JP2987044B2 - 水素吸蔵合金粉末の製造方法 - Google Patents

水素吸蔵合金粉末の製造方法

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JP2987044B2 JP5316105A JP31610593A JP2987044B2 JP 2987044 B2 JP2987044 B2 JP 2987044B2 JP 5316105 A JP5316105 A JP 5316105A JP 31610593 A JP31610593 A JP 31610593A JP 2987044 B2 JP2987044 B2 JP 2987044B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はニッケル水素電池の電
極等に使用するための嵩密度、即ち容器に詰める際の充
填密度が高く、初期活性化特性が従来の鋳造・破砕によ
るものと同等に高い水素吸蔵合金粉末の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の工程においては、所定の合金成分
を溶解・鋳造後、該鋳塊を粉砕して水素吸蔵合金粉末を
製造している。この方法による粉末形状は不定形である
ため嵩密度が低く通常真密度の50から55%程度であ
る。
【0003】これに対してアトマイズ粉末は球状であ
り、真密度の60%以上の充填密度を達成できるため、
例えばニッケル水素電池の電極に成型した際、極により
多くの水素吸蔵合金を充填できる結果、より多くの水素
を蓄積できるため電池容量が向上し、性能が優れた電池
が製造できる。
【0004】しかし粉砕によって新生面を出しながら希
望の粒度にそろえてゆく従来法に比べてアトマイズ法に
よって製造した粉末は極く表面の酸素濃度が高く水素吸
蔵の初期活性化特性が悪くなる欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はアトマイズ粉
末の高い充填密度特性を維持しつつ、従来法の鋳造・破
砕による水素蔵合金粉末と同等の初期活性化特性を発揮
する粉末の製造方法に関するものである。
【0006】すなわちガスアトマイズ法によって球状で
嵩密度の高い粉末を製造した後、この粉末の初期活性化
特性向上のため、粉末表面に微小クラックを発生させて
新生面が露出するように処理を施す。この処理は通常ボ
ールミル等によって行うことが可能であるが、そのよう
な強加工ではアトマイズ粉末も粉砕されるため、従来法
と同様な不規則形状となり嵩密度特性が低下してしま
う。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは球状の形状を
崩すことなく、即ちアトマイズ粉末の特徴である高い嵩
密度を維持しつつ極く表面にのみクラックを発生させて
初期活性化を向上させる方法を採るため各種条件で実験
を行なった。その結果ボールミルに使用するポットにア
トマイズ粉末を真空脱気状態または不活性ガスと共に充
填し、ボールを使用せずにポットだけを回転させること
によって粉末表面同志を衝撃接触させることによって、
アトマイズ粉末の特徴である球状の形状を崩すことなく
初期活性加速度を向上できることを見出した。
【0008】本発明の上記の課題を解決するための手段
は、ガスアトマイズ法で製造した水素吸蔵合金粉末を、
回転容器又は振動容器に真空状態又は不活性ガスと共に
封入し、この容器を回転もしくは振動させて、封入した
粉末表面同士を衝撃接触させることによって粉末の球状
形状を崩すことなく処理することを特徴とする粉末の嵩
密度が真密度の60%以上である水素吸蔵合金粉末の製
造方法にある。
【0009】本発明は、回転容器にアトマイズ粉末を充
填し、回転させることによって粉末表面同士を衝撃接触
させるので、粉末表面に微小クラックを発生して新生面
を露出し初期活性化特性が向上すると共に、アトマイズ
粉末特有の球状が維持されているので嵩密度が低下する
ことなく、従ってニッケル水素電池の電極等に成形する
際により多くの水素吸蔵合金粉末が充填できる。
【0010】
【実施例】Mm1.0Ni3.5Co0.5Mn1.0の成分に調整した材料
を誘導溶解炉にセットし、アルゴン雰囲気中で溶解し
た。溶解された材料を1450℃の温度に保持した後、アル
ゴンガスアトマイズ法によって粉末を製造した。得られ
た粉末はほぼ完全な球形で、100 μm 以下に篩で分級し
た後の平均粒径は56μm で、嵩密度は真密度の約65%で
あった。
【0011】この粉末 100grを容量300cc のめのう製ポ
ット中に充填し、このポットを回転速度300rpmで20分間
回転ミルにより回転処理(以下「ミリング処理」とい
う。)した。使用したポットと回転ミルは通常ボールミ
ル処理に使用されるものであるが、この処理においては
ボールは使用せず粉末同士あるいは粉末とポット内壁の
衝突だけが生ずるようにした。処理後の粉末は平均粒径
が54μm 、嵩密度が真密度の65% で処理前に比べて変化
は見られず、顕微鏡観察においても割れや欠けは見られ
なかった。
【0012】図1に模式的に示す装置1で、ミリング処
理後の粉末2の1.0gr を圧力容器3中にセットし、恒温
槽4で80℃に保持しながら、水素供給バルブ5を閉じ、
圧力容器バルブ6および排気バルブ7を開いて真空ポン
プで引きながら30分間真空脱ガス処理して活性化した
後、排気バルブ7を閉じ、水素供給バルブ5を開いて10
気圧の水素を導入して圧力容器3中の圧力変化をセンサ
ー8で検知してペンレコーダーで記録した。この脱ガス
による活性化・水素中保持工程を繰り返して行い記録
し、粉末の活性化の良否を判定した。記録した結果を図
2に示す。
【0013】また比較用としてアトマイズまま(ミリン
グ処理を施さない)の粉末についても同様の実験を行っ
て記録した。記録した結果を図3に示す。
【0014】本発明による水素吸蔵合金粉末は1回目の
活性化で水素吸蔵能力が生じ始め、2回目の活性化で水
素吸蔵能力は立上がっていることが、図2から判る。こ
れに対し、アトマイズままの粉末は1回目の活性化では
圧力変化はなく水素吸蔵能力は得られず、2回目の活性
化で20分経過後にやっと水素吸蔵能力が生じ始め、3
回目の活性化で水素吸蔵能力は立上がりだしたことが図
3から判る。
【0015】
【発明の効果】本発明によって製造した水素吸蔵合金粉
末は、初期活性化速度が従来法の鋳造・破砕により製造
した粉末と同等で、従来法による粉末の嵩密度が真密度
の55%であるのに対し、本発明の方法によると真密度
の60%以上の高い嵩密度が達成できる粉末を得ること
が可能となり、特に電池用途に使用した際にはより電池
容量の大きい電池が製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】初期活性化速度を求めるための試験装置を模式
的に示す図である。
【図2】本発明の方法によりアトマイズ後にミリング処
理した水素吸蔵合金粉末の活性化能を水素圧力と保持時
間の関係で示す図である。
【図3】アトマイズままの水素吸蔵合金粉末の活性化能
を水素圧力と保持時間の関係で示す図である。
【符号の説明】
1 試験装置 2 粉末 3 圧力容器 4 恒温槽 5 水素供給バルブ 6 圧力容器バルブ 7 排気バルブ 8 センサー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22F 1/00 B22F 9/08 C22C 19/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスアトマイズ法で製造した水素吸蔵合
    金粉末を、回転容器に真空状態又は不活性ガスと共に封
    入し、この容器を回転させて、封入した粉末同士或いは
    粉末と容器内壁を衝撃接触させることによって粉末の球
    状形状を崩すことなく表面にクラックを発生させて初期
    活性化特性向上処理することを特徴とする、粉末の嵩密
    度が真密度の60%以上である水素吸蔵合金粉末の製造
    方法。
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