JP2988204B2 - スプラインのはめ合い誤差測定方法 - Google Patents

スプラインのはめ合い誤差測定方法

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JP2988204B2 JP5161143A JP16114393A JP2988204B2 JP 2988204 B2 JP2988204 B2 JP 2988204B2 JP 5161143 A JP5161143 A JP 5161143A JP 16114393 A JP16114393 A JP 16114393A JP 2988204 B2 JP2988204 B2 JP 2988204B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スプラインのはめ合い
誤差(いわゆる「スプラインかた」と称されているも
の)を測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の動力伝達系に用いられるスプラ
インにおいては、異音低減化のためにスプライン単独で
の寸法加工精度のみならずはめ合い誤差までも管理する
必要があり、そのためにはめ合い誤差の測定が行われて
いる。
【0003】図19は従来のはめ合い誤差の測定に用い
られているスプライン計測器の一例を示す図で、スプラ
インゲージ(軸スプライン)101が長手方向で固定ス
プラインゲージ102と可動スプラインゲージ103と
に二分割されており、可動スプラインゲージ103が固
定スプラインゲージ102に対してわずかに回転できる
構造となっている。
【0004】そして、前記固定スプラインゲージ102
と可動スプラインゲージ103とを同位相とするべく、
双方のスプラインゲージ102,103の山部と谷部と
の関係を整合一致させた上で、スプラインゲージ101
を計測対象となる穴スプライン部材104にはめ合わせ
る。
【0005】この状態で、前記固定スプラインゲージ1
02と可動スプラインゲージ103とを相対回転させ、
図20に示すように例えば固定スプラインゲージ102
側の一方の歯面を穴スプライン部材104の歯面105
に圧接させる一方、可動スプラインゲージ103側の他
方の歯面を穴スプライン部材104の歯面106に圧接
させ、その時のダイヤルゲージ部107の指針108が
示す目盛を読み取ることにより、穴スプライン部材10
4の回転方向誤差を定量的に把握することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のス
プラインのはめ合い誤差測定方法では、スプラインゲー
ジ101と穴スプライン部材104との同芯度すなわち
スプラインゲージ101と穴スプライン部材104との
間の倒れ方向誤差を管理していないので測定の再現性が
なく、個人差による測定結果のばらつきが生じやすい。
【0007】また、上記のように倒れ方向誤差を管理し
ていないために、回転方向誤差と倒れ方向誤差とを分離
することができず、結果的に回転方向誤差と倒れ方向誤
差とが混在した誤差を回転方向誤差として測定している
ことになる。したがって、測定結果をもとにスプライン
のはめ合い誤差低減のための方策を講じたとしても、そ
れによるはめ合い誤差低減効果におのずと限界がある。
【0008】本発明は以上のような課題に着目してなさ
れたもので、その目的とするところは、スプラインの回
転方向誤差と倒れ方向誤差とを分離して、それぞれを個
別に、しかも正確に測定できるようにした方法を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段とその作用】本願発明は、
軸スプライン部材と穴スプライン部材とを相互にはめ合
わせて、そのスプライン嵌合部のはめ合い誤差を測定す
る方法であって、基準面に軸スプライン部材を直立姿勢
で位置決め固定するとともに、軸スプライン部材に対し
て穴スプライン部材をはめ合わせる工程と、前記軸スプ
ライン部材をはさんで基準面上に設けられた一対の支点
部材を支点として、軸スプライン部材に対して穴スプラ
イン部材を左右に揺動変位させて、その左右方向での穴
スプライン部材の倒れ方向誤差を個別に測定する工程
と、前記左右方向での倒れ方向誤差の実測値に基づいて
それらの左右方向の倒れ方向誤差量の中立位置を求めた
上で、その中立位置に穴スプライン部材を位置決めする
工程と、前記中立位置に位置決めされた穴スプライン部
材に対して正転方向および逆転方向に所定の回転トルク
を加えて、軸スプライン部材に対する穴スプライン部材
の正転方向および逆転方向での回転方向誤差を個別に測
定する工程とを含んでいる。
【0010】
【実施例】図1は本発明の第1の実施例を示す説明図
で、同図(A)に示すように、水平なテーブル1の基準
面1a上に軸スプライン部材2を直立姿勢にて位置決め
固定する。この時、前記基準面1aに対して軸スプライ
ン部材2が垂直であることが望ましい。
【0011】前記基準面1aに軸スプライン部材2が位
置決め固定されたならば、その軸スプライン部材2の上
端から穴スプライン部材3をはめ合わせて両者をスプラ
イン嵌合させる。そして、前記軸スプライン部材2には
め合わされた穴スプライン部材3が、その軸スプライン
部材2をはさんで基準面1a上の二箇所に設けられた支
点部材4に接するようにする。
【0012】次に、図1の(A)に示すように、前記穴
スプライン部材3の右端部上面にダイヤルゲージ5の測
定子5aを接触させる一方、同じく穴スプライン部材3
の右端部に倒れ方向誤差測定のための荷重をかけるべく
一定重量のウエイト6を吊り下げ、その時のダイヤルゲ
ージ5の指示値を読み取って記録する。
【0013】さらに、前記ウエイト6を一旦穴スプライ
ン部材3から取り出し、代わって穴スプライン部材3の
左端部に破線で示すようにウエイト6を吊り下げて、そ
の時のダイヤルゲージ5の指示値を読み取って記録す
る。
【0014】そして、先に読み取ったダイヤルゲージ5
の値と、後から読み取ったダイヤルゲージ5の値との差
がスプライン嵌合部の倒れ方向誤差となるのであるが、
この値は穴スプラインゲージ5の端部での上下方向の揺
動変位にほかならない。そこで、上記の差の値と、支点
部材4からダイヤルゲージ5の測定子5aまでの距離
(既知の値)等をもとに所定の演算を行うことにより、
軸スプライン部材2と穴スプライン部材3のうち一方を
基準としたときの他方の倒れ方向誤差をそのスプライン
嵌合部での角度として算出することができる。
【0015】次に、上記のように穴スプライン部材3を
左右に揺動変位させて倒れ方向誤差を算出したならば、
その倒れ方向誤差量を二分する中立位置を算出して該中
立位置に穴スプライン部材3を位置決めする。すなわ
ち、図1の(B)に示すように、基準面1aと穴スプラ
イン部材3の左右いずれか一方の端部との間にブロック
ゲージ7やシムプレートをはさんで、穴スプライン部材
3が上記の倒れ方向誤差量の半分の誤差をもつような状
態をつくる。
【0016】続いて、上記のように穴スプライン部材3
が中立位置に位置決めされたならば、同図(C)に示す
ように穴スプライン部材3に測定ブロック8を装着する
とともに、この測定ブロック8にダイヤルゲージ9の測
定子9aを接触させる。
【0017】そして、前記穴スプライン部材3にウエイ
ト10の重量をかけて実質的に時計方向(正転方向)の
回転トルクを加えた時のダイヤルゲージ9の指示値を読
み取って記録するとともに、同様にウエイト10を破線
で示すように付け変えて、反時計方向(逆転方向)の回
転トルクを加えた時のダイヤルゲージ9の指示値を読み
取って記録する。
【0018】その結果、正転トルク負荷時のダイヤルゲ
ージ9の指示値と、逆転トルク負荷時のダイヤルゲージ
9の指示値との差がスプラインの回転方向誤差となるの
であるが、これは穴スプライン部材3の円周方向での回
転方向の変位量にほかならない。そこで、先の倒れ方向
誤差量の場合と同様に、上記のダイヤルゲージ9の値の
差の値をもとに所定の演算を行うことにより、軸スプラ
イン部材2と穴スプライン部材3のうち一方を基準とし
たときの他方のスプラインのはめ合い誤差すなわちその
スプライン嵌合部での回転方向誤差を、倒れ方向誤差の
影響を受けることなく角度として算出することができ
る。
【0019】図2〜4は上記の方法を用いた計測装置の
具体例を示している。
【0020】同図に示すように、ベース11に固定され
た台座12にはポスト13を介してテーブル14が固定
されており、このテーブル14の下面中央部には軸スプ
ライン部材2を圧入して位置決め固定するためのスリー
ブ15が設けられている。また、前記テーブル14の下
面には、スリーブ15をはさんでその両側にねじマイク
ロメータ16,17が固定されているほか、それらのね
じマイクロメータ16,17の位置から回転方向に90
度位相がずれた位置にはデジタルタイプのダイヤルゲー
ジ18が固定されている。そして、前記ねじマイクロメ
ータ16,17のねじ部19およびダイヤルゲージ18
の測定子の先端部はテーブル14を貫通してその上面に
突出している。
【0021】前記テーブル14上にはフローティングテ
ーブル20が設けられていて、このフローティングテー
ブル20は、ねじマイクロメータ16,17のねじ部1
9の先端と、テーブル14に装着されたアジャストスク
リュー21,22とによりフローティング可能に支持さ
れている。そして、前記フローティングテーブル20の
下面にダイヤルゲージ18の測定子が接触している。
【0022】また、前記フローティングテーブル20上
には三つのクランプブロック23が設けられていて、後
述するように軸スプライン部材2に対してはめ合わされ
る穴スプライン軸材3がそれらのクランプブロック23
によりフローティングテーブル20に位置決め固定され
る。
【0023】前記フローティングテーブル20の周縁部
の四等分位置にはそれぞれにフック部材24a〜24d
が装着される。一方、前記台座12と隣接配置されたス
タンド25には一対のアジャストスクリュー26,27
が設けられて、それらのアジャストスクリュー26,2
7には、ばねばかり28,29がそれぞれに連結されて
いる。そして、前記ばねばかり28,29の先端がフッ
ク部材24a,24cに係止される。
【0024】なお、前記四つのフック部材24a〜24
dのうち残り二つのフック部材24b,24dには、図
2に示すようにウエイト30が交互に吊り下げられるこ
とになる。
【0025】次に、上記のように構成された計測装置を
用いた場合の測定手順について説明する。
【0026】先ず、テーブル14のスリーブ15に軸ス
プライン部材2を圧入して固定する。一方、フローティ
ングテーブル20に対しては穴スプライン部材3が同芯
状となるように予めクランプブロック23を用いて固定
しておく。そして、前記穴スプライン部材3を軸スプラ
イン部材2にはめ合わせながらフローティングテーブル
20をテーブル14上に載置する。
【0027】続いて、前記フローティングテーブル20
を支持している一対のねじマイクロメータ16,17の
ねじ部19の高さを調整する。すなわち、双方のねじマ
イクロメータ16,17でフローティングテーブル20
を支持している状態で、一方のねじマイクロメータ16
が指示している値x1を読み取った上で、他方のねじマ
イクロメータ17を回転操作してそのねじ部19をゆっ
くりと下げてゆく。そして、その他方のねじマイクロメ
ータ17のねじ部19がフローティングテーブル20か
ら離れた位置で操作をやめてその位置に固定する。
【0028】なお、上記の他方のねじマイクロメータ1
7がフローティングテーブル20を支えなくなってその
フローティングテーブル20から離れた位置は、その他
方のねじマイクロメータ17を回転操作しながらダイヤ
ルゲージ18を監視して、その他方のねじマイクロメー
タ17の操作にダイヤルゲージ18の指示が追従しなく
なった位置として特定するとよい。
【0029】そののち、逆に他方のねじマイクロメータ
17を固定した状態でもう一方のねじマイクロメータ1
6を回転操作してそのねじ部19をゆっくりと下げてゆ
く。そして、そのねじマイクロメータ16のねじ部19
がフローティングテーブル20から離れた位置で操作を
やめて、その時のねじマイクロメータ16が指示してい
る値x2を読み取る。
【0030】そして、最初のねじマイクロメータ16の
指示値x1とその後のねじマイクロメータ16の指示値
2との和x1+x2を二分する位置、すなわち(x1+x
2)/2の位置をねじマイクロメータ16が指示するよ
うにねじマイクロメータ16を操作する。
【0031】以上の二つのねじマイクロメータ16,1
7の高さ調整は、前記軸スプライン部材2と穴スプライ
ン部材3との間の図4の矢印a方向での倒れ方向誤差を
修正するためで、図2の矢印b方向での倒れ方向誤差は
本装置での測定対象としているために特に問題とならな
いのに対して、上記のa方向での倒れ方向誤差は矢印b
方向の倒れ方向誤差の測定精度に影響を及ぼすおそれが
あるためである。
【0032】続いて、前記フローティングテーブル20
の周縁部の四箇所にフック部材24a〜24dを装着す
る一方、図3のアジャストスクリュー26,27とフッ
ク部材24a,24cとの間にばねばかり28,29を
掛け渡す。ただし、上記のばねばかり28,29によっ
てフローティングテーブル20に回転トルクが付加され
ないように予めアジャストスクリュー26,27を調整
しておくものとする。
【0033】こののち、図2に示すフック部材24dに
500g、300g、200g、100gのウイエト3
0を順次選択的に吊り下げて、各重量のウエイト30を
付加したときのダイヤルゲージ18の指示値を読み取
る。同様に、もう一方のフック部材24bにも上記の四
種類のウエイトを順次付け変えて、そのダイヤルゲージ
18の指示値を読み取る。
【0034】表1は上記のウエイト30の吊り下げ位置
と測定値および測定回数との関係を整理したもので、望
ましくは測定No.1〜No.8までの測定を3回程度
繰り返して、その3回分の指示値の平均値を算出する。
【0035】
【表1】
【0036】そして、上記の測定値を図5に示すように
グラフ上にプロットして、そのグラフの特性の傾きから
ウエイト30の重量が零のときの数値を読み取り、図2
に示した矢印b方向での倒れ方向誤差xを推測により求
める。なお、上記のグラフ上にプロットしたことによっ
て得られる特性の傾きは、スプラインの歯および計測装
置そのものの剛性の影響と考えられる。
【0037】続いて、図2,3に示すフローティングテ
ーブル20の一方のフック部材24bに200〜300
gのウエイト30を吊した上、アジャストスクリュー2
1を回転操作して、ダイヤルゲージ18の指示値がx/
2となるようにフローティングテーブル20の傾きを調
整する。
【0038】これは、図2に示す矢印b方向の倒れ方向
誤差xをもつ軸スプライン部材2と穴スプライン部材3
とのはめ合い状態において、その倒れ方向誤差量xを二
分する中立位置に穴スプライン部材3が位置決めされた
ことを意味する。
【0039】次いで、図3に示すように、前記フローテ
ィングテーブル20のフック部材24dにダイヤルゲー
ジ31を接触させ、各ばねばかり28,29の指示する
重量を1.5kg、1.0kg、500gと変化させ
て、実質的に穴スプライン部材3に正転方向および逆転
方向の回転トルクを付加したときのダイヤルゲージ31
の指示値を読み取る。なお、前記重量の設定および変更
はアジャストスクリュー26,27の回転操作によって
行う。
【0040】
【表2】
【0041】表2は上記の各ばねばかり28,29によ
る付加重量と測定値および測定回数との関係を整理した
もので、望ましくは測定No.1〜No.6までの測定
を3回程度繰り返して、その3回分の指示値の平均値を
算出する。
【0042】そして、上記の測定値を図6に示すように
グラフ上にプロットして、そのグラフ上の特性の傾きか
らばねばかり28,29による付加重量が零のときの数
値を読み取り、軸スプライン部材2と穴スプライン部材
3との間の回転方向誤差yを推測により求める。
【0043】以上により、軸スプライン部材2と穴スプ
ライン部材3との間のはめ合い誤差として、倒れ方向誤
差と回転方向誤差がそれぞれ独立して求められたことに
なるのであるが、上記の値x,yはいずれも計測装置上
の直線変位誤差であるので、これを次式により軸スプラ
イン部材2と穴スプライン部材3とのスプライン嵌合部
における角度に変換する。
【0044】倒れ方向誤差量ψ(deg)=(x(mm)
50)×(360/2π) 回転方向誤差量θ(deg)=(y(mm)/110)×
(360/2π) これにより、スプライン嵌合部における倒れ方向誤差量
ψと回転方向誤差量θとがそれぞれ独立して、しかも倒
れ方向誤差量ψの影響を受けることなく回転方向誤差量
θが求められる。
【0045】なお、必要に応じて、軸スプライン部材2
と穴スプライン部材3との組み合わせを変えて上記の一
連の計測手順を繰り返す。
【0046】図7,8は本発明の第2の実施例を示す図
である。図1に示した第1の実施例では、スプライン嵌
合部の倒れ方向誤差と回転方向誤差とを測定することが
できたとしても、図3に示すように一方向からばねばか
り28または29で引っ張るがために発生するスプライ
ン嵌合部での半径方向誤差と、その半径方向誤差による
倒れ方向誤差および回転方向誤差への影響が無視されて
おり、図7,8に示した第2の実施例ではこの点を改良
している。
【0047】すなわち、図7の(A),(B)は図1に
示した第1の実施例と同様であって、図7の(C)およ
び図8に示す回転方向誤差の測定にあたり、穴スプライ
ン部材3の両側にばねばかり28,34等により互いに
等しいF2=F3の正転方向(時計回り方向)の回転トル
クを付加したときのダイヤルゲージ32の指示値を読み
取る一方、逆に負荷F2,F3に代えてばねばかり29,
33によりF1=F4の逆転方向(反時計回り方向)の回
転トルクを付加したときのダイヤルゲージ32の指示値
を読み取る。
【0048】このように、穴スプライン部材3の両側に
等価な荷重を加えることにより、軸スプライン部材2と
穴スプライン部材3との偏心量すなわち半径方向誤差の
影響を受けることなく回転方向誤差を計測することがで
きる。
【0049】同時に、図9に示すように、F1=F2、F
3=F4=0としてダイヤルゲージ32の指示値を読み取
るとともに、F3=F4、F1=F2=0としてダイヤルゲ
ージ32の指示値を読み取ることにより、上記の半径方
向誤差についても独自に計測することができる。
【0050】図10,11は上記の第2の実施例を応用
した計測装置の具体例を示しており、テーブル14の両
側に一対のスダンド25とアジャストスクリュー26,
27とを介して合計四つのばねばかり28,29,3
3,34が配置されている点で図2,3に示したものと
異なっており、それ以外の構造については基本的に図
2,3に示したものと同一である。
【0051】この計測装置を用いた場合、図11に示す
ように、ばねばかり28,34の指示値がともに等し
く、かつ残り二つのばねばかり29,33の指示値がと
もに零となるように調整した上でダイヤルゲージ32の
指示値を読み取る一方、逆にばねばかり29,33の指
示値がともに等しく、かつ他方のばねばかり28,34
の指示値がともに零となるように調整した上でダイヤル
ゲージ32の指示値を読み取る。
【0052】そして、これらの指示値を図6と同様に図
12のグラフ上にプロットすることにより回転方向誤差
yを求めることができる。
【0053】また、図11に示すように、ばねばかり2
8,29の指示値がともに等しく、かつ残り二つのばね
ばかり33,34の指示値がともに零となるように調整
した上で図9の向きにしたダイヤルゲージ32の指示値
を読み取る一方、逆にばねばかり33,34の指示値が
ともに等しく、かつ他方のばねばかり28,29の指示
値がともに零となるように調整した上でダイヤルゲージ
32の指示値を読み取る。
【0054】そして、これらの指示値を図13に示すよ
うにグラフ上にプロットすることで、軸スプライン部材
2と穴スプライン部材3のスプライン嵌合部での半径方
向誤差zを求めることができる。ただし、この半径方向
誤差は、倒れ方向誤差や回転方向誤差のように角度に変
換する必要はない。
【0055】次に、前記軸スプライン部材2および穴ス
プライン部材3の理論上の諸元値と、歯車測定機あるい
は三次元測定機により各スプライン部材2,3を実際に
測定したときの形状精度データをもとにワークステーシ
ョンでスプラインモデルを作成し、そのワークステーシ
ョンでのシミュレーションによって求めたスプラインの
回転方向誤差および半径方向誤差が先の計測によって求
めた値と一致するかどうか検討してみる。
【0056】図14,15に示すように、先ず、前記軸
スプライン部材2および穴スプライン部材3の理論上の
諸元値を予めワークステーション41に入力する。ここ
にいう各諸元の値は、スプラインの歯数、モジュール、
大径、小径、圧力角、転位係数(O.B.D、B.B.
D)等である。
【0057】続いて、前記軸スプライン2および穴スプ
ライン3の精度を歯車測定機42もしくは三次元測定機
により測定し、その測定によって得られたスプラインの
精度データをワークステーション41に取り込んで記憶
する。ここにいうスプラインの精度データは、圧力角誤
差、リード誤差、ピッチ誤差、歯溝の振れ等である。
【0058】そして、前記ワークステーション41で
は、上記各諸元値とスプラインの測定精度データをもと
にプログラム処理により演算を実行し、前記軸スプライ
ン部材2と穴スプライン部材3のスプライン嵌合部での
回転方向誤差および半径方向誤差を算出してプロッター
43もしくはティスプレイ44に表示する。
【0059】上記の演算処理手順としては、図16,1
7に示すように、各スプラインの諸元値をもとに軸スプ
ラインおよび穴スプラインの理論形状を計算して座標に
表して、そのモデルを作成する(ステップS1,S
2)。
【0060】同様に、実測したスプラインの測定精度デ
ータをもとに各スプラインの実歯面形状を計算して座標
に表して、そのモデルを作成する(ステップS3,S
4)。ここにいう実歯面形状とは、スプラインの回転方
向誤差や半径方向誤差を含んだ形状である。
【0061】そののち、軸スプラインおよび穴スプライ
ンの実歯面形状を同一座標上に表して重ね合わせる(ス
テップS5)。
【0062】そして、図16に示すように、穴スプライ
ン形状の座標を軸スプライン形状の座標に対し+θ方向
および−θ方向にそれぞれ回転移動させて、双方のスプ
ラインの形状同士が干渉するかどうかチェックし、干渉
した時の角度+Δθ,−Δθを出力して図18に示すよ
うにθ−y座標上に書き表す。なお、この時の角度θが
スプライン同士の回転方向誤差となる(ステップS6〜
S8)。
【0063】同様に、穴スプライン形状の座標を軸スプ
ライン形状の座標に対して+y方向にそれぞれ移動させ
て、その時の干渉状態をチェックする。なお、この時の
y方向での移動量がスプライン同士の半径方向誤差とな
る(ステップS9〜S12)。
【0064】こうして、スプラインの全歯について測定
を行って最終的に得られたスプラインの回転方向誤差お
よび半径方向誤差を図表化したものを図18に示す。同
図から明らかなように、θ方向が回転方向誤差、y方向
が半径方向誤差、斜線で示された部分がそれらの誤差が
複合化された範囲であって、上記の回転方向誤差および
半径方向誤差は先に実測によって求めた値と一致する。
【0065】なお、上記のシミュレーションでは、軸ス
プラインおよび穴スプラインとともに実歯面形状同士で
の誤差測定を行っているが、軸スプラインおよび穴スプ
ラインのいずれか一方を理論形状とし、他方を実歯面形
状として誤差測定のシミュレーションを行うこともでき
る。
【0066】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、スプライ
ン嵌合部の回転方向誤差と倒れ方向誤差とをそれぞれ分
離して個別に測定するようにしたことにより、測定の再
現性がよく、しかも回転方向誤差に倒れ方向誤差が影響
しないので測定結果の信頼性が向上する。
【0067】また、上記のように回転方向誤差と倒れ方
向誤差を相互に分離して測定することにより、スプライ
ンのはめ合い誤差を管理する場合に、回転方向誤差なら
びに倒れ方向誤差ごとに有効な方策を講じてそれらの誤
差の大幅な低減化を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す測定手順の説明図。
【図2】図1の測定法を応用した計測装置の正面説明
図。
【図3】図2の平面説明図。
【図4】図2の右側面説明図。
【図5】倒れ方向誤差の測定値処理の説明図。
【図6】回転方向誤差の測定値処理の説明図。
【図7】本発明の第2の実施例を示す測定手順の説明
図。
【図8】図7の(C)の回転方向誤差測定時の平面説明
図。
【図9】図7の(C)の半径方向誤差測定時の平面説明
図。
【図10】図7の測定法を応用した計測装置の正面説明
図。
【図11】図10の平面説明図。
【図12】回転方向誤差の測定値処理の説明図。
【図13】半径方向誤差の測定値処理の説明図。
【図14】スプラインのはめ合い誤差シミュレーション
測定法のブロック図。
【図15】スプラインのはめ合い誤差シミュレーション
測定法のフローチャート。
【図16】図15の演算処理の詳細を示すフローチャー
ト。
【図17】図15の演算処理の詳細を示すフローチャー
ト。
【図18】スプラインのはめ合い誤差シミュレーション
測定法による測定結果の説明図。
【図19】従来のスプラインのはめ合い誤差計測装置の
一例を示す構成説明図。
【図20】図19の断面説明図。
【符号の説明】
1a…基準面 2…軸スプライン部材 3…穴スプライン部材 4…支点部材 5…ダイヤルゲージ 6…ウエイト 9…ダイヤルゲージ 10…ウエイト 28,29…ばねばかり 32…ダイヤルゲージ 33,34…ばねばかり

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸スプライン部材と穴スプライン部材と
    を相互にはめ合わせて、そのスプライン嵌合部のはめ合
    い誤差を測定する方法であって、 基準面に軸スプライン部材を直立姿勢で位置決め固定す
    るとともに、軸スプライン部材に対して穴スプライン部
    材をはめ合わせる工程と、 前記軸スプライン部材をはさんで基準面上に設けられた
    一対の支点部材を支点として、軸スプライン部材に対し
    て穴スプライン部材を左右に揺動変位させて、その左右
    方向での穴スプライン部材の倒れ方向誤差を個別に測定
    する工程と、 前記左右方向での倒れ方向誤差の実測値に基づいてそれ
    らの左右方向の倒れ方向誤差量の中立位置を求めた上
    で、その中立位置に穴スプライン部材を位置決めする工
    程と、 前記中立位置に位置決めされた穴スプライン部材に対し
    て正転方向および逆転方向に所定の回転トルクを加え
    て、軸スプライン部材に対する穴スプライン部材の正転
    方向および逆転方向での回転方向誤差を個別に測定する
    工程、 とを含むことを特徴とするスプラインのはめ合い誤差測
    定方法。
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