JP2990817B2 - 感熱記録材料 - Google Patents

感熱記録材料

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は感熱記録材料に関するも
のであり、さらに詳しく述べるならば、本発明は記録感
度が優れ、長期保存しても発色濃度の低下の少ない感熱
記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】感熱記録方式は単に加熱するだけで発色
画像が得られ、またこの記録装置を比較的簡単にコンパ
クトなものにすることができるなどの利点が高く評価さ
れ、各種情報記録方式として広範囲に利用されている。
【0003】特に近年、このような感熱記録方式を用い
るファクシミリ・プリンターの装置の改良が進み、従来
は困難とされていた高速記録が可能となっている。この
ような機器の高速化にともないそれに使用される感熱記
録材料も記録感度の一層の向上が要求され、これに関す
る多くの提案がなされている。このような感熱記録材料
として紙、プラスチックフィルム、または合成紙などか
らなる支持体上に結着剤および熱発色性物質を主成分と
する感熱記録層を単層として又は多層として形成したも
のが一般に使用される。
【0004】このような構成を有する感熱記録材料の記
録感度向上のためには、サーマルヘッドと感熱記録材料
表面との密着性を高める必要がある。そのため従来から
これを改良する手段として記録材料製造に際してスーパ
ーカレンダー、グロスカレンダー等による記録層表面の
平滑性向上処理が極く一般的に行なわれており、また特
公昭52−20142号公報には記録層表面のベック平
滑度を200〜1000秒にするといった提案もなされ
ている。
【0005】しかしながら、最近のサーマルヘッドの改
良によりサーマルヘッドを構成する1つ1つのドットが
従来一辺が200μ程度のものから50μ以下のものへ
と進んできており、単にスーパーカレンダー処理等によ
って記録層表面の平滑度をたかめても必ずしも満足すべ
きドット再現性が得られなくなってきている。
【0006】そこでスーパーカレンダー等によって強制
的に均一な感熱記録材料表面を作るのではなく塗工時に
均一な層を形成しようとする試みも提案されている。
(特公昭62−16196号公報)しかしこれは塗工方
式によって達成しようとしているが、その塗料の流動性
によって塗工性が違いその結果均一な層構造を形成する
とは限らず十分な技術となっていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従
来技術の欠点を改善し、均一性の良い画像を形成するこ
とが出来き且つ長期間保存しても画像濃度の低下の少な
い感熱記録材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】支持体上の少なくとも一
方の面に下塗層を介して染料前駆体と顕色剤との感熱発
色反応を利用する感熱発色層を設けた感熱記録材料にお
いて、該下塗層中にカルボキシメチルセルロース中の無
水グルコース1単位当たりカルボキシメチル基が平均
0.80個以上のカルボキシメチルセルロース(以後、
平均置換度0.80の如く称す)を下塗層中の顔料10
0部に対して0.5〜1部未満含ませることにより、下
塗層の塗工均一性を向上でき、更にその上に感熱発色層
を設けた感熱記録材料は画像均一性がよく長時間保存し
ても画像濃度の低下の少ない品質のものが得られること
を見出し本発明を完成するに至った。
【0009】この感熱発色層、下塗層、支持体という構
成の感熱記録材料において画像均一性と下塗り層の塗工
均一性が重要であることが従来から知られており、下塗
り層塗工後のスーパーカレンダー掛けによる平滑性向上
を計ることが提案されている。(特開昭56−8679
2号公報)
【0010】しかし下塗層の必要物性として重要な断熱
性をスーパーカレンダー掛けにより損なうため、画像均
一性は向上するが感度の低下を引き起こす欠点がある。
そこで本発明者等は塗工流動性が良い下塗層塗料組成に
ついて鋭意研究を行った結果、一般的に使われる平均置
換度が0.6〜0.7のカルボキシメチルセルロースを
下塗り層中に添加したのでは塗工性が不十分であるが、
平均置換度が0.80以上のカルボキシメチルセルロー
スを添加した場合に塗工性が向上しその結果として感度
が向上することを見いだした。更にこの場合感熱記録材
料として重要な長期間保存による画像濃度の低下も少な
かった。
【0011】本発明における下塗層には、平均置換度が
0.80以上のカルボキシメチルセルロース以外に充填
剤、結合剤などを含ませることができる。その場合、平
均置換度が0.80以上のカルボキシメチルセルロース
を下塗層中の顔料100部に対して0.5〜1部未満
る。添加量がこれ以上では増粘が激しく塗料として適
当ではなく、上記下限未満ではその効果が低下する。
【0012】充填剤としては、製紙用・塗工用に用いら
れる無機・有機の顔料が任意に用いられ具体的に以下の
ようなものが挙げられる。炭酸カルシュウム、カオリ
ン、タルク、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、シリカ、
珪酸マグネシウム、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルムア
ルデヒド樹脂等。
【0013】又結合剤としては一般に公知の水溶性高分
子物質、水性エマルジョンが用いられ、具体的には例え
ば以下に示すようなものが挙げられる。ポリビニルアル
コール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、デンプン、デンプン誘導体、スチレン−無水マレイ
ン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合
体、ポリアミド、SBRラテックス、ポリスチレン−ア
クリル酸エステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマル
ジョン等。これら以外に本発明の効果を損なわない範囲
で消泡剤等の添加剤を配合することが出来る。
【0014】この下塗層の充填剤と結合剤の配合比率は
選択した成分によって任意に決められ一般的には20:
1〜1:1の間である。この下塗層を形成するに当たっ
ては塗布量は1〜15g/m2 (乾燥重量)が一般的で
あり、その塗工は通常の塗工機を用いて紙、プラスチッ
クフィルム、合成紙、金属箔等の適当な材質の支持体上
に塗布することによって容易に行なわれる。その塗工方
式としてはエアーナイフ法、ブレード法、グラビア法、
ロールコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、
およびエクストルージョン法などの既知の塗布方法のい
ずれを利用しても良いが、ブレード塗工によって下塗層
を形成することが好ましい。
【0015】下塗層上に形成する感熱発色層は常法に拠
って形成する。本発明に用いられる染料前駆体として
は、一般の感圧記録紙、感熱記録紙等に用いられている
ものであれば特に制限はない。その具体例を挙げれば、 (1)トリアリールメタン系化合物として、例えば3,
3−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチ
ルアミノフタリドなど。 (2)ジフェニルメタン系化合物として、例えば4,
4′−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエ
ーテル、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオ
ーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコ
オーラミンなど。 (3)キサンテン系化合物として、例えばローダミンB
−アニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベン
ジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ブチ
ルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−
クロロアニリノ)フルオラン、3−ピペリジノ−6−メ
チル−7−アニリノフルオラン、3−エチル−トリルア
ミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シク
ロヘキシル−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノ
フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−
(β−エトキシエチル)アミノフルオラン、3−ジエチ
ルアミノ−6−クロロ−7−(γ−クロロプロピル)ア
ミノフルオラン、3−エチル−イソアミルアミノ−6−
メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ
−7−クロロアニリノフルオラン等がある。 これらは単独で又は2種以上の混合物として用いられ
る。染料前駆体は感熱記録材料の用途及び希望する特性
により適宜選択使用される。
【0016】本発明に使用される顕色剤としては、フェ
ノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体が好ましく、特
にビスフェノール類が好ましい。これを具体的に例示す
ると、フェノール類としてはp−オクチルフェノール、
p−tert−ブチルフェノール、p−フェニルフェノー
ル、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサ
ン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサ
ン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−2−エ
チル−ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジクロロフェニル)プロパン、ジヒドロキシジフェ
ニルエーテルなどが挙げられる。 又、芳香族カルボン
酸誘導体としては、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒド
ロキシ安息香酸ブチル、3,5−ジ−tert−ブチルサリ
チル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸お
よび上記カルボン酸の多価金属塩などが挙げられる。
【0017】本発明の感熱記録材料の製造において、本
発明の効果を損なわない範囲で界面活性剤やポリアクリ
ルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコー
ル、およびスチレン−無水マレイン酸共重合体などのよ
うな水溶生高分子化合物、並びにヒドロキシエチルセル
ロース、デンプン誘導体、ゼラチン、およびカゼインな
どのような水溶生天然高分子化合物又はその誘導体や、
消泡剤等の各種助剤を添加することも出来る。
【0018】感熱記録層中に含まれるワックスとして
は、パラフィンワックス、カルナバロウワックス、マイ
クロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックスの
他、高級脂肪酸アミド例えばステアリン酸アミド、エチ
レンビスステアロアミド、高級脂肪酸エステル等が挙げ
られる。金属石鹸としては、高級脂肪酸多価金属塩すな
わちステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ス
テアリン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛等が挙げられ
る。
【0019】無機顔料としてはカオリン、焼成カオリ
ン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシア、
酸化チタン、炭酸バリウム等が挙げられる。
【0020】増感剤としてはp−ベンジルビフェニル、
ジベンジルテレフタレート、1−ヒドロキシ−2−ナフ
トエ酸フェニル、シュウ酸ジベンジル、アジピン酸ジ−
o−クロルベンジル、1,2−ジ(3−メチルフェノキ
シ)エタン、シュウ酸ジ−p−クロルベンジル、シュウ
酸ビス(Pメチルベンジル)などが挙げられる。
【0021】これらは、結着剤と一緒に支持体に塗布さ
れる。結着剤としては水溶性のものが一般的でポエビニ
ルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロース、エチレン−無水マレイン酸共重
合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレ
ン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸、デンプ
ン、カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。又、これらの
結着剤に耐水性を付与する目的で耐水性付与剤を加えた
り、疎水性のエマルジョン、具体的にはスチレン−ブタ
ジエンゴムラテックス、アクリル樹脂エマルジョン等を
加えることも出来る。
【0022】塗布液はシート状支持体の一表面に3〜8
g/m2 (乾燥)となる様に塗布され、それによって感
熱記録層が形成される。感熱記録層を形成す方法として
はエアーナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコ
ーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、およびエ
クストルージョン法などの既知の塗布方法のいずれかを
利用しても良い。本発明に用いられる支持体材料には、
格別の制限はなく、例えば紙、合成繊維紙、合成樹脂フ
ィルム等を適宜使用することが出来る。
【実施例】実施例によって本発明をさらに説明する。
【0023】実施例1下記の工程により下塗層形成用塗
布液を調製した。 成 分 量 (重量部) 水 100 焼成クレー(エンゲルハード社製 商品名:アンシレックス) 100 シリカ徳山曹達(株)商品名:ファインシールSP10 10 カルボキシメチルセルロース第一工業製薬(株) 商品名:AGガムHE,平均置換度1.45 1 10%ポリビニルアルコール (日本合成化学工業製商品名:GL05) 5 以上の成分を5分間ホモジナイザーで分散後SBRラテ
ックス日本合成ゴム(株)商品名:054520部
と混合して下塗層塗液とした。この下塗層塗布液を50
g/m2の上質紙のフェルト面側に塗布量が7g/m2
なる様に塗布乾燥した。
【0024】一方感熱発色層用塗液として下記の分散液
A,Bを調製し、下記の工程により感熱発色層用塗液
調製した。 分散液Aの調製 成 分 量 (重量部) 3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル −7−アニリノフルオラン 20 ポリビニルアルコール10%液(重合度500、鹸化度90%) 10 水 70 この成分を縦型サンドミル(五十嵐機械製造社製サンド
グラインダー)に装入し、これに分散メディアとして直
径1.2mmのガラスビーズを用いて分散微細化操作を3
0分間施し、ひき続き組成物を横型サンドミル(五十嵐
機械製造社製ウルトラビスコミル)に装入し、これに分
散メディアとして直径0.6mmのガラスビーズを用いて
分散微細化操作を30分間施した。
【0025】 分散液Bの調製 成 分 量 (重量部) ビスフェノールA 10 シュウ酸ビス(p−メチルベンジル) 10 ポリビニルアルコール10%液〔重合度500、鹸化度86.5〜 89.0%、日本合成化学工業(株)製、商品名GL05 10 水 70 この成分を前記分散Aの調製方法と同じ方法により分
散した。
【0026】感熱記録層塗布液の調製 上記分散液A50部、および分散液B100部に、炭酸
カルシウム30部、33%パラフィン分散液30部、1
0%ポリビニルアルコール水溶液100部を混合し、攪
拌して塗布液を調製した。この塗布液を下塗層上に乾燥
後の塗布量が4.5g/m2 となるように塗布し、乾燥
して感熱発色層を形成し、スーパーカレンダーで王研式
平滑度計で800秒にして感熱記録紙を製造した。
【0027】記録感度はNTT製高速ファクシミリ:D
4200で画像電子学会の標準チャートNo2を用いて印
し、その際の発色濃度をマクベス濃度計RD−914
で測定し、感熱記録紙の記録感度を代表する値とし、ま
た画像の均一性を目視で評価した。この感熱記録紙を4
0℃90%で24時間保存後、濃度を測定した。下塗層
の表面性は王研式平滑度計で測定し、評価した。表1に
結果をまとめた。
【0028】実施例2 実施例1中の下塗層に配合した平均置換度1.45のカ
ルボキシメチルセルロースを平均置換度0.80のカル
ボキシメチルセルロース第一工業製薬(株)商品名
AGガムLV No.2に変えた以外実施例1と同様の
処理を行って感熱記録紙を作成した。
【0029】実施例3 実施例1中の下塗層に配合したポリビニルアルコールを
平均置換度0.7のカルボキシメチルセルロース第一
工業製薬(株)商品名セロゲンPRに変えた以外実
施例1と同様の処理を行って感熱記録紙を作成した。
【0030】比較例1 実施例1中の下塗層に配合した平均置換度1.45のカ
ルボキシメチルセルロースを除外した以外実施例1と同
様の処理を行って感熱記録紙を作成した。
【0031】比較例2 実施例3中の下塗層に配合した平均置換度0.のカル
ボキシメチルセルロースを除外した以外実施例1と同様
の処理を行って感熱記録紙を作成した。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】本発明によって記録感度が優れ長期保存
しても発色濃度の低下の少ない高品質の感熱記録材料を
製造することが可能となった。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上の少なくとも一方の面に下塗層
    を介して染料前駆体と顕色剤との感熱発色反応を利用す
    る感熱発色層を設けた感熱記録材料において、該下塗層
    中にカルボキシメチルセルロース中の無水グルコース1
    単位当たりカルボキシメチル基が平均0.80個以上の
    カルボキシメチルセルロースを下塗層中の顔料100部
    に対して0.5〜1部未満含むことを特徴とする感熱記
    録材料。
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