JP2993224B2 - 輪郭形状の突き加工方法 - Google Patents

輪郭形状の突き加工方法

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誉 国見
仁 三沢
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、板状素材を回転切削工
具を用いて所定の輪郭線にほぼ沿った形状とする突き加
工方法に関する。すなわち回転切削工具を非切削状態で
輪郭線に沿って移動させるとともに、該回転切削工具を
適宜位置で停止させ、停止位置で軸方向に送って切削す
る工程を繰返すことによって、所定の輪郭線にほぼ沿っ
た形状に加工する加工方法に関する。特にこの発明は、
予め荒加工(1次加工)によって板状素材が所定の輪郭
線にほぼ沿った形状に加工された後に施す突き加工方法
に関するものである。
【0002】ここで予め本明細書で用いる用語を定義し
ておく。 2次加工形状;この突き加工の実施後の素材の実際形状
をいう。図3,図4のFに相当する。 2次加工輪郭線;この突き加工で形成したい輪郭線をい
う。ただし回転切削工具の半径(R)が一定であるため
に、実際に形成される形状はこの輪郭線とならず、この
輪郭線に沿った2次加工形状となる。2次加工輪郭線は
図3,図4のBに相当する。 1次加工形状;この突き加工の実施前の素材形状であ
り、荒加工後の形状をいう。2次加工輪郭線の外側でほ
ぼそれに沿った形状である。図1のeが相当する。 1次加工輪郭線;1次加工形状に近似する滑らかな線を
いう。図2,3,4のdないしDが相当する。 中心形状線;2次加工輪郭線をその外側に回転切削工具
の半径分だけオフセットした線をいう。図2,3,4の
Cが相当する。
【0003】
【従来の技術】図4は、荒加工によってほぼDの形状に
仕上げられた板状素材Wをこの突き加工によって2次加
工輪郭線Bにほぼ沿った形状Fに加工する従来の突き加
工技術を示している。なお、荒加工によって仕上げられ
た実際の形状はDのように滑らかなものでなく、Dに近
似した凹凸の激しい線であることが普通である。これは
突き加工方法で荒加工されていても、あるいはのこぎり
等によって荒加工されていてもよい。図4のDは実際の
1次加工形状に近似する滑らかな線を示している。
【0004】従来の技術では、まず2次加工輪郭線Bの
外側に回転切削工具の半径R分だけオフセットした中心
形状線Cを算出する。次にこの中心形状線Cを所定ピッ
チで等分し、点C1,2…等を算出する。そして回転切
削工具を最初C1点上に位置決めし、軸方向に送って切
削する。切削終了後軸方向に戻し、次にC2点上に移動
させる。再度軸方向に送り切削する。この工程を次々に
実施してゆく。これにより素材Wは2次加工輪郭線Bに
ほぼ沿った2次加工形状Fとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この場合、回転切削工
具の移動距離C1−C2,C2−C3等は等ピッチであ
る。しかしながら実際の加工領域についてみてみると、
例えば工具中心がC2のときに面積S1を切削し、工具
中心がC4のとき面積S3を切削する。このとき明らか
に1次加工輪郭線D上の切削距離は、凸のところ(D1
−D2)で短く、凹のところ(D3−D4)で長くな
る。これに応じて切削面積も一定とならず、凸のところ
(S1)では小さく凹のところ(S3)で大きくなる。
【0006】このため工具の軸方向の送り速度は、切削
面積の大きい凹のところを基準として設定することにな
り、凸のところでは不必要に低速度でしか切削がされな
い。そのために加工速度が遅い。そこで本発明では、各
点における切削面積をできるだけ一様化し、もっと高速
切削が可能であるにもかかわらず低速切削しかなされな
い加工箇所を無くそうとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】そのために本発明では、
2次加工輪郭線の外側で該2次加工輪郭線にほぼ沿って
荒加工された1次加工形状を有する板状素材に対し、回
転切削工具を適宜位置に移動させ、移動点ごとに軸方向
に送ることによって、該板状素材をほぼ該2次加工輪郭
線に沿った2次加工形状とする輪郭形状の突き加工方法
において、該1次加工形状に近似する1次加工輪郭線を
算出する工程と、算出された該1次加工輪郭線を等ピッ
チで区分する工程と、該2次加工輪郭線の外側に該回転
切削工具の半径分をオフセットした中心形状線を算出す
る工程と、前記等ピッチ区分工程で区分された該1次加
工輪郭線を等ピッチで等分した点から該回転切削工具の
半径に等しい距離にある該中心形状線上の点を算出する
工程と、該算出された中心形状線上の点上に該回転切削
工具を移動させ、その点で該回転切削工具を軸方向に送
る工程とを有する輪郭形状の突き加工方法を創作した。
【0008】
【作用】さて本発明によると、図3に示すように、1次
加工輪郭線Dにおいて、1回当りの切削距離D11−D
12,D13−D14等が等ピッチとなる。このため切
削面積S11,S12…等も一様化される。このため工
具の軸方向の送り速度はほぼすべての切削点において最
適なものを選定でき、不必要に低速度で切削が行なわれ
ることが防止される。
【0009】
【実施例】図1は、ワーク(板状素材)Wを荒加工(1
次加工)したときの形状eを示している。これはワーク
W上に仮想的に格子gを想定し、その交点上で切削した
ときに2次加工輪郭線bより内側が切削されればその点
では切削しないという条件で荒加工を実施したものであ
る。このため1次加工形状eは2次加工輪郭線bから図
1の上方向へ最大でもm(ここでmはピックであり、格
子gの縦方向距離を示す)だけ離れた状態でほぼ2次加
工輪郭線bに沿っている。
【0010】なお図中aは最終仕上げ形状を示してお
り、2次加工輪郭線bは、この最終仕上げ形状aの外側
に仕上げ代tだけオフセットすることによって算出され
ている。
【0011】図2において、ラインdは2次加工輪郭線
bを図の上方へmだけ移動させた線を示している。これ
は1次加工形状eに近似する滑らかな線ということがで
きる。正確にはこのラインdと2次加工輪郭線bとの間
に1次加工形状eが存在しており、このラインdは1次
加工形状eにほぼ外接する滑らかな線ということができ
る。なお1次加工輪郭線dを求めるための移動量はmで
なくてもよく、例えばm/2,m/3,2m/3等とい
った値でもよい。このようにしても1次加工形状eに近
似する滑らかな1次加工輪郭線dが算出される。
【0012】さてcは2次加工輪郭線bを外側に工具径
Rだけオフセットした中心形状線である。工具中心がこ
の中心形状線C上にあれば、切削孔が2次加工輪郭線b
に接することになる。図2のd10,d11,d12,
d13,d14…等は1次加工輪郭線dを等ピッチで等
分した点である。ここで点d10は1次加工輪郭線dと
ワークWの端縁Tとの接点にとっている。さて図2のC
11,C12…等は、それぞれ中心形状線C上にあっ
て、点d11,d12…等から回転切削工具の半径Rだ
け離れた距離にある点である。
【0013】次に、本加工方法を順に説明する。まずこ
の方法では、最初に1次加工形状eに近似する滑らかな
1次加工輪郭線dを算出する。これは前述のようにこの
実施例の場合には、2次加工輪郭線bを荒加工時の格子
方向にピック量mだけ移動させることによって算出す
る。移動量はm以下であればよい。
【0014】次にこのようにして算出された1次加工輪
郭線を等分し、点d11,d12等を算出する。また中
心形状線Cを算出する。そしてそのあと中心形状線C上
にあって点d11,d12等から回転切削工具の半径R
だけ離れた点C11,C12…等を求める。そしてまず
最初に回転工具を点C11上で軸方向に送り切削する。
次に工具を軸方向に戻し点C12上に移動させ、再度点
C12上で切削する。以下これを繰返す。これによると
各回の切削面積が一様化された状態で2次加工形状fが
得られる。この2次加工形状fは2次加工輪郭線bの外
側でよく一致している。このようにして本発明の突き加
工が終了すると、次に仕切上げ加工をしてワークWを仕
上げ形状aに仕上げる。
【0015】この実施例の場合、図2に示すように、中
心形状線Cを切削開始側についてはワークWの外方に延
長する必要がある。この場合、図2に示すようにワーク
W内の中心形状線を直線的に延長してもよいし、あるい
はワークWの端縁Tから直角方向に延長してもよい。ま
た切削終了側では1次加工輪郭線dをワークW外に延長
する必要がある。この場合もワークW内の輪郭線dを直
線的に延長してもよいし、あるいはワークWの端縁から
直角方向に延長してもよい。
【0016】
【発明の効果】さて本発明によると、実際に加工する1
次加工輪郭線上を等ピッチで工具が移動することから、
各点ごとの切削面積が一様化され、ほぼどの点において
も最適な工具送り速度で工具を軸方向に送ることができ
る。このため加工時間が短縮化される。また従来の技術
による場合、一回当りの切削量が最大となるところを基
準として工具の送り速度を決定すると、残部があまりに
も遅くなるため、最大切削点では少々無理が掛かる程度
の送り速度とすることがある。この場合工具の折損等が
時々生じることが避けられなかった。本発明によるとこ
のような無理をする必要がなく、無人運転が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】荒加工形状(1次加工形状)、2次加工輪郭
線、仕上げ形状を示す図
【図2】本加工方法によるときの加工状態を示す図
【図3】本発明の長所を示す図
【図4】従来の問題点を示す図
【符号の説明】
a 仕上げ形状 b 2次加工輪郭線 c 中心形状線 d 1次加工輪郭線 e 1次加工形状 f 2次加工形状
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−265239(JP,A) 特開 昭60−56849(JP,A) 特開 平2−93803(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23Q 15/00 G05B 19/4093

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2次加工輪郭線の外側で該2次加工輪郭
    線にほぼ沿って荒加工された1次加工形状を有する板状
    素材に対し、回転切削工具を適宜位置に移動させ、移動
    点ごとに軸方向に送ることによって、該板状素材をほぼ
    該2次加工輪郭線に沿った2次加工形状とする輪郭形状
    の突き加工方法において、 該1次加工形状に近似する1次加工輪郭線を算出する工
    程と、 算出された該1次加工輪郭線を等ピッチで区分する工程
    と、 該2次加工輪郭線の外側に該回転切削工具の半径分をオ
    フセットした中心形状線を算出する工程と、前記等ピッチ区分工程で区分された該1次加工輪郭線を
    等ピッチで等分した点 から該回転切削工具の半径に等し
    い距離にある該中心形状線上の点を算出する工程と、 該算出された中心形状線上の点上に該回転切削工具を移
    動させ、その点で該回転切削工具を軸方向に送る工程と
    を有する輪郭形状の突き加工方法。
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JP5172293B2 (ja) * 2007-11-26 2013-03-27 株式会社アルゴグラフィックス プレス金型の加工方法、加工プログラム、加工プログラム生成プログラムおよび加工装置
JP6382868B2 (ja) 2016-02-16 2018-08-29 ファナック株式会社 穴あけによる溝加工プログラムを生成するプログラム生成装置

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