JP3007717B2 - 感圧性接着剤とその接着シート類 - Google Patents

感圧性接着剤とその接着シート類

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天然ゴム系の感圧性接
着剤と、その接着シート類に関する。
【0002】
【従来の技術】天然ゴムなどをベースポリマーとした感
圧性接着剤は、種々の被着体に対して良好な接着性を示
し、特に低温接着性や粗面接着性が非常に良好なものと
して、古くから用いられている。
【0003】しかるに、上記良好な接着特性を発揮させ
るために、接着剤配合成分として、軟化剤を多量に使用
したり、接着シート作製用の基材や被着体が軟質ポリ塩
化ビニルなどにて構成されて、これら基材や被着体から
軟化剤成分としての可塑剤が接着剤層中に多量に移行し
てくるような使用態様にあつては、接着剤の粘度低下が
著しく、これが原因で凝集破壊を生じる難点があつた。
【0004】この対策として、ポリマーを架橋する方法
が知られているが、この方法では接着力が損なわれるた
め、あまり好ましいものとは言えない。そこで、天然ゴ
ムにスチレン−ブタジエン共重合ゴムからなる特定のゴ
ム質ポリマーを添加混合し、軟化剤の多量配合や移行な
どに起因した凝集力の低下を防ぐことによつて、接着剤
層の層強度を高める方法が、有効な手段として、利用さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この天
然ゴムとスチレン−ブタジエン共重合ゴムとは、完全相
溶とは言えず、接着力と凝集力とを両立させるため、両
者の重量比が2/8〜8/2となる割合でブレンドした
とき、溶解成分が経時的に分離してくる欠点があつた。
特に、この分離は、接着シート作製段階での接着剤の貯
蔵や、接着シートを低温で保存する場合によく発生し、
前者では再撹拌により、後者では保存温度の制約により
対処しており、いずれも経済的な負担が大きかつた。
【0006】本発明は、上記従来の事情に鑑み、天然ゴ
ムとスチレン−ブタジエン共重合ゴムとをブレンドする
場合の上記相溶性の間題を克服し、接着力と凝集力とを
満足するとともに、貯蔵,保存時の経時的安定性にもす
ぐれた天然ゴム系の感圧性接着剤とその接着シート類を
得ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意検討した結果、天然ゴムとスチ
レン−ブタジエン共重合ゴムとの両者に相溶しうる第三
成分をブレンドすることにより、上記両成分の相溶性の
問題を克服でき、これにより低温接着性や粗面接着性な
どの接着力と凝集力とを満足し、かつ貯蔵,保存時の経
時的安定性にすぐれた感圧性接着剤とその接着シート類
が得られることを知り、本発明を完成するに至つた。
【0008】すなわち、本発明は、a)天然ゴムおよび
/またはポリイソプレンゴムと、b)スチレン−ブタジ
エン共重合ゴムとを、重量比が2/8〜8/2となる割
合でブレンドし、これにさらにc)スチレン−イソプレ
ン−スチレンブロツク共重合体を加えて、ベースポリマ
ーを構成させたことを特徴とする感圧性接着剤に係るも
のである。また、本発明は、この感圧性接着剤を、基
材、たとえば軟質ポリ塩化ビニルシートなどの上に設け
てなるシート状やテープ状などの接着シート類に係るも
のである。
【0009】
【発明の構成・作用】本発明におけるa成分の天然ゴム
は、イソプレンがシス形に重合した高分子化合物を主成
分としたものであつて、市販されるものがいずれも使用
可能である。また、この天然ゴムと同様の化学構造を有
するものとして、合成ポリイソプレンとして知られる、
数平均分子量が通常500000〜2000000程度
のポリイソプレンゴム(シス形に限定されない)を、a
成分としてこれ単独でまたは上記天然ゴムと混合して用
いてもよい。
【0010】本発明におけるb成分のスチレン−ブタジ
エン共重合ゴムは、スチレンとブタジエンとを重量比が
通常20/80から50/50となる割合でランダム共
重合させてなる、数平均分子量が200000〜300
0000程度のゴム質ポリマーであり、市販されるもの
をいずれも使用することができる。
【0011】本発明においては、上記a成分の天然ゴム
および/またはポリイソプレンゴムと、上記b成分のス
チレン−ブタジエン共重合ゴムとを、重量比が2/8〜
8/2となる割合、好ましくは3/7〜7/3となる割
合でブレンドする。この範囲外となると、低温接着性や
粗面接着性を損なうか、あるいは十分な凝集力が得られ
ず、接着特性の改良を図れない。
【0012】本発明においては、このようなa,b成分
からなるゴム質ポリマーに、さらにc成分としてのスチ
レン−イソプレン−スチレンブロツク共重合体を配合す
ることを特徴とする。このブロツク共重合体は、a,b
両成分に良く相溶して、これら両成分の相互溶解性に好
結果を与え、低温保存下などでの分離現象を抑制するの
に大きく貢献する。
【0013】このようなスチレン−イソプレン−スチレ
ンブロツク共重合体は、市販品として容易に入手でき、
特に好ましくはポリスチレンブロツク部分とポリイソプ
レンブロツク部分との重量比が通常10/90〜25/
75の範囲内となり、またその数平均分子量が通常50
000〜500000の範囲内となるものを使用する。
【0014】上記c成分のスチレン−イソプレン−スチ
レンブロツク共重合体は、a,b成分の混合割合に応じ
て、またa成分として天然ゴムを用いるかポリイソプレ
ンゴムを用いるかなどによつて、その使用量が適宜決定
される。一般には、a,b,c三成分の合計量中、c成
分の割合が、4〜50重量%、好ましくは9〜40重量
%となるようにするのがよい。少なすぎると所期の効果
が得られず、多くなりすぎると接着剤の凝集力が低下す
るおそれがある。
【0015】本発明の感圧性接着剤は、上記のa,b,
c三成分をベースポリマーとしたものであつて、この接
着剤には、一般の天然ゴム系の感圧性接着剤に配合され
る各種の添加剤、たとえば粘着付与樹脂、軟化剤、老化
防止剤、着色剤などを適宜配合することができる。
【0016】上記の粘着付与樹脂としては、石油系樹
脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、フエノール系樹脂
などが挙げられる。また、上記の軟化剤としては、フタ
ル酸エステル系、ナフテン系オイル、パラフイン系オイ
ル、動植物油などが用いられる。これらの粘着付与樹脂
および軟化剤は、その合計量が、前記のベースポリマー
100重量部に対し、通常20〜200重量部となる使
用量とするのが望ましい。
【0017】本発明の接着シート類は、上記の感圧性接
着剤を基材上に設けて、シート状、テープ状などの形熊
としたものである。ここで、基材の材質としては、可塑
剤を多量に含む軟質ポリ塩化ビニルを選択使用でき、ま
たポリエチレンテレフタレートなどの他の各種樹脂や繊
維基材などを使用できる。前者の軟質ポリ塩化ビニル基
材では、この基材中の可塑剤が経時的に接着剤層に移行
してくるが、これによつて接着剤層の凝集力が大きく低
下することはない。
【0018】また、上記の接着シート類は、種々の被着
体に適用でき、たとえば、可塑剤を多く含む軟質ポリ塩
化ビニル製などの被着体に適用した場合でも、被着体か
らの可塑剤の移行による凝集力の大きな低下はやはり認
められない。
【0019】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、低温接
着性や粗面接着性などの接着力と凝集力とに共にすぐ
れ、しかも貯蔵,保存に際しての制約を特に受けること
のない、経時的安定性にすぐれた天然ゴム系の感圧性接
着剤とその接着テープ類を提供することができる。
【0020】
【実施例】つぎに、本発明の実施例を記載してより具体
的に説明する。なお以下、部とあるのは重量部を意味す
る。
【0021】実施例1 天然ゴム(マレーシア産の天然ゴム、SMR)50部と
スチレン−ブタジエン共重合ゴム〔日本ゼオン(株)製
のニツポール1502〕50部とをブレンドし、さらに
これにスチレン−イソプレン−スチレンブロツク共重合
体〔シエル化学(株)製のクレイトン1107〕10部
を加えて、ベースポリマーとした。
【0022】このベースポリマー110部に対し、石油
系樹脂〔日本ゼオン(株)製のクレイトンC−100〕
80部を加え、固型分が10重量%となるようにトルエ
ンに溶解混合して、感圧性接着剤溶液を調製した。
【0023】つぎに、上記の感圧性接着剤溶液を、厚さ
が25μmのポリエチレンテレフタレートフイルム上
に、乾燥後の厚さが30μmとなるように塗布,乾燥し
た。その後、20mm幅に裁断して、接着テープを作製
した。
【0024】実施例2 天然ゴムの使用量を20部、スチレン−ブタジエン共重
合ゴムの使用量を80部、スチレン−イソプレン−スチ
レンブロツク共重合体の使用量を5部に、それぞれ変更
した以外は、実施例1と同様にして、感圧性接着剤溶液
の調製および接着テープの作製を行つた。
【0025】実施例3 天然ゴムの使用量を80部、スチレン−ブタジエン共重
合ゴムの使用量を20部、スチレン−イソプレン−スチ
レンブロツク共重合体の使用量を5部に、それぞれ変更
した以外は、実施例1と同様にして、感圧性接着剤溶液
の調製および接着テープの作製を行つた。
【0026】実施例4 天然ゴムに代えて、ポリイソプレンゴム〔(株)クラレ
製のクラプレンIR10〕50部を使用した以外は、実
施例1と同様にして、感圧性接着剤溶液の調製および接
着テープの作製を行つた。
【0027】比較例1〜4 スチレン−イソプレン−スチレンブロツク共重合体の使
用を省いた以外は、実施例1〜4と同様にして、感圧性
接着剤溶液の調製および接着テープの作製を行つた。な
お、比較例1は実施例1に、比較例2は実施例2に、比
較例3は実施例3に、比較例4は実施例4に、それぞれ
対応している。
【0028】比較例5 スチレン−イソプレン−スチレンブロツク共重合体に代
えて、スチレン−ブタジエン−スチレンブロツク共重合
体〔シエル化学(株)製のクレイトン1101〕10部
を用いた以外は、実施例1と同様にして、感圧性接着剤
溶液の調製および接着テープの作製を行つた。
【0029】上記の実施例1〜4および比較例1〜5の
各感圧性接着剤溶液および接着テープにつき、以下の要
領で、粗面接着力、凝集力、貯蔵安定性および保存安定
性を調べた。これらの結果は、後記の表1に示されると
おりであつた。
【0030】〈粗面接着力〉被着体として360番のサ
ンドペーパを用い、このサンドペーパに各接着テープを
貼り付け、常温で1時間放置したのち、接着テープを剥
がして、その接着力を調べた。
【0031】〈凝集力〉ポリ塩化ビニル100部に対し
ジオクチルフタレートからなる可塑剤50部を配合した
成形材料より、厚さが0.2mmの軟質ポリ塩化ビニル
シートを作製し、これを被着体として、この上に各接着
テープを貼り付け、24時間経過後に接着テープを剥が
し、可塑剤の移行による接着剤層の凝集破壊の有無を調
べた。評価は、被着体面への糊残りが多くて凝集破壊が
顕著に認められる場合を×、上記糊残りが僅かにみられ
て凝集破壊がやや生じている場合を△、上記糊残りが非
常に少なくて凝集破壊がほとんど認められない場合を
○、と判定した。
【0032】〈貯蔵安定性〉各感圧性接着剤溶液を常温
で5日間貯蔵したのち、目視により、溶解成分の分離状
態を観察し、凝集物が全面にみられるものを×、わずか
ながらに凝集物があるものを△、均一な溶液状態である
ものを○、と判定した。
【0033】〈保存安定性〉各接着テープを0℃の低温
下で5日間保存したのち、感応により、粘着感の低下状
態を観察し、粘着感の低下の著しいものを×、わずかな
低下が認められるものを△、変化のみられないものを
○、と判定した。
【0034】
【表1】
【0035】上記表1の結果から明らかなように、本発
明の感圧性接着剤およびその接着テープは、粗面接着力
と凝集力とが共に大きく、しかも接着剤の貯蔵時や接着
テープの低温保存時にポリマー成分が分離することのな
い良好な経時的安定性を示すものであることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09J 7/02 C09J 109/06 C09J 121/00 C09J 153/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)天然ゴムおよび/またはポリイソプ
    レンゴムと、b)スチレン−ブタジエン共重合ゴムと
    を、重量比が2/8〜8/2となる割合でブレンドし、
    これにさらにc)スチレン−イソプレン−スチレンブロ
    ツク共重合体を加えて、ベースポリマーを構成させたこ
    とを特徴とする感圧性接着剤。
  2. 【請求項2】 a,b,c三成分の合計量中、c成分の
    スチレン−イソプレン−スチレンブロツク共重合体の割
    合が4〜50重量%である請求項1に記載の感圧性接着
    剤。
  3. 【請求項3】 基材上に請求項1または請求項2に記載
    の感圧性接着剤が設けられてなる接着シート類。
  4. 【請求項4】 基材の材質が軟質ポリ塩化ビニルである
    請求項3に記載の接着シート類。
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