JP3002652B2 - 面付実装型樹脂封止半導体装置およびその製造法 - Google Patents

面付実装型樹脂封止半導体装置およびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、新規な面付実装型
樹脂封止半導体装置及びその製造法に関する。 【0002】 【従来の技術】トランジスタ,IC,LSI等の半導体
装置の外装には、金属,ガラス,セラミックス等を用い
るハーメチック封止型と、エポキシ樹脂を主として用い
る樹脂封止型の二種類がある。 【0003】前者は気密性に優れているが非常に高価で
ある。後者は大量生産ができるために安価に製造するこ
とが可能である。そのため、現在では半導体製品の80
%以上が、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いてトラ
ンスファ成形された樹脂封止型になっている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】半導体素子は集積度が
年々向上し、それに伴ってチップサイズの大型化,配線
の微細化,多層化等が進んでいる。一方、実装の高密度
化とパッケージサイズの小型薄型化により、パッケージ
形状も従来のDILP(Dual in Line PlasticPackag
e)からFPP(Flat Plastic Package),SOP(Small
Outline Package),PLCC(Plastic Leaded Chip Car
rier)等、ピン挿入実装型から面付実装型に移行してい
る。 【0005】このように集積度の向上,パッケージサイ
ズや形状,実装方式等の変換に伴い、素子の微細化,パ
ッケージの封止樹脂層の薄肉化が進んでいる。そのた
め、封止品に熱的ストレスが加わると半導体装置を構成
する封止樹脂,リードフレーム,チップ等の線膨張係数
の違いによって発生する熱応力により、封止樹脂層やチ
ップのパッシベーション膜にクラッチが生じたり、チッ
プ表面の配線の切断,短絡,位置ズレ等が起こり易く、
素子特性の変動や信頼性低下が問題になっている。 【0006】さらにこれらの問題は、パッケージの実装
方式がピン挿入型から面付型に移行し、そして、面付型
においては更に従来よりも高い温度に晒されることも加
えて前述の点がますます重要な課題となっている。 【0007】樹脂封止型半導体に発生する熱応力は、各
構成材料の線膨張係数の違いによって発生する。そこ
で、各構成材料中、特に、封止樹脂の線膨張係数を小さ
くすることができれば、熱応力を大幅に低減することが
できる。 【0008】一般に、封止樹脂は線膨張係数の低減を目
的として、樹脂よりも線膨張係数の小さい無機質充填材
が配合されている。従って、線膨張係数を小さくするに
は、充填材の配合量を増せばよい。しかし、充填材の配
合量を増すと樹脂組成物の粘度が上昇し、流動性が低下
するため封止作業が困難になる。 【0009】そのため、特定の粒度分布を持つ無機充填
材を用い、樹脂組成物の粘度上昇や流動性低下をあまり
起こさずに充填材の配合量を増す方法が提案(特許第85
5789号)されている。 【0010】しかし、こうした手法を用いても、樹脂封
止型半導体の大部分に用いられているフェノール硬化型
エポキシ樹脂組成物は、ベース樹脂の粘度が高く、充填
材の配合量を増して線膨張係数の大幅な低減を図るには
限界があった。その理由は、従来、角ばった充填材を使
用していたため、充填材が嵩張り樹脂組成物の粘度上昇
や流動性の低下が起こり易かったものと思われる。 【0011】その対策として、例えば、特公昭60−2650
5 号公報に記載されているように、球形の充填材を用い
る方法が提案されているが、素子の高集積化,パッケー
ジの小型薄型化に十分対応し得る封止用樹脂組成物は得
られなかった。 【0012】また、樹脂封止した半導体素子に加わる熱
応力は、封止樹脂の弾性率やガラス転移温度を下げるこ
とによっても低減させることが可能である。しかし、樹
脂組成物のガラス転移温度を上げると、一般に高温の電
気特性や耐湿性等が低下し、半導体装置にとって好まし
くない結果を招く。 【0013】そこで、アイ・イー・イー・イー、トラン
ザクションズ オン コンポーネンツ、ハイブリッド、
アンド マニュファクチュアリング テクノロジー、シ
ーエッチ エム ティー8、第4号(1985年)第4
86〜489頁〔IEEE,Transactions on Components,
Hybrids,and Manufacturing Technology,CHMT−8,N
o.4,Dec.(1985)pp486−489〕に示され
ているように、ベース樹脂中にシリコーンゴムやポリブ
タジエンゴムのようなゴム成分を配合し、硬化樹脂を海
島構造化して弾性率を小さくすることが行われている。 【0014】この方法は、樹脂の熱応力を小さくする効
果はあるが、線膨張係数の違いを減らす効果はほとんど
なく、本質的な熱応力低減の対策にはならない。こうし
た状況下で、熱応力の発生がより小さい面付実装型樹脂
封止半導体装置が強く望まれている。 【0015】本発明の目的は、線膨張係数と弾性率が小
さく、半導体素子に加わる熱応力を軽減し、耐クラック
性及び接続信頼性に優れた面付実装型樹脂封止半導体装
置及びその製造法を提供することにある。 【0016】 【課題を解決するための手段】本発明は、樹脂及び80
重量%以上の球形石英粉を含む組成物により封止され、
前記樹脂はエポキシ樹脂を主とし、シリコーン重合体を
前記エポキシ樹脂100重量部当り10重量部以下(但
し、0重量部を含まず)含む樹脂からなることを特徴と
する面付実装型樹脂封止半導体装置にある。 【0017】更に、本発明は、樹脂及び80重量%以上
の球形石英粉を含む組成物を用いてトランスファ成形法
により半導体素子を封止硬化する面付実装型樹脂封止半
導体装置の製造法において、前記樹脂はエポキシ樹脂を
主とし、シリコーン重合体を前記エポキシ樹脂100重
量部当り10重量部以下(但し、0重量部を含まず)含
む樹脂からなることを特徴とする。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。 【0019】本発明の要旨は、前述の如く、常温で固体
のエポキシ樹脂、該エポキシ樹脂の変性剤であるシリコ
ーン重合体および充填材として球形石英粉を配合した樹
脂組成物が用いられ、前記球形石英粉は溶融して球形化
した溶融石英粉であること、更にその樹脂組成物を用い
てトランスファ成形法により半導体素子を封止硬化する
ことを特徴とする面付実装型樹脂封止半導体装置及びそ
の製造法にある。 【0020】その好ましい実施の形態は以下の通りであ
る。 【0021】球状石英粉はその90重量%以上が0.5
〜100μmの粒径を有すること、その粒度分布がRR
S粒度線図で表示した場合に直線で、その勾配nが0.
6〜0.95 であること、前記樹脂組成物の大気中での
焼成残渣(SiO2 成分)が80重量%以上であるこ
と、封止硬化物の線膨張係数が1.3×10-5/℃ 以下
であることが好ましい。 【0022】ここで、RRS粒度線図とは、Rosin−Ram
mlerの式に従う粒度分布を表わす粒度線図(日本粉体工
業協会頒布:粉体工学ハンドブック51〜53頁)のこ
とである。 【0023】 【数1】 R(Dp)=100exp(−b・Dpn) …〔1〕 〔但し、R(Dp):最大粒径から粒径Dpまでの累積重
量%,Dp:粒径,bおよびn:定数〕 RRS粒度線図における勾配nとは、RRS粒度線図の
最大粒径からの累積重量%が、25%と75%の二点を
結んだ直線で代表されるRosin−Rammlerの式のnの値の
ことを云う。 【0024】充填材の原石を微粉砕した場合の粒度分布
は、Rosin−Rammlerの式と一致し、この式に基づく粒度
分布を表わすRRS粒度線図では、ほぼ直線を示すとさ
れている。 【0025】本発明者らは、各種充填材の粒度分布を測
定したところ、特別のふるい分けをしない限り、いずれ
の充填材もその90重量%以上がRRS粒度線図で、ほ
ぼ、直線性を示し、上式によく適合することを確認して
いる。 【0026】本発明で用いる球状の溶融石英粉は、例え
ば、特開昭59−59737 号公報に記載されているように、
予め所定の粒度分布に粉砕した溶融石英粉を、プロパ
ン,ブタン,アセチレン,水素などの可燃性ガスを燃料
とする溶射装置から発生させた高温火炎中に一定量ずつ
供給して溶融して球形化し、冷却したものである。上記
の溶融石英はそれ自身の線膨張係数が比較的小さく、イ
オン性不純物も極めて少ないので、半導体素子封止用樹
脂組成物材料として適している。 【0027】球状石英粉の90重量%以上を粒径0.5
〜100μmの範囲とすることの好ましい理由は、0.
5μm 未満の微粒子が多くなると、樹脂組成物のチク
ソトロピック性が大きくなり、粘度上昇や流動性が低下
すること、また、100μmを超える粒子が多くなると
封止する際に、半導体素子のAu線を変形,切断した
り、粗い粒子が金型中で目詰りを起こして、樹脂の充填
不良等が発生するためである。 【0028】次に、RRS粒度線図で示す勾配nを0.
6〜0.95とすることの好ましい理由は、nが0.95
より大きくなると充填材の嵩張りが大きくなり、樹脂
組成物の粘度上昇や流動性の低下が起こる。そこで、n
はできるだけ小さい値が望ましいが、本発明において充
填材の90%以上が0.5 〜100μmの粒径範囲にあ
ることが望ましく、n値0.6 と云うのは、この条件内
でとり得る最小の値である。 【0029】本発明で用いるシリコーン重合体は、アミ
ノ基,カルボキシル基,エポキシ基,水酸基,ピリミジ
ン基等の官能基を末端あるいは側鎖に持つポリジメチル
シロキサンである。 【0030】前記の常温で固体のエポキシ樹脂は、半導
体封止用材料として一般に用いられているクレゾールノ
ボラック型エポキシ樹脂,フェノールノボラック型エポ
キシ樹脂,ビスフェノールA型エポキシ樹脂等を指し、
硬化剤としてフェノールノボラックやクレゾールノボラ
ック等のノボラック樹脂,無水ピロメリット酸や無水ベ
ンゾフェノン等の酸無水物等を用い、さらに硬化促進
剤,可撓化剤,カップリング剤,着色剤,難燃化剤,離
型剤等を必要に応じて配合することができる。 【0031】このエポキシ樹脂組成物は、各素材を70
〜100℃に加熱した二軸ロールや抽出機で混練し、ト
ランスファプレスで金型温度160〜190℃,成形圧
力30〜100kg/ cm2 ,硬化時間1〜3分で成形す
ることができる。 【0032】常温で固体のエポキシ樹脂に充填材として
その90重量%以上が粒径0.5 〜100μmの範囲内
にあって、しかも、その粒度分布をRRS粒度線図で表
示した場合にその勾配nが0.6〜0.95の範囲で直線
性を示す球形の溶融石英粉と、変性剤としてシリコーン
重合体を配合し、その配合量が充填材とシリコーン重合
体を合せたSiO2 成分〔特開昭53−123457号および高
分子論文集:第41巻,第10号(1984年10月)
などに記載されている方法に準じ、樹脂組成物または硬
化物の大気中焼成後の残渣量〕が、樹脂組成物全体に対
し80重量%以上の樹脂組成物は、SiO2 成分が多い
にもかかわらず、比較的低粘度で流動性に優れ、しか
も、硬化物の線膨張係数が1.3×10-5/℃ 以下と小
さく、弾性率も小さい。 【0033】従って、封止時の半導体素子のAuボンデ
ィングワイヤの変形,断線が少なく、線膨張係数の差に
基づく熱応力が小さいために、耐温度サイクル性,耐熱
性,耐湿性等が良好である。 【0034】充填材としての石英粉は溶融することによ
り球形化した球状石英粉を用いたことにより、嵩張りが
小さくなり高充填化し易い。さらに、半導体素子の封止
の際、充填材の角部が素子を損傷して素子特性に悪影響
を及ぼすのを防ぐことができる。さらに、シリコーン重
合体を配合したことにより弾性率を小さくすることがで
き、線膨張係数の違いによって生じる熱応力をより小さ
くすることができる。以下、本発明を実施例により具体
的に説明する。 【0035】〔実施例1,2および比較例1〜3〕 図1に示す各種の充填材を用い、表1に示すエポキシ樹
脂組成物を約80℃に加熱した二軸ロールで約10分間
混練した。 【0036】得られた各組成物について180℃におけ
るゲル化時間,高化式フローテスターを用いた180℃
における最低溶融粘度(7min )、及び、流動性の尺度
としてEMMI−1−66に準じ、金型温度180℃,
成形圧力70kg/cm2 ,成形時間1.5 分でスパイラル
フロー(SF)を測定した。結果を表1に示す。 【0037】本発明の球状充填材を用いた組成物は、角
状の充填材を用いた組成物とゲル化時間はほとんど同じ
でも、溶融粘度が極めて低く、また、流動性も大きい。
さらに、RRS粒度線図で表示した勾配nが小さな値の
充填材を配合した組成物ほど溶融粘度が低く流動性が大
きいことが明らかである。しかし、図3に示すように、
n値が0.6 より小さくなると、溶融粘度が急激に上昇
するので好ましくない。 【0038】 【表1】 【0039】〔実施例3,4および比較例4〜6〕 充填材として図1に示す球状充填材(球−1)を用い、
実施例1と同様にして、充填材とシリコーン重合体とを
合せたSiO2 成分(大気中800℃,5時間焼成後の
残渣量)が70,75,80,85重量%、及びシリコ
ーン重合体を含まずSiO2 成分が80重量%の樹脂組
成物をそれぞれ作成した。 【0040】これらの樹脂組成物を用いてトランスファ
成形し、180℃/6時間の後硬化を行って線膨張係
数,曲げ弾性率,ガラス転移温度を測定した。 【0041】また、図2に示すような金属円筒1をモー
ルドした場合に円筒に加わる熱応力を、円筒内側に貼り
付けたストレインゲージ2によって測定した。 【0042】さらにまた、表面にアルミニウムのジグザ
グ配線を形成した半導体素子を封止し、−55℃/30
分⇔+150℃/30分の冷熱サイクル試験を行い、封
止樹脂層の耐クラック性,リード・金ワイヤボンディン
グ,アルミニウム配線の接続信頼性(抵抗値が50%以
上変化した場合を不良と判定)を評価した。これらの結
果を表2に示す。 【0043】表2より、シリコーン重合体を含みSiO
2 成分が80重量%以上の組成物は、線膨張係数が1.
3×10-5/℃ 以下と小さく、弾性率の増加も少な
い。従ってインサートに生じる熱応力も小さいことが分
かる。 【0044】本実施例のような樹脂組成物を用いた樹脂
封止型半導体装置特に、性能に対する要求の厳しい面付
実装型においては、厳しい条件での冷熱サイクル試験の
ような熱衝撃が加えられても耐クラック性や高配線密度
に対する接続信頼性が極めて優れていることが明らかで
ある。 【0045】 【表2】【0046】 【発明の効果】本発明によれば、用いられる半導体封止
用樹脂組成物が、流動性に優れ、硬化後の線膨張係数が
小さく、弾性率も小さいので、半導体素子との線膨張係
数の差によって生じる熱応力を小さくすることができ、
耐クラック性及び接続信頼性に優れた面付実装型樹脂封
止半導体装置が得られる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】 【図1】充填材の粒度分布特性図である。 【図2】熱応力測定装置の模式断面図である。 【図3】充填材のn値と樹脂組成物の溶融粘度との関係
を示すグラフである。 【符号の説明】 1…金属円筒、2…ストレンゲージ、3…熱電対、4…
樹脂硬化物。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−12051(JP,A) 特開 昭58−138740(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 23/28 C08G 59/18 C08K 7/18 C08L 63/00 H01L 23/30

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.樹脂及び80重量%以上の球形石英粉を含む組成物
    により封止され、前記樹脂はエポキシ樹脂を主とし、シ
    リコーン重合体を前記エポキシ樹脂100重量部当り1
    0重量部以下(但し、0重量部を含まず)含む樹脂から
    なることを特徴とする面付実装型樹脂封止半導体装置。 2.前記球形石英粉の90重量%以上が0.5 〜100
    μmの粒径を有することを特徴とする請求項1に記載の
    面付実装型樹脂封止半導体装置。 3.前記球形石英粉が石英粉を溶融して球形化した溶融
    球形石英粉であることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の面付実装型樹脂封止半導体装置。 4.樹脂及び80重量%以上の球形石英粉を含む組成物
    を用いてトランスファ成形法により半導体素子を封止硬
    化する面付実装型樹脂封止半導体装置の製造法におい
    て、前記樹脂はエポキシ樹脂を主とし、シリコーン重合
    体を前記エポキシ樹脂100重量部当り10重量部以下
    (但し、0重量部を含まず)含む樹脂からなることを特
    徴とする面付実装型樹脂封止半導体装置の製造法。 5.前記球形石英粉の90重量%以上が0.5 〜100
    μmの粒径を有することを特徴とする請求項4に記載の
    面付実装型樹脂封止半導体装置の製造法。 6.前記球形石英粉が石英粉を溶融して球形化した溶融
    球形石英粉であることを特徴とする請求項4又は5に記
    載の面付実装型樹脂封止半導体装置の製造法。
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