における他方の垂直面へ前記プローブを水平移動させ、
    該プローブが接触した前記垂直面の位置における縦,
    横,高さの三次元座標を計測し、 前記各垂直面の各三次元座標にて、前記スリットにおけ
    る前記一方の垂直面と前記他方の垂直面との2面間の距
    離を算出することを特徴とするスリットにおける対向面
    間の距離測定方法。
  3. 【請求項3】 対向する垂直な2面を有するスリットが
    形成された被測定物を保持する基台上のワークテーブル
    と、 該ワークテーブルに対して水平方向及び上下方向に移動
    自在なヘッドと、 該ヘッドに垂下状に延出して配設されるとともに、該ヘ
    ッドに対して180°水平回動自在とされ、一方向にの
    み揺動自在とされる細径な針状のフィーラを備え、該フ
    ィーラ先端の接触子における接触面が、前記揺動方向の
    一方にのみ凸球面状に形成されて、前記ワークテーブル
    上の被測定物のスリットに挿入され、該スリットにおけ
    る対向する両垂直面の縦,横,高さの三次元座標をそれ
    ぞれ計測するプローブと、 を具備することを特徴とするスリットにおける対向面間
    の距離測定装置。
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