JP2988696B2 - 圧力スイングによる濃縮酸素回収設備における停止方法 - Google Patents

圧力スイングによる濃縮酸素回収設備における停止方法

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JP2988696B2 JP2210461A JP21046190A JP2988696B2 JP 2988696 B2 JP2988696 B2 JP 2988696B2 JP 2210461 A JP2210461 A JP 2210461A JP 21046190 A JP21046190 A JP 21046190A JP 2988696 B2 JP2988696 B2 JP 2988696B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、真空ポンプを用いる圧力スイング吸着装置
(以下PSA{Pressure Swing Adsorption}装置と称す
る)の停止方法に関するものである。
従来の技術 PSA装置では吸着塔の加圧・減圧を繰り返すことによ
り、吸着塔に充填した吸着剤(ゼオライト、活性アルミ
ナ、活性炭、化学吸着剤等)へのガス成分の吸着量が増
減することを利用してガスの分離を行なっている。ま
た、連続してガスを分離するために複数の吸着塔(一般
には2〜4塔)を使用し、1塔が加圧(吸着工程)して
いるときに他の塔が減圧(再生工程)するように構成さ
れている。
このような構成のためPSA装置の停止時において減圧
工程にある吸着塔をそのまま停止した場合、吸着塔に空
気が侵入し吸着剤の劣化、再起動時の製品純度低下等の
課題がある。その課題を解決する方法として次に示す方
法が知られている。
PSA装置の停止方法としては、例えば特開昭61−18791
6号公報に記載されているように、放出用開閉弁を他の
開閉弁の終了時刻より早く閉じる方法がある。しかし、
上記方法は、吸着剤の再生を常圧にて行なう場合の方法
であり、真空ポンプを使用するPSA装置については用い
ることが出来ない。また、特開昭63−270301および特開
昭64−15116においては製品ホルダーより吸着塔にガス
を戻す方法が提案されているが、この場合には別途製品
ホルダーが必要であり敷地面積および、設備コストの面
から不利である。
なお、本明細書中で常圧とは大気圧±50mmHg程度の範
囲を示す。
発明が解決しようとする課題 3塔式のPSA装置を例にして各吸着塔での各工程にお
ける吸着塔内圧力を第2図で説明する。第2図から明ら
かなようにPSA装置の運転を各工程のいずれの時点で停
止してもいずれかの吸着塔は負圧状態で停止する。
一般にPSA装置では高頻度で吸着塔の切替えを行なう
ため、切替弁の開閉頻度が多い。従って長期間の使用中
に切替弁のシール性が悪くなり僅かのリークで生じる。
また、短時間で圧力をスイングする必要性から、真空ポ
ンプ等に強力な回転機器を使用しており、回転機器の振
動により、接続部が緩む可能性があり、緩んだ接続部か
らリークを生ずる。このようなリークはPSA装置で取り
扱うガス量からみると、非常に少ない量であり、運転中
には問題とならないが、停止時には負圧状態で停止した
吸着塔に侵入する空気または原料ガスのため長時間停止
すると吸着塔内の圧力を大気圧にまで戻してしまう。従
って上記のようにPSA装置の運転停止時にいずれかの吸
着塔を負圧状態で停止すると下記のような課題がある。
吸着剤としてゼオライトを使用している場合に、その
ような現象が起こると、空気と共に侵入する水分がゼオ
ライトに吸着し、ゼオライトの吸着性能を著しく低下さ
せ、加圧・減圧を行なってもガスを分離できない状態と
なり、PSA装置として機能しなくなる。
吸着塔内に侵入した空気または原料ガスが再起動時に
製品ガスに混入し、製品純度を低下させるため、再起動
後ただちに製品の払出しが出来ないという悪影響があ
る。
以上のような課題を解決するため本発明はPSA装置の
停止中に全ての吸着塔へ外部から空気が侵入しないよう
にして、上記吸着剤の劣化や、再起動時の困難性をなく
す方法を提供するものである。
課題を解決するための手段 以上の課題を解決するために、本願発明は、 1.吸着剤が充填された吸着塔内に原料ガスである空気を
導入して、前記吸着剤に対して吸着しやすい成分である
窒素を当該吸着剤に吸着すると共に前記吸着剤に対して
吸着しにくい成分である酸素を濃縮回収する吸着工程
と、 窒素が吸着された吸着塔内を真空ポンプにより吸引し
て、吸着剤から窒素を脱着する再生工程と、 窒素が脱着された吸着塔内に濃縮回収される酸素の一
部を導入して、吸着塔の内部を昇圧する昇圧工程と、 を含む工程を少なくとも3個の吸着塔にて順次工程に位
相をつけて連続運転する圧力スイングによる濃縮酸素回
収設備における停止方法であって、 前記濃縮酸素回収設備の運転を停止するに際し、昇圧
工程が終了した吸着塔に空気を導入し、当該吸着塔によ
り発生した酸素を再生工程が終了し負圧状態になってい
る吸着塔に導入し、すべての吸着塔を常圧以上の圧力に
して停止するようにしたことを特徴とする圧力スイング
による濃縮酸素回収設備における停止方法である。
作用 3塔式のPSA装置を代表例として第1図に示す装置を
第2図、第1表に示す動作で動かしている場合を例に説
明する。
例えば工程1にて運転を停止する場合 工程1終了後、工程2に移らないように工程の進行を
停止する。
工程1において開いている自動切替弁12、14、25、33
を閉にする。
自動切替弁22、24、35を開にする。
吸着塔31が常圧になるまでの一定時間経過後自動切替
弁22、24、35を閉とする。
原料圧縮機1、真空ポンプ2、製品圧縮機3を停止す
る。
このように構成することにより、吸着塔11、21、31は
すべて常圧以上の圧力にて停止することが出来る。
吸着工程の吸着塔より発生する難吸着性成分ガスは、
製品ガスとして製品圧縮機にて系外に取り出されるとと
もに、負圧状態の吸着塔に送られその塔の昇圧に使用さ
れる。上記構成の操作では、吸着塔21にて吸着塔31の昇
圧に使用するガスを発生させ吸着塔31を常圧まで昇圧を
完了した状態で停止したこととなる。再起動時に工程2
より開始することにより工程2で吸着工程となる吸着塔
21より発生するガスは吸着塔31の昇圧を完了させるとと
もに、ただちに製品圧縮機にて払い出すことが出来る。
また、吸着塔31は難吸着性成分である製品ガスにて昇圧
を行なっているため、停止中に空気、原料ガスの侵入が
なく再起動時に工程2を経て工程3に移行した場合、吸
着塔31より発生する難吸着性成分ガスは純度の低下がな
いため、ただちに製品ガスおよび他塔の昇圧ガスとして
使用することができる。
停止時において、工程1以外で停止する場合でも、上
記方法と同様の方法にてすべての吸着塔を常圧にて停止
することが出来る。
実施例1 PSA装置においては、その性能を向上させるために各
種の均圧工程が用いられているが、各々の工程の途中で
均圧工程を用いたPSA装置への実施例を第3図、第4
図、第2表により説明する。
例えば工程1にて運転を停止する場合 工程1終了後、工程2に移らないように工程の進行を
停止する。
工程1において開いている自動切替弁12、14、25、33
を閉にする。
自動切替弁22、24、35を開にする。
吸着塔31が常圧になるまでの一定時間経過後自動切替
弁22、24、35を閉とする。
原料圧縮機1、真空ポンプ2、製品圧縮機3を停止す
る。
このように構成することにより、吸着塔11、21、31は
すべて常圧以上の圧力にて停止することが出来る。
吸着工程の吸着塔により発生する難吸着性成分ガス
は、製品ガスとして製品圧縮機にて系外に取り出される
とともに、負圧状態の吸着塔に送られその塔の昇圧に使
用される。上記構成の操作では、吸着塔21にて吸着塔31
の昇圧に使用するガスを発生させ吸着塔31を常圧まで昇
圧を完了した状態で停止したこととなる。再起動時に工
程2より開始することにより工程2で吸着工程となる吸
着塔21より発生するガスは吸着塔31の昇圧を完了させる
とともに、ただちに製品圧縮機にて払い出すことが出来
る。また、吸着塔31は難吸着性成分である製品ガスにて
昇圧を行なっているため、停止中に空気、原料ガスの侵
入がなく再起動時に工程2を経て工程3に移行した場
合、吸着塔31より発生する難吸着性成分ガスは純度の低
下がないため、ただちに製品ガスおよび他塔の昇圧ガス
として使用することができる。
停止時において、工程1以外で停止する場合でも、上
記方法と同様の方法にてすべての吸着塔を常圧にて停止
することが出来る。
均圧の方法は上記以外の方法でも可能である。例えば
下記のような方法が考えられる。
吸着工程を終了した塔の塔頂と再生工程を終了した塔
の塔底を接続して均圧する方法 吸着工程を終了した塔の塔頂と再生工程を終了した塔
の塔頂を接続して均圧させると同時または均圧終了後再
生工程を終了した塔の塔底から原料ガスを導入する方法 実施例2 4塔式PSA装置への実施例を第5図、第6図、第3表
により説明する。
例えば工程1にて停止する場合 工程1終了後、工程2に移らないように工程の進行を
停止する。
工程1において開いている自動切替弁12、14、25、43
を閉にする。
自動切替弁22、24、35を開にする。
吸着塔31が常圧になるまでの一定時間経過後自動切替
弁22、24、35を閉とする。
自動切替弁32、34、45を開にする。
吸着塔41が常圧になるまでの一定時間経過後自動切替
弁32、34、45を閉とする。
原料圧縮機1、真空ポンプ2、製品圧縮機3を停止す
る。
このように構成することにより、吸着塔11、21、31、
41はすべて常圧以上の圧力にて停止することが出来る。
吸着工程の吸着塔より発生する難吸着性成分ガスは、
製品ガスとして製品圧縮機にて系外に取り出されるとと
もに、負圧状態の吸着塔に送られその塔の昇圧に使用さ
れる。上記構成の操作では、吸着塔21にて吸着塔31の昇
圧に使用するガスを発生させ吸着塔31を常圧まで昇圧を
完了した状態で停止したこととなる。再起動時に工程2
より開始することにより工程2で吸着工程となる吸着塔
21より発生するガスは吸着塔31の昇圧を完了させるとと
もに、ただちに製品圧縮機にて払い出すことが出来る。
また、吸着塔31は難吸着性成分である製品ガスにて昇圧
を行なっているため、停止中に空気、原料ガスの侵入が
なく再起動時に工程2を経て工程3に移行した場合、吸
着塔31より発生する難吸着性成分ガスは純度の低下がな
いため、ただちに製品ガスおよび他塔の昇圧ガスとして
使用することができる。
停止時において、工程1以外で停止する場合でも、上
記方法と同様の方法にてすべて吸着塔を常圧にて停止す
ることが出来る。
均圧の方法は上記以外の方法でも可能である。例えば
下記のような方法が考えられる。
吸着工程を終了した塔の塔頂と再生工程を終了した塔
の塔底を接続して均圧する方法 吸着工程を終了した塔の塔頂と再生工程を終了した塔
の塔頂を接続して均圧させると同時または均圧終了後再
生工程を終了した塔の塔底から原料ガスを導入する方法 実施例3 作用、実施例1および実施例2において工程1にて停
止する場合、下記のように構成することも可能である。
真空ポンプ2は工程1終了と同時または自動切替弁2
2、24、35を開にしている時間中に停止することができ
る。
製品圧縮機3は工程1の終了と同時または自動切替弁
22、24、35を開にしている時間中に停止することができ
る。
自動切替弁22、24、35を開にしている時間は吸着塔31
が吸着圧力になるまで、または吸着塔31が常圧になるま
でのいずれでも可能である。
原料ガスが大気圧もしくは大気圧以上の圧力を有して
いる場合(例えば大気が原料の場合)には原料圧縮機を
停止した後、上記操作を実施してもすべての吸着塔を常
圧にて停止することが可能である。
吸着工程終了後の吸着塔は、吸着塔内のガスを排気す
るかもしくは他の吸着塔と接続し、大気圧もしくは大気
圧以上まで減圧し停止することも可能である。
製品ガスの必要圧力よりも高い圧力で吸着させる場合
製品圧縮機3を削除することが可能である。
原料ガスの圧力が高い場合または空気を原料とし大気
圧以下で吸着させる場合原料圧縮機1を削除することが
可能である。
また実施例2において工程1にて停止する場合、吸着
塔41の再生をより良く行なうために下記のように構成す
ることも可能である。
工程1終了後、工程2に移らないように工程の進行を
停止する。
工程1において開いている自動切替弁12、14、25、43
を閉にする。
自動切替弁22、24、35、43を開にする。
吸着塔31が常圧になるまでの一定時間経過後自動切替
弁22、24、35、43を閉とする。
自動切替弁32、34、45を開にする。
吸着塔41が常圧になるまでの一定時間経過後自動切替
弁32、34、45を閉とする。
原料圧縮機1、真空ポンプ2、製品圧縮機3を停止す
る。
発明の効果 このように真空ポンプを用いるPSA装置の停止時にお
いて、いかなる工程の時期で装置の運転を停止しても、
全ての吸着塔を常圧にて停止することが可能であるた
め、PSA装置停止中に空気が吸着塔に侵入することを防
ぐことができ、 空気中の成分(微量成分を含む)による吸着剤の劣化
を防止できる。
例えば、空気中の水分、炭酸ガスによるゼオライト等
の劣化、空気中の酸素によるCO−PSA用Cu+担持化学吸着
剤の劣化等 侵入空気による再起動時の濃縮酸素の純度低下を防止
できる。
従って停止時間の長いPSA装置であっても長期間にわ
たり安定した性能を維持することができる。
(なお、第1、3、5図にて、2、3は一方または両方
がない場合もある。)
【図面の簡単な説明】
第1図は3塔式PSA装置の例を示す説明図、第2図は3
塔式PSA装置の圧力変化を示す説明図、第3図は各工程
の途中に均圧工程を用いた場合の3塔式PSA装置の例を
示す説明図、第4図は各工程の途中に均圧工程を用いた
場合の3塔式PSA装置の圧力変化を示す説明図、第5図
は4塔式PSA装置の例を示す説明図、第6図は4塔式PSA
装置の圧力変化を示す説明図である。 1……原料圧縮機、2……真空ポンプ、3……製品圧縮
機、4……昇圧調整弁、5……原料取入口、6……製品
取出口、7……排ガス排出口、11、21、31、41……吸着
塔、12、22、32、42……自動切替弁(原料取入弁)、1
3、23、33、43……自動切替弁(真空排気弁)、14、2
4、34、44……自動切替弁(製品取出弁)、15、25、3
5、45……自動切替弁(昇圧弁)、16、26、36、46……
自動切替弁(均圧弁)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 秀雄 福岡県北九州市戸畑区大字中原46―59 新日本製鐵株式會社機械・プラント事業 部内 (56)参考文献 特開 昭63−315504(JP,A) 特開 昭61−187916(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B01D 53/04 - 53/053

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吸着剤が充填された吸着塔内に原料ガスで
    ある空気を導入して、前記吸着剤に対して吸着しやすい
    成分である窒素を当該吸着剤に吸着すると共に前記吸着
    剤に対して吸着しにくい成分である酸素を濃縮回収する
    吸着工程と、 窒素が吸着された吸着塔内を真空ポンプにより吸引し
    て、吸着剤から窒素を脱着する再生工程と、 窒素が脱着された吸着塔内に濃縮回収される酸素の一部
    を導入して、吸着塔の内部を昇圧する昇圧工程と、 を含む工程を少なくとも3個の吸着塔にて順次工程に位
    相をつけて連続運転する圧力スイングによる濃縮酸素回
    収設備における停止方法であって、 前記濃縮酸素回収設備の運転を停止するに際し、昇圧工
    程が終了した吸着塔に空気を導入し、当該吸着塔により
    発生した酸素を再生工程が終了し負圧状態になっている
    吸着塔に導入し、すべての吸着塔を常圧以上の圧力にし
    て停止するようにしたことを特徴とする圧力スイングに
    よる濃縮酸素回収設備における停止方法。
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