JP2985549B2 - 半導体の封止方法 - Google Patents

半導体の封止方法

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JP2985549B2
JP2985549B2 JP4354904A JP35490492A JP2985549B2 JP 2985549 B2 JP2985549 B2 JP 2985549B2 JP 4354904 A JP4354904 A JP 4354904A JP 35490492 A JP35490492 A JP 35490492A JP 2985549 B2 JP2985549 B2 JP 2985549B2
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  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)
  • Encapsulation Of And Coatings For Semiconductor Or Solid State Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体の封止方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子部品に用いられる半導体チッ
プの封止剤としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、
ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂などが使用されてお
り、これらの熱硬化性樹脂は、ポッティング、シーリン
グ、コーティング、あるいはトランスファー成形法など
の封止方法が適用されている。しかしながら、従来の封
止剤をを用いて半導体を封止するためには、封止の前工
程として熱硬化性樹脂の予備硬化状態が必要であり、ま
た硬化時間が長時間であり、さらに後硬化処理が必要で
あるなどの問題がある。
【0003】このような問題点を解決するために、半導
体チップを金型に入れ、熱可塑性樹脂を直接射出成形す
ることにより生産性を高めようとすることが提案されて
いる。例えば、特開平1−248546公報、特開平2
−75662号公報、特開昭63−31451号公報、
米国特許第5,110,861号明細書などには、熱可
塑性樹脂を用いて半導体チップを封止する方法が開示さ
れている。しかしながら、熱可塑性樹脂を射出成形によ
り封止する方法は、200℃以上の高温と300kgf
/cm2 以上の高圧を必要とするため、半導体チップが
破損したり、熱可塑性樹脂が金型内に注入された際に、
ワイヤーが変形したり、断線したりする。また、熱可塑
性樹脂は、一般的に耐熱性に劣るため、封止された半導
体チップに接続しているリードフレーム、その他の電子
部品にハンダ付けする際、高温により一部熱可塑性樹脂
が溶融するという問題がある。さらに、熱可塑性樹脂を
用いて封止された半導体チップは、長期信頼性に劣ると
いう問題がある。
【0004】また、特開平3−106963号公報に
は、ノルボルネン系樹脂の水素添加物とゴムとを含有し
てなる樹脂組成物を用いて、金属部品をインサンート成
形し、光ディスク基板の部品であるハブ用途に用いる技
術が開示されているが、樹脂とゴムとのブレンド物であ
り、光透過性に問題があり、また耐熱性に劣る。さら
に、特開平1−72535号公報には、4−メチル−1
−ペンテン樹脂を用いて射出成形する電子部品の封止方
法が開示されているが、実用上リードフレームとの密着
性が不充分であり、その改良が望まれている。さらに、
特開平1−30238号公報には、リードフレームとの
密着性を改良するために4−メチル−1−ペンテン樹脂
を不飽和カルボン酸でグラフト変性し、射出成形により
電子部品を封止する方法が開示されている。しかしなが
ら、この方法では、グラフト変性するという新たな重合
が必要であり、樹脂製造工程が複雑になるうえ、精製上
の問題、グラフト反応効率上の問題に関連し、品質の安
定化が困難であり、簡便に製造することができる樹脂の
出現が望まれていた。
【0005】さらに、特開平2−75662号公報に
は、封止剤として、熱可塑性樹脂としてポリフェニレン
サルファイドおよび液晶ポリマーなどを用いる例が開示
されている。しかしながら、この技術では、リードフレ
ームとの密着性を改良するために、各種充填剤を配合す
ることにより、流動性が悪くなり、樹脂の分子量を落と
す必要が生じ、その強度に問題がある。また、得られる
封止剤は、透明性はなく、光透過性が必要な樹脂封止用
には使用できない。
【0006】さらに、特開昭63−31451号公報に
は、熱可塑性樹脂として脂環構造を有するオレフィン系
重合体を用いた発光ダイオードに関する技術が提案され
ているが、実用上、リードフレームとの密着性が不充分
であった。また、ハンダ付けする際の耐熱性に問題があ
る。さらに、特開昭62−105610号公報には、ノ
ルボルネン単位含有単量体を用いて、RIM成形により
樹脂封止する方法が開示されているが、得られる樹脂の
耐熱性に問題がある。
【0007】以上のように、熱可塑性樹脂を用い射出成
形することにより、熱硬化性樹脂と較べてその成形時間
を大幅に短縮する目的で種々検討されているが、未だに
実用上充分な耐熱性、ヒートサイクル性、光透過性、長
期信頼性など、樹脂封止を成形時に半導体チップの破損
やワイヤー変形なく行う方法は存在しないのが実情であ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、成形時に半導体チッ
プの破損やワイヤー変形がなく、耐熱性、ヒートサイク
ル特性、光透過性、長期信頼性およびリードフレームな
どとの密着性に優れた半導体の封止方法を提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、半導体チップ
をマウントしたリードフレームを金型に連続的に供給し
つつ、下記一般式(I)で表されるノルボルネン誘導体
(以下「(I)ノルボルネン誘導体」ということがあ
る)を開環重合して得られるノルボルネン系樹脂を水素
添加して得られる水添ノルボルネン系樹脂を、樹脂温度
280〜360℃、金型温度を(Tg−80)℃〜(T
g+10)℃〔ただし、Tgは水添ノルボルネン系樹脂
のガラス転移温度(℃)〕とし、射出圧力10〜200
kgf/cm2 で射出成形し樹脂封止することを特徴と
する半導体の封止方法を提供するものである。
【0010】
【化2】
【0011】〔式中、A、BおよびXは水素原子または
炭素数1〜10の炭化水素基、Yは−(CH2 n CO
OR1 または−(CH2 n OCOR1 を示し、ここで
1 は炭素数1〜20の炭化水素基、nは0または1〜
10の整数を示す。〕
【0012】前記一般式(I)で表されるノルボルネン
誘導体において、A、B、XおよびYのうちに極性基を
含むことが、リードフレームとの密着性の点から好まし
い。ここで、この極性基は−(CH2 n COOR1
表されるカルボン酸エステル基であることが、得られる
水添ノルボルネン系樹脂が高いガラス転移温度を有する
ものとなる点で好ましい。特に、このカルボン酸エステ
ル基よりなる極性置換基は、(I)ノルボルネン誘導体
の1分子あたりに1個含有されることが、得られる水添
ノルボルネン系樹脂に高い耐熱性を保持したまま、吸湿
性を低くできる点で好ましい。また、−(CH2 n
OOR1 で表されるカルボン酸エステル基のうち、nの
値が小さいものほど、得られる水添ノルボルネン系樹脂
のガラス転移温度がさらに高くなるので好ましい。
【0013】前記一般式(I)において、R1 は炭素数
1〜20の炭化水素基であるが、炭素数が多くなるほど
得られる水添ノルボルネン系樹脂の吸湿性が小さくなる
点で好ましい。得られる水添ノルボルネン系樹脂のガラ
ス転移温度とのバランスの点から、R1 は炭素数1〜4
の鎖状アルキル基または炭素数5以上の(多)環状アル
キル基であることが好ましく、特にメチル基、エチル
基、シクロヘキシル基であることが好ましい。
【0014】さらに、カルボン酸エステル基が結合した
炭素原子に、同時に炭素数1〜10の炭化水素基が置換
基として結合されている(I)ノルボルネン誘導体は、
得られる水添ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度を低
下させずに、吸湿性を低下させるので好ましい。特に、
この置換基がメチル基またはエチル基である(I)ノル
ボルネン誘導体は、その合成が容易な点で好ましい。
【0015】前記(I)ノルボルネン誘導体の具体例と
しては、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、テ
トラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデ
セン、トリシクロ〔5.2.1.02,6 〕−8−デセ
ン、ペンタシクロ〔6.5.1.13,6 .02,7 .0
9,13〕−4−ペンタデセン、トリシクロ〔4.4.0.
2,5 〕−3−ウンデセン、5−カルボキシメチルビシ
クロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−メチル−5
−カルボキシメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2
−エン、5−シアノビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2
−エン、8−カルボキシメチルテトラシクロ〔4.4.
0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、8−カルボキシ
エチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−
3−ドデセン、8−カルボキシn−プロピルテトラシク
ロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、8
−カルボキシイソプロピルテトラシクロ〔4.4.0.
2,5.17,10〕−3−ドデセン、8−カルボキシn−
ブチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−
3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシメチルテト
ラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセ
ン、8−メチル−8−カルボキシエチルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、8−
メチル−8−カルボキシn−プロピルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、8−
メチル−8−カルボキシイソプロピルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、8−
メチル−8−カルボキシn−ブチルテトラシクロ〔4.
4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、ノルボルネ
ン、エチルテトラシクロドデセン、6−エチリデン−2
−テトラシクロドデセン、ペンタシクロ〔8.4.0.
2,5 .19,12.08,13〕−3−ヘキサデセン、ペンタ
シクロ〔7.4.0.12,5 .19,12.08,13〕−3−
ペンタデセン、ヘプタシクロ〔8.7.0.13,6 .1
10,17 .112,15 .02,7 .011,16 〕−4−エイコセ
ン、ヘプタシクロ〔8.8.0.14,7 .111,13 .1
13,16 .03,8 .012,17 〕−5−ヘンエイコセンなど
を挙げることができる。
【0016】これらの(I)ノルボルネン誘導体のう
ち、8−メチル−8−カルボキシテトラシクロ〔4.
4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセンは、これを開
環重合して得られる水添ノルボルネン系樹脂が高いガラ
ス転移温度と低い吸湿性を有するものとなる点で好まし
い。(I)ノルボルネン系誘導体は、単独であるいは2
種以上を混合して開環共重合反応を行うことができる。
【0017】なお、(I)ノルボルネン誘導体は、これ
と開環共重合可能な他の単量体(以下「他の単量体」と
いう)を80モル%以下、好ましくは50モル%以下程
度併用して開環共重合させることできる。この他の単量
体としては、例えばシクロブテン、シクロペンテン、シ
クロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、1,5,
9−シクロドデカトリエン、ノルボルネン、4−エチリ
デンノルボルネン、5−メチルノルボルネンジシクロペ
ンタジエン、テトラシクロ〔4.4.0.12,5 .1
7,10.01,6 〕ドデカ−3−エンなどを挙げることがで
きる。
【0018】これらの(I)ノルボルネン誘導体、ある
いはこれと共重合可能な他の単量体の混合物は、例えば
特開平4−77520号公報第4頁右上欄第12行〜第
6頁右下欄第6行に記載された方法によって、メタセシ
ス重合、水素添加され、本発明に使用される水添ノルボ
ルネン系樹脂とすることができる。
【0019】本発明において使用される水添ノルボルネ
ン系樹脂は、クロロホルム中、30℃で測定される固有
粘度(〔η〕inh )が、0.3〜1.5dl/g、特に
0.3〜0.5dl/gの範囲にあることが、成形時の
ワイヤー変形防止の点から好ましい。また、水添ノルボ
ルネン系樹脂の軟化温度は90〜200℃、ガラス転移
温度は100〜210℃、特に150〜210℃である
ことが、ハンダ付けする際の耐熱変形性の点から好まし
い。さらに、本発明においては、水添ノルボルネン系樹
脂は、充分な強度を得るために、その重量平均分子量
は、通常、5,000〜100万、好ましくは8,00
0〜20万である。さらに、水添ノルボルネン系樹脂の
水素添加率は、60MHz、 1H−NMRで測定した値
が50%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましく
は98%以上である。水素添加率が高いほど、熱や光に
対する安定性が優れたものとなる。なお、本発明におい
て使用される水添ノルボルネン系樹脂は、該樹脂中に含
まれるゲル含有量が5重量%以下であることが好まし
く、さらに1重量%以下であることが特に好ましい。
【0020】本発明に使用される水添ノルボルネン系樹
脂には、必要に応じて他の熱可塑性樹脂を配合すること
ができる。また、この水添ノルボルネン系樹脂には、安
定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、
蛍光増白剤、可塑剤、離型剤、着色剤、難燃剤などの添
加剤や、石英ファイバー、ガラスファイバー、芳香族ポ
リアミド繊維、高強度高弾性ポリエチレン繊維、アルミ
ナ、亜鉛華、ケイ酸系化合物、チタン酸化合物などの補
強材を配合し、耐熱性の向上を図ることもできる。
【0021】このうち、難燃剤としては、テトラブロム
ビスフェノールA、デカブロモジフェニルオキサイド、
ヘキサブロモシクロドデカン、オクタブロムジフェニル
エーテル、テトラブロムジフェニルエーテル、ビストリ
ブロモフェノキシエタン、トリブロモフェノール、エチ
レンビステトラブロモフタルイミドなどの臭素化合物、
塩素化パラフィン、パークロロシクロペンタデカン、ク
ロレンド酸などの塩素含有化合物、トリフェニルホスフ
ィンなどのリン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステ
ル、ポリリン酸塩などのリン含有化合物、三酸化アンチ
モン、水酸化アルミニウムなどの無機化合物などが挙げ
られる。このうち、透明性を保持する点から、リン酸エ
ステル化合物が好ましく、特にトリフェニルホスフィン
が好ましい。難燃剤の添加量は、水添ノルボルネン系樹
脂100重量部に対し、通常、0.01〜50重量部で
ある。
【0022】本発明では、水添ノルボルネン系樹脂と、
前述のように本発明の効果を損なわない量の他の安定
剤、帯電防止剤などの添加剤とを、リボンブレンダー、
タンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサーなどで混合
あるいは混合後、押し出し機、バンバリーミキサー、二
本ロールなどで溶融混合するか、炭化水素や芳香族溶媒
に溶解してポリマー溶液の状態で混合し、その後、単軸
押し出し機、ベント付き押し出し機、二本スクリュー押
し出し機、三本スクリュー押し出し機、円錐型二本スク
リュー押し出し機、コニーダー、プラティフィケータ
ー、ミクストケーター、二軸コニカルスクリュー押し出
し機、遊星ねじ押し出し機、歯車型押し出し機、スクリ
ューレス押し出し機などを用いて、射出成形を行う。
【0023】本発明においては、この射出成形に際し、
半導体チップをマウントしたリードフレームを、金型に
連続的に供給しつつ、前記特定の水添ノルボルネン系樹
脂を用い、特定の条件で射出成形することにより、半導
体チップを樹脂封止するものである。ここで、特定の条
件とは、樹脂温度、金型温度、射出圧力を特定の条件に
設定した射出成形法であり、かつ半導体チップをマウン
トしたリードフレームを金型に連続的に供給することに
ある。
【0024】すなわち、射出成形時の樹脂温度は、28
0〜360℃、好ましくは300〜350℃、さらに好
ましくは330〜350℃である。樹脂温度が280℃
未満では、樹脂の流動性が低く、ワイヤー変形の問題が
起こり、一方360℃を超えると、熱安定性不良のため
得られる成形品の外観が悪化する。また、金型温度は、
本発明の水添ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度をT
gとすると、(Tg−80)℃〜(Tg+10)℃、好
ましくは(Tg−50)℃〜(Tg+10)℃、さらに
好ましくは(Tg−50)℃〜−10℃である。金型温
度が(Tg−80)℃未満の場合、ワイヤー変形が起こ
り、一方(Tg+10)℃を超えると、成形品を金型か
ら変形させずに取り出すことが困難となる。なお、本発
明におけるガラス転移温度は、示差熱量計(DSC)に
より、チッ素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定し
た温度である。
【0025】さらに、金型内に注入されるときの樹脂の
射出圧力は、10〜200kgf/cm2 、好ましくは
50〜150kgf/cm2 、さらに好ましくは10〜
50kgf/cm2 である。射出圧力が10kgf/c
2 未満では、成形歪みが生じ、一方200kgf/c
2 を超えると、半導体チップの破損やワイヤー変形の
問題が生じる。
【0026】なお、上記特定条件の成形時の水添ノルボ
ルネン系樹脂の溶融粘度は、通常、100〜2,000
ポアズ、好ましくは200〜1,000ポアズである。
この溶融粘度が100ポアズ未満では、生産性が悪化
し、一方2,000ポアズを超えると、ワイヤー変形の
問題が生じる。
【0027】また、リードフレームを連続的に金型に供
給する方法としては、一定の長さのリードフレームをイ
ンサート装置により金型にインサートする方法、あるい
は一つの長尺のリードフレームを順送りしていくフープ
成形法が用いられる。リードフレームを連続的に供給す
る速度は、成形サイクルタイムに合わせて、通常、5秒
/個〜120秒/個、好ましくは10秒/個〜60秒/
個である。
【0028】さらに、射出成形時の歪み速度は、通常、
1×102 〜3×104 /秒、好ましくは4×102
2×104 /秒、さらに好ましくは1×103 〜1×1
4/秒である。ここで、歪み速度は、射出成形機のノ
ズ部分における最大剪断歪み速度をいい、樹脂の通過量
Q(cc/秒)、ノズル径R(cm)によって、下記式
で表される。 γ=32Q/πR3 歪み速度(γ)の制御は、射出速度、射出圧力およびゲ
ート形状、面積によって行う。歪み速度(γ)が上記の
範囲であると、成形品の歪みがなく、外観の優れたもの
が得られる。
【0029】なお、射出速度としては、通常、10〜3
00mm/秒、好ましくは20〜200mm/秒、さら
に好ましくは80〜150mm/秒である。また、ノズ
ル径は、0.5〜3.0mm、好ましくは0.8〜2.
5mm、さらに好ましくは1.4〜2.0mmである。
射出成形は、通常の大気雰囲気下で行うことができる
が、水添ノルボルネン系樹脂の分解、着色やゲルの発生
を防止するためには、水添ノルボルネン系樹脂の射出成
形機への供給をチッ素ガスの雰囲気下で行うことができ
る。特に、水素添加率の低い樹脂を用いる場合には、チ
ッ素ガスの雰囲気下で供給することが好ましい。また、
金型での冷却時間は、好ましくは2〜30秒、さらに好
ましくは2〜20秒である。
【0030】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。なお、実施例中、部および%は、特に断ら
ない限り重量基準である。また、実施例中の各種の測定
は、次のとおりである。固有粘度(〔η〕inh 溶媒にクロロホルムを使用し、0.5g/dlの重合体
濃度で30℃の条件下、ウベローデ粘度計にて測定し
た。水添率 60MHz、 1H−NMRを測定した。ガラス転移温度 示差熱量計(DSC)により、チッ素雰囲気下におい
て、10℃/分の昇温速度で測定した。
【0031】密着性 発光ダイオードを、85℃、湿度85%の雰囲気下で7
2時間(A)、および240時間(B)放置したときの
水分のパッケージ部内への水分透過距離(mm)を測定
した。ヒートサイクル性 発光ダイオード温度−30℃下および100℃下の環境
下に30分間ずつ放置するサイクルを10回繰り返した
のち、定格30mAの電流を通電させて通電状態を試験
し、通電状態の不良な品の発生率を測定した。耐湿信頼性 発光ダイオードを、65℃、95%湿度下に1,000
時間放置したのち、アルミニウム配線腐蝕不良率(%)
を測定した。耐熱性 ハンダ温度が260℃であるハンダ槽の中へ、発光ダイ
オードを30秒間浸したのち、表面を観察した。フク
レ、シワや変形などの異常が全く認められないものを
○、一つでも認められるものを×と評価した。
【0032】参考例1 8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5 .17,10〕ドデカ−3−エン10
0g、1,2−ジメトキシエタン60g、シクロヘキサ
ン240g、1−ヘキセン25g、およびジエチルアル
ミニウムクロライド0.96モル/lのトルエン溶液
3.4mlを、内容積1リットルのオートクレーブに加
えた。一方、別のフラスコに、六塩化タングステンの
0.05モル/lの1,2−ジメトキシエタン溶液20
mlとパラアルデヒドの0.1モル/lの1,2−ジメ
トキシエタン溶液10mlを混合した。この混合溶液
4.9mlを、前記オートクレーブ中の混合物に添加し
た。密栓後、混合物を80℃に加熱して3時間攪拌を行
った。得られた重合体溶液に、1,2−ジメトキシエタ
ンとシクロヘキサンの2/8(重量比)の混合溶媒を加
えて重合体/溶媒が1/10(重量比)にしたのち、ト
リエタノールアミン20gを加えて10分間攪拌した。
【0033】この重合溶液に、メタノール500gを加
えて30分間攪拌して静置した。2層に分離した上層を
除き、再びメタノールを加えて攪拌、静置後、上層を除
いた。同様の操作をさらに2回行い、得られた下層をシ
クロヘキサン、1,2−ジメトキシエタンで適宜希釈
し、重合体濃度が10%のシクロヘキサン−1,2−ジ
メトキシエタン溶液を得た。この溶液に20gのパラジ
ウム/シリカマグネシア〔日揮化学(株)製、パラジウ
ム量=5%〕を加えて、オートクレーブ中で水素圧40
kg/cm2 として165℃で4時間反応させたのち、
水添触媒をろ過によって取り除き、水添重合体溶液を得
た。また、この水添重合体溶液に、酸化防止剤であるペ
ンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
を、水添ノルボルネン系樹脂に対して0.1%加えてか
ら、380℃で減圧下に脱溶媒を行った。次いで、溶融
した樹脂を、チッ素雰囲気下で押し出し機によりペレッ
ト化し、固有粘度0.5dl/g(30℃、クロロホル
ム中)、水添率99.5%、ガラス転移温度168℃の
水添ノルボルネン系樹脂を得た。
【0034】参考例2 参考例1において、1−ヘキセンを30gに変更した以
外は、参考例1と同様にメタセシス開環重合したのち、
水添し、ペレット化して固有粘度0.40dl/g(3
0℃、クロロホルム中)、水添率99%、ガラス転移温
度166℃の水添ノルボルネン系樹脂を得た。
【0035】参考例3 6−エチリデン−2−テトラシクロドデセンを、参考例
1と同様にメタセシス開環重合したのち、水添し、ペレ
ット化して、固有粘度0.56dl/g(30℃、クロ
ロホルム中)、水添率99%、ガラス転移温度140℃
の水添熱可塑性樹脂を得た。
【0036】参考例4 エチレン55モル%と2−メチル−1,4,5,8−ジ
メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタ
ヒドロナフタレン45モル%とを付加重合し、ペレット
化して、固有粘度0.64dl/g(35℃、デカリン
中)、ガラス転移温度140℃の熱可塑性樹脂を得た。
【0037】実施例1 金属リードフレームにマウントされた発光ダイオードを
射出成形用金型がロータリー式に回転する金型内に連続
的にインサートし、参考例1で得られた水添ノルボルネ
ン系樹脂を用い、発光ダイオードを封止した。なお、射
出成形は、樹脂温度340℃、金型温度130℃、射出
圧力100kgf/cm2 で行った。成形時間は、15
〜20秒であった。得られた発光ダイオードは、いずれ
も半導体チップ部およびワイヤーの切断もなく、発光ダ
イオードの機能を充分に発揮した。得られた発光ダイオ
ードの密着性、ヒートサイクル性、耐湿信頼性、耐熱性
を表1に示す。
【0038】実施例2 金属リードフレームにマウントされた発光ダイオードを
射出成形用金型がロータリー式に回転する金型内に連続
的にインサートし、参考例2で得られた水添ノルボルネ
ン系樹脂を用い、発光ダイオードを封止した。なお、射
出成形は、樹脂温度320℃、金型温度140℃、射出
圧力50kgf/cm2 で行った。成形時間は、15〜
20秒であった。得られた発光ダイオードは、いずれも
半導体チップ部およびワイヤーの切断もなく、発光ダイ
オードの機能を充分に発揮した。得られた発光ダイオー
ドの密着性、ヒートサイクル性、耐湿信頼性、耐熱性を
表1に示す。
【0039】比較例1 封止剤として、本発明の水添ノルボルネン系樹脂の代わ
りに、ポリカーボネート樹脂を用い、射出成形時の樹脂
温度を310℃、金型温度を90℃とした以外は、実施
例1と同様にして発光ダイオードを封止した。得られた
発光ダイオードを、実施例1と同様にして試験した。結
果を表1に示す。
【0040】比較例2 封止剤として、参考例3で得られた水添熱可塑性樹脂を
用いた以外は、実施例1と同様にして発光ダイオードを
封止した。得られた発光ダイオードを、実施例1と同様
にして試験した。結果を表1に示す。
【0041】比較例3 封止剤として、参考例4で得られた熱可塑性樹脂を用い
た以外は、実施例1と同様にして発光ダイオードを封止
した。得られた発光ダイオードを、実施例1と同様にし
て試験した。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】比較例4 封止剤として、参考例1の水添ノルボルネン系樹脂を用
い、樹脂温度250℃、金型温度80℃、射出圧力30
0kgf/cm2 にて射出成形を行ったところ、得られ
た発光ダイオードはワイヤーの切断が生じており、実用
に供しえなかった。
【0044】比較例5 封止剤として、参考例1の水添ノルボルネン系樹脂を用
い、樹脂温度250℃、金型温度120℃、射出圧力5
0kgf/cm2 にて射出成形を行ったところ、得られ
た発光ダイオードはワイヤーの変形が見られた。
【0045】比較例6 封止剤として、参考例1の水添ノルボルネン系樹脂を用
い、樹脂温度320℃、金型温度70℃、射出圧力50
kgf/cm2 にて射出成形を行ったところ、得られた
発光ダイオードには亀裂が生じ、評価できるものではな
かった。
【0046】比較例7 封止剤として、参考例1の水添ノルボルネン系樹脂を用
い、樹脂温度320℃、金型温度120℃、射出圧力3
00kgf/cm2 にて射出成形を行ったところ、得ら
れた発光ダイオードにはワイヤーの切断が生じた。
【0047】
【発明の効果】本発明の半導体の封止方法によれば、
半導体チップのパッケージ(樹脂封止)を連続的に行う
ことができるので、生産効率が良い、半導体チップを
パッケージする間に、ワイヤーの変形、断線、チップの
破損が生じない。得られるパッケージされた半導体チ
ップは、長時間経過しても、パッケージクラックやアル
ミニウム配線腐蝕が発生せず、長期信頼性がある、パ
ッケージの光透過率が良好であるので、発光ダイオード
などのパッケージに最適である、などの数々の利点を有
する。
【0048】本発明の方法によりパッケージできる電子
部品としては、発光ダイオード(可視光ダイオード、赤
外発光ダイオード、光通信用発光ダイオード)、トラン
ジスタ、集積回路(IC)、フォトトランジスタ、EP
ROM、フォトカプラ、フォトインタラプタ、フォトサ
イクリスタ、CCDなどを挙げることができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体チップをマウントしたリードフレ
    ームを金型に連続的に供給しつつ、下記一般式(I)で
    表されるノルボルネン誘導体を開環重合して得られるノ
    ルボルネン系樹脂を水素添加して得られる水添ノルボル
    ネン系樹脂を、樹脂温度280〜360℃、金型温度を
    (Tg−80)℃〜(Tg+10)℃〔ただし、Tgは
    水添ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度(℃)〕と
    し、射出圧力10〜200kgf/cm2 で射出成形し
    樹脂封止することを特徴とする半導体の封止方法。 【化1】 〔式中、A、BおよびXは水素原子または炭素数1〜1
    0の炭化水素基、Yは−(CH2 n COOR1 または
    −(CH2 n OCOR1 を示し、ここでR1 は炭素数
    1〜20の炭化水素基、nは0または1〜10の整数を
    示す。〕
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