JP2007217779A - 熱放射特性等に優れるセラミック溶射皮膜被覆部材およびその製造方法 - Google Patents

熱放射特性等に優れるセラミック溶射皮膜被覆部材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】白色系のセラミック溶射皮膜が抱える欠点がなく、基材に対する保護性、皮膜の耐損傷性や耐熱衝撃性や耐摩耗性等に優れる他、とくに熱放射特性に優れた溶射皮膜被覆部材を提供する。
【解決手段】基材表面に、直接または金属溶射皮膜からなるアンダーコートを介して、AlとYの混合物層からなる溶射皮膜を形成し、この皮膜を電子ビーム処理することにより、該皮膜表面を、Yの混合割合を変えることによって、淡い色から濃い色を呈する幅の広い色調の層に変化させると同時に、緻密な層に変化させてなる溶射皮膜被覆部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、セラミック溶射皮膜被覆部材とその製造方法に関し、とくに、熱放射特性や耐損傷性、耐熱性、耐食性、耐摩耗性等が要求される部材、とりわけハロゲン化合物が存在するような環境下での熱放射特性や耐プラズマエロージョン性に優れる半導体加工装置用の部材として好適に用いられるものを提案する。
溶射法は、金属、セラミック、サーメットなどの粉末をプラズマ炎や可燃性ガスの燃焼炎によって溶融させつつ、被溶射体(基材)の表面に向けて吹き付けることにより、その表面に溶融した粒子を堆積させ、これを皮膜化(肥厚化)させる表面処理技術である。このようなプロセスによって形成される溶射皮膜は、皮膜を構成する粒子の相互結合力の強弱や未結合粒子の有無によって、皮膜の機械的性質や化学的性質に大きな差が生ずることが知られている。そのため、従来の溶射技術開発の目標は、
(1)高温の熱源の有効利用による溶射粒子の完全溶融による粒子の相互結合力の強化と未溶融粒子の生成をなくすこと、
(2)溶射熱源に大きな運動エネルギーを加えて、この中を飛行する粒子に大きな加速力を付加して、被溶射体の表面に強い衝突エネルギーが発生するようにすること、
(3)被溶射体の表面に付着した粒子どうしの結合力を向上させることにより、気孔率を減少させると共に、被処理体との密着力の増強を図ること、
などに置かれている。
例えば、特許文献1では、50〜200hPaのアルゴン雰囲気中で、減圧プラズマ溶射することによって、溶射粒子どうしの結合力を向上させたり、気孔発生原因の一つである金属粒子表面に生成する酸化膜を低減させる方法を提案している。このような技術開発によって近年、溶射皮膜の性能は向上したが、同一の溶射材料を用いて形成する皮膜表面の色調の変化についてまで検討していない。
しかしながら、セラミック溶射皮膜はその色を観察すると、溶射材料としての酸化クロム(Cr)粉末は、黒色に近い濃緑色であるが、これをプラズマ溶射した場合、黒色に近い皮膜となる。一方、酸化アルミニウム(Al)粉末は純白であり、これをプラズマ溶射して得られる皮膜は白色である。ただし、酸化チタン(TiO)粉末それ自体は白色系であるが、これをプラズマ溶射すると黒色系の皮膜になる。こうした色の変化は、溶射熱源中において、例えばTiOを構成する酸素の一部が消失して、Ti2n−1で表示可能な酸化物となるためではないかと考えられている(特許文献2参照)。
一方、金属の溶射皮膜については、気孔率や溶射粒子の相互結合力を改善することが研究されている。例えば、自溶合金を溶射した後、これを酸素−アセチレン炎や高周波誘導、電気炉などによって皮膜を融点以上に加熱する方法、あるいは自溶合金溶射皮膜の表面を電子ビームやレーザビームなどを照射して溶融させる技術などが開発されている。例えば、電子ビーム照射に関しては、特許文献3において、金属皮膜に電子ビームを照射してこの皮膜を溶融して皮膜の気孔を消滅させる技術、また、特許文献4には、炭化物サーメット皮膜や金属皮膜に対して電子ビームを照射して皮膜を改質する技術、さらに、特許文献5では、セラミックスに短波長光ビームを照射し、酸素を脱離させて金属状態にすることにより、導電性を付与する技術などが開示されている。
しかし、これらの先行技術は、金属皮膜や炭化物サーメット皮膜を対象とし、皮膜の気孔の消滅や密着性の向上を目的としたものであり、セラミックス皮膜を短波長光ビーム照射する方法でも皮膜に導電性を付与することは開示しているものの、皮膜の色の変化や皮膜を構成するセラミック粒子の結晶構造変態についての開示はなく、照射による新しい機能として導電性の出現を認めているに過ぎない。
これらの先行技術は、特許文献4の[0011]段落に記載されているように、溶射皮膜に電子ビーム照射するには電気伝導性皮膜が必要であるとの、固定した観念があることに起因しているものと考えられる。
特開平1−139749号公報 特開2000−054802号公報 特開昭61−104062号公報 特開平9−327779号公報 特開平9−48684号公報
本発明の目的は、従来の溶射皮膜の性能が先端工業の要求に対して、十分に応えられていないという実情に鑑み、とくに下記のような課題を解決することにある。
(1)AlとYとの混合物を用いた一般的な白色系溶射皮膜は、光の反射率が高く、良好な熱放射率が要求される部材用被覆物として使用することができない。
(2)溶射皮膜被覆部材の使用環境が、精度の高い加工と清浄な環境の維持が必要とされる半導体加工装置の内部部材である場合には、AlとYの混合物からなる一般的な白色系溶射皮膜では、有彩色のパーティクルが付着すると目立ちやすく、かなりの頻度で洗浄を繰返す必要があり、作業効率の低下と製品コストの上昇を招く。
(3)AlとYの混合物からなる一般的な白色系溶射皮膜は、皮膜を構成する溶射粒子の相互結合部分の面積が小さく、空隙(気孔)の多い多孔質の皮膜となっている。そのため、腐食成分(例えば水分、酸、塩類、ハロゲンガスなど)がこれらの気孔を通って基材表面に達し、その基材を腐食させることがある。
(4)従来の溶射皮膜は、皮膜の構成成分であるAlやYの粒子の相互結合力(Alどうしどうしを含む)が弱いため、ブラストエロージョンなどの作用を受けると、粒子が局部的に脱落して皮膜の破壊を誘発することがある。
(5)AlとYの混合物からなる一般的な白色系溶射皮膜は、溶射材料粒子が十分に溶融しないことがあるため、粒子間結合力が弱くなることがある。そのうえ、粒子そのものにもミクロ的な欠陥を含むことがあり、弗化物ガス雰囲気中でのプラズマエッチング処理やプラズマクリーニング処理時に、該皮膜自体がエッチングされてしまう。この場合、エッチングを受けたAlとYとの混合物粒子は、微細なパーティクルとなって環境中に飛散するので、半導体加工製品の品質低下や生産性の低下原因となる。
(6)AlとYの混合物からなる一般的な白色系溶射皮膜は、皮膜を構成する粒子の結合力が弱いため、機械加工などをする際に、皮膜の粒子がしばしば脱落するため、精密加工をすることができず、製品の用途が限定される傾向がある。
上記目的を達成するための有効な手段として、本発明は、基材の表面が、AlとYとの混合物からなる着色溶射皮膜によって被覆されていることを特徴とする熱放射特性等に優れるセラミック溶射皮膜被覆部材を提案する。
また、本発明は、基材の表面に直接、またはまず金属溶射皮膜からなるアンダーコートを施工した後、Arガスの減圧プラズマ溶射法もしくはプラズマ炎を不活性ガスでシールドした大気プラズマ溶射法によって、白色のAlと白色のYとの混合溶射材料を溶射して、該基材表面に直接、濃い無彩色もしくは有彩色に着色した溶射皮膜を形成することを特徴とする熱放射特性等に優れるセラミック溶射皮膜被覆部材の製造方法を提案する。
なお、本発明においては、基材と着色溶射皮膜の間に、必要に応じ金属・合金の溶射皮膜からなるアンダーコートを設けること、前記混合物におけるAlとYとの混合割合は、質量で、Al:99〜1%、Y:1〜99とし、かつこの溶射皮膜の膜厚を、50〜2000μmとすること、前記着色溶射皮膜は、その表面から少なくとも50μm程度までの部分が、電子ビーム照射処理を受けて色の濃い無彩色もしくは有彩色に変色すると共に、溶射粒子どうしが融合し合って一体化した緻密化層としたものにすること、前記アンダーコートは、Niおよびその合金、Moおよびその合金、Tiおよびその合金、Alおよびその合金、Mg合金から選ばれるいずれか1種以上の金属もしくは合金を50〜500μmの厚さに形成した金属質溶射皮膜とすること、がより好ましい解決手段になると考えられる。
上述したように、本発明によれば、表面が白色系に限られる従来溶射皮膜に比べ、濃い色に着色された緻密質溶射皮膜を被覆することになるから、熱放射特性に優れるだけではなく、環境遮断性が良好で、耐食性に優れる他、耐熱衝撃性、耐摩耗性、さらには耐プラズマエッチング性などに優れた特性を示す部材が得られる。即ち、本発明によれば、AlとYの混合物セラミックの溶射環境中の酸素分圧を低く抑制したり、また、成膜後の溶射皮膜に対して電子ビーム照射を行うことによって、該溶射皮膜の表色を、濃い無彩色や有彩色などの暗色系の表色に変えると同時に、皮膜の表面から50μmまでの深さにあるAl粒子とY粒子とを溶融させて一体化させているので、とくに、熱放射特性と環境遮断能力に優れたものになる。とくに、溶射皮膜の着色化は、前記混合物中に占めるY含有量と溶射条件、電子ビーム処理条件の如何によって、淡い色から濃い色にまで自在に制御できるので、熱吸収や熱放射などの新しい機能皮膜としての用途開発に加え、耐食性、耐磨耗性、耐プラズマエロージョン性等の一段の向上が得られる。従って、本発明は、半導体加工装置に用いる部材として、品質や生産性に優れる有用な部材を提供することができる。
以下、淡いグレイから黒色までの(灰白色N9よりも低明度、好ましくはN<7、より好ましくはN<5)濃い無彩色または有彩色で着色されたAlとYとの混合物からなる着色溶射皮膜を被覆してなる部材の説明と共に、それの製造方法について説明する。
(1)AlとYとの混合物からなる溶射皮膜の形成方法
AlとYとの混合物の堆積層からなる着色溶射皮膜は、まず、被溶射体(基材)の表面をブラスト処理することなどによって粗面化する。次いで、基材の粗化表面に直接、または一旦、金属質溶射皮膜などのアンダーコートを施工した後に、溶射用原料粉末である白色のAl粉末と白色のY粉末とを混合した混合溶射材料を基材表面に、大気プラズマ溶射法などの方法によって、まず、白色系の溶射皮膜を形成する。即ち、このようにして形成された溶射皮膜の外観色(以下、表色とも言う)は、基本的には、AlとYとの混合割合をどのように変化させたとしても、生なり色である白色になる。
本発明では、上記溶射方法としては、大気プラズマ溶射法の他、高速フレーム溶射法、爆発溶射法あるいは水プラズマ溶射法などの方法を使用することもできる。いずれの溶射方法であっても、形成されたAlとY混合物溶射皮膜の外観色は、基本的に白色系になる。
なお、このような溶射皮膜は、実質的に酸素を含まないArガスの低圧雰囲気中で施工する減圧プラズマ溶射法によっても施工することができる。但し、このような酸素分圧の低い雰囲気中で形成される溶射皮膜は必ずしも白色系ではなくなり、例えば、極端な例としては、1mass%Al−99mass%Y混合物をこのような雰囲気中で溶射した場合には、着色化することができる。
また、大気プラズマ溶射法であっても、熱源中に空気が入らないように、プラズマ炎の周囲をArガスやNガスによってシールドした状態で溶射した場合、減圧プラズマ溶射法と同様に、着色されたAlとYの混合物の溶射皮膜を形成することが可能である。要するに、AlとYの混合物からなる着色された溶射皮膜を形成するには、空気(酸素)分圧が低く、還元作用を有する電子が多量に存在する熱源を用いることによって達成することができるが、いずれの場合でもY含有量の多い混合物ほど、無彩色、有彩色とも明度(N値)は小さく(暗い)なる。
このような雰囲気下で溶射した場合に、AlとYの混合物の溶射皮膜の少なくともその表面が着色される理由は、概ね、次のような現象が関係しているものと考えられる。一般に、溶射材料としてのAl粉末、Y粉末はともに白色である。しかし、Al粉末は、大気プラズマ溶射法や高速フレーム溶射法、爆発溶射法、水プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法などを用いて成膜しても、すべて白色系の皮膜となる。これに対し、Y粉末は、大気プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法、爆発溶射法、水プラズマ溶射法などの酸素分圧の高い雰囲気で形成される皮膜は白色になるが、酸素分圧の低い減圧プラズマ溶射法や大気溶射であっても溶射熱源周囲をArガスやNガスでシールドして、熱源中に空気が混入しない雰囲気下で成膜すると、濃い灰色や黒色などの暗色系に着色された溶射皮膜となる。従って、発明者らは、AlとYとの混合物からなる溶射皮膜の着色化は、該混合物中のY成分が変化することによるものではないかと考えている。
即ち、Alの場合、これを構成する金属元素としてのAlとO(酸素)の化学的結合力が強いため、雰囲気中の酸素分圧が低くかつ、還元力の強い電子が多量に存在するプラズマ炎中においても強固に結合している。これに対し、Yの場合、YとO(酸素)の化学的結合力が弱いため、上記雰囲気において酸素の一部を消失してY3−xのような分子式に変化し、このことが着色化の原因であると考えられる。また、酸素の一部欠乏に伴う、格子欠陥部の増加も着色化を促進するのではないかと考えられる。このことは、AlとYの混合割合を変えて成膜した場合、Y含有量の多い皮膜ほど黒色に近くなり、Al含有量の多い皮膜ほど淡いグレイ色を呈して白色系に近くなることからも推定できる。
本発明において、AlとYとの混合割合は、Al:1〜99mass%(含有量が多いほど明るい着色となる)、Y:99〜1mass%(含有量が多いほど暗い着色となる)の範囲において任意の着色度合を選択する。従って、もし、濃い表色(N<5)を希望する場合、AlとYの混合割合は、質量でAl:95〜5%、Y:5〜95%とすることが実用的であり、Yの量が多いほど濃い色になる。
着色溶射皮膜を形成するために用いられるAlとYの混合物からなる溶射粉末材料は、5〜80μmの粒径をもつ大きさのものが好適である。粒径が5μmより小さい粒子では流動性が悪く、溶射ガンへの供給が不安定となって溶射皮膜の厚さが不均等になりやすいからである。一方、粒径が80μmより大きい粒子では、溶射熱源中で完全に溶融することなく皮膜中に点在するようになるので、皮膜の均質性や基材との密着不良の原因となるからである。
AlとY粉末を混合する場合、両者の混合割合が比較的等しい条件下では(例えば、Al:30〜70mass%、Y:70〜30mass%)、両酸化物粒子を回転式混合機を用いて物理的に処理すれば、粉末の混合比率と成膜後の混合比率はほぼ同等のものが得られる。
しかし、Al:1〜5mass%、Y:99〜95mass%のように、一方の酸化物粉末の割合が極端に少ない(極端に多い場合もある)場合には、両酸化物粉末を塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの有機質バインダーを用いて、所定の割合になるように造粒(溶射に適した粒径と形状)しておけば、希望する混合割合の溶射皮膜を得ることは容易である。
被溶射体である基材としては、ステンレス鋼等の鋼材、アルミニウムおよびその合金、チタンおよびその合金などの非鉄金属(合金を含めて金属という、以下も同じ)材料の他に、石英、プラスチック、ガラス、セラミック焼結体などを用いることができる。
本発明において、上記基材の表面への着色溶射皮膜の形成に当たっては、AlとY混合物からなる溶射粉末材料を、直接溶射する他、基材表面に予め金属溶射皮膜などのアンダーコートとして施工した後その上に、AlとY混合物からなる溶射材料粉末をトップコートとして溶射して積層構造としたものでもよい。とくに、後者の場合、AlとYとの混合物からなる溶射皮膜の密着性が高くなると共に、アンダーコートの作用による基材の保護作用(環境の腐食成分が直接基材と接触するのを防ぐ作用)が向上するので好ましい。
上記アンダーコートを形成するための材料としては、Niおよびその合金、Moおよびその合金、Alおよびその合金、Crおよびその合金、Tiおよびその合金、Mg合金などが好適である。そして、このアンダーコートは50〜500μmの厚さに形成するとよい。アンダーコートの厚さが50μm未満では、トップコートとの密着性は向上するものの、基材を環境の腐食成分から保護する作用に欠けるため、ハロゲン化合物が含まれるような苛酷な環境下での寿命が短くなる。一方、膜厚が500μm以上になると、アンダーコートとしての機能が飽和するだけであり、生産性が劣るとともに製品のコストアップになる。
(2)白色系溶射皮膜の着色化
本発明の特徴は、白色のAl粉末と白色のY粉末との混合物を通常の大気プラズマ溶射して形成した白色系溶射皮膜の表面を、グレー色や黒色等の濃い無彩色や色の濃い有彩色に着色して着色溶射皮膜に変えることである。そのために本発明では、前記白色系溶射皮膜の表面に、電子ビームを照射することにより、溶射皮膜の表面を明るいものは暗くし、少し暗いものはより暗い色に着色する
なお、この処理では、該溶射皮膜の着色と同時に、この皮膜を構成しているAlとYの各溶射粒子は融合して一体化することによって、緻密な層に変わる。即ち、AlとYの混合物の溶射粒子が堆積して形成されている多孔質な溶射皮膜が緻密化すると同時に、その表色(外観色)が照射前の白色から濃い無彩色あるいは有彩色へと表色が変化するのである。
なお、この電子ビーム照射処理による溶射皮膜の着色の程度は、皮膜を構成するYの含有量や電子ビーム照射条件によっても変化し、とくにYが多いほど色が濃く、Al含有量が多い溶射皮膜ほど明るい色になるので、AlとYの混合割合を、使用目的に応じて選択することによって、溶射皮膜の色合いを調整する。
AlとYの混合物からなる溶射皮膜の表面を着色化させるための電子ビーム照射条件の例としては、例えば、10〜0.0005PaのArガスの雰囲気中で、下記の条件で電子ビーム照射を行うことが好ましい。
照射雰囲気:10〜0.0005Pa
照射出力 :0.1〜1kW
照射速度 :1〜30mm/s
なお、本発明において、電子ビーム照射処理とは、電子銃を使用して溶射皮膜材料の内殻電子を励起させて高精度短波長光ビームまたはそれとエネルギー的に等価な電子ビームをエネルギー源とするような方法も含む処理である。
電子ビーム照射を受けた溶射皮膜の表面は、混合状態となって皮膜を構成しているAlとYの各溶射粒子が、ともに溶融状態となる中で溶融して一体化する。このため、該皮膜の表面は、照射面の全体にわたって緻密化して光沢を示すようになる。とくに、溶射時に、皮膜中に混在している未溶融のAl粒子およびY粒子(プラズマ溶射熱源中で完全に溶融せずに、溶射皮膜中に混合状態のままで存在する粒子)も、この時点で溶融一体化する。
このような溶射皮膜の溶融緻密化現象は、電子ビームの照射回数を複数回に亘って行ったり、その出力を上昇させることによって、皮膜表面から内部層へ及ぼすことができるが、実用的には50μm程度の深さまで照射効果が現れるようにすれば、本発明の目的に適う皮膜が得られる。
なお、AlとYの混合物溶射材料を溶射して成膜する時に、減圧プラズマ溶射法や、ArガスやNガスなどによって、熱源中に空気が入らないようにシールドした大気プラズマ溶射法を適用して、少し着色した溶射皮膜を形成したものについても、さらに前記電子ビーム照射を適用して着色の程度を制御することは有効である。即ち、ある程度、着色した溶射皮膜に対してさらに電子ビーム照射する効果は、外観の表色が一層濃いものになるとともに、皮膜表面層の緻密化、平滑化などの点において、さらなる改質が期待できる。
白色系のAlおよび白色系のYの混合物を溶射して得られる白色系溶射皮膜を、電子ビーム照射することによって、変色する機構は未だに十分には解明できていないが、以下のように考えられる。即ち、酸素分圧の低い環境の中で、励起された還元力の強い電子によって、溶射皮膜表面が、Alに比較して酸素との化学的結合力の弱いYが酸素を放出したり、また、Y粒子中へも多量の電子が導入されたりして、格子欠陥部が増加する結果であろうと推定している。
次に、AlとYの混合物からなる溶射皮膜の表面は、電子ビーム照射処理によって、着色化するが、その表面を拡大して観察すると、小さな割れが網目状に発生した外装を呈している。この網目状の割れは、電子ビーム照射によって溶融したAl粒子とY粒子とが相互に融着することにより、平滑面となるが、その後、冷却される過程において、体積収縮するために発生するものと考えられる。また、電子ビーム照射は、減圧下で行うのが普通であり、空気のような冷却ガス体が希薄である。そのため、Al溶射皮膜は除冷され、その結果、該溶射皮膜を構成しているγ−Al(立方晶系スビネル型)がα−Al(三方晶系鋼玉型)に変態する際に、熱収縮を起こして、微細な表面割れにつながるものと思われる。
しかしながら、この微細な表面割れは、基材等の下地との間で材料の種類に起因する膨張率の差があるような場合でも、伸び差がこれらの割れ部で吸収され、皮膜の剥離防止に有効に働く場合がある。
図1は、AlとYの混合からなる溶射皮膜の断面図であり、この皮膜を電子ビーム照射したのち、光学顕微鏡で観察した結果を、非照射部の断面と比較して模式的に示したものである。図1(a)は、電子ビーム照射前の状態を示すものであり、皮膜は混合面の粒子がそれぞれ独立して石垣状に堆積し、大小さまざまな空隙(気孔)の存在が見られる。これに対して図1(b)は、電子ビーム照射後であり、少なくとも表面は、Al粒子とY粒子が、相互に融着して空隙の少ない緻密な状態になっている。
一方、電子ビーム照射してその影響が顕れている照射層のさらにその下層の部分では、AlとYの混合物からなる酸化物セラミック溶射皮膜特有の、気孔の多い皮膜構造が残存しているので、熱衝撃に対しては高い抵抗力をなお発揮する機構を維持している。
図1において、1は基材、2はAl粒子およびY粒子の混合粒子からなる溶射皮膜、3は皮膜の空隙部、4は粒界に沿って生成した貫通気孔、5は電子ビーム照射によってAlとYとの混合粒子が融着した緻密化層である。
本発明の上述した着色溶射皮膜は、プラズマ溶射皮膜が本来備えている物理化学的特性(例えば、硬く耐摩耗性に優れるほか耐食性、電気絶縁性有する)を損なうことなく、電子ビーム照射によって、新らたに以下に述べるような特性が付与されたものである。
(a)AlとY混合物からなる溶射皮膜は、電子ビーム照射処理されると、この皮膜の表面は完全に溶融するため、皮膜を構成する5〜80μm程度のAl粒子およびY粒子の混合物粒子が相互に融着し、皮膜表面部分(表面から約50μm程度の深さまで)の機械的強度が向上して破壊され難くなる。
(b)AlとYの混合物からなる溶射皮膜の表面は、溶射のままだと、Ra:3〜6μm、Ry:16〜32μm、Rz:8〜24μm程度の粗面を呈しているが、これを電子ビーム照射するとRa:0.8〜3.2μm、Ry:6〜18μm、Rz:3〜14μm程度に平滑面となり、溶射皮膜特有の未溶融粒子や突起状に付着しているAl粒子やY粒子などが消滅し、摩耗特性や摺動特性が向上する他、機械加工が容易になって精度の高い製品(溶射皮膜被覆部材)をつくることができる。
(c)AlとYの混合物からなる溶射皮膜の表面は、電子ビーム照射によって、Alの結晶型が照射前のγ相からα相に変化すると共に、Yの結晶構造は、立方晶と単斜晶の2つの結晶構造から、立方晶のみの結晶構造となり、結晶レベルでの変化が生じる。
(d)AlとYの混合物からなる溶射皮膜の表面は、電子ビーム照射処理によって、この皮膜中に存在している気孔、特に皮膜の表面から基材に通じている貫通気孔が遮断消失するため、この皮膜が被覆された基材の耐食性が飛躍的に向上する。
(e)電子ビーム照射されたAlとYの混合物からなる溶射皮膜は、溶射直後の白色のような明るい色(N>9)から濃い無彩色(N<7)か有彩色に変化するので、光の反射率が低下する一方、幅射熟の吸収効率が向上し、熱放射特性が向上する。
(f)電子ビーム照射された溶射皮膜の表面は、上記(a)〜(d)の効果によって、耐プラズマエロージョン性が向上する。従って、この皮膜の清浄な環境が求められているような半導体加工装置用部材の表面に被覆した場合、自らが環境汚染源となるパーティクルの発生が少なくなるので、装置の洗浄回数の減少に役立ち、生産性の向上にも寄与する。
次に、電子ビーム照射によって生成した着色溶射皮膜の光学的特性について説明する。上述したように、本発明にかかる着色溶射皮膜は、Y含有量の変化によって分光特性が大きく変動する。そこで、本発明に適合する着色溶射皮膜の例として、Yの含有量が5mass%以上の場合について、比較例(0mass%)と対比して説明する。以下、各皮膜についての分光特性試験を行ったので、その結果に関して説明する。
この分光特性試験に当たっては、試験片基材として、表面をブラスト処理したSUS304鋼(寸法:幅30mm×長さ50mm×厚さ3.2mm)の表面に、AlとYの混合割合の異なる粉末を用いて、大気プラズマ溶射法によって、150μm厚の溶射皮膜を直接形成した。その後、これらの皮膜の表面を電子ビーム照射して、それぞれの混合物からなる溶射皮膜を着色処理した。
このようにして準備したAlとYの混合物からなる溶射皮膜を試料として、日立323型紫外可視分光光度計積分球(拡散反射測定用)を用いて、可視域から近赤外域に属する0.34〜4μm範囲の波長について分光特性を調査した。この測定では試料が不透明体であるため、透過率を零とし反射率(γ)を実測することによって、次式から吸収率(α)を求めた。
吸収率(α)=1−γ
表1は、この試験結果を示したものである。電子ビーム照射前の白色Alと白色Yの混合物の皮膜は、供試波長の大部分を反射するため、吸収率(α)は0.05〜0.1程度であるが、電子ビームで黄色系に有彩色に着色した皮膜では、吸収率(α)は飛躍的に向上し、Yを5mass%含む皮膜では、(α)=0.35〜0.40、Yを40mass%含む皮膜では、(α)=0.61〜0.75を示し、Y含有量の最も多い皮膜(95mass%)では、吸収率(α)は0.94〜0.95に達し、電子ビーム照射による溶射皮膜の着色化は、皮膜成分の基本的特性を損なうことなく、光学的な新しい性能を付加し得ることがわかった。
Figure 2007217779
(実施例1)
この実施例では、SS400鋼の試験片(寸法:幅50mm×長さ100mm×厚さ3.2mm)の片面を、ブラスト処理した後、その粗化表面に、Al/Y混合割合が50/50の溶射粉末材料を直接、大気プラズマ溶射法によって、膜厚150μmの溶射皮膜を形成し、その後、その溶射皮膜の表面に、電子ビーム照射処理を行った例を説明する。なお、この試験では、前記電子ビーム処理の際、電子ビーム照射の出力、照射回数などを変化させ、溶射皮膜表面におけるAlとY粒子の溶融状態(溶融深さ)を制御し、電子ビーム照射の影響が表面からそれぞれ3μm、5μm、10μm、20μm、30μm、50μmに達する溶射皮膜を準備した。
電子ビーム照射後の試験片の側面および裏面などの基材露出部には、耐食性を有する塗料を塗布し、JIS Z2371に規定されている塩水噴霧試験に供して、溶射皮膜の耐食性を調査した。
なお、比較例の溶射皮膜として、電子ビーム照射をしないAlとYの混合粉末の大気プラズマ溶射皮膜を塩水噴霧試験に供試した。
表2はその塩水噴霧試験結果を要約したものである。この結果から明らかなように、AlとYの混合物の溶射皮膜を電子ビーム処理しない比較例(No.1)は、セラミック溶射特有の気孔が多数に存在していたため、24時間後すでに試験片全面にわたって赤錆が発生し、以降の試験は中止した。
これに対して、電子ビーム照射処理した本発明に適合する例(No.2〜7)では、48時間後でも赤錆の発生は認められず、電子ビーム照射による皮膜表面の溶融層厚が薄い試験片(No.2、3)のみ96時間後になってはじめて2〜3カ所において小さな赤錆の発生が認められた程度であり、他の試験片については赤錆の発生は見られなかった。
以上の結果から、電子ビーム照射を受けたAlとYの混合物からなる溶射皮膜の表面では、皮膜が電子ビームによって溶融し、互いに融合し合って皮膜に存在している気孔、特に基材に達する貫通気孔の一部が完全に消滅することによって、塩水の皮膜内部を通って、基材表面への侵入を防いであることがわかった。
なお、電子ビーム照射面においても、微細な割れが存在する場合もあるが、これらの割れは皮膜の表面を電子ビーム照射によって溶融したのち冷却する際に、Al粒子とY粒子が冷却されて収縮する際、最表層部のみに発生するだけであり、基材に達するような割れではなく、皮膜の耐食性にも影響を与えることはないことが判明した。
Figure 2007217779
(実施例2)
この実施例では、SUS304鋼(寸法:幅50mm×長さ60mm×厚さ3.2mm)試験片の片面をブラスト処理した後、その粗化表面に、大気プラズマ溶射法によって、50mass%Al−50mass%Yの混合物を直接、150μmの厚さに成膜したもの、および80mass%Ni−20mass%Cr合金の大気プラズマ溶射によるアンダーコート150μmを施工した後、その上にトップコートとして大気プラズマ溶射法によって、50mass%Al−50mass%Yの混合物を150μmの厚さに形成した試験片を準備した。そして、これらの試験片の表面を、電子ビーム照射することによって、着色化と緻密化を行った。なお、比較用の溶射皮膜として電子ビーム照射しないものも準備した。その後、これらの試験について同条件で熱衝撃試験を行い、トップコートの溶射皮膜の割れや剥離の有無を調査した。熱衝撃試験は、500℃に調整した電気炉中に15分間静置した後、20℃の水中に投入する操作を1サイクルとし、その都度トップコートの外観状況を観察しつつ5サイクル実施したものである。試験片枚数は、1条件につき3枚とし、そのうち1枚に亀裂が発生した場合には「1/3割れ発生」ありと表示した。
表3は、この試験結果をまとめたものである。この結果から明らかなように、基材上にアンダーコートを施工した50mass%Al−50mass%Y混合物の皮膜では、電子ビーム照射の有無に限らず良好な耐熱衝撃性を発揮し、トップコートに割れなどの異常は認められなかった。
これに対して、基材に直接、50mass%Al−50mass%Y混合物の溶射皮膜をトップコートとして形成した皮膜(No.1、2)では、電子ビーム照射のない皮膜では3枚中2枚(2/3と表示)で割れが発生し、耐熱衝撃性に乏しいことが判明した。これらの結果から、セラミック溶射皮膜の耐熱衝撃性を向上させるには、アンダーコートの施工が有効であることがわかった。
Figure 2007217779
(実施例3)
この実施例では、電子ビーム照射してAlとYをそれぞれ50mass%づつ含む着色化した溶射皮膜についての耐フッ素ガス性を調査した。基材としてはSUS304鋼(寸法:幅30mm×長さ50mm×厚さ3.2mm)の試験片を用い、この試験片の表面に直接、大気プラズマ溶射法によってAlとYの混合溶射材料粉末を溶射して150μm厚の溶射皮膜を形成した。その後、この溶射皮膜の表面を電子ビーム照射処理して、該皮膜表面を溶融緻密化させると共に、表面から5μm未満までの深さについては、混合状態にあるAl粒子とY粒子の相互融合化を図った。
これらの溶射皮膜試験片を、空気を除いたオートクレーブ中にHFガスを100Paになるように導入した容器内に静置し、その後、オートクレーブを300℃に加熱、100時間の連続試験を行った。なお、比較例として無処理(溶射皮膜のないもの)のSUS304鋼および電子ビーム照射をしていないAlとYの混合物溶射皮膜を同条件で試験した。
表4は、この試験結果を示したものである。無処理のSUS304鋼(No.1)はHFガスによって激しく腐食されて試験片の全面にわたって微細な赤錆が発生していた。また、電子ビーム照射していない混合物のプラズマ溶射皮膜(No.2)は、皮膜自体は健全であったが、SUS304基材面から完全に剥離するとともに、基材表面には赤錆の発生が認められた。これらの結果から、電子ビーム照射処理をしない溶射皮膜では、この溶射皮膜の気孔部から侵入したHFガスによってSUS304鋼が腐食され、これに伴って皮膜と基材との接合力がなくなり、皮膜が剥離したものと考えられる。
これに対して、電子ビーム照射した本発明に適合する例(No.3、4)は、該溶射皮膜表面に電子ビーム照射時の溶融状態から冷却凝固する際に発生する微細な割れは存在するものの、基材に達する貫通気孔が非常に少ないため、皮膜の剥離はなく、高い防食性能を発揮することがわかった。
Figure 2007217779
(実施例4)
この実施例では、SUS400鋼(寸法:幅50mm×長さ50mm×厚さ5mm)の試験片に、50mass%Al−50mass%Y混合物の大気プラズマ溶射皮膜を150μmの厚さに形成し、その後、この溶射皮膜を電子ビーム照射したものについて耐摩耗性を調査した。供試した試験装置および試験条件は下記の通りである。
試験方法:JIS H8503 めっきの耐摩耗試験方法に規定されている往復運動摩耗試験方法を採用した。
試験条件:荷重3.5N、往復速度40回/分を10回(400回)を20分(800回)実施、摩耗面積30×12mm、摩耗試験紙 CC320
評価は試験前後における試験片の重量測定を行い、その差から摩耗量を定量して比較した。なお、試験には比較例として電子ビーム照射処理を施さないAlとYの混合物の大気プラズマ溶射皮膜試験片も準備し、同条件で摩耗試験を行った。
表5は、この試験結果をまとめたものである。この結果から明らかなように、本発明に適合する電子ビーム照射試験片(No.2、3、5)の摩耗試験に伴う重量減少量は、比較例の溶射皮膜(No.1、4)の35〜45%にとどまっており、優れた耐摩耗性が認められた。この結果には、電子ビーム照射による皮膜表面の平滑性の向上および該溶射皮膜を構成するAlとY粒子の相互結合力の増強などの効果によるものと考えられる。
Figure 2007217779
(実施例5)
この実施例では、電子ビーム照射した本発明に係るAl−Y混合溶射皮膜の耐プラズマエロージョン性を調査した。電子ビーム照射試験片としては、実施例2と同じものを用い、CFガスを1分間当り60ml、Oを2ml流れる雰囲気中で反応性プラズマエッチング装置を用いて、プラズマ出力80W、照射時間500分の連続処理を行った。なお、比較試験片として大気プラズマ溶射法によって成膜したAl−Y混合皮膜も同じ条件で試験した。
表6は、この試験結果をまとめたものである。この結果から明らかなように、Al−Y混合溶射皮膜に対して、電子ビーム照射した皮膜(No.2、4、6)は、すべてCFガスを含む雰囲気下におけるプラズマエロージョン作用に対して強い抵抗力を発揮し、無照射皮膜(No.1、3、5)の10〜30%のエロージョン量にとどまっている。
Figure 2007217779
この発明に係る技術は、耐プラズマエロージョン性に優れる部材として、半導体加工装置の各種部品や構成部材として用いられている。とくに、ハロゲン化合物の存在する環境でのプラズマ処理治具用部材として用いる。その他、ガスタービンやディーゼルエンジンなどの分野における構成部材としても使用することができる。
AlとYの混合物からなる溶射皮膜の断面を光学顕微鏡で観察した組織を模式的に示したものであり、(a)は電子ビーム照射前溶射皮膜、(b)は電子ビーム照射後溶射皮膜の断面の模式図である。
符号の説明
1 基材
2 Al粒子およびY粒子の混合粒子からなる溶射皮膜
3 皮膜の空隙部
4 粒界に沿った貫通気孔部
5 電子ビーム照射によってAlとYとの混合粒子が融着した緻密化層

Claims (10)

  1. 基材の表面が、AlとYとの混合物からなる着色溶射皮膜によって被覆されていることを特徴とする熱放射特性等に優れるセラミック溶射皮膜被覆部材。
  2. 基材と着色溶射皮膜の間に、金属溶射皮膜からなるアンダーコートが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱放射特性等に優れるセラミック溶射皮膜被覆部材。
  3. 前記着色溶射皮膜の表色は、グレイから黒色までの濃い無彩色または、有彩色であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱放射特性等に優れるセラミック溶射皮膜被覆部材。
  4. 前記混合物におけるAlとYとの混合割合は、質量で、Al:99〜1%、Y:1〜99であり、かつこの溶射皮膜の膜厚は、50〜2000μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱放射特性等に優れるセラミック溶射皮膜被覆部材。
  5. 前記着色溶射皮膜は、その表面から少なくとも50μm程度までの部分が、該溶射皮膜を電子ビーム照射処理することによって、溶融粒子どうしを融合させて緻密化した層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱放射特性等に優れるセラミック溶射皮膜被覆部材。
  6. 前記アンダーコートは、Niおよびその合金、Moおよびその合金、Tiおよびその合金、Alおよびその合金、Mg合金から選ばれるいずれか1種以上の金属もしくは合金を50〜500μmの厚さに形成した金属質溶射皮膜であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の熱放射特性等に優れるセラミック溶射皮膜部材。
  7. 基材の表面に直接、またはまず金属溶射皮膜からなるアンダーコートを施工した後、Arガスの減圧プラズマ溶射法もしくはプラズマ炎を不活性ガスでシールドした大気プラズマ溶射法によって、白色のAlと白色のYとの混合溶射材料を溶射して、該基材表面に直接、濃い無彩色もしくは有彩色に着色した溶射皮膜を形成することを特徴とする熱放射特性等に優れるセラミック溶射皮膜被覆部材の製造方法。
  8. 基材の表面に直接、またはまず金属質溶射皮膜からなるアンダーコートを施工した後、白色のAlと白色のYとの混合溶射材料を溶射して白色系溶射皮膜を形成し、次いで、そのAlとYとの混合物からなる白色系溶射皮膜の表面を、電子ビーム照射することによって、その表面層の部分を濃い無彩色もしくは有彩色に着色させることを特徴とする熱放射特性等に優れるセラミック溶射皮膜被覆部材の製造方法。
  9. 前記混合物におけるAlとYとの混合割合は、質量で、Al:99〜1%、Y:1〜99であり、かつこの溶射皮膜の膜厚は、50〜2000μmであることを特徴とする請求項7または8に記載の熱放射特性等に優れるセラミック溶射皮膜被覆部材の製造方法。
  10. 電子ビーム照射処理を受けて着色した溶射皮膜は、その表面から50μm程度までの部分が、溶融粒子どうしが融合した緻密化した層であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の熱放射特性等に優れるセラミック溶射皮膜被覆部材の製造方法。
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