JP3774740B2 - 歯形測定機の検定法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータ内蔵数値制御で駆動される歯形測定機の検定法に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯車の設計、製造技術上、また、商取引の条件として歯面形状精度が取り上げられることが多い。
【0003】
しかし、歯形測定機(歯車歯面形状検査装置)の精度保持が不十分であったり、精度の検定が不十分な場合もしばしばあり、合格の精度測定結果を添付されている生産歯車の実際の精度が不十分であり、運転性能上の問題を起こすことがある。
【0004】
近年、使われている歯形測定機のほとんどは、コンピュータ内蔵数値制御(以下、これをCNCという)で駆動される(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このCNC駆動され、測定結果がコンピュータ処理される歯形測定機は、従来の機械式歯形測定機に較べてそれなりの新たな誤差原因を内蔵している。
【0006】
図21は、このCNC駆動の歯形測定機を示し、少なくとも回転主軸11および並進移動軸12を持ち、並進移動軸12に沿って移動される変位センサ13の接触子台14に対し接触子15が可動的に設けられ、この接触子15を回転主軸11に嵌着された被測定インボリュート円筒歯車または検定用マスタ16の被検面16aに接触させながら、被検面16aの理想形状に沿うよう、回転主軸11の回転角度位置θと接触子台14の並進変位Xあるいは{X,Y}あるいは{X,Y,Z}(以下、並進変位Xという表現で代表する)を同期させて数値制御(以下、NCという)駆動し、接触子台14に対する接触子15の変位δを検出して、それらより算出される被検面16aの空間位置座標と、数学的に与えられる被検面16aあるいはその断面の理想形状の座標値との差として、被検面16aの形状偏差を求める歯形測定機である。
【0007】
このようなCNC歯形測定機は、例えば、一般に以下の測定誤差原因を持つ。
【0008】
回転主軸の回転角度位置θの精度は、ロータリエンコーダと下部センタの連結ジョイントの問題に起因する不等速性、主軸駆動の不等速性、装置振動、特に回転主軸のねじり振動に起因するロータリエンコーダのスケール補間の不正確さに基づくθ採用値の不正確さ、主軸駆動の不円滑さ、NC制御技術に問題がある場合のオープン制御の場合にはθ指令値に対する現実値の差によって誤差が生ずる。
【0009】
接触子台の並進変位X精度は、軸駆動の不円滑さ、NC制御技術に起因する指令値に対する現実値の差、同一箇所使用によるレールの摩耗に起因するレールの状況の経時変化、測定機の温度分布の変化に起因する歯形測定機の熱膨張などによって誤差が生ずる。
【0010】
θX同期精度は、軸駆動の不円滑さ、NC制御技術に起因する同期の不正確さ、ロータリエンコーダで認識している回転角と被測定面の回転角との差、被測定物の偏心、偏位、偏角、被測定物の回転主軸、歯形測定機への取付け不良、回転主軸のセンタ穴不良、ケレ等による不等速運動の伝達、コラムの倒れ、歯形測定機の温度分布の変化に起因する回転主軸の不等速運動、味噌スリ運動、公転などによって誤差が生ずる。
【0011】
被測定歯車の取付け誤差による被測定面計測断面形状の変化は、意図している検査対象面の測定位置座標と歯形測定機上における現実の測定点座標との差や、被測定物の偏心、偏位、偏角、被測定物の回転主軸、歯形測定機への取付け、回転主軸のセンタ穴の不良、ケレ等による不等速運動の伝達、コラムの倒れ、測定機の温度分布の変化に起因する形状偏差定義式における基準座標値の理論と実際との差により生ずる。
【0012】
変位センサの精度(δ読取り値)は、不感帯、リニアリティ、押付け圧による接触子及びその支持部の撓み、摩擦力の影響、特に2軸センサ、3軸センサでは出力の相互依存の問題、接触子真円度、左右変位に対する感度差、歯形測定機の振動が及ぼす影響によって誤差が生ずる。
【0013】
測定実行に関する問題は、軸心設定(原点設定)の精度、歯面位置表示原点設定の精度、センサ接触子の接触点を基礎円上あるいは理論的測定線上におくことの精度スキャン測定時における機械的共振点(接触子質量と押付け圧からなる固有振動数と被検面凹凸周波数)、測定信号のAD変換のリニアリティと測定に対する応答性により生ずる。
【0014】
データ処理の問題は、AD変換された測定信号に掛けられるフィルタの影響(θ読取り値、X読取り値、δ読取り値のタイミングのずれ)、同期制御NCデータの理論的不完全さ(インボリュート円筒歯車以外の場合)、測定環境中の電源状態、磁場状態の影響により生ずる。
【0015】
歯形測定機の出力としての形状偏差データは、これら全てに起因する誤差を総合的に含んだものであるが、測定結果あるいは、本検定結果からこれら個別の原因とその影響を分離して知ることは不可能である。
【0016】
従来、歯形が極めてインボリュートに近い検定用マスタを用いての検定においては、一般に次の問題がある。
【0017】
(i)出力が0である時、それが歯形測定機の高精度を意味しているのか、接触子のセンサが不感帯を持っていることを意味しているのかの区別が不可能。
【0018】
(ii)出力が0に近く、かつ、検定用マスタもその形状精度についてなにがしかの不確実さを持つため、出力の絶対変位指示値の定量的精度を検定できない。
【0019】
これらに対して、従来の歯形測定機の検定法は、検定用マスタ16を検定対象の歯形測定機に取付け、基礎円半径を正しくrbに設定し、同一箇所の歯形を測定した後、基礎円半径を正規よりdrb大きくrb+drbに、あるいは、基礎円半径を正規よりdrb小さいrb−drbに設定して、同一と思われる箇所の歯形を測定する検定方法においては、接触子15が被検面16aに接触する物理的位置は、設定した基礎円半径の通りの位置、すなわち、接触子台14の並進変位Xを決めるCNC駆動のための指令データの計算用に使用されるのと同じ位置(基礎円半径rbを正しく設定した場合には半径rbの位置に、基礎円半径をrb+drbに変更した場合には半径rb+drbの位置)に移り、検定作業が行われていた。
【0020】
従来の歯形測定機の検定法において、接触子の被検面への接触点が設定基礎円半径rb2に応じて変わる場合の検出値について説明する。ここでは、数値計算プログラムとの対比で明確さを期すため、検定用マスタの基礎円半径rbをrblと記述している。
【0021】
図22において、ハッチングを施したインボリュートは、基礎円半径rb1を持つ検定用マスタの被検面(actual flank)であり、ハッチングのないインボリュートは、CNC制御により仮想的に実現される基礎円半径rb2を持つ、歯形測定ならびに歯形精度定義の基準となるインボリュートである(図では後の数値計算プログラムでの誤解を遊けるため、rbをrblと記述している)。
【0022】
drb=rb2−rb1
【0023】
測定の実際においては、まず歯面の中程ぐらいにあるピッチ点での歯面形状誤差を0とする、すなわち、図22のP点において両インボリュートが交わるように初期設定をする。
【0024】
この点より回転角度位置でθ隔たった点における検出値は、従来方法による測定では、BC間の距離である。このBC間の距離は、図22および図23中に示した式を連立して解くことにより、求めることができる。
【0025】
その結果は、図24に示す通りであり、BC間の距離は、drb・θにより、十分の精度で近似できることがわかる。
【0026】
この従来の測定では、歯形精度測定の基準となる基礎円半径rb2=rb+drbの値を変える、したがって、drbの値を変えることにより、接触子の接触する被測定面の対応点Cは変わる(図22参照)。
【0027】
【特許文献1】
特公平5−51082号公報(第4頁、第9図)
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のような基礎円半径を変化させて測定を行った場合には、同じθにおけるサンプリングデータであっても、それは検定用マスタの被検面上の異なる点を測定していることになる。
【0029】
その結果、いかに精密に製作された検定用マスタでも、なにがしかの形状偏差を持っているため、検定用マスタの形状偏差が検定結果に混入してしまい、この処理による検定結果でわずかの誤差が検出された場合、それが検定の対象となっている歯形測定機に起因するものか、検定用マスタの形状偏差に起因するものかの分離が不可能であった。
【0030】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、検定用マスタの形状偏差の影響を受けない歯形測定機の検定法を提供することを目的とするものである。
【0031】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明は、回転主軸およびこの回転主軸を中心とする基礎円の接線方向に設けられた並進移動軸を持ち、並進移動軸に沿って移動される変位センサの接触子台に対し接触子が変位可能に設けられ、この接触子を回転主軸に嵌着された検定用マスタの被検面に接触させながら、被検面の理想形状に沿うように、回転主軸の回転角度位置と接触子台の並進変位とを同期させて数値制御により駆動し、接触子台に対する接触子の変位を検出して、それらの検出された値より算出される被検面の空間位置座標と、被検面の理想形状の座標値との差として、被検面の形状偏差を求める歯形測定機の検定法であって、検定用マスタを検定対象の歯形測定機に取付け、基礎円半径を正規に設定して自動的に検定用マスタの同一箇所の歯形を複数回測定することで、検定用マスタの被検面の形状偏差をそれぞれ求め、検定用マスタの被検面に接触する歯形測定機の接触子の物理的接触位置は、検定用マスタの基礎円半径を正規に設定したままで動かさず、正規より大きく自動設定した基礎円半径の値を、接触子台の並進変位を決める数値制御駆動のための指令データの計算用に用いて検定用マスタの同一箇所の歯形を複数回測定することで、検定用マスタの被検面の形状偏差をそれぞれ求め、検定用マスタの被検面に接触する歯形測定機の接触子の物理的接触位置は、検定用マスタの基礎円半径を正規に設定したままで動かさず、正規より小さく自動設定した基礎円半径の値を、接触子台の並進変位を決める数値制御駆動のための指令データの計算用に用いて検定用マスタの同一箇所の歯形を複数回測定することで、検定用マスタの被検面の形状偏差をそれぞれ求め、各々の基礎円半径における検 定用マスタの被検面の形状偏差から、検定用マスタの基礎円半径を正規の値から変更することにより設定された圧力角誤差の理論値を差引くことにより、各々の基礎円半径における複数の測定値偏差をそれぞれ求め、各々の基礎円半径における複数の測定値偏差から各々の基礎円半径における測定値偏差の平均値を求め、各々の基礎円半径における測定値偏差の平均値に基づいて、検定の対象としている歯形測定機の状態に関する資料を作成する歯形測定機の検定法であり、これにより、接触子の物理的接触位置は、検定用マスタの基礎円半径を正規に設定したままで動かさず、歯形測定機の接触子が有する不感帯などによる測定誤差を防止するために変更した基礎円半径の値は、接触子台の並進変位を決める数値制御駆動のための指令データの計算用に用いることで、基礎円半径を正規に設定した場合も、正規より大きく設定した場合も、正規より小さく設定した場合も、検定用マスタの同一箇所の歯形を測定するので、検定用マスタの形状偏差が検定結果に混入することを防止でき、検定対象の歯形測定機に起因する誤差のみを検定できる。また、接触子の物理的接触位置を可変調整する必要がないので、この位置を可変調整する従来の場合に比べて、簡単な検定法を提供できる。さらに、検定用マスタの被検面の形状偏差から、検定用マスタの基礎円半径を正規の値から変更することにより設定された圧力角誤差の理論値を差引くことにより、各々の基礎円半径における複数の測定値偏差をそれぞれ求めて、各々の基礎円半径における測定値偏差の平均値を求めることができ、これらの平均値に基づいて検定の対象としている歯形測定機の状態に関する様々な資料を作成することができる。
【0032】
請求項2に記載された発明は、検定用マスタが取付けられた回転主軸と、検定用マスタの回転角を検出するロータリエンコーダが設けられた下部センタとの接続を解除して、検定用マスタの被検面の位相とロータリエンコーダとの相対的位置関係を一定角度ずらして固定することと、請求項1記載の検定法を実行することとを繰返す歯形測定機の検定法であり、検定用マスタの被検面の位相とロータリエンコーダとの相対的位置関係を一定角度毎ずらしながら検定を繰返し実行することで、ロータリエンコーダの使用場所によるデータの差、ロータリエンコーダの下部センタと回転主軸とを接続するカップリングの影響、回転主軸のセンタ穴の狂いの影響などを知ることができる。
【0033】
請求項3に記載された発明は、請求項1または2記載の歯形測定機の検定法において、各々の基礎円半径における複数の測定値偏差の平均値からのずれを求め、これらのずれに基づいて、検定の対象としている歯形測定機の状態に関する資料を作成する検定法であり、歯形測定機の繰返し精度に関する性能を表すことができる。
【0034】
請求項4に記載された発明は、請求項3記載の歯形測定機の検定法において、各々の基礎円半径における複数の測定値偏差の平均値からのずれを統計処理することにより、これらのずれのばらつきの確率密度関数を求める検定法であり、測定結果をその平均値の周りに分布するデータに変換して統計処理することにより、ある程度の形状偏差を持つ検定用マスタを用いた歯形測定機の検定であっても、信頼性のある結果が得られる。
【0035】
請求項5に記載された発明は、請求項1乃至4のいずれか記載の歯形測定機の検定法において、歯形測定機の状態に関する資料が、ビジュアル表示された検定結果である検定法であり、ビジュアル表示により、検定結果を目に見える形で容易に評価できる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1乃至図21に示された一実施の形態を参照しながら詳細に説明する。なお、従来技術の説明で用いた図21は、本発明を説明する上でも用いる共通の図面である。
【0037】
本検定法は、生産歯車の歯面形状検査と同じ測定方法で、インボリュートからの形状偏差の絶対値が既知の基準マスタあるいは若干の未知の形状偏差を持つ検定用マスタを歯形測定機のユーザが計測することによって、日頃行っている生産歯車の歯面形状検査の結果の信頼性を保証し、また、その歯形測定機の健康状態を把握することを目的とするものであって、歯形測定機のメーカが本来行うような歯形測定機の各部品や組立、アライメントなどの個別の精度測定を行うことにより歯形測定機の製造精度を求めようとするものではない。
【0038】
図1に基づき、本検定法の概略を説明すると、検定用マスタ16を検定対象の歯形測定機に取付け、その基礎円半径rbを正規に設定して(a=0)、自動的に検定用マスタ16の同一箇所の被検面16aを複数回測定し、次に基礎円半径を正規より大きく自動設定して(a=+drb)、検定用マスタ16の同一箇所の被検面16aを複数回測定し、次に、基礎円半径を正規より小さく自動設定して(a=−drb)、検定用マスタ16の同一箇所の被検面16aを複数回測定する。
【0039】
このとき、検定用マスタ16の被検面16aに接触する歯形測定機の接触子15の物理的接触位置は、検定用マスタ16の基礎円半径を正規に設定した状態(a=0)のままで動かさず、変更した基礎円半径の値は、基礎円の接線方向のみに変位する接触子台 14の並進変位を決める数値制御駆動のための指令データの計算用のみに使用する。
【0040】
さらに、検定用マスタ16が取付けられた回転主軸11と、検定用マスタ16の回転角を検出するロータリエンコーダ26が設けられた下部センタ22とを接続するカップリングを解除して、検定用マスタ16の被検面16aの位相とロータリエンコーダ26との相対的位置関係を一定角度ずつ、ずらして固定し(k=1〜5)、各位相で上記検定法をそれぞれ実行する。
【0041】
図20に示されるように、対象とする歯形測定機は、機体21上に、歯形測定されるインボリュート円筒歯車または検定用マスタ16を軸支する回転主軸11が、下部センタ22および上部センタ23により回転可能に支持され、カップリング24により下部センタ22と接続され、この下部センタ22には、この下部センタ22を回転駆動する駆動系25と、回転角を検出するロータリエンコーダ26とが設けられている。
【0042】
機体21には、Y軸駆動モータ27YによりY軸方向に移動されるY軸方向移動体(コラム)28Yが設けられ、その移動量はY軸リニアエンコーダ29Yにより検出され、また、Y軸方向移動体28Yには、X軸駆動モータ27XによりX軸方向に移動されるX軸方向移動体28Xが設けられ、その移動量はX軸リニアエンコーダ29Xにより検出され、また、X軸方向移動体28Xには(以下、X軸を「並進移動軸」という)、Z軸駆動モータ27ZによりZ軸方向に移動されるZ軸方向移動体28Zが設けられ、その移動量はZ軸リニアエンコーダ29Zにより検出される。
【0043】
X軸駆動モータ27XからZ軸方向移動体28Zまでの部材は、変位センサ13の接触子台14をX軸方向に動かす並進移動軸部材であり、さらに、変位センサ13の接触子台14に対し歯面からの接触圧により可動的な接触子15が設けられている。
【0044】
そして、図21に示されるように、変位センサ13の接触子15を被検面16aに接触させながら、被検面16aの理想形状に沿うように、回転主軸11の回転角度位置θと、X軸方向移動体28XとともにX軸方向に移動する接触子台14の並進変位Xあるいは{X,Y}あるいは{X,Y,Z}(以下、並進変位Xという表現で代表する)とを同期させて、数値制御(以下、NCという)により駆動する。
【0045】
この図21において、ロータリエンコーダ26およびX軸リニアエンコーダ29Xにより検出された検出信号は、信号調整器31およびカウンタ32を経てNC制御部33にフィードバックされるとともに、パーソナルコンピュータ34に取込まれる。
【0046】
図19(a)、(b)に示されるように、この歯形測定機によるインボリュート円筒歯車の歯形測定の基本原理は、変位センサ13の接触子台14に対する接触子15の変位δを検出して、それらの実測値より算出される被検面16aの空間位置座標と、数学的に与えられる被検面16aあるいはその断面の理想形状の座標値(X=dhθ/2)との差として、被検面16aの形状偏差を求める。
【0047】
変位センサ13には、差動トランス、光波干渉式レーザ干渉計、デジタル式変位センサ(マグネスケール、インダクトシン、モアレ縞)、抵抗体歪みゲージ、光学式リニアエンコーダ、光電顕微鏡などの長さ変位計および位置検出器なども含まれる。
【0048】
次に、インボリュート円筒歯車の歯形測定機に関する検定法の一実施の形態を説明する。
【0049】
従来検定法の図22において歯面形状誤差を0とするP点(両インボリュート曲線が交わる点)が、本検定法では、図2に示された基礎円上の点H1における接線上のA1点に一致するように初期設定をする。
【0050】
この点より回転角度位置でθ隔たった点における検出値は、図2においてA2A3間の距離であり、基礎円半径を変化させて測定を行った場合においても、回転主軸11の同じ回転角度位置θが被検面の位置を決定する。
【0051】
すなわち、測定データのサンプリングが、回転主軸11の同じ回転角度位置θにおいてなされるとすれば、drbの値を変えても、同じθにおけるサンプリングは検定用マスタ16の被検面16a上の同じ点の測定値である。
【0052】
その結果、検定用マスタ16が持つなにがしかの形状偏差は、この検定用マスタ16のこの設置角度位置で、drbを変更して、繰返し測定をして得られるデータについては、θに関する不変の関数として検定結果に加わることになる。
【0053】
したがって、この検定作業で最も対象としなくてはならない歯形測定機駆動のNC制御の誤差のみを検定結果から評価することが可能となる。
【0054】
このような検定法による検定結果においては、検定用マスタ16の形状偏差に起因する誤差は全く入ってこないので、基礎円半径を変えて測定した結果において、その平均値の回転主軸11の回転角度位置θに対する細かい凹凸に対応関係があれば、これは、検定用マスタ16の形状偏差に対応するものであり、測定センサの微小入力に対する感度の正確さを推し測るものになる。
【0055】
さらに、従来の検定法では絶対的に正しい精度の検定用マスタ16を用いなければ対象とする歯形測定機の検定結果の信頑性に問題を生じたが、本方法では、後述するように、測定結果をその平均値の周りに分布するデータに変換して統計処理することにより、ある程度の形状偏差を持つ検定用マスタ16を用いた歯形測定機の検定であっても、結果の信頼性に問題を生じない利点がある。
【0056】
次に、接触子15の被検面16aへの接触点が設定基礎円半径rb2にかかわらず、基準基礎円半径rb1の位置に留まる場合の検出値を検証する。ここでは、数値計算プログラムとの対比で明確さを期すため、検定用マスタ16の基礎円半径rbをrblと記述している。
【0057】
図2において、ハッチングを施したインボリュートは、基礎円半径rblを持つ検定用マスタ16の被検面16aであり、ハッチングのないインボリュートは、CNC制御により仮想的に実現される基礎円半径rb2を持つ歯形測定の基準、すなわち、歯形精度定義の基準となるインボリュートである。ここで、drb=rb2−rblである。
【0058】
測定の実際においては、まず歯面の中程ぐらいにあるピッチ点での歯面形状誤差を0とする、すなわち、図2のA1点において両インボリュートが交わるように初期設定をする。
【0059】
この点より回転角度位置でθ隔たった点における検出値は、本検定法の測定では、A2A3間の距離である。
【0060】
このA2A3間の距離は、図2および図3中に示した式を連立して解くことにより、求めることができる。その結果は、図4に示す通りであり、A2A3間の距離は、drb・θで、十分の精度で近似できることがわかる。
【0061】
すなわち、図22乃至図24に示された従来技術では、BC間の距離は、drb・θにより十分な精度で近似できることがわかり、また、図2乃至図4に示されるように、本発明に係る検定法では、A2A3間の距離は、drb・θにより十分な精度で近似できることがわかる。これにより、従来技術では判らなかった精度が把握できる。
【0062】
次に、図5に示されたフローチャートを参照しながら、具体的測定手順の例を説明する。なお、丸数字は、ステップ番号を表す。
【0063】
通常は、
(1)日頃行っている生産歯車の歯面形状検査の手順に従い、検定用マスタ16の測定を行う。先ず、検定用マスタ16を基準位置(0°)にセットする(ステップ1)。
【0064】
(2)基礎円半径rbを正規に設定し、同一箇所の歯形を例えば左歯面8回、右歯面8回連続して測定する(ステップ2)。
【0065】
(3)基礎円半径rbを正規より例えば0.05mm大きく設定し、同一箇所の歯形を例えば左歯面8回、右歯面8回連続して測定する(ステップ3)。
【0066】
(4)基礎円半径rbを正規より例えば0.05mm小さく設定し、同一箇所の歯形を例えば左歯面8回、右歯面8回連続して測定する(ステップ4)。
【0067】
以上、(2)、(3)、(4)を測定セットと呼ぶ。
【0068】
さらに、ロータリエンコーダ26の精度の影響が心配なときは、次の(5)〜(8)の測定をする。
【0069】
(5)測定セット1が終了したら、歯形測定機のロータリエンコーダ26に繋がっている下部センタ22に対し検定用マスタ16の被検面の位置を、基準位置から相対的に90°回転させ(ステップ5、6)、上記、(2)、(3)、(4)と同じ測定を行う(測定セット2)。
【0070】
(6)測定セット2が終了したら、歯形測定機のロータリエンコーダ26に繋がっている下部センタ22に対し検定用マスタ16の被検面の位置をさらに90°回転させ(ステップ7、8)、当初位置から180°の位置で、上記、(2)、(3)、(4)と同じ測定を行う(測定セット3)。
【0071】
(7)測定セット3が終了したら、歯形測定機のロータリエンコーダ26に繋がっている下部センタ22に対し検定用マスタ16の被検面の位置をさらに90°回転させ(ステップ9、10)、当初位置から270°の位置で、上記、(2)、(3)、(4)と同じ測定を行う(測定セット4)。
【0072】
(8)測定セット4が終了したら、歯形測定機のロータリエンコーダ26に繋がっている下部センタ22に対し検定用マスタ16の被検面の位置をさらに90°回転させ、当初位置にもどり(ステップ11、12)、上記(2)、(3)、(4)と同じ測定を行う(測定セット5)。
【0073】
(9)検定は、常に左右両歯面を連続して行う。
【0074】
次に、図6乃至図8を参照しながら、具体的データ処理の手法を説明する。
【0075】
いま、歯形測定時の回転主軸11の回転角度位置をθ、設定した基礎円半径の正規の値からの偏差をdrbとし、回転主軸11の回転角度位置θの形状偏差に対応する検出信号を、図6に示されるように、fkai(θ)と表わす。
【0076】
図1に示されるように、添字kは、測定セット1から5までのデータであることを表し(k=1,…,5)、検定用マスタ16に対してロータリエンコーダ26が図示されるような場合(第1回目測定状態)をk=1、検定用マスタ16の回転主軸11とロータリエンコーダ26の下部センタ22とを連結するカップリング24を結合解除して、検定用マスタ16に対してロータリエンコーダ26を相対的にπ/2回転させて再結合した場合をk=2、……検定用マスタ16に対してロータリエンコーダ26を相対的に1回転させてk=1と同じ状態に結合した場合をk=5とする。
【0077】
また、添字aは、基礎円半径の設定を正規、+drb、−drbにしたデータであることを表し(a=0,+drb、−drb)、基礎円半径rb、(rb+drb)、(rb−drb)をそれぞれ想定して、変位センサ13の接触子15をx=rb・θと駆動する場合をa=0とし、x=(rb+drb)・θと駆動する場合をa=+drbとし、x=(rb−drb)・θと駆動する場合をa=−drbとする。ただし、歯面に対する接触子15の位置は変えず、これらの3種類の基礎円半径により、検定用マスタ16および接触子15に創成運動をさせる。
【0078】
さらに、添字iは、同じ条件での繰返し測定のデータであることを表している(例えばi=1,…,8)。
【0079】
図2乃至図4により説明した通り、この測定により、drb・θに十分近い歯面形状偏差が測定されるはずであるので、作用線上における歯形検査範囲の長さをh、その範囲における検査曲線の圧力角誤差をfHαとすれば、fHα/Lαは、drb/rbに一致するはずである。
【0080】
センサの測定信号から、発生している圧力角誤差の理論値を差引いて、図6に示されるように、ある測定条件{k,a}における測定値偏差f* kai(θ)を求める。
【0081】
f* kai(θ)=fkai(θ)−drb・θ
【0082】
この値について、図7に示されるように、ある測定条件{k,a}における測定値偏差の、θ点での平均値Fka(θ)を求める。
【0083】
Fka(θ)=iMean [ f*kai( θ ) ]
【0084】
さらに、図7に示されるように、ある測定条件{k,a}における測定値偏差の、θ点での平均値からのずれf** kai(θ)を求める。
【0085】
f** kai(θ)=f* kai(θ)−Fka(θ)
【0086】
さらに、図8に示されるように、ある角度位置kの測定における測定値偏差の平均値からのずれの全データのばらつきの確率密度関数Pk(f**)を求める。
【0087】
Pk(f**)=aiθProbability Density Function [ f**kai( θ ) ]
【0088】
また、図8に示されるように、ある測定条件{k,a}における測定値偏差の平均値からのずれの平均値をとって平均曲線F** ka(θ)を求める。
【0089】
F** ka(θ)=iMean [ f**kai( θ ) ]
【0090】
この平均曲線F** ka(θ)において、ある測定条件{k,a}における測定値偏差の平均値からのずれの最大値
uf**ka
を求める。
【0091】
uf**ka=θiMax [ f**kai( θ ) ]
【0092】
さらに、この平均曲線F** ka(θ)において、ある測定条件{k,a}における測定値偏差の平均値からのずれの最小値
lf**ka
を求める。
【0093】
lf**ka=θiMin [ f**kai( θ ) ]
【0094】
また、図7に示されるように、ある測定条件{k,a}における測定値偏差の平均値からのずれの、θ点での標準偏差ska(θ)を求める。
【0095】
ska(θ)=iStandard Deviation [ f**kai( θ ) ]
【0096】
同様に、図8に示されるように、ある測定条件{k,a}における測定値偏差の平均値からのずれの標準偏差Skaを求める。
【0097】
Ska=θiStandard Deviation [ f**kai( θ ) ]
【0098】
また、ある角度位置kの測定における、θ点測定値の標準偏差の平均値からのずれの最大値sk −(θ)を求める。
【0099】
sk −(θ)=aMax [s ka( θ ) ]
【0100】
さらに、ある角度位置kの測定における測定値偏差の平均値からのずれの標準偏差全体の最大値Skを求める。
【0101】
Sk=aMax [S ka ]
【0102】
また、F** ka(θ)を、
F** ka(θ)=aka+bka (rbθ)+cka (rbθ)2+dka (rbθ)3
と曲線近似(curve fitting)し、係数bka、cka、dkaを求める。
【0103】
係数bkaは、測定における圧力角検出値の狂いの程度、ckaは、測定における2次成分の狂いの混入の程度、dkaは、測定における3次成分の狂いの混入の程度を表す指標値である。
【0104】
次に、検定結果を評価するために、図9乃至図18に示されるような目に見える形で、具体的にビジュアル表示する。検定結果の評価例を説明する。
【0105】
種々の測定セットについて、基礎円半径の設定を正規、+drb、−drbにしたデータ(a=0,+drb、−drb)の比較結果は次のことを表す。
【0106】
(1)Fka(θ)曲線の凹凸の類似性は、検定用マスタ16の形状偏差に対応するものと考えられる。
【0107】
(2)Fka(θ)曲線の相違は、一定の測定条件{k,a}での測定値の、θを基準とした歯形測定磯の並進軸のNC制御の不正確さを表し、また、{bka、cka、dka}の相違は、これを定量化したものである。
【0108】
(3)ska(θ)曲線の0(zero value)からのずれは、歯形測定機の繰返し精度のθの依存性を表す。
【0109】
Skaのaに関するばらつきは、一定の測定条件{k}での測定の繰返し精度に及ぼすセンサ押付圧などの影響を表している。すなわち、(a=0,+drb、−drb)によるska(θ)曲線の相違は、わずかの接触圧(あるいは接触子15の変位)によるセンサの繰返し精度の違いを表す。
【0110】
Skは、検定用マスタ16がこの角度位置に取付けられて測定する場合の繰返し精度を表している。
【0111】
(4)測定セット1と5との差は、繰返し精度と再現性の差の原因の一部を表す。
【0112】
測定値の標準偏差を表す図11における、
kMax [S k ]
は、繰返し精度の最悪値を表し、再現性の最良値を表すものである。
【0113】
(5)回転主軸11ならびにロータリエンコーダ26の異なる箇所を使用しての測定セット(回転位相角0,0.5π,π,1.5π,2π,:(k=1,…,5))の結果の差は、
・ロータリエンコーダ26の使用場所によるデータの差
・ロータリエンコーダ26と下部センタ22を継ぐカップリング24の影響
・コラムの倒れの影響
・回転主軸11のセンタ穴の狂いの影響
を表す。
【0114】
これらの評価を行うための具体的表示は、図9〜図18に示されるような表形式またはグラフ形式で表示する。
【0115】
なお、k=1として、ロータリエンコーダ26やカップリング24の不整に関する影響を取込まない状態で簡易的に校正することもある。
【0116】
以上のように、本検定法は、各種誤差要因の全てに起因する誤差を総合的に含んだ歯形形状偏差の測定データであっても、それがその真の値からどの程度ずれている範囲に収まっているかを、工業的実用性の観点から明らかにするもので、生産歯車の歯形精度検査結果を保証するため、その測定を行った歯形測定機の測定精度を保証する歯形測定機の検定データの1つの見本を提案するものである。必要な折りには、この検定データは、その生産歯車精度検査結果の添付資料として用いられるべきものである。また、この検定データは、歯形測定機の日頃のメインテナンスを正しく行うための補助に用いることができる。
【0117】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、接触子の物理的接触位置は、検定用マスタの基礎円半径を正規に設定したままで動かさず、歯形測定機の接触子が有する不感帯などによる測定誤差を防止するために変更した基礎円半径の値は、接触子台の並進変位を決める数値制御駆動のための指令データの計算用に用いることで、基礎円半径を正規に設定した場合も、正規より大きく設定した場合も、正規より小さく設定した場合も、検定用マスタの同一箇所の歯形を測定するので、検定用マスタの形状偏差が検定結果に混入することを防止でき、検定対象の歯形測定機に起因する誤差のみを検定できる。また、接触子の物理的接触位置を可変調整する必要がないので、この位置を可変調整する従来の場合に比べて、簡単な検定法を提供できる。さらに、検定用マスタの被検面の形状偏差から、検定用マスタの基礎円半径を正規の値から変更することにより設定された圧力角誤差の理論値を差引くことにより、各々の基礎円半径における複数の測定値偏差をそれぞれ求めて、各々の基礎円半径における測定値偏差の平均値を求めることができ、これらの平均値に基づいて検定の対象としている歯形測定機の状態に関する様々な資料を作成することができる。
【0118】
請求項2記載の発明によれば、検定用マスタの被検面の位相とロータリエンコーダとの相対的位置関係を一定角度毎ずらしながら検定を繰返し実行することで、ロータリエンコーダの使用場所によるデータの差、ロータリエンコーダの下部センタと回転主軸とを接続するカップリングの影響、回転主軸のセンタ穴の狂いの影響などを知ることができる。
【0119】
請求項3記載の発明によれば、歯形測定機の繰返し精度に関する性能を表すことができる。
【0120】
請求項4記載の発明によれば、測定結果をその平均値の周りに分布するデータに変換して統計処理することにより、ある程度の形状偏差を持つ検定用マスタを用いた歯形測定機の検定であっても、信頼性のある結果が得られる。
【0121】
請求項5記載の発明によれば、ビジュアル表示により、検定結果を目に見える形で容易に評価できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る歯形測定機の検定法の一実施の形態を示す説明図である。
【図2】 同上検定法の精度を検証するための説明図(その1)である。
【図3】 同上検定法の精度を検証するための説明図(その2)である。
【図4】 同上検定法の精度を検証するために実測値と理論値とを比較したグラフである。
【図5】 同上検定法の具体的測定手順を示すフローチャートである。
【図6】 同上検定法で得られた歯車測定検出信号およびこれから理論値を差引いた測定値偏差を示す説明図である。
【図7】 同上検定法で得られた測定値偏差の平均値、測定値偏差のθ点での平均値からのずれ、測定値偏差の平均値からのずれのθ点での標準偏差を示す説明図である。
【図8】 同上検定法で得られた測定値偏差の平均値からのずれの平均曲線、測定値偏差の平均値からのずれの最大値および最小値、測定値偏差の平均値からのずれの全データのばらつきの確率密度関数を示す説明図である。
【図9】 同上検定法で得られた圧力角誤差を示す表形式の表示例である。
【図10】 同上検定法で得られた測定値偏差の平均値からのずれの最大値および最小値を示す表形式の表示例である。
【図11】 同上検定法で得られた測定値偏差の平均値からのずれの標準偏差を示す表形式の表示例である。
【図12】 同上検定法で得られた測定値偏差のθ点での平均値からのずれを示すグラフ形式の表示例である。
【図13】 同上検定法で得られた測定値偏差のθ点での平均値を示すグラフ形式の表示例である。
【図14】 同上検定法で得られた測定値偏差の平均値からのずれのθ点での標準偏差を示すグラフ形式の表示例である。
【図15】 同上検定法で得られた測定値偏差の平均値からのずれの全データのばらつきの確率密度関数を示すグラフ形式の表示例である。
【図16】 同上検定法で得られた圧力角検出値の狂いの直線成分を示す表形式の表示例である。
【図17】 同上検定法で得られた圧力角検出値の狂いの2次成分を示す表形式の表示例である。
【図18】 同上検定法で得られた圧力角検出値の狂いの3次成分を示す表形式の表示例である。
【図19】 (a)は、同上検定法の前提となるインボリュート円筒歯車の歯形測定の基本原理を示す説明図、(b)は、その歯形測定例を示すグラフである。
【図20】 インボリュート円筒歯車歯形測定機の装置概略を示す正面図である。
【図21】 同上歯形測定機のシステムを示す概略図である。
【図22】 本発明に係る検定法との比較で従来の検定法を説明するための説明図(その1)である。
【図23】 同上従来の検定法を説明するための説明図(その2)である。
【図24】 同上従来の検定法により得られた実測値と理論値とを比較したグラフである。
【符号の説明】
rb 基礎円半径
11 回転主軸
15 接触子
16 検定用マスタ
16a 被検面
22 下部センタ
26 ロータリエンコーダ
Claims (5)
- 回転主軸およびこの回転主軸を中心とする基礎円の接線方向に設けられた並進移動軸を持ち、並進移動軸に沿って移動される変位センサの接触子台に対し接触子が変位可能に設けられ、この接触子を回転主軸に嵌着された検定用マスタの被検面に接触させながら、被検面の理想形状に沿うように、回転主軸の回転角度位置と接触子台の並進変位とを同期させて数値制御により駆動し、接触子台に対する接触子の変位を検出して、それらの検出された値より算出される被検面の空間位置座標と、被検面の理想形状の座標値との差として、被検面の形状偏差を求める歯形測定機の検定法であって、
検定用マスタを検定対象の歯形測定機に取付け、
基礎円半径を正規に設定して自動的に検定用マスタの同一箇所の歯形を複数回測定することで、検定用マスタの被検面の形状偏差をそれぞれ求め、
検定用マスタの被検面に接触する歯形測定機の接触子の物理的接触位置は、検定用マスタの基礎円半径を正規に設定したままで動かさず、正規より大きく自動設定した基礎円半径の値を、接触子台の並進変位を決める数値制御駆動のための指令データの計算用に用いて検定用マスタの同一箇所の歯形を複数回測定することで、検定用マスタの被検面の形状偏差をそれぞれ求め、
検定用マスタの被検面に接触する歯形測定機の接触子の物理的接触位置は、検定用マスタの基礎円半径を正規に設定したままで動かさず、正規より小さく自動設定した基礎円半径の値を、接触子台の並進変位を決める数値制御駆動のための指令データの計算用に用いて検定用マスタの同一箇所の歯形を複数回測定することで、検定用マスタの被検面の形状偏差をそれぞれ求め、
各々の基礎円半径における検定用マスタの被検面の形状偏差から、検定用マスタの基礎円半径を正規の値から変更することにより設定された圧力角誤差の理論値を差引くことにより、各々の基礎円半径における複数の測定値偏差をそれぞれ求め、
各々の基礎円半径における複数の測定値偏差から各々の基礎円半径における測定値偏差の平均値を求め、
各々の基礎円半径における測定値偏差の平均値に基づいて、検定の対象としている歯形測定機の状態に関する資料を作成する
ことを特徴とする歯形測定機の検定法。 - 検定用マスタが取付けられた回転主軸と、検定用マスタの回転角を検出するロータリエンコーダが設けられた下部センタとの接続を解除して、検定用マスタの被検面の位相とロータリエンコーダとの相対的位置関係を一定角度ずらして固定することと、
請求項1記載の検定法を実行することとを繰返す
ことを特徴とする歯形測定機の検定法。 - 各々の基礎円半径における複数の測定値偏差の平均値からのずれを求め、
これらのずれに基づいて、検定の対象としている歯形測定機の状態に関する資料を作成する
ことを特徴とする請求項1または2記載の歯形測定機の検定法。 - 各々の基礎円半径における複数の測定値偏差の平均値からのずれを統計処理することにより、これらのずれのばらつきの確率密度関数を求める
ことを特徴とする請求項3記載の歯形測定機の検定法。 - 歯形測定機の状態に関する資料は、ビジュアル表示された検定結果である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の歯形測定機の検定法。
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