JP3004471B2 - 高耐食性電気亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

高耐食性電気亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JP3004471B2 JP4121813A JP12181392A JP3004471B2 JP 3004471 B2 JP3004471 B2 JP 3004471B2 JP 4121813 A JP4121813 A JP 4121813A JP 12181392 A JP12181392 A JP 12181392A JP 3004471 B2 JP3004471 B2 JP 3004471B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はCrと鉄族金属を含有す
る高耐食性電気亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電気亜鉛めっき鋼板は、自動車、家電、
建材用途を中心に広く使用されている。このうち、自動
車用途では、寒冷地帯における冬期の道路凍結防止用の
散布岩塩による車体腐食を防止するために、より高度な
耐食性が要求されている。亜鉛めっき鋼板の耐食性向上
は、亜鉛のめっき量(付着量)の増加で可能であるが、
これは溶接性や加工性の点で問題が多い。そこで亜鉛そ
のものの溶解を抑制し亜鉛めっきの寿命を延ばす方法と
して、多くの合金めっきが提案されている。中でもF
e、Ni、Coを合金成分として含有するZn系合金め
っきは、その良好な裸耐食性や塗装後耐食性が認めら
れ、実用化されている。また、特開昭61−27039
8号公報、特開昭62−54099号公報、特開平3−
120393号公報などに開示されているように、Zn
ないしZn系合金めっき中にCrを含有させる試みもな
されているが、耐食性においてZn−Ni合金めっきや
Zn−Fe合金めっきを凌駕するには到っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】亜鉛と共にCrを析出
させる試みはCr3+やCr6+イオンを用いて従来から行
なわれているが、単純浴からは微量のCrが析出するの
みであり、Cr濃度や電流密度の増加によって数%のC
rを析出させても、良好な外観が得られないだけでな
く、加工性や電流効率の著しい低下を伴い工業的に有利
な方法はなかった。本発明は、上記問題点を解決し、C
rと鉄族金属を含有する高耐食性電気亜鉛めっき鋼板の
製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、(1)
Crと鉄族金属を含有する電気亜鉛めっき鋼板を製造す
るに際し、Zn2+イオン、Cr3+イオン、鉄族金属2価
イオン、及び0.1〜10g/lのバニリンもしくはそ
の誘導体を含有するめっき浴を用いて、電気めっきする
ことを特徴とする高耐食性電気亜鉛めった鋼板の製造方
法、および(2)Crと鉄族金属を含有する電気亜鉛め
っき鋼板を製造するに際し、Zn2+イオン、Cr3+イオ
ン、鉄族金属2価イオン、及び0.1〜10g/lのバ
ニリンもしくはその誘導体と0.01〜20g/lのカ
チオンポリマーを含有するめっき浴を用いて、電気めっ
きすることを特徴とする高耐食性電気亜鉛めっき鋼板の
製造方法である。
【0005】
【作用】従来Zn2+イオンとCr3+ないしはCr6+イオ
ンからなる単純浴を使用しても微量のCrが析出するの
みであり、Cr濃度や電流密度の増加によって数%のC
rを析出させても、実用に耐えるめっきが得られなかっ
た。しかるに、Cr3+イオンを含む亜鉛系めっき浴中に
バニリンもしくはバニリンの誘導体をCr析出促進剤と
して添加することにより、この問題は解決され、多量の
Crを含む高度の耐食性を有するめっきが得られるよう
になる。この理由は、バニリンがCr3+イオンと錯体を
形成し、Zn2+イオンの放電を抑制しつつCr3+イオン
の放電を容易ならしめるためと推定される。バニリンも
しくはバニリンの誘導体の添加濃度は0.1〜10g/
lとする。0.1g/l未満ではCr析出効果が十分で
はなく、10g/lを超えるとめっき浴に溶解し難くな
るので実用的ではない。ここで、バニリンはC883
で示される有機化合物であり、
【0006】
【化1】
【0007】バニリンの誘導体とはバニリン酸、バニリ
ンオキシム、あるいはこれらのエステル類などを含む。
バニリンとその誘導体は単独、もしくは複合で用いられ
てよい。めっき浴中には、これらバニリン類の他にさら
にカチオンポリマーを0.01〜20g/l添加しても
よく、これにより外観品位を向上させることができる。
また、Cr析出に対してもより有利である。かチオンポ
リマーとしては、4級アミンの塩を主鎖に含むポリマー
が効果的である。平均分子量としては102〜105が好
ましい。
【0008】次に示すアミンポリマーの内、ポリアミン
スルホン(PASと略)、及びポリアミン(PAと略)
が最も効果的である。この理由としては、アミン基によ
る陰極面への吸着作用とスルホン基へのCr3+イオンの
配位結合が寄与していると考えられる。これらは基本的
には次に示す4級アミンの塩(アンモニウム塩)を主鎖
に含むホモポリマーあるいはコポリマーで構成されてい
る。
【0009】
【化2】
【0010】
【化3】
【0011】
【化4】
【0012】R1、R2は低級アルキル基を示し、XはC
- 、HSO4 -、H2PO4 -、R−SO3 -(RはC1〜C
4のアルキル基)、NO3 -のアニオンを示す。この他、
1、2、3級アミンのポリマーも前述の4級アミンポリ
マーには及ばないが効果がある。
【0013】めっき浴としては、硫酸塩浴、塩化物浴、
これらの混合浴何れも適用できる。金属イオン濃度につ
いては、Zn2+イオン、Cr3+イオン、鉄族金属2価イ
オンの合計で30〜200g/lが好ましい。30g/
l未満では高電流密度でイオンの供給不足となりやす
く、結果的にめっき焼けを生じやすい。200g/lを
超えると、ドラッグアウトによるイオンの浪費が無視で
きなくなると共に、液温が低くなった場合の結晶化の懸
念を生じる。その他のめっき条件については、特に制約
されるものではないが、pH0.5〜3、浴温40〜7
0℃、液流速1m/min以上、電流密度20A/dm
2以上が好ましい範囲であり、目的とするめっき組成、
電流効率を考慮して最適な条件を採用することができ
る。めっき浴中には、Na+、NH4 +などの電導度助
剤、耐食性をさらに向上させるためのSiO2、Ti
2、Al23などの酸化物粒子、BaCrO4などのク
ロム酸塩粒子を添加してもよく、本発明の製造方法に本
質的な支障はない。
【0014】かくしてCrと鉄族金属を含有する電気亜
鉛めっき鋼板を製造することができるが、めっき層中の
Cr含有率については、5%以上が好ましい。5%未満
でも亜鉛めっきに比較すれば耐食性の向上は認められる
が、5%以上になると亜鉛めっきはもとよりZn−N
i、Zn−Feなどの合金めっきを上回る高耐食性を発
揮し、例えば塩水噴霧試験を500時間以上行なっても
容易に赤錆は発生しない。この理由は、CrはZnとの
共存下では不働態化せずZnとともに犠牲防食作用を発
揮するが、めっき表面に形成される腐食生成物は難溶性
の保護皮膜として機能し、めっき層内部への腐食因子の
侵入を抑制するためと推定される。
【0015】Crの他に更に鉄族金属を0.1%以上含
有すると耐食性や溶接性に対して効果的である。鉄族金
属の含有率については、これがCr含有率より高いと鉄
族金属の性質が強くなるので、Cr含有率未満、より好
ましくはCr含有率の1/2以下が望ましい。また、C
rと鉄族金属の合計については、これが多くなると加工
性が低下するため、30%以下、より好ましくは20%
以下が望ましい。ここで鉄族金属とはFe、Co、Ni
を指し、単独もしくは複合で用いてもよい。耐食性への
寄与という点ではNiが最も好ましい。また、Cr析出
促進剤であるバニリンもしくはバニリンの誘導体、ない
しはカチオンポリマーをめっき層中に微量共析させても
差し支えなく、5%以下の共析率ならば緻密で均一なめ
っき層が形成され成形性に有利である。
【0016】
【実施例】冷延鋼板を、アルカリ脱脂し、5%硫酸水溶
液で酸洗した後、表1に示す条件で電気めっきを行なっ
た。Cr析出促進剤のうち、カチオンポリマーとしては
平均分子量1万のPA、平均分子量3500のPASを
用いた。めっき浴としては硫酸塩浴を用い、めっき付着
量は20g/m2とした。こうして得られためっき組成
と耐食性、外観評価を表2に示す。耐食性は塩水噴霧試
験(JIS Z 2371に準拠)を672時間行な
い、以下の要領で判定した。
【0017】◎:赤錆発生1%以下 ○:赤錆発生10
%以下 △:赤錆発生50%以下 ×:赤錆発生50%超めっき外観については、めっき表
面の光沢度(JIS Z8741 Gs(60°)、黒
色ガラス板基準値93)を測定し、以下の要領で判定し
た。 ◎:光沢度50以上 ○:光沢度20以上 △:光沢度
10以上 ×:光沢度10未満
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】表1及び表2において、比較例1はめっき
浴にバニリンが含まれていないために、Crがほとんど
析出せず耐食性が不良である。比較例2は比較例1と同
一のめっき浴組成で電流密度を高くしてCrを析出させ
たが、十分なCr含有率が得られていないため、耐食性
が不足すると共に、外観も不良である。比較例3はめっ
き浴中のバニリンが少ないため、やはりCr含有率が低
く耐食性不足である。比較例4はZn−Ni合金めっき
であり、外観は良好なものの耐食性は本発明例を下回
る。これらに対して、本発明例は何れもCr含有率5%
以上のめっきが得られ、耐食性、外観共に良好である。
また本発明例8〜14はバニリン類とカチオンポチマー
を併用した例であるが、本発明例1〜7のバニリン類単
独使用の例に比し、外観が一段と向上し、Cr含有率も
高くなる結果が得られた。
【0021】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明は、特定の添加
剤をめっき浴に仕込むことにより、従来困難であった電
気亜鉛めっき中へのCrの共析を可能とし、鉄族金属を
も含有させることにより、耐食性に極めて優れた電気亜
鉛めっき鋼板を得るものである。したがって、自動車車
体用途を中心に高耐食性が要求される防錆鋼板を製造す
る上で極めて効果的である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−89785(JP,A) 特開 昭62−238387(JP,A) 特開 昭60−17092(JP,A) 特開 昭63−53285(JP,A) 特開 昭50−110940(JP,A) 特開 昭62−54099(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 1/00 - 7/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Crと鉄族金属を含有する電気亜鉛めっ
    き鋼板を製造するに際し、Zn2+イオン、Cr3+イオ
    ン、鉄族金属2価イオン、及び0.1〜10g/lのバ
    ニリンもしくはその誘導体を含有するめっき浴を用い
    て、電気めっきすることを特徴とする高耐食性電気亜鉛
    めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 Crと鉄族金属を含有するZn系電気め
    っき鋼板を製造するに際し、Zn2+イオン、Cr3+イオ
    ン、鉄族金属2価イオン、及び0.1〜10g/lのバ
    ニリンもしくはその誘導体と0.01〜20g/lのカ
    チオンポリマーを含有するめっき浴を用いて、電気めっ
    きすることを特徴とする高耐食性電気亜鉛めっき鋼板の
    製造方法。
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