JP3006852B2 - 含塩素樹脂用粉末安定剤 - Google Patents

含塩素樹脂用粉末安定剤

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、含塩素樹脂用粉末安定剤に関し、詳しく
は、過塩素酸の第I a族金属塩、特定の無機化合物及び
有機物粉末を特定の割合で混合したことを特徴とする、
その取扱の安全な含塩素樹脂用粉末安定剤に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
塩化ビニル樹脂に代表される含塩素樹脂は、安価であ
り、また、耐候性、成形性、ガスバリヤ性に優れる等の
特徴を有しており、従来から、フィルム、シート、各種
成形品等として広く使用されている。
しかしながら、含塩素樹脂は熱安定性に乏しく、加工
時あるいは使用時の加熱により、着色したりあるいは機
械的強度が低下することが知られている。
このような不利益を避けるために、一種または数種の
安定剤を添加し、このような劣化を防止することが行わ
れており、従来から、Cd/Ba系、Ba/Zn系、Ca/Zn系の有
機酸の金属塩、無機酸の金属塩、有機錫化合物等が用い
られていた。
しかしながら、これらの安定剤は基本熱安定剤とし
て、長期の熱安定性を改善する効果は比較的大きいが、
着色性の改善等の点では全く不充分であり、各種の安定
化助剤、例えば、エポキシ化合物、多価アルコール類、
有機リン化合物、有機イオウ化合物、フェノール化合
物、β−ジケトン化合物等を併用することが提案されて
いるが、まだ、十分とは言えず、更に改善する必要があ
った。
近年、ハロゲン酸素酸の金属塩、特に過塩素酸の金属
塩が、含塩素樹脂の着色性等を改善する効果が極めて大
きいことが見出され、基本熱安定剤である有機酸または
無機酸の金属塩等と併用することが提案されている。
例えば、特開昭53−11948号公報には有機酸の金属塩
との併用が提案され、特開昭53−13659号公報には塩基
性無機酸塩との併用が提案され、特開昭58−122951号公
報にはハイドロタルサイト類との併用が提案され、また
特開昭61−34042号公報にはゼオライト類との併用が提
案されている。
これらのハロゲン酸素酸の金属塩は火薬工業等で用い
られる化合物であり、消防法においても、第1類の酸化
性固定として規定される危険物であり、同法の規定によ
りその貯蔵、輸送等に際しては厳しい制約を受けるもの
であり、含塩素樹脂の安定剤として用いる場合にも、そ
の取扱には安全面への細心の注意が必要とされていた。
近年、化学工業における安全面での改善が強く要望さ
れるようになり、含塩素樹脂の加工においても爆発の危
険性のある素材の使用を避けることが必要となった。
しかしながら、過塩素酸金属塩の含塩素樹脂用安定剤
としての効果は著しく、これに代替しえる安定剤の開発
は極めて困難なため、過塩素酸金属塩を含有し、しか
も、爆発の危険のない安定剤を見出すことが強く望まれ
ていた。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、上記の現状に鑑み、過塩素酸金属塩を
含有し、しかも、爆発の危険のない安定剤を見出すべく
鋭意検討を重ねた結果、過塩素酸の第I a属金属塩それ
自身は爆発を起こす可能性のある危険物に該当するが、
これを危険物に該当しない他の成分と混合した場合には
その危険性を低減できる場合のあることを知見した。本
発明者等は、この知見に基づき更に検討を加えた結果、
過塩素酸の第I a属金属塩を含む混合物の危険性は、過
塩素酸の第I a属金属塩の含有量にも影響を受けるが、
それ以上に他の成分の種類による影響が大きいこと、過
塩素酸の第I a族金属塩と混合する成分として無機物粉
末のみを用いた場合には、過塩素酸の第I a族金属塩の
含有量を低減させてもその危険性はそれほど低減せず、
これに更に有機物粉末を加えた三成分系とすることによ
りその危険性が著しく低減することができることを知見
した。
本発明者等は、上記知見に基づき、爆発の危険性がな
いばかりでなく、含塩素樹脂の安定剤として用いた場合
に、その安定化効果に有害な影響を与えることのない無
機物粉末及び有機物粉末について更に検討を重ねた結
果、無機物粉末として、それ自身含塩素樹脂の安定剤と
して有用なハイドロタルサイト類またはゼオライト類を
用い、これと有機物粉末の三成分を特定の比率で混合す
ることにより、爆発の危険性がなく、しかも含塩素樹脂
の安定剤として有用な粉末安定剤が得られることを見出
した。
また、上記三成分からなる混合物において、有機物粉
末として、それ自身含塩素樹脂の安定剤、滑剤等の添加
剤として有用な有機化合物または含塩素樹脂等の合成樹
脂の粉末を用いた場合は、含塩素樹脂の安定性を損なう
ような有害成分を含まないばかりか、全ての成分が安定
化あるいは加工性の改善等に有用な成分あるいは安定化
される含塩素樹脂自体から成っているので、過塩素酸金
属塩を含有する含塩素樹脂用粉末安定剤として極めて有
用である。
即ち、本発明は、(a)過塩素酸の第I a族金属塩1
〜40重量%、(b)ハイドロタルサイト類及びゼオライ
ト類の少なくとも一種5〜45重量%、及び、(c)有機
物粉末の少なくとも一種25〜90重量%からなる組成(添
付図面の点A,B′,C,D,E,Fで囲まれた範囲の組成)のう
ち、添付図面の点A,B,C,D,E,Fで囲まれた範囲の組成を
有する、含塩素樹脂用粉末安定剤を提供するものであ
る。
以下、上記要旨をもってなる本発明について更に詳細
に説明する。
本発明で用いられる(a)成分の過塩素酸の第I a族
金属塩としては、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウ
ム、過塩素酸リチウム、過塩素酸セシウムがあげられ、
これらは、無水塩であっても含水塩であってもよい。
本発明で用いられる(b)成分のハイドロタルサイト
類はマグネシウムとアルミニウムの炭酸複塩化合物であ
り、これらは、天然ハイドロタルサイト及び合成ハイド
ロタルサイトを包含する。合成ハイドロタルサイトは次
の式で表される化合物であり、マグネシウム、亜鉛及び
アルミニウムの比率は指定された範囲内で任意に変化さ
せることができ、また、含まれる結晶水の量も加熱脱水
の程度によって任意に変化させることができる。
Mgx・Zny・Alz・(OH)・(CO3x/2・mH2O (式中、xは0.3≦x<1、yは0≦y<0.5、zは0<
z≦0.5の範囲の実数であり、また、x+y=1−zで
あり、mは結合した結晶水のモル数を示し、0または任
意の正数を示す。) 本発明で用いられる(b)成分のゼオライト類は、三
次元ゼオライト結晶構造を有するアルミノケイ酸塩であ
り、代表例としては、A型、X型、Y型及びP型ゼオラ
イト、モルデナイト、アナルサイト、ソーダライト族ア
ルミノケイ酸塩、クリノブチロライト、エリオナイト及
びチャバサイト等、並びにこれらのアルミノケイ酸塩の
第I a族金属イオンの一部または全部が第II族または第I
V族金属イオンでイオン交換された金属置換型をあげる
ことができる。また、これらのゼオライト類は、結晶水
を有するものであってもまたは結晶水を除去した無水物
であってもよい。
本発明で用いられる(c)成分の有機物粉末として
は、各種の有機物粉末が使用できるが、特に、それ自身
含塩素樹脂の安定剤、滑剤等の添加剤として有用な有機
化合物または含塩素樹脂等の合成樹脂粉末を用いること
が好ましい。
それ自身含塩素樹脂の安定剤、滑剤等の添加剤として
有用な有機化合物としては、室温で固体の添加剤を用い
ることができ、例えば、脂肪族及び/または芳香族モノ
カルボン酸の第II族金属塩;多価アルコール類、多価ア
ルコールと脂肪酸または芳香族モノカルボン酸及び/ま
たは脂肪族または芳香族ジカルボン酸との部分エステル
類;2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系、2−
ヒドロキシベンゾフェノン系等の光安定剤;β−ジケト
ン化合物;エポキシ化合物;高級脂肪族カルボン酸、高
級脂肪族アルコール、グリセリンまたはグリコール類の
高級脂肪族のエステル、二塩基酸の高級アルコールエス
テル、ワックス等の滑剤;等があげられる。
脂肪族及び/または芳香族モノカルボン酸の第II族金
属塩としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクチル
酸、デカン酸、ネオデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、安息
香酸、トルイル酸、第三ブチル安息香酸等の脂肪族及び
芳香族モノカルボン酸のカルシウム、マグネシウム、バ
リウム、ストロンチウム、亜鉛等の金属塩があげられ
る。
多価アルコール類、多価アルコールと脂肪族または芳
香族モノカルボン酸及び/または脂肪族または芳香族ジ
カルボン酸との部分エステル類としては、トリメチロー
ルエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロール
プロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリト
ール、ソルビトール、マニトール等の多価アルコール類
及び上記多価アルコール類とパルミチン酸、ステアリン
酸等のモノカルボン酸及び/またはコハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、テレフタ
ル酸等のジカルボン酸との部分エステルがあげられる。
2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系、2−
ヒドロキシベンゾフェノン系等の光安定剤としては、2
−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−
3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベ
ンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ジ
(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリア
ゾール、2,2′−メチレンビス〔4−第三オクチル−6
−(2−ベンゾトリアゾリル)〕フェノール、2,4−ジ
ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシ
ベンゾフェノン、5,5′−メチレンビス(2−ヒドロキ
シ−5−メトキシベンゾフェノン)等があげられる。
β−ジケトン化合物としては、ジベンゾイルメタン、
ステアロイルベンゾイルメタン、デヒドロ酢酸等があげ
られる。
エポキシ化合物としては、エピビス型またはノボラッ
ク型のエポキシ樹脂、トリス(2.3−エポキシプロピ
ル)イソシアヌレート、ジグリシジルテレフタレート、
ハイドロキノンジグリシジルエーテル、グリシジルメタ
クリレート共重合体等があげられる。
滑剤としては、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ステア
リルアルコール等の高級アルコール、グリセリンモノス
テアレート、ネオペンチルグリコールジステアレート、
フタル酸ジステアリル、アジピン酸ジステアリル等のエ
ステル類、モンタンワックス、パラフィンワックス、ポ
リエチレンワックス等のワックス類、ステアリン酸アミ
ド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスス
テアリン酸アミド等があげられる。
また、本発明の(c)成分として用いることのできる
含塩素樹脂等の合成樹脂粉末は、安定化の対象となる含
塩素樹脂と同種のものあるいは加工性、耐衝撃性等を改
善される目的で用いられるものを用いることが好まし
く、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと共重合可能
な他のモノマーとの共重合体(塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル
−プロピレン共重合体、塩化ビニル−無水マレイン酸共
重合体、塩化ビニル−N−フェニルマレイミド共重合
体、塩化ビニル−N−シクロヘキシルマレイミド共重合
体、塩化ビニル−エチルアクリレート共重合体、塩化ビ
ニル−ウレタン共重合体、塩化ビニル−エチレン−ビニ
ルアルコール共重合体等)、ポリ塩化ビニリデン、塩素
化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ABS樹脂、MBS
樹脂等があげられる。
本発明の粉末安定剤における、(a)過塩素酸の第I
a族金属塩、(b)ハイドロタルサイト類及びゼオライ
ト類の少なくとも一種、及び、(c)有機物粉末の少な
くとも一種の混合比は、安全性及び安定剤としての効果
の点から限定されるものであり、(a)成分1〜40重量
%、(b)成分5〜45重量%、(c)成分25〜90重量%
からなる組成(添付図面の点A,B′,C,D,E,Fで囲まれた
範囲の組成)のうち、添付図面の点A,B,C,D,E,Fで囲ま
れた範囲の組成であることが必要であり(添付図面の点
B,B′,Cで囲まれた範囲の組成は本発明の範囲外であ
る)、特に、上記範囲の組成のうち、(a)成分5〜35
重量%、(b)成分10〜40重量%、(c)成分30〜85重
量%からなる組成のものが、安全性及び安定化効果の点
で好ましい。
(a)成分が1重量%未満では、所望の効果を奏する
ために添加する安定剤の量が多くなりすぎることとな
り、また、40重量%超では安全性の面で問題がある。ま
た、(b)成分あるいは(c)成分の量が上記の範囲以
外の場合には安全性の面で問題が生ずる。
本発明の上記三成分からなる粉末安定剤の粒径は、特
に制限を受けないが、一般には約1μ〜約100μ程度と
することが含塩素樹脂への分散性等の観点から好まし
い。また、本発明の粉末安定剤の調製方法は通常の粉末
安定剤の調製方法を適用することができ、例えば、各成
分を各々粉砕した後所定量混合する方法、各成分を所定
量混合した後粉砕する方法、任意の二成分を所定量混合
粉砕した後残りの成分を混合する方法等があげられる
が、安全性の観点からは、(a)成分の過塩素酸の第I
a族金属塩と(b)成分とを混合粉砕後(c)成分を混
合粉砕するか、あるいは、(a)成分と(b)成分とを
混合粉砕し、これと、別途粉砕した(c)成分の粉末と
を混合する方法が好ましい。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
しかしながら、本発明は以下の実施例によって制限を受
けるものではない。
実施例−1 (a)成分として過塩素酸ナトリウム、(b)成分と
しては合成ハイドロタルサイト(DHT−4A:協和化学製)
及び(c)成分としてポリ塩化ビニル樹脂を用い、その
比率を変えて、消防法に規定する落球式打撃感度試験及
び燃焼試験を行った。
落球式打撃感度試験は「反応性化学物質と火工品の安
全」(大成出版社、1988年11月28日発行)136〜139頁に
記載の方法に従って、燃焼試験は同書148〜150頁に記載
の方法に従って行った。その概要は以下の通りである。
I.落球式打撃感度試験 (1)塩素酸カリウムとの比較 塩素酸カリウムを用いた場合の50%爆点から鋼球を10
回落下させ、全て爆の場合は試験を終了し(ケース
A)、全て不爆の場合は次の試験(2)を行う。10回の
落下において爆と不爆の両方が生じた場合は更に30回
(合計40回)鋼球を落下させる(ケースB)。
(2)硝酸カリウムとの比較 硝酸カリウムを用いた場合の50%爆点から鋼球を10回
落下させ、全て爆の場合(ケースC)及び全て不爆の場
合(ケースD)は試験を終了する。10回の落下において
爆と不爆の両方が生じた場合は更に30回(合計40回)鋼
球を落下させる(ケースE)。
(3)判定 ケースA:ランクI ケースB:爆の回数20回以上 ランクI 爆の回数20回未満 ランクII ケースC:ランクII ケースD:ランクIII ケースE:爆の回数20回以上 ランクII 爆の回数20回未満 ランクIII II.燃焼試験 (1)燃焼時間の測定 標準物質として臭素酸カリウム(A)及び過塩素酸カ
リウム(B)を用い、標準物質と木粉とを1:1で混合
し、その燃焼時間を各々測定し、燃焼時間A及び燃焼時
間Bとする。
試験物と木粉を1:1及び8:2で混合し、これらの燃焼時
間を測定し、時間の短い方を燃焼時間Sとする。
(2)判定 燃焼時間S≦燃焼時間A :ランクI 燃焼時間A<燃焼時間S≦燃焼時間B :ランクII 燃焼時間B<燃焼時間S :ランクIII III.総合判定 上記の落球式打撃感度試験及び燃焼試験の結果を総合
して、次の基準により危険物に該当するか否かを判定し
た。
上記の試験において、*4と判定された場合には爆発
の危険性がなく安全に使用できるが、*1、*2及び*
3と判定された場合は、危険物であり、塩素含有樹脂の
安定剤として安全に使用できるものではない。
(a)、(b)及び(c)三成分の配合割合(重量
比)及びその試験結果を次の表−1に示す。
実施例2 (a)成分としては過塩素酸ナトリウム5重量%、
(b)成分としては合成ハイドロタルサイト(DHT−4
A)10重量%、(c)成分として、有機酸金属塩化合物
等の含塩素樹脂用安定剤として用いられる化合物を用い
た三成分系の粉末安定剤を用い、実施例1と同様の試験
を行った。
また、比較のため、(a)過塩素酸ナトリウム10重量
%、(b)合成ハイドロタルサイト(DHT−4A)50重量
%及び有機酸金属塩40重量%を用いた場合(比較例2−
1)、(a)過塩素酸ナトリウム20重量%、(b)合成
ハイドロタルサイト(DHT−4A)50重量%及び有機酸金
属塩30重量%を用いた場合(比較例2−2)についても
同様な試験を行った。
その結果を次の表−2に示す。
実施例3 (a)成分としては過塩素酸ナトリウム10重量%、
(b)成分としてはハイドロタルサイト類またはゼオラ
イト類30重量%、(c)成分として、ステアリン酸バリ
ウム20重量%、ラウリン酸亜鉛10重量%及びポリ塩化ビ
ニル樹脂30重量%を用いた三成分系の粉末安定剤を用
い、実施例1と同様の試験を行った。
その結果を次の表−3に示す。
尚、表−3中、アルカマイザーI及びIIは協和化学製
合成ハイドロタルサイトであり、アルカマイザーIVは亜
鉛置換(マグネシウム:亜鉛=3:1)型合成ハイドロタ
ルサイトである。
上述の実施例及び比較例の組成を図面中に点ア〜ツと
して示した。
点ア〜クは各々比較例1−1〜1−8における各成分
の配合割合を示し、点ケ〜セは各々実施例1−1〜1−
6における各成分の配合割合を示し、点ソは実施例2−
1〜2−6における各成分の配合割合を示し、点タ及び
チは各々比較例2−1及び2−2における各成分の配合
割合を示し、点ツは実施例3−1〜3−8における各成
分の配合割合を示す。
以上の結果から明らかなように、過塩素酸の第I a族
金属塩自体あるいはこれと無機化合物の二成分の混合物
は危険物であり、また、過塩素酸の第I a族金属塩、無
機化合物及び有機物粉末を混合した場合にも危険物に該
当する場合があり、安全上問題のある安定剤であること
は明らかである。
これに対し、特定の三成分を特定の割合で混合した本
発明の安定剤は、その危険性が著しく減少し、過塩素酸
の第I a族金属塩を含有しているにも係わらず、危険物
に該当しない極めて安全な粉末安定剤であることが明ら
かである。
このことは、これら三成分系の粉末安定剤には、安全
性の点で特異的な配合比率が存在することを示すもので
ある。
また、本発明の粉末安定剤は、含塩素樹脂の安定剤、
滑剤等の添加剤成分あるいは含塩素樹脂自体から成って
いるので、爆発等の危険性のない、過塩素酸の第I a族
金属塩を含む含塩素樹脂用粉末安定剤として極めて有用
である。
〔発明の効果〕
本発明の含塩素樹脂用粉末安定剤は、過塩素酸の第I
a族金属塩を含有しているにも係わらず、危険物に該当
しない極めて安全なもので、且つ安定化効果に優れたも
のである。
【図面の簡単な説明】 図面は、本発明の三成分系の配合割合を示す三角グラフ
であり、図中、点A,B,C,D,E,Fで囲まれた範囲が本発明
の粉末安定剤の組成を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−122951(JP,A) 特開 平3−103451(JP,A) 特開 昭53−13659(JP,A) 特開 平1−236252(JP,A) 特開 昭61−34042(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 27/04 C08K 3/24 C08K 3/34 C08K 5/09

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)過塩素酸の第I a族金属塩1〜40重
    量%、(b)ハイドロタルサイト類及びゼオライト類の
    少なくとも一種5〜45重量%、及び、(c)有機物粉末
    の少なくとも一種25〜90重量%からなる組成のうち、添
    付図面の点A,B,C,D,E,Fで囲まれた範囲の組成を有す
    る、含塩素樹脂用粉末安定剤。
  2. 【請求項2】過塩素酸の第I a族金属塩が過塩素酸ナト
    リウムである、請求項(1)記載の含塩素樹脂用粉末安
    定剤。
  3. 【請求項3】有機物粉末が含塩素樹脂粉末である、請求
    項(1)記載の含塩素樹脂用粉末安定剤。
  4. 【請求項4】有機物粉末が含塩素樹脂用添加剤として用
    いられる有機化合物である、請求項(1)記載の含塩素
    樹脂用粉末安定剤。
  5. 【請求項5】有機物粉末が有機モノカルボン酸の第II族
    金属塩である、請求項(1)記載の含塩素樹脂用粉末安
    定剤。
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