JP3008514B2 - 熱可塑性エラストマ−組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマ−組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性エラストマ−組
成物に関する。本発明の熱可塑性エラストマ−組成物
は、樹脂加工分野やゴム加工分野等で成形加工されて電
線、ケ−ブル、マット、ホ−ス、ル−フイング等として
使用される。
【0002】
【従来の技術】従来から、ゴムと熱可塑性樹脂を混練し
ながらゴムを動的熱処理し加硫して得る、ゲル分を含有
するゴムと熱可塑性樹脂から成る熱可塑性エラストマ−
組成物は熱可塑性とゴム弾性を有することから、その熱
可塑性を利用して高温下で成型され、成形温度以下のゴ
ム弾性を有する温度範囲内で使用される。一般に熱可塑
性エラストマ−組成物は、高温下で流動し易く成型が容
易であり、且つ成型時間が短い利点を持つ。またゴム組
成物の成型加工では加硫工程を必要とするが熱可塑性エ
ラストマ−組成物の場合はこれを必要としない等、エネ
ルギ−消費あるいは労務費などの面でゴム組成物より優
位であり、近年、樹脂分野やゴム分野で幅広く使用され
るようになって来た。
【0003】これらのことから、ゴムであるクロロスル
フオン化ポリエチレンおよび/または塩素化ポリエチレ
ンと熱可塑性樹脂であるポリプロピレンを混練しながら
動的熱処理し、熱可塑性エラストマ−として使用する機
運にある。しかしながら動的熱処理によりゲル分を含有
させるために、得られたクロロスルフオン化ポリエチレ
ンおよび/または塩素化ポリエチレンとポリプロピレン
から成る熱可塑性エラストマ−組成物は、100℃以上
の高温下での成形加工に於いて、極めて流動特性が劣
る。例えば射出成形機による成形においては成形サイク
ルが遅く、且つ複雑な形状の製品は成形出来なく、また
押出機による押出成形においては押出速度が遅く、且つ
複雑な形状の製品は成形出来ない等の欠点がある。この
ようにゲル分を含有するクロロスルフオン化ポリエチレ
ンおよび/または塩素化ポリエチレンとポリプロピレン
から成る熱可塑性エラストマ−組成物の実用化のために
は上記問題点の解決が必要とされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記問
題点を解決すべく鋭意研究の結果、成形加工における流
動特性の解決された熱可塑性エラストマ−組成物を提供
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ゲル分を含有
するクロロスルフオン化ポリエチレンおよび/または塩
素化ポリエチレン、ポリプロピレン、脱塩酸捕捉剤、有
機過酸化物とジビニルベンゼンから成る熱可塑性エラス
トマ−組成物に関する。そして本発明が提供する熱可塑
性エラストマ−組成物は高温下での成形加工に於いて、
極めて流動特性が優れ、実用に供することのできるもの
である。以下本発明を詳細に説明する。
【0006】本発明に使用されるクロロスルフオン化ポ
リエチレンとは、ポリエチレン、エチレン−ブテン−1
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重
合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体等を四塩化
炭素等の不活性有機溶剤に溶解し、塩素ガスを吹込み塩
素化して次にクロロスルフオニルを添加反応させてクロ
ロスルフオニル基を導入するか、あるいはクロロスルフ
オニルによって塩素とクロロスルフオニル基を導入しゴ
ム状にしたものである。クロロスルフオン化ポリエチレ
ンはゴム状であれば特に塩素量は限定されないが15〜
55重量%のクロロスルフオン化ポリエチレンがゴム状
にある。
【0007】また本発明に使用される塩素化ポリエチレ
ンとは、該記ポリマ−の粉末または粒子を水に懸濁させ
るか、あるいは四塩化炭素等の不活性有機溶剤に溶解し
て塩素ガスを吹込み塩素を導入しゴム状にしたものであ
る。塩素化ポリエチレンはクロロスルフオン化ポリエチ
レンと同様にゴム状であれば特に塩素量は限定されない
が15〜55重量%の塩素化ポリエチレンがゴム状にあ
る。以上、クロロスルフオン化ポリエチレンと塩素化ポ
リエチレンの製法を例記したが、本発明に使用されるク
ロロスルフオン化ポリエチレンおよび/または塩素化ポ
リエチレンはこれらの製法になんら限定されるものでは
ない。
【0008】本発明においてゲル分を含有するクロロス
ルフオン化ポリエチレンおよび/または塩素化ポリエチ
レンとは、クロロスルフオン化ポリエチレンおよび/ま
たはクロロスルフオン化ポリエチレンを混練機中で動的
熱処理により加硫させたクロロスルフオン化ポリエチレ
ンおよび/または塩素化ポリエチレンを云う。本発明で
云うゲル分とは、得られる熱可塑性エラストマ−組成物
のベンゼンに未抽出の残渣からポリプロピレンの量を除
いた残渣を云う。本発明の熱可塑性エラストマ−組成物
中のゲル分の量は20重量%以上であって、好ましくは
30重量%以上において、熱可塑性エラストマ−組成物
は極めて優れた流動性を示す。30重量%未満では熱可
塑性エラストマ−組成物の機械的性質である圧縮永久歪
および永久伸びの点が劣り好ましくない。
【0009】本発明の熱可塑性エラストマ−組成物に使
用されるポリプロピレンとは、プロピレンを単独重合、
あるいはプロピレンとα−オレフイン、例えばエチレ
ン、ペンテン−1、ブテン−1、4−メチル・ペンテン
−1等と共重合して得られる重合体であって、結晶性で
ある。市販のポリプロピレンとして例えば、内外化学薬
品資料 A 高分子:シ−エムシ−社刊(1988)に
掲載されるポリプロピレンがある。これらは単独あるい
は混合して使用される。使用される量は、本発明で使用
されるクロロスルフオン化ポリエチレンおよび/または
塩素化ポリエチレン100重量部当り5〜50重量部が
使用される。5重量部未満では得られる熱可塑性エラス
トマ−組成物の高温下における成形加工時の流動性が劣
る。50重量部を越えると弾性を示さなくなり好ましく
ない。
【0010】本発明に使用される脱塩酸捕捉剤とは、ク
ロロスルフオン化ポリエチレンおよび/または塩素化ポ
リエチレンを動的熱処理し加硫してゲル分を含有させる
際に発生する塩酸を捕捉するものである。この脱塩酸捕
捉剤としては金属酸化物、金属鉛化合物、金属水酸化
物、脂肪酸金属石鹸類、例えば酸化マグネシウム、酸化
カルシウム、酸化亜鉛、一酸化鉛、四三酸化鉛、三塩基
性硫酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛、水酸化カルシウム、ステ
アリン酸ソ−ダ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリ
ン酸カルシウム等が挙げられる。これらは単独または混
合して使用することができる。使用される量は1〜30
重量部、好ましくは5〜20重量部が配合される。
【0011】なお、本発明で云う動的熱処理とは、樹脂
用あるいはゴム用の混練機、例えばロ−ル混練機、バン
バリ−ミキサ−、双腕形ニ−ダ−、スクリュウ式混練
機、ロ−タ−形連続混練機等を使用し、クロロスルフオ
ン化ポリエチレンおよび/または塩素化ポリエチレンを
混練機中で流動させながら有機過酸化物により加硫しゲ
ル分を作ることを指す。この動的熱処理はポリプロピレ
ンの融点以上の温度で行なうのが好ましい。
【0012】本発明で使用される有機過酸化物とは、ク
ロロスルフオン化ポリエチレンおよび/または塩素化ポ
リエチレンを動的熱処理してゲル分を含有させるために
配合するものであって、ハイドロパ−オキサイド、ジア
シルパ−オキサイド、ケトンパ−オキサイド、パ−オキ
シエステルおよびジアルキルパ−オキサイド類等があ
る。例えばt−ブチルハイドロパ−オキサイド、クメン
ハイドロパ−オキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハ
イドロパ−オキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−
2,5−ジハイドロパ−オキサイド、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパ−オキシ)ヘキシン−3、
ジ−クミルパ−オキサイド、ジ−t−ブチルパ−オキサ
イド、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパ−オキ
シ)ヘキサン、t−ブチルパ−オキシベンゾエ−ト、ベ
ンゾイルパ−オキサイド等が挙げられる。これらは単独
または混合して使用される。使用される有機過酸化物の
量は、本発明で使用されるクロロスルフオン化ポリエチ
レンおよび/または塩素化ポリエチレン100重量部当
り0.1〜15重量部が使用される。0.1重量部未満
では圧縮永久歪や引張り強度等の機械的性質が劣る。1
5重量部を越えて使用すると熱可塑性エラストマ−組成
物の高温下における成形加工時の流動性が劣り好ましく
ない。
【0013】本発明の熱可塑性エラストマ−組成物の特
徴はジビニルベンゼンを使用することにあり、ジビニル
ベンゼンによって熱可塑性エラストマ−組成物の高温下
に於ける流動性が極めて改良される。またジビニルベン
ゼンは動的熱処理に於いて有機過酸化物による加硫の効
率を上げる。使用される量はクロロスルフオン化ポリエ
チレンおよび/または塩素化ポリエチレン100重量部
当り0.1〜5重量部が使用される。0.1重量部未満
ではその効果が小さく、また5重量部を越えると使用し
た割合には、流動性に与える効果は小さく実際的でな
い。
【0014】本発明の熱可塑性エラストマ−を得る方法
は特に制限されるものではないが、該記したロ−ル混練
機、バンバリ−ミキサ−、双腕形ニ−ダ−、スクリュウ
式混練機、ロ−タ−形連続混練機等を使用して、クロロ
スルフオン化ポリエチレンおよび/または塩素化ポリエ
チレンにポリプロピレン、脱塩酸捕捉剤、ジビニルベン
ゼンを予めポリプロピレンの融点以上の温度で混練し、
次に有機過酸化物を添加して動的熱処理する方法が好ま
しい。
【0015】また本発明の熱可塑性エラストマ−組成物
にはその製造工程において、或いは得られた熱可塑性エ
ラストマ−組成物にゴム用配合剤或いは樹脂用配合剤、
例えば、鉱物系軟化剤、可塑剤、ラジカル禁止剤、老化
防止剤、紫外線吸収剤、相溶化剤、共架橋剤、カ−ホン
ブラック、白色充填剤、発泡剤、滑剤、帯電防止剤、着
色剤等を必要に応じて使用することが出来る。
【0016】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれらになんら制限され
るものではない。なお、実施例および比較例に使用した
配合を表−1に示す。
【0017】実施例−1〜4および比較例−1〜3 実施例−1は、表−1に示す配合−1を使用して、予め
クロロスルフオン化ポリエチレンに酸化マグネシウム、
カ−ボンブラック、DOPとジビニルベンゼンを50℃
のロ−ル混練機で混練しゴム混練物を得た。次にブラベ
ンダ−プラスチコ−ダ− ロ−ラ−ミキサ−タイプを使
用し、設定温度140℃のチャンバ−に、このゴム混練
物とポリプロピレンを入れ、ロ−ラ−ミキサ−100R
PMで、ゴム混練物の発熱を利用してゴム混練物の温度
をポリプロピレンの融点以上とし、ポリプロピレンをゴ
ム混練物に溶融分散させた。次いでDCPを添加して動
的熱処理を行った。これに安定剤のTNPとNS−6を
添加混練して熱可塑性エラストマ−組成物を得た。得ら
れた熱可塑性エラストマ−組成物の流動性を知るため
に、(株)東洋精機製作所製メルトインデキサ−を使用
してJIS K 7210に従い荷重21.6Kg、温
度190℃で流動性の指標となるMFR(メルトフロー
レイト)の測定を行なった。また熱可塑性エラストマ−
組成物中のゲル分量を知るために、次の方法に従ってゲ
ル分量を測定した。熱可塑性エラストマ−組成物を1〜
2mm角に裁断し、その0.5gをベンゼン100gに
入れ、23℃で24時間放置し、次にボ−ルミルで1時
間攪拌した後、1時間放置し熱可塑性エラストマ−の不
溶解の部分を沈降させ、ベンゼンに溶解した部分を5g
取り出しベンゼンを蒸発させた後、その重量を測定し
た。
【0018】生成したクロロスルフオン化ポリエチレン
および/または塩素化ポリエチレンのゲル分量は次式に
より計算した。 GL={0.5−(L+P)}/0.5×100 但し GL:ゲル分量(重量%) L :ベンゼン100gに溶解する熱可塑性エラストマ
−組成物の重量。 P :試料0.5g中のポリプロピレン量。
【0019】測定したMFR及びゲル分量を表−1に示
す。
【0020】実施例−2は、表−1の配合−2を使用し
た以外実施例−1に従った。
【0021】実施例−3は、配合−3を使用した以外実
施例−1に従った。実施例−4は、配合−4を使用した
以外実施例−1に従った。比較例−1は、配合−5を使
用した以外実施例−1に従った。比較例−2は、配合−
6を使用した以外実施例−1に従った。比較例−3は、
配合−7を使用した以外実施例−1に従った。
【0022】表−1から、本発明の熱可塑性エラストマ
−組成物によつて得られる実施例1〜4の熱可塑性エラ
ストマ−組成物は比較例1〜4と比較し流動性の指標で
あるMFRが極めて優れていることが分る。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のゲル分を含有するクロロスルフオン化ポリエチレンお
よび/または塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、脱
塩酸捕捉剤、有機過酸化物とジビニルベンゼンから成る
熱可塑性エラストマ−組成物は高温下での成形加工にお
ける流動特性が極めて優れていることが分る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 23/28 C08L 23/28 //(C08L 23/28 23:10) (C08L 23/34 23:10)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゲル分を熱可塑性組成物中に20重量%以
    上含有するクロロスルフオン化ポリエチレンおよび/ま
    たは塩素化ポリエチレン100重量部当り、ポリプロピ
    レン5〜50重量部、脱塩酸捕捉剤1〜30重量部、有
    機過酸化物0.1〜15重量部、ジビニルベンゼン0.
    1〜5重量部からなる熱可塑性エラストマ−組成物。
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