JP3001344B2 - 画像形成装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プリンタ、ファクシミ
リ、複写機等に適用される電子写真プロセスに基づく画
像形成装置に係り、特に現像スリーブに内包した一又は
複数の磁極を利用して現像スリーブと感光体ドラム間に
現像剤からなる磁気穂域を形成し、該磁気穂域を介して
現像バイアスを印加させながら感光体を帯電させた後、
前記磁気穂域内で露光とほぼ同時若しくはその直後に現
像を行なう画像形成装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、例えば円筒状の透光性支持体
上に透光性導電層と光導電体層を積層して感光体ドラム
を形成すると共に、該ドラム内に、画像情報に対応した
光出力を生成する露光手段を内挿し、該露光手段の光出
力を集束レンズを通して前記光導電体層に潜像を結像
（露光）すると同時若しくはその直後に前記感光体ドラ
ムと対面配置させたトナー担持体を介して前記潜像をト
ナー像化（現像）した後、該トナー像を転写ローラその
他の転写手段を介して記録紙に転写可能に構成した画像
形成装置（特開昭５８−１５３９５７号他）が提案され
ている。

【０００３】この種の画像形成装置においては、装置の
簡略化を図るために、独立した帯電器を設けずに前記感
光体ドラムと現像スリーブ間に磁気ブラシ状の現像剤摺
擦域（以下磁気穂域という）を設け、現像スリーブ側に
印加した現像バイアスを利用して前記磁気穂域を介して
前記ドラムの光導電層に電荷を注入して帯電を行なった
後、該帯電の直後に該ドラムに内包された露光手段を利
用して露光像を結像すると共に現像を行なうように構成
している。

【０００４】そして本発明者は先に画像品質の向上と電
荷注入の容易化を図るために、高抵抗磁性トナーと導電
性磁性キャリアの組合せからなる二成分現像剤を用いる
とともに、特に前記導電性キャリアを、バインダ樹脂中
に磁性粉を分散した粒子の表面に導電性微粒子を固着し
て形成した現像剤（特願平３ー２８０８７０号）を提案
している。

【０００５】しかしながら前記樹脂キャリアはバインダ
表面に導電性微粒子を固着させるものであるために、長
期使用により前記微粒子が剥離し、現像剤の劣化が生じ
やすい。又比重差も小さい為に流動性も低下する。そこ
で本出願人は、フェライト、マグネタイト、鉄その他の
磁性体コアの表面に樹脂を被覆した導電性樹脂被覆磁性
キャリアを用いる事を検討している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記樹脂
被覆キャリアは、磁性体のコアを有する為にバインダ樹
脂中に磁性粉を分散した前記樹脂キャリアに比較して磁
気特性（最大磁化δｓ）が必然的に高くなり、そしてこ
の様に磁気特性の高いキャリアを用いて前記磁気穂域を
形成すると、該キャリアにより形成される磁気ブラシの
穂が粗になり過ぎてしまう。而も前記キャリアは、現像
剤中に８０重量％以上配合されており、従って該キャリ
アの磁気特性が高いと前記磁気穂域内での粒子密度が粗
になり、結果として感光体ドラムとの密着性が低下し、
感光体の帯電を十分行なう事が出来ない。

【０００７】本発明はかかる従来技術の欠点に鑑み、樹
脂被覆キャリアの様に磁気特性の高いキャリアを用いて
磁気穂域を形成した場合においても、感光体の円滑な帯
電と高品質の画像形成を可能にした画像形成装置を提供
する事を目的とする。

【０００８】

【課題を解決する為の手段】本発明は、現像スリーブに
内包した一又は複数の磁極を利用して形成される前記磁
気穂域内で帯電、露光及び現像を行なう画像形成装置に
適用されるもので、その特徴とする所は前記現像スリー
ブに内包した主極とにより形成される垂直磁場と、該主
極に隣接させて感光体ドラム回転方向上流側に配設した
前記主極と逆極性の従属極と前記主極との間に形成され
る水平磁場により前記磁気穂域を形成すると共に、該磁
気穂域の露光位置を挟んで感光体ドラム上流側の帯電域
では水平磁場が、又下流側の現像域では垂直磁場が、キ
ャリアに対して夫々主として作用するように前記主極及
び従属極の磁極位置を設定した事を特徴とするものであ
る。そして前記の様に帯電域で水平磁場が形成される為
には、例えば前記主極により形成される垂直磁場の、感
光体ドラム回転方向上流側における磁気分布立上がりポ
イントを、前記磁気穂域の開始点から露光位置までの間
に設定するのがよく、又現像域で垂直磁場が形成される
為には、前記主極を、前記露光位置より感光体ドラム回
転方向下流側の磁気穂域の終端までの間に設定した事を
特徴とする。

【０００９】

【作用】本発明の作用を詳細に説明する。いわゆるカー
ルソンプロセスに基づく電子写真印刷方式の場合は、帯
電、露光、現像が夫々独立したプロセス手段により、別
異の位置で行なわれるために、例えば固定磁石集成体に
埋設した主極（感光体ドラムとの最近接位置にある磁
極）は現像のみについて所定の効果を達成させればよ
い。言換えれば前記主極により形成される磁気分布及び
磁気穂は常に現像という単独の機能を達成させるため
に、工夫されている。しかしながら、本発明の装置にお
いては帯電と露光／現像の三つの作用を狭い磁気穂域上
で行なわしめるものである。この為前記摺擦域上に帯電
用若しくは現像用の磁極を夫々独立して配設する事は不
可能である。

【００１０】そこで本発明は一の磁極により形成される
垂直磁力分布、及び隣接する正逆一対の磁力により形成
される水平磁力分布の複数の磁力線を効果的に組合せ
て、露光位置を挟んでその上流側に位置する帯電域では
水平磁場により磁気穂域を形成して帯電効率を上げ、一
方露光位置の下流側に位置する現像域では垂直磁場によ
り磁気穂域を形成し現像効率を上げるように構成してい
る。

【００１１】即ち磁気特性の高いキャリアを用いて水平
磁場を形成した場合は、磁力線が現像スリーブ周面と平
行に形成される為に、図２（Ｂ）に示すように該磁力線
に沿って形成されるキャリア列が寝て水平方向に密度の
高い磁気穂域が形成される。又、水平磁場であるため
に、垂直方向の磁力線分布は相対的に小さくなり、結果
として感光体ドラム接触方向における磁気ブラシを柔ら
かくする事が出来る。従って前記水平磁場により磁気穂
域の感光体ドラムとの密着性を上げ、均一にむらなく接
触させる事が出来ると共に、垂直方向における磁気特性
を低下させて磁気ブラシが柔らかく不定型の状態で接触
させる事が出来るために、帯電効率が向上する。

【００１２】一方現像域では磁気特性の高いキャリアを
用いて垂直磁場を形成した場合は、図２（Ａ）に示すよ
うに磁力線に沿って形成されるキャリア列は感光体ドラ
ム側に垂直に穂立てされ、而もキャリアの磁気特性が高
いために、磁力線に沿って連鎖され従って垂直方向に密
度が疎で且つ剛毛な磁気穂域が形成される。従って前記
現像域では摩擦帯電によりキャリア周囲に付着したトナ
ーを感光体ドラムに円滑に接触させる事が出来ると共
に、トナーの磁気特性は低いためにキャリアをスリーブ
側に保持した状態でトナーのみを円滑に感光体ドラムの
画像部に付着させる事が出来る。又磁気特性の高いキャ
リアを用いて垂直磁場により形成される磁気ブラシは磁
力線により剛毛状態にあるために、潜像非画像部に付着
したトナーが前記磁気ブラシにより容易に掻き取りを行
う事が出来る。この場合画像部に付着したトナーも磁気
ブラシの掻き取り作用を受けるが、電光位置が磁気穂域
の終端より、ごく近傍の上流側にあること、また該トナ
ーは静電的に強く画像部に付着しているために、掻き取
られるトナー量は僅かで、トナー濃度低下が生じるほど
ではない。

【００１３】

【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を例示
的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている
構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に
特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみ
に限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。図１
は本発明の実施例にかかる感光体ドラムと現像スリーブ
の構成を示す慨略図である。１はＬＥＤユニット２を内
挿した感光体ドラムで、該ドラム１は、内面側より透光
性支持体１ａ上に透光性導電層１ｂ、光導電体層１ｃが
積層されて形成されており、透光性導電層１ｂを接地す
るとともに時計回り方向に回転可能に構成している。

【００１４】感光体ドラム１内に内挿されるＬＥＤユニ
ット２は、ドラム軸方向に沿って１列状に配列したＬＥ
Ｄチップ列等を搭載してなるプリント基板２１上に配設
させた集束性レンズアレイ２２（商品名：セルフォック
レンズ）からなる。そして前記ＬＥＤユニット２はその
露光位置がドラム１／スリーブ３の最近接点、言い換え
れば感光体ドラム１と現像スリーブ３の軸心を結ぶ中心
線上若しくは１°前後ドラム１回転方向下流側に偏向さ
せて、前記ドラム１内の光導電体層１ｃに結像するよう
に構成している。

【００１５】現像スリーブ３は、トナーとキャリアが適
正濃度比で混合された現像容器の感光体ドラム１と対面
する側に、固定磁石集成体３０を内包して配設され、該
スリーブ３の直径を感光体ドラム１と同様に３０φに設
定しつつ該感光体ドラム１と逆方向の反時計回り方向に
回転させるとともに、その周速をドラム周速の５〜１０
倍に設定し、現像位置でのフォワードフィード可能に構
成している。又該現像スリーブ３は、直流電圧に振動波
形成分を重畳させた現像バイアスＶｉを印加可能に構成
している。

【００１６】固定磁石集成体３０は図１に示すような磁
極配置に設定して入る。即ち主磁極Ｎは前記露光位置よ
り僅かにドラム回転方向下流側に変位した位置、より具
体的には最近接位置より２°前後（最近接位置より周方
向に略２ミリ）下流側に変位した位置に配設している。
そして該主極Ｎに隣接させて主極と逆極性の一対の磁極
Ｓ１は３０°〜５０°Ｓ２極は３０〜１１０°づつ変向
された位置に配設されている。

【００１７】次に前記現像ユニット３に用いる現像剤の
組成について説明する。本実施例においては前記したよ
うに、導電性の樹脂被覆磁性キャリアと高抵抗磁性トナ
ーの２成分現像剤を用いる。ここで樹脂被覆磁性キャリ
アには、フェライト、マグネタイト、鉄その他の磁性体
コアの表面にポリエチレンその他の樹脂を被覆させると
共に、必要に応じて該樹脂中にカーボン等を分散して形
成し、該キャリアの平均粒度を、３５μｍに設定し、比
重が４．０、体積固有抵抗を１０^２〜１０ ^６ Ω・ｃｍ、
磁気特性を、５ｋＯｅ（エールステッド）の磁場での最
大磁化を３０〜７０ｅｍｕ／ｇ、また、１ｋＯｅの磁場
での最大磁化を４０〜１００ｅｍｕ／ｇに夫々設定す
る。更に磁性トナーにはポリエステル樹脂中に顔料とと
もに荷電制御剤及び磁性粉等を均一に混練りして粉砕分
級したトナーを用い、該トナーの平均粒度を１０μｍに
設定し、比重が１．２５、体積固有抵抗を１０^１４Ω・
ｃｍ以上のものであり、より好ましくは１０^１６Ω・ｃ
ｍ以上のものを用い、そして磁気特性を、５ｋＯｅ（エ
ールステッド）の磁場での最大磁化を１５〜３０ｅｍｕ
／ｇ、また、１ｋＯｅの磁場での最大磁化が５〜２０ｅ
ｍｕ／ｇに設定する。そして上記のキャリアとトナーと
を混合して、現像剤とする。本実施例においては特にト
ナー／キャリアの混合比を１０〜２０％／９０〜８０％
に設定している。

【００１８】かかる装置において前記現像スリーブ３
（口径３０ｍｍ）の周速を２２８ｍｍ／ｓ、感光体ドラ
ム１（口径３０ｍｍ）の周速を３８ｍｍ／ｓに一定に制
御した状態（周速比６：１、周速差４２０ｍｍ／ｓ）
で、前記ドラム１／スリーブ３間隔を０．５ｍｍ設定し
て前記現像剤により形成されるドラム１／スリーブ３間
のトナー穂域１０を調べてみた所、全体のニップ幅が５
〜７ｍｍ前後、そして該穂域１０の露光位置よりドラム
回転方向下流側におけるニップ幅は２〜３ｍｍであっ
た。次に前記ドラム１／スリーブ３間における主極Ｎと
従属極Ｓ１、Ｓ２の夫々の垂直磁力分布と水平磁力分布
の状態を調べてみたところ、図１のようになった。本図
より理解される通り、前記主極Ｎにより形成される垂直
磁場の、感光体ドラム１回転方向上流側における磁気分
布立上がりポイントｎ１が、前記磁気穂域１０の開始点
から露光位置Ｒまでの間に設定されており、又前記主極
Ｎは、前記露光位置Ｒより感光体ドラム１回転方向下流
側の磁気穂域１０の終端までの間に位置している事が理
解される。

【００１９】次に本発明に効果を確認するために、図３
に示すように、露光位置Ｒ上に主極Ｎを配置し、Ｓ極は
該主極Ｎより左右に６０°前後遠ざかる、例えばドクタ
ーブレード４の設置位置と容器開口端５側にのみ配置し
た比較例を構成し、該比較例と前記実施例に夫々現像ス
リーブ３を介して周波数１００Ｈｚで振幅が５０±２０
ｖの矩形波からなる現像バイアス６を印加しながら現像
を行い、かぶりの状況を把握した所、後者の比較例では
印字濃度の低下と共にかぶりが発生していたが、本実施
例ではこのようなかぶりや印字濃度の低下がほとんどみ
られなかった。

【００２０】更に、前記樹脂被覆キャリアの代りに、バ
インダ樹脂中に磁性粉を分散した粒子の表面に、導電性
微粒子を固着して形成した樹脂キャリアを用い、前記該
キャリアの平均粒度を、３５μｍに設定し、比重が２．
０、体積固有抵抗を １０^２〜１０ ^６ Ω・ｃｍ、磁気特
性を、５ｋＯｅ の磁場での最大磁化を７０ｅｍｕ／
ｇ、また、１ｋＯｅの磁場での最大磁化を３０ｅｍｕ／
ｇに夫々設定したキャリアを用いて前記比較例と実施例
の装置により前記と同様な条件下で現像を行ったとこ
ろ、いずれも印字濃度の低下と共にかぶりの発生がほと
んどみられなかった。従ってかかる点より本実施例の装
置が磁気特性の高いキャリアを含む現像剤に顕著な効果
を有する事が確認された。

【００２１】

【効果】以上記載のごとく本発明によれば、樹脂被覆キ
ャリアの様に磁気特性の高いキャリアを用いて磁気穂域
を形成した場合においても、固定磁石集成体の磁極の位
置を適宜定めるだけで感光体の円滑な帯電と高品質の画
像形成を可能にした装置を提供出来る。等の種々の著効
を有す。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例にかかる感光体ドラムと現像
スリーブの構成を示す慨略図である。

【図２】 磁気特性の高いキャリアを用いて垂直磁場を
形成した場合の現像剤密度分布を（Ａ）、水平磁場を形
成した場合の現像剤密度分布を（Ｂ）に夫々示す。

【図３】 従来技術にかかる感光体ドラムと現像スリー
ブの構成を示す慨略図である。

【符号の説明】

１ 感光体 ２ 露光手段 ３ 現像スリーブ １０ 磁気穂域 Ｎ 主極 Ｓ１ 従属極 Ｓ２ 従属極

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 現像スリーブに内包した一又は複数の磁
   極を利用して前記現像スリーブと感光体ドラム間に現像
   剤からなる磁気穂域を形成し、該磁気穂域を介して現像
   バイアスを印加させながら前記感光体ドラムを帯電させ
   た後、前記磁気穂域内で露光とほぼ同時若しくはその直
   後に現像を行なう画像形成装置において、 前記現像スリーブに内包した前記感光体ドラムに対向配
   置させた主極により形成される垂直磁場と、該主極に隣
   接させて前記感光体ドラム回転方向上流側に配設した前
   記主極と逆極性の従属極と前記主極との間に形成される
   水平磁場により前記磁気穂域を形成すると共に、前記 磁気穂域の露光位置を挟んで前記感光体ドラム上流
   側の帯電域では水平磁場が、又下流側の現像域では垂直
   磁場が、キャリアに対して夫々主として作用するように
   前記主極及び従属極の磁極位置を設定した事を特徴とす
   る画像形成装置。
2. 【請求項２】 前記主極により形成される垂直磁場の、
   前記感光体ドラム回転方向上流側における磁気分布立上
   がりポイントを、前記磁気穂域の開始点から前記露光位
   置までの間に設定した事を特徴とする請求項１記載の画
   像形成装置。
3. 【請求項３】 前記主極を、前記露光位置より前記感光
   体ドラム回転方向下流側の前記磁気穂域の終端までの間
   に設定した事を特徴とする請求項１記載の画像形成装
   置。