JP2999129B2 - 溶融金属めっき用部材 - Google Patents

溶融金属めっき用部材

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JP2999129B2 JP25277494A JP25277494A JP2999129B2 JP 2999129 B2 JP2999129 B2 JP 2999129B2 JP 25277494 A JP25277494 A JP 25277494A JP 25277494 A JP25277494 A JP 25277494A JP 2999129 B2 JP2999129 B2 JP 2999129B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はめっき用溶融金属、特に
溶融亜鉛(少量のアルミニウムを含む溶融亜鉛も含む)
に対し優れた熱間対象性及び耐熱衝撃性を有する溶融金
属めっき浴用浸漬部材に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用、土木、建築あるいは家電用製
品において、耐食性、溶接性及び塗装性に優れた溶融金
属めっき鋼板等の表面処理鋼板の需要が急速に伸びてき
ている。この表面処理鋼板は連続溶融亜鉛めっき法、連
続溶融アルミニウムめっき法等の連続溶融金属めっき法
によって製造されている。そのプロセスは大半が図1に
示すような連続溶融めっき装置によって製造されてい
る。この溶融金属めっきは連続式熱処理炉において機械
的性質の調整及び表面を清浄活性化された鋼板1をスナ
ウト2を介して溶融金属槽3中に浸漬し、浴中のシンク
ロール4、サポートロール5を通過して溶融金属槽3か
ら引き上げられたのち、ワイピング装置6により過剰の
めっき金属を絞り取ってめっき付着量を調整して所定の
溶融金属めっき鋼板を得るものである。
【0003】上記連続溶融金属めっき法に使用される部
材、例えば、シンクロール4、サポートロール5あるい
は軸受構成部材等の部品は溶融金属と直接接触するた
め、(1)溶融金属による耐侵食性に優れていること、
(2)被めっき鋼板との接触による耐摩耗性に優れてい
ること、(3)溶融金属あるいは溶融金属浴中に存在す
るドロス(例えばFe−Zn合金)等の付着が起こり難
いこと及び容易に除去できること、(4)構成部材の寿
命が長いこと、(5)高温の溶融金属中に浸漬された際
の耐熱衝撃性に優れていることなどが要求される。
【0004】上記要求に対処するため、溶融金属浴浸漬
部材に対して、(1)構成部材の表面にJIS H83
03(1989)に制定のCo基自溶性合金を溶射した
もの、(2)特公平2−43819号公報に開示のよう
に、ZrO2 −Al2 3 とからなるセラミックス皮膜
を溶射形成したもの、(3)特公平2−55502号公
報に開示のように、WC−Coのような皮膜の気孔率を
1.8%以下に制御したWC−Co系サーメット材を溶
射したもの、(4)特開平3−94048号公報に開示
のように、5〜15wt%CoにW,Mo,Ti,Nb
等の炭化物あるいは硼化物を1種または2種以上含んだ
皮膜を溶射形成したもの、(5)実開平3−63565
号公報に開示のように、酸化物、炭化物溶射皮膜のピン
ホール及び皮膜表面にCr2 3 を化学的緻密化処理皮
膜を形成したもの、(6)特公昭64−3942号公報
に開示のように、SiO2 −MgO複合セラミックス皮
膜、SiO2 −MgO−ZrO2 と基材との間にセラミ
ックスと基材の中間の熱膨張係数をもつ皮膜を形成する
もの、等多くの提案が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来技術のCo基自溶
性合金を溶射した部材、特にロール、特公平2−555
02号及び特開平3−94048号公報に開示の部材は
無処理の部材に比較して、めっき浴浸漬部材として寿命
延長は有しているが、何れの皮膜も合金あるいは金属成
分を含んだサーメット材料であり、この金属成分が溶融
金属と反応して部材表面に合金層を生じたり、あるいは
皮膜内に存在する微細間隙や気孔に溶融金属が侵入する
ことによって皮膜が部分的に剥離し、基材が露出して溶
融金属と反応して合金層を形成すると共に健全部を含め
ドロスがロール表面に付着し、めっき鋼板に不均一模様
を生じたり、付着生成物による鋼板への押し込み疵を生
じる等めっき鋼板の品質悪化を招く原因となる。
【0006】また、特公平2−43819号及び特公昭
64−3942号公報に開示の部材はセラミックス複合
皮膜の単体又は多層皮膜であり、溶融金属と接触する部
材表面がセラミックスという観点からは溶融金属には濡
れ難い性質を有しているものの基材とセラミックス皮膜
の熱膨張係数が大きく異なるため、ヒートサイクルによ
り皮膜が容易に割れたり、剥離するため連続めっき設備
用としては問題が多く実用性に乏しい。
【0007】さらに、実開平3−63565号公報に開
示の部材は酸化物、炭化物溶射皮膜に存在するピンホー
ルにCr2 3 等を表面から化学的に封孔処理するもの
である。この方法によれば表面近傍に存在する気孔を封
じることは可能であり、溶融金属の皮膜内への侵入は一
次的には阻止できるが被めっき鋼板との接触による耐摩
耗性が問題となる。すなわち、化学的に被覆したCr2
3 皮膜は密着力、硬さの点で劣っており、従って、短
時間で皮膜が消滅して、その効力を十分長もちさせるこ
とが極めて困難である。
【0008】本発明の目的は溶融亜鉛めっき浴(少量の
アルミニウムを含む亜鉛めっき浴もこれに含める)中に
浸漬された部材が長時間にわたって溶融亜鉛との反応を
防止することによって、部材と溶融亜鉛との反冶金応生
成物の生成を防止し、更に皮膜剥離等の熱衝撃特性に優
れた溶融亜鉛めっき浴浸漬部材を提供しようとするとこ
ろにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は次の(1)〜
(4)の構成を有するものである。 (1)基材である鉄鋼表面の第1皮覆層を熱膨張係数が
基材とほゞ同一の金属であり、溶融亜鉛に耐食性のある
13Cr系ステンレス鋼の溶射層とし、以降の各皮覆層
を皮覆膜表面に向って溶融亜鉛に対して耐食性のあるセ
ラミックスであり、溶融亜鉛と熱力学的に反応しないア
ルミナ成分の比率を徐々に増した前記13Cr系ステン
レス鋼とアルミナの混合溶射層とし、最終表面層を前記
アルミナからなる溶射層となる傾斜組成皮膜構成として
なることを特徴とする溶融亜鉛めっき用部材。(2) 傾斜組成皮膜がそれぞれの溶射材料を予め混合し
て溶射ガンに供給して溶射して形成されたものであるこ
とを特徴とする上記(1)の溶融亜鉛めっき用部材。(3) 傾斜組成皮膜がそれぞれの溶射材料を別々に供給
して溶射ガンの先端で混合して溶射して形成されたもの
であることを特徴とする上記(1)の溶融亜鉛めっき用
部材。(4) 傾斜組成皮膜がそれぞれの溶射材料を高エネルギ
ボールミリング法により予め目標の混合溶射粉としたも
のを溶射して形成されたものであることを特徴とする上
記(1)の溶融亜鉛めっき用部材
【0010】本発明は、従来より多く提案されている方
法による欠点を解消し、かつ前記目標を達成するため以
下のとおり試験研究を実施した。その結果、図2に示す
とおり最表面を亜鉛と濡れ性の悪いアルミナからなる
ラミックス6、基材1直上の皮膜を基材1と熱膨張係数
がほぼ同じである13Cr系ステンレス鋼からなる金属
とし、最表層のセラミックス6と金属2との間をセラ
ミックスと金属の複合傾斜組成膜3,4,5とし、複合
皮膜の熱膨張係数を傾斜的に変化させた溶射皮膜を開発
した。
【0011】また、セラミックスと金属の複合層は溶融
亜鉛が侵入しない程度の微小な気孔を比較的多く形成し
皮膜自体のヤング率を小さくした。これらセラミックス
と金属から構成される複合皮膜は溶射法によって形成さ
れるが、溶射材料としてはセラミックスと金属との混合
粉、あるいは高エネルギボールミリング法によってセラ
ミックスと金属を均一かつ微細分散させた複合粉の何れ
かでも使用できる。
【0012】更に、最表層のセラミックスは溶融亜鉛の
侵入を完全に阻止する緻密な皮膜を形成する必要がある
ため溶射粒子の平均粒度を小さくして、溶射熱源中で完
全に溶融するようにし、かつ粒度分布も十分調整した材
料が適している。そのため、溶射プロセスはセラミック
ス粒子を十分溶融させるため熱源温度の高いプラズマ溶
射法が適している。
【0013】以上のように本発明の溶融亜鉛用部材は最
表層を耐溶融亜鉛侵食性似優れたセラミックス(アルミ
ナ)とし、基材に向けてセラミックスと金属(13Cr
系ステンレス鋼)を傾斜配合組成とした溶射皮膜を形成
したことを特徴とするものである。
【0014】
【作用】以下、本発明の作用について詳細に説明する。
本発明においていう溶融亜鉛めっき用部材とはめっき浴
中に浸漬設置されているシンクロール、サポートロール
あるいはこれらの取付け部材、例えば軸受等直接溶融亜
鉛に接触されるものである。これらの基材は鉄鋼材料で
作られ、その表面に最表層を100%セラミックス、基
材に面する最内層を基材と同一組成に近い材料とし、最
表層と最内層の間を金属とセラミックスの配合比率を変
化させた傾斜組成皮膜とする。
【0015】最表層のセラミックスは溶融亜鉛との合金
反応がなく、濡れ性も非常に小さい材料である。また、
使用中のめっき鋼板との摩擦に対してもセラミックスは
比較的高硬度で耐摩耗性を有し、溶融亜鉛めっき用部材
の皮膜形成材料として使用に十分耐えるものである。
【0016】本発明の他の特徴である傾斜組成皮膜は最
表層を形成するセラミックスは熱膨張率が基材の鉄鋼材
料に比較して小さいため、基材上に直接セラミックスの
みを単独溶射すると高温加熱時に熱応力によりセラミッ
クス皮膜が割れたり剥離を起こす。従って、この高温時
における基材と皮膜の熱応力緩和のため、基材と最表層
のセラミックス間を基材の成分組成に近い金属とセラミ
ックスの配合割合を傾斜的に変化させた皮膜とするもの
であり、傾斜組成皮膜の熱膨張係数実測値の一例を表1
に示す。
【0017】
【表1】
【0018】このように、溶融亜鉛浸漬部材の表面に形
成する皮膜を傾斜組成皮膜とすることにより熱膨張係数
が基材と最表面層の間で連続的に変化するため熱サイク
ル、熱衝撃を受けても皮膜の割れや剥離が防止できる特
徴を有している。
【0019】さらに、第3,4,5層のセラミックス
(A2 3 )と金属(13Cr系ステンレス鋼)の複
合層は複合皮膜に比較的多くの微細の気孔を形成し、皮
膜自体のヤング率を下げて割れ感受性を緩和させている
ことも本発明の特徴の一つである。
【0020】次に、セラミックスと金属の複合皮膜は次
の3種類の材料、方法により得られる。すなわち、
(1)セラミックス、金属それぞれ単独の粉末を目標の
組成比率に予め混合して溶射ガンに供給、(2)セラミ
ックス、金属それぞれ単独の粉末を別々の粉末供給装置
より目標の組成比率になるように供給し、溶射ガン部で
2種類の粉末を混合する、(3)高エネルギボールミリ
ング法により予め目標の組成比率の複合溶射粉を製造し
たものを溶射ガンに供給する。
【0021】ここで、本発明のもう一つの特徴として、
高エネルギボールミリング複合溶射粉によって形成した
溶射皮膜をあげることができる。前記した2種類の溶射
粉末を単に物理的に混合して溶射を行う方法では、セラ
ミックス(Al 2 3 )と金属(13Cr系ステンレス
鋼)の物理的性質(融点、密度、熱伝導率等)が大きく
異なるため、最適な溶射条件の把握が困難となり、その
結果、皮膜中への未溶融粒子介在、セラミックスと金属
の偏析、溶射歩留りの低下等の不具合が生じる。しか
し、高エネルギボールミリング複合溶射粉を使用するこ
とにより、これら欠点は解決できる。すなわち、高エネ
ルギボールミリング複合溶射粉は溶射粉1粒子中(例え
ば、粒径10〜45μmに1粒子)にセラミックスと金
属が目標の組成比で微細均一分散されているため、粒子
が高い熱伝導率を有するうえ、皮膜中にそれぞれの成分
が微細に均一分散される特徴がある。この結果、皮膜中
における未溶融粒子の介在もなく、各成分が均一微細分
散されると同時に溶射歩留りも向上する利点を有してい
る。さらに、混合粉を用いて形成した溶射皮膜の場合は
図3(a),(b)に示すとおり金属とセラミックスが
層状で帯状となって存在するが、高エネルギボールミリ
ング複合溶射粉皮膜の場合は図4(a),(b)の断面
顕微鏡組織及びセラミックスの特性X線像から明らかな
ように金属とセラミックスが若干の層状組織の傾向を示
すものの、セラミックスと金属が皮膜全面にわたって均
一分散していることが確認される。このことは、本発明
の皮膜が高温に曝された場合、セラミックスと金属の熱
膨張係数に起因する熱応力の発生も均等化され緩やかに
なることを示しており、皮膜の割れや剥離が起こり難い
状態にある。なお図3(a)は混合粉溶射皮膜断面の二
次電子線像、図3(b)は混合粉溶射皮膜のAl特性X
線図、図4(a)は高エネルギボールミリング複合溶射
粉皮膜断面の二次電子線像、図4(b)は高エネルギボ
ールミリング複合溶射粉皮膜断面のAl特性X線図を示
す。
【0022】本発明で使用する溶射材料において、第1
層の金属は基材と同系統(成分、熱膨張係数)の材料、
最表層のセラミックスは高純度材(99%以上)とし、
粉末粒度は通常のプラズマ溶射用セラミックスより小さ
めが好ましく、粒度範囲10〜40μm(平均粒度18
〜20μm)が適している。第3,4,5層の複合組成
膜のセラミックスと金属の組成比は特に限定はしない
が、3層の場合は皮膜の厚さ方向に滑らかな勾配をもた
すためには、基材側から(1)セラミックス20〜30
vol%−金属70〜80vol%、(2)セラミック
ス50vol%−金属50vol%、(3)セラミック
ス70〜80vol%−金属20〜30vol%が理想
的と考えられる。なお、この複合組成膜の層数には特に
限定されない。また、溶射粉の粒度は混合粉、高エネル
ギボールミリング複合溶射粉共に一般にプラズマ溶射用
として使用されている粒度(10〜45μm、平均粒度
は小さめで20〜25μm)が適している。溶射プロセ
スはセラミックス成分を十分溶融させる必要がありエネ
ルギの高いプラズマ溶射法が適しているが特に制限を受
けない。
【0023】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例をあげ、本発
明の効果を明らかにする。
【0024】(実施例1)本発明の傾斜組成多層溶射皮
膜の性能を調査するため、本発明の皮膜を4種類、比較
用皮膜を5種類作製し、470℃に保持された0.2w
t%Al−Zn合金溶融亜鉛浴中に1ケ月間浸漬し皮膜
表面を観察し、耐溶融亜鉛性能を評価した。
【0025】本発明の傾斜組成多層溶射皮膜: 基材13Cr鋼系材料に第1層に100%13Cr
系ステンレス鋼を100μm、第2層に200μmの2
5vol%アルミナ−75vol%13Cr系ステンレ
ス鋼の混合粉溶射、第3層に200μmの50vol%
アルミナ−50vol%13Cr系ステンレス鋼の混合
粉溶射、第4層に200μmの75vol%アルミナ−
25vol%13Cr系ステンレス鋼の混合粉溶射、第
5層に100μmの100%アルミナをプラズマ溶射法
により被覆したもの。 基材13Cr鋼系材料に第1層の100%13Cr
系ステンレス鋼を100μm、第2層に200μmの3
4vol%アルミナ−66vol%13Cr系ステンレ
ス鋼の高エネルギボールミリング複合溶射粉、第3層に
200μmの66vol%アルミナ−34vol%13
Cr系ステンレス鋼の高エネルギボールミリング複合溶
射粉、第4層に100μmの100%アルミナをプラズ
マ溶射法により被覆したもの。 基材13Cr鋼系材料に第1層に100%13Cr
系ステンレス鋼を100μm、第2層に200μmの2
0vol%アルミナ−80vol%13Cr系ステンレ
ス鋼の高エネルギボールミリング複合溶射粉、第3層に
200μmの50vol%アルミナ−50vol%13
Cr系ステンレス鋼の高エネルギボールミリング複合溶
射粉、第4層に200μmの80vol%アルミナ−2
0vol%13Cr系ステンレス鋼の高エネルギボール
ミリング複合溶射粉、第5層に100μmの100%ア
ルミナをプラズマ溶射法により被覆したもの。 基材13Cr鋼系材料に第1層に100%13Cr
系ステンレス鋼を100μm、第2層に200μmの2
5vol%アルミナ−75vol%13Cr系ステンレ
ス鋼となるように溶射粉を別々に供給して溶射ガン先端
で混合、第3層に200μmの50vol%アルミナ−
50vol%13Cr系ステンレス鋼となるように溶射
粉を別々に供給して溶射ガン先端で混合、第4層に20
0μmの75vol%アルミナ−25vol%13Cr
系ステンレス鋼となるように溶射粉を別々に供給して溶
射ガン先端で混合、第5層に100%アルミナをプラズ
マ溶射法により被覆したもの。
【0026】比較用耐溶融亜鉛浴用被覆材: ZrO2 −Al2 3 を300μm厚に溶射被覆し
たもの。 WC−Co 150μm厚に溶射被覆したもの。
(88wt%WC−12wt%Co) WC−WB−Co 150μm厚に溶射被覆したも
の。(80wt%WC−8wt%WB−12wt%C
o) JIS H8303(1989)MSFCo2自溶
性合金を300μm厚に溶射被覆したもの。 Al2 3 単独皮膜を溶射被覆したもの。
【0027】なお、溶融亜鉛浴浸漬試験用供試体の形状
は直径50mm、長さ300mm、先端は半径25mm
の球面形状とした。
【0028】溶融亜鉛浸漬試験後の供試体各皮膜の外観
状況及び溶融亜鉛の付着状況を表2に示した。この結
果、比較皮膜No.9及びNo.5はセラミックス皮膜
であり、基材との熱膨張係数が大きく異なるため皮膜の
割れ、剥離が発生、No.8は金属皮膜であり亜鉛との
反応が激しく、亜鉛の付着は勿論、基材との反応、すな
わち、亜鉛侵食が顕著であった。No.6及びNo.7
は一部金属成分を含有しているため僅かな亜鉛の付着及
び侵食が認められたが、比較皮膜の内ではNo.6が優
れていた。反面、金属とセラミックスを傾斜組成とし、
最表層を100%セラミックス(アルミナ)とした本発
明の皮膜は亜鉛の付着は勿論、亜鉛による侵食は全く認
められなかった。
【0029】
【表2】
【0030】(実施例2)本発明の傾斜組成多層溶射皮
膜を溶融亜鉛めっき装置用構成部材であるシンクロール
に実施して実際の使用環境下での評価を実施した。シン
クロール基材は13Cr鋼系であり、この表面に本発明
の一つである傾斜組成多層溶射皮膜を形成した。すなわ
ち、第1層に100μmの13Cr系フェライト鋼、第
2層に200μmの20vol%アルミナ−80vol
%13Cr系フェライト鋼高エネルギボールミリング複
合溶射粉、第3層に200μmの50vol%アルミナ
−50vol%13Cr系フェライト鋼高エネルギボー
ルミリング複合溶射粉、第4層に200μmの80vo
l%アルミナ−20vol%13Cr系フェライト鋼高
エネルギボールミリング複合溶射粉、第5層に100μ
mのアルミナをプラズマ溶射法により被覆を行った。
【0031】実機亜鉛めっき浴中に1ケ月間浸漬後、浴
中より引き上げ表面状態を観察した結果、引き上げ時に
溶融亜鉛が付着するが、冷却後比較的簡単に除去でき基
材との反応は全くなく、亜鉛との反応及び皮膜の侵食は
認められず、皮膜の割れ、剥離現象も認められなかっ
た。なお、本発明のロールと従来の皮膜(WC−Co
系)のロールを同時に亜鉛浴中に浸漬したが、従来皮膜
のロールは3週間時点で亜鉛による侵食が進んだため浴
より引き上げ再溶射を実施した。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の傾斜組成
を有した複合被覆部材は溶融亜鉛浴に優れた耐食性を有
するセラミックスにより耐溶融亜鉛侵食性を改善すると
ともに、基材と最表面のセラミックス層の間を基材金属
成分とセラミックスから構成される複合材料を用いてそ
の配合組成を連続的に変化させ、いわゆる傾斜組成とす
ることにより高温における皮膜の割れや剥離の防止が計
れること、更に、複合組成の皮膜を高エネルギボールミ
リング複合溶射粉の使用により、金属とセラミックスが
皮膜中に微細均一分散するため高温における皮膜の割れ
や剥離防止効果が一層向上する等の特徴を有している。
【0033】このような特徴を有している溶射被覆部材
を溶融亜鉛めっき設備に使用することにより、長期間に
わたって安定した溶融亜鉛めっき鋼板の製造を可能にす
ることは勿論、製品の品質、生産性の向上、設備保守点
検作業の低減をはじめ、コスト低減に大きく寄与でき工
業上価値あるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板の連続溶融亜鉛めっき装置の概要を示す略
線図。
【図2】本発明の傾斜多層膜構造を示す皮膜断面構成
図。
【図3】本発明の混合粉を用いて形成した複合皮膜(セ
ラミックス+金属)の一例の拡大断面組織を示す顕微鏡
写真。
【図4】本発明の高エネルギボールミリングを用いて形
成した複合皮膜(セラミックス+金属)の拡大断面組織
を示す顕微鏡写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三原 一正 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島製作所内 (72)発明者 小松 正行 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島製作所内 (72)発明者 原田 良夫 兵庫県神戸市東灘区深江北町4丁目13番 4号 トーカロ株式会社 溶射技術開発 研究所内 (72)発明者 竹内 純一 兵庫県神戸市東灘区深江北町4丁目13番 4号 トーカロ株式会社 溶射技術開発 研究所内 (56)参考文献 特開 平4−172146(JP,A) 特開 平4−173949(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 4/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材である鉄鋼表面の第1皮覆層を熱膨
    張係数が基材とほゞ同一の金属であり、溶融亜鉛に耐食
    性のある13Cr系ステンレス鋼の溶射層とし、以降の
    各皮覆層を皮覆膜表面に向って溶融亜鉛に対して耐食性
    のあるセラミックスであり、溶融亜鉛と熱力学的に反応
    しないアルミナ成分の比率を徐々に増した前記13Cr
    系ステンレス鋼とアルミナの混合溶射層とし、最終表面
    層を前記アルミナからなる溶射層となる傾斜組成皮膜構
    成としてなることを特徴とする溶融亜鉛めっき用部材。
  2. 【請求項2】 傾斜組成皮膜がそれぞれの溶射材料を予
    め混合して溶射ガンに供給して溶射して形成されたもの
    であることを特徴とする請求項1記載の溶融亜鉛めっき
    用部材。
  3. 【請求項3】 傾斜組成皮膜がそれぞれの溶射材料を別
    々に供給して溶射ガンの先端で混合して溶射して形成さ
    れたものであることを特徴とする請求項1記載の溶融亜
    鉛めっき用部材。
  4. 【請求項4】 傾斜組成皮膜がそれぞれの溶射材料を高
    エネルギボールミリング法により予め目標の混合溶射粉
    としたものを溶射して形成されたものであることを特徴
    とする請求項1記載の溶融亜鉛めっき用部材。
JP25277494A 1994-09-22 1994-09-22 溶融金属めっき用部材 Expired - Fee Related JP2999129B2 (ja)

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