JP2989260B2 - ハイドロキシアパタイトの製造法 - Google Patents

ハイドロキシアパタイトの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は、ハイドロキシアパタイトの改善された製造
法に係り、特に再現性よく、理論組成比Ca/P=1.67の微
結晶ハイドロキシアパタイトを製造する手法に関するも
のである。
(背景技術) 従来から、ハイドロキシアパタイト(以下、HApと略
称する)は生体親和材料として好適に用いられており、
それを得るための湿式合成法において、その出発原料や
合成方法に関して数多くの提案が為されてきているが、
なかでも、水酸化カルシウムとリン酸とを用いて合成す
る方法が、原料コストが安価であるところから、工業的
に有利な方法とされている。
ところで、そのような方法において、Ca/P比は、反応
時のpH、リン酸の滴下速度、熟成温度、熟成時間、その
他の因子等によって影響を受け易いところから、再現性
よく合成することは難しく、加えて、HApは、酸性溶液
中で溶解度が著しく増加するため、反応時のpHを塩基性
側に保持することが必要とされているのである。
そこで、そのような問題に対処すべく、(a)反応を
二段階に分けて、一旦Ca欠損型、即ちCa/P比を理論組成
比である1.67より小さくし、その後、不足分のCaを補填
する方法、(b)リン酸の滴下速度を何段階にも分け
て、HApの生成速度を細かく制御する方法(c)予めア
ルカリ溶液を加えて、反応溶液のpHが酸性側に移動しな
いようにする方法、等の各種の手法が提案されている
が、それらの方法では、合成工程が複雑になったり、ま
た生成物がゲル化し易く、濾過・洗浄が困難となったり
する等の問題点が生じている。また、加水分解によって
塩基を発生する有機化合物、例えば尿素やヘキサメチレ
ンテトラミンを用いる方法も考えられているが、かかる
有機化合物を分解するためには、100℃程度の温度が必
要とされ、更に尿素は分解して炭酸ガスを発生するため
に、炭酸アパタイト生成される等の問題を内在するもの
であった。
(解決問題) ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為
されたものであって、その解決すべき課題とするところ
は、上述の如き問題点が悉く解消された、Ca/Pが理論組
成比である1.67のHApを、再現性よく製造する方法を提
供することにある。
(解決手段) そして、本発明は、かかる課題を解決すべく、不活性
ガス雰囲気中、撹拌下で、水酸化カルシウムスリラーに
リン酸水溶液を滴下して、反応せしめることにより、ハ
イドロキシアパタイトを合成するに際して、トリス緩衝
液、グッドの緩衝液等の生化学的緩衝液を用いてpHを制
御し、理論組成比のCa/P=1.67を有するハイドロキシア
パタイトを生成せしめるようにしたところに、特徴を有
するものである。
(具体的説明・作用) ところで、ハイドロキシアパタイト(HAp)は、Ca10
(PO4(OH)の化学式を有し、そのCa/Pの理論組
成比は1.67であるが、歯,骨等の生体硬組織を構成する
HApは、Ca/P<1.67の、所謂Ca欠損型HApである。そのた
めに、合成HApを人工骨または人工歯根等に使用する場
合には、Ca欠損型HApは、理論組成比を有するHApより生
体適合性が大きいとされている。しかしながら、そのよ
うに、合成HApを人工骨または人工歯根等に使用するに
は、1000℃程度、或いはそれ以上の温度で焼結させる必
要があるが、前記したCa欠損型HApは、800℃以上の温度
で焼成すると、一部分解してリン酸三カルシウムを析出
するようになる。一方、理論組成比Ca/P=1.67を有する
HApは、1300℃で焼成した後も安定しているところか
ら、HAp焼結体を作製するためには、Ca/P=1.67を有す
るHAp粉末が必要とされるのである。
また、一般に、HApを生成すべく、不活性雰囲気中に
て、水酸化カルシウム懸濁液(スラリー)に対して、化
学量論量のリン酸を滴下していくと、その仕込量が60〜
60%まではpH=11.7の一定値を示すが、その後、急速に
pHが減少し始め、仕込量のリン酸を全て加え終わった時
点では、pH値は4付近となるのである(第1図参照)。
そして、かかるHApの溶解度は、pHに強く依存し、酸性
側で著しく増大するところから、生成するHApは、Ca欠
損型となり、上述の如く、800℃以上の温度での焼成に
より、リン酸三カルシウムに移行するようになり、ま
た、塩基性側のpHに制御すると、Ca過剰型となって、焼
成後にCaOを析出するのである。このように、HApの組成
は、pHにより大きく変化するところから、HApの組成の
制御、換言すればCa/P比=1.67のHApを得るためには、
中性付近でのpHの制御が望ましい。
そのために、本発明にあっては、水酸化カルシウムと
リン酸の水溶液反応によりHApを合成するに際し、トリ
ス緩衝液〔トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンと
強酸、pH=7〜9〕やグッドの緩衝液(アミノプロンパ
ンスルホン酸誘導体、pH=6〜11)のような生化学的緩
衝液を用いることにより、反応液のpHが中性域、一般に
7以上,8未満、好ましくは7.0〜7.8の範囲に制御される
ようにされている。
これらの緩衝液は、よく知られているように、pHの中
性付近に緩衝能を有し、金属イオンと殆ど反応せず、ま
たそれ自身生理活性を示さない、細胞膜を通らない、炭
酸ガスを吸収しない等の特徴を有しており、生化学的緩
衝液として広く用いられているものである。なお、トリ
ス緩衝液を用いる場合、トリス(ヒドロキシメチル)ア
ミノメタン〔NH2C(CH2OH)、以下トリスと略称とす
る〕と、強酸としては、一般には塩酸とが組み合わされ
るが、本発明では、リン酸が存在するために、トリスと
リン酸の組合せによる緩衝作用が利用されることとな
る。
そして、本発明においては、所定の不活性ガス雰囲気
中にて、撹拌しつつ、水酸化カルシウムスラリーに、リ
ン酸水溶液を滴下して、反応せしめる際に、上述の如き
所定の緩衝液を添加することにより、反応液のpHが調整
されるのである。なお、かかる生化学的緩衝液の添加に
ついては、水酸化カルシウム懸濁液(スラリー)中に、
リン酸を加えるに先立って、予め所定量において添加し
て、その後、リン酸を加えるか、或いは先にリン酸を滴
下して、上記制御範囲内の所望のpH値に達せしめた後、
添加することも出来、何れの場合にも、該緩衝液の添加
量に応じて、pHは略一定値に保持され得るところから、
略理論組成比Ca/P=1.67を有する微結晶HApが再現性よ
く生成され得るのである。
而して、本発明に従って、上記の如くpHを制御しつ
つ、Ca/Pを理論組成比(1.67)として生成されたHAp
は、その後、適当な時間において熟成され、更に通常の
手法に従って、濾過、乾燥、焼成等の各工程を経て、各
種の用途に用いられるように調整されるのである。
(実施例) 以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的
に明らかにすることとするが、本発明がそのような実施
例の記載によって何等の制約をも受けるものでないこと
は、言うまでもないところである。
また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上
記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限
りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修
正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべ
きである。
実施例 1 酸化カルシウム:414.8gを、窒素気流中、予め脱炭酸
した水:8.7に加えて水酸化カルシウム懸濁液とした。
そして、この懸濁液を60℃に加温し、強く撹拌しなが
ら、リン酸1mol溶液の4.42をゆっくりと滴下し、pH値
が7.2に至った時点で、トリス1mol溶液を370ml加え、更
にリン酸を滴下した。リン酸の仕込量の全量を加え終わ
った時点のpHは7.2であった。その後、所定時間の間、
熟成を続けた。その熟成時間、pH値、Ca/P比の変化を、
下記第1表に示す。
なお、94時間の熟成後のHAp結晶の大きさは、平均100
nm×12.5nmであった。
そして、このような熟成が終了した後、濾過、乾燥せ
しめ、得られたHAp粉末を1100℃の温度で焼成した。ま
た、得られた焼成体のX線粉末回折線図形(2−a)を
第2図に示した。
実施例 2 水酸化カルシウム懸濁液にリン酸を滴下するに先立っ
て、pH=7.2に制御するに充分なトリス緩衝液を添加
し、その後リン酸を滴下したこと以外は、全て実施例1
と同一の条件で、HApを合成した。熟成によるpHとCa/P
比の変化を、下記第2表に示す。
また、実施例1と同様に、1100℃の温度にて焼成した
後のHApのX線粉末回折線図形(2−b)を測定し、そ
の結果を、第2図に示した。
比較例 1 水酸化カルシウム懸濁液にリン酸を滴下して、pH値が
6.0になった時点でトリス緩衝液を添加した。そして、p
H値を6.0に設定した以外は、実施例1と同様の条件によ
りHApを合成した。その熟成によるpH及びCa/P比の変化
を、下記第3表に示す。
そして、実施例1と同様に、濾過により得られた固形
分(HAp)を乾燥し、1100℃の温度で焼成した。その焼
成物のX線粉末回折線図形(3−b)を第3図に示し
た。
かかる図より明らかなように、HApの他に、微量のα
−TCPが共存していることが認められた。
比較例 2 水酸化カルシウム懸濁液にリン酸を滴下して、pH値が
8.0になった時点でトリス緩衝液を加え、pH値を8.0に設
定した以外は、実施例1と同様にして、HApを合成し
た。その熟成によるpH及びCa/P比の変化を、下記第4表
に示す。
また、1100℃にて焼成した後の焼成物のX線粉末回折
線図形(3−a)を第3図に示した。かかる図に示され
るように、HApの他に、微量のCaOが共存していることが
認められた。
比較例 3 トリス緩衝液を添加しないこと以外は、実施例1と同
一条件において、HApを合成した。その熟成によるpH値
とCa/P比の変化を下記第5表に示す。
また、得られたHAp粉末を1100℃の温度にて焼成した
後、その焼成体のX線粉末回折線図形(3−c)を第3
図に示した。かかる図より、全て、β−TCPに変化して
いることが認められた。
(発明の効果) 以上の説明から明らかなように、本発明にあっては、
トリス緩衝液、グッドの緩衝液等の生化学的緩衝液を用
いて、反応液のpHを制御することにより、Ca/Pが理論組
成比(1.67)となるようにされているところから、理論
組成比のCa/Pを有するハイドロキシアパタイトが、複雑
な工程を必要とすることなく、また再現性よく、有利に
得られるのである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ハイドロキシアパタイト組成に対するリン酸
の化学量論量とpHとの関係を示すグラフであり、第2図
は、実施例1,2において得られた焼成体のX線粉末回折
線図形であり、第3図は、上記実施例1及び比較例1〜
3において得られた焼成体のX線粉末回折線図形であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01B 25/32 C61C 8/00 A61L 27/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不活性ガス雰囲気中、撹拌下で、水酸化カ
    ルシウムスラリーにリン酸水溶液を滴下して、反応せし
    めることにより、ハイドロキシアパタイトを合成するに
    際して、トリス緩衝液、グッドの緩衝液等の生化学的緩
    衝液を用いてpHを制御し、理論組成比のCa/P=1.67を有
    するハイドロキシアパタイトを生成せしめることを特徴
    とするハイドロキシアパタイトの製造法。
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