JP2990799B2 - Migアーク溶接制御方法 - Google Patents

Migアーク溶接制御方法

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JP2990799B2 JP2340863A JP34086390A JP2990799B2 JP 2990799 B2 JP2990799 B2 JP 2990799B2 JP 2340863 A JP2340863 A JP 2340863A JP 34086390 A JP34086390 A JP 34086390A JP 2990799 B2 JP2990799 B2 JP 2990799B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、アーク長を周期的に変化させるために、ア
ーク電圧又はアーク電圧と溶接電流とを周期的に変化さ
せるMIGアーク溶接制御方法に関するものである。
[従来の技術] 近年、アルミニウム及びアルミニウム合金(以下、ア
ルミニウムという)が、建築構造物の内装、車輛、運輸
機器等に広く使われるようになってきている。これらの
溶接継手が、そのままこれらの構造物の外面を形成する
ために、溶接継手において溶接強度が要求されることは
もちろんであるが、溶接ビードの外観が良好であること
が要求されている。そこで、溶接ビード外観が良好であ
るアーク溶接方法として、フィラワイヤを添加するTIG
アーク溶接方法が広く採用されているが、このTIGアー
ク溶接方法は溶接速度が遅いために生産効率が悪い。そ
こで、最近、パルスMIGアーク溶接方法によって、TIGア
ーク溶接方法と同じ規則正しい波形状の溶接ビード外観
を得ようとする提案がなされている。
その一つとして、本出願人が特開平2−102102(以
下、先願という)において記載したブロック図を、一部
簡略化した第15図(A)に示すように、第1アーク電圧
設定回路VS1の第1アーク電圧設定信号Vs1と第2アーク
電圧設定回路VS2の第2アーク電圧設定信号Vs2とを、溶
接条件切換回路HLの溶接条件切換信号Hlの切換周波数F
で切換えることによって同図(B)に示すようなパルス
電流群を通電し、このパルス電流の変化によって、同図
(C)に示すような第1アーク電圧Va1と第2アーク電
圧Va2とを切換えている。この先願においては、溶接電
流設定回路IM(ワイヤ送給速度設定回路WS)の溶接電流
設定信号Im(ワイヤ送給速度設定信号Ws)と第1及び第
2アーク電圧設定回路VS1及びVS2の第1及び第2アーク
電圧設定信号Vs1及びVs2とは関係なく個別に設定されて
いる。
他の従来技術として、第16図に示すように、溶接条件
切換信号Hlによって、第1溶接電流設定回路ILの第1溶
接電流設定信号Ilから、第2溶接電流設定回路IHの第2
溶接電流設定信号Ihに切換えたときに、溶接電流値の変
化に対応して予め定めたアーク電圧値が得られるように
するために、第1溶接電流設定信号Ilによって、第1ア
ーク電圧設定回路VS1の第1アーク電圧設定信号Vs1を設
定し、また、この設定とは別個に、第2溶接電流設定信
号Ihによって、第2アーク電圧設定回路VS2の第2アー
ク電圧設定信号Vs2を設定することが提案されている。
このような、アーク電圧又はアーク電圧と溶接電流と
を周期的に変化させるMIGアーク溶接方法、特に第15図
で説明した先願のパルスMIGアーク溶接方法は、前述し
たアルミニウムに対して、規則正しいうろこ状ビード外
観を得られる他に、 銅又は銅合金に対しても、規則正しいうろこ状ビード
外観が得られる、 アルミニウムに対して、結晶粒を微細化して割れが発
生しにくい、 アルミニウムに対して、ブローホールの発生が少な
い、 突合せ溶接に対して、突合せの隙間が大になっても、
溶け落ちが発生しにくい、 重ね隅肉溶接に対して、重ね合せの隙間が大になって
も、片溶けが発生しにくい、 ステンレス鋼に対して、溶け込み形状の制御ができ、
溶接ビードの進行方向の溶け込み深さが略一定になって
いる。
など、応用範囲の拡大が期待されている。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明は、アーク長を周期的に変化させるために、ア
ーク電圧又はアーク電圧と溶接電流とを周期的に変化さ
せているが、本発明の制御方法の対象となるアーク長を
周期的に変化させるための第1アーク電圧Va1と第2ア
ーク電圧Va2との変化値ΔVaは、第14図(B)に示すよ
うに、0.3乃至2.5[V]の小さな値である。したがっ
て、この小さなアーク電圧の変化値ΔVaを得るための第
1アーク電圧設定回路VS1と第2アーク電圧設定回路VS2
との設定は、慎重に微細に行わなければ、適正なアーク
長変化値Ltを得ることができない。
しかし、前述した先願の第15図(A)においては、第
1アーク電圧設定回路VS1と第2アーク電圧設定回路VS2
とは個別に設定しなければならないので、上述したよう
に、適正なアーク長変化値Ltを得るために、第1及び第
2アーク電圧設定回路VS1及びVS2を設定し直して、確認
のテストを繰返す必要があった。
また、前述した公知の第16図においても、第1溶接電
流値M1を得るための第1ワイヤ送給速度を設定する第1
溶接電流設定回路ILの第1溶接電流設定信号Ilを、第1
アーク電圧Va1を得るための第1アーク電圧設定回路VS1
に出力するとともに、同様に、第2溶接電流値M2を得る
ための第2ワイヤ送給速度を設定する第2溶接電流設定
回路IHの第2溶接電流設定信号Ihを、第2アーク電圧Va
2を得るための第2アーク電圧設定回路VS2に出力するよ
うに、いわゆる一元調整が行われている。しかし、この
従来の技術においては、第1溶接電流設定信号Ilすなわ
ち第1ワイヤ送給速度設定信号Ws1を設定することによ
って第1アーク電圧設定信号Vs1を得るとともに、第2
溶接電流設定信号Ihすなわち第2ワイヤ送給速度設定信
号Ws2を設定することによって第2アーク電圧設定信号V
s2を得るようになっているが、第1アーク電圧設定信号
Vs1と第2アーク電圧設定信号Vs2とは、全く別々の設定
回路VS1及びVS2によって設定された信号であって、設定
時には関係がない。したがって、前述したように適正な
アーク長変化値Ltを得るために、第1及び第2アーク電
圧設定回路VS1及びVS2を設定し直して、確認の溶接を繰
返す必要があった。
次に、この公知技術が適用される溶接方法において
は、溶接電流を変化させたとき、アーク長が変化しない
ようにアーク電圧を設定することが目的である。すなわ
ち、溶接電流値を大きく変化させているために、アーク
電圧変化値ΔVaが大きくなるので、本発明の制御方法を
適用する溶接方法よりも、第1及び第2のアーク電圧設
定が容易である。このことを、後述する第14図(B)を
利用して説明すると、溶接電流値を大きく変化させてア
ーク長を大きく変化させるときは、アーク電圧の設定値
を変化しなければならない。例えば、同図において、ア
ーク長変化値Lt=6[mm]の曲線上において、縦軸と交
又する位置のアーク電圧変化値ΔVaが2[V]であるの
に対して、同じアーク長変化値Lt=6の曲線上の点Q56
において、横軸の溶接電流変化値ΔIaが50[A]であ
り、縦軸のアーク電圧変化値ΔVaは6[V]である。こ
のことは、溶接電流値を50[A]変化させて、アーク長
を変化させないようにしようとすれば、アーク電圧変化
値ΔVaは6−2=4[V]になる。溶接電流変化値ΔIa
がさらに大きければ、このアーク電圧変化値ΔVaもさら
に大きくなるので、第1及び第2のアーク電圧の設定
が、本発明の制御方法を適用する溶接方法よりも容易で
あることを意味している。したがって、従来の溶接方法
においては、第1及び第2アーク電圧の設定を別々に行
うことができた。
[問題点を解決するための手段] 以下の説明において使用する符号V1,V2,I1,I2,Vs1,Vs
2,Ws1及びWs2は、第3図(A)乃至(L)並びに第10図
(A)及び(B)においては、符号V1,V2,I1,I2,Vs1,Vs
2,Ws1及びWs2に置換して用いる。
(請求項第1項の制御方法) 請求項第1項の第1の制御方法は、第3図(A)の流
れ図に示すように、消耗電極を略一定のワイヤ送給速度
で送給し、第1及び第2アーク電圧値V1及びV2を周期的
に変化させることにより、アーク長を変化させて溶接す
るMIGアーク溶接制御方法において、溶接電流平均値Ia
に相当する信号とアーク長変化値Ltに相当する信号とを
入力して、溶接電流平均値Iaとアーク電圧平均値Vaとの
関係を予め定めた関数Va=f(Ia)から、アーク電圧平
均値Vaを演算し、次に、アーク長変化値Ltと溶接電流平
均値Iaとアーク電圧変化値ΔVaとの関係を予め定めた関
数Lt=f(Ia,ΔVa)から、アーク電圧変化値ΔVaを演
算した後、アーク電圧平均値Vaとアーク電圧変化値ΔVa
とから、第1及び第2アーク電圧値V1及びV2を演算し、
このV1及びV2に対応する第1及び第2アーク電圧設定値
Vs1及びVs2を演算し、さらに、アーク電圧平均値Vaと溶
接電流平均値Iaとワイヤ送給速度設定値Wsとの関係を予
め定めた関数Ia=f(Ws,Va)から、ワイヤ送給速度設
定値Wsを演算して、これらの設定値WsとVs1とVs2とによ
って、溶接電流平均値Iaと第1及び第2アーク電圧値V1
及びV2とを制御するMIGアーク溶接制御方法である。
請求項第1項の第2の制御方法は、第3図(B)の流
れ図に示すように、消耗電極を略一定のワイヤ送給速度
で送給し、第1及び第2アーク電圧値V1及びV2を周期的
に変化させることにより、アーク長を変化させて溶接す
るMIGアーク溶接制御方法において、溶接電流平均値Ia
に相当する信号とアーク長変化値Ltに対応するアーク電
圧変化値ΔVaに相当する信号とを入力して、溶接電流平
均値Iaとアーク電圧平均値Vaとの勝計を予め定めた関数
Va=f(Ia)から、アーク電圧平均値Vaを演算した後、
アーク電圧平均値Vaとアーク電圧変化値ΔVaとから、第
1及び第2アーク電圧値V1及びV2を演算し、このV1及び
V2に対応する第1及び第2アーク電圧設定値Vs1及びVs2
を演算し、さらに、アーク電圧平均値Vaと溶接電流平均
値Iaとワイヤ送給速度設定値Wsとの関係を予め定めた関
数Ia=f(Ws,Va)から、ワイヤ送給速度設定値Wsを演
算して、これらの設定値WsとVs1とVs2とによって、溶接
電流平均値Iaと第1及び第2アーク電圧値V1及びV2とを
制御するMIGアーク溶接制御方法である。
(請求項第2項の制御方法) 請求項第2項の第1の制御方法は、第3図(C)の流
れ図に示すように、消耗電極を略一定のワイヤ送給速度
で送給し、第1及び第2アーク電圧値V1及びV2を周期的
に変化させることにより、アーク長を変化させて溶接す
るMIGアーク溶接制御方法において、溶接電流平均値Ia
に相当する信号と第1アーク電圧値V1に相当する信号と
を入力して、溶接電流平均値Iaとアーク電圧平均値Vaと
の関係を予め定めた関数Va=f(Ia)から、アーク電圧
平均値Vaを演算した後、アーク電圧平均値Vaと第1アー
ク電圧値V1とから、第2アーク電圧値V2を演算し、この
V1及びV2に対応する第1及び第2アーク電圧設定値Vs1
及びVs2を演算し、さらに、アーク電圧平均値Vaと溶接
電流平均値Iaとワイヤ送給速度設定値Wsとの関係を予め
定めた関数Ia=f(Ws,Va)から、ワイヤ送給速度設定
値Wsを演算して、これらの設定値WsとVs1とVs2とによっ
て、溶接電流平均値Iaと第1及び第2アーク電圧値V1
びV2とを制御するMIGアーク溶接制御方法である。
(請求項第3項の制御方法) 請求項第3項の第1の制御方法は、第3図(D)の流
れ図に示すように、消耗電極を第1及び第2のワイヤ送
給速度で周期的に変化させて送給するとともに、第1及
び第2アーク電圧値V1及びV2を周期的に変化させること
により、アーク長を変化させて溶接するMIGアーク溶接
制御方法において、第1及び第2溶接電流値I1及びI2
相当する信号とアーク長変化値Ltに相当する信号とを入
力して、第1溶接電流値I1と第1アーク電圧値V1との関
係を予め定めた関数V1=f(I1)から、第1アーク電圧
値V1を演算し、次に、アーク長変化値Ltと第1及び第2
溶接電流平均値Iaと溶接電流変化値ΔIaとアーク電圧変
化値ΔVaとの関係を予め定めた関数Lt=f(Ia,ΔIa,Δ
Va)から、アーク電圧変化値ΔVaを演算した後、アーク
電圧変化値ΔVaと第1アーク電圧値V1とから、第2アー
ク電圧値V2を演算し、このV1及びV2に対応する第1及び
第2アーク電圧設定値Vs1及びVs2を演算し、さらに、第
1アーク電圧値V1と第1溶接電流値I1と第1ワイヤ送給
速度設定値Ws1との関係を予め定めた関数I1=f(Ws1,V
1)から、第1ワイヤ送給速度設定値Ws1を演算し、同様
にして第2ワイヤ送給速度設定値Ws2を演算して、これ
らの設定値Ws1とWs2とVs1とVs2とによって、第1及び第
2溶接電流値I1及びI2と第1及び第2アーク電圧値V1
びV2とを制御するMIGアーク溶接制御方法である。
請求項第3項の第2の制御方法は、第3図(E)の流
れ図に示すように、消耗電極を第1及び第2のワイヤ送
給速度で周期的に変化させて送給するとともに、第1及
び第2アーク電圧値V1及びV2を周期的に変化させること
により、アーク長を変化させて溶接するMIGアーク溶接
制御方法において、第1及び第2溶接電流値I1及びI2
相当する信号とアーク長変化値Ltに対応するアーク電圧
変化値ΔVaに相当する信号とを入力して、第1溶接電流
値I1と第1アーク電圧値V1との関係を予め定めた関数V1
=f(I1)から、第1アーク電圧値V1を演算した後、第
1アーク電圧値V1とアーク電圧変化値ΔVaとから、第2
アーク電圧値V2を演算し、このV1及びV2に対応する第1
及び第2アーク電圧設定値Vs1及びVs2を演算し、さら
に、第1アーク電圧値V1と第1溶接電流値I1と第1ワイ
ヤ送給速度設定値Ws1との関係を予め定めた関数I1=f
(Ws1,V1)から、第1ワイヤ送給速度設定値Ws1を演算
し、同様にして第2ワイヤ送給速度設定値Ws2を演算し
て、これらの設定値Ws1とWs2とVs1とVs2とによって、第
1及び第2溶接電流値I1及びI2と第1及び第2アーク電
圧値V1及びV2とを制御するMIGアーク溶接制御方法であ
る。
請求項第3項の第3の制御方法は、第3図(E)の流
れ図に示すように、消耗電極を第1及び第2のワイヤ送
給速度で周期的に変化させて送給するとともに、第1及
び第2アーク電圧値V1及びV2を周期的に変化させること
により、アーク長を変化させて溶接するMIGアーク溶接
制御方法において、第1及び第2溶接電流平均値Iaに相
当する信号と溶接電流変化値ΔIa又は第1溶接電流値I1
若しくは第2溶接電流値I2に相当する信号とアーク長変
化値Ltに相当する信号とを入力して、第1溶接電流値I1
と第1アーク電圧値V1との関係を予め定めた関数V1=f
(I1)から、第1アーク電圧値V1を演算し、次に、アー
ク長変化値Ltと第1及び第2溶接電流平均値Iaと溶接電
流変化値ΔIaとアーク電圧変化値ΔVaとの関係を予め定
めた関数Lt=f(Ia,ΔIa,ΔVa)から、アーク電圧変化
値ΔVaを演算した後、アーク電圧変化値ΔVaと第1アー
ク電圧値V1とから、第2アーク電圧値V2を演算し、この
V1及びV2に対応する第1及び第2アーク電圧設定値Vs1
及びVs2を演算し、さらに、第1アーク電圧値V1と第1
溶接電流値I1と第1ワイヤ送給速度設定値Ws1との関係
を予め定めた関数I1=f(Ws1,V1)から、第1ワイヤ送
給速度設定値Ws1を演算し、同様にして第2ワイヤ送給
速度設定値Ws2を演算して、これらの設定値Ws1とWs2とV
s1とVs2とによって、第1及び第2溶接電流値I1及びI2
と第1及び第2アーク電圧値V1及びV2とを制御するMIG
アーク溶接制御方法である。
請求項第3項の第4の制御方法は、第3図(G)の流
れ図に示すように、消耗電極を第1及び第2のワイヤ送
給速度で周期的に変化させて送給するとともに、第1及
び第2アーク電圧値V1及びV2を周期的に変化させること
により、アーク長を変化させて溶接するMIGアーク溶接
制御方法において、第1及び第2溶接電流平均値Iaに相
当する信号とアーク長変化値Ltに対応するアーク電圧変
化値ΔVaに相当する信号と溶接電流変化値ΔIa又は第1
溶接電流値I1若しくは第2溶接電流値I2に相当する信号
とを入力して、第1溶接電流値I1と第2溶接電流値I2
を演算し、この第1溶接電流値I1と第1アーク電圧値V1
との関係を予め定めた関数V1=f(I1)から、第1アー
ク電圧値V1を演算した後、第1アーク電圧値V1とアーク
電圧変化値ΔVaとから、第2アーク電圧値V2を演算し、
このV1及びV2に対応する第1及び第2アーク電圧設定値
Vs1及びVs2を演算し、さらに、第1アーク電圧値V1と第
1溶接電流値I1と第1ワイヤ送給速度設定値Ws1との関
係を予め定めた関数I1=f(Ws1,V1)から、第1ワイヤ
送給速度設定値Ws1を演算し、同様にして第2ワイヤ送
給速度設定値Ws2を演算して、これらの設定値Ws1とWs2
とVs1とVs2とによって、第1及び第2溶接電流値I1及び
I2と第1及び第2アーク電圧値V1及びV2とを制御するMI
Gアーク溶接制御方法である。
請求項第3項の第5の制御方法は、第3図(H)の流
れ図に示すように、消耗電極を第1及び第2のワイヤ送
給速度で周期的に変化させて送給するとともに、第1及
び第2アーク電圧値V1及びV2を周期的に変化させること
により、アーク長を変化させて溶接するMIGアーク溶接
制御方法において、第1溶接電流値I1に相当する信号と
溶接電流変化値ΔIaに相当する信号とアーク長変化値Lt
に相当する信号とを入力して、第1溶接電流値I1と第1
アーク電圧値V1との関係を予め定めた関数V1=f(I1
から、第1アーク電圧値V1を演算し、次に、アーク長変
化値Ltと第1及び第2溶接電流平均値Iaと溶接電流変化
値ΔIaとアーク電圧変化値ΔVaとの関係を予め定めた関
数Lt=f(Ia,ΔIa,ΔVa)から、アーク電圧変化値ΔVa
を演算した後、アーク電圧変化値ΔVaと第1アーク電圧
値V1とから、第2アーク電圧値V2を演算し、このV1及び
V2に対応する第1及び第2アーク電圧設定値Vs1及びVs2
を演算し、さらに、第1アーク電圧値V1と第1溶接電流
値I1と第1ワイヤ送給速度設定値Ws1との関係を予め定
めた関数I1=f(Ws1,V1)から、第1ワイヤ送給速度設
定値Ws1を演算し、同様にして第2ワイヤ送給速度設定
値Ws2を演算して、これらの設定値Ws1とWs2とVs1とVs2
とによって、第1及び第2溶接電流値I1及びI2と第1及
び第2アーク電圧値V1及びV2とを制御するMIGアーク溶
接制御方法である。
請求項第3項の第6の制御方法は、第3図(I)の流
れ図に示すように、消耗電極を第1及び第2のワイヤ送
給速度で周期的に変化させて送給するとともに、第1及
び第2アーク電圧値V1及びV2を周期的に変化させること
により、アーク長を変化させて溶接するMIGアーク溶接
制御方法において、第1溶接電流値I1に相当する信号と
アーク長変化値Ltに対応するアーク電圧変化値ΔVaに相
当する信号と溶接電流変化値ΔIaに相当する信号とを入
力して、第1溶接電流値I1と第1アーク電圧値V1との関
係を予め定めた関数V1=f(I1)から、第1アーク電圧
値V1を演算し、この第1アーク電圧値V1とアーク電圧変
化値ΔVaとから、第2アーク電圧値V2を演算し、このV1
及びV2に対応する第1及び第2アーク電圧設定値Vs1
びVs2を演算し、さらに、第1アーク電圧値V1と第1溶
接電流値I1と第1ワイヤ送給速度設定値Ws1との関係を
予め定めた関数I1=f(Ws1,V1)から、第1ワイヤ送給
速度設定値Ws1を演算し、同様にして第2ワイヤ送給速
度設定値Ws2を演算して、これらの設定値Ws1とWs2とVs1
とVs2とによって、第1及び第2溶接電流値I1及びI2
第1及び第2アーク電圧値V1及びV2とを制御するMIGア
ーク溶接制御方法である。
(請求項第4項の制御方法) 請求項第4項の第1の制御方法は、第3図(J)の流
れ図に示すように、消耗電極を第1及び第2のワイヤ送
給速度で周期的に変化させて送給するとともに、第1及
び第2アーク電圧値V1及びV2を周期的に変化させること
により、アーク長を変化させて溶接するMIGアーク溶接
制御方法において、第1及び第2溶接電流値I1及びI2
相当する信号と第2アーク電圧値V2に相当する信号とを
入力して、第1溶接電流値I1と第1アーク電圧値V1との
関係を予め定めた関数V1=f(I1)から、第1アーク電
圧値V1を演算した後、このV1及びV2に対応する第1及び
第2アーク電圧設定値Vs1及びVs2を演算し、さらに、第
1アーク電圧値V1と第1溶接電流値I1と第1ワイヤ送給
速度設定値Ws1との関係を予め定めた関数I1=f(Ws1,V
1)から、第1ワイヤ送給速度設定値Ws1を演算し、同様
にして第2ワイヤ送給速度設定値Ws2を演算して、これ
らの設定値Ws1とWs2とVs1とVs2とによって、第1及び第
2溶接電流値I1及びI2と第1及び第2アーク電圧値V1
びV2とを制御するMIGアーク溶接制御方法である。
請求項第4項の第2の制御方法は、第3図(K)の流
れ図に示すように、消耗電極を第1及び第2のワイヤ送
給速度で周期的に変化させて送給するとともに、第1及
び第2アーク電圧値V1及びV2を周期的に変化させること
により、アーク長を変化させて溶接するMIGアーク溶接
制御方法において、第1及び第2溶接電流平均値Iaに相
当する信号と第2アーク電圧値V2に相当する信号と溶接
電流変化値ΔIa又は第1溶接電流値I1若しくは第2溶接
電流値I2に相当する信号とを入力して、第1溶接電流値
I1と第1アーク電圧値V1との関係を予め定めた関数V1
f(I1)から、第1アーク電圧値V1を演算した後、この
V1及びV2に対応する第1及び第2アーク電圧設定値Vs1
及びVs2を演算し、さらに、第1アーク電圧値V1と第1
溶接電流値I1と第1ワイヤ送給速度設定値Ws1との関係
を予め定めた関数I1=f(Ws1,V1)から、第1ワイヤ送
給速度設定値Ws1を演算し、同様にして第2ワイヤ送給
速度設定値Ws2を演算して、これらの設定値Ws1とWs2とV
s1とVs2とによって、第1及び第2溶接電流値I1及びI2
と第1及び第2アーク電圧値V1及びV2とを制御するMIG
アーク溶接制御方法である。
請求項第4項の第3の制御方法は、第3図(L)の流
れ図に示すように、消耗電極を第1及び第2のワイヤ送
給速度で周期的に変化させて送給するとともに、第1及
び第2アーク電圧値V1及びV2を周期的に変化させること
により、アーク長を変化させて溶接するMIGアーク溶接
制御方法において、第1溶接電流値I1に相当する信号と
第2アーク電圧値V2に相当する信号と溶接電流変化値Δ
Iaに相当する信号とを入力して、第1溶接電流値I1と第
1アーク電圧値V1との関係を予め定めた関数V1=f
(I1)から、第1アーク電圧値V1を演算した後、このV1
及びV2に対応する第1及び第2アーク電圧設定値Vs1
びVs2を演算し、さらに、第1アーク電圧値V1と第1溶
接電流値I1と第1ワイヤ送給速度設定値Ws1との関係を
予め定めた関数I1=f(Ws1,V1)から、第1ワイヤ送給
速度設定値Ws1を演算し、同様にして第2ワイヤ送給速
度設定値Ws2を演算して、これらの設定値Ws1とWs2とVs1
とVs2とによって、第1及び第2溶接電流値I1及びI2
第1及び第2アーク電圧値V1及びV2とを制御するMIGア
ーク溶接制御方法である。
[作 用] 以下、第1図及び第2図を参照して本発明のMIGアー
ク溶接制御方法についてその作用を説明する。
(第2図の説明) 第2図は、本発明の溶接方法において、見かけのアー
ク長Lr又はLsを変化させたときのアーク3の広がりの変
化を示す説明図である。同図において、アーク3は給電
チップ先端4aから送給される消耗電極先端1a又は1bと被
溶接物2との間に広がっている。アルミニウムのアーク
溶接においては、被溶接物2が陰極になる極性のとき
に、アークは消耗電極の先端付近から被溶接物2のアル
ミニウム材の酸化皮膜のある部分に飛びやすいために、
実際のアーク長L1又はL2は、消耗電極先端1aと被溶接物
2の表面との最短距離である見かけのアーク長Lr又はLs
よりも大になる。ワイヤ突き出し長がLnのとき、見かけ
のアーク長はLrであるが、実際のアーク長は最大L1まで
長くなり、次に、ワイヤ突き出し長がLmになると、見か
けのアーク長はLsであって、実際のアーク長はL2にな
る。このように、アルミニウムにおいては、酸化皮膜に
アークが飛びやすいことと、アルミニウムの低融点で冷
却速度が極めて速いこととによって、見かけのアーク長
をLrとLsとの間で周期的に変化させることにより、実際
のアーク長をL1とL2とに変化させることができる。
なお、第2図において、第1の溶接条件設定値と第2
の溶接条件設定値とのワイヤ突き出し長の変化値又はア
ーク長変化値Ltは、Lt=Lr−Ls=Lm−Lnとなる。
(演算式の説明) 以下、本説明の制御方法に使用する演算式について説
明する。以下の演算式において使用する記号はつぎのと
おりで、設定信号と設定値とを同一の記号を使用する。
Wsn…ワイヤ送給速度設定値(ワイヤ送給速度を変化さ
せたとき)、 Ia…溶接電流平均値(溶接電流値を変化させないΔIa=
0のときの溶接電流平均値又は溶接電流値を変化させる
ΔIaが零でないときの第1及び第2溶接電流値の平均
値)、 Ws…溶接電流の平均値がIaのときのワイヤ送給速度設定
値、 Ws1,Ws2…第1及び第2ワイヤ送給速度設定値、 I1,I2…第1及び第2溶接電流値、 Va…アーク電圧平均値、 Vs1,Vs2…第1及び第2アーク電圧設定値、 V1,V2…第1及び第2アーク電圧値、 K1,K2…定数、 Ln…アーク電圧値Vnで溶接電流値Inのときのアーク長、 Lt…アーク長変化値、 ΔVa…アーク電圧変化値、 ΔIa…溶接電流変化値。
溶接電流値Inは、後述する第1図の曲線W5又はW7に示
すように、ワイヤ送給速度Wn及びアーク電圧値Vnの関数
であって、次の式が成立する。
In=f(Wn,Vn) …(1) In=Ia Wn=Ws Vn=Vaのとき(1)は、 Ia=f(Ws,Vs) …(1.1) となり、 In=I1 Wn=Ws1 Vn=V1のとき(1)は、 I1=f(Ws1,V1) …(1.2) となり、 In=I2 Wn=Ws2 Vn=V2のとき(1)は、 I2=f(Ws2,V2) …(1.3) となる。
アーク電圧設定値Vaとアーク電圧値Vnとは、制御回路
の特性から、次の式が成立する。
Vn=f(Vs) …(2) Vn=V1 Vs=Vs1のとき(2)は、 V1=f(Vs1) …(2.1) となり、 Vn=V2 Vs=Vs2のとき(2)は、 V2=f(Vs2) …(2.2) となる。
アーク長Lnとアーク電圧値Vnと溶接電流値Inとは、従
来から第11図に示す関係があり、この図から次の式が成
立する。
Ln=f(Vn,In) …(3) アーク長がLaで一定のときの動作点は、線分La上におい
て、 Vn=f(In) …(3.1) (3.1)式において、In=Ia及びVn=Vaのときは Va=f(Ia) …(3.2) (3.1)式において、In=I1及びVn=V1のときは V1=f(I1) …(3.3) さらに、本出願人が、アーク長変化値Ltがアーク電圧
変化値ΔVaと溶接電流平均値Iaとの関数又はΔVaとIaと
溶接電流変化値ΔIaとの関数であることを、本発明の過
程において、後述する第14図(A)及び(B)に示すよ
うに、次の関係式が成立することがわかった。
ワイヤ送給速度を変化させないとき、すなわちΔIa=0
のとき、 Lt=f(Ia,ΔVa) …(4.1) ワイヤ送給速度を変化させたとき、すなわちΔIaが0で
ないとき、 Lt=f(Ia,ΔIa,ΔVa) …(4.2) 第1及び第2のアーク電圧値V1及びV2、アーク電圧平
均値Va及びアーク電圧変化値ΔVaとの関係式は、つぎの
とおりである。
V1=Va−ΔVa/2 …(5.1) V2=Va+ΔVa/2 …(5.2) Va=(V1+V2)/2 …(5.3) V2−V1=ΔVa …(5.4) 第1及び第2溶接電流値I1及びI2、第1及び第2溶接
電流平均値Ia及び溶接電流変化値ΔIaとの関係式は、つ
ぎのとおりである。
I1=Ia−ΔIa/2 …(6.1) I2=Ia+ΔIa/2 …(6.2) Ia=(I1+I2)/2 …(6.3) I2−I1=ΔIa …(6.4) (請求項第1項の演算) 請求項第1項のワイヤ送給速度を変化させないときの
制御方法は、ワイヤ送給速度設定値Wn=Wsに相当する溶
接電流平均値Iaとアーク長変化値Lt又はアーク電圧変化
値ΔVaとを予め定め、上記の式を使用して、第1及び第
2アーク電圧値V1及びV2を演算して、このV1及びV2に対
応する第1及び第2アーク電圧設定値Vs1及びVs2を設定
して、このV1及びV2を制御する方法である。
(A)Ia、ΔIa=0、Ltからの演算 ワイヤ送給速度を変化させないので、ΔIa≒0であっ
て、IaとLtとが予め定められたとき、Iaに対する設定値
Ws、Vs1及びVs2を次のとおり演算する。
(3.2)式にIaを代入して、Vaを演算する。
(1.1)式にIa及びVaを代入して、Wsを演算する。
(4.1)式にIa及びLtを代入して、ΔIaを演算する。
(5.1)式及び(5.2)式に、Va及びΔVaを代入して、
V1及びV2をそれぞれ演算する。
(2.1)式にV1を代入してVs1を演算し、(2.2)式にV
2を代入してVs2を演算する。
以上の演算順序を第3図(A)の流れ図に示す。同図
において、CD1及びCD2はそれぞれ第1及び第2溶接条件
設定回路であり、CDは設定信号演算回路である。
(B)Ia、ΔIa=0、ΔVaからの演算 ワイヤ送給速度を変化させないΔIa=0であって、Ia
とΔVaとが予め定められたとき、Iaに対する設定値Ws、
Vs1及びVs2を次のとおり演算する。
(3.2)式にIaを代入して、Vaを演算する。
(1.1)式にIa及びVaを代入して、Wsを演算する。
(5.1)式及び(5.2)式にVa及びΔVaを代入して、V1
及びV2をそれぞれ演算する。
(2.1)式にV1を代入してVs1を演算し、(2.2)式にV
2を代入してVs2を演算する。
なお、上記の演算においては、LtのかわりにΔVaを使
用しているので、Ltは必須ではないが、上述した(A)
項のと同様に、(4.1)式に、Ia及びΔVaを代入して
演算したLtが、例えば、予め定めた範囲内にあるかどう
かのチェックに使用することができる。
以上の演算順序を第3図(B)の流れ図に示す。
(請求項第2項の演算) 請求項第2項のワイヤ送給速度を変化させないときの
制御方法は、ワイヤ送給速度設定値Wsに相当する溶接電
流平均値Iaと第1アーク電圧値V1とを予め定め、前述し
た式を使用して、第2アーク電圧値V2を演算して、この
V1及びV2に対応する第1及び第2アーク電圧設定値Vs1
及びVs2を設定して、このV1及びV2を制御する方法であ
る。この制御方法は、アーク長を短くして溶接する方法
において、第1アーク電圧値V1をアーク長が短くなる設
定側に選定して、短絡を防ぐように設定するときに有効
である。
(C)Ia、ΔIa=0、V1からの演算 ワイヤ送給速度を変化させないΔIa=0であって、Ia
とV1とが予め定められたとき、Iaに対する設定値Ws、Vs
1及びVs2を次のとおり演算する。
(3.2)式にIaを代入して、Vaを演算する。
(1.1)式にIa及びVaを代入して、Wsを演算する。
(5.3)式にVa及びV1を代入して、V2を演算する。
以下、上記(B)項と同じであるので、説明を省略す
る。
以上の演算順序を第3図(C)の流れ図に示す。
(請求項第3項の演算) 請求項第3項のワイヤ送給速度を変化させるΔIaが零
でないときの制御方法は、第1及び第2ワイヤ送給速度
設定値Ws1及びWs2に相当する第1及び第2溶接電流値I1
及びI2を確定する値とアーク長変化値Lt又はアーク電圧
変化値ΔVaとを予め定める。次に前述した式を使用し
て、第1及び第2ワイヤ送給速度Ws1及びWs2を演算して
設定し、第1及び第2溶接電流値I1及びI2を制御すると
ともに、第1及び第2アーク電圧値V1及びV2を演算し
て、このV1及びV2に対応する第1及び第2アーク電圧設
定値Vs1及びVs2を設定して、このV1及びV2を制御する方
法である。なお、第1及び第2の溶接電流値I1及びI2
確定する値とは、第1及び第2の溶接電流値I1及びI2
はいずれか一方の値とこれらの溶接電流の平均値Ia若し
くは溶接電流変化値ΔIaをいう。
(D)I1、I2、Ltからの演算 ワイヤ送給速度を変化させるΔIaが零でなく、I1及び
I2とLtとが予め定められたとき、I1に対する設定値Ws1
及びVs1と、I2に対する設定値Ws2及びVs2とを次のとお
り演算する。
(6.3)式にI1及びI2を代入して、Iaを演算する。
(6.1)式にI1及びI2を代入して、ΔIaを演算する。
(3.3)式にI1を代入して、V1を演算する。
(4.2)式にLt、Ia及びΔIaを代入して、ΔVaを演算
する。
(5.4)式にV1及びΔVaを代入して、V2を演算する。
(2.1)式にV1を代入してVs1を演算し、(2.2)式にV
2を代入して、Vs2を演算する。
(1.2)式にV1及びI1を代入してWs1を演算し、(1.
3)式にV2及びI2を代入してWs2を演算する。
以上の演算順序を第3図(D)の流れ図に示す。
(E)I1、I2、ΔVaからの演算 I1及びI2とΔVaとが予め定められたとき、Ws1、Vs1
Ws2及びVs2を次のとおり演算する。
(3.3)式にI1を代入して、V1を演算する。
(5.4)式にV1及びΔVaを代入して、V2を演算する。
(2.1)式にV1を代入してVs1を演算し、(2.2)式にV
2を代入して、Vs2を演算する。
(1.2)式にI1及びI1を代入してWs1を演算し、(1.
3)式にI2及びV2を代入してWs2を演算する。
なお、上記の演算においては、LtのかわりにΔVaを使
用しているので、Ltは必須ではないが、上述した(D)
項の及び項の式で演算したIa及びΔIaとΔVaとを
項の式に代入して演算したLtが、例えば、予め定めた範
囲内であるかどうかのチェックに使用することができ
る。
以上の演算順序を第3図(E)の流れ図に示す。
(F)Ia、ΔIa、Ltからの演算 Ia及びΔIaとLtとが予め定められたとき、Ws1、Vs1
Ws2及びVs2を次のとおり演算する。
(6.1)式及び(6.2)式にIa及びΔIaを代入して、I1
及びI2をそれぞれ演算する。
なお、ΔIaの代わりにI1又はI2が予め定められたとき
も、前述した(6.3)式からIaを算出し、次に(6.4)式
からΔIaを算出すれば、以下、同様になる。
以下、(D)項の乃至項と同じなので説明を省略
する。
以上の演算順序を第3図(F)の流れ図に示す。
(G)Ia、ΔIa、ΔVaからの演算 Ia及びΔIaとΔVaとが予め定められたとき、Ws1、V
s1、Ws2及びVs2を次のとおり演算する。
(6.1)式及び(6.2)式にIa及びΔIaを代入して、I1
及びI2をそれぞれ演算する。
なお、ΔIaの代わりにI1又はI2が予め定められたとき
も、前述した(6.3)式からIaを算出し、次に(6.4)式
からΔIaを算出すれば、以下、同様になる。
以下、(E)項の項以下と同じなので説明を省略す
る。
以上の演算順序を第3図(G)の流れ図に示す。
(H)I1、ΔIa、Ltからの演算 I1及びΔIaとLtとが予め定められたとき、Ws1、Vs1
Ws2及びVs2を次のとおり演算する。
(6.1)式にI1とΔIaとを代入して、Iaを演算する。
(6.4)式にI1とΔIaとを代入して、I2を演算する。
以下、(D)項の項以下と同じなので説明を省略す
る。
以上の演算順序を第3図(H)の流れ図に示す。
(I)I1、ΔIa、ΔVaからの演算 I1及びΔIaとΔVaとが予め定められたとき、Ws1、V
s1、Ws2及びVs2を次のとおり演算する。
(6.4)式にI1とΔIaとを代入して、I2を演算する。
(3.3)式にI1を代入して、V1を演算する。
以下、(E)項の項以下と同じなので説明を省略す
る。
以上の演算順序を第3図(I)の流れ図に示す。
(請求項第4項の演算) 請求項第4項のワイヤ送給速度を変化させるΔIaが零
でないときの制御方法は、第1及び第2ワイヤ送給速度
設定値Ws1及びWs2に相当する第1及び第2溶接電流値I1
及びI2を確定する値と第1アーク電圧値V2とを予め定
め、前述した式を使用して、第1アーク電圧値V1を演算
して、このV1及びV2に対応する第1及び第2アーク電圧
設定値Vs1及びVs2を設定して、このV1及びV2を制御する
方法である。この制御方法は、アーク長を短くして溶接
する方法において、第2アーク電圧値V2をアーク長が短
くなる設定値側に選定して、短絡を防ぐように設定する
ときに有効である。
(J)I1、I2、V2からの演算 ワイヤ送給速度を変化させるΔIaが零でなく、I1及び
I2とV2とが予め定められたとき、I1に対する設定値Ws1
及びVs1と、I2に対する設定値Ws2及びVs2を次のとおり
演算する。
(3.3)式にI1を代入して、V1を演算する。
以下、(E)項の項以下と同じなので説明を省略す
る。
以上の演算順序を第3図(J)の流れ図に示す。
(K)Ia、ΔIa、V2からの演算 Ia及びΔIaとV2とが予め定められたとき、Ws1、Vs1
Ws2及びVs2を次のとおり演算する。
(6.1)式及び(6.2)式にIa及びΔIaを代入して、I1
及びI2を演算する。なお、ΔIaの代わりにI1又はI2が予
め定められたときも、前述した(6.3)式からIaを算出
し、次に(6.4)式からΔIaを算出すれば、以下、同様
になる。
(3.3)式にI1を代入して、V1を演算する。
以下、(E)項の項以下と同じなので説明を省略す
る。
以上の演算順序を第6図(K)の流れ図に示す。
(L)I1、ΔIa、V2からの演算 I1及びΔIaとV2とが予め定められたとき、Ws1、Vs1
Ws2及びVs2を次のとおり演算する。
(6.2)式にIaとΔIaとを代入して、I2を演算する。
(3.3)式にI1を代入して、V1を演算する。
以下、(E)項の項以下と同じなので説明を省略す
る。
以上の演算順序を第6図(L)の流れ図に示す。
(M)その他の信号からの演算 本発明の制御方法に使用する演算式は、以上の実施例
に限定されることなく、予め定めた関数により、Ws又は
Ws1及びWs2とVs1及びVs2が演算できるものであればよ
く、又複数の演算回路を選択肢用できるようにしてもよ
い。また、第2アーク電圧値V2を予め定める代りに、第
1アーク電圧値V1を予め定めてもよい。
[実施例] (第1図の説明) 第1図は、アルミニウムのMIG溶接方法において、本
発明の制御方法を実施したときの予め設定したワイヤ送
給速度に対する溶接電流値In[A](横軸)とアーク電
圧Vn[V](縦軸)との関係並びにアーク長変化値Lt1,
Lt2,Lt12、溶接電流変化値ΔIa,ΔIa1,ΔIa2、アーク電
圧変化値ΔVa1,ΔVa2,ΔVa12、溶接電流平均値Ia1,Ia2,
Ia12及びアーク電圧平均値Va1,Va2,Va12との関係を示す
図である。
同図の共通の溶接条件は、被溶接物が板厚4[mm]の
アルミニウムA5052で、消耗電極が直径1.2[mm]のアル
ミニウムA5183である。
同図において、曲線W5は、ワイヤ送給速度を500[cm/
min]の一定速度で送給して、アーク長を機械的に徐々
に変化させたときの溶接電流値In[A]とアーク電圧Vn
[V]との関係の実測値である。また曲線W7は、ワイヤ
送給速度を700[cm/min]の一定速度で送給して、アー
ク長を機械的に徐々に変化させたときの溶接電流値In
[A]とアーク電圧Vn[V]との関係の実測値である。
(第1図と請求項第1項及び第2項との関係) 第1図と前述した請求項第1項及び第2項の演算例
(A)乃至(C)との対応について説明する。
前述した(A)乃至(C)項の演算式(以下、同項と
いう)のIa及びVaは、第1図の点Q13(Va1,Ia1)に対応
する。又、同項のV1及びI1は、同図の点Q11(V11,I11
に対応し、同項のV2及びI2は、同図の点Q12(V12,I12
に対応する。このときの同項のΔVa及びLtは、それぞ
れ、同図のΔVa1及びLt1で示され、点Q11と点Q12とに周
期的に切換えられて、アーク電圧値はV1=17[V]から
V2=19.5[V]にΔVa1=2.5[V]変化し、アーク長は
L11=3[mm]からL12=9[mm]に、Lt1=6[mm]変
化していることを示す。又、同図には示していないが、
同図の(Va1,Ia1)から同項の演算式によってWsが演算
され、同図のV11及びV12から同項の演算式によってVs1,
Vs2が演算される。
同様に他の実施例として、同項のIa及びVaは、同図の
点Va2及びIa2に対応する。又、同項のV1及びI1は、同図
の点Q21(V21,I21)に対応し、同項のV2及びI2は、同図
の点Q22(V22,I22)に対応する。このときの同項のΔVa
及びLtは、それぞれ、同図のΔVa2及びLt2で示され、点
Q21と点Q22とに周期的に切換えられて、アーク電圧値は
V1=19.5[V]からV2=22[V]にΔVa2=2.5[V]変
化し、アーク長はL21=3[mm]からL22=9[mm]に、
Lt2=6[mm]変化していことを示す。また、同図には
示していないが、同図の(Ia2,Va2)から同項の演算式
によってWsが演算され、同図のV21及びV22から同項の演
算式によってVs1及びVs2が演算される。
(第1図と請求項第3項及び第4項との関係) 第1図と前述した請求項第3項及び第4項の演算例
(D)乃至(L)との対応について説明する。
前述した演算式(D)乃至(L)項のIa及びVaは、第
1図のIa12及びVa12に対応する。また、同項のV1及びI1
は、同図の点Q11(V11,I11)に対応し、同項のV2及びI2
は、同図の点Q22(V22,I22)に対応する。このときの同
項のΔVa及びLtは、それぞれ、同図のΔVa12及びLt12
示され、点Q11と点Q22とに周期的に切換えられて、アー
ク電圧はV1=17[V]からV2=22[V]にΔVa12=5
[V]変化し、アーク長はL11=3[mm]からL22=9
[mm]に、Lt12=6[mm]変化していることを示す。ま
た、同図には示していないが、同図のV11とI11とから同
項の演算式によってWs1及びVs1が演算され、同図のV22
及びI22から同項の演算式によってWs2及びVs2が演算さ
れる。
(本発明の溶接制御方法を実施する溶接装置) 第4図乃至第7図は、それぞれ請求項第1項乃至第4
項の溶接制御方法をパルスMIGアーク溶接方法で実施す
る溶接装置のブロック図を示し、第8図乃至第10図は、
第4図乃至第7図のブロック図の一部分の説明図を示
し、第12図は、本発明の溶接制御方法をパルスなしのMI
Gアーク溶接方法で実施する溶接装置のブロック図を示
す。
(第4図、第8図及び第10図(A)の説明) 第4図は、請求項第1項又は第2の溶接制御方法を実
施する装置のブロック図である。同図において、商用電
源ACを入力として溶接出力制御回路PSから消耗電極1の
給電チップ4と被溶接物2との間の出力を供給してアー
ク3を発生させる。消耗電極1はワイヤ送給モータWMに
より回転するワイヤ送給ローラWRより供給される。平均
溶接電流を設定するワイヤ送給速度設定回路は、後述す
る設定信号演算回路CDの内部に構成されており、ワイヤ
送給モータWMのワイヤ送給速度により定まる溶接電流の
平均値を設定するためのワイヤ送給速度設定信号Wsを出
力する。ワイヤ送給制御回路WCは、信号Wsとワイヤ送給
モータWMの回転速度を検出するワイヤ送給速度検出器WD
の速度検出信号Wdとを比較する第1比較回路CM1の比較
信号Cm1を入力として、ワイヤ送給モータWMにワイヤ送
給電圧Wcを出力する。
第1及び第2溶接条件設定回路CD1及びCD2は、前述し
た(演算式の説明)の項の(A)乃至(C)に示した予
め定めた応接条件を設定する回路であり、設定信号演算
回路CDは、上記の第1及び第2溶接条件設定回路の設定
信号Cd1及びCd2を入力として、ワイヤ送給速度設定値Ws
及び第1及び第2のアーク電圧設定値Vs1及びVs2を演算
して、それぞれの設定信号Ws,Vs1及びVs2を出力する演
算回路である。これらの第1及び第2溶接条件設定信号
Cd1及びCd2を入力してワイヤ送給速度設定値Ws及び第1
及び第2のアーク電圧設定値Vs1及びVs2を演算する順序
は、前述した第3図(A)乃至(C)の流れ図に示すと
おりである。溶接条件切換回路HLは第1溶接条件と第2
溶接条件とを切換える溶接条件切換信号Hlを出力する。
アーク電圧切換回路SW1は溶接条件切換信号Hlによって
信号Vs1とVs2とを切換えてアーク電圧切換信号S1を出力
する。第2比較回路CM2は、信号S1と溶接電圧検出回路V
Dの溶接電圧検出信号Vdとを入力としてその差のアーク
電圧制御信号Cm2を出力する。パルス電流値設定回路IP
はパルス電流値設定信号Ipを出力し、ベース電流設定回
路IBはベース電流設定信号Ibを出力する。パルス幅設定
回路TPはパルス幅設定信号Tpを出力する。パルス周波数
信号発生回路VFは、アーク電圧制御信号Cm2に対応し
て、第1溶接条件における第1パルス周波数制御信号Vf
1と第2溶接条件における第2パルス周波数制御信号Vf2
とを、溶接条件切換信号Hlの切換周波数Fで切換えて出
力する。パルス幅周波数信号発生回路DFは、パルス幅設
定信号Tpと第1パルス周波数制御信号Vf1とから成る第
1溶接条件に対応する第1パルス幅周波数制御信号Df1
と、第2溶接条件に対応する第2のパルス幅周波数制御
信号Df2とを出力する。パルスベース電流切換回路SW2
は、第1溶接条件においては、パルス電流設定信号Ipと
ベース電流設定信号Ibとを、第1パルス幅周波数制御信
号Df1で定まる周波数f1で繰り返すパルス制御信号Pf1
出力し、次に第2溶接条件においては、同じく信号Ipと
信号Ibとを、第2パルス周波数制御信号Df2で定まる周
波数f2で繰り返すパルス制御信号Pf2を出力して、溶接
出力制御回路PSに入力する。
第8図(A)は、第4図のブロック図の設定信号演算
回路CDの一部の実施例を示す図であって、前述した第3
図(A)乃至(C)の流れ図の中に示す各関数の一つ以
上、例えば、前述した(4.1)式のLt=f(Ia,ΔVa)の
演算式の代わりに、予め第10図(A)に示すデータテー
ブルから検索して設定信号を出力する説明図であって、
マイクロプロセッサを使用して溶接電流の平均値Ia及び
アーク長変化値Ltに相当する信号を入力信号としてアー
ク電圧変化値ΔVaに相当する信号を出力する。第8図
(A)は、CPU、RAM、ROM、I/Oポート、A/D変換回路及
びD/A変換回路から構成されており、A/D変換回路から溶
接電流の平均値Ia及びアーク長変化値Ltに相当する信号
が入力されて、第10図(A)に示すデータテーブルか
ら、アーク電圧変化値ΔVa=v31,v32,…,v3n,…,v61,v
62,…,v6nの中から1つの設定値を検索して、D/A変換回
路を通じて、アーク電圧変化値ΔVaに相当する信号を出
力する。
第8図(B)は、例えば第3図(A)の流れ図の中に
示す各関数乃至の入力信号f1又はf1及びf2と出力信
号f4との関係を示す図であって、各入力信号f1又はf1
びf2と出力信号f4との関係を示すデータテーブルは、第
10図(A)と同様に、予め定められている。
(第5図の説明) 第5図は、請求項第1項又は第2項の他の溶接制御方
法を実施する装置のブロック図で、第4図と異なる個所
は次のとおりである。まず第1に、第4図のパルス電流
値設定回路IPの代りに、第1パルス電流値設定信号Ip1
を出力する第1パルス電流値設定回路IP1と、第2パル
ス電流値設定信号Ip2を出力する第2パルス電流値設定
回路IP2と、溶接条件切換信号Hlによって信号Ip1とIp2
とを切換えて切換パルス電流値信号Ipを出力するパルス
電流値切換回路SW4とが設けられている。第2に、第4
図のパルス幅設定回路TPの代りに、第1パルス幅設定信
号Tp1を出力する第1パルス幅設定回路TP1と、第2パル
ス幅設定信号Tp2を出力する第2パルス幅設定回路TP2
と、溶接条件切換信号Hlによって信号Tp1とTp2とを切換
えて切換パルス幅信号Tpを出力するパルス幅切換回路SW
3とが設けられている。この第5図の実施例において
は、後述する第13図(A)又は同図(B)又は同図
(C)に示す波形のパルスを通電することができる。
(第6図、第9図及び第10図(B)の説明) 第6図は、請求項第3項又は第4項の溶接制御方法を
実施する装置のブロック図で、第4図と異なる個所は次
のとおりである。まず第1に、第4図の設定信号演算回
路CDの内部に構成されたワイヤ送給速度設定回路の代り
に、第6図の設定信号演算回路CDの内部に、第1ワイヤ
送給速度設定信号Ws1を出力する第1ワイヤ送給速度設
定回路と、第2ワイヤ送給速度設定信号Ws2を出力する
第2ワイヤ送給速度設定回路とが設けられており、さら
に、溶接条件切換信号Hlによって信号Ws1とWs2とを切換
えて切換ワイヤ送給設定信号S6を出力するワイヤ送給速
度切換回路SW6が設けられている。第2に、第4図
(A)の第1及び第2の溶接条件設定回路CD1及びCD2の
他に、第3の溶接条件設定回路CD3が追加されている。
第3に、第4図のベース電流設定回路IBの代りに、第1
ベース電流設定信号Ib1を出力する第1ベース電流設定
回路IB1と、第2ベース電流設定信号Ib2を出力する第2
ベース電流設定回路IB2と、溶接条件切換信号Hlによっ
て信号Ib1と信号Ib2とを切換えて切換ベース電流信号Ib
を出力するベース電流切換回路SW5とが設けられてい
る。この第6図の実施例においては、後述する第13図
(D)に示す波形のパルス電流を通電することができ
る。
また、第9図(A)は、第6図のブロック図の設定信
号演算回路CDの一部の実施例を示す図であって、前述し
た第3図(D)乃至(L)の流れ図の中の一つ以上、例
えば、前述した(4.2)式のLt=f(Ia,ΔIa,ΔVa)の
演算式の代りに、第10図(B)に示すテータテーブルか
ら検索して設定信号を出力する説明図であって、マイク
ロプロセッサを使用して、溶接電流の平均値Ia及び溶接
電流の変化値ΔIa及びアーク長変化値Ltに相当する信号
を入力して、アーク電圧変化値ΔVaに相当する信号を出
力する。第9図(A)は、CPU、RAM、ROM、I/Oポート、
A/D変換回路及びD/A変換回路から構成されており、A/D
変換回路から溶接電流平均値Ia及び溶接電流変化値ΔIa
及びアーク長変化値Ltに相当する信号が入力されて、第
10図(B)に示すデータテーブルから、アーク電圧変化
値ΔVa=v31 1,v31 2,…,v31 n,…,v6 n1,v6 n2,…,v6
nnの中から1つの設定値を検索して、D/A変換回路を通
じて、アーク電圧変化値ΔVaに相当する信号を出力す
る。
第9図(B)は、第3図(D)の流れ図の中に示す各
関数乃至の入力信号f1乃至f3と出力信号f4との関係
を示す図であって、各入力信号f1乃至f3と出力信号f4
の関係を示すデータテーブルは、第10図(A)と同様に
予め定められている。
(第7図の説明) 第7図は、請求項第3項又は第4項の溶接制御方法を
実施する装置のブロック図で、第6図と異なる個所は次
のとおりである。第1に、第6図のパルス電流値設定回
路IPの代りに、第1パルス電流値設定信号Ip1を出力す
る第1パルス電流値設定回路IP1と、第2パルス電流値
設定信号Ip2を出力する第2パルス電流値設定回路IP2
と、溶接条件切換信号Hlによって信号Ip1とIp2とを切換
えて切換パルス電流値信号Ipを出力するパルス電流値切
換回路SW4とが設けられている。第2に、第6図のパル
ス幅設定回路TPの代りに、第1パルス幅設定信号Tp1
出力する第1パルス幅設定回路TP1と、第2パルス幅設
定信号Tp2を出力する第2パルス幅設定回路TP2と、溶接
条件切換信号Hlによって信号Tp1とTp2とを切換えて切換
パルス幅信号TPを出力するパルス幅切換回路SW3とが設
けられている。この第7図の実施例においては、後述す
る第13図(A)乃至(G)に示す波形のパルス電流を通
電することができる。この第7図のブロック図において
も、設定信号演算回路CDは、第6図の場合と同様であ
る。
(第12図の説明) 第12図は、請求項第3項又は第4項の溶接制御方法を
パルスなしのMIGアーク溶接方法で実施する装置のブロ
ック図である。第6図と異なる個所は、アーク電圧検出
回路VDのアーク電圧検出信号Vdとアーク電圧切換回路SW
1の切換アーク電圧信号S1とを比較する第2比較回路CM2
が出力するアーク電圧制御信号Cm2が、直接に溶接電源
制御回路PSに入力されている。この第12図において、第
6図のブロック図からパルスを制御する回路を除いて、
本発明の溶接制御方法を実施する装置の説明は、第6
図、第9図及び第10図(B)と同じなので、説明を省略
する。
同様にして、第4図、第5図及び第7図のブロック図
から、それぞれパルスを制御する回路を除去すると、パ
ルスなしのMIGアーク溶接方法によって、それぞれ請求
項第1項乃至第4項の溶接制御方法を実施することがで
きる。
(第13図の説明) 第13図(A)乃至(H)及び(a)乃至(h)は、第
2図に示す見かけのアーク長を変化させて本発明の溶接
性漁法方を実施するために通電するパルス電流の波形を
示す。
同図(A)乃至(G)において、パルス電流は、第1
パルス電流値IP1、第1パルス幅TP1、パルス周波数f
1(又はパルス周期D1)より成る第1パルス電流群P1,P1
…及び第1ベース電流IB1を、第1パルス通電期間T1
通電した後に、第2パルス電流値IP2、第2パルス幅T
P2、パルス周波数f2(又はパルス周期D2)より成る第2
パルス電流群P2,P2…及び第2ベース電流IB2を、第2通
電期間T1中通電し、これらT1とT2とを切換周波数Fで切
換えて周期的に通電する。第1パルス通電期間T1の溶接
電流の平均値はM1でアーク電圧の平均値はV1であり、第
2パルス通電期間T2の溶接電流の平均値はM2でアーク電
圧の平均値はV2であって、全期間の溶接電流の平均値は
Iaであり、アーク電圧の平均値はVaであって、切換周波
数Fは1/(T1+T2)である。
第13図(A)においては、 IP1<IP2、TP1=TP2、 IB1=IB2、f1≧f2 第13図(B)においては、 IP1=IP2、TP1<TP2、 IB1=IB2、f1≦f2 第13図(C)においては、 IP1<IP2、TP1<TP2、 IB1=IB2、f1≧f2 第13図(D)においては、 IP1=IP2、TP1=TP2、 IB1<IB2、f1≧f2 第13図(E)においては、 IP1=IP2、TP1<TP2、 IB1<IB2、f1≧f2 第13図(F)においては、 IP1<IP2、TP1=TP2、 IB1<IB2、f1≧f2 第13図(G)においては、 IP1<IP2、TP1<TP2、 IB1<IB2、f1≧f2 である。
第13図(H)においては、第1の溶接電流は、第1パ
ルス電流群及び第1ベース電流から成り、アーク長が6
[mm]をこえるスプレー移行をさせるパルス電流がその
溶接電流の平均値はM1であり、第2の溶接電流、アーク
長が2〜6[mm]程度の短いアーク長であって、スプレ
ー移行中に時々短い短絡を生じることがある直流電流で
その平均値はM2である。また、これらの第1パルス電流
群及び第1ベース電流として、各パルス電流の通電周期
に同期させて消耗電極先端から溶滴を離脱させて移行さ
せる1パルス1溶滴移行となる条件に設定してもよい。
また、アーク長変化値Ltが1乃至3[mm]の小さいと
きは、IP1=IP2、TP1=TP2、IB1=IB2において、周波数
のみf1<f2にしてもよい。
さらに、後述するように、本発明の溶接制御方法にお
いて、見かけのアーク長を変化させる切換周波数Fは0.
5乃至15[Hz]であるが、切換周波数Fが0.5乃至3[H
z]程度で低いか、又はアーク長変化値Ltが1乃至3[m
m]程度で小さいときは、ワイヤ送給速度を変化させて
も、切換周波数Fに追従して見かけのアーク長を変化さ
せることができる。なお、第13図(a)乃至(h)は、
切換周波数Fの溶接条件切換信号Hlを示す。
(第14図の説明) 溶接電流の平均値Ia又は溶接電流平均値の変化値ΔIa
[A]とアーク電圧の変化値ΔVa[V]とアーク長変化
値Ltとの関係について、第14図(A)及び第14図(B)
を参照して説明する。
第14図(A)は、請求項第1項又は第2項の溶接方法
において、ワイヤ送給速度の設定値を溶接電流の平均値
Iaが一定になるように設定しておいて、アーク電圧の変
化値ΔVa[V](横軸)に対するアーク長変化値Lt[m
m](縦軸)を示す図である。同図の溶接条件は、直径
1.2[mm]のアルミニウムワイヤA5356に、パルス電流値
Ip=280[A]、パルス幅Tp=1.2[ms]のパルス電流を
通電して、曲線A100に示すように溶接電流の平均値Ia=
100[A]でアーク電圧値Va=19[V]又は曲線A200に
示すように溶接電流の平均値Ia=200[A]でアーク電
圧値Va=20[V]に設定している。同図において、溶接
電流の平均値Iaを例えば、100[A]の設定値から200
[A]の大きい設定値にすると、アーク長変化値Ltを同
一の6[mm]を得るためには、Ia=100[A]のとき
は、曲線A100上の点Q1で示すようにアーク電圧の変化値
ΔVa=1.5[V]であるのに対して、Ia=200[A]のと
きは、曲線A200上のQ1点で示すようにアーク電圧の変化
値ΔVa=2.0[V]と大きくなっている。すなわち、溶
接電流平均値Iaが大になるほど、アーク電圧変化値ΔVa
を大きくしないと、同じアーク長変化値Ltを得ることが
できない。
第14図(B)は、従来のワイヤ送給速度を大きく切換
えて溶接電流を大きく変化させて溶接する方法及び請求
項第3項又は第4項と同様の溶接方法において、溶接電
流及びアーク電圧を変化させたときのアーク長変化値Lt
を示す図である。同図の溶接条件は、直径1.2[mm]の
アルミニウムワイヤA5356に溶接電流の平均値Ia=90
[A]でアーク電圧値Va=19[V]に設定している。同
図において、曲線Lt=1、Lt=3及びLt=6は、溶接電
流の変化値ΔIa[A](横軸)及びアーク電圧の変化値
ΔVa[V]に対するアーク長変化値Ltがそれぞれ1、3
及び6[mm]の等しい測定点を接続している。
同図の縦軸は、溶接電流の変化値ΔIa=0すなわちワ
イヤ送給速度を変化させないで溶接電流の平均値Iaを一
定とした請求項第1項の溶接方法と同様の場合であっ
て、Lt=1、Lt=3及びLt=6[mm]を得るためのアー
ク電圧変化値ΔVaはそれぞれ0.3[V]、1.1[V]及び
2.0[V]になっている。
同図の横軸上のΔIa=50[A]は、従来のワイヤ送給
速度を大きく切換えて溶接電流変化値ΔIaを大きく変化
させた場合であって、点Q51、点Q53及び点56に示すよう
に、アーク長変化値Lt=1、Lt=3及びLt=6[mm]を
得るためには、それぞれアーク電圧の変化値ΔVa=1、
ΔVa=3.1[V]及びΔVa=6[V]が必要となる。
これに対して、請求項第3項又は第4項の溶接方法に
おいて、溶接電流変化値ΔIaを、溶接電流平均値Ia例え
ば90[A]の10〜20[%]の範囲内の15[A]としたと
きは、点Q11、Q13及び点Q16に示すように、アーク長変
化値Lt=1、Lt=3及びLt=6[mm]を得るためには、
それぞれアーク電圧の変化値ΔVa=0.3、ΔVa=1.5及び
ΔVa=2.5-[V]であって、従来の溶接方法よりも小さ
な値でよいことがわかる。
従来の溶接電流を大きく変化させる溶接方法におい
て、見かけのアーク長を大きく変化させるためには、ア
ーク電圧の変化値ΔVaを大きくしなければならないの
で、そのためには、第1パルス電流群のパルス幅TP1
びパルス電流値IP1に対して第2パルス電流群のパルス
幅TP1又はパルス電流値IP2又はその両者を大きく変化さ
せる必要がある。パルス幅を大きくしすぎると、1パル
ス1溶滴移行を維持することができなくなり、又パルス
電流値を大きくしすぎると、アーク力が強くなりすぎ
て、溶け込み深さが大きくなって溶け落ちを生じる。し
たがって、従来の溶接電流値を大きく変化させる溶接方
法においては、みかけのアーク長を大きく変化させるこ
とができなかった。
[本発明の効果] 請求項第1項及び第2項の溶接制御法方は、アーク電
圧を周期的に変化させてMIGアーク溶接制御方法におい
て、溶接電流の平均値に相当する信号とアーク長変化値
又はアーク電圧変化値又は第1もしくは第2アーク電圧
値に相当する信号とを入力するだけで、ワイヤ送給速度
設定値と第1アーク電圧設定値と第2アーク電圧設定値
との関係を、予め定めた演算式又は予め記憶させたデー
タテーブルから検索して、ワイヤ送給速度設定値と第1
及び第2アーク電圧設定値とを自動的に設定するように
したことによって、溶接電流平均値に関係する適正なワ
イヤ送給速度設定値及び第1アーク電圧設定値と関係す
る適正なアーク長の変化値を得るための第2アーク電圧
設定値を設定し直して、確認溶接を繰返す必要がなくな
り、設定時間を短縮化することができるとともに、熟練
者でなくても、適正なワイヤ送給速度及び第1アーク電
圧設定値及び適正なアーク長の変化値を得るための第2
アーク電圧値の設定を自動的にすることができる。
また、請求項第3項及び第4項の溶接制御法方は、ア
ーク電圧及び溶接電流を周期的に変化させてMIGアーク
溶接制御方法において、第1溶接電流値又は第1溶接電
流値に相当する信号と、アーク長変化値又はアーク電圧
変化値又は第1もしくは第2アーク電圧値に相当する信
号と、第2溶接電流値又は溶接電流変化値に相当する信
号とを入力するだけで、第1及び第2ワイヤ送給速度設
定値と第1及び第2アーク電圧設定値との4つの設定値
の関係を、予め定めた演算式又は予め記憶させたデータ
テーブルから検索して、第1及び第2ワイヤ送給速度設
定値と第1及び第2アーク電圧設定値とを自動的に設定
するようにしたことによって、第1及び第2溶接電流値
に関係する適正な第1及び第2ワイヤ送給速度設定値
と、第1アーク電圧設定値と、第2ワイヤ送給速度設定
値との関係において定まる適正なアーク長の変化値を得
るための第2アーク電圧設定値とを設定し直して、確認
溶接を繰返す必要がなくなり、請求項第1項及び第2項
の制御方法よりもさらに複雑な関係にある第1及び第3
ワイヤ送給速度設定値と第1及び第2アーク電圧値とを
自動的に設定することができるので、設定時間の短縮化
及び適正な設定値が得られる効果は、さらに大きくな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、予め設定したワイヤ送給速度で、MIGアーク
溶接をしたときの溶接電流値とアーク電圧値との関係を
示し、本発明の溶接制御方法を説明する図である。 第2図は、本発明の溶接制御方法において実施する見か
けのアーク長を変化させたときのアークの広がりの変化
を示す説明図である。 第3図(A)乃至(C)は、請求項第1項及び第2項の
消耗電極を予め設定したワイヤ送給速度で送給してMIG
アーク溶接するときの第1及び第2溶接条件設定信号を
入力して、ワイヤ送給速度設定値と第1及び第2のアー
ク電圧設定値とを演算する順序の流れ図を示す。同図
(D)乃至(L)は、請求項第3項及び第4項の消耗電
極を予め設定した第1及び第2のワイヤ送給速度を周期
的に切換えて送給してMIGアーク溶接するときの第1乃
至第3の溶接条件設定信号を入力して、第1及び第2の
ワイヤ送給速度設定値と第1及び第2アーク電圧設定値
とを演算する順序の流れ図を示す。 第4図乃至第7図は、それぞれ請求項第1項乃至第4項
の溶接制御方法をパルスMIGアーク溶接方法で実施する
溶接装置のブロック図を示す。 第8図(A)及び同図(B)は、第4図及び第5図のブ
ロック図の設定信号演算回路の一部分の説明図を示し、
第9図(A)及び同図(B)は、第6図及び第7図のブ
ロック図の設定信号演算回路の一部分の説明図である。 第10図(A)は、第8図(A)及び(B)のデータテー
ブルの一例を示す図であり、同図(B)は、第9図
(A)及び(B)のデータテーブルの一例を示す図であ
る。 第11図は、従来のアーク長とアーク電圧と溶接電流との
関係を示す図である。 第12図は、請求項第3項の溶接制御方法をパルスなしMI
Gアーク溶接方法で実施する溶接装置のブロック図を示
す。 第13図は、第2図に示す見かけのアーク長を変化させて
本発明の溶接制御方法を実施するパルスMIGアーク溶接
方法において通電するパルス電流の波形を示す。 第14図(A)及び(B)は、それぞれ、ワイヤ送給速度
を切換えないで溶接電流を変化させるか、又はワイヤ送
給速度を切換えて溶接電流を変化させる溶接方法におい
て、溶接電流及びアーク電圧を変化させたときの見かけ
のアーク長変化値Ltを示す図である。 第15図(A)は、本出願人の先願発明のアーク長を変化
させるパルスMIGアーク溶接方法を実施する溶接装置の
ブロック図であり、第15図(B)及び(C)は、それぞ
れ先願発明のパルスMIGアーク溶接方法において通電す
るパルス電流及びアーク電圧の波形を示す図である。 第16図は、公知の第1ワイヤ送給速度設定値と第1アー
ク電圧設定値との一元調整及び第2ワイヤ送給速度設定
値と第2アーク電圧設定値との一元調整を、個別に行う
溶接装置のブロック図を示す。 In……溶接電流値、 Vn……アーク電圧値、 I11,I21……第1溶接電流値、 I12,I22……第2溶接電流値、 V11,V21……第1アーク電圧値、 V22,V22……第2アーク電圧値、 Va1,Va2,Va12……アーク電圧平均値、 Ia1,Ia2,Ia12……溶接電流平均値、 WS……ワイヤ送給速度、 WS1……第1ワイヤ送給速度、 WS1……第2ワイヤ送給速度、 ΔVa1,ΔVa2,ΔVa12……アーク電圧変化値、 ΔIa1,ΔIa2,ΔIa12……溶接電流変化値、 Ws……ワイヤ送給速度設定信号、 Ws1……第1ワイヤ送給速度設定信号、 Ws2……第2ワイヤ送給速度設定信号、 Vs1……第1アーク電圧設定信号、 Vs2……第2アーク電圧設定信号、 Cd1……第1溶接条件設定値、 Cd2……第2溶接条件設定値、 Cd3……第3溶接条件設定値、 Lt,Lt1,Lt2,Lt12……アーク長変化値、 CD1……第1溶接条件設定回路、 CD2……第2溶接条件設定回路、 CD3……第3溶接条件設定回路、 CD……設定信号演算回路、

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】消耗電極を略一定のワイヤ送給速度で送給
    し、第1及び第2アーク電圧値を周期的に変化させるこ
    とにより、アーク長を変化させて溶接するMIGアーク溶
    接制御方法において、溶接電流平均値に相当する信号と
    アーク長変化値又はアーク電圧変化値に相当する信号と
    を入力して、予め定めた関数から、ワイヤ送給速度設定
    値と第1及び第2アーク電圧設定値とを演算し、これら
    の設定値によって前記溶接電流平均値と第1及び第2ア
    ーク電圧値とを制御するMIGアーク溶接制御方法。
  2. 【請求項2】消耗電極を略一定のワイヤ送給速度で送給
    し、第1及び第2アーク電圧値を周期的に変化させるこ
    とにより、アーク長を変化させて溶接するMIGアーク溶
    接制御方法において、溶接電流平均値に相当する信号と
    第1又は第2アーク電圧値に相当する信号とを入力し
    て、予め定めた関数から、ワイヤ送給速度設定値と第1
    及び第2アーク電圧設定値とを演算し、これらの設定値
    によって前記溶接電流平均値と第1及び第2アーク電圧
    値とを制御するMIGアーク溶接制御方法。
  3. 【請求項3】消耗電極を第1及び第2ワイヤ送給速度で
    周期的に変化させて送給するとともに、第1及び第2ア
    ーク電圧値を周期的に変化させることにより、アーク長
    を変化させて溶接するMIGアーク溶接制御方法におい
    て、第1及び第2溶接電流値に相当する信号又は第1若
    しくは第2溶接電流値及び溶接電流変化値若しくは溶接
    電流平均値に相当する信号又は溶接電流平均値及び溶接
    電流変化値に相当する信号とアーク長変化値又はアーク
    電圧変化値に相当する信号とを入力して、予め定めた関
    数から、第1及び第2ワイヤ送給速度設定値と第1及び
    第2アーク電圧設定値とを演算し、これらの設定値によ
    って前記第1及び第2溶接電流値と第1及び第2アーク
    電圧値とを制御するMIGアーク溶接制御方法。
  4. 【請求項4】消耗電極を第1及び第2ワイヤ送給速度で
    周期的に変化させて送給するとともに、第1及び第2ア
    ーク電圧値を周期的に変化させることにより、アーク長
    を変化させて溶接するMIGアーク溶接制御方法におい
    て、第1及び第2溶接電流値に相当する信号又は第1若
    しくは第2溶接電流値及び溶接電流変化値若しくは溶接
    電流平均値に相当する信号又は溶接電流平均値及び溶接
    電流変化値に相当する信号と第1又は第2アーク電圧値
    に相当する信号とを入力して、予め定めた関数から、第
    1及び第2ワイヤ送給速度設定値と第1及び第2アーク
    電圧設定値とを演算し、これらの設定値によって前記第
    1及び第2溶接電流値と第1及び第2アーク電圧値とを
    制御するMIGアーク溶接制御方法。
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