JP2994548B2 - イメージセンサの欠陥エレメント検出方法及び画像信号補正方法 - Google Patents

イメージセンサの欠陥エレメント検出方法及び画像信号補正方法

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JP2994548B2
JP2994548B2 JP6030134A JP3013494A JP2994548B2 JP 2994548 B2 JP2994548 B2 JP 2994548B2 JP 6030134 A JP6030134 A JP 6030134A JP 3013494 A JP3013494 A JP 3013494A JP 2994548 B2 JP2994548 B2 JP 2994548B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、イメージセンサの欠
陥エレメントを検出する技術及びその様な欠陥エレメン
トを有するイメージセンサを用いて読み取った画像信号
を補正する技術に関するものである。特に、本発明は、
例えば写真製版の分野の様に、原稿の画像を精度良く読
み取ることが求められる分野に好適な技術に関してい
る。又、本発明は、写真製版等の分野にイメージセンサ
を適用可能とするために、予め当該イメージセンサに含
まれる欠陥エレメントを高精度に検出する検査装置の分
野にも関している。
【0002】
【従来の技術】ファクシミリや複写機や電子黒板や製版
用スキャナ等の画像記録装置においては、原稿画像を読
み取るイメージセンサとして、CCD(Charge Coupled
Device)ラインセンサやCCDエリアセンサ(以後、
両者をCCDセンサと総称する)が広く用いられてい
る。ところが、製版用スキャナ等の分野においては、高
品質の記録画像が求められることから、出力特性に異常
を示す欠陥エレメントを含んだCCDセンサを当該製版
用スキャナのイメージセンサとして使用することができ
ない。そこで、CCDセンサを予め単体で検査して、問
題のあるCCDセンサを選別することが行われている。
【0003】その様なCCDセンサの検査方法を開示し
た文献としては、特開昭60−197064号公報があ
る。しかも、当該文献は、欠陥エレメントの出力値を補
正する方法も開示している。まず、本文献は、その第2
頁左下欄の第1表及び同頁右下欄第4行〜同欄第11行
に記載する通り、一定の強度の入射光に対して、ある範
囲を超えて大きい又は小さい出力値を与えるエレメント
がCCDセンサ中には含まれているが、その数は少数で
あること、及びその様な出力値に異常をきたす原因の一
つとしては、エレメントの電極の短絡や配線の断線を挙
げることができることを、開示している。そして、その
様な欠陥エレメントを検出して、その出力値を補正する
方法として、当該文献は、次の様な方法を提案してい
る。即ち、その第2頁左上欄第15行〜同頁右上欄第3
行及び第3頁左上欄第15行〜同頁右上欄第17行に記
載する通り、一定強度の光をCCDセンサの各エレメン
トに照射し、各エレメントの出力値と全エレメントの出
力値の平均値との差が当該平均値のX%以内に収まって
いるかにより、欠陥エレメントの有無を検出する。そし
てX%以内に収まっているときには、欠陥無しと判断し
て、その出力値に補正因子γを乗算して補正している。
この補正因子γによる補正は、画像処理において一般的
に行われているシェーディング補正に相当するものであ
る。これに対して、X%以内に収まっていないときに
は、欠陥エレメントと判断して、その欠陥エレメントの
番号を記憶すると共に、当該欠陥エレメントの直前のエ
レメントの出力値ないしは前後のエレメントの出力値の
平均値を以て、当該欠陥エレメントの真の出力値として
いる。
【0004】この従来技術は、製版スキャナ等の高品質
な画像の再生が求められる装置(例えば、12ビットの
分解能で以て画像の読取りを行う必要のある装置)にお
いては、予め不適当なCCDセンサを検出して、その様
なCCDセンサを製品から排除するための検出方法とし
て利用できるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術により、
かなりの数の不適当なCCDセンサを、予めデバイスの
製作・出荷段階で検出することが可能となる。しかしな
がら、上記従来技術による検出によって欠陥エレメント
無しと判断されたCCDセンサを製版スキャナ用のイメ
ージセンサとして用いても、実際にフィルム等の感材に
焼き付けられた画像中には、なお白キズや黒キズ等と呼
ばれるスジ状のキズが入った画像が、CCDセンサを走
査すべき副走査方向に沿って生じている。この様なスジ
状のキズは、画質を著しく劣化させるものである。そし
て、この様な現象が実際に頻繁に発生しているというこ
とは、上記従来技術を以てしてもなお、未検出の欠陥エ
レメントがCCDセンサ中に存在していることを裏付け
ているものである。
【0006】ここで、上記従来技術を用いた場合、即
ち、CCDセンサ単体で以てその出力値のみから欠陥エ
レメントの有無を検出する方法では、検出可能な分解能
としては、画像信号の情報量としてみた場合において、
8ビット(256階調)が限界であると考えられる。従
って、上記従来技術に於いて欠陥の有無の判断の基準と
なるパラメータX(%)の値は、せいぜい10%程度と
なる。これに対して、製版スキャナ等の画像記録装置で
求められる分解能の一例としては、例えば平面型走査装
置では12ビット程度である。従って、製版スキャナ等
においては、上記パラメータX(%)として、約0.0
25%の値が求められていることになる。つまり、上記
スジ状のキズをもたらす欠陥エレメントを検出するに
は、0.025%程度もの高精度で以て判断しなければ
ならないわけである。
【0007】この様な欠陥エレメントによる微小な出力
値の変動は、通常、電気的なランダムノイズ(いわゆる
1/fノイズやリセットノイズ等)に埋没してしまう程
度のレベルであり、CCDセンサの各エレメントの出力
値を直接測定する方法では検出困難なものであると言え
る。しかし、この様な微小なレベルの欠陥エレメントで
あっても、当該欠陥エレメントを含むCCDセンサをイ
メージセンサとして製版スキャナ等の高品質画像記録装
置に適用すると、人間の視覚で以てはっきりと認識でき
る程度の不要なキズが感材に顕出するのである。
【0008】この発明は、上述した様に、イメージセン
サの製造・検査段階では検査精度の限界を超えており、
従って出荷段階では選別・認識不可能なレベルの欠陥エ
レメントの有無を確実に検出可能とする方法を提供する
ものである。又、本発明は、欠陥エレメントの有無のみ
ならず、欠陥エレメントの位置の特定をも可能とし得る
検出方法を提供することも、その目的の一つとしてい
る。更に、本発明は、上記欠陥エレメントの位置情報に
基づき、当該欠陥エレメントの出力結果を高精度で補正
して、スジ状のキズの無い高品質な画像を記録可能とす
るための補正方法を提供することをも、目的の一つとし
ている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、光電変換を行う複数のエレメントを有するイメージ
センサにその入射光量を変えつつ光を入射して前記複数
のエレメントの出力信号を測定すると共に、前記各出力
信号が与える画像を感材に記録して、記録された画像に
基づき、前記イメージセンサが前記入射光量に対する出
力特性に異常をきたす欠陥エレメントを有するか否かを
検出している。
【0010】請求項2記載の発明では、請求項1の発明
に於ける画像の記録時に、前記複数のエレメントの出力
信号の画像に加えて前記各エレメントの前記イメージセ
ンサ内での配列位置を示す位置情報の画像をも前記感材
に記録すると共に、前記位置情報及び前記出力信号の両
記録画像を比較することにより、前記欠陥エレメントの
有無の検出に加えて、当該欠陥エレメントの前記配列位
置の特定をも行っている。
【0011】請求項3記載の発明は、(a)光電変換を
行う複数のエレメントを有するイメージセンサで一定の
光量の光を入射するステップと、(b)入射光量に対す
る出力特性がある領域で異常を示す欠陥エレメントが前
記複数のエレメントの中に存在するか否かを、前記複数
のエレメントの各出力信号に基づき検出するステップ
と、(c)前記(a)ステップに於ける入射光の光量を
変更して、新たな光量を有する光を用いて前記(a)及
び前記(b)の両ステップを繰返すステップとを備えて
いる。
【0012】請求項4記載の発明では、請求項3の発明
に於ける(b)ステップが、(b−1)前記各出力信号
のレベルが前記入射光量に応じて定まる許容範囲内にあ
るか否かを判断するステップと、(b−2)前記許容範
囲内のレベルでないときには、対応する前記エレメント
が前記欠陥エレメントであると判断するステップとを有
している。
【0013】請求項5記載の発明では、請求項3または
請求項4の発明に於ける(b)ステップが、検出対象の
前記エレメントが前記欠陥エレメントであるときには、
当該欠陥エレメントの前記イメージセンサ内での配列位
置を特定した上で、その配列位置を与える位置情報を記
録するステップを更に備えている。
【0014】請求項6記載の発明は、イメージセンサに
よって読み取った原稿の画像を与える画像信号の内で、
前記イメージセンサに含まれる複数の光電変換を行うエ
レメントの内で入射光量に対するその出力特性に異常を
きたす欠陥エレメントに対応した画像信号を補正する画
像信号補正方法であって、前記欠陥エレメントに対応し
た画像信号と当該欠陥エレメントの近傍に位置する前記
エレメントに対応した画像信号とを合成し、前記合成に
より得られた画像信号を前記欠陥エレメントに対応した
新たな画像信号に決定している。
【0015】
【作用】
(請求項1に係る発明) イメージセンサに入射光量を
変えつつ光を入射すると、イメージセンサ中の各エレメ
ントは、通常は、入射光量に応じた出力信号を出力す
る。しかし、欠陥エレメントの場合には、その出力信号
は入射光量に応じた値を示さず、異常な値となる。この
様な出力信号が与える画像を感材に記録すると、欠陥エ
レメントの出力信号の異常によってもたらされる画像が
記録された画像内に浮かび上がって、それは視覚的に記
録し得る状態にある。
【0016】(請求項2に係る発明) 各出力信号の画
像と共に、各エレメントの位置情報の画像をも感材に記
録すると、当該記録された画像内に、欠陥エレメントの
出力信号の異常によってもたらされた画像が浮かび上が
って生じるため、その欠陥エレメントによる画像と、位
置情報の画像が与えるエレメントの配列位置との対比関
係が視覚的に認識可能な状態となる。
【0017】(請求項3に係る発明) 一定の光量の光
をイメージセンサに入射すると、通常は、各エレメント
は入射光量に応じた出力信号を出力する。しかし、欠陥
エレメントについては、ある入射光量に対してその出力
信号が異常を示すこととなる。従って、当該入射光量に
対するエレメントの入力信号に異常がなければ、そのエ
レメントは欠陥エレメントではないと検出され、逆に、
異常を示せば、そのエレメントは欠陥エレメントである
と検出される。よって、入射光量を変えていくことによ
り、各入射光量毎に、各エレメントの出力信号に基づき
欠陥エレメントが存在するか否かが検出される。
【0018】(請求項4に係る発明) 各エレメントの
出力信号のレベルが、当該入射光量に応じて定まる許容
範囲内にあれば、その出力信号は当該入射光量に応じた
正常な値であるので、そのエレメントは欠陥エレメント
ではない。しかし、出力信号のレベルがその許容範囲外
であるときには、そのエレメントの出力特性は当該入射
光量に対して異常を示すものと判断でき、そのエレメン
トは欠陥エレメントであると検出される。よって、入射
光量を変えていき、各入射光量毎に、各出力信号がその
ときの許容範囲内にあるか否かを判断することにより、
全ての欠陥エレメントの存在が検出される。
【0019】(請求項5に係る発明) 各エレメントの
出力信号に基づき、そのエレメントが欠陥エレメントか
否かを検出できるので、欠陥エレメントと検出されたと
きには、当該欠陥エレメントのイメージセンサ内での配
列位置をも特定できる。従って、配列位置を与える位置
情報が欠陥エレメントの有無の検出に引き続いて行われ
る。
【0020】(請求項6に係る発明) 各欠陥のエレメ
ントに対応した画像信号は、当該画像信号と当該欠陥エ
レメントの近傍に位置するエレメントに対応した画像信
号との合成によって得られる、画像信号に置き換えられ
る。
【0021】
【実施例】
〔着眼点〕 先ず、「発明が解決しようとする課題」の
欄で既述した白キズ、黒キズという現象をもたらす原因
について分析し、本実施例の着眼点について述べる。
尚、白キズ、黒キズとは、CCDセンサ中の一部のエレ
メント(光電変換を行う部分)の出力電圧特性(以後、
出力特性と称す)が異常な振舞いを示すために、感光材
に焼き付けた画像上で、その欠陥エレメントに相当する
画像にスジ状のキズが入った様に見える現象をいう。
【0022】先ず、図1は、入射光量に対する正常な出
力特性を持った、あるエレメントの出力特性の一例を示
した図であり、入射光量に比例した出力電圧が得られて
いる。そして、出力電圧は、入射光量があるレベル以上
になると、飽和出力VSに飽和してしまう。而して、一
般的には、CCDセンサの各エレメントには感度のばら
つき(図1に示した実線SL0の傾きが各エレメント毎
に異なるという現象)があり、又、CCDセンサの受光
面に照射される光の光量は、光源から放出された光の光
量分布によって当該受光面状で一様ではないため、図2
(a)に示す様に、各エレメントの出力特性はある一定
の特性に揃うことはない。図2(a)中では、3つのエ
レメントの出力特性L1、L2、L3は入射光量に対し
て線形性を示すが、各特性の傾きが異なっている。この
様な出力特性のばらつきの問題は、図2(b)に示す様
に、白基準(ハイライト)と黒基準(シャドウ)の2点
を定めてシェーディング補正を行うことにより、各エレ
メントの線形的な出力特性を正規化することで解決され
ている。図2(b)では、シェーディング補正後の出力
電圧S’と入射光量との関係が直線L0で表わされる出
力特性に正規化されている。以上述べた点は、正常な出
力特性を持ったエレメントについて成立する話である。
【0023】そこで、本願出願人は、上述した点を踏ま
えて、白キズや黒キズの発生原因は、あるエレメントが
入射光量のある限られた範囲内で非線形な出力特性を示
すためと考える。そして、その出力電圧の非線形な変動
は、通常、CCDセンサの出力電圧に含まれるランダム
ノイズ(リセットノイズや1/fノイズ等)成分に埋も
れてしまう程度の微小なレベルであると考える。この点
を示したのが、図3及び図5である。
【0024】先ず図3は、感光材としてポジフィルムを
用いた場合に白キズをもたらすものと考える、あるエレ
メントの出力特性を示している。尚、感光材としてネガ
フィルムを用いた場合には、図3の出力特性は黒キズの
発生原因になるものと、本願出願人は考える。同図中、
本来あるべき正常な出力特性(線形性)を破線BL(一
部が実線SL1と重畳している)で示している。これに
対して、白キズをもたらす欠陥エレメントの出力特性は
実線SL1で示されており、ある入射光量で、その出力
電圧が正常な出力特性BLよりも大きな値となってい
る。この非線形な部分が、正に白キズをもたらすものと
考える。そして、この非線形な部分に於ける、その出力
電圧と正常な場合の出力電圧との電圧差は、焼き付け時
の白キズの発生状況と従来技術に於ける測定精度ないし
分解能のレベルから推察して、飽和出力VSの0.1%
程度に当たるものと考えられる。
【0025】図3に示した欠陥エレメントの出力特性
を、他の正常なエレメントの出力特性と同様にシェーデ
ィング補正した場合の一例を示すのが、図4である。図
4(a)中、3つのエレメントの内で2つのエレメント
が正常な出力特性L4、L5を有しており、残り1つの
エレメントが欠陥エレメントと考えられ、その出力特性
が非線形特性L6を示すものと想定している。これらの
出力特性L4〜L6をシェーディング補正すると、図4
(b)に示す様に、正常な出力特性L4、L5は同じく
線形な出力特性L0に正規化されるのに対して、非線形
な出力特性L6は、シェーディング補正後も依然として
非線形な出力特性L01のままとなる。従って、出力特
性L01に於ける非線形部分AR1が、焼き付け時に白
キズを発生させるものと考えられる。
【0026】一方、図5は、ポジフィルムにCCDセン
サの出力画素を焼き付けた場合に生じる黒キズ(ネガフ
ィルムの場合には白キズ)の原因と考えられる、欠陥エ
レメントの出力特性の一例SL2を、正常な場合の出力
特性BLと共に描いた図である。黒キズ発生の場合に
は、ある入射光量(特に、入射光量自体が飽和出力VS
を与えるときの入射光量と比較して小さいとき)では正
常時と比較して出力電圧が著しく減少し、ある一定光量
を超えない限り正常な出力電圧を出力し得ないという、
出力特性の極在化した非線形性が原因であるものと考え
られる。従って、この非線形性領域に於ける当該欠陥エ
レメントの出力電圧も又、ランダムノイズ成分の中に埋
もれてしまい、直接検出できない状態にあるものと考え
る。
【0027】この様な黒キズ発生原因と考えられる非線
形な出力特性をシェーディング補正したとしても、補正
後の出力特性も又、非線形となることは明らかである。
この点を端的に示した一例が、図6である。同図(a)
は、3つのエレメントの内の2つが正常な出力特性L
7、L8を示し、残り1つが非線形な出力特性L9を示
す例である。そして、シェーディング補正の結果、同図
(b)に示す様に、出力特性L7、L8は線形な出力特
性L0に正規化され、欠陥エレメントの出力特性は依然
非線形な出力特性L02のままである。
【0028】以上分析した様な非線形出力特性を持った
エレメントの数に関しては、CCDセンサ1台につき、
その全エレメント数を例えば5000とすれば、数エレ
メントはその様な欠陥を有しているものと推定される。
そのため、この様な欠陥エレメントを含んだCCDセン
サで以て原稿画像を読み取ると、その欠陥エレメントに
当たる部分の読み取り画像にスジが入った状態になるの
である。
【0029】この点を、ポジフィルム91に焼き付けた
一例として、図7に模式的に示す。同図(a)は、CC
Dセンサ100中に、白キズを与えるものと考えられる
白キズエレメントE1と黒キズを与えるものと考えられ
る黒キズエレメントE2とが含まれていることを示して
おり、同図(b)は原稿90の画像を示しており、同図
(c)は焼き付け結果を示している。尚、白キズ、黒キ
ズ、即ち白いスジ、黒いスジ(図7(c)の92、9
3)は、完全に白色、黒色というのではなく、その周囲
の画像の濃度との比較の結果、視覚的に「白っぽい」、
「黒っぽい」と判断されてスジ状に見えるものである。
【0030】以上の様に、白キズ、黒キズという現象
は、エレメントの微小な非線形出力特性に起因するもの
である点に着眼するならば、この様な欠陥エレメントの
非線形出力特性を積極的に視覚的に顕出させることによ
って、欠陥エレメントの有無と当該欠陥エレメントのC
CDセンサ内での配列位置(以後、単に欠陥エレメント
の位置と称す)の特定の検出が可能になるものと考え
る。その一つは、出力スキャナを用いてフィルム上に高
精度に当該非線形特性と線形特性との間のズレを強調し
て現出させ、これによって非線形性を視覚化させること
である。その第二は、スキャナによる読取り精度を高め
てランダムノイズ成分を除去し、埋もれていた非線形な
出力特性を電気的に顕出させることである。いずれの方
法においても、CCDセンサを単体として検査するので
はなく、CCDセンサをスキャナに組み込んで、スキャ
ナ本体(出力スキャナをも含む)の機能と組合わせて、
CCDセンサ内の欠陥エレメントを検出しようとする点
に、特徴があるといえる。以下、上記2つの検出方法の
詳細を順次に説明する。
【0031】〔第一の検出方法〕 本方法は、視覚的
に欠陥エレメントの有無を判定する方法と、更に視覚
的に欠陥エレメントの位置をも特定する方法とに別けら
れる。そこで、画像を読取る入力スキャナと読取られた
画像をフィルムに焼き付ける出力スキャナとが一体的に
構成された、いわゆるスタンドアロンタイプのスキャナ
を、画像記録装置として用いるのではなくて、CCDセ
ンサ内に含まれる欠陥エレメントの検出装置として用い
る。これは、スタンドアロンタイプのスキャナの本来的
な画像記録機能を積極的に検出機能に応用していこうと
する観点に基づいている。そして、本スキャナは、上記
検出方法、の何れにも適用される。尚、以下の実施
例では、便宜上、被検査物としてのCCDセンサを、C
CDラインセンサに限って説明する。勿論、2次元的な
CCDエリアセンサについても、本検出方法、を適
用することは可能である。
【0032】先ず図8は、上述したCCDラインセンサ
の欠陥エレメントの検査装置の構成を模式的に示したブ
ロック図であり、上記入力スキャナとして平面型入力ス
キャナ1が用いられている。本検査装置は、大別して、
平面型入力スキャナ1と画像処理部21と、色変換処理
部30と、出力スキャナ31と、コントロール部13と
より成る。以下、各部の構成について、順次に説明す
る。
【0033】平面型入力スキャナ1は、原稿台2と光源
部24と駆動源部25とXYテーブル9と画像読取部8
とミラー7とより成る。光源部24は、ハロゲンランプ
5とロッド照明器6とより成り、ハロゲンランプ5の駆
動は、前述のコントロール部13によって行われる。そ
して、原稿台2を介して、ロッド照明器6の真下にはミ
ラー7が配置されている。原稿台2の中央部には開口部
が形成されており、その開口部に透明なガラス板3が嵌
め込まれている。そして、このガラス板3上に、グラデ
ーション原稿4が載置される。そして、原稿台2は、図
示しない駆動機構によって副走査方向Xに移動可能であ
る。即ち、この原稿台2の移動により、グラデーション
原稿4の副走査方向Xへの走査が行われるわけである。
【0034】一方、XYテーブル9上には、ズームレン
ズ13と検査対象のCCDラインセンサ10とが搭載さ
れる。このXYテーブル9は、トリミング調整のため
に、図示しない駆動機構によって主走査方向Yに移動可
能である。ズームレンズ13は、ミラー7に対面して配
置されており、グラデーション原稿4を透過してミラー
7によって反射された透過光14(以後、入射光14と
も称す)をCCDラインセンサ10の受光面、即ち、各
エレメントに結像する。又、ズームレンズ13は、絞り
(図示せず)を有している。画像読取部8は、前述のC
CDラインセンサ10を含めて、CCDラインセンサ1
0のドライブ回路11と、CCDラインセンサ10の各
エレメントの出力電圧をA/D変換するA/D変換器1
2とより成る。そして、ドライブ回路11は、後述する
CPU14によって制御されている。
【0035】一方、駆動源部25は、5つのパルスモー
タPM1〜PM5より成る。各パルスモータPM1〜P
M5は、コントロール部13が出力する駆動信号を受け
て、駆動力を対応する各部へ出力する。即ち、パルスモ
ータPM1は、その駆動力を前述した原稿台2の駆動機
構へ出力して、原稿台2を副走査方向Xへ移動させる。
パルスモータPM2は、その駆動力をズームレンズ13
へ出力して、その倍率を調整する。又、パルスモータP
M3は、その駆動力を前述したXYテーブル9の駆動機
構に出力して、トリミング調整を行う。又、パルスモー
タPM4は、その駆動力をズームレンズ13へ出力し
て、焦点位置の調整を行う。又、パルスモータPM5
は、その出力をズームレンズ13の絞りへ出力して、絞
りの調整を行う。
【0036】画像処理部21は、A/D変換された画像
信号V1を受け取って、当該信号V1に対してシェーディ
ング補正、対数変換(LOG変換)、ノイズフィルタに
よる瀘波処理、副走査位置補正等の各処理を順次に行う
部分であり、これらの処理の制御は、タイミング制御部
22によって行われる。そして、タイミング制御部22
自体の制御は、コントロール部13が行っている。尚、
メモリ23は、各エレメントの位置情報ないしは番号付
けを与える情報を示す信号VPI(位置情報信号)を格納
するためのものであり、上記検出方法の場合にのみ使
用されるものである。
【0037】色変換処理部(CU部)30は、画像処理
部23が出力する画像信号V2を、当該信号V2に対して
輪郭強調処理等を施した上で、Y(イエロー)、M(マ
ゼンダ)、C(シアン)、K(墨)の各印刷色を与える
画像信号V3に変換する部分である。本処理部30の動
作は周知であるため、ここではその詳細を割愛する。
尚、本実施例では、検査対象のCCDラインセンサ10
はいわゆるカラーCCDセンサではないが、もしカラー
CCDセンサであるならば、カラーCCDセンサが出力
するB(ブルー)、G(グリーン)、R(レッド)の各
色の出力信号を、YMCKの各印刷色の信号に変換する
ことなく、そのまま画像処理部21から出力スキャナ3
1へ出力する様に設定しておく。
【0038】出力スキャナ31は、画像信号V3に基づ
き光ビームを変調した上で、当該光ビームをフィルム3
2上に走査・露光することにより、CCDセンサ10に
よって読取ったグラデーション原稿4の画像をフィルム
32に焼き付ける装置(画像記録装置)である。そのた
め、出力スキャナ31は、例えば、画像信号V3を2値
レベルの網点信号に変換する、いわゆるドットジェネレ
ータや、網点信号に応じて駆動される発光素子(LDや
LED等)や、発光素子より出射した光ビームをフィル
ム32に結像するための光学系や、主走査方向に回転
し、且つその外面にフィルム32が装着されたシリンダ
等を有している。そして、上記発光素子や光学系は、副
走査方向に移動可能な露光ヘッド内に設けられている。
この様な出力スキャナの構成はよく知られており、ここ
では、その詳細な説明を割愛する。
【0039】コントロール部13は、前述した平面型入
力スキャナ1、画像処理部21、色変換処理部30及び
出力スキャナ31を制御する部分であり、その中核をな
すのがCPU14である。その他に、コントロール部1
3は、駆動源部25に出力する駆動信号を生成する、モ
ータ制御部15及びモータドライバ16や、メモリ1
7、I/F回路18を有している。又、キーボードやマ
ウス等の入力装置20とCRTディスプレイ装置等のモ
ニタ19とが、I/F回路18を介して、CPU14に
接続されている。
【0040】次に、上記検出方法の手順について、図
8と、図9及び図10に示すフローチャートとに基づき
説明する。
【0041】(ステップS1) シャドウ濃度からハイ
ライト濃度まで段階的にその濃度が変化するグラデーシ
ョン原稿4を準備する。
【0042】(ステップS2) 検査対象のCCDライ
ンセンサ10を、平面型入力スキャナ1のXYテーブル
9上に、図示しないソケットを介して配設する。
【0043】(ステップS3) 原稿台2のガラス板3
上に、副走査方向Xに原稿濃度が段階的に変化する様
に、グラデーション原稿4を載置する。
【0044】(ステップS4) ズームレンズ13の絞
りや倍率の調整及びXYテーブル9のトリミング移動を
行った上で、次にグラデーション原稿4の画像の読取り
を行う。即ち、ハロゲンランプ5を点灯してロッド照明
器6より放出された光をグラデーション原稿4へ照射す
ると共に、原稿台2を副走査方向Xに移動させてグラデ
ーション原稿4を走査する。これにより、当該走査に伴
って連続的にその光量が変化する透過光14が、CCD
ラインセンサ10の各エレメントに入射することとな
る。
【0045】(ステップS5) 画像信号V1にシェー
ディング補正等の画像処理及び色変換処理を施した上
で、画像信号V3に基づき、グラデーション原稿4の画
像をフィルム32に焼き付け、その後、現像する。
【0046】(ステップS6〜S8) 本ステップは、
オペレータの視覚による判断ステップである。オペレー
タは、出力スキャナ31より出力されたフィルム32の
焼き付け結果(記録された画像)を眺め、当該フィルム
32に記載された画像中にすじ状の白キズないし黒キズ
が有るか否かを判断する。もし、それらのキズが観察さ
れるならば、オペレータは、当該CCDラインセンサ1
0には欠陥エレメント有りと判断する一方、それらのキ
ズが観察されないときには欠陥エレメントはないと判断
する。尚、オペレータは、それらの判断結果を、入力装
置20を用いてコントロール部13へ入力することとし
てもよい。
【0047】(ステップS9) 検査対象のCCDライ
ンセンサ10を全て検査したか否かをオペレータは判断
し、全て検査していない場合には、次の新たなCCDラ
インセンサ10について上記ステップS2〜S8を繰り
返す。そして、全てのCCDラインセンサ10を検査し
終えた時点で、本検出方法が終了する。
【0048】次に、検出方法について述べる。本検出
法に於ける欠陥エレメントの有無の判定は検出方法
のそれと同じであるが、本検出方法では、各エレメン
トの位置情報をもフィルムに焼き付けることにより、欠
陥エレメントの位置の特定をも可能としている。この点
について、先ず詳述する。
【0049】図11及び図12は、図8に於いて示した
出力スキャナ31を用いて、グラデーション原稿4(図
8)の読取り画像と共に、各エレメントの位置を特定す
るための位置情報を与える画像をも、フィルム32に焼
き付けた結果(記録画像)を模式的に示している。この
内、図11は焼き付け・現像後のフィルム32全体を示
す図であり、第1焼き付け領域33に上記位置情報を与
える画像が焼き付けられており、他方、第2焼き付け領
域34にグラデーション原稿4(図8)の画像(網点画
像)が焼き付けられている。ここでは、CCDセンサは
N個(例えば、5000個)のエレメントを有している
ものとしている。従って、CCDラインセンサにより読
取られる主走査方向Yの画素数はNである。又、前述の
位置情報を与える画像は、副走査方向Xに対応する方向
に対して13ビットの分解能で、第1焼き付け領域33
に焼き付けられている。そして、この位置情報を与える
画像をより詳細に示したのが図12であり、図12は、
図11中の破線で囲まれた領域35を拡大して模式的に
示した図に該当している。
【0050】図12において、第1焼き付け領域33に
形成された各画像36〜39は、それぞれ、1ビット、
2ビット、4ビット、8ビットの分解能で以てエレメン
トの位置情報を与えるものである。又、同図の上方に付
された各番号0〜11の集合体42は、エレメントの配
列位置の番号に対応しており、ここでの説明の便宜上、
本図面内に書込んだものである。この様な画像36〜3
9が、どの様にして各エレメントの位置を特定している
かを説明すれば、次の通りである。
【0051】今、白キズないし黒キズが図12に示す矢
印36の方向上にあったものとすると、当該キズの延長
線は両画像37と38とに交差する。各画像37、38
は、それぞれ数字2と数字4とを示しているので、両画
像37、38が示す数字2と4とを加算した値6が、丁
度、エレメントの配列位置の番号に対応することとな
る。従って、この場合には、CCDラインセンサ中のN
個のエレメントの中で、一方側のエレメントを第0番目
として基準化するとき、その基準となるエレメントから
数えて丁度6番目のエレメントに、当該キズをもたらす
欠陥があることとなる。上記説明は一例にすぎないが、
同様にして欠陥エレメントを視覚的に特定できるわけで
ある。この点を一般的にいえば、オペレータは、白キズ
ないし黒キズの延長線と交差する第1焼き付け領域33
内の画像を視覚的に検知し、当該交差した各画像が与え
る数値を加算することによって、欠陥エレメントの位置
番号を知ることができるわけである。
【0052】欠陥エレメントの位置を視覚的に判定する
には、原理的には図11及び図12に示した方法で以て
可能であるが、実際上の適用面から言えば、図12に示
した、1ビット、2ビット、4ビット、…、等の各分解
能で以て位置情報を与える各画像36、37、38、
…、等の大きさは、オペレータにとって、視覚的にその
寸法を正確に認識するには困難な程度のものである。従
って、この問題点を克服するためには、フィルム32に
焼き付ける各画像の大きさを主走査方向Yに対して引延
してやれば良いこととなる。この点に着眼して、図12
の各記録画像の大きさを主走査方向Yに対して2倍に引
延したのが、図13及び図14である。
【0053】図13は、焼き付け後のフィルム32の全
体図である。ここでは、図12の画像を2倍に拡大ない
し水増ししているため、主走査方向Yに対して、N/2
個の画素分ずつしか画像を焼き付けることができないの
で、先ず、エレメントの位置情報を与える画像の半分を
第1焼き付け領域33Aに焼き付け、次にN/2個のエ
レメントにより読取られたグラデーション原稿の画像を
第2焼き付け領域34Aに焼き付け、更に残り半分の位
置情報を与える画像を第3焼き付け領域33Bに焼き付
け、残り半分のグラデーション原稿の画像を第4焼き付
け領域34Bに焼き付けている。そして、図13中の破
線で囲まれた領域35Aを拡大して模式的に示したの
が、図14である。各画像36’、37’、38’、
…、等が2倍に拡大されているので、オペレータにとっ
て、欠陥エレメントの特定がより一層容易となってい
る。
【0054】尚、好ましくは、上記焼き付け時の拡大率
ないし水増し率を5倍程度に設定しておくのが良い。
【0055】そこで、以上の説明を踏まえて、以下で
は、検出方法の手順について、図8のブロック図と図
15〜図17のフローチャートとに基づき説明する。
【0056】グラデーション原稿4を準備し(ステップ
S1A)、検査対象のCCDラインセンサ10が有する
各エレメントの位置情報を与える画像信号VPI(以後、
位置情報信号とも称す)を、入力装置20及びコントロ
ール部13を介して、メモリ23に格納する。この様な
画像信号VPIとしては、図12で示した焼き付け画像を
与える信号が用いられる(ステップS2A)。その後、
検査するCCDラインセンサ10を読取部8内に配設し
(ステップS3A)、グラデーション原稿4をセットす
るとともに(ステップS4A)、グラデーション原稿4
の画像を読取ってメモリ23に格納する(ステップS5
A)。その後、位置情報信号VPIとグラデーション原稿
4の画像信号とをメモリ23から読み出して、両信号を
所定の拡大率ないし水増し率で以て拡大すると共に、両
信号を色変換処理部30へ送信して色変換処理を行う
(ステップS6A)そして、出力スキャナ31によっ
て、位置情報信号VPIが与える各エレメントの位置情報
の画像とグラデーション原稿4の画像とを、順次にフィ
ルム32に焼き付ける(ステップS7A)。
【0057】以後は、オペレータによる視覚判断が行わ
れる。先ず、フィルム32上に白キズないし黒キズが有
るか否かが判断され(ステップS8A)、有れば欠陥エ
レメント有りと判断して(ステップS9A)、欠陥エレ
メントの位置、つまり前述の位置番号を特定する。これ
は、既述した通り、白キズないし黒キズの延長線と交差
する、位置情報を与える画像を視覚的に検出することに
より行われる(ステップS10A)。これに対して、キ
ズがなければ、欠陥エレメント無しと判断する(ステッ
プS11A)。特定後は、オペレータは、当該CCDラ
インセンサ10についての検出結果(欠陥エレメントの
有無及び有りの場合には欠陥エレメントの位置)を、入
力装置20を用いてコントロール部13へ入力する(ス
テップS12A)。この場合には、コントロール部13
が、入力された結果をモニタ19上に表示する様にして
も良い。そして、以上のステップS3A〜S12Aを、
検査対象の全てのCCDラインセンサ10について行う
(ステップS13A)。
【0058】以上の様に、検出方法では、各エレメン
トの位置情報を与える画像をグラデーション原稿の画像
と共に焼き付けているので、前述した様なランダムノイ
ズを除去することなく、欠陥エレメントの有無の検出と
その位置の特定とを正確に行うことができる利点があ
る。このことは、ランダムノイズを電気的に除去する場
合には、どうしても当該ノイズの除去精度に欠陥エレメ
ントの検出精度が依存してしまうこととなるが、本検出
方法によれば、この様な問題点を何ら克服する手段を
講じることなく、つまり当該問題点を回避して正確に欠
陥エレメントを特定できることを意味している。
【0059】〔第二の検出方法〕 前方法、が、フ
ィルムを出力してオペレータの目視により欠陥エレメン
トの有無やその特定を行ったのに対して、本方法では、
グラデーション原稿の画像を入力スキャナによって読取
る点については前方法、と同様であるが、次の諸点
で異なっている。即ち、本方法では、グラデーション原
稿を高精度でスキャンさせて、各エレメントの出力信号
からランダムノイズ成分を低減させると共に、これによ
ってS/N比の向上した各エレメントの出力信号、つま
り各画像信号に対して電気的に信号処理を施すことによ
り、欠陥エレメントの有無とその位置の特定とを実現し
ている。これにより、本方法は、原稿の画像をフィルム
に焼き付けることなく、比較的短時間で以て正確な欠陥
エレメントの検出を可能としている。従って、本方法を
適用する場合には、図8の出力スキャナ31が不要とな
り、いわゆるスタンドアロンタイプのスキャナを用いる
必要性はない。
【0060】ここで図18のブロック図は、その様な画
像データ処理によって欠陥エレメントを検出する方法を
適用した、検出装置の一例を示している。同図が、前述
の図8と相違する点は、画像処理部42を有すること
と、色変換処理部や出力スキャナ等の出力機が無いこと
である。その他の各構成要素は、対応する図8の各部と
同一である。
【0061】先ず、コントロール部13(特にそのCP
U14)は、原稿台2ないしグラデーション原稿4の副
走査方向Xへの走査を制御する部分であるが、本方法で
は、コントロール部13は、グラデーション原稿4の走
査を次の様に制御する。即ち、グラデーション原稿4上
の同一濃度の場所をCCDラインセンサ10により複数
回スキャンして、当該場所での主走査方向Yの画像を複
数回読取ると共に、その後、コントロール部13は、グ
ラデーション原稿4を副走査方向Xに所定の量だけステ
ップ送りする。そして、グラデーション原稿4上の新た
な同一濃度の場所において複数回の主走査方向Yのスキ
ャンを行った後、再び、コントロール部13は当該原稿
4をステップ送りする。これにより、グラデーション原
稿4に於ける各濃度域毎に、つまりCCDラインセンサ
10に入射する光14の各入射光量毎に、CCDライン
センサ10の出力特性に異常がないかを、検査してい
る。そして、同一濃度の場所での複数回のスキャンによ
り、画像信号を平均化してランダムノイズの低減を図っ
ている。
【0062】又、画像処理部42は、入力I/F部4
3、シェーディング補正部44、ランダムノイズ補正部
45、検出処理部46及びタイミング制御49を有して
いる。この内、ランダムノイズ補正部45は、いわゆる
リセットノイズを除去可能な相関二重サンプリング(C
DS:Correlated Double Samp
ling)回路を有している。又、検出処理部46は、
DSP(デジタル シグナル プロセッサ)47とメモ
リ48とを有している。この内、メモリ48は、各部4
4、45による処理を施された後の各エレメントが出力
する出力信号を格納する場合であり、又、DSP47
は、(i) 同一の走査ラインについて複数回スキャンす
ることにより得られた各エレメントの出力信号を平均化
する処理と、(ii) (i)により平均化された各エレメン
トの出力信号の平均出力値を算出する処理と、(iii)
各エレメントの出力信号の値と上記平均出力値との比較
によって、各エレメントに欠陥が有るか無いかを検出す
る処理とを行う。これらの処理(i)〜(iii)の内で、処理
(i)は、各エレメントの出力信号に含まれるランダムノ
イズの低減を図る部分である。
【0063】次に、本方法に於ける欠陥エレメントの検
出判定基準を、図19に基づき説明する。同図におい
て、記号DAVは、ある入射光量に於けるエレメントの平
均出力値を示している。この平均出力値DAVを算出する
方法としては、次の2通りの方法が考えられる。その一
つは、全エレメントの出力信号を平均して求める方法
であり、もう一つは、任意のエレメント毎に、前後に
隣接する複数のエレメントの出力信号を平均することに
よって、平均出力値DAVを求める方法である。ここで
は、上記、の何れかの方法により平均出力値DAV
求められているものとして、話を進める。
【0064】ここで、仮に各エレメントの出力信号をポ
ジフィルムに焼き付けるものとすれば、そのとき生じる
白キズ及び黒キズをもたらす欠陥エレメントの出力信号
のレベルは、それぞれ図19に示すレベル50及び51
になる。そこで、任意のエレメントの出力信号のレベル
nが、平均出力値DAVに対して、
【0065】
【数1】
【0066】の関係式を満足している場合に、当該エレ
メントは、欠陥エレメントであるものと判断することと
する。数1中の記号αはしきい値であり、ここでは写真
製版等の高精度の画像記録装置の分野を対象としている
ので、しきい値αの値としては、0.001程度の値が
求められる。従って、欠陥エレメントではないと判断さ
れるためには、各エレメントの出力信号のレベルD
nは、次の許容範囲DAV〜DAV・(1+α)又はDAV
(1−α)〜DAV内になければならない。図19中で
は、白キズを与えるレベルDAが平均出力値DAVに対し
てα・DAV以上に増加しているので、当該レベルDA
出力するエレメントは欠陥エレメントと判定される。同
じく同図中、黒キズを与えるレベルDBが平均出力値D
AVよりもα・DAV以上に減少しているので、このエレメ
ントも欠陥エレメントと判定される。
【0067】そして、数1の関係式で以て欠陥エレメン
ト有りと判定すると、そのエレメントが何番目のエレメ
ントかを、つまりそのエレメントの位置を、DSP47
内部に設けられたカウンタ(図示せず)によって検出す
ることとなる。そして、当該カウンタは、各エレメント
の欠陥の有無の判定(上記数1による判定)を行う毎に
カウントアップされる。
【0068】図20は、原稿台2(図18)をステップ
送りしてグラデーション原稿4(図18)の画像の副走
査方向Xの読取り位置を所定のステップ量ずつで変えて
いくことにより、グラデーション原稿4の原稿濃度を暗
1(シャドウ)から明D5(ハイライト)まで段階的に
変化させたときに、黒キズないし白キズをもたらす欠陥
エレメントが検出される様子を示した図である。同図
(a)では、CCDラインセンサ10の複数のエレメン
ト中に、それぞれ黒キズ及び白キズをもたらし得る欠陥
エレメント52、53があるものと仮定されている。そ
して、このCCDラインセンサ10に対して、グラデー
ション原稿4(図18)の原稿濃度をシャドウD1から
ハイライトD5まで5段階で段階的に変化させたとき、
つまりCCDラインセンサ10への入射光14(図1
8)の入射光量をそのmin.値からそのmax.値ま
でステップ的に増加させたときに得られる、各エレメン
トの出力信号V1のレベルを示したのが、同図(b)〜
(f)である。又、同図(g)では、グラデーション原
稿4(図18)の原稿濃度が変化していく様子を、同図
(b)〜(f)に対応させて模式的に描いている。
【0069】先ず、原稿濃度がシャドウD1のときに
は、全て数1の判定基準を満たし、その結果、欠陥エレ
メントは生じない(図20(a))。しかし、原稿濃度
2(>D1)のときには、欠陥エレメント52の出力特
性に非線形性が生じるものと考えられ、従って黒キズ発
生という異常をもたらす欠陥エレメント52の存在が、
数1の判定基準により検出される(同図(b))。更に
原稿濃度D3(>D2)のときには、両欠陥エレメント5
2、53の出力特性に非線形性が発生するものと考えら
れ、両欠陥エレメント52の存在が、数1により検出さ
れる(同図(c))。これに対して、更に原稿濃度が大
きくなった原稿濃度D4(>D3)のときには、欠陥エレ
メント53のみに非線形性が生じるものと考えられ、そ
の結果、白キズという異常をもたらす欠陥エレメント5
3の存在が数1により検出される(同図(e))。最後
にハイライトD5では、全てのエレメントの出力特性が
線形性を示し、欠陥エレメントの存在は無しと判定され
る(同図(f))。
【0070】次に、以上述べた検出原理を踏まえて、図
18のブロック図と図21〜図23に示すフローチャー
トとに基づき、第二の検出方法の手順について詳述す
る。
【0071】(ステップS1B〜S3B) これらのス
テップS1B〜S3Bは、第一の検出方法で述べたステ
ップS1〜S3(図9)と同一である。
【0072】(ステップS4B) CPU14は、オペ
レータが入力装置20から入力した走査開始指令信号
(図示せず)を受けて、パルスモータPM1に駆動信号
を出力し、これにより、CCDラインセンサ10によっ
て読取るべき主走査方向Yの原稿濃度がシャドウとなる
様に、原稿台2を移動する。
【0073】(ステップS5B) DSP47は、CP
U14及びタイミング制御49による指令信号を受け
て、DSP47が有するカウンタのカウント値nを0に
設定する(n←0)。これにより、走査の準備が完了す
る。
【0074】(ステップS6B) CPU14はハロゲ
ンランプ5を一定の強度で以て点灯させて、透過光14
をCCDラインセンサ10の各エレメントに入射させ
る。これにより、原稿濃度がシャドウに当たる場合の主
走査方向Yの各画像信号が、各エレメントの出力信号V
1として得られる。各出力信号V1は順次に画像処理部4
2に送信され、シェーディング補正部44によってシェ
ーディング補正を受けると共に、ランダムノイズ補正部
45によってリセットノイズ等のランダムノイズの除去
(そのレベルの低減)処理を受けた上で、検出処理部4
6内のメモリ48に格納される。尚、これらの一連の処
理の制御は、タイミング制御49が行っている。
【0075】(ステップS7B) 上記ステップS6B
の終了後ないし並行して、ステップS6Bを再び複数回
実行する。これにより、メモリ48内には、各エレメン
ト毎に、当該原稿濃度についての複数個の出力信号V1
に関するデータが格納される。
【0076】(ステップS8B) DSP47は、各エ
レメント毎に、対応する出力信号V1に関するデータを
メモリ48から取出して、それらの平均値を算出し、そ
の平均値を再びメモリ48に格納する。この平均化処理
により、ランダムノイズは大幅に低減され、高精度の欠
陥エレメントの検出処理が可能となる。
【0077】(ステップS9B) DSP47は、メモ
リ48に格納されている各エレメントの出力信号V1
平均値に基づき、それらの平均値である平均出力値DAV
を算出して、メモリ48に格納する。ここでは、算出方
法として、前述のの方法を適用するものとし、もう一
つの方法については、後述する。従って、平均出力値
AVは、全エレメントの出力信号V1の平均値の和をエ
レメント数で除算した値として与えられる。
【0078】(ステップS10B) DSP47は、各
エレメント毎に、数1の判定基準に従って欠陥エレメン
トの有無を判定する。そして、欠陥無し(許容範囲内に
有り)と判定したときはに、ステップS12Bへと移
る。
【0079】(ステップS11B) 欠陥有り(許容範
囲外)と判定したときには、DSP47は、そのカウン
タのカウント値nから、当該エレメントの位置、つまり
一端のエレメントから数えてn番目のエレメントである
ことを特定して、その位置情報を与える信号をメモリ4
8に格納する。
【0080】(ステップS12B) DSP47は、判
定結果をコントロール部13へ送信する。この判定結果
とは、欠陥無しと判定したときには欠陥無しを与える情
報であり、欠陥有りと判定したときには欠陥有りを与え
る情報と欠陥エレメントの位置を与える情報とから成
る。その後、CPU14は、当該判定結果をメモリ17
に格納した上で、モニタ19上に表示する。これによ
り、オペレータは、欠陥エレメントの存在とその位置と
を認識することができる。
【0081】(ステップS13B) DSP47は、そ
のカウンタをカウントアップする。従って、n←n+1
となる。
【0082】(ステップS14B) CPU14は、読
取った原稿濃度がハイライトであるか否かを確認し、そ
うでないときにはステップS15Bへと進み、そうであ
るならばステップS16Bへと進む。
【0083】(ステップS15B) コントロール部1
3は、原稿台2を所定量だけ副走査方向Xにステップ送
りする。これにより、次に読取るべき原稿濃度、従って
透過光14の光量が増大する。そして、その後は、ステ
ップS6B〜S14Bを繰返すこととなる。
【0084】(ステップS16B〜S17B) CCD
ラインセンサ10を画像読取り部8から取りはずし(S
16B)、全てのCCDラインセンサ10を検査し終わ
るまで、上記ステップS3B〜S17Bを繰返す(S1
7B)。
【0085】次に、平均出力値DAVの算出として、上記
の方法を適用した場合の手順について、CCDライン
センサ10内の各エレメントの位置関係を示す図24
と、フローチャートを示す図25及び図26とに基づき
説明する。但し、本方法では、前述のステップS9B
〜S12B以外のステップは図21〜図23に示した各
ステップと同一であるため、図25及び図26には、上
記ステップS9B〜S12Bに対応したステップのみを
描いている。
【0086】今、図24に示す通り、任意のエレメント
の番号をn、エレメント数をm、n番目のエレメントの
出力信号(シェーディング補正等の処理済)のレベルを
n、n番目のエレメントに関する平均出力値DAVの算
出に当たって用いる、前後のエレメントの総数を2A
(前側、後側のそれぞれに対して、A個のエレメントを
利用)として、説明を進める。
【0087】(ステップS9B1〜S9B2) DSP
47は、エレメントの番号n(これは、前述のカウンタ
のカウント値に該当)を0に設定した上で(S9B
1)、n+1をnに置換え処理する(S9B2)。
【0088】(ステップS9B3) エレメントの番号
nがエレメント数mを超えたか否かを、DSP47は判
定する。n>mならば、DSP47は、前述したステッ
プS14B(図23)へと移り、そうでないならば、次
のステップS9B4へと移る。
【0089】(ステップS9B4〜S9B8) DSP
47は、エレメントの番号nがn<A、A≦n≦m−
A、又は、n>m−Aのいずれの関係を満たすか否かを
判定し(S9B4)、各関係に応じてステップS9B5
〜S9B7のいずれかを行う。即ち、n<Aのときに
は、DSP47は、次の数2に基づき平均出力値DAV
算出する。
【0090】
【数2】
【0091】又、A≦n≦m−Aのときには、DSP4
7は、次の数3に基づき平均出力値DAVを算出する。
【0092】
【数3】
【0093】又、n>m−Aのときには、DSP47
は、次の数4に基づき平均出力値DAVを算出する。
【0094】
【数4】
【0095】算出後、DSP47は、平均出力値DAV
メモリ48に格納する(S9B8)。
【0096】(ステップS10B1〜S12B1) D
SP47は、n番目の当該エレメントが欠陥エレメント
であるか否かを、数1に基づき判定する(S10B
1)。そして、有りと判定したときには、DSP47
は、当該エレメントの番号nをメモリ48に格納する
(S11B1)。更に、その後、DSP47は、判定結
果(無しのときには、その旨を示す情報、有りのときに
は、その旨と番号nと示す情報)をコントロール部13
へ送信し、その結果、コントロール部13は、上記判定
結果をモニタ19上に表示して、判定結果をオペレータ
に認識させる(S12B1)。
【0097】以上述べたの方法を適用することは、次
の場合に利点がある。即ち、準備したグラデーション原
稿の各濃度が主走査方向Yに対して均一ならば問題はな
いのであるが、もし不均一ならば、それにより生じるノ
イズ成分中にエレメントの出力信号内の非線形部分に関
する信号が埋もれてしまうこととなる。このとき、この
不均一による影響を除去するには、の検出方法に従っ
て、各エレメント毎に、その隣接する2A個のエレメン
トの出力信号を用いて平均出力値DAVを求めるのが望ま
しいわけである。
【0098】尚、上記の方法に於いて、欠陥エレメン
トの出力信号のレベルが異常に大きい又は小さいときに
は、当該異常値が平均出力値DAVの算出に影響を及ぼす
おそれが大きいため、この場合には、平均化に用いる隣
接したエレメントの総数2Aをできる限り大きくするこ
とによって上記問題を克服でき、検出精度を高めること
ができる。
【0099】(第一及び第二の検出方法の変形例) 以
上述べた第一及び第二の検出方法では、何れもグラデー
ション原稿を走査することにより、CCDラインセンサ
の入射光の光量を変化させていたが、この方法に代え
て、次の様な方法を用いる様にしても良い。即ち、均一
濃度の原稿を予め用意して原稿台にセットしておき、今
度は原稿台を副走査方向に移動させずに固定しておき、
その代わりに、図8や図18に於けるハロゲンランプ5
の光量又は、ズームレンズ13の絞りを調整することに
よって、CCDラインセンサの入射光の光量を可変とす
るのである。この場合にも、各エレメントの出力信号V
1(図8、図18)に対して第一及び第二の検出方法で
述べたのと同一の処理を施すことにより、各エレメント
の欠陥の有無や欠陥エレメントの位置の特定を実現でき
る。
【0100】参考として、上記変形方法を、電気的に処
理する第二の検出方法に適用した場合の手順を、図27
のフローチャートに示す、但し、同図に示された符号
は、図18のそれと同一である。
【0101】又、グラデーション原稿や均一濃度の原稿
を用いずに、ハロゲンランプ等の光源から放出された光
を絞りを介して直接にCCDラインセンサの各エレメン
トに入射させる様にしても良い。この場合には、ハロゲ
ンランプに印加する電流や絞りの径を可変して、入射光
の入射光量を連続的に又はステップ的に変化させること
ができる。
【0102】〔画像信号の補正方法〕 上述した第一の
検出方法のの方法ないし第二の検出方法を用いること
によって、CCDラインセンサ中に含まれる欠陥エレメ
ントの位置を高精度で特定することが可能となった。
【0103】そこで、CCDラインセンサによって読取
った、記録すべき原稿の画像信号をフィルム等の感材に
記録したとしても、黒キズや白キズが一切生じない様
に、当該CCDラインセンサ中の欠陥エレメントに対応
した画像信号を、上記検出方法により得られた欠陥エレ
メントの位置情報に基づき、適切に補正することが求め
られる。しかも、単に黒キズや白キズの発生を防止する
だけの補正では足りず、本補正方法がスキャナ等の画像
記録装置に適用される以上、補正後の画像信号によって
記録される画像が周囲の画像と調和して高品質な画像再
生をも可能とし得る様な補正方法が求められているので
ある。以下では、その様な要求を満足し得る好適な補正
方法の原理を検討した上で、好適な補正方法の手順につ
いて述べる。
【0104】補正方法としては種々の手法が考えられる
所であるが、簡単な補正方法としては、次の二つのもの
を挙げることができる。
【0105】 その一つは、欠陥エレメントよりも一
つ手前に位置するエレメントの出力信号のレベル値を、
当該欠陥エレメントの出力信号のレベル値に用いるもの
である。この点の理解の手助けとして、本方法を模式
的に表したのが、図28である。
【0106】同図(a)は、CCDラインセンサ10内
の第n番目のエレメントが欠陥エレメントであることを
示しており、同図(b)は、補正前の第(n−1)番
目、第n番目及び第(n+1)番目の各エレメントの出
力信号のレベルがそれぞれDn-1、Dn、Dn+1であるこ
とを示している。本方法では、レベルDnをレベルD
n-1で以て置き換える処理を行うので、その補正後の結
果を示したのが同図(c)である。この場合には、欠陥
エレメントの1つ手前のエレメントのレベル値Dn-1
2画素分だけ続くことになる。
【0107】 もう一方の方法は、欠陥エレメントの
前後の両エレメントの出力信号のレベルの平均値を、当
該欠陥エレメントの出力信号のレベル値に用いるもので
ある。この点を同じく模式的に示したのが、図29であ
る。
【0108】同図(a)、(b)は、それぞれ図28
(a)、(b)に相当している。そして、図29(c)
が補正後の各エレメントの出力信号のレベル値を示して
いる。即ち、第n番目の欠陥エレメントの新たな出力信
号のレベル値Dn’は、平均値(Dn-1+Dn+1)×2で
以て与えられる。
【0109】上記方法、は、何れも、欠陥エレメン
トの出力信号を、その前後に位置する両エレメントの出
力信号で以て補正しようとする思想に基づいており、こ
れらは、前述した特開昭60−197064号公報に開
示された方法に類似するものである。確かに、この様な
思想に基づく補正方法は、簡易な方法であって実用的な
方法であると言える。しかし、上記補正方法、を製
版用スキャナ等の様な高精度に画像を記録する装置に適
用した場合には、高品質な画像を得ることができないと
いう新たな問題点を発生させる。これは、欠陥エレメン
トの1つ手前のエレメントの出力信号ないし前後の両エ
レメントの出力信号の平均値を以て、欠陥エレメントの
新たな出力信号としている点に起因している。例えば、
n+1>>Dn-1という様な大小関係が成立する場合に
は、レベルDn-1を新たなレベルDnに置換すれば、新た
なレベルDnと次のレベルDn+1との差が大きすぎること
となり、又、Dn-1とDn+1との平均値を新たなレベルD
nとしても、差(Dn−Dn-1)と差(Dn+1−Dn)とが
比較的大きな値となってしまうので、その結果、欠陥エ
レメントの部分に於ける、補正後の画像濃度の差、つま
りエッジ部分が視覚的に際立って見えてしまうことにな
るのである。
【0110】この点を端的に示したのが、図30であ
る。本図は、原稿画像が斜め線である場合に、当該斜め
線をスキャンして上記補正方法又はを用いて補正し
た後に、補正後の画像信号をフィルム等に焼き付けた結
果を示したものである。同図(a)は、n番目のエレメ
ントが欠陥エレメントであることを示すものであり、同
図(b)及び(c)は、それぞれ方法及びを適用し
た場合の結果を示している。同図(b)、即ち、方法
の場合には、補正した箇所では白色と黒色とが入れ替わ
ってしまうため、当該補正箇所のエッジが目立ってしま
っている。又、同図(c)、即ち、方法の場合におい
ても、補正した箇所が灰色となるため、当該補正箇所の
エッジが同図(b)程ではないにしても、かなり目立つ
結果となっている。
【0111】この様な不具合を発生させてしまうのは、
補正方法及びが次の点を何ら考慮していないために
ほかならないと考える。既述した通り、本願出願人は、
入射光量に対するエレメントの出力特性にある光量域で
は非線形性が生じる点が、白キズや黒キズの発生原因と
なっていること、即ち、その発生メカニズムを指摘し
た。例えば、図3や図5に示す通りである。これらの図
を見て理解できる様に、欠陥エレメントと判定されるエ
レメントは、全ての入射光量ないし原稿濃度に対して、
常に非線形性を与えるものではない。寧ろ、非線形性領
域は、全入射光量域から見れば、限られた領域に局在し
ている。換言すれば、欠陥エレメントと判定されたエレ
メントであっても、原稿のスキャン中、正常な出力信号
を出力しているときもあるのである。ということは、補
正方法やの様に、あらゆる入射光量に対して常に一
律に、欠陥エレメントの周辺のエレメントの出力信号で
以て、当該欠陥エレメントの出力信号を置き換えるとい
う様な補正方法は、必ずしも好適な補正方法には該当し
ていないものと言えるのである。寧ろ、欠陥エレメント
自身の出力信号をも用いて、自分自信の出力信号の補正
を行う必要があるのである。故に、上記補正方法、
は、この様な点に何ら着眼していないものと言える。
【0112】本願出願人は、この様な着眼点を踏まえて
発想の転換を図っており、欠陥エレメントが与えてくれ
る情報を有効に利用し得る補正方法を、ここに提案す
る。即ち、欠陥エレメント自体の出力信号と、その周辺
のエレメントの出力信号の両者を用いて(それは、両者
をある合成比率で以て合成するという意味である)、以
下に述べる判定基準に従い、補正を行っている。
【0113】 以下の補正方法は、欠陥エレメントの
出力信号を高精度で補正すると共に、記録画像のエッジ
部分の画質に影響を与えることの無い方法である。本方
法は、
【0114】
【数5】
【0115】に基づき行われる。この様に、パラメータ
βの値如何によって、欠陥エレメントの出力信号のレベ
ルDnをそのまま補正後のレベルDn’’として用いる
か、それとも欠陥エレメントの前後一方に位置するエレ
メントの出力信号のレベルDn-1又はDn+1を補正後のレ
ベルDn’’として用いるかを決めている。以下に、こ
の補正方法を用いれば、上述した補正方法よりも精
度良く且つ高品質の画質が得られる様に補正できること
を示す。
【0116】そこで、そのための最初の比較例として、
図31に示す様なコントラストのある絵柄の場合につい
て検討する。この場合は、Dn+1>Dn>>Dn-1の関係
が成立している。今、原稿の本来の濃度データ値、つま
り、本来検出されるべき出力信号のレベル値Dn-1
n、Dn+1が、それぞれDn-1=1、Dn=10、Dn+1
=10の関係を満足する筈であったものとし、それに対
して、第n番目の欠陥エレメントの存在によって、実際
に検出された各レベルDn-1、Dn、Dn+1が、Dn-1
1、Dn=9、Dn+1=10の関係で与えられたものとす
る。このとき、パラメータβは、β=(9−1)/(1
0−1)=8/9となり、0<β<1の不等式を満足す
ることとなる。従って、本方法によれば、補正後のレ
ベルDn’’は、Dn’’=Dn=9で与えられる。よっ
て、第n番目のエレメントの出力信号のレベルの補正値
は、元の出力信号のレベルそのものとなる。これに対し
て、上記方法によれば、補正後のレベルDn’は、レ
ベルDn-1により与えられる。又、方法によれば、補
正後のレベルDn’は、Dn’=(1+10)/2=5.
5となる。これらの補正後のレベルDn’’又はDn
を、図31においては、それぞれ実線54、一点鎖線5
5、56で示している。
【0117】以上の検討を整理すれば、次の通りに分析
できる。即ち、本来の原稿の濃度、つまりレベルDn
10であったが、欠陥エレメントの存在のため、当該欠
陥エレメントの出力信号にわずかな出力誤差が生じ、そ
の結果、CCDラインセンサはレベルDnを9として読
み取ってしまった。これに対して、本補正方法を施す
と、補正後のレベルDn’’は9としてデータ処理され
る。一方、補正方法又はを施せば、補正後のレベル
n’は1又5.5として処理されることになり、その
値は、より真値10より離れた値となってしまう。従っ
て、本補正方法による方が、補正の精度ははるかに高
いと結論づけることができる。しかも、本補正方法に
よれば、補正後のレベルDn’’は次のエレメントの出
力信号のレベルDn+1に近い値となっているので、白黒
のコントラストのある絵柄でのエッジ部分の不自然さを
無くすことが可能となっている。
【0118】この点を、図30の場合と同じく、斜め線
をスキャンして画像記録した場合について示したのが、
図32である。本図に示す通り、本補正方法を用いれ
ば、補正箇所のエッジ部分の不自然さは、殆ど目立たな
い程度にまで改善されている。
【0119】同じくコントラストのある絵柄の画像を読
取り記録する場合の他の例として、β>1の場合を図3
3に示す。この場合にも、補正方法によれば、図31
で述べた利点が同様に成立する。同図中、実線57、一
点鎖線58、59は、各々、補正方法、、によっ
て得られるレベルを示している。
【0120】次に、同じβ>1の関係を満足する場合で
あっても、コントラストの無い平坦な絵柄の場合につい
て、検討する。この場合を示したのが、図34である。
ここで、本来の原稿濃度、従ってレベルDn-1、Dn、D
n+1は全て10であるものとし、これに対して第n番目
のエレメントが欠陥エレメントであるため、CCDライ
ンセンサは、当該絵柄の画像を、Dn-1=10、Dn
9、Dn+1=10として読取ったものとする。このと
き、パラメータβは、β=(9−10)/(10−1
0)=−1/0=∞となるので、β>1の条件を満足し
ている。従って、補正方法によれば、補正後のレベル
n’’は、Dn’’=Dn+1=10となる。この場合に
は、補正方法によっても、補正後のレベルDn’は1
0となり、補正方法の結果と同一となる。図34で
は、補正後のレベルDn’’を実線60で示している。
つまり、本ケースでは、補正方法、のいずれによっ
ても高精度で補正できる。なお、本ケースでは、図31
や図33で問題となった、記録画像のエッジ部分におけ
る不自然さという点は問題とならない。
【0121】更に、緩やかなグラデーションの絵柄の場
合について検討する。この場合の一例を示したのが、図
35であり、パラメータβは0である。ここで、原稿の
本来の濃度、つまり出力信号のレベルDn-1、Dn、D
n+1はそれぞれ99、100、101であるものとし、
しかし、第n番目の欠陥エレメントの存在のために、C
CDラインセンサは、実際には、Dn-1=99、Dn=9
9、Dn+1=101として読取ったものとする。このと
き、補正方法によれば、補正後のレベルDn’は10
0となって、真値100と同一値となるのに対して、補
正方法によれば、補正後のレベルDn’’は99とな
る。従って、補正精度は、補正方法の方が良いことと
なる。このため、補正方法では、フィルムに記録され
た絵柄にすじ状のムラが生じるのではないかという懸念
が生まれるのであるが、この点は、実際上、問題とはな
らない。というのは、黒色の絵柄中に白色のすじ状のキ
ズがあると顕著に目立つこととなるが、この場合には、
黒色と白色の両画像の境界部分付近に白色のすじ状のキ
ズが発生するケースであるため、当該キズが目立たない
のである。
【0122】以上より、補正方法は、コントラストの
無い緩やかなグラデーション部分では補正方法ないし
よりも優っているとは必ずしも言えず、同程度の補正
精度しか発揮できないが、コントラストのある絵柄の場
合には、その補正精度は補正方法ないしよりも格段
に高く、しかもエッジ部分の画質に殆ど影響を与えない
という優れた利点を有している。故に、総合的にみれ
ば、本補正方法が、製版スキャナ等の装置に適用する
際の要求を満足し得る、好適な方法であると結論付ける
ことができる。
【0123】次に、補正方法を適用した画像信号補正
装置の構成とその動作を説明する。図36は、その様な
画像信号補正装置の一例を示したブロック図である。原
稿台2のガラス板3上にセットされた原稿65は、出力
機66によってフィルムに記録すべき画像を有するもの
であり、絵柄や線画や文字やチント等を含んでいる。画
像読取部8に組込まれているCCDラインセンサ10
は、前述した第一の検出方法のや第二の検出方法を用
いて、欠陥エレメントが含まれていることが既に検出さ
れているCCDラインセンサである。このCCDライン
センサ10が出力する、A/D変換済みの画像信号V1
をシェーディング補正した上で、更に欠陥エレメントに
対応する画像信号の補正処理を行う部分が、画像処理部
63である。そして、画像処理部63は、補正処理済み
の画像信号VAを、メモリや磁気ディスク等の記憶装置
64に格納する。これらの画像信号VAに基づいて原稿
65の画像をフィルムに焼き付け記録する場合には、出
力機66(色変換部を含む)を記憶装置64に接続すれ
ば良い。入力装置20は、第一の検出方法の又は第二
の検出方法によって得られた欠陥エレメントの位置情報
を入力するためのものであり、当該位置情報を与える位
置情報信号は、画像処理部63内に格納される。他の構
成部分は、図8の場合と同一である。
【0124】図37は、上記画像処理部63の構成を示
したブロック図である。シェーディング補正部68は、
入力I/F67を介して入力された各画像信号V1(各
エレメントの出力信号)をシェーディング補正する部分
であり、画像信号補正処理部69は前述の補正方法を
行う部分であって、DSP70と2つのメモリ71、7
2とより構成されている。その他の符号73、74、7
5、76は、それぞれLOG変換部、ノイズフィルタ、
出力I/F、タイミング制御76である。この内、メモ
リ71は、シェーディング補正済みの画像信号を記憶す
ると共に、補正方法によって補正処理済みの画像信号
を記憶する部分である。又、メモリ72は、前述の欠陥
エレメントの位置情報信号を記憶する部分である。
【0125】次に、図37を参照しつつ、図38及び図
39のフローチャートに従って、画像信号補正処理部7
2の動作を説明する。先ず、CCDラインセンサ10の
各エレメントより出力された画像信号V1が、メモリ7
1に格納されているものとする(ステップS1C)。
【0126】次に、DSP70は、DSP70内部のカ
ウンタのカウント値n(この値は、CCDラインセンサ
内のエレメントの位置番号nに等しい)を0に初期化し
(ステップS2C)、n+1をnに置換する(ステップ
S3C)。そして、DSP70は、n≦m(mは、エレ
メント数を示す)を満たすか否かを判断し、n>mなら
ば、補正処理を終え、n≦mならば、次のステップへと
移る(ステップS4C)。
【0127】DSP70は、メモリ72内にルックアッ
プテーブル形式で格納されている前述の位置情報信号と
カウント値nとを比較照合し、カウント値nに対応した
第n番目のエレメントが欠陥エレメントであるか否かを
判断する(ステップS5C)。欠陥エレメントでないと
きには画像信号の補正は不要なので、ステップS3Cへ
戻る。欠陥エレメントと判断すれば、DSP70は、以
下の補正処理用ステップS6C〜S13Cへと進む。
【0128】先ず、DSP70は、第(n−1)番目、
第n番目及び第(n+1)番目の各エレメントに対応し
た画像信号をメモリ71より読出し、それらの画像信号
をDSP70内部のレジスタ(図示せず)に格納する
(ステップS6C)。そして、DSP70は、Dn-1
n=Dn+1(記号Dは、各エレメントに対応した画像信
号のレベルを示す)の関係を満たしているか否かを判断
し(ステップS7C)、満足するならば後述のステップ
S10Cへ移り、満足しないならば、ステップS8Cに
おいて、パラメータβを数5に基づき算出する。
【0129】DSP70は、パラメータβの値を検討し
(ステップS9C)、B<0ならばDn-1をDn’’とし
(ステップS10C)、0≦β≦1ならばDnをDn’’
とし(ステップS11C)、β>1ならばDn+1
n’’とする(ステップS12C)。そして、DSP
70は、補正後のレベルDn’’を第n番目のエレメン
トに対応した画像信号の新しいレベルDnに決定し、当
該新たなレベルDnをメモリ71に格納されている補正
前のレベルDnと置き換える(ステップS13C)。こ
れにより、第n番目の欠陥エレメントに対応する画像信
号の補正処理が終了する。そして、再びステップS3C
へと移る。
【0130】(補正方法の変形例) 補正方法で
は、第(n−1)番目、第n番目、第(n+1)番目の
エレメントに対するレベルDn-1、Dn、Dn+1のいずれ
かをパラメータβの値如何によって使いわけていたが、
これに代えて、各レベルDn-1、Dn、Dn+1にそれぞれ
重み付けを施し、その様な重み付けられた各レベルを用
いて補正値Dn’’を求める様にしても良い。その様な
重み付け方法の一例を、以下に、補正方法として説明
する。
【0131】先ず、図40は、本方法で使用する2つ
の重み付けパラメータW1、W2のレベル差分値(Dn+1
−Dn-1)に対する関数形を示したものである。パラメ
ータW1はレベル差分値(Dn+1−Dn-1)=0の時には
最大値1であり、その後、レベル差分値(Dn+1
n-1)の増加と共に減少する。これに対して、パラメ
ータW2は、同図中の破線87(各パラメータW1、W2
が共に0.5となるとき)を対称軸として、パラメータ
1と線対称な関係にある曲線である。
【0132】本補正方法の原理は、次の数6及び数7
に基づき行う。
【0133】
【数6】
【0134】
【数7】
【0135】数6で与えられる処理によって、重み付け
られた平均レベルDを求め、数7で与えられる処理によ
って重み付けられたレベルDnwを求める。そして、重み
付けられた、平均レベルDとレベルDnwの平均値を求め
(Dn’’=(D+Dnw)/2)、この平均値Dn’’を
以て、補正後の新たなレベルDnとする。この方法に
よっても、欠陥エレメントの出力信号を高精度に補正す
ることができ、しかも、コントラストのある原稿を読取
って記録する際にも、記録画像のエッジ部分における不
自然さを目立たなくさせることができる。
【0136】図41は、画像処理部63における、上記
補正方法を実行するためのDSP80内の機能回路部
と、第1及び第2メモリ部81、82とを示すブロック
図である。但し、本図には、図37で示したメモリ72
の図示化を省略しているし、DSP80内の他の機能回
路部の図示化をも省略している。第1メモリ部81は、
図37のメモリ71に相当している。
【0137】(i) 前提として、DSP80は、図37
のメモリ72中の位置情報信号とカウント値nとの比較
から、第n番目のエレメントが欠陥エレメントであるこ
とを検出したものとする。
【0138】(ii) 差分回路部83は、シェーディング
補正された画像信号を格納している第1メモリ部81よ
り、第(n−1)番目及び第(n+1)番目のエレメン
トに対応する画像信号VDn-1、VDn+1を読出し、レベル
差分値(Dn+1−Dn-1)を与える信号VDIFを生成す
る。そして、差分回路部83は、当該信号VDIFを、第
2メモリ部82へ出力する。
【0139】(iii) 第2メモリ部82は、図40で示
した両パラメータW1、W2のデータを格納しているメモ
リである。従って、第2メモリ部82は、信号VDIF
そのアドレスを与える信号として受け取って、信号V
DIFに対応したパラメータW1、W2をそれぞれ与える信
号VW1、VW2を生成し、それぞれを第1及び第2重み付
け部84、85へと出力する。
【0140】(iv) 第1重み付け部84は、信号Vw1
画像信号VDn-1、VDn+1とを用いて、数6より、重み付
けられた平均レベルDを与える信号V01を生成し、それ
を平均処理部86へ出力する。一方、第2重み付け部8
5は、信号Vw2と画像信号VDnとを用いて、数7より、
重み付けられたレベルDnを与える信号V02を生成し、
それを平均処理部86へ出力する。
【0141】(v) 平均処理部86は、両信号V01、V02
を受け取って、(V01+V02)/2で与えられる画像信
号VDn’を生成し、当該信号VDn’を、第n番目のエレ
メントに対応した新たな画像信号に決定して、それを第
1メモリ部81へ出力する。これにより、第1メモリ部
81は、補正前の画像信号VDnを新たな画像信号VDn
に置き換える。
【0142】この様に、補正後の新たな画像信号VDn
は、両レベルDn-1とDn+1とから重み付けられた信号V
01と補正前のレベルDnを重み付けて得られた信号V02
との合成信号によって与えられる。
【0143】尚、補正方法の説明で展開されたレベル
n’’の決定方法(数5参照)を、上記変形例で展
開された「重み付け」という観点から再考すると、数5
の方法は、次の数8に示される様な各レベルDn-1
n、Dn+1の合成処理によってレベルDnを補正する方
法と等価であると言える。
【0144】
【数8】
【0145】ここで、各係数γ1〜γ3(合成比率)は重
み付け値であり、前述のパラメータβの値如何及びD
n-1=Dn=Dn+1の条件成立如何によって、次の表1で
与えられる値をとる。
【0146】
【表1】
【0147】尚、より一般的に言えば、数8の各合成比
率γ1〜γ3の値を、パラメータβの値に応じて、関係式
0≦γ1≦1、0≦γ2≦1、0≦γ3≦1及びγ1+γ2
+γ3=1を満たす範囲で変化させて、各レベルDn-1
n、Dn+1の合成値Dn’’を決定する様にしても良
い。
【0148】又、上記補正方法及びその変形例は、
CCDラインセンサの出力する画像信号の補正に適用で
きるのみならず、二次元的なCCDエリアセンサの出力
する画像信号の補正にも勿論適用可能であることは言う
までもない。
【0149】以上述べた各実施例の利点を整理すれば、
次の通りである。即ち、第一の検出方法の及びによ
って、高精度で以て視覚的に欠陥エレメントの有無を検
出することができる。しかも、上記方法によれば、欠
陥エレメントの位置をも高精度で以て視覚的に検出する
ことができる。そして、その際の検出は、単に位置情報
の画像と白キズ又は黒キズの延長線との交差箇所を視覚
的に確認すれば良いので、極めて容易に達成され、それ
は実用性に富んでいるものと言える。
【0150】又、第二の検出方法を用いれば、出力フィ
ルムを出力機によって出力すること無く、全て電気信号
の処理だけで以て、高精度に欠陥エレメントの有無とそ
の位置の特定とを実現することができる。全て電気的処
理で達成できるということは、検出時間を第一の検出方
法と比べても格段に短くすることができる利点があり、
又、オペレータの作業負担をも格段に軽減させる。
【0151】そして、以上の第一及び第二の検出方法を
用いることによって、従来、CCDセンサに代表される
イメージセンサの製造・出荷時の検査段階では検出でき
なかったレベルの欠陥エレメントを高精度で検出するこ
とが可能となる。従って、第一又は第二の検出方法は、
この方法を適用したスキャナ等の製版機器を、新たにイ
メージセンサの製造・出荷段階における欠陥エレメント
の検出装置としての応用面へ展開させ得る道を切り開く
ものである。
【0152】又、上述した補正方法、を用いれば、
欠陥エレメントを含むCCDセンサを用いても、何ら記
録画像の画質を劣化させること無く、黒キズや白キズの
発生を防止することが可能となる。このことは、画像記
録装置側でCCDセンサを選別する必要がなくなり、C
CDセンサの受け入れの歩留まりを格段に向上させ得る
という効果をもたらす。
【0153】
【発明の効果】請求項1に係る発明は、視覚的に欠陥エ
レメントの存在を正確に検出することができるという効
果を奏する。
【0154】請求項2に係る発明は、欠陥エレメントの
検出と欠陥エレメントの配列位置の特定とを視覚的に高
精度で実現できるという効果を奏する。
【0155】請求項3及び請求項4に係る発明は、出力
信号の電気的処理によって欠陥エレメントの存在を高精
度で検出できるという効果を奏する。
【0156】請求項5に係る発明は、出力信号の電気的
処理によって欠陥エレメントの位置情報を高精度で決定
できるという効果を奏する。
【0157】請求項6に係る発明は、イメージセンサが
出力する画像信号によって記録される画像中に白キズや
黒キズ等のスジ状の不要な画像を発生させることなく、
しかも、記録される画像のエッジ部分に不自然さをもた
らすこともない、高品質な画像の記録を可能とし得る様
に、欠陥エレメントに対応した画像信号を高精度で補正
できるという効果をもたらす。従って、本発明は、欠陥
エレメントを有するイメージセンサであっても、その様
なイメージセンサの画像記録装置への適用を可能とし得
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】正常なエレメントの出力電圧の一例を示した説
明図である。
【図2】正常なエレメントの出力電圧のシェーディング
補正を示した説明図である。
【図3】ポジフィルムの場合に、白キズをもたらすもの
と考えられるエレメントの出力特性の一例を示した説明
図である。
【図4】白キズを発生させる欠陥エレメントの出力特性
をシェーディング補正した場合の一例を示した説明図で
ある。
【図5】ポジフィルムの場合に、黒キズをもたらすもの
と考えられるエレメントの出力特性の一例を示した説明
図である。
【図6】黒キズを発生させる欠陥エレメントの出力特性
をシェーディング補正した場合の一例を示した説明図で
ある。
【図7】欠陥エレメントを有するCCDセンサで原稿画
像を読み取ってポジフィルムに焼き付けた結果の一例を
示した説明図である。
【図8】CCDラインセンサの欠陥エレメントの検査装
置の構成を模式的に示したブロック図である。
【図9】検出方法の手順を示したフローチャートであ
る。
【図10】検出方法の手順を示したフローチャートで
ある。
【図11】グラデーション原稿の画像と共に、各エレメ
ントの位置情報を与える画像をもフィルムに焼き付けた
結果の全体図を示した説明図である。
【図12】グラデーション原稿の画像と共に、各エレメ
ントの位置情報を与える画像をもフィルムに焼き付けた
結果の部分拡大図を示した説明図である。
【図13】グラデーション原稿の画像と各エレメントの
位置情報を与える画像とを主走査方向に2倍に拡大して
焼き付けた結果の全体図を示した説明図である。
【図14】グラデーション原稿の画像と各エレメントの
位置情報を与える画像とを主走査方向に2倍に拡大して
焼き付けた結果の部分拡大図を示した説明図である。
【図15】検出方法の手順を示したフローチャートで
ある。
【図16】検出方法の手順を示したフローチャートで
ある。
【図17】検出方法の手順を示したフローチャートで
ある。
【図18】画像データ処理によって欠陥エレメントを検
出する検出装置の一例を示したブロック図である。
【図19】欠陥エレメントの検出判定基準を示した説明
図である。
【図20】グラデーション原稿の原稿程度をステップ的
に変化させたときのエレメントの検出状況を示した説明
図である。
【図21】第二の検出方法の手順を示したフローチャー
トである。
【図22】第二の検出方法の手順を示したフローチャー
トである。
【図23】第二の検出方法の手順を示したフローチャー
トである。
【図24】CCDラインセンサの各エレメントの位置関
係を示した説明図である。
【図25】算出方法の手順を示したフローチャートで
ある。
【図26】算出方法の手順を示したフローチャートで
ある。
【図27】第二の検出方法の変形例の手順を示したフロ
ーチャートである。
【図28】補正方法の適用例を模式的に示した説明図
である。
【図29】補正方法の適用例を模式的に示した説明図
である。
【図30】フィルムに記録された画像のエッジ部分が目
立ってしまうという問題点を指摘した説明図である。
【図31】コントラストのある絵柄の場合に補正方法
〜を適用した一例を示した説明図である。
【図32】斜め線をスキャンして画像記録した場合の補
正方法の効果を示した説明図である。
【図33】コントラストのある絵柄の場合に補正方法
〜を適用する場合の他の例を示した説明図である。
【図34】コントラストの無い平坦な絵柄の場合に補正
方法〜を適用する一例を示した説明図である。
【図35】緩やかなグラデーションの絵柄の場合に補正
方法〜を適用する一例を示した説明図である。
【図36】補正方法を適用した画像信号補正装置の一
例を示したブロック図である。
【図37】画像信号補正装置内の画像処理部の構成を示
したブロック図である。
【図38】画像信号補正処理部の動作を示したフローチ
ャートである。
【図39】画像信号補正処理部の動作を示したフローチ
ャートである。
【図40】重み付けパラメータのレベル差分値に対する
関数形を示した説明図である。
【図41】補正方法を実行するDSPの各機能回路部
と第1及び第2メモリ部を示したブロック図である。
【符号の説明】
1 平面型入力スキャナ 2 原稿台 4 グラデーション原稿 5 ハロゲンランプ 10 CCDラインセンサ 13 コントロール部 14 透過光 20 入力装置 21 画像処理部 23 メモリ 31 出力スキャナ 32 フィルム 33 第1焼き付け領域 34 第2焼き付け領域 42 画像処理部 47 DSP 63 画像処理部 65 原稿 V1 出力信号 VPI 位置情報信号 VA 補正後の画像信号
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G06T 1/00 H01L 21/66 J H01L 21/66 H04N 1/028 Z H04N 1/028 G06F 15/64 325C

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光電変換を行う複数のエレメントを有す
    るイメージセンサにその入射光量を変えつつ光を入射し
    て前記複数のエレメントの出力信号を測定し、 前記各出力信号が与える画像を感材に記録し、 その記録された画像に基づき、前記イメージセンサが前
    記入射光量に対する出力特性に異常をきたす欠陥エレメ
    ントを有するか否かを検出することを特徴とする、イメ
    ージセンサの欠陥エレメント検出方法。
  2. 【請求項2】 前記記録時に、前記複数のエレメントの
    出力信号の画像と共に、前記各エレメントの前記イメー
    ジセンサ内での配列位置を示す位置情報の画像をも前記
    感材に記録すると共に、 前記位置情報及び前記出力信号の両記録画像を比較する
    ことにより、前記欠陥エレメントの有無の検出に加え
    て、当該欠陥エレメントの前記配列位置の特定をも行う
    ことを特徴とする、請求項1記載のイメージセンサの欠
    陥エレメント検出方法。
  3. 【請求項3】 (a)光電変換を行う複数のエレメント
    を有するイメージセンサに一定の光量の光を入射するス
    テップと、 (b)入射光量に対する出力特性がある領域で異常を示
    す欠陥エレメントが前記複数のエレメントの中に存在す
    るか否かを、前記複数のエレメントの各出力信号に基づ
    き検出するステップと、 (c)前記(a)ステップに於ける入射光の光量を変更
    して、新たな光量を有する光を用いて前記(a)及び前
    記(b)の両ステップを繰返すステップとを、備えたこ
    とを特徴とするイメージセンサの欠陥エレメント検出方
    法。
  4. 【請求項4】 前記(b)ステップは、 (b−1)前記各出力信号のレベルが前記入射光量に応
    じて定まる許容範囲内にあるか否かを判断するステップ
    と、 (b−2)前記許容範囲内のレベルでないときには、対
    応する前記エレメントが前記欠陥エレメントであると判
    断するステップとを、有することを特徴とする請求項3
    記載のイメージセンサの欠陥エレメント検出方法。
  5. 【請求項5】 前記(b)ステップは、検出対象の前記
    エレメントが前記欠陥エレメントであるときには、当該
    欠陥エレメントの前記イメージセンサ内での配列位置を
    特定した上で、その配列位置を与える位置情報を記録す
    るステップを更に備えたことを特徴とする、請求項3又
    は請求項4記載のイメージセンサの欠陥エレメント検出
    方法。
  6. 【請求項6】 イメージセンサによって読み取った原稿
    の画像を与える画像信号の内で、前記イメージセンサに
    含まれる複数の光電変換を行うエレメントの内で入射光
    量に対するその出力特性に異常をきたす欠陥エレメント
    に対応した画像信号を補正する画像信号補正方法であっ
    て、 前記欠陥エレメントに対応した画像信号と当該欠陥エレ
    メントの近傍に位置する前記エレメントに対応した画像
    信号とを合成し、 前記合成により得られた画像信号を、前記欠陥エレメン
    トに対応した新たな画像信号に決定することを特徴とす
    る、画像信号補正方法。
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