JP2985075B2 - 光コネクタ用フェルールの凸球面研磨方法 - Google Patents

光コネクタ用フェルールの凸球面研磨方法

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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光コネクタを構成
する一部材であるフェルールの端面を、凸球面状に研磨
する研磨方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、光信号を伝送する石英等から
なるコアとそのコアを被覆するクラッドとからなる光フ
ァイバを保持したフェルールの端面を、そのコアを頂点
とした凸球面状に鏡面又は粗面に研磨している。従来よ
り行われていた研磨方法は、ダイヤモンドからなる砥粒
がバインダを介して樹脂基板に固着されてなる研磨シー
トを研磨機の弾性変形可能なベース上に固定し、その研
磨シートに光ファイバを保持したフェルールの端面を押
圧させ、研磨シート上面に水を供給しながら、研磨シー
トに該フェルールが略一定の軌跡を描くようにベースを
移動させて、フェルールの端面を凸球面状に研磨加工し
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ダイヤ
モンド粒子からなる砥粒をシートに塗布して構成される
この研磨シートの砥粒層は、研磨加工を数回行っただけ
で砥粒が変形劣化したり、脱粒したりして、すぐ研磨シ
ートの寿命が来てしまう。しかも、研磨シートの初期使
用時に加工されたフェルールの端面の面粗度に比して研
磨加工を重ねたシートで加工されたフェルールの端面の
面粗度は、許容範囲ではあるが決して好ましい状態とは
言えず、さらなる表面粗さの安定化の向上を図る必要性
がある。
【0004】さらに、上記したように、研磨シートに光
ファイバを保持したフェルールが略一定の軌跡を描くよ
うに研磨シートが固定された研磨機のベースを移動させ
て研磨させているために、研磨シートに未使用部分(フ
ェルールの端面が接触しない部分)ができてしまい経済
的ではない。しかも、硬度が異なる光ファイバの部分と
フェルール部分とを同時に研磨する必要性があるため
に、この研磨シートは、高価なダイヤモンド粒子を砥粒
に採用しており、前記したこととあいまって製品コスト
の低減に歯止めをかけている。
【0005】そこで、本発明は、製品コストを大幅に下
げつつ、さらなる品質の安定化を図った光コネクタ用フ
ェルールの凸球面研磨方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の第1の態様は、砥粒が固着された研磨シートをベー
ス上に固定して該研磨シートに光ファイバを保持したフ
ェルールの端面を押圧した状態で両者を相対移動するこ
とにより、前記フェルールの端面を凸球面状に研磨する
方法において、前記研磨シートに固着された砥粒が、前
記光ファイバを研磨可能な硬度を有し、前記砥粒より硬
度が高く且つ前記フェルールを研磨可能な砥粒を含有す
る研磨液を、前記研磨シート表面に供給してフェルール
端面を凸球面に研磨することを特徴とする光コネクタ用
フェルールの凸球面研磨方法にある。
【0007】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記研磨液を含有する砥粒が、前記研磨シートの砥
粒より大きい粒径であることを特徴とする光コネクタ用
フェルールの凸球面研磨方法にある。本発明の第3の態
様は、第1又は2の態様において、前記研磨シートの砥
粒が、アルミナ、ジルコニア、クロム、炭化ケイ素、窒
化ケイ素、CBN燃焼体、酸化セリウム、及び石英粉の
群から選択される少なくとも一種の粒子であることを特
徴とする光コネクタ用フェルールの凸球面研磨方法にあ
る。
【0008】本発明の第4の態様は、第1〜3の何れか
の態様は、前記研磨液に含有される砥粒が、ダイヤモン
ド、アルミナ、ジルコニア、クロム、炭化ケイ素、窒化
ケイ素、CBN燃焼体、酸化セリウム、及び石英粉の群
から選択される少なくとも一種の粒子であることを特徴
とする光コネクタ用フェルールの凸球面研磨方法にあ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明の端面研磨方法の一
実施形態を図面に基づいて説明をする。まず、本実施形
態の光ファイバ1を保持したフェルール2の端面を研磨
するための研磨装置は周知構造のものであり、研磨シー
ト30を弾性変形可能なベース4を介して保持する研磨
定盤3と、この研磨定盤3をその中心を回転中心とした
自転運動及びその回転中心より所要量偏心した位置を回
転中心とした公転運動を同時に行うように駆動する図示
しない駆動部とを具備する。また、光信号を伝送する石
英等からなるコア及びクラッドからなる光ファイバ1を
保持したフェルール2を研磨シート30と直交する上下
方向にスライド可能に支持すると共に、研磨時には所定
の圧力でフェルール2を研磨シート30に押圧する図示
しない支持部を備えている。
【0010】一方、ベース4上に載置される研磨シート
30は、砥粒31がバインダ33を介して樹脂基板34
に固着されたものであり、ベース4上に載置固定され
る。ここで、研磨シート30が具備する砥粒31は、光
ファイバ1を研磨可能な硬度を有するものであり、例え
ば、アルミナ、ジルコニア、クロム、炭化ケイ素、窒化
ケイ素、CBN燃焼体、酸化セリウム、石英粉等の群か
らなる少なくとも一種での粒子を構成され、経済的な面
からは、アルミナを用いるのが好適である。
【0011】また、研磨シート30を用いてフェルール
2を研磨する際には、研磨液50を使用する。ここで、
研磨液50は、砥粒31より大きい粒径からなり且つ砥
粒31より硬度が高くフェルール2を研磨可能な砥粒5
1を水や油、好適には水からなる媒体52に分散させた
ものであり、必要に応じて、分散安定剤等を含んでいて
もよい。砥粒51は、例えば、ジルコニアなどのセラミ
ックフェルールの場合には、好適にはダイヤモンド等で
あるが、例えば、ガラスフェルールフェルール等であれ
ば、上述した条件を満たす範囲で砥粒31に使用できる
ようなものを用いることができる。
【0012】このような構成でフェルール2を研磨する
場合、回転駆動される研磨定盤3上にベース4を介して
保持される研磨シート30上に、研磨液50を所定量供
給しながら、フェルール2を研磨シート30に押圧する
(図1(a)及び(b))。なお、本実施形態では、先
端面が平坦で周縁部が面取りされたフェルール2を用い
ている。
【0013】このとき、ゴム弾性体等からなるベース4
は、押圧力に応じて弾性変形し、研磨シート30の表面
がフェルール2端面に沿って曲げられる。かかる状態で
研磨加工がなされるわけであるが、まず、最初にフェル
ール2先端の周縁部(コーナー部)2aが、主に研磨液
50の砥粒51でもって研磨されて、丸みを帯びてい
き、次第に光ファイバ1の中心であるコアを頂点とした
凸球面状に研磨される。このとき、ある程度凸球面状に
研磨されると、しだいに研磨液50の砥粒51は、光フ
ァイバ1とは接触しなくなり、光ファイバ1の部分は主
に研磨シート30の砥粒31で研磨される一方、その周
りのフェルール2部分は主に研磨液50の砥粒51で研
磨され、それぞれの砥粒31,51は、研磨位置を分担
して研磨するようになる(図1(b)参照)。
【0014】このように粒径及び硬度の異なるそれぞれ
の砥粒31,51が、被研磨面を分担して研磨して、フ
ェルール端面をコアを頂点とした凸球面状に研磨する。
また、研磨液50の供給により常に新しい砥粒51が研
磨に供され、常に必要量のみを供給すればよいので、研
磨効率が向上し、経済性も著しく向上する。研磨シート
30としてアルミナシートを用い、ダイヤモンド粒子を
砥粒51として含有する研磨液50を用いて、研磨シー
ト30を5回の研磨に供した場合と、従来のようにダイ
ヤモンドシートを10回の研磨に供した場合と比較する
と、研磨コストは、従来の約半額になると試算された。
また、ダイヤモンドシートを10回の研磨に使用するの
は、限界に近く、後半の研磨では研磨状態が良好でない
ことが考えられるが、本発明方法では、常に一定の研磨
が行えるという利点がある。
【0015】ここで、砥粒31及び砥粒51、特に砥粒
51の粒径は、粗研磨、中研磨、仕上げ研磨など、研磨
段階に応じて選択すればよい。また、砥粒31は、砥粒
51より小さくて砥粒51を保持可能であるという条件
を満たせば適宜選定することができ、一般には、直径
0.1〜15μm程度の範囲から選択すればよい。ま
た、このような砥粒31を保持した研磨シート30の平
均表面粗さ(Ra)も特に限定されないが、一般には、
0.1〜1μm程度となる。
【0016】また、本実施形態では、研磨シート上面に
研磨液を適量を吐出させただけであるが、研磨加工終了
時に一度研磨液を拭き取った後、さらに研磨加工を開始
するときに新たな研磨液を適量を研磨シート上面に供給
するようにしてもよい。また、研磨液を回収して使用す
るようにしてもよい。さらに、本実施形態では、先端面
が平坦で周縁部が面取り形成された状態のフェルールを
凸球面状に研磨するものを例示しているが、予め前工程
でもってフェルールの端面を面粗度の粗い凸球面状に形
成しておき、そのフェルールの端面を上記手段により研
磨して鏡面仕上げにしても良い。また、研磨時間を長く
することにより先端面が平坦のフェルールから直接鏡面
研磨までを行うことが可能であり、この場合には粗研磨
の研磨工程の削除ができるという利点を有する。
【0017】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したから下
記の有利な効果を奏する。光ファイバを研磨できる所要
の硬度を有する安価な砥粒が固着された研磨シート上
に、フェルールを研磨できる所要の硬度を有し且つ研磨
シートの砥粒より大きい粒径の砥粒を混入して構成され
た研磨液を供給し、研磨シートに光ファイバを保持した
フェルールの端面を押圧し両者を相対移動させて研磨加
工することにより、研磨シートの砥粒が光ファイバ部分
を研磨し、研磨液の砥粒がフェルール部分を研磨して、
硬度の異なる被研磨面に対してそれぞれの砥粒が分担し
てフェルールの端面を凸球面状にすることができ、常に
新しい砥粒を必要最低限用いるので、品質の安定化を図
ることができると共に、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光コネクタ用フェルールの凸球面
研磨方法における研磨加工時の模式図である。
【符号の説明】
1 光ファイバ 2 フェルール 3 研磨定盤 4 ベース 30 研磨シート 31 砥粒 50 研磨液 51 砥粒

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 砥粒が固着された研磨シートをベース上
    に固定して該研磨シートに光ファイバを保持したフェル
    ールの端面を押圧した状態で両者を相対移動することに
    より、前記フェルールの端面を凸球面状に研磨する方法
    において、 前記研磨シートに固着された砥粒が、前記光ファイバを
    研磨可能な硬度を有し、前記砥粒より硬度が高く且つ前
    記フェルールを研磨可能な砥粒を含有する研磨液を、前
    記研磨シート表面に供給してフェルール端面を凸球面に
    研磨することを特徴とする光コネクタ用フェルールの凸
    球面研磨方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記研磨液を含有す
    る砥粒が、前記研磨シートの砥粒より大きい粒径である
    ことを特徴とする光コネクタ用フェルールの凸球面研磨
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、前記研磨シー
    トの砥粒が、アルミナ、ジルコニア、クロム、炭化ケイ
    素、窒化ケイ素、CBN燃焼体、酸化セリウム、及び石
    英粉の群から選択される少なくとも一種の粒子であるこ
    とを特徴とする光コネクタ用フェルールの凸球面研磨方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記研
    磨液に含有される砥粒が、ダイヤモンド、アルミナ、ジ
    ルコニア、クロム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、CBN燃
    焼体、酸化セリウム、及び石英粉の群から選択される少
    なくとも一種の粒子であることを特徴とする光コネクタ
    用フェルールの凸球面研磨方法。
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