JPH05288893A - 沸騰水型原子力発電プラントのクロム濃度管理方法 - Google Patents

沸騰水型原子力発電プラントのクロム濃度管理方法

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JPH05288893A
JPH05288893A JP4094059A JP9405992A JPH05288893A JP H05288893 A JPH05288893 A JP H05288893A JP 4094059 A JP4094059 A JP 4094059A JP 9405992 A JP9405992 A JP 9405992A JP H05288893 A JPH05288893 A JP H05288893A
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reactor
water
chromium
nuclear power
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JP4094059A
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Motohiro Aizawa
元浩 会沢
Kazunobu Suzuki
和伸 鈴木
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Hitachi Engineering Co Ltd
Hitachi Ltd
Hitachi Kyowa Engineering Co Ltd
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Hitachi Kyowa Kogyo Ltd
Hitachi Engineering Co Ltd
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は原子力発電プラントにおける放射性不
純物濃度を低く維持するために、燃料表面に付着する放
射性物質の溶解を防ぐことを目的とする。 【構成】原子炉水および燃料表面付着物中でのクロム不
純物の増加は、放射性物質を含む燃料表面付着物の溶解
を加速することを発見した。この対策として、給水中の
酸化剤濃度を適切に管理する方法,クロムの発生源の材
料をクロムの少ない材料に変える方法,原子炉水中にア
ルカリイオンを共存させる方法,原子炉浄化設備を効率
よく運用する方法および、鉄を供給し燃料表面付着物中
のクロム含有量を低く維持する方法を考案した。 【効果】本願発明の適用により、原子炉水中の放射能濃
度を安定化させることが達成でき、定期検査の受ける放
射線量を低く維持できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、沸騰水型原子力発電プ
ラントにおける炉水中の放射能濃度を低く維持すること
によって、原子炉水と接する構造材内面に蓄積する放射
性物質の量を低減し、プラントの定期検査を行う作業者
の受ける放射線量を限りなく少なくする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は、沸騰水型原子力発電プラントの
プラント構成を示すものである。原子炉1内に装荷した
原子燃料の燃焼によって発生する蒸気は主蒸気配管2を
通って高圧タービン3および低圧タービン4に導かれ仕
事を行う。仕事が終った蒸気は復水器5で再凝縮され、
復水配管6を通り復水ポンプ7,復水ろ過装置8,復水
脱塩器9および復水昇圧ポンプ10を経由して給水系に
導かれる。冷却水は、給水系では給水配管11および給
水ポンプ12を通り、給水加熱器13で昇温した後、再
び原子炉1に戻る。一方、原子炉水は再循環ポン14お
よび再循環系配管15で構成される2系列の再循環系を
循環する。また原子炉水の一部は原子炉浄化系ポンプ1
6および原子炉浄化系配管17を通って原子炉浄化設備
18に導かれ浄化される。その後、給水系配管11に合
流して原子炉1に戻る。その間、原子炉浄化設備ろ過脱
塩装置18は粉末イオン交換樹脂を使用していることに
より、原子炉水を60℃以下に冷却する必要性から、原
子炉浄化系熱交換器19で冷却している。又、給水から
流入した不純物は、原子炉内で沸騰濃縮され、その一部
が原子炉浄化系のろ過脱塩装置で除去されることによ
り、原子炉水が清浄に保たれる。さらに、原子炉水およ
び給水の水質監視は、給水系配管11および原子炉浄化
系配管17から分岐して系統水をサンプリングできるサ
ンプリング配管系20および21を設けて行っている。
【0003】又、給水系の熱交換器13の間を連結する
給水配管11は炭素鋼が用いられており、この配管の防
食をはかるため、酸素注入設備23から酸素ガスを連続
注入している。この注入量は、給水系で20〜200pp
b の比較的広い範囲で運用されプラントによって濃度が
まちまちである。
【0004】一般に、沸騰水型原子力プラントの例えば
配管,ポンプ,熱交換器等の構成材料からは、金属イオ
ン成分や不溶解性成分(クラッド)等の腐食生成物がわず
かずつ溶出する。復水浄化装置の上流側のタービン系で
発生した腐食生成物大部分は復水浄化装置で除去される
が、復水浄化装置の下流側の給水系で発生する腐食生成
物は、浄化されずに給水と共に原子炉内に持ち込まれ
る。原子炉内に持ち込まれた腐食生成物の大部分は原子
炉燃料表面で生ずる沸騰現象に伴い濃縮され燃料表面に
付着する。燃料表面に付着した腐食生成物は、原子炉燃
料の燃焼に伴って発生してくる中性子の照射を受け、放
射性核種を生成する。例えば、NiやCoなどの腐食生成
物は中性子照射を受けて58Coや60Coなどの長半減期を
有する放射性物質となる。燃料表面に付着して放射性を
帯びるようになった腐食生成物の一部は、再び原子炉水
中に溶出あるいは脱離して、原子炉水を循環させる原子
炉冷却材再循環系、あるいは原子炉水中の不純物を浄化
している原子炉水浄化系の機器・配管内面に付着・蓄積
してその放射線量率を高める。
【0005】よって、原子炉水中の腐食生成物の濃度を
低くすることは、プラントの放射線量率を低く維持する
ことになり、各種配管・機器の点検作業時の作業員が受
ける放射線量を低くすることになる。このため、腐食生
成物の発生の低減および発生した腐食生成物の除去を行
うための改善がこれまで種々行われてきた。
【0006】しかし、腐食生成物の発生、特に鉄クラッ
ドの発生の低減が達成されたプラントにおいて、原子炉
水中の放射性物質濃度が従来プラントより高いレベルで
安定化する現象が見られた。この要因を検討した結果、
復水浄化装置の下流側にあるステンレス鋼製の給水加熱
器伝熱管(ヒータチューブ)あるいは、ステンレス鋼,
インコネル材を使用している原子炉内構造材から発生す
るNiおよびCoの量に対してFe腐食生成物の量が大
きく減少していることが要因であった。
【0007】そこで、給水中のFe濃度を、給水ヒータ
チューブおよび原子炉内構造物から発生するNiおよび
Coの発生量に応じてコントロールする技術が現在適用
されている(例えば日立評論Vol.70,No.4,P41
7〜419,(1988)参照)。
【0008】かかる給水中のFe濃度コントロール技術
の基本原理を説明する。給水と共に原子炉内に持ち込ま
れたNiやCo等の腐食生成物が燃料表面に付着して中
性子照射で放射性物質になり、これが再び原子炉冷却水
中に溶出または脱離して原子力圧力容器外の機器,配管
の内面に付着蓄積することが、これら機器,配管の放射
線量率を高める原因になることは前述したとおりであ
る。ところで、上記の燃料表面に付着したNi,Coの
腐食生成物がNiFe24やCoFe24という複合酸
化物として燃料表面に付着蓄積していると、それが再び
原子炉冷却水中へ溶出または脱離する速度は著しく遅く
なり、燃料表面に付着蓄積したまま長時間留まり、結果
として前記の機器,配管内への再付着・蓄積が抑制され
る。このためには原子炉冷却中のNi,Coが上記の安
定な複合酸化物を作れるように給水中のFe/Ni重量
比を2以上(実際上はやや多目にみて約3)とすべく給
水中の鉄濃度をコントロールすることが必要である。
(なお、原子炉冷却水中ではCo濃度はNi濃度の1%程
度であるからCoおよびNiの濃度はNi濃度で代表さ
せてよい。)これが給水中の鉄濃度コントロール技術の
基本原理である。
【0009】給水中のFe濃度をコントロールする方法
としては、復水浄化装置下流側にて、給水中に、電解で
生成した鉄を注入する方法が考案され採用されてきてい
る。その1つに特願平2−122043 号に開示されたものが
ある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前述した給水中の鉄濃
度を給水中のNi濃度の3倍以上維持することによっ
て、炉水中のFe濃度を前述のように充分に維持して運
転しているにもかかわらず炉水中の60Co 等の放射性核
種濃度が変動する現象が新たに生じた。従って、新たな
原因の究明と安定化の対策が望まれている。
【0011】これらの要因を本発明者らが検討した結果
以下に示すことが原因であることが判明した。
【0012】原子炉水中の放射能濃度が安定しない現象
は、給水加熱器伝熱管に使用しているステンレス鋼配管
からクロム(以下Crと示す)の溶出量の増加する現象
と対応していることを発見した。給水加熱器伝熱管から
発生したCrは給水とともに原子炉内へ流入し、原子炉
水中Cr濃度の増加および、燃料被覆管表面へ沸騰現象
に伴い鉄その他腐食生成物とともに付着するCr量の増
加を招いていた。これら原子炉内におけるCr量の増加
が燃料付着クラッドの再溶出を加速させたものと考え
た。この燃料付着クラッドの溶解速度の増加は、燃料ク
ラッド中に共存する58Coや60Co等の放射性核種濃度の
溶解も加速し、原子炉水中放射能濃度を不安定にしたも
のと考えた。
【0013】従って、炉水中の放射能濃度の安定化のた
めには、原子炉水あるいは燃料付着物中のCr量を削減
し、燃料付着物の溶解速度を低く維持していくことが有
効な手段であると言える。
【0014】
【課題を解決するための手段】炉水放射能濃度の変動に
及ぼすCr発生量および燃料付着物中のCr含有量の影
響を実験室データに基づいて評価した結果を以下に示
す。
【0015】実験量試験では、Fe,Niの量を実機に
近い条件に設定し、さらにCrの割合を変えて沸騰水型
原子力発電プラントの原子炉水と同じ温度圧力下に約1
時間放置してCr含有率の異なる酸化物を形成させた。
この酸化物を、80℃のシュウ酸の溶液中に一定時間放
置した後に溶解した酸化物の量を測定して、Cr含有率
に対する酸化物の溶解性を測定した。
【0016】この結果を図2に示す。図2に示したよう
に酸化物中のCr含有量の増加に伴って溶解量の増加が
見られ、Cr含有量が前酸化物に対して3%以上になる
と溶解量の急激な増加があった。従って、酸化物中のC
r含有率は3%以下に維持することが望ましいと言え
る。
【0017】さらには、給水系からのCr持込量の増加
は、燃料付着物中のCr濃度の増加をもたらす。又、原
子炉水環境下におけるCrは実際にはCrO4 2- のアニ
オン不純物の形態をとる。原子炉水に薬品を加えない沸
騰水型原子力発電プラントの原子炉水においては、Cr
2 2-イオン濃度の増加に伴い、冷却水(H2O)からの原
子炉水中の水素イオンが遊離し、Cr濃度の増加に伴い
冷却水が酸性化(pHが低下)する。さらに、この現象
は冷却水が沸騰し溶解している不純物が濃縮する燃料被
覆管表面では、局所的に強い酸性化が起こる。これら冷
却水の酸性化は図3に示す原子炉水環境化における酸化
物の溶解割合の実験結果に見られるように、燃料被覆管
表面付着物の溶解を加速し、付着物中に含まれる放射性
核種の溶解量も増加させる要因となる。従って、放射能
濃度の安定化のためには原子炉水中のCr濃度を低く維
持することも必要である。
【0018】これらの実験結果に基づく検討より、本発
明者らは炉水放射能濃度の安定化のためには、従来のN
iおよびCo量に対するFe量ばかりではなく、全付着
物量に対するCr量も管理することが必要であると判断
した。
【0019】又、本発明者らは、沸騰水型原子力発電プ
ラントにおいては、以下に示す方法の組合わせによっ
て、給水および原子炉水中のCr濃度を管理することを
考案した。
【0020】
【作用】給水および原子炉水中のCr濃度を管理方法の
一つとして、給水加熱器の伝熱管に使用しているステン
レス鋼から発生するCrの溶出量を可能な限り低減する
方法がある。具体的には、図4に示す給水条件下におけ
る本発明者らの実験結果に見られるように、ステンレス
鋼(SUS304)からのCr溶出量は溶解酸素濃度および、
過酸化水素濃度等の酸化剤濃度の増加に伴って増加する
傾向にある。同様に溶存酸素に比べて酸化力の強い過酸
化水素(H22)濃度の増加においても、ステンレス鋼
からのCr溶出量の増加が見られる。
【0021】一方、実プラントの給水系においては複数
の給水加熱器を接続する給水配管に炭素鋼を用いてお
り、この炭素鋼配管の防食のため給水系上流側に酸素を
注入している。これら給水中の酸素濃度管理は図4に示
した腐食データおよび数々の実プラントにおける運転経
験等により、20ppbから200ppbの広い範囲で運用さ
れている。
【0022】又、給水中のCr濃度の増加が生じている
プラントでは、給水中の溶存酸素濃度が40ppb 以上の
範囲で運用されていることが判明した。従って、炭素鋼
配管の防食を維持しかつ、給水加熱伝熱管(ステンレス
鋼)からのCr溶出量を低く維持できる濃度範囲を新た
に選定することが望ましいと言える。
【0023】具体的には、図4に示す本発明者らの実験
データから10ppbから30ppbの範囲で管理することが
望ましい。又、給水中に過酸化水素濃度が共存する場合
には過酸化水素濃度の溶存酸素等価酸化力に換算した濃
度を加えて10から30ppbの範囲に管理することで前
記目的を達成できる。図4に示した本発明者らの実験結
果からは過酸化水素に対して約10倍の酸化力を有する
と判断できる。従って、過酸化水素濃度が共存する場合
には過酸化水素濃度測定値の10倍の値を等価溶存酸素
濃度として溶存酸素濃度に加えた値で管理することが可
能である。
【0024】また、給水加熱器伝熱管からのCr溶出量
を低減するためには現状伝熱管として使用しているオー
ステナイト系ステンレス鋼管(SUS304あるいはSUS316)
よりCr含有量の低い合金鋼管を使用する方法が考えら
れる。表1に給水加熱伝熱管として使用可能な各種配管
材料のJIS規格に表示されている成分を比較して示
す。現在使用されているSUS316およびSUS304のCr含有
量16〜20%に対して母材中のCr含有量が少ない材
料はフェライト系ステンレス鋼で10.5〜14.5%,ク
ロムモリブデン鋼で0.5 〜10%モリブデン鋼はほと
んど含まない材料まで存在し、選定範囲は広い。前述の
材料は全てNiも含まないため58Co核種放射能濃度低
減、ひいてはNiの不純物として存在するCoの放射生
成物60Co核種の濃度低減効果も合わせて持つこととな
る。
【0025】
【表1】
【0026】2つ目の原子炉水放射能濃度安定化対策
は、CrO4 2- の沸騰濃縮に伴って生ずる燃料表面傍冷
却水の酸性化によって起こる付着物の溶出速度増加を抑
制する方法である。本発明者らが考案したCrO4 2-
オンの濃縮に対する有効な手段としては、仮にCrO4
2- イオンが濃縮した際にも水素イオン原子炉水中の水
素イオンを遊離することがないように、カチオンである
アルカリ金属イオンあるいはアルカリ土類金属イオンを
炉水中に共存させる方法である。たとえば、アルカリ金
属であるナトリウムイオンを炉水中に共存させるとCr
4 2- イオンの濃縮と同時に原子水炉中のナトリウムイ
オンも濃縮するため原子炉水中の水素イオンの遊離は生
ぜず、燃料表面近傍では常に中性環境が維持でき、付着
物(酸化物)の溶解速度の増加をもたらさない。
【0027】又、仮りにNa2CrO4等の塩として燃料
表面に析出および付着する場合を想定しても、Na2
rO4等の塩は水に対する溶解度が極めて大きいため、
再び原子炉水中に再溶解する。そのため、燃料付着物の
Cr含有量を増加させることは無く、付着物の溶解性に
影響を及ぼすことは無い。この方法により、より一層の
原子炉水放射能度の安定化が達成できる。
【0028】3つ目の原子炉水放射能濃度安定化対策
は、給水系から流入したCrを燃料表面に付着する前に
原子炉浄化系ろ過脱塩装置で効率良く除去する方法であ
る。
【0029】現状の原子炉浄化系のろ過脱塩装置はカチ
オン粉末樹脂とアニオン粉末樹脂の樹脂量比を2:1で
使用してる。CrO4 2- のアニオン不純物の増加の際に
は、アニオン粉末樹脂量がカチオン樹脂に対して不足し
ているためアニオン不純物からイオンブレークする。そ
の結果、CrO4 2- イオンが除去されずにろ過脱塩装置
から出てくる。
【0030】従って、CrO4 2- イオンの除去のために
はアニオン樹脂量をあらかじめ現状以上に増やすことが
有効である。具体的には、カチオン樹脂量以上の比率で
運用することが有効である。
【0031】また、ろ過脱塩装置イオン交換樹脂の新樹
脂への取替は、現状ろ過脱塩装置出口導電率で管理して
おり、0.1μS/cm に達した時点となっている。この
導電率はCrO4 2- イオン濃度に換算すると約2.7ppb
に相当する。
【0032】給水中のCr濃度が上昇したプラントで
は、原子炉水中のCr濃度が約5ppbであるためろ過脱
塩装置出口伝導率が0.1μS/cm に達した時点では約
50%が除去されない状態となっている。通常浄化設備
の除去率として許容できる除去率は約90%である。前
記除去性能を確保するためにはろ過脱塩器出口Cr濃度
が0.5ppb 以下を維持する必要があり、この濃度に相
当する導電率は約0.07μS/cmである。
【0033】従って、原子炉水中のCrを効率良く除去
するためには、イオン交換樹脂の取替判断値を現状の
0.1μS/cmから0.07μS/cmに低下させて厳しく
管理することが有効である。
【0034】4番目の炉水放射能濃度の安定化法は、燃
料付着物(酸化物)中のCr含有量をCr以外の付着物
を増やすことによって、酸化物の溶解速度が比較的安定
している3%以下に常に維持する方法である。本発明者
らは、このための一つの方法として、燃料表面に付着す
るCr付着量をあらかじめ計算し、Cr付着量が常に3
%以下となるよう十分なFeを付着させる方法を考案し
た。
【0035】具体的には、給水中のFe濃度を鉄注入あ
るいは復水ろ過装置のバイパス運転によりコントロール
することによって達成できる。
【0036】以上述べた方法の中より1つ以上の方法を
採用することにより、燃料表面付着物中のCr量および
炉水中Cr濃度の低減が達成でき原子炉水中放射能濃度
の安定化が達成できる。
【0037】
【実施例】本発明の中で給水系のCr濃度を低減する実
施例を図1,図4および表1を用いて示す。給水系のC
r濃度を低減する方法の中で最も容易な方法は、給水中
の酸化剤の濃度(溶存酸素濃度,過酸化水素濃度)を管
理することである。過酸化水素濃度は、原子炉から主蒸
気あるいは原子炉水の回収水として復水器5に流入する
可能性があるものであり、溶存酸素に対して約10倍の
酸化力を有しているため低能度であっても正確な測定が
必要となる。又、溶存酸素濃度は、酸素注入設備23か
らの酸素ガス注入量をコントロールすることによって調
整できる。
【0038】又、図4に示した実験結果より、Cr溶出
速度を低く維持しかつ炭素鋼配管の防食効果も維持でき
る最適な溶存酸素濃度範囲は10〜30ppb である。従
って、過酸化水素濃度を溶存酸素濃度に等価換算する下
式によって、追加注入する酸素ガス量を調整し決定する
ことが必要となる。
【0039】
【数1】
【0040】又、給水系のCr濃度を可能な限り低く維
持するためには、極力酸化剤濃度を低く維持することが
望ましく、給水系サンプリングライン20より適宜給水
をサンプリングしFe濃度の変化より炭素鋼配管に対す
る防食効果を監視しながら溶存酸素濃度10ppb の下限
濃度まで近付けることが望ましい。仮に、給水中のFe
濃度が復水脱塩装置出口Fe濃度より明らかに上昇した
濃度になった場合には給水系の炭素鋼配管に対する酸化
剤濃度が不足している状態を示している。その場合は、
給水系への溶存酸素濃度を1から3ppb 上昇させた値が
そのプラントにおける最適酸素濃度と判断できる。
【0041】本発明者らが行った実プラントにおける試
験では50ppb の酸化剤濃度から約25ppb の濃度に低
下させることによって、給水中のCr濃度は、0.1ppb
から0.5ppbまで半減した。同時に、給水系のFe濃度
の上昇はほとんどなかった。本発明者らが考案したもう
一つの給水Cr溶出量低減方法は、表1に示したよう
に、現状のSUS304あるいはSUS316の伝熱管材料をCr含
有量の少ないフェライト系ステンレス鋼,クロムモリブ
デン鋼あるいはモリブデン鋼に変更する方法である。こ
れにより、現状のCr含有率16〜20%の材料に対し
て、14.5%以下に低下させることができ溶出量もC
r含有率にほぼ比例して低下させることが期待できる。
【0042】本発明の目的からは、Crを含まないモリ
ブデン鋼が最も望ましく給水加熱器ヒータチューブの材
料取替のみで目的が達成される。又、14.5% 以下の
材料であってもCr含有率を有する材料をヒータチュー
ブとして採用した場合には給水中酸化剤濃度の低減ある
いは、後述するプラント運用方法を合わせて適用するこ
とが効果的である。加えて、上述の材料中には、Niを
含まないためNiを後金に加えることに伴って混入する
不純物としてのCoも共存しないため、プラントの線量
率のほとんどを占める58Coおよび60Co核種濃度も同
時に低減できる効果を本発明は有する。
【0043】次に、原子炉水中のCrO4 2- イオンと等
価以上のアルカリ金属イオンあるいは、アルカリ土類金
属イオンを原子炉水中に共存させ、炉水の酸性化の抑制
ひいては燃料付着物の溶解抑制をはかる実施例について
以下に示す。
【0044】原子炉中のCrO4 2- イオンが沸騰濃縮し
た場合に、その周辺の冷却水が酸性とならないためには
少なくともCrO4 2- の化学当量濃度以上のアルカリ金
属イオンの存在が必要となる。これらのアルカリイオン
種の供給は図1に示した給水系配管1(復水脱塩器下流
側)あるいは原子炉浄化系配管17(原子炉浄化設備下
流側)に直接アルカリイオン種を注入する方法がある。
これ以外には、復水脱塩装置9あるいは原子炉浄化系ろ
過脱塩装置18のカチオン樹脂にあらかじめアルカリイ
オン種を吸着させ、徐々に溶出させる方法もある。
【0045】後者のイオン交換樹脂を使用する方法は、
カチオン樹脂の調査のみで特別な装置を用いないで可能
なため実施が容易である。
【0046】さらには、原子炉中のCr濃度の変化に対
応して共存させるアルカリイオン種の濃度を変えること
を考えると定期的に新しいイオン変換樹脂に変える操作
を行う原子炉浄化系ろ過脱塩器のカチオン樹脂にアルカ
リイオン種を吸着させて濃度コントロールを行うことが
最も容易である。
【0047】この方法はイオン交換樹脂中および原子炉
水中のアルカリ元素濃度と水素イオン濃度は(数2)に
示すような分配平衡を示す特性を利用するものである。
【0048】
【数2】
【0049】(数2)における選択係数はアルカリイオ
ン種の種類によって決まる値であり、25℃の炉水中で
はナトリウム(K(H/M)=1.56)カリウム(K(H
/M=2.28)リチウム(K(H/Li)=1.56)で
あることが知られている。
【0050】(出典:O.D.Bonnor,L.Smith;
J.phys.chom.61,326(57))又、原子炉水中
のアルカリイオン濃度にはイオン交換樹脂からアルカリ
イオン種を溶離させて設立する冷却水中のアルカリ濃度
を代入し、原子炉水中の水素イオン濃度には上記冷却水
中にアルカリイオン種とCrO4 2- イオン種の共存によ
って決まる水素イオン濃度を代入する。これによって、
(2)式中で[R−M]/[R−H]の値が決まる、
[R−M]/[R−H]の比率を変えることによって炉
水中のアルカリイオン種の濃度を変えることが可能とな
る。
【0051】これらの原理および運用方法は復水脱塩装
置のカチオン樹脂に対しても同様に適用でき、原子炉浄
化系ろ過脱塩器との共用あるいは単独運用も可能であ
る。
【0052】又、原子炉水中に共存させるアルカリイオ
ン種は、アルカリ金属(Li,Na,K)あるいはアル
カリ土類金属(Be,Mg,Ca)の中より1種類以上
選定することが可能である。
【0053】アルカリイオン種の共存によって、CrO
4 2- が濃縮する燃料表面近傍においても極端な酸性化が
起こらず付着物(酸化物)の溶解を抑制でき、原子炉水
中の放射能濃度も安定させることができる。
【0054】3つ目の実施例として原子炉浄化系ろ過脱
塩装置の運用方法の改善について示す。
【0055】現状の原子炉浄化系のろ過脱塩装置はカチ
オン粉末樹脂とアニオン粉末樹脂の樹脂量比を2:1の
カチオン樹脂を多く使用しておりCrO4 2- のアニオン
不純物の増加の際にはアニオン粉末樹脂量が明らかに不
足しているため、アニオン樹脂からイオンブレークが生
じCrO4 2- イオンが除去されずにろ過脱塩装置から出
てくる。その結果として、原子炉水中のCrO4 2- はま
すます上昇し、燃料表面付着物の溶解を加速する。
【0056】従って、CrO4 2- イオンの原子炉浄化系
ろ過脱塩装置での除去は常に維持していくことが付着物
の溶解速度を低く維持していくことが重要となる。
【0057】CrO4 2- イオンの除去を長く維持するた
めにはアニオン樹脂量をあらかじめ現状以上に増やすこ
とが有効である。しかし、粉末イオン交換樹脂を用いた
ろ過脱塩装置は、アニオン樹脂とカチオン樹脂のお互い
に相反する表面電荷により形成されるろ過層の空隙を利
用して固形不純物のろ過機能を維持している。仮にアニ
オン樹脂単独で使用した場合には、イオン交換樹脂のろ
過層が過度に緻密となり処理動力の増加あるいは処理能
力の低下をもたらす。従って、ろ過層の空隙を適切に維
持するためには、カチオン樹脂とアニオン樹脂の混合が
必要である。前記条件の中で、アニオン樹脂量を多くす
ることが可能な範囲を本発明者らが検討した結果、カチ
オン樹脂とアニオン樹脂の比率を1:1から1:3(ア
ニオン樹脂の割合:50%から75%)の範囲で用いる
ことが可能であるとの結果を得た。
【0058】又、ろ過脱塩装置イオン交換樹脂の取替
は、現状ろ過脱塩装置出口導電率が0.1μS/cmに達
した時点となっている。この導電率はCrO4 2-イオン
濃度のみに換算すると、約2.7ppbに相当する。
【0059】給水中のCr濃度が上昇したプラントで
は、原子炉水中のCr濃度が約5ppb以上となるためろ
過脱塩器出口導電率が0.1μS/cm に達した時点では
約50%が除去されない状態となっている。通常、浄化
設備が有効に除去性能を維持している場合の除去率は約
90%である。前記除去性能を確保するためには、ろ過
脱塩器出口Cr濃度が0.5ppb以下を維持する必要があ
りこの濃度に相当する導電率は約0.07μS/cm で
ある。
【0060】従って、原子炉水中のCrを効率良く除去
するためには、イオン交換樹脂の取替判断値を現状の
0.1μS/cmから0.07μS/cmに変化させて厳しく
管理することが必要となる。
【0061】次の実施例として燃料被覆感表面に付着物
中のCr含有率を3%以下に維持するため、必要なFe
を原子炉に供給して燃料に付着させる実施例を図5およ
び図6を用いて説明する。
【0062】給水中、Fe濃度の増加方法の1つは、高
濃度のFeを含む復水の一部を復水ろ過装置8を通さず
に直接下流側の復水脱塩装置9に導き復水脱塩装置を介
して行う方法がある。
【0063】復水の一部バイパスは復水ろ過装置バイパ
スライン24を用いて行い、バイパス流量の調整は、バ
イパス弁25によって行うことが可能である。この方法
は復水ろ過装置8に比べて復水脱塩装置の固形分除去性
能が劣ることを利用したものであるが、復水脱塩装置と
言えども一定量のFeを除去し、その除去性能は、各脱
塩装置個々の特性によってまちまちである可能性を持
つ。従って、給水鉄濃度のコントロール性は必ずしも容
易とは言い難い。
【0064】次に示す鉄注入法は給水鉄のコントロール
性の面で復水ろ過装置のバイパス法に比べて勝ってい
る。具体的には図5に示すように、復水ろ過脱塩装置9
下流の復水配管に鉄を含む注入水の注入点を設け、注入
する鉄は鉄電極を電解によって生成させたものを用いる
方法である。
【0065】電解鉄注入設備および運用方法を図6を用
いて説明する。
【0066】図2において、Co2 圧入源水槽29,電
解槽30および反応層31が設置されている。配管32
から槽29に入った供給水はCo2 ガスボンベ33から
管34を介して炭素ガスを吹き込むことにより導電率が
高められ、次いで配管35を経て電解槽30に入り、並
列配置された鉄電極36間を流れる。その間、鉄電極の
電解により鉄イオンが生成し、供給水中に溶出する。電
解槽30には電極下方より不活性ガスボンベ37から管
38を介して窒素ガス又はアルゴンガス等の不活性ガス
を吹き込み、電解時の酸素ガスのストリッピングと電極
表面への付着物の除去を行う。電解槽30で生成された
鉄イオン含有水は堰を介して反応槽31に入り、ここで
ガス供給配管49から空気を吹き込むことにより、鉄イ
オンが水酸化鉄または酸化鉄に変化してクラッド化され
る。槽30,31の上部の排気管40からは、上記の供
給された炭酸ガス,不活性ガス,空気が排気される。反
応槽31は、鉄イオンに対する鉄クラッドの割合を90
%確保するために、吹き込まれた空気との反応時間とな
る平均滞留時間が20分以上確保できるような容量とし
てある。又、反応性を向上させるために反応槽31には
攪拌器41を設け、鉄イオンと酸素との反応効率の向上
を図っている。上記のように生成されたクラッド化した
鉄を含有した水は注入配管42,注入ポンプ43を通っ
て復水浄化装置下流の復水母管へ注入される。注入され
た電解鉄は、復水と一緒に給水加熱器を経て原子炉に供
給される。
【0067】上述の方法で給水中のFe濃度を増加させ
ることによって燃料被覆管表面に付着するFe量をコン
トロールできる。原子炉へ供給するFe量は以下に示す
方法で決定することが可能である。図1において、給水
および原子炉水中のFeおよびCr濃度を適宜判定す
る。これらの値から給水系から流入したFeおよびCr
の燃料への付着率β(Fe)、およびβ(Cr)を算出す
る。原子炉浄化系の流量が給水流量の2%である場合は
下式で表わされる。
【0068】
【数3】
【0069】
【数4】
【0070】ここで、 β(Fe) :Feの燃料への付着率 β(Cr) :Crの燃料への付着率 C1(Fe):給水中Fe濃度 C1(Cr):給水中Cr濃度 C2(Fe):炉水中Fe濃度 C2(Cr):炉水中Cr濃度 本発明者らの経験では通常β(Fe)は0.90から0.
98の範囲にありβ(Cr)は0.2 以下の値である。従
って、Feの燃料への付着率はCrに比べてきわめて大
きい性質を持っており、Feの追加供給による付着物中
のCr含有率の低下は容易に達成できる。
【0071】次に燃料付着物中のCr含有率を3%に維
持するために必要な給水中のFe濃度は下式より求めら
れる。
【0072】
【数5】
【0073】(数5)で求められた給水中のFe濃度は燃
料表面でCr含有率を3%に維持できる濃度であるため
実際上は上記値に原子炉内構造物から発生するCr量を
加味して裕度を持たせた濃度に調整することが望まし
い。本発明者らの検討では、原子炉内構造物から発生す
るCr量は、1100Mw級プラントで約1.5kg /年
の量であり、これを付着物中のCr含有率3%に維持で
きる給水Fe濃度に換算すると約0.2ppb以下の濃度に
相当する。従って、(数5)で計算される値に0.2ppb
を加えた値が給水中のFe濃度となる。
【0074】以上の方法で適切なFe濃度にコントロー
ルすることによって燃料付着物(酸化物)の溶解速度を
低く維持でき同時に炉水中放射能濃度の安定化が達成で
きる。
【0075】
【発明の効果】本発明により、沸騰水型原子力発電プラ
ントの燃料表面付着物中に蓄積するCr量を削減でき、
かつ、原子炉水中のCrO4 2- の沸騰濃縮による燃料表
面付着物周辺の酸性化を防止できるため、原子炉水中の
放射能濃度を安定化させるが容易に達成できる。
【0076】その結果、プラント線量率も低減でき、定
期検査時に作業者の受ける放射能量も低く維持すること
が可能となる。
【0077】このようなプラントの維持管理技術の充実
はプラント信頼性の向上に継がり、安定な電力供給に寄
与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】沸騰水型原子力発電プラントの系統構成を示す
図。
【図2】燃料被覆管表面付着物を模擬し、付着物中のC
r含有量に対する付着物の溶解量を測定した結果を示す
図。
【図3】燃料被覆管表面付着物を模擬した酸化物の溶解
量のpH依存性を示す図。
【図4】炭素銅の腐食速度およびステンレス鋼からのC
r溶出速度の溶存酸素依存性および過酸化水素濃度依存
性を示す図。
【図5】給水Fe濃度の増加方法を示す図。
【図6】給水系へ注入するFeの発生装置と運用方法を
説明する図。
【符号の説明】
1…原子炉、8…復水ろ過装置、9…復水脱塩装置、1
3…給水加熱器、18…原子炉浄化系ろ過脱塩装置、2
3…給水系酸素注入装置、24…復水ろ過装置バイパス
ライン、28…給水鉄注入装置、29…Co2 圧入源水
槽、30…電解槽、31…反応槽。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 和伸 茨城県日立市弁天町三丁目10番2号 日立 協和工業株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】沸騰水型原子力発電プラントの燃料被覆管
    表面に付着する鉄,ニッケル,クロム,コバルト,銅を
    主な構成物とする腐食生成物中のクロム含有率を3%以
    下にコントロールすることにより、原子炉水中の放射能
    濃度を安定化することを特徴とした沸騰水型原子力発電
    プラントのクロム濃度管理方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、燃料被覆管表面に付着
    する腐食生成物中のクロム含有率を3%以下に維持する
    ために、原子炉給水中の過酸化水素の濃度の10倍濃度
    と溶存酸素濃度の合計濃度を10〜30ppb の範囲に維
    持することを特徴とした沸騰水型原子力発電プラントの
    クロム濃度管理方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、燃料被覆管表面に付着
    する腐食生成物中のクロム含有率を3%以下に維持する
    ために、給水加熱器伝熱管の機械中のクロム含有率が1
    4.5%以下の範囲内にある材料を使用することを特徴と
    した沸騰水型原子力発電プラントのクロム濃度管理方
    法。
  4. 【請求項4】請求項1において、燃料被覆管表面に付着
    する腐食生成物中のクロム含有率を3%以下に維持する
    ため、及び原子炉水中のクロム濃度に対応した原子炉水
    pH低下に伴う燃料被覆管表面に付着する腐食生成物の
    溶解速度の増加を抑制するために、原子炉浄化系ろ過脱
    塩装置に採用する粉末アニオン樹脂の量を粉末カチオン
    樹脂との合計量に対して50%から75%の範囲で使用
    する方法あるいは、新しい粉末樹脂への取換えをろ過脱
    塩装置出口水の導電率が0.07μS/cm 以下の範囲で
    行う方法のいずれか一方あるいは両者を組合わせた運用
    を行うことを特徴とした沸騰水型原子力発電プラントの
    クロム濃度管理方法。
  5. 【請求項5】請求項1において、燃料被覆管表面に付着
    する腐食生成物中のクロム含有率を低く維持するため
    に、原子給水中のクロムイオン当量濃度に対して同量以
    上のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属イオンを原
    子炉水中に共存させることを特徴とした沸騰水型原子力
    発電プラントのクロム濃度管理方法。
  6. 【請求項6】請求項5において、原子炉水中に共存させ
    るアルカリ土類金属は、リチウム,ナトリウム,カリウ
    ム,ベリリウム,マグネシウム、および、カリウムの中
    から1種以上選定することを特徴とした沸騰水型原子力
    発電プラントのクロム濃度管理方法。
  7. 【請求項7】請求項5において、原子炉水中に共存させ
    るアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属イオンは、あ
    らかじめ、復水脱塩装置のカチオン樹脂あるいは原子炉
    浄化装置の粉末カチオン樹脂に吸着させ供給するか、あ
    るいは、復水脱塩装置出口配管から原子炉入口までの配
    管系あるいは原子炉浄化系ろ過脱塩装置出口配管から原
    子炉入口までの配管系に注入する方法の中で、いずれか
    一つ以上の方法を用いることを特徴とした沸騰水型原子
    力発電プラントのクロム濃度管理方法。
  8. 【請求項8】請求項1において燃料被覆管表面に付着す
    る腐食生成物中のクロム含有率を3%以下に維持するた
    め、原子炉給水,原子炉水中の鉄,クロム濃度より燃料
    被覆管表面に付着する鉄およびクロム量を計算し、付着
    物中のクロム量が鉄およびクロム付着量に対して3%以
    下になるよう給水中の鉄濃度をコントロールすることを
    特徴とした沸騰水型原子力発電プラントのクロム濃度管
    理方法。
  9. 【請求項9】請求項8において、燃料被覆管表面に付着
    する腐食生成物中のクロム含有率を低く維持するために
    行う給水中の鉄濃度のコントロールは、鉄,イオンある
    いは鉄酸化物を直接注入する方法あるいは、復水の一部
    を復水ろ過装置のバイパスラインを通して鉄濃度の高い
    復水を復水脱塩装置入口に直接導く方法のいずれか一方
    あるいは両者を並用して行うことを特徴とした沸騰水型
    原子力発電プラントのクロム濃度管理方法。
  10. 【請求項10】請求項1項の目的を達成するために、請
    求項2項,請求項3項,請求項4項,請求項5項および
    請求項8項に示した方法を一つ以上組み合わせて行うこ
    とを特徴とした沸騰水型原子力発電プラントのクロム濃
    度管理方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5892805A (en) * 1995-07-26 1999-04-06 Hitachi, Ltd. Boiling water reactor and its operating method
JP2009047704A (ja) * 2008-10-09 2009-03-05 Toshiba Corp 原子力発電プラント
US8798225B2 (en) 2008-11-04 2014-08-05 Kabushiki Kaisha Toshiba Radiation exposure reduction method

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