JP3002752B2 - 水性床光沢組成物用エマルジョンの製造方法 - Google Patents

水性床光沢組成物用エマルジョンの製造方法

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JP3002752B2 JP2415811A JP41581190A JP3002752B2 JP 3002752 B2 JP3002752 B2 JP 3002752B2 JP 2415811 A JP2415811 A JP 2415811A JP 41581190 A JP41581190 A JP 41581190A JP 3002752 B2 JP3002752 B2 JP 3002752B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐ブラックヒールマーク
性、耐スカッフ性に優れたアルコキシシラン化合物の重
合体が複合化された水性床光沢組成物用エマルジョンを
効率よく容易に製造しうる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビルの床などの光沢を出すため
に、アクリル系ポリマーからなる水性床光沢組成物など
が使用されているが、従来の組成物では、耐ブラックヒ
ールマーク性、耐スカッフ性が充分でなく、その為、高
いレベルで床の美観維持をしようとすればメンテナンス
の頻度を上げざるを得ず、最近の要求である省力化に対
応できなくなっている。
【0003】一方、水性床光沢組成物の性能を改善する
方法としては、特開昭55−110170号公報に提案
されているように、アルコキシシラン化合物をアクリル
系単量体などと共存させて、アクリル系単量体とともに
重合して得られたポリマーからなる水性床光沢組成物
が、重ね塗り性、光沢に優れていることが示されてい
る。しかし、この方法は重合安定性が悪く、また、アル
コキシシラン化合物を多量に用いることができないとい
う問題がある。
【0004】他の方法として、アクリル系ポリマーから
なる水性床光沢組成物にポリシロキサンを添加する方法
が考えられるが、この方法は、アクリル系ポリマーとポ
リシロキサンとの相溶性が不十分なため、十分な性能が
得られない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はポリシロキサ
ンの使用上の問題点であるアクリル系ポリマーなどとの
相溶性が悪い、重合安定性の悪化などをなくし、耐ブラ
ックヒールマーク性、耐スカッフ性、耐摩耗性を高いレ
ベルで維持できる水性床光沢組成物用エマルジョンを提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)アルキ
ル基の炭素数が1〜10の(メタ)アクリル酸アルキル
エステル30〜85重量%、(b)エチレン性不飽和カ
ルボン酸1〜30重量%、および(c)芳香族ビニル化
合物0〜60重量%を含有する単量体を重合して得られ
る共重合体エマルジョン100重量部(固形分換算)の
存在下に、アルコキシシラン化合物0.1〜500重量
部を縮合反応させることを特徴とする水性床光沢組成物
用エマルジョンの製造方法を提供するものである。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明に使用される、共重合体エマルジョンの製造に使用
される単量体の(a)成分であるアルキル基の炭素数が
1〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして
は、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリ
ル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メ
タ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−
ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アク
リル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、
(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−
エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸i−ノニル、(メ
タ)アクリル酸デシル、ヒドロキシ(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなど、好ま
しくは(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸エチルなどが挙げられる。これらの
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種単独で、
あるいは2種以上を併用することもできる。
【0008】これらの(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルは、得られる共重合体エマルジョンに耐水性、耐候
性および密着性を与えるために必須の成分であり、
(a)成分の使用量は、全単量体の30〜85重量%、
好ましくは30〜65重量%である。この使用量が30
重量%未満では耐水性、耐候性および密着性に劣り好ま
しくない。
【0009】 また、(b)成分であるエチレン性不飽
和カルボン酸としては、例えばイタコン酸、(メタ)ア
クリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸などが挙
げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸である。これら
のエチレン性不飽和カルボン酸は、1種単独で、あるい
は2種以上を併用することもできる。このエチレン性不
飽和カルボン酸は、共重合体エマルジョンにアルカリ除
去性を付与し、さらに得られる共重合体エマルジョンの
重合安定性と耐水性のバランスを高水準に保つために必
須の成分である。(b)成分の使用量は、全単量体の1
〜30重量%、好ましくは5〜25重量%である。この
使用量が1重量%未満では重合安定性、耐水性が低下
し、30重量%を超えるとレベリング性に劣るものとな
る。
【0010】(c)成分である芳香族ビニル化合物とし
ては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、パラメチ
ルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられ、好ましく
はスチレンである。これらの芳香族ビニル化合物は、1
種単独で、あるいは2種以上を併用することもできる。
【0011】この芳香族ビニル化合物は、共重合体エマ
ルジョンに耐水性を与え、得られる水性床光沢組成物に
光沢を与える成分である。(c)成分の使用量は、0〜
60重量%、好ましくは10〜55重量%である。この
使用量が60重量%を超えると耐ブラックヒールマーク
性、耐スカッフ性が劣り好ましくない。
【0012】 さらに本発明では、前記(a)、(b)
および(c)成分と共重合可能な他の単量体として、例
えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリル
アミドなどのエチレン系不飽和カルボン酸アルキルアミ
ド;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸
ビニルエステル;エチレン系不飽和ジカルボン酸の酸無
水物、モノアルキルエステル、モノアミド類;アミノエ
チルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレー
ト、ブチルアミノエチルアクリレートなどのエチレン系
不飽和カルボン酸のアミノアルキルエステル;アミノエ
チルアクリルアミド、ジメチルアミノメチルメタクリル
アミド、メチルアミノプロピルメタクリルアミドなどの
エチレン系不飽和カルボン酸のアミノアルキルアミド;
(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリ
ルなどのシアン化ビニル系単量体;グリシジル(メタ)
アクリレートなどの不飽和脂肪族グリシジルエステルな
どをさらに使用することができる。(以下、これらの他
の単量体を(d)成分という)これら他の単量体は、1
種単独で、あるいは2種以上を併用することもできる。
これら他の単量体の使用量は、全単量体の0〜69重量
%であり、69重量%を超えると前記(a)成分および
(b)成分の使用量が低下し、耐水性、密着性、および
レベリング性が劣り好ましくない。
【0013】本発明の共重合体エマルジョンは、特定割
合の前記単量体を、公知の乳化剤、重合開始剤などを使
用して乳化重合したものである。ここで、乳化剤として
は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル
硫酸ナトリウム、ジフェニルエーテルジスルホン酸ナト
リウム、ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウムなど
のアニオン系乳化剤、あるいはポリオキシエチレンアル
キルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエー
テルなどのノニオン系乳化剤の1種または2種以上を挙
げることができる。
【0014】乳化剤の使用量は、全単量体に対し通常
0.2〜4重量%、好ましくは0.5〜3重量%であ
る。使用量が0.2重量%未満では、凝固物が発生する
など重合安定性が悪くなり、共重合エマルジョンの製造
に支障があるので好ましくなく、一方、4重量%を超え
ると耐水性、耐候性が低下するので好ましくない。
【0015】重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過
硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系
開始剤、あるいは、過酸化水素などの無機系開始剤、ク
メンハイドロパーオキサイド、イソプロピルベンゼンハ
イドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキ
サイドなどの有機過酸化物、あるいはアゾビスイソブチ
ロニトリルなどのアゾ系開始剤で代表される有機系開始
剤を挙げることができる。この重合開始剤の使用量は、
全単量体に対し通常0.03〜2重量%、好ましくは
0.05〜1重量%である。
【0016】 さらに乳化重合に際しては、前記乳化
剤、重合開始剤のほかに、必要に応じて各種連鎖移動
剤、キレート剤、pH調整剤、電解質などを併用するこ
ともできる。乳化重合の際に使用される水は、全単量体
100重量部に対して、通常80〜300重量部であ
り、水と前記乳化剤、重合開始剤などを前記範囲内の量
で使用して、重合温度10〜90℃、好ましくは40〜
85℃、重合時間1〜30時間の重合条件下で乳化重合
される。前記単量体の添加方法は特に制限されるもので
はなく、一括添加法、連続添加法あるいは、分割添加法
などの任意の方法が採用される。
【0017】なお、共重合体エマルジョンの最終的な重
合転化率は90〜100重量%、特に95〜100重量
%であることが好ましい。また、シード重合を採用する
場合には、あらかじめ(a)〜(d)成分からなる単量
体を乳化重合して得られるポリマーをシード粒子とし、
これに(a)〜(d)成分からなる単量体混合物を加え
て乳化重合すればよい。
【0018】 本発明において共重合体エマルジョンの
共重合体成分の示差熱分析法によるガラス転移温度は、
通常−10〜150℃である。このガラス転移温度が−
10℃未満だと水性床光沢組成物として耐ブラックヒー
ルマーク性が劣り、また150℃を超えると床材との密
着性が劣り、さらに造膜性が劣るものとなり好ましくな
い。
【0019】本発明においては、上記のとおり得られた
共重合体エマルジョンの存在下、水系分散媒中でアルコ
キシシラン化合物を縮合反応させることを特徴とする。
本発明において使用するアルコキシシラン化合物は、式
nSi(OR’)4-nで表される。式中、Rは炭素数1
〜8の有機基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、i−プロピル基等のアルキル基、その他のγ−ク
ロロプロピル基、ビニル基、3,3,3−トリフロロプ
ロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリ
ルオキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、フェ
ニル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ
−アミノプロピル基などが挙げられる。
【0020】また、上記式中、R’は炭素数1〜5のア
ルキル基または炭素数1〜4のアシル基であり、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、
sec−ブチル基、tert−ブチル基、アセチル基な
どが挙げられる。式中のRまたはR’の炭素数が大きす
ぎると水溶性が低くなり、シードとしての共重合体エマ
ルジョンに対するアルコキシシラン化合物の吸収率が低
下し、好ましくない。さらにnは0〜3である。
【0021】 これらのアルコキシシラン化合物の具体
例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシ
ラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシ
シラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピ
ルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラ
ン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエト
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメ
トキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリ
メトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシ
クロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポ
キシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、ジメチ
ルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、など
を挙げることができ、好ましくは、テトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシ
ラン、ジメチルジメトキシシランなどである。
【0022】 これらのアルコキシシラン化合物は、1
種単独または、2種以上を併用することができ、他の例
えばチタン、アルミニウム等の金属アルコキシドと併用
することもできる。また、必要に応じて公知のシランカ
ップリング剤を併用することができる。さらに、これら
のアルコキシシラン化合物は必要に応じて有機溶媒に溶
解させて使用することもできる。
【0023】 本発明において使用される水系分散媒
は、水単独もしくは水に良く混合するケトン類、低級ア
ルコール類、エステル類等を含むことができる。これら
の有機溶媒は、水に対して0〜45重量%の割合で使用
することが可能であるが、共重合体エマルジョンの分散
状態を良好に保つためには20%重量以下、好ましくは
5重量%以下の割合で使用されることが望ましい。
【0024】 本発明において、共重合体エマルジョン
に添加されたアルコキシシラン化合物は、共重合体エマ
ルジョン粒子に吸収されずに縮合してもよいが、一段と
本発明の目的とする水性床光沢組成物用エマルジョンを
得るためには、共重合体エマルジョン粒子に吸収されて
縮合されることが好ましい。この場合、アルコキシシラ
ン化合物は、使用される全アルコキシシラン化合物の好
ましくは5重量%以上、さらに好ましくは、10重量%
以上、特に好ましくは、30重量%以上である。
【0025】 本発明において、共重合体エマルジョン
粒子中にアルコキシシラン化合物を吸収させる方法とし
ては、共重合体エマルジョンが分散された水系分散体中
にアルコキシシラン化合物を添加し、良く攪拌すること
により容易に達成される。上記共重合体エマルジョン粒
子にアルコキシシラン化合物を容易に効率良く吸収させ
るために、必要に応じて、水に対する溶解度が10-3
量%以下の溶媒を予め共重合体エマルジョンに吸収させ
ておくことも可能である。
【0026】共重合体エマルジョン粒子中に吸収された
アルコキシシラン化合物の縮合反応は、反応温度および
水素イオン濃度を変えることにより容易に制御され、ポ
リシロキサンの重合度をコントロールできる。アルコキ
シシラン化合物の縮合反応は、温度30℃以上、好まし
くは50℃以上、さらに好ましくは70℃以上で行うこ
とができる。水素イオン濃度は、通常pH4〜10、好
ましくはpH5〜9、さらに好ましくはpH6〜8であ
る。
【0027】本発明で使用されるアルコキシシラン化合
物の使用量は、本発明に規定される共重合体エマルジョ
ン100重量部(固形分換算)に対し0.1〜500重
量部、好ましくは0.5〜100重量部、さらに好まし
くは1〜50重量部、特に好ましくは5〜50重量部で
ある。使用量が0.1重量部未満では、耐ブラックヒー
ルマーク性の改良効果が無く、500重量部を越えると
造膜性の悪化、コストのアップのほか、塗膜の仕上がり
状態が悪くなり耐ブラックヒールマーク性、耐スカッフ
性の改良効果が得られない。
【0028】なお、本発明の水性床光沢組成物用エマル
ジョンの固形分濃度は、通常、10〜65重量%、好ま
しくは、30〜60重量%に調整される。固形分濃度が
10重量%未満では、生産性が低下する、水性床光沢組
成物での固形分濃度が低下し塗布作業性が低下する。ま
た、65重量%を超えると該エマルジョンの粘度が高く
なる、重合安定性が悪化するなどの問題がでてくる。
【0029】 水性床光沢組成物は通常(イ)本発明の
共重合体エマルジョン、(ロ)ワックス、(ハ)アルカ
リ可溶性樹脂を主成分でとし、そのほかに(ニ)湿潤
剤、乳化剤および分散剤、(ホ)多価金属化合物、
(へ)水などを、必要に応じて配合して得られる。この
中で、(イ)本発明の共重合体エマルジョンは、水性床
光沢組成物の主成分であって床面上に連続皮膜を形成し
床面の保護と美観の保持の作用をするもので、かつ他の
配合成分のバインダーとしての機能を果たすものであ
る。 (ロ)ワックスとしては、天然または合成のワックスが
通常用いられており、例えば蜜蝋、カルナバ蝋、カンデ
リラ蝋、ポリエチレンワックス、パラフィンワックスな
どをイオン性または非イオン性の乳化剤で乳化分散して
使用されている。かかるワックスの役割は、塗膜に与え
られる衝撃を緩和し、与えられた傷の自己補修性を与え
るものである。
【0030】(ハ)アルカリ可溶性樹脂は、水性床光沢
組成物のレベリングを向上させるとともに、剥離性を向
上させる作用をする。かかるアルカリ可溶性樹脂として
は、スチレン−マレイン酸共重合体樹脂、シェラック、
ロジン変性マレイン酸樹脂などが挙げられる。 (ニ)湿潤剤、乳化剤および分散剤は、得られる水性床
光沢組成物の分散安定性や該組成物と床面との濡れを良
くするためのものであり、炭素数12〜18の高級脂肪
酸のアルカリ金属塩およびアミン塩、例えばナトリウ
ム、カリウム、アンモニウム、ならびに非イオン界面活
性剤などを挙げることができる。 さらに、(ホ)多価金属化合物は、該組成物中に添加し
た場合は、架橋効果によって強靱な塗膜が得られ良好な
耐ブラックヒールマーク性、耐スカッフ性が得られる。
かかる多価金属化合物としては、たとえば亜鉛、ジルコ
ニウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムなど
の酸化物、塩類を炭酸、酢酸などの酸に溶解させるか、
あるいはこれらの酸と多価金属の塩の水溶液をアンモニ
ア、アミンなどによりpHを7〜11に調整することに
よって容易に得られるものであり、また金属イオンの形
になったものも含めることができる。
【0031】これらの(ロ)〜(ホ)成分の通常の使用
量は、 (イ)共重合体エマルジョン100重量部(固形分換
算)に対して、以下のとおりである。 (ロ)ワックス 5〜40重量部 (ハ)アルカリ可溶性樹脂 0〜50重量部 (ニ)湿潤、乳化および分散剤 0.05〜15重量部 (ホ)多価金属化合物 0.01〜10重量部 (ヘ)水 全固形分を8〜45重量%
とする量
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例について述べるが、本
発明がこれらに限定されるものではない。実施例1〜
4、比較例1〜5 (1)攪拌機付きガラス製反応容器(容量3リットル)
にコンデンサー、温度計、滴下ロートを取り付け、脱イ
オン水100重量部、ラウリル硫酸ソーダ1重量部、過
硫酸アンモニウム0.5重量部を仕込み、内部の空気を
窒素で置換した後攪拌しつつ内部温度を65℃迄に上げ
溶解させ、予め別容器で脱イオン水50重量部、ラウリ
ル硫酸ソーダ1重量部と表−1に示す単量体を混合攪拌
し乳化物をつくり、それを3時間を要して連続滴下し
た。滴下中は、窒素を導入しながら80℃で反応を行っ
た。滴下終了後、さらに85℃で2時間攪拌した後、2
5℃まで冷却し反応を終了し、共重合体エマルジョン
(イ)〜(ヘ)を得た。得られた共重合体エマルジョン
(イ)〜(ヘ)の重合転化率は、いずれも98重量%以
上であった。また、凝固物の発生も見られなかった。
(2)25℃を保った状態で系pHを水酸化ナトリウムに
よって7に調整し、表−1に示すアルコキシシラン化合
物を添加し、約1時間にわたって攪拌した。その後、反
応容器を80℃に昇温し、3時間反応させ、水性床光沢
組成物用エマルジョン(A)〜(I)を得た。
【0033】比較例6 (1)攪拌機付きガラス製反応容器に脱イオン水50重
量部を仕込み、それにラウリル硫酸ソーダ0.5重量部
とメチルトリエトキシシラン10重量部を添加し、十分
攪拌しながら65℃に昇温させ、3時間反応させて、ポ
リシロキサンエマルジョンを得た。 (2)攪拌機付きガラス製反応容器に仕込む脱イオン水
を50重量部に変更した以外は、実施例4と同様に作製
した共重合体エマルジョン(ト)をpH7に調整した
後、これに上記(1)でえられたポリシロキサンエマル
ジョンを混合し、水性床光沢組成物用エマルジョン
(J)を得た。
【0034】比較例7 アルコキシシラン化合物を共重合体エマルジョンの単量
体と混合した以外は、実施例4と同様にしてアルコキシ
シラン化合物の存在下に共重合体エマルジョンを重合
し、水性床光沢組成物用エマルジョン(K)を得た。得
られた水性床光沢組成物用エマルジョン(K)の重合転
化率は、いずれも98重量%以上であった。しかし、凝
固物の発生が多く見られた。
【0035】水性床光沢組成物の調整 実施例1〜4および比較例1〜6で得られた水性床光沢
組成物用エマルジョン(A)〜(J)を用いて、下記の
処方で水性床光沢組成物を調整した。水性床光沢組成物
処方 水性床光沢組成物用エマルジョン*1 80重量部 多価金属化合物 *2 3.5重量部 ワックスエマルジョン*3 15重量部 アルカリ可溶性樹脂 *4 5重量部 フッ素系界面活性剤 *5 0.5重量部 *1水性床光沢組成物用エマルジョンにトリブトキシエ
チルフォスフェート/カルビトール=1/4(重量比)
の割合で混合した造膜助剤を添加して最低造膜温度を5
℃に調整し、さらに脱イオン水を加えて固形分を15重
量%に調整した。 *2 多価金属化合物 ZnO 14重量% 炭酸アンモニウム 12重量% アミノ酢酸 20重量% アンモニア水 30重量% 脱イオン水 100重量% を、混合溶解させたもの。 *3 ワックスエマルジョン;東邦化学HYTEC E
−4B固形分を15重量%に調整した。 *4 アルカリ可溶性樹脂;ARCO Chemica
l CompanySMA−2625A(酸価220、
分子量1900のスチレン.マレイン酸樹脂)固形分を
15重量%に調整した。 *5 フッ素系界面活性剤;住友3M FC−129固
形分を1重量%に調整した。
【0036】水性床光沢組成物としての評価を次の方法
により行った。耐ブラックヒールマーク性 ホモジニアスタイル上に水性床光沢組成物を、1〓当り
10gを塗布し、その後、乾燥させる。これを3回繰り
返しサンプルを作製する。サンプルを10日間、人通り
の多い場所に設置し、ブラックヒールマークの付着程度
を観察した。 ○ BHMの付着が殆どないもの △ BHMが若干付着したもの × BHMの付着が多いもの 耐スカッフ性 ブラックヒールマークの評価と同様にサンプルを作製、
設置しスカッフの発生程度を観察した。 ○ スカッフの発生が殆どないもの △ スカッフが若干発生したもの × スカッフの発生が多いもの
【0037】光沢 ブラックヒールマークの評価と同様にサンプルを作製
し、サンプルを村上式光沢計による60゜反射の測定し
た。レベリング性 ホモジニアスタイル上に水性床光沢組成物を1〓当り1
0gを塗布し、直ちにX状に対角線を引く、その後乾燥
させる。これを3回繰り返しサンプルを作製する。その
乾燥後、この線の消える度合により判定した。 ○ 完全に消えたもの △ 殆ど消えたもの × 残っていたもの 以上の実施例及び比較例において得られた各水性床光沢
組成物用エマルジョンを水性床光沢組成物として評価し
た結果を表−1に示す。
【0038】
【表−1】
【0039】 水性床光沢組成物用エマルジョン
(A)〜(K)中、(A)〜(D)は本発明に属し、
(E)〜(K)は、本発明に属さないものである。実施
例1〜4は、本発明の範囲の水性床光沢組成物用エマル
ジョンを用いた水性床光沢組成物の例であり、本発明の
目的とする水性床光沢組成物が得られている。比較例1
は、アルコキシシラン化合物の使用量が本発明の範囲未
満であり耐ブラックヒールマーク性、耐スカッフ性が劣
っている。比較例2は、アルコキシシラン化合物の使用
量が本発明の範囲を超えた例であり、光沢が低下し、耐
ブラックヒールマーク性、耐スカッフ性が劣っている。
比較例3は、エチレン性不飽和カルボン酸の量が本発明
の範囲未満であり、耐ブラックヒールマーク性が劣って
いる。比較例4は、エチレン性不飽和カルボン酸の量が
本発明の範囲を超えた例であり、レベリング性が劣って
いる。比較例5は、芳香族ビニル化合物が本発明の範囲
を超えた例であり、耐ブラックヒールマーク性、耐スカ
ッフ性が大きく劣っている。比較例6はポリシロキサン
エマルジョンと共重合体エマルジョンとを単にブレンド
させたものであり、レベリング性、耐ブラックヒールマ
ーク性、耐スカッフ性が劣っている。比較例7は、アル
コキシシラン化合物を共重合体エマルジョンの単量体成
分と混合して乳化重合させた例であるが、重合時に発生
する凝固物が多く水性床光沢組成物としての評価ができ
なかった。また、凝固物の発生が多いと生産性が低下す
る。
【0040】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、耐ブラック
ヒールマーク性、耐スカッフ性の良い高性能の水性床光
沢組成物用エマルジョンが容易に効率良く得られ、問題
となっている床のメンテナンスの削減をすることが可能
となり極めて工業的価値が大きい。
【0042】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09G 1/00 C08J 3/03 // C09K 3/18 104 (56)参考文献 特開 昭63−286471(JP,A) 特開 平4−173807(JP,A) 特開 平3−45628(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 83/06 C08L 83/04 C08G 77/04 C08G 77/18 C08J 3/03

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)アルキル基の炭素数が1〜10の
    (メタ)アクリル酸アルキルエステル30〜85重量
    %、(b)エチレン性不飽和カルボン酸1〜30重量
    %、および(c)芳香族ビニル化合物0〜60重量%を
    含有する単量体を重合して得られる共重合体エマルジョ
    ン100重量部(固形分換算)の存在下に、アルコキシ
    シラン化合物0.1〜500重量部を縮合反応させるこ
    とを特徴とする水性床光沢組成物用エマルジョンの製造
    方法。
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