JP2997747B2 - 試料中の物質の測定法 - Google Patents

試料中の物質の測定法

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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は免疫化学的測定法による試料中の物質の測定
法に関する。より詳細には、生化学、免疫学をはじめ医
学、薬学などの分野、とりわけ臨床検査の分野で利用さ
れる試料中の物質の測定方法に関する。
<従来の技術及び発明が解決しようとする課題> 臨床検査等の分野では、試料中の測定対象物質(例え
ば、抗原、ハプテン、抗体、薬物等)の測定(定量)法
として、測定対象物質と当該対象物質と抗原抗体反応可
能な物質(例えば、測定対象物質が抗原又はハプテンの
場合には抗体、測定対象物質が抗体の場合には抗原、
等)との抗原抗体反応を利用した免疫化学的測定法が汎
用されている。このような免疫化学的測定法としては、
抗原、抗体等に標識物質を結合させた標識体を用いる標
識法(例えば、放射免疫法、酵素免疫法、螢光免疫法
等)及び標識物質を用いない非標識法(例えば、免疫比
濁法、免疫比朧法、免疫凝集法等)が知られている(石
川栄治ら編“酵素免疫測定法"1982年医学書院発行、鎮
目和男ら編“新版ラジオイムノアッセイ"1977年朝倉書
店発行、軽部征夫ら編“バイオテクノロジー辞典"1986
年シーエムシー発行の“イムノアッシェイ”の項等参
照)。
上記の標識物質を用いる免疫化学的測定法において、
従来、標識物質としては、ラジオアイソトープ、螢光色
素、酵素、化学発行性物質等が用いられている。
標識物質としてのラジオアイソトープを用いた場合、
感度が高いので微量物質の測定に用いられるが、放射能
被爆の危険性があり、また安全性も悪く、取扱いにく
い。螢光色素を用いた場合には、測定時には標識螢光物
質以外に混在する螢光物質の栄光や励起光の迷光のため
S/N比が低くなりやすい。酵素を用いた場合には、酵素
は安定性に欠け、失活しやすいので、標識化操作が困難
であり、また調製された標識体も安定性があまり良好と
はいえない。また、測定時に基質等の試薬の添加が必要
であり、測定操作も他の方法に比べて長時間を要する等
の問題がある。化学発光性物質を用いた場合には、発行
させるために試薬の添加を必要とする。また、発光時間
の短いものが多く測定が困難である場合が多い。
最近、ユーロピウムキレートを標識した遅延螢光測定
法が報告されていが、この場合には特殊なキレート剤が
用いられたり、螢光強度を上げるために螢光増強剤が必
要であり、また測定に特別な装置も必要である(例え
ば、特開昭59−68673号、64−45365号等参照)。
本発明は上記従来技術の欠点を解消するためになされ
たもので、本発明の目的は従来標識物質として用いられ
てきたものの欠点を解決し、取扱いが簡便でS/N比が高
く、安定で特別な装置を必要としないものを提供するこ
とにある。
<課題を解決するための手段> 本発明者らは、鋭意研究した結果、蓄光体の微粒子を
従来用いられていた標識物質の代りに用いることによ
り、上記問題点を解決できることを見い出して本発明を
完成した。即ち、本発明は、標識物質を用いる免疫科学
的測定法において、標識物質として蓄光体微粒子を用い
ることを特徴とするものである。
上記の構成からなる本発明において使用される蓄光体
としては種々の蓄光性物質を利用できるが、好ましくは
夜行塗料、ブラウン管等に使用されている蓄光性蛍光体
が用いられる。かかる蓄光性螢光体としては、例えば、
II族金属(例えば、Ca、Ba、Mg、Zn、Cd等)の酸化物、
硫化物、ケイ酸塩、タングステン酸塩、リン酸塩等の少
なくとも1種と、1種又は2種以上の賦活剤(例えば、
Mn、Cu、Au、Ag、Pb、Al、Zn、Sb等)とで構成される螢
光体が例示される。より具体的には、例えば、ZnS:Cu、
ZnS:Ag、ZnS:Pb、ZnS:CU,Al、ZnS:Pb,Mn、(Zn,Cd)S:C
u、(Zn,Cd)S:Cu,Al、ZnSiO4:Mn、MgSiO4:Zn、Zn3(PO
42:Mn、ZnO:Zn、CaWO4等が挙げられ、これらの2種以
上を混合して使用してもよい。上記の螢光体は、II族金
属の酸化物、硫化物、ケイ酸塩、タングステン酸塩、リ
ン酸塩などに0.001〜1%程度の賦活剤を加え、更に必
要に応じて融剤(例えば、塩化カリウム等)を添加し、
700〜1300℃程度で30分〜数時間焼成することにより調
製できるが、市販品を使用してもよい。蓄光体微粒子の
大きさは、微粒子状であれば特に限定されないが、10μ
m以下が好ましい。
上記の蓄光体微粒子と、抗体、抗原等との結合は、慣
用の方法で行うことができ、例えば、蓄光体微粒子に物
理的又は化学的に吸着させる吸着法;蓄光体微粒子を、
例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−
アミノプロピルトリクロロシラン等のシランカップリン
グ剤等を用いて処理して蓄光体微粒子を官能基を導入し
た後、グルタルアルデヒド法等の結合剤を用いる化学結
合法などの方法により行うことができる。
本発明の測定法の測定操作は、蓄光体微粒子を標識物
質として用いる以外は、1ステップ法、2ステップ法、
競合法、サンドイッチ法等の従来の標識物質を用いる免
疫化学的測定法と同様な操作方法で行うことができる
(前掲“酵素免疫測定法”等参照)。その一例として、
固相を用いたサンドイッチ法で測定対象物質である抗原
を測定する場合を説明する。まず、測定対象物質の抗原
に対する抗体を、前記吸着法、化学結合法等の慣用の方
法で結合させた固相(例えば、マイクロプレート、プラ
スチック粒子、磁性体粒子等)を調製する。
当該固相に抗原を含む試料液を加え、抗原を固相上の
抗体で捕捉した後、洗浄してB/F分離を行う。次いで、
固相に、固体が結合した蓄光体微粒子を添加し、固相上
の抗原に結合させて蓄光体微粒子を固相上に固定し、洗
浄してB/F分離を行う。かくして固相上に固定された蓄
光体微粒子に励起光を照射した後、発光量を測定し、予
め作成された検量線と対比することにより、試料液中の
抗原量を測定することができる。
蓄光体の発光量の測定は、蓄光体を紫外線、電子線、
X線等で励起した後の発光量を測定することにより行わ
れる。蓄光体の発光は励起後、一定時間減衰しながら続
くので励起後、一定時の発光量を測定する方法でも、一
定時間の発光量を積算する方法でも、どちらでも測定で
きる。測定機器は特別な物を必要とせずに市販の発光計
や、隣光測定装置で行うことができる。
なお、本発明の測定法は上記の例に限定されるもので
はなく、適宜変更して行うことができる。また、蓄光体
微粒子に抗原、抗体等に代えて、アビジンとビオチン、
糖−コンカナバリンA等のような結合性を有する物質対
の一方を結合させたものを用いても測定を行うことがで
きる。この測定法は、抗原、、抗体等に結合性を有する
物質対の一方の物質を結合させた物質と、蓄光対微粒子
に当該他の物質を結合させた物質を用い、抗原抗体反応
生成物に結合性を有する物質等を介して蓄光対微粒子を
結合させて標識する方法である。かかる測定法を、前記
の固相を用いたサンドイッチ法で抗原を測定する例に基
づいて具体的に説明すると、結合性を有する物質対の一
方の物質を蓄光対微粒子に結合させた物質(例えば、ア
ビジンが結合した蓄光体微粒子)及び抗体に当該物質対
の他方の物質を結合させた物質(例えば、ビオチンが結
合した抗体)を予め調製しておく。そして、前記の例に
おいて、固相上に抗原を捕捉してB/F分離する工程まで
は同様に操作した後、上記ビオチンが結合した抗体を作
用させ、抗原抗体反応によりビオチンを固相上に結合さ
せ、洗浄することによりB/F分離を行う。次いで、固相
に、アビジンが結合した蓄光対微粒子を作用させて、ア
ビジン−ビオチン結合を介して固相上に蓄光対微粒子を
固定し、洗浄によりB/F分離を行う。以下、前記の例と
同様に、固相上に固定された蓄光対に励起光を照射して
発光量を測定することにより、抗原量を測定することが
できる。この測定法は、上記の例に限られず、競合法等
によっても行うことができる。なお、蓄光対粒子と結合
性を有する物質対の一方の物質との結合は、前記の吸着
法、化学結合法等により行うことができ、また抗原、抗
体等と結合性を有する物質対の他方の物質との結合は慣
用の化学結合法により行うことができる。特にアビジン
又はビオチンの導入は、所謂アビジン化剤やビオチン化
剤を用いることにより容易に行うことができる。
本発明の測定法は種々の微量成分の測定(定量)に用
いることができ、測定対象物質としては、例えば、C反
応性蛋白(以下、CRPという)、α−フェトプロテイ
ン、ガン胎児性抗原、ハプトグロビン、免疫グロブリン
類等の結成蛋白質、インスリン、甲状腺刺激ホルモン、
成長ホルモン等のホルモン、HBs抗原、HBe抗原等のウイ
ルス抗原、カナマイシン、テオフィリン等の薬剤などが
挙げられ、これらの物質を含む検体としては、例えば、
血清、血漿、尿、髄液、リンパ液等が挙げられる。
<発明の作用及び効果> 本発明の測定法では、標識物質として蓄光体微粒子が
用いられており、蓄光体は夜光塗料やブラウン管に用い
られるように化学的に安定であるので、酵素や化学発光
物質のような従来の標識物質に比べ標識操作を容易に行
うことができる。また、蓄光体は発光させるために特別
に試薬の添加を必要とせずに紫外線ランプ等で励起する
だけでよく、発光の測定も短時間で行える。蓄光体の発
光は他の螢光に比べ励起後長時間続くため、混在する螢
光物質の螢光が消光した後に測光することで螢光物質の
影響を避けることができるし、励起光の迷光や散乱光の
影響を受けることもない。蓄光体は化学発光物質のよう
に発光反応によって消費されることがないので、繰り返
し励起、発光測定を行うことができ、測定精度の向上が
図れる。
このように本発明の測定法は、調製や取扱いも簡便
で、容易に自動化もでき、臨床検査等において極めて有
用である。
<実 施 例> 以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
実施例 (1)蓄光体微粒子で標識された抗体の調製 夜光塗料に用いられている硫化亜鉛蓄光体(ZnS:Cu)
微粒子(粒子径5〜10μm、20mg)と3−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン(2m)を混合し室温で1時間反
応させた。精製水で洗浄後、2.5%グルタルアルデヒド
(4m)を加え室温で1時間反応後精製水で洗浄した。
そこにヤギ抗ヒトCRP抗体IgG(200μg)を加え2〜8
℃で一晩反応させ、微粒子を分離し、0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.0)で洗浄して蓄光体微粒子と抗体との結合体を
調製した。次いで、上記緩衝液に1%(w/v)になるよ
うに懸濁し、標識体として下記の測定に使用した。
(2)抗体が結合した磁性微粒子固相の調製 酸化鉄微粒子(粒子径1〜5μm)を上記(1)に記
載した方法と同じ方法で処理して抗CRP抗体が結合した
磁性微粒子を調製し、固相として下記の測定に使用し
た。
(3)CRPの測定及び結果 上記(2)で調製された磁性微粒子固相(25μ)と
上記(1)で調製された標識体(25μ)を混合し、測
定量のCRPを含む試料(20μ)を添加して室温で5分
間反応させた後、磁石でB/F分離を行、、固相を0.1Mリ
ン酸緩衝液で3回洗浄した。この反応物を螢光灯で30秒
間励起後1秒〜6秒まで5秒間の発光量を発光測定器で
積算測定した。測定結果を下記第1表に示す。
第1表に示されるように、CRP濃度に比例したシグナ
ルが得られており、本発明の方法によりCRPの測定が可
能であることが判明した。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−141066(JP,A) 特開 昭61−153568(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/532 G01N 33/543

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】標識物質を用いる免疫化学的測定法におい
    て、標識物質として蓄光体微粒子を用いることを特徴と
    する試料中の物質の測定法。
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