JP2999104B2 - 黒鉛快削鋼の製造方法 - Google Patents

黒鉛快削鋼の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋼中炭化物の黒鉛化を容
易にし、短時間焼鈍で黒鉛化可能なる亜共析鋼の黒鉛快
削鋼の製造方法に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】鋼の黒鉛化率が大きくなると被削性が向
上することはよく知られている。日本金属学会誌第12
号(1988)P1285.によれば、黒鉛化率が大き
くなると切削抵抗主分力、切削抵抗送り分力がほぼ半減
すること、せん断角が大きくなりせん断応力が低減する
こと、摩擦係数が小さくなることおよび切り屑のカール
半径が小さくなり処理性が良好になることが報告されて
いる。また、黒鉛化率が高くなり素地が軟らかくなる
と、冷間加工性の向上が期待できると報告している。
【0003】黒鉛化は原理的には純安定相のセメンタイ
トが安定相である黒鉛と鉄に分解する反応である。安定
相であるにもかかわらず体積膨張を伴うために黒鉛化は
容易ではない。そこで黒鉛核発生サイトを導入して黒鉛
化を促進させるための知見が、日本金属学会誌、 No.
3,Vol.30(1966),P279及び No.7,Vol.
43(1979),P640に紹介されている。即ち、
フェライト中の炭素過飽和、マルテンサイト変態歪、加
工歪、黒鉛核発生サイトとなる析出物の存在が黒鉛サイ
トとして有効であることを述べている。
【0004】上記知見を応用した先行技術を以下に紹介
する。炭素過飽和の状態(マルテンサイト組織)とマル
テンサイト変態歪を利用する方法として、特開昭49−
67817号公報がある。これによると、C (Total):
0.45〜1.5%、黒鉛:0.45〜1.50%,S
i:0.5〜2.5%,Mn:0.1〜2.0%,P:
0.02〜0.15%,S:0.001〜0.015
%,N:0.008〜0.02%,Ni:0.1〜2.
0%,Al,Tiの1種又は2種で0.015〜0.5
%,Ca:0.0005〜0.030%を含有する鋼
を、熱延後、750〜950℃に再加熱して焼入れして
マルテンサイト変態させ、これを再々加熱して600〜
750℃で焼鈍する製造方法である。この製造方法は加
工歪を付加していないために黒鉛化のための焼鈍時間が
長くなる欠点、熱延後に加熱工程を2回必要とするため
に製造コストに問題がある。
【0005】加工歪を利用する方法として、特公昭63
−9580号公報がある。これによると、C:0.01
5〜0.140%,Mn:0.3%以下、Sol.A
l:0.02〜0.30%,N:0.006%以下、
P:0.01%以下、S:0.010%以下を含有する
と共に式P(%)×S(%)≦10×10-6を満足し、
さらにSi:0.03〜2.50%,Ni:0.1〜
4.0%,Cu:0.03〜1.00%のうち1種以上
を含み、残部がFe及び不純物からなる鋼を熱間圧延し
た後、圧下率30%以上で冷間圧延して加工歪を導入
し、次いで焼鈍する製造方法である。しかし、熱間圧延
後の棒鋼を圧下率30%で冷間圧延できる工程を新たに
必要とするために現実的な製造方法とは言えない。
【0006】黒鉛核発生サイトとなる析出物を分散させ
る方法として、特開平2−111842号公報がある。
BN析出物を核生成サイトとする方法で、熱延後、焼入
れは省略して焼鈍のみで黒鉛化させることを特徴として
いる。すなわち、C:0.1〜1.5%,Mn:0.0
5〜2.0%,O:30ppm 以下、B:5〜80ppm,
N:5〜80ppm ,Si:0.5〜2.0%を含有する
と共に、Ni:0.1〜3.0%,Cu:0.1〜1.
0%の1種または2種、Ca:0.0008〜0.00
8%,REM:0.001〜0.005%の1種または
2種を含み、かつ、フェライト−黒鉛またはフェライト
−黒鉛−セメンタイトの組織を有することを特徴とする
被削性、焼入れ性に優れた熱間圧延鋼材である。しか
し、この製造方法では黒鉛化率100%を得るためには
焼鈍時間が著しく長くなり、やはり製造コストに問題を
残している。
【0007】以上に述べたように黒鉛化のための製造方
法に問題があり、未だ工業的規模で利用されるに至って
いない。短時間熱処理で黒鉛化率100%にし得る工業
的に有効な製造方法の開発が工業界から強く望まれてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
を解決することを目的とし、具体的には短時間焼鈍で黒
鉛化率100%にし得る黒鉛快削鋼の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の問題を解
決するためになされ、その要旨はC:0.3〜1.0
%,Si:0.3〜1.0%,Mn:0.3〜1.0
%,P:0.02%以下、S:0.015〜0.035
%,B:0.001〜0.004%,N:0.002〜
0.008%を含有する熱間仕上圧延した直後の棒鋼
を、その熱延ラインの延長線上に設置した水冷却装置に
より、冷却開始温度Ac1点以上、冷却終了温度Ms 点以
下、平均冷却速度30℃/s〜100℃/sの条件下で
水冷後、さらに自然冷却し、次いで加熱温度600℃〜
720℃で黒鉛化処理することを特徴とする黒鉛快削鋼
の製造方法である。
【0010】
【作用】前述したようにマルテンサイト変態歪が黒鉛核
発生サイトになると言われている。マルテンサイトが内
包する歪の総量はマルテンサイト変態歪と、熱間圧延後
の急冷によりマルテンサイトに残留する圧延歪の和であ
ると考えた。即ち本発明者らは黒鉛化に及ぼす熱間圧延
後の冷却条件について種々検討を重ねた結果、黒鉛快削
鋼の新しい製造方法を開発することに成功して本発明を
なした。
【0011】本発明鋼の請求範囲を上記のように定めた
理由を以下に説明する。Cは黒鉛を生成させるために不
可欠の元素であり、黒鉛を一定量確保する観点から、ま
た、マルテンサイト変態量を確保するためにその下限値
を0.3%に限定した。上限は熱間圧延、或いは熱間鍛
造時の加工性の低下、表面傷の発生を防止するために
1.0%以下とした。
【0012】Siは鋼中の炭素原子との結合力が小さ
く、黒鉛化を促進する有力な元素の一つであるために必
須の元素である。しかし、フェライトに固溶して硬さを
大きくし工具寿命を低下させる短所がある。焼入+焼鈍
処理をする場合に黒鉛化率を100%とするためにはS
iを添加することが必要であり、その下限値は0.4%
に限定しなければならない。上限値を1.0%に限定し
た理由はフェライトの硬さを大きくしないためである。
【0013】Mnは鋼中硫黄をMnSとして固定・分散
させるために必要な量及びマトリックスに固溶させて強
度を確保するために必要な量を加算した量が必要であ
り、その下限値は0.3%である。Mn量が大きくなる
と黒鉛化を阻害するので上限値は1.0%とした。Pは
鋼中において粒界に析出した燐化合物、フェライトに固
溶したPとして存在するために、被削性を改善すると同
時に熱間加工性を著しく損なうので、その上限を0.0
2%とした。
【0014】SはMnと結合してMnS介在物として存
在する。鋼中MnS介在物の量が増えると工具とMnS
介在物とが接触する機会が増加し、MnS介在物が工具
すくい面上で塑性変形して被膜を形成する。その結果、
フェライトと工具との接触する機会が減少するために凝
着は抑制され切削仕上げ面の性状は向上する。凝着を抑
制するためには、Sの下限値は0.015%必要であ
る。Sは黒鉛化を阻害するので上限値は0.035%と
した。
【0015】BとNは黒鉛化焼鈍時間を短縮させるBN
を生成する。短縮効果を充分得るためには0.001%
以上のBを添加しなければならない。Bが0.004%
を越えると短縮効果は飽和するので、その上限を0.0
04%とした。Nは0.001〜0.004%BをBN
とするために必要な量、即ち0.002〜0.008%
である。
【0016】熱間仕上圧延した直後の棒鋼を、その熱延
ラインの延長線上に設置した水冷却装置により強制冷却
するのは、熱間圧延による圧延歪を焼入れマルテンサイ
ト組織に残存させるためである。この方法によると熱延
後の赤熱状態の棒鋼の熱エネルギーを焼入れに利用でき
再加熱を必要としないので、結果として熱処理コストの
低減をはかることができる。
【0017】棒鋼表面で測定した冷却開始温度は、マル
テンサイト変態歪と圧延歪とを同時に発生させて黒鉛化
率を高めるためにAc1点以上でなければならない。冷却
終了温度は充分なマルテンサイト変態組織を得て黒鉛化
を容易にするためにMs 点以下でなければならない。平
均冷却速度の下限値を30℃/sとしたのは、マルテン
サイト変態組織を得るためと加工歪を残留させて黒鉛化
を容易にするためであり、上限値を100℃/sとした
のは、これ以上に急冷却してもマルテンサイト変態量は
増加しないためである。焼鈍温度の下限値を600℃、
上限値を720℃に限定したのはこの温度範囲における
黒鉛化時間が最も短いためである。
【0018】ここで本発明鋼の製造方法について言及す
る。熱間仕上圧延した直後の棒鋼を、その熱延ラインの
延長線上に設置した水冷却装置により、棒鋼表面の全面
に単位表面(m2)当たり0.3〜0.5トンの冷却水を
均一に散水した。その後自然冷却した後、さらにオフラ
インの焼鈍炉で黒鉛化処理した。
【0019】次に実施例により本発明をさらに詳述す
る。
【0020】
【実施例】表1に供試鋼の化学成分と製造条件を示す。
【0021】
【表1】
【0022】本実施例に使用した棒鋼は直径19mm以上
の直棒またはバーインコイルである。熱延ラインの延長
線上に設置した冷却装置により棒鋼表面の全面に単位面
積当たり0.3〜0.5トンの冷却水を均一に散水する
ことにより冷却した。冷却装置は長さ20mで、円周上
に多数の冷却水を供給するための孔を有するパイプで、
棒鋼はパイプの中心線上を通過する際に冷却される。冷
却開始温度、冷却終了温度は鋼材の表面温度を放射温度
計で測定した値であり、冷却平均速度は、冷却開始温度
と冷却終了温度との差を冷却時間で除すことにより求め
た。
【0023】表2に焼鈍時間と黒鉛化率を示す。
【0024】
【表2】
【0025】黒鉛化率は次式により算出した。 (鋼中黒鉛含有量/鋼の炭素含有量)×100(%) 鋼の炭素含有量は化学分析により定量した。黒鉛含有量
は平均黒鉛粒子径、密度及び黒鉛粒子数から算出した。
本発明による棒鋼の黒鉛化率は焼鈍時間が10時間前後
と短いにも係わらず、100%と著しく優れた結果を示
している。一方比較法の場合には黒鉛化率は50%程度
と低いことがわかる。
【0026】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなごとく本発
明によれば、著しく短い焼鈍時間で黒鉛化率100%を
実現できる優れた製造方法を提供することが可能であ
り、産業上の効果は極めて顕著なものがある。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−103817(JP,A) 特開 平3−146618(JP,A) 特開 昭51−109211(JP,A) 特開 昭51−134311(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/00 - 8/06 C21D 6/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.3〜1.0%,S
    i:0.4〜1.0%,Mn:0.3〜1.0%,P:
    0.02%以下、S:0.015〜0.035%,B:
    0.001〜0.004%,N:0.002〜0.00
    8%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる熱
    間圧延直後の棒鋼を、その熱間圧延ラインの後面に設置
    した水冷却装置により、冷却開始温度をAc1点以上、冷
    却終了温度をMs 点以下、平均冷却速度を30℃/s〜
    100℃/sとして冷却後、さらに自然冷却し、次いで
    加熱温度600℃〜720℃で黒鉛化処理することを特
    徴とする黒鉛快削鋼の製造方法。
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