JP3007569B2 - 光起電力素子 - Google Patents

光起電力素子

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JP3007569B2 JP8076932A JP7693296A JP3007569B2 JP 3007569 B2 JP3007569 B2 JP 3007569B2 JP 8076932 A JP8076932 A JP 8076932A JP 7693296 A JP7693296 A JP 7693296A JP 3007569 B2 JP3007569 B2 JP 3007569B2
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池等の光起
電力素子に関するものであり、特に薄膜多結晶シリコン
を発電層に用いた光起電力素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光起電力素子として、結晶系シリ
コン基板を用いた太陽電池の本格的な実用化が進んでい
るが、近い将来には、太陽電池の生産拡大に伴い、シリ
コン基板の枯渇が予想される。このため、より僅かな資
源量で作製することができる非晶質シリコン及び薄膜多
結晶シリコンを用いた太陽電池が、将来の太陽電池の市
場の中心をなすものと予測され、注目されている。
【0003】薄膜多結晶シリコン太陽電池のうち、非晶
質シリコン膜をレーザ照射により結晶化させ、これをシ
ード層としてエピタキシャル成長させた多結晶シリコン
膜を発電層として用いた太陽電池は、多結晶シリコン膜
中の結晶粒が大きくしかも配向が揃っているため、厚板
のシリコン基板を用いた太陽電池に匹敵する特性が得ら
れる可能性がある。このような多結晶シリコン層を発電
層として用いた太陽電池としては、絶縁基板上に非晶質
シリコン層を数千Åの膜厚で堆積し、これをレーザ照射
により結晶化した後、その上に500℃程度の堆積温度
を用いたエピタキシャル成長により1μm以上の厚みの
シリコン層を形成し、これを発電層として用いた太陽電
池が知られている(K.Yamamoto et al., Proc.of 1st W
CPEC, Hawaii, Dec 1994, pp.1575-1578)。しかしなが
ら、このエピタキシャル成長による堆積速度は非常に遅
いため、エピタキシャル成長法として800℃以上の高
温を用いる方法も検討されている。このような方法は、
高温でのプロセスであるので、基板としては、石英基板
のような高融点でかつ低熱伝導性の基板を用いる必要が
ある。
【0004】図2は、石英基板を用いた従来の光起電力
素子を示す断面図である。図2に示すように、石英基板
1上には、n型多結晶シリコンシード層2が設けられて
おり、このシリコン層2は、石英基板1上に非晶質シリ
コン層を形成し、この非晶質シリコン層をレーザ照射す
ることにより溶融結晶化したシリコン層である。n型多
結晶シリコン層2の上には、エピタキシャル成長により
i型多結晶シリコン層3が形成されている。i型多結晶
シリコン層3の上には、i型非晶質シリコン層4及びp
型非晶質シリコン層5が積層され、さらにこの上に透明
導電膜6が形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図2に示す従来の光起
電力素子の構造では、n型多結晶シリコンシード層2が
高濃度ドープ層であるので、裏面電極層としての機能も
有していた。このようなシリコンドープ層のシート抵抗
は10〜50Ω/□と大きいので、従来の光起電力素子
では電流損失が大きくなり出力が低下するという問題が
あった。
【0006】また、図2に示すように、裏面電極として
機能するn型多結晶シリコンシード層2の上には、接続
のための電極部7が形成される。この電極部7は真空蒸
着法等により例えばAlを用いて形成されるが、この電
極部7の形成のためには、n型多結晶シリコンシード層
2を露出する必要がある。このため、n型多結晶シリコ
ンシード層2を残し、多結晶シリコン層3のみをエッチ
ング除去する必要がある。しかしながら、いずれの層も
同じシリコンの材質からなるため、エッチングの条件制
御が困難であるという問題があった。
【0007】本発明の目的は、裏面電極での電流損失を
低減することができ、かつ製造工程における裏面電極の
取り出しを容易に行うことができる光起電力素子を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の光起電力素子
は、石英基板またはガラス基板の上に、バッファ層、金
属層及び多結晶シリコン層をこの順序で積層した光起電
力素子であり、バッファ層が、基板の熱膨張率と、金属
層を構成する材料の熱膨張率との間の熱膨張率を有する
材料から構成されていることを特徴としている。
【0009】本発明に従えば、多結晶シリコン層の下地
層である金属層が裏面電極層として用いられるので、裏
面電極での電流損失を大幅に低減することができる。ま
た、裏面電極の取り出しの際には、金属層が露出するま
でシリコン層をエッチングすればよく、従来のようなエ
ッチングの微妙な条件制御が必要なくなり、裏面電極の
取り出しを容易に行うことができる。
【0010】また、本発明に従えば、基板と金属層の間
にバッファ層が設けられており、このバッファ層の熱膨
張率が、基板の熱膨張率と、金属層の熱膨張率の間の値
を有している。このため、エピタキシャル成長等の後工
程の際に高温に加熱されても、基板と金属層との熱膨張
率の差による応力を緩和することができ、層剥離等が生
じるのを防止することができる。
【0011】本発明において用いる基板としては、耐熱
性の面からは石英基板が好ましい。石英基板を用いる場
合のバッファ層としては、例えば、シリコン層、酸化シ
リコン層、カーボン層、シリコンカーバイト層、シリコ
ンゲルマニウム層などを挙げることができる。以下に、
石英ガラス、シリコン、酸化シリコン、炭素、Mo、W
及びTaの熱膨張率(線膨張係数、単位:ppm/℃)
を示す。
【0012】 石英ガラス:0.4〜0.55 Si :2.6 SiO2 :2.5〜3 C :3.1 Mo :3.7 W :4.5 Ta :6.3
【0013】以上のように、シリコン、酸化シリコン、
及び炭素は、石英ガラスの熱膨張率とMoなどの金属材
料の熱膨張率の間の熱膨張率を有している。またGeの
熱膨張率は5.8ppm/℃であり、シリコンゲルマニ
ウムとしてその組成を調整することにより、石英ガラス
の熱膨張率とMoなどの金属材料の熱膨張率との間の熱
膨張率に調整し、本発明におけるバッファ層として用い
ることができる。
【0014】また、本発明においてガラス基板を基板と
して用いる場合、バッファ層としては、SiO2 などか
らなるガラス材料の熱膨張率と金属層の熱膨張率との間
の熱膨張率を有する材料を使用することができる。従っ
て、カーボン層や組成を調整したシリコンゲルマニウム
層などを用いることができる。
【0015】本発明においてバッファ層の膜厚は、特に
限定されるものではないが、一般には500Å〜1μm
程度の膜厚が好ましい。また本発明において金属層の膜
厚としては1μm程度以下の膜厚が好ましい。
【0016】本発明の光起電力素子においては、裏面電
極での電流損失を大幅に低減することができると共に、
エピタキシャル成長などの高温プロセスにおける基板と
金属層との熱膨張率の違いによる層剥離を防止すること
ができる。また、裏面電極の取り出しを容易に行うこと
ができる。
【0017】本発明におけるバッファ層は、上述のよう
に基板の熱膨張率と金属層の熱膨張率との間の熱膨張率
を有する材料から構成されるが、結晶形態に関しては、
結晶層、多結晶層、非晶質層のいずれであってもよい。
また基板上に形成した直後の状態において非晶質層であ
る場合には、多結晶シリコン層をエピタキシャル成長等
で形成する後工程において、結晶化し、多結晶となるよ
うなものであってもよい。
【0018】またバッファ層が、少なくとも多結晶シリ
コン層の形成工程前において、非晶質シリコン層、非晶
質シリコンカーバイト層、または非晶質シリコンゲルマ
ニウム層等である場合、高温の後工程において、発電層
である多結晶シリコン層への金属層からの金属層構成元
素の拡散を抑制することができる。すなわち、バッファ
層として上記のような非晶質層が設けられている場合、
このような非晶質層は多結晶シリコン層に比べ原子間結
合力が弱いため、金属層を構成する元素の拡散は金属層
の下層である非晶質層側において生じ、金属層の上層で
ある多結晶シリコン層への拡散を抑制することができ
る。従って、多結晶シリコン層への金属層からの拡散を
抑制することができ、多結晶シリコン層における不純物
を少なくすることにより、光電変換特性を向上させるこ
とができる。
【0019】本発明において、多結晶シリコン層は特に
限定されるものではないが、例えば、金属層上に非晶質
シリコン層を形成し、この非晶質シリコン層をレーザ照
射等により溶融結晶化し多結晶シリコンシード層を形成
し、この多結晶シリコンシード層の上にエピタキシャル
成長させた多結晶シリコン層を用いることができる。こ
のようなレーザ照射により溶融結晶化したシード層上に
形成した多結晶シリコン層は、結晶粒が大きく配向性に
優れており、多結晶シリコン層の膜質として良好であ
り、良好な光電変換特性を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に従う一実施形態
の光起電力素子を示す断面図である。図1を参照して、
石英基板11の上には、PECVD(プラズマCVD)
法により、n型非晶質シリコン層からなるバッファ層1
2が設けられている。バッファ層12は、約1000Å
の厚みになるように形成されている。バッファ層12の
上には、Wからなる膜厚約2000Åの金属層13がス
パッタリング法により形成されている。金属層13の上
には、膜厚1000Åの多結晶シリコンシード層14が
形成されている。この多結晶シリコンシード層14は、
金属層13の上にPECVD法によりn型非晶質シリコ
ン層を形成し、このn型非晶質シリコン層にKrFエキ
シマレーザを照射することにより溶融結晶化したシリコ
ン層である。
【0021】この多結晶シリコンシード層14の上に、
堆積温度800℃の熱CVD法により、膜厚2.5μm
のi型多結晶シリコン成長層15が形成されている。i
型多結晶シリコン成長層15の上には、i型非晶質シリ
コン層16及びp型非晶質シリコン層17がそれぞれ5
0Åの厚みでPECVD法により形成されている。p型
非晶質シリコン層17の上には、ITOからなる透明導
電膜18が700Åの厚みで形成されている。裏面電極
の取り出しは、図1に示すように、i型多結晶シリコン
成長層15及び多結晶シリコンシード層14の一部をア
ルカリ水溶液でエッチング除去することにより金属層1
3を露出させて行うことができる。このように、露出さ
せる層が金属層であるため、従来のように微妙な精度を
要するエッチング制御を行う必要がない。
【0022】次に、図1に示す構造の光起電力素子につ
いてセル特性を評価した(本発明例1)。また、図1に
示す構造の光起電力素子において、バッファ層12とし
て、約1000Åの厚みの多結晶シリコン層を形成した
光起電力素子についてもセル特性を評価した(本発明例
2)。なお、この多結晶シリコン層は、本発明例1にお
ける非晶質シリコン層を形成する際の基板温度200℃
を800℃と高めることにより多結晶層とした。また、
比較として、図2に示す従来の光起電力素子についても
同様にしてセル特性を評価した(従来例)。なお、比較
の光起電力素子において、各層の膜厚及びエピタキシャ
ル成長の堆積温度は本発明例1及び2と同様の条件で行
った。セル特性の評価結果を表1に示す。なお表1にお
いて、歩留りは、9個のセルのうち剥離を生じたセルの
個数を示している。なお上記本発明例1におけるn型非
晶質シリコン層は、その後の高温プロセスにおいて結晶
化し多結晶シリコン層となっている。
【0023】
【表1】
【0024】表1から明らかなように、本発明に従う光
起電力素子は従来の構造のものに比べ、高いエネルギー
変換効率を示しており、また歩留りも9個のセル全てに
おいて剥離を生じていないことがわかる。エネルギー変
換効率の向上は、裏面電極での電流損失の低減によるも
のと考えられる。
【0025】バッファ層として形成直後の状態で非晶質
シリコン層である本発明例1は、形成直後の状態で既に
多結晶シリコン層である本発明例2に比べ曲線因子
(F.F.)が特に高く、エネルギー変換効率が高くな
っている。これは、本発明例1においてはバッファ層が
非晶質シリコン層であるため、多結晶シリコン成長層1
5を形成する際の高温プロセスにおいて、金属層13か
らの構成元素の拡散が優先的に非晶質シリコン層である
バッファ層12側において起こり、多結晶シリコンシー
ド層14及び多結晶シリコン成長層15への金属層13
の構成元素の拡散が抑制され、発電層である多結晶シリ
コン層における不純物が少なくなったことによるものと
考えられる。
【0026】上記実施形態において、バッファ層として
n型の非晶質シリコン層または多結晶シリコン層を形成
しているが、バッファ層の導電型は特に限定されるもの
ではなく、p型であってもよいし、i型であってもよ
い。
【0027】上記実施形態では、バッファ層としてシリ
コン層を用いたが、例えば、酸化シリコン層、カーボン
層、及びシリコンカーバイト層等を用いても同様の効果
を発揮することができる。このような酸化シリコン層等
は、例えばPECVD法、APCVD(常圧CVD)
法、スパッタリング法、真空蒸着法等で形成することが
できる。
【0028】
【発明の効果】本発明の光起電力素子においては、裏面
電極での電流損失を著しく低減することができ、かつ製
造工程における裏面電極の取り出しを容易に行うことが
できる。また、基板と金属層の間にバッファ層が設けら
れているので、エピタキシャル成長等の高温プロセスに
おいても層剥離を生じることなく製造することができ
る。
【0029】従って、より簡易なプロセスで、高い出力
特性を有しかつ高い信頼性を有する光起電力素子とする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う一実施形態の光起電力素子を示す
断面図。
【図2】従来の光起電力素子を示す断面図。
【符号の説明】
11…石英基板 12…バッファ層 13…金属層 14…n型多結晶シリコンシード層 15…i型多結晶シリコン成長層 16…i型非晶質シリコン層 17…p型非晶質シリコン層 18…透明導電膜
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−46229(JP,A) 特開 昭63−161681(JP,A) 特開 平7−263731(JP,A) 特開 昭58−98915(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 31/04 - 31/078

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石英基板またはガラス基板の上に、バッ
    ファ層、金属層及び多結晶シリコン層をこの順序で積層
    した光起電力素子であって、 前記バッファ層が、前記基板の熱膨張率と、前記金属層
    を構成する材料の熱膨張率との間の熱膨張率を有する材
    料から構成されている光起電力素子。
  2. 【請求項2】 前記バッファ層が、少なくとも前記多結
    晶シリコン層の形成工程前において非晶質層である請求
    項1に記載の光起電力素子。
  3. 【請求項3】 前記バッファ層が、前記多結晶シリコン
    層の形成工程中に結晶化した多結晶層である請求項2に
    記載の光起電力素子。
  4. 【請求項4】 前記非晶質層が、シリコン層、シリコン
    カーバイド層、またはシリコンゲルマニウム層である請
    求項2または3に記載の光起電力素子。
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