JP3007283B2 - 食品殺菌装置 - Google Patents

食品殺菌装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品殺菌装置に関し、
より詳細には、大気圧より高い圧力下で食品を加熱殺菌
する食品殺菌室に食品を連続的に供給し、食品の殺菌を
行う食品殺菌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】食品等を高温の或いは高温高圧の密閉殺
菌室内に連続的に搬入して殺菌を行う種々の殺菌装置が
知られている。この種の装置には、例えば、特開昭49
−71177号公報、特開昭51−42391号公報、
特開昭64−51069号公報に開示されているものが
ある。しかしながら、これらの殺菌装置においては、搬
入された食品を移動させるための搬送手段を殺菌室内に
設けなければならなかった。密閉された殺菌室内に搬送
手段を設けることは、装置の機構が複雑になることに加
えて、殺菌室内を無菌状態に保持する点でも問題があっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来技術の問
題に鑑み、密閉された加熱殺菌室等の中に搬送機構を設
けることなく、殺菌すべき食品を連続的に搬送できる食
品殺菌装置が提案されている。例えば、先願の特願平5
−214191号においては、高温高圧下で食品の殺菌
を行う加熱器の中に食品を連続的に送込み食品の殺菌を
行う食品殺菌装置が提案されている。この食品殺菌装置
では、加熱器内で高温高圧を保持して効率的な加熱殺菌
を行うために、大気連通の食品供給部と高温高圧の加熱
器との間に調圧室を設けている。食品供給部と調圧室の
間に第1の密閉ゲートが、そして、調圧室と加熱器の間
の第2の密閉ゲートが、それぞれ、設けられている。食
品を食品供給部から加熱器に送込む時には、先ず、第1
の密閉ゲートを開き且つ第2の密閉ゲートを閉じた状
態、即ち、食品供給部と調圧室とが連通しているが調圧
室と加熱器は連通していない状態で、食品を調圧室に送
り込む。次いで、第1の密閉ゲートを閉じて調圧室を閉
鎖し、調圧室内の圧力(或いは圧力及び温度)を加熱器
内の圧力(或いは圧力及び温度)まで上昇させる。次い
で、第1の密閉ゲートを閉じたまま第2の密閉ゲートを
開き、調圧室と加熱器とを連通させ、食品を高温高圧の
加熱器内に送込み、食品の殺菌を行っている。
【0004】従って、調圧室内の圧力(或いは圧力及び
温度)を加熱器内の圧力(或いは圧力及び温度)まで上
昇させている時間は、食品導入部から加熱器内に食品を
送込むことができない待機時間即ちロスタイムとなって
いた。調圧室内の圧力(或いは圧力及び温度)調整は、
蒸気をボイラ等の蒸気供給源からパイプによって導入す
ることによって行われていた。このパイプには、減圧バ
ルブ、制御バルブが取付けられており、減圧バルブによ
って所定値まで減圧させた蒸気を、制御バルブを開くこ
とよって調圧室内に導入していた。しかしながら、蒸気
源が調圧室から離れている等の理由により、調圧室内の
圧力を、加熱器内の圧力と同じ圧力まで上昇させるのに
かなりの時間がかかり、前記待機時間が長くなり、殺菌
装置の運転効率を上げるうえでの障害になっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点に
鑑みなされたものであり、調圧室内の圧力(或いは圧力
及び温度)の調整に要する時間を減らすことにより、上
記待機時間を減少させ、食品殺菌装置の処理能力を向上
させることを目的とする。上記目的を達成するために、
本発明は、大気連通の食品導入部と、食品を大気圧より
高い圧力下で加熱殺菌する加熱殺菌室とが連続的に配設
された食品殺菌装置であって、前記食品導入部と前記加
熱殺菌室との間に、第1の密閉ゲートを介して前記食品
導入部の下流部分に、第2の密閉ゲートを介して前記加
熱殺菌室の上流部分に、それぞれ、連結された昇圧用調
圧室を設け、該昇圧用調圧室に加圧流体を供給する加圧
流体供給源と前記加熱用調圧室との間に加圧流体タンク
を介在させた、食品殺菌装置を提供する。又、本発明
は、大気連通の食品導入部と、昇圧用調圧室と、食品を
大気圧より高い圧力下で加熱殺菌する加熱殺菌室とが連
続的に配設され、開口部分を有する開放容器に収容され
た食品が前記食品導入部から前記加熱殺菌室に連続的に
搬送される食品殺菌装置であって、前記食品導入部の下
流部分と前記昇圧用調圧室とが密閉ゲートを介して連結
され、前記加熱殺菌室の上流側部分と前記昇圧用調圧室
とがもう一つの密閉ゲートを介して連結され、前記昇圧
用調圧室に加圧流体を供給する加圧流体供給源と前記加
熱用調圧室との間を結ぶ加圧流体供給パイプに加圧流体
タンクを介在させた食品殺菌装置を提供する。
【0006】更に、本発明は、大気連通の食品導入部
と、昇圧用調圧室と、食品を大気圧より高い圧力下で加
熱殺菌する加熱殺菌室と、加熱殺菌された食品を冷却す
る冷却室と、減圧用調圧室と、食品を排出する排出部と
が、それぞれ、密閉ゲートを介して連続的に連結され、
開口部分を有する剛性容器に収容された食品を連続的に
殺菌処理する食品殺菌装置であって、前記食品導入部と
前記加熱殺菌室と前記冷却室と前記排出部とが、互いに
垂直或いは平行に配置され、前記食品導入部と前記昇圧
用調圧室と前記加熱殺菌室と前記冷却室と前記減圧用調
圧室と前記排出部の上流側に、それぞれ、前記剛性容器
を下流側方向に押出す押出し装置が設けられ、各押出し
装置のストローク長が、前記剛性容器1個分の大きさ以
上であり、更に、前記昇圧用調圧室に加圧流体を供給す
る加圧流体供給源と前記加熱用調圧室との間を結ぶ加圧
流体供給パイプに加圧流体タンクを介在させた食品殺菌
装置を提供する。
【0007】
【実施例】以下、図面に沿って本発明の実施例を詳細に
説明する。先ず、本発明の第1実施例の食品殺菌装置1
00を説明する。本実施例の食品殺菌装置100は、図
2に示す剛性のトレイ90のような容器に直接収容した
米飯、麺又はカレー或いはシチュウ等の所謂レトルト食
品の具(野菜等)等の固形食品を加熱殺菌するものであ
る。トレイ90は、ステンレス鋼等の金属で形成され、
上方に向かって開口する開口部分93を備えた有底円筒
形状を有する。各トレイ90には所定量の食品(例えば
一人前の米飯)が収容され、複数のトレイ90が、連続
的に食品殺菌装置100内を通過させられることによっ
て、食品の加熱殺菌が行われる。トレイ90の底板91
には、全面にわたって小孔92が形成されている。加熱
殺菌する食品は、底板91上に載置されることによって
トレイ90内に収容されるため、小孔92の寸法形状
は、食品が通り抜けられない(落下しない)ように適宜
選択される。この小孔92により、蒸気等の加熱殺菌用
流体が底板を自由に通過でき、該底板91上に載置され
た食品に蒸気等の流体を満遍なくあてることができる。
【0008】次に食品殺菌装置100本体の説明をす
る。図1に示すように、食品殺菌装置100は、上流側
から順に、殺菌する食品を収容したトレイ90を導入す
る大気連通の食品導入部1、食品を大気圧より高い圧力
下で加熱殺菌する加熱殺菌室3、加熱殺菌された食品を
冷却する冷却室4、冷却された食品を殺菌装置100か
ら排出する排出部6を備える。食品導入部1は、食品を
収容したトレイが載置される上流側の載置部11と、ト
レイ90内の食品を常圧下で予備加熱する下流側の予備
加熱室12とから構成される。更に、加熱殺菌室3の上
流側部分には、第2のゲートバルブ20で仕切られた昇
圧用調圧室2が設けられ、排出部6の上流側部分には、
第5のゲートバルブ50で仕切られた減圧用調圧室5が
設けられている。食品導入部1の下流部分である予備加
熱室12は、第1のゲートバルブ10を介して、加熱殺
菌室3の上流部分である昇圧用調圧室2に接続されてい
る。又、加熱殺菌室3の下流部分は、第3のゲートバル
ブ30を介して、冷却室4の上流部分に接続されてい
る。又、冷却室4の下流部分は、第4のゲートバルブ4
0を介して、排出部6の上流部分である減圧用調圧室5
に接続されている。従って、食品導入部1の載置部11
から食品殺菌装置100に導入されたトレイ90は、押
出し装置13、14、26、34、42、45、52に
よって、予備加熱室12、昇圧用調圧室2、加熱殺菌室
3、冷却室4、減圧用調圧室5を経て、排出部6に搬送
される。
【0009】食品導入部1の載置部11には、図示しな
い供給手段によって、所定単位の殺菌すべき食品を収容
したトレイ90、90が2つ並列的に載置される。載置
部11の上流側には、載置部11に並列的に載置された
2つのトレイ90、90を、同時に、下流方向(X方
向)に搬送する第1の押出し装置13が設けられてい
る。この第1の押出し装置13は、伸縮自在の、T字形
押出しロッド13aを備え、該ロッド13aは、トレイ
90、90を並列状態で食品導入部1内下流方向(X方
向)に押し、これらを、予備加熱室12の下流端まで搬
送するストローク長を有する。又、予備加熱室12の下
流側端部の外方には、第2の押出し装置14が配置され
ている。より詳細には、該第2の押出し装置14は、予
備加熱室12の下流側端部をはさんで昇圧用調圧室2と
対向する、予備加熱室12の外方位置に配置されてい
る。この第2の押出し装置14は、前記第1の押出し装
置13と同様に、伸縮自在の、T字形押出しロッド14
aを備え、該ロッド14aが、前記第1の押出し装置1
3によるトレイ90の搬送方向と直交する方向(Y方
向)に、即ち、昇圧用調圧室2に向かって伸縮する。
又、ロッド14aの伸縮のストローク長は、予備加熱室
12の下流端部に延入し、前記第1の押出し装置13が
予備加熱室11の下流端部に搬送された2つのトレイ9
0、90をY方向に縦列状態で押して、昇圧用調圧室2
内に配置されたターンテーブル内に送込める長さに設定
される。
【0010】予備加熱室12は、大気開放(連通)状
態、即ち、常圧であり、その内部はトレイ90を並列的
に2つ並べ且つ下流方向に案内することができる寸法形
状を有する。更に、予備加熱室12には、図1に模式的
に示す予備加熱手段15が取付けられている。この予備
加熱手段15は、予備加熱室12内を脱気しつつ、該予
備加熱室12内に蒸気を供給するものである。昇圧用調
圧室2の上部には、蒸気を供給する蒸気供給パイプ21
が連結されている。この蒸気供給パイプ21は、オン−
オフ制御される制御バルブ22、蒸気を貯蔵する蒸気タ
ンク(加圧流体タンク)23を経てボイラ等の蒸気供給
源(図示せず)に連通されている。この蒸気供給パイプ
21は、前記蒸気供給源が発生させた蒸気を昇圧用調圧
室2に供給することによって、該昇圧用調圧室2の圧力
及び温度を加熱殺菌室3内の圧力まで上昇させる。蒸気
タンク23は、蒸気供給源から供給された蒸気を一時的
に貯めておくものであり、その容量は昇圧用調圧室2の
容量の5〜50倍、特に10〜30倍であるのが好まし
い。又、蒸気タンク23内の水蒸気圧力は、0.5〜3.0
kg/cm2 、特に1.0〜2.5 kg/cm2 (ゲージ圧)である
のが好ましい。制御バルブ22は、図示しない制御装置
によって、オン−オフ制御され、昇圧用調圧室2への蒸
気の供給を制御する。
【0011】昇圧用調圧室2内には、上下方向に延びる
軸線Zを中心に回動可能な、ターンテーブル24が配置
されている(図3、図4参照)。ターンテーブル24
は、長手方向の一側が開放した略直方体形状の箱体であ
り、トレイ90を内部に縦列状態で2つ収容できる寸法
を有する。従って、2つのトレイ90が、縦列状態で、
この開放した一側(開放部分24b)を通してターンテ
ーブル24に出入りできる。又、ターンテーブル24の
長手方向他端側の側壁の略中央には、略円形の孔24a
が形成されている。又、ターンテーブル24の頂板24
cは、ターンテーブル24内に収容されたトレイ90、
90の上方開口を覆っている。即ち、頂板24cは、昇
圧用調圧室2内に開口する蒸気供給パイプ21の開口端
21aと、ターンテーブル24内に収容されたトレイ9
0、90の上方の開口部分93との間に位置し、パイプ
21の開口端21aから吹き出す蒸気が、トレイ90の
開口部分93に直接吹きかかるのを防止する遮蔽板とな
る。ターンテーブル24の底部には回動シャフト25が
取付けられ、ターンテーブル24は該回転シャフト25
を中心にして回動できるようになっている。即ち、この
ターンテーブル24は、開放部分24bが予備加熱室1
2方向を向いた第1位置(図1及び図3)と開放部分2
4bが加熱殺菌室3方向を向いた第2位置との間で、9
0°回動する。第1位置では、開放部分24bを通し
て、第2の押出し装置14により昇圧用調圧室2方向
(Y方向)に押出した2つのトレイ90、90がターン
テーブル24内に収容でき、一方、第2位置では、開放
部分24bを通して、後述する第3の押出し装置26が
2つのトレイ90、90を、ターンテーブル24から加
熱殺菌室3内に押出せるようになっている。
【0012】更に、昇圧用調圧室2の加熱殺菌室3と反
対側の外方には、図4に示す第2位置に回動させられた
ターンテーブル24内のトレイ90、90を、加熱殺菌
室4に押出すための第3の押出し装置26が配置されて
いる。第3の押出し装置26の伸縮自在の押出しロッド
26aは、ターンテーブル24の壁に形成された孔24
aを通抜けられる寸法形状となっており、そのストロー
ク長は、図4に示す状態のターンテーブル24内に縦列
状態で収容された2つのトレイ90、90を、加熱殺菌
室4内に押出すのに十分な長さとされる。昇圧用調圧室
2の下流側に位置する加熱殺菌室3は、略円筒形状の細
長い室内空間を有し、該空間内には、長手方向に全長に
わたって2本のレール31a、31bが所定間隔をおい
て配置されている。第3の押出し装置26によって第3
の調圧室2から加熱殺菌室3に押出されたトレイ90、
90は、このレール31a、31b上を順次下流方向へ
移動するものであり、両レール31a、31bの間隔
は、トレイ90の底部分を保持できるように適宜選択さ
れる。又、レール31a、31bには、図3及び図4に
示すようなガイド部材35が所定間隔で取付けられ、ト
レイ90がレール31a、31bに沿って移動できるよ
うになっている。即ち、レール31a、31b及びガイ
ド部材35によって、加熱殺菌室3内に、トレイが一列
に送られるトレイ用搬送路が形成される。
【0013】加熱殺菌室3には、加熱殺菌室3内を所定
の圧力及び温度に維持するための加熱殺菌手段32が取
付けられている。図1に模式的に示す加熱殺菌手段32
は、加熱殺菌室3に、蒸気を供給するものであり、加熱
殺菌室3内の圧力及び温度を、0.45〜2.65 kg/c
m2 、好ましくは1.00〜2.15 kg/cm2 (ゲージ
圧)、120〜135℃程度に維持する。加熱殺菌室3
の下流側端部には、前記昇圧用調圧室2内に配置されて
いるターンテーブル24と同様のターンテーブル33が
配置されている。更に、加熱殺菌室3の下流側端部の、
冷却室4と反対の外方には、第3の押出し装置26と同
様の第4の押出し装置34が配置されている。ターンテ
ーブル33と押出し装置34とは、前記ターンテーブル
24と第3の押出し装置26と同様に機能する。上述の
ように、加熱殺菌室3の下流側端部は、加熱殺菌室3と
平行に延びるように配置された冷却室4の上流側端部と
第3のゲートバルブ30を介して接続されている。冷却
室4の上流側端部には、前記昇圧用調圧室2内に配置さ
れているターンテーブル24と同様のターンテーブル4
1が配置され、又、冷却室4の上流側端部の近傍には、
第3の押出し装置26と同様の第5の押出し装置42が
配置されている。ターンテーブル41と押出し装置42
は、それぞれ、前記ターンテーブル24と第3の押出し
装置26と同様に機能する。
【0014】冷却室4は、加熱殺菌室3と同様の構成を
有する。即ち、略円筒形状の細長い室内空間を有し、該
空間内には、長手方向に延びる2本のレール46a、4
6bが所定間隔をおいて配置されている。ターンテーブ
ル41に縦列状態で収容された2つのトレイは、第5の
押出し装置42によってこのレール46a、46b上を
順次下流方向へ移動するものであり、両レール46a、
46bの間隔は、トレイ90の底部分を保持できるよう
に適宜選択される。又、レール46a、46bにも、上
述したガイド部材35と同様のガイド部分(図示せず)
が所定間隔で取付けられ、トレイ90がレール46a、
46bに沿って移動できるようになっている。冷却室4
には、冷却室4内を所定の圧力及び温度に維持するため
の冷却手段43が取付けられている。図1に模式的に示
す冷却手段43は、例えば、冷却室4に、80℃の空気
を送入して冷却室4内を、1.8Kg/cm2、80℃程度の
圧力及び温度に維持する。冷却室4の下流側端部には、
前記昇圧用調圧室2内に配置されているターンテーブル
24と同様のターンテーブル44が配置され、又、冷却
室4の下流側端部の近傍には、第3の押出し装置26と
同様の第6の押出し装置45が配置されている。ターン
テーブル44と第6の押出し装置45とは、前記ターン
テーブル24と第3の押出し装置26と同様に機能す
る。
【0015】冷却室4の下流側端部にゲートバルブ40
を介して並列的に接続された減圧用調圧室5は、昇圧用
調圧室2とほぼ同様に形成されている。即ち、冷却室4
から送られたトレイ90を縦列的に受入れるターンテー
ブル51と、該ターンテーブル51内に縦列的に収容さ
れた2つのトレイ90、90を排出部6に押し出す第7
の押出し装置52とが設けられている。昇圧用調圧室2
との相違は、蒸気供給パイプ21の代わりに、空気供給
パイプ(図示せず)が設けられていることである。排出
部6の下流側にはベルトコンベア等の搬送手段70が設
けられ、排出部6まで搬送された殺菌済の食品をトレイ
90ごと包装工程(図示せず)に送る。尚、排出部6、
搬送手段70、包装工程等は、クリーンルーム内に配置
されている。包装工程では、食品をトレイ90から出し
て、殺菌済の製品の容器となる空容器に充填し、必要に
応じて殺菌済の液状食品を容器内に注入した後、容器を
シールする。尚、本発明においては蒸気とは、飽和蒸
気、過熱水蒸気、又は、加熱殺菌に用いられる種々の蒸
気全般を指す。
【0016】次に食品殺菌装置100の作動を説明す
る。先ず、図示しない供給手段によって、食品導入部1
の載置部11に食品を収容した2つのトレイ90、90
を並列状態で載置した後、第1の押出し装置13を作動
させ、並列状態のトレイ90、90を、押出しロッド1
3aで予備加熱室12の下流端部まで移動させる。予備
加熱室12内は、予備加熱手段15によって、蒸気が供
給されているので、予備加熱室12内を搬送される間
に、トレイ90に収容された食品の隙間の空気が蒸気に
入れ替わり、食品が予備加熱される。次いで、第2のゲ
ートバルブ20を閉鎖した状態で、第1のゲートバルブ
10を開いて昇圧用調圧室2を予備加熱室12と連通さ
せ、且つ、ターンテーブル24を第1位置即ち図1及び
図3に示す状態にする。次いで、第2の押出し装置14
のロッド14aを伸張させ、予備加熱室12の下流端ま
で並列状態で移動させられトレイ90、90を、昇圧用
調圧室2方向に縦列状態でターンテーブル24内に押込
む。この際、後方のトレイ90が前方のトレイ90の上
に乗り上げるおれがあるが、ターンテーブル24の頂板
24cにより、この乗り上げを防止できる。次いで、ロ
ッド14aを縮めるとともに、ターンテーブル24を反
時計回り方向に90°回転させて第2位置即ち図4に示
す状態にする。これと同時に或いはこれに続いて、第1
のゲートバルブ10を閉じて昇圧用調圧室2を閉鎖し、
制御バルブ22を開き、タンク70から昇圧用調圧室2
に、加圧された蒸気を導入し、昇圧用調圧室2内の圧力
を、加熱殺菌室3内の圧力と等しい圧力まで上昇させ
る。上述のように、ターンテーブル24の頂板24c
が、パイプ21の開口端21aとトレイ90の開口部分
93の間に位置しているので、パイプ21の開口端21
aから吹き出る蒸気が、トレイ90内の食品に直接あた
り、食品を吹飛ばすことがない。
【0017】次いで、第2のゲートバルブ20を開き、
第3の押出し装置26を作動させて、ロッド26aを伸
ばし、ターンテーブル24に収容されたトレイ90、9
0を、加熱殺菌室3のトレイ搬送路上に押出す。搬送路
上には、前の工程で押し出されたトレイが一列縦隊で並
んでいるので、新たに2つのトレイを搬送路上に押し出
すと、搬送路の最も下流にあるトレイ2つが、ターンテ
ーブル33側に押出されることになる。このときターン
テーブル33の開放部分を搬送路側に向けておき、押出
された2つのトレイ90、90をターンテーブル33内
に収容する。次いで、ターンテーブル33を時計回り方
向に90°回転させ、第3のゲートバルブ30を開くと
ともに、第4の押出し装置34を作動させロッド34a
を伸ばし、ターンテーブル33内のトレイ90、90を
冷却室4方向に押し、これら2つのトレイを、開放部分
が第4の押出し装置34方向に向いたターンテーブル4
1内に収容する。尚、昇圧用調圧室2から2つのトレイ
90、90が押し出された後、第2のゲートバルブ20
は直ちに閉鎖され、昇圧用調圧室2は、図示しない減圧
用バルブ等の減圧手段によって、大気圧(常圧)まで減
圧される。次いで、第1のゲートバルブ10が開かれ、
次の2つのトレイ90、90が、昇圧用調圧室2内に搬
入される。
【0018】次いで、第3のゲートバルブ30を閉鎖
し、ターンテーブル41を反時計回り方向に90°回転
させ、ターンテーブル41の開放部分を、冷却室4内の
搬送路方向に向ける。次いで、第5の押出し装置42を
作動させロッド42aを伸ばし、ターンテーブル41内
の2つのトレイ90、90を冷却室4内の搬送路上に送
りだす。冷却室4の搬送路には、トレイ90が一列縦隊
で並んだ状態であるので、第5の押出し装置42を作動
させると、加熱殺菌室3の場合と同様に、最も下流側の
トレイ2つが、開口部分が搬送路に向いたターンテーブ
ル44内に押し出される。次いで、ターンテーブル44
を時計回り方向に90°回転させる。更に、第5のゲー
トバルブ50を閉鎖し、且つ、ターンテーブル51の開
口部分が冷却室4を向くようにした状態(図1に示す状
態にした)で、空気供給パイプから減圧用調圧室5に空
気を供給して該調圧室5と冷却室4の圧力を等しくした
後、第4のゲートバルブ40を開いて減圧用調圧室5を
冷却室4と連通させ、そして、第6の押出し装置45の
ロッド45aを伸張させ、ターンテーブル44に縦列状
態で収容されたトレイ90、90を押し、ターンテーブ
ル51内に押し込む。
【0019】次いで、第6の押出し装置45のロッド4
5aを縮めて元の状態に戻すとともに、ターンテーブル
51を反時計回り方向に90°回転させてターンテーブ
ル5の開口部分を排出部6方向に向ける。これと同時に
或いはこれに続いて、第4のゲートバルブ40を閉じて
減圧用調圧室5を閉鎖し、図示しない減圧用バルブ等の
減圧手段を作動させ、減圧用調圧室5内の圧力を、大気
圧まで減圧する。次いで、第5のゲートバルブ50を開
くとともに、第7の押出し装置52を作動させてロッド
52aで、ターンテーブル51内に縦列状態で収容され
た2つのトレイ90、90を排出部6に押出す。排出部
6に出されたトレイ90は、べルトコンベア70によっ
て、包装工程等を行う次の工程(図示せず)に搬送され
る。上記第1実施例においては、蒸気タンク23を使用
することにより、下記のとおりに昇圧用調圧室の昇圧時
間が減少し、装置の運転効率が向上する。
【0020】
【表1】 表 1 タンク有り タンク無し 調圧時間 1秒以内 約20秒 サイクル時間 8.5秒 20秒 運転速度 約850個/時間 360個/時間 タンク無しの場合、調圧に約20秒要したのに対し、タ
ンクを用いると、調圧に1秒しか要しななくなり、36
0個/時間の処理速度が、850個/時間に改善され
る。次に、図5を参照して、本発明の第2実施例の食品
殺菌装置200について説明する。食品殺菌装置200
は、上述した第1実施例の食品殺菌装置100とほぼ同
じ構成を有するのため、対応する部分については、20
0番代の同一参照番号を付し、その説明を省略し、相違
点のみ説明する。図1及び図5から明らかなように、食
品殺菌装置100と食品殺菌装置200の相違点は、食
品導入部1、201と加熱殺菌室3、203と冷却室
4、204の接続方法である。食品殺菌装置100で
は、食品導入部1内でのトレイの進行方向と、加熱殺菌
室3内のトレイの進行方向と、冷却室4内でのトレイの
進行方向とが平行になるように食品導入部1と加熱殺菌
室3と冷却室4とが接続されている。このため、各接続
部分では、2つの押出し装置(例えば14及び26)と
ターンテーブル(例えば24)を使用することによっ
て、2つのトレイを”クランク”状に搬送している。
【0021】これに対して、食品殺菌装置200では、
食品導入部201内でのトレイの進行方向と加熱殺菌室
203内のトレイの進行方向とが直交するように、食品
導入部201と加熱殺菌室203とが互いに垂直に接続
され、更に、加熱殺菌室203内のトレイの進行方向と
冷却室204内でのトレイの進行方向とが直交するよう
に、加熱殺菌室203と冷却室204とが互いに垂直に
接続されている。その結果、昇圧用調圧室202内では
ターンテーブルが不要になり、更に、各接続部分に、押
出し装置(214、234、245)を1つづつ設ける
だけでトレイを次の工程に送ることが出来る。図6は、
上記第1及び第2実施例の食品殺菌装置100、200
の変形例の食品殺菌装置300の上流側部分を概略的に
示す。食品殺菌装置100と共通する部分は、300番
代の対応する参照番号を付し、説明を省略する。上述し
たように、食品殺菌装置100、200は、食品を収容
したトレイ90を、1列縦隊で、2つづつ、順次、次の
工程に送るものであった。これに対し、この変形例で
は、9個のトレイを3×3(3行3列)に配列し、これ
を一単位として、押出し装置(313、314、416
等)によって次工程に送るものである。このため、各接
続部分において、ターンテーブルが不要となる。
【0022】しかしながら、本実施例では、トレイの3
×3配列を維持しつ該トレイ90を送出すため、第2押
出し装置314のロッド314aの先端がL字状に形成
されている(図7)。従って、第1の押出し装置313
のT字状のロッド313aによって予備加熱室312の
最下流部に押されたトレイ90は、このL字状の先端を
有するロッド314aによって、3×3の配列を維持し
つつ、昇圧用調圧室302方向に押し出される。又、ロ
ッド314aのL字状先端の立上がり部分314bに対
向した予備加熱室302の最下流側の壁316には、2
つのパッド即ち受け部317、317が取付けられてい
る。この受け部317、317は、9個のトレイが、第
1の押出し装置313のロッド313aによって、第2
の押出し装置314のロッド314に押しつけられたと
き、第2の押出し装置314のロッド314aのL字状
の先端の立上がり部314bが、壁316側に向かって
歪むことを防止する。又、第3の押出し装置326のロ
ッド326aの先端はT字状に形成され、3×3に配列
された9個のトレイ90を加熱殺菌室303に送る。更
に、予備加熱室312と昇圧用調圧室302の間の第1
のゲートバルブ310の昇圧用調圧室302側には、T
字状の整列部材327が取付けられている。整列部材3
27は、ゲートバルブ310と略平行に下方に向かう折
曲り部分327aを有する(図8参照)。この整列部材
327は、第3の押出し装置326のロッド326aに
よって、トレイが加熱殺菌室303方向に押されると
き、T字状のロッド326a先端と協働して、トレイの
位置の乱れを防止する。即ち、9個のトレイは、ロッド
326aの先端のT字状部と整列部材327によって、
3×3の配列を維持しつつ、昇圧用調圧室302から加
熱殺菌室303に搬送される。
【0023】更に、昇圧用調圧室302には、遮蔽板3
28が設けられている。この遮蔽板328は、昇圧用調
圧室302内に開口する蒸気供給パイプの端(図示せ
ず)と、昇圧用調圧室302に収容されたトレイ90の
開口部分93の間に位置し、蒸気供給パイプの端から供
給される蒸気が、トレイ90内の食品に直接あたらない
ようにする。又、整列部材327は、図9に示すよう
に、下方に向かう折れ曲がり部分327’aが、ゲート
バルブ320に向かって徐々に接近するようになってい
てもよい。尚、この第3実施例では、各押出し装置のス
トロークは、3×3に配列されたトレイ90を、次工程
に送り出すのに十分な長さである。上記各実施例は、食
品を図2に示すトレイに収容して殺菌する食品殺菌装置
であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、密
閉容器に収容された食品の殺菌装置についても適用でき
る。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、加熱用調圧室内の圧力
を加熱殺菌室内の圧力まで上昇させる時間を短縮できる
ので、食品殺菌装置の運転効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例の食品殺菌装置の概略的
な構成を示す図面である。
【図2】 本発明の第1乃至第3実施例の食品殺菌装置
で用いる、食品を収容するためのトレイの斜視図であ
る。
【図3】 本発明の第1実施例の食品殺菌装置の昇圧用
調圧室内の第1位置にあるターンテーブルを示す概略構
成図である。
【図4】 本発明の第1実施例の食品殺菌装置の昇圧用
調圧室内の第2位置にあるターンテーブルを示す概略構
成図である。
【図5】 本発明の第2実施例の食品殺菌装置の概略的
な構成を示す図面である。
【図6】 本発明の第3実施例の食品殺菌装置の予備加
熱室及び昇圧用調圧室の概略的な構成を示す図面であ
る。
【図7】 本発明の第3実施例の食品殺菌装置の第2の
押出し装置のロッドの斜視図である。
【図8】 本発明の第3実施例の食品殺菌装置の昇圧用
調圧室の概略を示す縦断面図である。
【図9】 本発明の第3実施例の食品殺菌装置の昇圧用
調圧室で用いられる整列部材の変形例を示す縦断面図で
ある。
【符号の説明】
1 食品導入部 2 昇圧用調圧室 3 加熱殺菌室 4 冷却室 5 減圧用調圧室 6 排出部 21 蒸気供給パイプ 22 制御バルブ 23 蒸気タンク 24 ターンテーブル 90 トレイ 100 食品殺菌装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−67595(JP,A) 特開 平5−254523(JP,A) 特開 昭64−51069(JP,A) 特開 昭61−108358(JP,A) 特開 昭55−88686(JP,A) 特開 昭51−42391(JP,A) 特開 昭49−71177(JP,A) 実開 平5−68294(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 3/04 A23L 3/015

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気連通の食品導入部と、食品を大気圧
    より高い圧力下で加熱殺菌する加熱殺菌室とが連続的に
    配設された食品殺菌装置であって、前記食品導入部と前
    記加熱殺菌室との間に、第1の密閉ゲートを介して前記
    食品導入部の下流部分に、第2の密閉ゲートを介して前
    記加熱殺菌室の上流部分に、それぞれ、連結された昇圧
    用調圧室を設け、該昇圧用調圧室に加圧流体を供給する
    加圧流体供給源と前記昇圧用調圧室との間を結ぶ加圧流
    体供給パイプに加圧流体タンクを介在させた、ことを特
    徴とする食品殺菌装置。
  2. 【請求項2】 前記加圧流体タンクの容積が、前記調圧
    室の容積の10〜30倍である、請求項1に記載の食品
    殺菌装置。
  3. 【請求項3】 大気連通の食品導入部と、昇圧用調圧室
    と、食品を大気圧より高い圧力下で加熱殺菌する加熱殺
    菌室とが連続的に配設され、開口部分を有する開放容器
    に収容された食品が前記食品導入部から前記加熱殺菌室
    に連続的に搬送される食品殺菌装置であって、前記食品
    導入部の下流部分と前記昇圧用調圧室とが密閉ゲートを
    介して連結され、前記加熱殺菌室の上流側部分と前記昇
    圧用調圧室とがもう一つの密閉ゲートを介して連結さ
    れ、前記昇圧用調圧室に加圧流体を供給する加圧流体供
    給源と前記加熱用調圧室との間を結ぶ加圧流体供給パイ
    プに加圧流体タンクを介在させた、ことを特徴とする食
    品殺菌装置。
  4. 【請求項4】 大気連通の食品導入部と、昇圧用調圧室
    と、食品を大気圧より高い圧力下で加熱殺菌する加熱殺
    菌室と、加熱殺菌された食品を冷却する冷却室と、減圧
    用調圧室と、食品を排出する排出部とが、それぞれ、密
    閉ゲートを介して連続的に連結され、開口部分を有する
    剛性容器に収容された食品を連続的に殺菌処理する食品
    殺菌装置であって、前記食品導入部と前記加熱殺菌室と
    前記冷却室と前記排出部とが、互いに垂直或いは平行に
    配置され、前記食品導入部と前記昇圧用調圧室と前記加
    熱殺菌室と前記冷却室と前記減圧用調圧室と前記排出部
    の上流側に、それぞれ、前記剛性容器を下流側方向に押
    出す押出し装置が設けられ、各押出し装置のストローク
    長が、前記剛性容器1個分の大きさ以上であり、更に、
    前記昇圧用調圧室に加圧流体を供給する加圧流体供給源
    と前記加熱用調圧室との間を結ぶ加圧流体供給パイプに
    加圧流体タンクを介在させた、ことを特徴とする食品殺
    菌装置。
  5. 【請求項5】 前記加圧流体タンクの容積が、前記調圧
    室の容積の10〜30倍である、請求項3又は請求項4
    に記載の食品殺菌装置。
  6. 【請求項6】 前記昇圧用調圧室内に開口する前記加圧
    流体供給パイプの開口端と、前記開放容器の開口部分と
    の間に加圧流体遮蔽手段が設けられている、請求項3又
    は請求項4に記載の食品殺菌装置。
  7. 【請求項7】 前記開放容器が上方に向かって開放した
    開口部分を有する有底円筒状の容器であり、前記加圧流
    体遮蔽手段が前記開放容器の開口部分を覆う遮蔽部分を
    有する、請求項6に記載の食品殺菌装置。
  8. 【請求項8】 前記加圧流体遮蔽手段が、前記剛性容器
    を収容する箱形のターンテーブルである、請求項6に記
    載の食品殺菌装置。
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