JP2985011B2 - 窒素含有センダスト用スパッタリングターゲット - Google Patents

窒素含有センダスト用スパッタリングターゲット

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、スパッタ蒸着法を用いて磁性薄膜を形成す
るスパッタリングターゲットに関する。
(従来の技術) 磁性材料として要求される特性は、保磁力と残留磁気
とが小さく、したがって、ヒステリシス損が小さいこ
と、飽和磁気の値が大きいこと、電気抵抗率が大きいこ
と、透磁率が大きいこと、透磁率が一定であること、周
波数特性がよいこと、機械的並びに電磁的衝撃に対して
安定であること等であり、使用目的に応じて種々な磁性
材料が用いられている。
近年、真空成膜技術の発展により磁性薄膜の研究開発
が盛んになっている。
例えば、8ミリビデオのテープにはCo−Ni磁性薄膜が
用いられている。この場合、Co約80%、Ni約20%の組成
が代表的であり、成膜時に少量の要素を入れるので、薄
膜を分析すればCo−Ni−O系である。成膜方法は一般に
真空蒸着法が使用されている。
また、スパッタ蒸着法は真空蒸着法に比較し、ターゲ
ット組成が比較的忠実に成膜された組成に移行するとい
う特徴があるため、ハードディスク用磁性薄膜としてCo
−Ni磁性薄膜がスパッタ蒸着法で製造されている。
また、垂直記録用媒体としてCo−Cr薄膜をフレキシブ
ルベース上に成膜し、フロッピーディスクとしての実用
化研究も行われており、光磁気用磁性薄膜としてFe−Co
−Tb系薄膜をスパッタ蒸着法で成膜する研究も行われて
いる。
また、Niを35〜80%含むFe−Ni合金を総称してパーマ
ロイといい、パーマロイは高透磁率、低ヒステリス損と
いう特徴をもっている。
パーマロイに第三元素としてMo、Cr、Cuなどを添加
し、Fe−Ni2元系合金で表われる規則格子変態を抑えた
ものをスーパーマロイといい、透磁率が極めて大きい。
これらの薄膜は主に磁気ヘッド、磁気センサー等に使用
されている。
さらに、高透磁率磁性材料の中でパーマロイと並んで
重要なものはセンダストである。センダストはFe−Si−
Al合金で1932年増本、山本らにより発明され、透磁率も
大きく、また、ヒステリシス損が小さい特徴をもってい
る。この合金組成と初透磁率の関係は、Si9.62%、Al5.
38%、残りFeの組成で鋭く極大を示す。
このようにセンダストは高透磁率の性質のほかに耐摩
耗性をもっているため、スパッタ蒸着法で成膜し磁気ヘ
ッドに使用する研究が現在行われている。
さらに、センダストをスパッタ蒸着法で成膜する場
合、成膜時に少量の窒素を入れて反応性スパッタを行
い、膜組成をFe−Si−Al−N系にすることにより、残留
磁化率が減少する、周波数特性が向上する、膜硬度が大
きくなる等の膜特性の向上がみられるという報告があ
る。
しかし、この反応性スパッタ法では窒素の吹き込み位
置や窒素量等十分に制御を要する欠点がある。
また、反応性スパッタ法では薄膜中のグレインが成長
し過ぎて周波数特性が出しにくい欠点がある。
(解決しようとする問題点) 本発明は、膜組成をFe−Si−Al−N系にする場合、セ
ンダストの成膜時に窒素を入れる反応性スパッタ法では
なく、センダストのスパッタリングターゲット自体に必
要量の窒素を含有せしめ、このターゲットをスパッタす
ることにより、Fe−Si−Al−N系の磁性薄膜をうるセン
ダスト用スパッタリングターゲットを提供しようとする
ものである。
(問題を解決するための手段) 通常、センダスト用スパッタリングターゲットは、F
e、Si、Alの各々を所定量溶融して製造している。しか
し、この溶融法では窒素を主成分として合金内に閉じ込
めることはできない。
本発明は、粉末焼結法を用いセンダストのスパッタリ
ングターゲット内に窒素を必要量閉じ込めたものであ
る。
すなわち、センダスト組成のFe、Si、Alの各粉末の混
合物あるいは該組成の二種の合金粉末に他種の金属粉末
を混ぜた混合物あるいはセンダストの合金粉末に、Fe、
Si、Al等の窒化物のうち少なくとも一種の粉末を混合し
焼結して製造したスパッタリングターゲットである。
したがって、本発明になるスパッタリングターゲット
は必ず所定量の窒素を含有し、スパッタリングに際して
原子レベルで蒸着され上記のようにターゲット組成は比
較的忠実に膜組成に移行するため、本発明になるスパッ
タリングターゲットを用いれば、センダスト薄膜中には
必要量の窒素が必ず含有される。
スパッタリングターゲット中の窒素含有量は、0.01〜
3wt%であることが好ましい。
Fe、Si、Al等の窒化物にはFe8N、Fe4N、Fe3N、Fe2N、
FeXN、AlN、Si3N4等の粉末を用いることができる。
粉末焼結法は静水圧加熱焼結法(以下HIP法とい
う)、ホットプレス法、静水圧加圧成形法(以下CIP法
という)と雰囲気焼成法との組み合わせ等何れの方法を
用いてもよい。
(実施例1) Fe、Si、AlおよびFe4Nの粉末をFe:Si:Alが84.5:10:5.
5wt%、Nが0.1wt%になるよう計量し、ボールミルを用
いて混合した。
次に、HIP法を用いて焼結し、でき上がったインゴッ
トを放電加工を用いて6″φ×5mm tのスパッタリング
ターゲットを製作した。ターゲットの焼結密度は約7g/c
cであった。
さらに、該ターゲットを用いてスパッタ蒸着法でFe−
Si−Al−N系薄膜を成膜した。
このターゲットおよび薄膜中の窒素を分析した結果、
ターゲット中には窒素が均一に0.1wt%含有しており、
薄膜中には均一に0.095wt%含有していることがわかっ
た。
(実施例2) Fe、SI、AlおよびFe4Nの粉末をFe:Si:Alが84.5:10:5.
5wt%、Nが0.19wt%になるよう計量し、ボールミルを
用いて混合した。
次に、ホットプレス法を用いて焼結し、でき上ったイ
ンゴットを加工して6″φ×5mm tのスパッタリングタ
ーゲットを作製した。ターゲットの焼結密度は約6.5g/c
cであった。
さらに、該ターゲットを用いてスパッタ蒸着法でFe−
Si−Al−N系薄膜を成膜した。
このターゲットおよび薄膜中の窒素を分析した結果、
ターゲット中には窒素が均一に0.11wt%含有しており、
薄膜中には均一に0.09wt%含有していることがわかっ
た。
(実施例3) ガスアトマイズ法を用いてFe:Si:Alが83.0:11.5:5.5w
t%のセンダスト合金粉末を作製した。この粉末の平均
粒径は22μであった。
この合金粉末にSi3N4粉末をNが0.1wt%になるよう計
量し、ボールミルを用いて混合した。次に、パラフィン
を用いて造粒し、約200mmφ×6mm tに成形し、さらに、
CIP法を用いて成形した。次に、Ar+N2雰囲気中で約127
0℃で焼結した。でき上がったインゴットを加工して
6″φ×3mm tのスパッタリングターゲットを製作し
た。ターゲットの焼結密度は約6.9g/ccであった。
さらに、該ターゲットを用いてスパッタ蒸着法でFe−
Si−Al−N系薄膜を成膜した。
このターゲットおよび薄膜中の窒素を分析した結果、
ターゲット中には窒素が均一に0.1wt%含有しており、
薄膜中には均一に0.1wt%含有していることがわかっ
た。
上記の何れの実施例においても、ターゲット中の窒素
含有量の分析は抽出炉酸素窒素分析装置を用い、薄膜中
の窒素含有量の分析は二次イオン質量分析装置を用い
た。
(発明の効果) 本発明によれば、Fe−Si−Al−N系センダスト薄膜を
成膜する場合、スパッタリングターゲット自体に必要量
の窒素を含有しているため、反応性スパッタ法のように
種々な条件を制御する必要がなく、均一で正確な組成の
薄膜を成膜できる特徴がある。
また、形成した膜は残留磁化率、周波数特性、膜硬度
等の膜特性が極めて向上する特徴がある。
さらに、スパッタ蒸着法における工程が簡素化される
ため、成膜コストが下がる利点がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 14/00 - 14/58 C04B 35/00 B22F 1/00 - 7/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】センダスト組成のFe、Si、Alの各粉末の混
    合物あるいは該組成の二種の合金粉末に他種の金属粉末
    を混ぜた混合物あるいはセンダストの合金粉末に、Fe、
    Si、Alの窒化物のうち少なくとも一種の粉末を混合し焼
    結して製造したことを特徴とする窒素含有センダスト用
    スパッタリングターゲット。
  2. 【請求項2】窒素含有量が0.01〜3wt%である特許請求
    の範囲第1項記載の窒素含有センダスト用スパッタリン
    グターゲット。
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JP2006307345A (ja) * 2006-05-08 2006-11-09 Mitsui Mining & Smelting Co Ltd スパッタリングターゲット
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