JP2982517B2 - 沸騰水型原子力プラントの運転方法及び沸騰水型原子力プラント - Google Patents

沸騰水型原子力プラントの運転方法及び沸騰水型原子力プラント

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JP2982517B2
JP2982517B2 JP4281305A JP28130592A JP2982517B2 JP 2982517 B2 JP2982517 B2 JP 2982517B2 JP 4281305 A JP4281305 A JP 4281305A JP 28130592 A JP28130592 A JP 28130592A JP 2982517 B2 JP2982517 B2 JP 2982517B2
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    • G21C19/30Arrangements for introducing fluent material into the reactor core; Arrangements for removing fluent material from the reactor core with continuous purification of circulating fluent material, e.g. by extraction of fission products deterioration or corrosion products, impurities, e.g. by cold traps
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は沸騰水型原子力プラント
の運転方法及び沸騰水型原子力プラントに係り、特に、
運転中の放射能レベルを低下させることのできる、ある
いは燃料棒の取扱時の被曝量の低減が図れる沸騰水型原
子力プラントの運転方法及び沸騰水型原子力プラントに
関する。
【0002】
【従来の技術】沸騰水型原子力プラントでは給・復水系
の構造材からニッケル,コバルトなどのイオン状の腐食
生成物が発生し、この腐食生成物が燃料棒に付着し又は
その付近で放射化されて放射性物質となる。その放射性
物質が放射性クラッド又は放射性イオンの形で燃料棒か
ら溶出し、炉心構造材や一次冷却材配管に付着すること
によって、一定期間毎に行われる検査作業における作業
員の被曝量の増大をもたらしていた。これを防ぐため
に、従来技術では、鉄クラッドを積極的に注入すること
によって、炉心内の鉄クラッド量を多くして積極的に低
溶出性のフェライト層を形成し、前記フェライト層が形
成されるときに放射性イオンが取り込まれることを利用
して放射性イオンの濃度を低減していた。このような従
来技術としては、特開昭60−78390 号公報などに記載さ
れたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来技術では、第1に燃料棒には多量の放射性腐食性生成
物が付着することになるので、使用後の燃料棒の処理に
おいて次のような問題点が発生する。
【0004】まず、使用済燃料棒を再処理施設に輸送す
るための発電所で実施する除染作業で多量の廃棄物が発
生し、かつ作業員の放射線の被曝量が多くなる。
【0005】また、再処理施設での再処理工程におい
て、多量の放射性腐食性生成物を含むフェライトが妨害
物質にになる。
【0006】第2に、炉心内の鉄クラッド量を多くして
も炉水中の放射性イオンをそれほど低減されないことが
ある。
【0007】本発明の目的は、鉄クラッドの存在下で
も、燃料棒に付着する放射性イオンを主体とした腐食生
成物の付着を低下させることである。
【0008】
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、核燃料棒へ
の腐食生成物の付着を低下させる金属を鉄クラッド濃度
0.05ppb以下である炉水中に注入することで達成され
る。
【0010】
【0011】
【作用】炉水中の腐食生成物が放射化されて問題となる
核種は、半減期が長くて放射線のエネルギーが高いもの
ものである。最も問題なのは、コバルト(Co)が中性
子で放射化されて生成する60Coであり、次に問題とな
るのは58Coであるが、半減期が比較的短く、放射線の
エネルギーも60Coに比べてかなり低い。58Coは主と
してニッケル(Ni)の放射化により生成する。このた
め、燃料への付着放射化はコバルトとニッケルを対象に
考えればよく、特に被曝低減の観点からはコバルトが重
要である。以下の説明では、金属イオンとしてはコバル
トとニッケルイオンを主体に行なう。
【0012】発明者等は、シュミレーション計算により
従来技術に対し次のような知見を得た。図2は、炉心に
入って炉水で鉄クラッドとなる給水中の鉄濃度と60Co
イオン濃度との関係を示したものである。図2の結果に
よれば、鉄クラッド濃度を低下させてもむしろ60Co濃
度は上昇し、その後若干低下するがそれでも十分な鉄ク
ラッド濃度がある場合より低くすることはできない。即
ち、従来技術のように鉄クラッド等を添加してもあるレ
ベル以上は炉水中のイオン濃度を低下することができな
い。
【0013】この点を解決するために、発明者等は実験
やシミュレーションを通して炉水中の腐食生成物である
ニッケル,コバルトや添加した金属の金属イオンの燃料
棒への付着は燃料棒表面での沸騰による気泡の発生に伴
って生じるという知見を得た。これを図3に模式的に示
す。燃料棒表面では沸騰に伴って気泡が発生し、その成
長に伴って水中にあった金属イオンが析出して付着す
る。しかし、気泡が燃料棒表面から脱離すると再び水が
やってくるのでその影響を受けて付着し析出物の一部は
再び水に溶けて燃料棒表面から水中に戻る。即ち、気泡
が来るとその部分は乾き、金属イオンは燃料棒表面に付
着する。その後水が来ると、再びぬれて溶解する。従っ
て、再び水に囲まれたときに、付着した金属イオンが溶
解しやすければ、それだけ金属イオンは燃料棒表面に付
着しないことになる。そこで、腐食生成物の金属イオン
にその腐食生成物の金属イオンと共存したときに腐食生
成物の金属イオンの水側への移行を促進する金属を添加
することによって、腐食生成物の金属イオンの付着が防
止されることになる(図(b))。図(a)は、前記水
側への移行を促進する金属がない、腐食生成物の金属イ
オンのみ時を示す。また、本知見によれば、腐食生成物
の付着は気泡の存在するところに多く発生する。逆にい
えば、この部分の付着を防止できれば炉心全体として腐
食生成物の付着が防止できるので、腐食生成物の放射化
を防ぐことができ、炉水の放射能レベルを低下させるこ
とができるし、主蒸気系や再循環系などの一次冷却中の
放射能線量率を低減することができることになる。上記
の現象の溶出を促進するという見方をすれば、腐食生成
物の金属イオンの溶出を促進しているといえるし、最終
的には付着が防止されているという観点からすれば、腐
食生成物の金属イオンの付着を低下させているともいえ
る。
【0014】このような現象は燃料棒の全域に渡って生
じ、燃料棒への腐食生成物である金属イオンの付着し易
さを共存する金属イオンによって決まる。その付着し易
さを示すパラメータとの一例として、次式の無次元数で
定義される付着速度係数がある。
【0015】
【数1】
【0016】右辺の第1項は、付着量を水中に存在する
金属イオン濃度で規格化したもので、基本的には金属イ
オンが持っている性質で決まるが、共存する他のイオン
濃度などの影響ををうける。右辺の第2項は、燃料棒で
の発生熱(熱流速)のうち気泡を形成するのに使われた
熱(蒸発熱)の割合を示し、上記現象の重要な役割を果
たす気泡の出来易さを示す。即ち、多くの気泡が出来
て、金属イオンが付着しやすい性質を持っていれば、付
着速度係数は大きい値を示す。以下の説明では、付着し
易さの目安として付着速度係数を例にとって説明する。
【0017】前述した現象を再度、付着速度係数を使っ
て説明する。通常の炉水中の金属イオンは酸化物または
場合によっては水酸化物として析出すると推定される。
ニッケルは析出形態の酸化物の溶解度が低く、安定性の
高い、従って単独での付着速度係数が低いものが主体と
なっているので析出物の安定性が高い。従って微量成分
であるコバルトもこれらの安定性の高い析出物に混じっ
て堆積しているので気泡が脱離してもあまり再溶解しな
い。従って付着速度係数は高くなる。これに対して単独
での付着速度係数が低い金属イオンを共存させ、析出物
の主体がこの金属の酸化物になるようにすると気泡が脱
離して水がやってくると析出物の主体となる構成要素の
大部分が水中に戻ってしまい、その時その中に一緒に析
出していたコバルト,ニッケル等の本来は付着速度係数
の高い金属も水中に戻るので本来のものより低い付着速
度係数が実現できる。このためにはニッケル単独での付
着速度係数である0.2よりも付着速度係数の低い金属
イオンを選ぶ必要がある。上記の燃料棒への付着現象の
効果は、次に述べる炉水クラッド濃度,一次冷却系への
付着し易さなどに依存する。従って、燃料棒の付着量の
量を低減するには、下記のガイドラインに沿って実施す
る方がより大きな効果を生むことになる。第1は、クラ
ッド及びニッケル,コバルトイオンなどの腐食生成物の
付着を防止するには炉水クラッド濃度を下げることが有
効である。鉄クラッド濃度が金属イオンより高い場合に
は、CoやNiイオンの付着速度係数は鉄クラッド濃度
の影響を受けほぼ0.3 になり、多少の添加金属の量を
多くしても変化しない。このために、鉄クラッド濃度を
相対的に金属イオン濃度より低く保持することが望まし
い。炉水のクラッドは、中空糸フィルタ等のクラッドを
高精度に除去できる装置を適用することで、0.05ppb
程度まで達成することが可能である。このような条件で
は鉄クラッドが存在しても付着速度係数にはほとんど影
響しない。
【0018】図4は、鉄クラッド濃度が低い条件でのコ
バルト付着速度の低減率と炉水中の60Coイオン濃度と
の関係を示したものである。図4においてサイクルと
は、原子力発電所では一定期間点検するために運転を停
止するが、発電所の運転期間をいい、例えば最初の運転
開始から最初の点検期間の開始までを第1サイクルとい
う。従来の方式では、運転が進むほど即ちサイクル数が
大きくなるほど炉水中の60Coイオン濃度も大きくな
り、炉心における放射能は高くなる。図4は、このよう
な現プラントの各サイクルにおいて、コバルト付着速度
係数を低下させたとしてシミュレーションした結果を示
したものである。その結果、付着速度係数を小さくする
と徐々に60Co濃度は低下し、元のコバルト付着速度の
1/3程度以下では鉄クラッド濃度が十分に高い時と同
程度以下にコントロールできる。これはコバルトの付着
速度係数を0.01 以下にすることに対応する。このよ
うな条件にすることでコバルトの燃料棒への残留量を低
減してかつ炉水中60Co濃度を低下させることが可能と
なる。コバルトの付着速度係数を0.01 以下にするた
めに、上述した役割を果たす金属を添加する。
【0019】第2に余り付着係数が小さいと逆に、逆に
気泡が存在している時も気泡の中にある水分に添加した
金属のみが溶解してしまい、放射性イオンはそのまま残
ってしまい、放射性イオンは溶解しないと現象が起こ
る。これを以下に説明する。金属イオンの付着速度係数
を決める最も重要な因子は析出形態の水中への溶解度で
ある。溶解度が高いほど気泡脱離時の安定性が低く、従
って付着速度係数は低くなる。このような観点から共存
させる金属イオンはその酸化物形態での溶解度がNiO
よりも高いことが必要となる。しかし、気泡脱離時でも
わずかながら水が残留するために余りに溶解度の高い物
質は析出しないので役に立たない。実験的にはナトリウ
ムのようなアルカリ金属はその溶解度が高いために、添
加しても付着速度係数にほとんど影響しない。従って、
共存させる金属イオンの酸化物(水酸化物)の溶解度は
Na2O よりも低い方が良い。また、共存させる金属イ
オンの濃度は析出物の主たる構成要素となるように少な
くともニッケルと同程度、従って1ppb 以上はなければ
ならない。
【0020】第3に、添加した金属が燃料棒で効果を発
揮する前に、配管等で鉄酸化物とフェライトを形成して
しまわないようにすることである。鉄は原子炉材料の大
部分を占める元素であり、配管や圧力容器の接水部は鉄
酸化物である。従って金属元素の中で高温水中で鉄酸化
物とフェライトを形成しやすいものはこれらの配管等に
フェライトとして付着されやすくなり、炉水中から除去
されてしまう。共存させる金属イオンとしてはこのよう
なフェライト形成反応を生じ難いものが好ましい。
【0021】以上の第2,第3の観点から考えると添加
する金属としては銅,錫,ビスマス,カドミウム,ゲル
マニウム,セレン,水銀,砒素,ガリウム,クロム,マ
ンガン,鉛,アンチモン,バナジウム,テルルが望まし
い。しかし、これらの元素も中性子により放射化される
ので放射化断面積と生成核種の半減期及び放射線の特徴
を考慮して添加金属を選定する必要がある。これらの点
からは銅,錫,ビスマスが適当である。また、上記金属
において同位体元素がある場合には、放射化の影響の少
ない核種だけを分離してしようとするともっと放射化の
影響を取り除くことができるし、取り扱い易さ等も考慮
して適切な金属元素を選定することが可能となる。しか
し、必要な核種を得る同位体濃縮はコストがかかるの
で、炉水浄化系のイオン交換樹脂で除去した添加同位体
を再生して再使用するとコストの低減がはかれる。添加
金属はキレート樹脂でアルカリ金属等の他の不純物と分
離して除去できるので炉水浄化系にキレート樹脂を用い
て添加同位体を捕捉し、再生使用することも有効であ
る。
【0022】第4に、添加金属イオンは配管付着等によ
って失われるし、また、連続的な注入により過剰な濃度
になる可能性もあるこれを防ぎ、添加量を極力少なくす
るにはイオンクロマト等により添加金属イオン濃度をモ
ニタリングして注入量を調節することが有効である。ま
た、付着速度係数が小さくなることからニッケルイオン
濃度も経時的に増加することが考えられる。ニッケル濃
度も同時に測定し、この比が一定範囲に入るようにコン
トロールするとニッケル濃度の増加に対応することが有
効である。
【0023】最後に、従来から運転されているプラント
ではすでに鉄クラッドが炉内に多量に蓄積されているの
でそのままでは添加金属イオンが有効に働かない。系統
除染または核燃料の取替えか、除染により炉内に蓄積さ
れたクラッドを除去するのが有効である。
【0024】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1により説明す
る。図1には本発明に基づく、沸騰水型原子力プラント
の一次冷却系の系統を模式的に示す。タービン1を出た
蒸気は復水器2で水に戻され、ここを出た復水は復水ポ
ンプ3により復水フィルタ4を通り復水脱塩器5により
不純物を除去される。復水フィルタ4には中空糸膜を用
いた高精度のフィルタを用いて復水中の鉄クラッドを除
去する。浄化された水は給水ポンプ6,低圧給水加熱器
7,昇圧ポンプ8,高圧給水加熱器9を通って原子炉圧
力容器10に導かれる。復水フィルタ4と復水脱塩器5
により復水中の大部分が除去されるため給水加熱系の配
管の腐食に伴って発生する金属不純物が給水中の不純物
の主体となる。この系の接水材料の大半がステンレス鋼
であるために不純物はステンレス鋼からの溶出成分が主
となる。また、原子炉圧力容器10内でも材料の腐食が
生じる。原子炉圧力容器10の接水材料もステンレス鋼
であるのでここで生じる不純物もステンレス鋼からの溶
出成分が主となる。これらの不純物の一部は原子炉再循
環ポンプ11の上流から分岐した配管に接続されている
原子炉浄化系12により除去される。また、原子炉圧力
容器10内には核燃料13が装荷されており、ここで水
が沸騰しており、それに伴う金属イオンの燃料13への
付着が生じる。これを防ぐために銅イオンを発生する銅
電解装置15が設置されており、調節バルブ14を介し
て必要量の銅イオンを復水脱塩器5を出た水に添加する
ようになっている。また、原子炉浄化系12の入口付近
の銅及びニッケルイオンの濃度をモニタリングするため
にサンプリング配管16を通じてサンプリングした水を
金属イオン分析装置17で分析するようになっている。
金属イオン分析装置17としてはイオンクロマトグラフ
等を用いることができ、その信号はデータ処理装置18
に送られてCu/Ni比を算出し、その値に応じて調節
バルブ14を調節して銅イオンの注入量を調節する。こ
れにより炉水のCu/Ni比を一定範囲に調節する。炉
水条件を模擬した実験装置を用いてCu/Ni比が付着
速度係数にどのように影響するかを実験した結果を図5
に示す。図5よりCu/Ni比を1になるようにコント
ロールすればニッケルとコバルトの燃料棒への付着を抑
制し、しかも炉水放射能レベルは低く保たれる。従って
本実施例によれば添加金属の量を少なくして燃料棒への
クラッドの付着放射化を防止し、同時に炉水放射能レベ
ルを低下させることができる。
【0025】本発明の他の実施例を図6を用いて説明す
る。タービン21を出た蒸気は復水器22で水に戻さ
れ、ここを出た復水は復水ポンプ23により復水フィル
タ24を通り復水脱塩器25により不純物を除去され
る。浄化された水は給水ポンプ26,低圧給水加熱器2
7,昇圧ポンプ28,高圧給水加熱器29を通って原子
炉圧力容器30に導かれる。炉水中不純物の一部は原子
炉再循環ポンプ31の上流から分岐した配管に接続され
ている原子炉浄化系32により除去される。また、原子
炉圧力容器30内には核燃料33が装荷されている。金
属溶出用加熱器34中には添加金属源35が設置されて
おり、その中にはビスマスの粒子が充填されている。金
属溶出用加熱器34中には送水ポンプ36から純水が供
給され、添加金属源35は90℃程度に加熱された水に
さらされ、ビスマスイオンが溶出する。生成した錫イオ
ンはそのまま高圧給水加熱器29の前に注入できるよう
になっている。また、サンプリング配管37から再循環
系の水をサンプリングし、イオン捕集装置38でビスマ
スイオンを捕集してその濃度を分析する。ビスマスイオ
ン濃度が一定値以下になったら送水ポンプ36から純水
を添加金属源35に供給し、これによりビスマスイオン
を供給して炉水中のビスマスイオン濃度を保持する。本
実施例によれば易溶性金属を用いて容易に燃料棒へのク
ラッドの付着放射化を防止し、同時に炉水放射能レベル
を低下させることができる。
【0026】本発明の濃縮同位体を用いた場合の一実施
例を図7を用いて説明する。タービン41を出た蒸気は
復水器42で水に戻され、ここを出た復水は復水ポンプ
43により復水フィルタ44を通り復水脱塩器45によ
り不純物を除去される。浄化された水は給水ポンプ4
6,低圧給水加熱器47,昇圧ポンプ48,高圧給水加
熱器49を通って原子炉圧力容器50に導かれる。炉水
中不純物の一部は原子炉再循環ポンプ51の上流から分
岐した配管に接続されている原子炉浄化系52により除
去される。また、原子炉圧力容器50内には核燃料53
が装荷されている。復水フィルタ44と原子炉浄化系5
2によって高精度にクラッド除去をすることで炉水中鉄
クラッド濃度を0.05ppb以下に維持する。添加金
属注入装置54からは天然存在比20.52%の70Ge
を99.9%に濃縮したゲルマニウム塩の溶液を注入
し、その注入量は調節バルブ55で調節する。原子炉浄
化系52の前段にはキレート樹脂塔56が設けられてお
り、ゲルマニウムを吸着する。原子炉浄化系52の入口
付近のゲルマニウム及びニッケルイオンの濃度をモニタ
リングするためにサンプリング配管57を通じてサンプ
リングした水を金属イオン分析装置58で分析するよう
になっている。金属イオン分析装置58の信号はデータ
処理装置59に送られてGe/Ni比を算出し、その値
に応じて調節バルブ55を調節してゲルマニウムイオン
の注入量を調節する。これにより炉水のGe/Ni比を
1から2の間に調節する。定検中にキレート樹脂塔56
のキレート樹脂を添加金属回収装置60に移送し、溶離
液タンク61から溶離液ポンプ62を用いて添加金属回
収装置60に送り、ゲルマニウムを溶離させる。溶離液
は濃縮回収装置63に送られ、濃縮ゲルマニウム塩溶液
に転換される。この濃縮ゲルマニウム塩溶液はリサイク
ルポンプ64によって添加金属注入装置54に送られ、
再び炉内に注入される。ゲルマニウムは多くの同位体を
持つが、70Geは中性子によって放射化されてもEC崩
壊をして安定な71Gaに変わるだけで、γ線を出さない
ので被曝の観点からは問題が少ない。本実施例によれば
コストの高い同位体を有効に利用して燃料棒へのクラッ
ドの付着放射化を防止し、同時に炉水放射能レベルを低
下させることができる。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、鉄クラッドの存在下で
も、燃料棒に付着する放射性イオンを主体とした腐食生
成物の付着を低下させることができる。
【0028】また、炉水の鉄クラッド濃度が0.05ppb
以下であるので、炉水の放射能レベルを低下させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す。
【図2】鉄クラッド濃度による炉水中60Co濃度のシュ
ミレーション計算例を示す。
【図3】コバルトの付着速度係数を低下させた時の炉水
60Co濃度のシュミレーション計算例を示す。
【図4】金属イオンの燃料棒への付着とその抑制方法の
模式図を示す。
【図5】銅の添加比を変化させたときの付着速度係数の
変化を示す。
【図6】本発明の他の実施例を示す。
【図7】本発明の濃縮同位体を用いた場合の一実施例を
示す。
【符号の説明】
1…タービン、2…復水器、3…復水ポンプ、4…復水
フィルタ、5…復水脱塩器、6…給水ポンプ、7…低圧
給水加熱器、8…昇圧ポンプ、9…高圧給水加熱器、1
0…原子炉圧力容器、11…原子炉再循環ポンプ、12
…原子炉浄化系、13…核燃料、14…調節バルブ、1
5…銅電解装置、16…サンプリング配管、17…金属
イオン分析装置、18…データ処理装置、21…タービ
ン、22…復水器、23…復水ポンプ、24…復水フィ
ルタ、25…復水脱塩器、26…給水ポンプ、27…低
圧給水加熱器、28…昇圧ポンプ、29…高圧給水加熱
器、30…原子炉圧力容器、31…原子炉再循環ポン
プ、32…原子炉浄化系、33…核燃料、34…金属溶
出用加熱器、35…添加金属源、36…送水ポンプ、3
7…サンプリング配管、38…イオン捕集装置、41…
タービン、42…復水器、43…復水ポンプ、44…復
水フィルタ、45…復水脱塩器、46…給水ポンプ、4
7…低圧給水加熱器、48…昇圧ポンプ、49…高圧給
水加熱器、50…原子炉圧力容器、51…原子炉再循環
ポンプ、52…原子炉浄化系、53…核燃料、54…添
加金属注入装置、55…調節バルブ、56…キレート樹
脂塔、57…サンプリング配管、58…金属イオン分析
装置、59…データ処理装置、60…添加金属回収装
置、61…溶離液タンク、62…溶離液ポンプ、63…
濃縮回収装置、64…リサイクルポンプ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沢 俊雄 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社 日立製作所 エネルギー研究所内 (72)発明者 内田 俊介 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社 日立製作所 エネルギー研究所内 (72)発明者 朝倉 大和 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 昭58−79196(JP,A) 特開 昭60−222799(JP,A) 特開 昭58−143298(JP,A) 特開 昭62−233796(JP,A) 特開 昭61−170697(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G21D 3/08 GDB G21D 1/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】沸騰水型原子力プラントの運転中に、核燃
    料棒への腐食生成物の付着を低下させる金属を鉄クラッ
    ド濃度0.05ppb以下である炉水中に注入することを特
    徴とする沸騰水型原子力プラントの運転方法。
  2. 【請求項2】沸騰水型原子力プラントの運転中に、核燃
    料棒からの腐食生成物の溶出を促進する金属を鉄クラッ
    ド濃度0.05ppb以下である炉水中に注入することを特
    徴とする沸騰水型原子力プラントの運転方法。
  3. 【請求項3】沸騰水型原子力プラントの運転中に、核燃
    料棒への腐食生成物の付着速度係数を低下させる金属を
    鉄クラッド濃度0.05ppb以下である炉水中に注入する
    ことを特徴とする沸騰水型原子力プラントの運転方法。
  4. 【請求項4】前記腐食生成物はコバルトイオンであり、
    前記付着速度係数は0.01 以下であることを特徴とす
    る請求項3に記載の沸騰水型原子力プラントの運転方
    法。
  5. 【請求項5】前記腐食生成物はコバルトイオンまたはニ
    ッケルイオンであることを特徴とする請求項1乃至3の
    何れかに記載の沸騰水型原子力プラントの運転方法。
  6. 【請求項6】前記金属は銅,すず,ビスマス,カドミウ
    ム,ゲルマニウム,セレン,水銀,砒素,ガリウム,ク
    ロム,マンガン,鉛,アンチモン,バナジウム,テルル
    のうちから選ばれた金属であることを特徴とする請求項
    1乃至3の何れかに記載の沸騰水型原子力プラントの運
    転方法。
  7. 【請求項7】 沸騰水型原子力プラントの運転前に、一次
    冷却系における鉄クラッドの除去、及び炉内における放
    射性腐食生成物を有するフェライト層の除去の何れかを
    行った、 前記沸騰水型原子力プラントの運転中に核燃料棒への腐
    食生成物の付着を低下させる金属を鉄クラッド濃度0.
    05ppb以下である炉水中に注入することを特徴とする
    沸騰水型原子力プラントの運転方法。
  8. 【請求項8】 前記金属のイオン濃度を検出し、前記イオ
    ン濃度が所定範囲内に入るように金属注入量を制御する
    ことを特徴とする請求項1乃至3、又は7の何れかに記
    載の沸騰水型原子力プラントの運転方法。
  9. 【請求項9】 核燃料棒への腐食生成物の付着を低下させ
    る金属を鉄クラッド濃度0.05ppb以下である炉水中に
    注入する金属注入手段を備えたことを特徴とする沸騰水
    型原子力プラント。
  10. 【請求項10】 核燃料棒からの腐食生成物の溶出を促進
    する金属を鉄クラッド濃度0.05ppb以下である炉水中
    に注入する金属注入手段を備えたことを特徴とする沸騰
    水型原子力プラント。
  11. 【請求項11】 更に、一次冷却系に鉄クラッドを除去す
    る鉄クラッド除去手段を備えたことを特徴とする請求項
    9又は10に記載の沸騰水型原子力プラント。
  12. 【請求項12】 更に、炉水又は再循環系の水中における
    前記金属のイオン濃度を検出するイオン濃度検出手段
    と、該イオン濃度検出手段の出力に基づいて両者の比を
    求め、該比により前記金属の注入量を制御する制御手段
    とを備えたことを特徴とする請求項9又は10に記載の
    沸騰水型原子力プラント。
  13. 【請求項13】 前記金属注入手段は、炉水浄化系出口か
    ら炉心入り口の間に接続されていることを特徴とする請
    求項9又は10に記載の沸騰水型原子力プラント。
  14. 【請求項14】 前記金属は銅,すず,ビスマス,カドミ
    ウム,ゲルマニウム,セレン,水銀,砒素,ガリウム,
    クロム,マンガン,鉛,アンチモン,バナジウム,テル
    ルのうちから選ばれた金属であることを特徴とする請求
    項9又は10に記載の沸騰水型原子力プラント。
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