JP2981855B2 - 超伝導回路構造とその作製方法 - Google Patents

超伝導回路構造とその作製方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジョセフソン接合
を含んで一般には集積回路として構築される超伝導回路
の構造に関し、特に当該回路にて信号伝送に用いられる
マイクロストリップ線路構造の特性インピーダンスを均
一化するための改良に関する。なお、本発明はこのよう
に、そもそも超伝導回路に関するものなので、本書記載
中、特に断らない場合でも、各電極や配線層等、導電性
を有すべき部材は、併せて極低温下において超伝導性を
呈するものとする。
【0002】
【従来の技術】従来からも、下部電極と上部電極との間
に薄いトンネル障壁層を挟み込んで構成され、極低温環
境下で能動素子として用いられるジョセフソン接合を含
む超伝導回路では、そもそも本質的な利点と考えられて
いる超高速性能を遺憾なく発揮させるため、信号電流の
伝送には高周波信号の伝送に適当でかなり低インピーダ
ンスなマイクロストリップ線路構造が用いられる。図22
にはこのような場合の従来における基本的な構造例が示
されているので、以下、これにつき説明する。
【0003】シリコンウエハ等により構成される半導体
基板であるか、他の絶縁材料製基板であっても良い基板
10の上には、当該基板上に構築される超伝導回路の共通
接地導体ないし基準電位導体として、ニオブその他、適
当なる超伝導材料製の超伝導体層21が設けられ、これは
一般に「グラウンドプレーン」とか、より日本語的には
「グランドプレーン」と呼ばれる。本書では前者に従う
が、グラウンドプレーン21の上にはシリコン酸化膜等の
層間絶縁膜41が堆積形成され、その中に結果として埋め
込まれる形でジョセフソン接合50の下部電極配線層54が
設けられる。下部電極層54の上にはさらに酸化ニオブ、
酸化アルミニウム等、適当な絶縁膜から成る極く薄いト
ンネル障壁層53を介しジョセフソン接合素子50の上部電
極52が設けられる。もちろん下部電極51も上部電極52
も、ニオブその他、適当なる超伝導材料製である。
【0004】図22においてジョセフソン接合50の部分は
仮想線の長円で囲み、これを取り出し、拡大して示して
いるが、一般に下部電極配線層54の幅寸法やその上に一
連に形成されたトンネル障壁層53の幅寸法に比し、上部
電極52の幅寸法twは十分小さく、実質的にこの幅寸法tw
が形成されたジョセフソン接合50の実効断面幅twとな
る。何故なら、ジョセフソン接合50は下部電極、トンネ
ル障壁層、上部電極の少なくとも三つの層の積層構造に
より形成され、それらの重なり合った部分のみがジョセ
フソン接合50として有効となるためである。従って図示
のような構造の場合、下部電極配線層54の一部分であっ
て上部電極52の真下に位置する寸法部分ないし面積部分
のみがジョセフソン接合50の下部電極51を構成している
と見ることができ、同様にトンネル障壁層53について
も、上部、下部電極52,51により挟まれた部分がジョセ
フソン接合50の一構成要素を構成するトンネル障壁層53
であって、他の部分は単に極薄な絶縁膜と見て差し支え
ない。なお、最近ではジョセフソン接合50の実効断面幅
twはサブミクロンオーダにまで低下が図られており、平
面的に見て正方形のジョセフソン接合の場合、図示断面
と直交する断面でも同様の寸法オーダとされる。
【0005】しかるに、ジョセフソン接合50は、それが
能動素子として回路中に組み込まれる以上、上下各電極
に対し電源の供給や信号電流印加のため、それぞれ所定
の引き回しパタンの配線層を接続する必要がある。こう
した場合、下部電極51に関してはこれと一体の関係にあ
る下部電極配線層54をそのまま所定のパタンに形成する
ことで図示しない他のジョセフソン接合や他の回路要素
に接続したり、あるいは適当なるヴィアホール構造(絶
縁膜貫通孔であるヴィアホールとその中に充填された超
伝導材料とから成る垂直線路構造:以下、単にヴィアホ
ール)を介しグラウンドプレーン21に接続したりする
外、図示のように層間絶縁層41を貫通するヴィアホール
55を介し当該層間絶縁層41の表面上に形成されている引
き出し配線層56に接続する。一方、上部電極52の方は、
大体にしてその上面が層間絶縁層41の表面と面一になる
べく露呈しているので、この露呈部分に接触するよう
に、層間絶縁層41の表面上に所定パタンで形成された上
部電極配線層57が接続する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような従来構造で
問題となるのが、グラウンドプレーン21を対向導体とし
てマイクロストリップ線路構造を構成する上部電極配線
層57の特性インピーダンスと下部電極配線層54の特性イ
ンピーダンスの相違である。周知のように、超伝導回路
におけるマイクロストリップ線路構造の場合、その特性
インピーダンスZOは下式1)で表される。
【0007】 ZO=(L/C)1/2≒×××, =ζO/K =εS -1/2 = h/W ={1+(λ1/h)coth(t1/λ1)+(λ2/h)coth(t2/λ2)}1/2 ・・・・・・・・ 1)
【0008】ここで、Lはストリップ線路の単位長当たり
のインダクタンス、Cは同じく単位長当たりのキャパシタ
ンス、hは対向導体(グラウンドプレーン21)とストリッ
プ線路(各配線層54,56,57)間の層間絶縁層(41)の厚
さ,Wはストリップ線路の幅、Kはフリンジ係数、t1は対向
導体の厚味、t2はストリップ線路の厚味、λ1 は対向導
体を構成する超伝導体の磁場侵入長、λ2 はストリップ
線路を構成する超伝導体の磁場侵入長、εS は層間絶縁
層の比誘電率、ζO は真空中の波動インピーダンスであ
る。例えば、絶縁層の厚さh を200nm、ストリップ線路の
幅W を 3μm、フリンジ係数K を1、対向導体の厚味t1を80
0nm、ストリップ線路の厚味t2を200nm、磁場侵入長λ1,λ
2 を共に80nm、絶縁層にシリコン酸化膜を用いるとして
その比誘電率εS を5 とすると、このときのマイクロス
トリップ線路構造の特性インピーダンスZOは約15Ωとな
る。
【0009】してみるに、この式1)を一般式として見た
場合、まず分かることは、当該式1)の上記項からし
て、ストリップ線路の特性インピーダンスZOは層間絶縁
層の厚味h に一義的かつ直接に比例し、線路幅W に一義
的かつ直接に反比例するということである。一方、対向
導体やストリップ線路の厚味t1,t2も厳密には影響する
が、磁場侵入長λ1,λ2 に比し、一般にそうした厚味t
1,t2は十分厚いため、実質的に当該式1)の上記項中
での厚味t1,t2による変動分は無視可能で、それらがか
なりな程度変動しても特性インピーダンスZOには余り影
響を及ぼさない。
【0010】そこで、層間絶縁層41の厚味h に着目する
と、図22の従来構造の場合、グラウンドプレーン21に対
し下部電極配線層54の置く距離、すなわちこの部分にお
ける層間絶縁層41の厚味h=h1に対し、グラウンドプレー
ン21と上部電極配線層57との対向部分間における層間絶
縁層41の厚味h=h2は明らかに異なり、h2>h1である。従
って、こうした従来構造の場合、下部電極配線層54の特
性インピーダンスより上部電極配線層57の特性インピー
ダンスの方が高くなり、両者間で信号の伝搬特性に差を
生ずる。また、高インピーダンス側の上部電極配線層57
の信号電流の大きさがインピーダンス不整合によって小
さくなるので、超伝導回路の動作余裕度に低下を来し、
誤動作を起こし易い欠点もあった。
【0011】もっとも、上述のように、ストリップ線路
の幅W を広げれば、これに反比例の関係でその特性イン
ピーダンスZOを一義的かつ直接に低下させることができ
る。従って、下部電極配線層54よりも上部電極配線層57
の幅を広くするならば、下部電極配線層54の特性インピ
ーダンスと同じ程度にその特性インピーダンスを低下さ
せることができる。しかし、一般にこの種の超伝導回路
は、図示するジョセフソン接合50を多数個集積した超伝
導集積回路として構築されることが多い。こうした場
合、上部電極配線層57の幅を広くすると配線密度が極め
て低下し、高い集積密度は得られなくなってしまう。も
ちろん、このような問題は、図示するように、下部電極
配線層54に対しヴィアホール55を介して導通する引出し
配線層56を層間絶縁層41の表面上に設けた場合、当該引
出し配線層56についても言えることである。
【0012】本発明は主としてこの点に鑑みなされたも
ので、基板に対して垂直な関係に形成されたジョセフソ
ン接合の下部電極と上部電極とにそれぞれ接するように
設けねばならない結果、当該接触部分が基板に対して高
さ方向に異なる位置に設けられる宿命にある下部電極配
線層と上部電極配線層の特性インピーダンスの相違を補
償し、それらをできるだけ等しい値とし得るような構造
原理に従う超伝導回路構造を提供せんとするものであ
る。
【0013】そしてまた、これに際しては、上部電極配
線層や、場合により下部電極配線層の引出し配線層をも
含む面の表面平坦性を損なわないようにすることも本発
明の第二の目的とする。特に集積回路を搭載する回路構
造を考えた場合、表面の平坦性を保つことが重要になる
場合が多い。例えば上部電極配線層の上にさらに絶縁層
を介して何等かの導電層を蒸着形成するような場合、当
該導電層の段切れを防止したり、以降の製造工程を簡単
化する等のために、表面の平坦性が必要になることもあ
る。回路構造を例えば樹脂封止し、適当なるハウジング
内にパッケージングする際にも、封止材料の均一性を保
ち、機械的、熱的強度を均一化する上でも表面平坦化が
有効なこともある。換言すれば、原理的に上部電極配線
層や引出し配線層に陥没する段差を設けねばならないよ
うな構造は排斥する。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
すべく、まずは第一の基本的な構成として、マイクロス
トリップ線路構造の対向導体であるグラウンドプレーン
に、ジョセフソン接合の上部電極に接続したストリップ
線路である上部電極配線層に向かって隆起する隆起部を
設けた超伝導回路構造を提案する。
【0015】そして、上部電極配線層の設けられている
面と同じ面に、ジョセフソン接合の下部電極に接続した
下部電極配線層に接続する引き回し配線用として、層間
絶縁層を挟み同じくグラウンドプレーンを対向導体とす
るマイクロストリップ線路構造の引出し配線層も有し、
この引出し配線層と下部電極配線層とがヴィアホール構
造を介して接続している構造とする場合には、本発明で
はやはり、この引出し配線層を含む面の表面平坦性を保
ちながら当該引出し配線層の特性インピーダンスを低下
させるため、引出し配線層の下に位置するグラウンドプ
レーンの部分にも、引出し配線層に向かって隆起する隆
起部を設けた構造を提案する。
【0016】ここで、上記した隆起部は、グラウンドプ
レーンの上に積層形成された一層または複数層の超伝導
体層により構成することもできるし、基板自体を加工す
ることで形成された土台、または基板の一主面上に形成
された土台の上に乗り上がる形でグラウンドプレーンを
形成することでも構成できる。
【0017】本発明ではさらに、上記のようにグラウン
ドプレーンに隆起部を設けるとの技術思想に代えて、そ
の表裏一体の関係になる構造として、上部電極配線層の
下面側に上部電極配線層と積層関係となる一層または複
数層の超伝導体層を設けて当該上部電極配線層の下方延
長部とし、これにより実効的に上部電極配線層をグラウ
ンドプレーンに近づけたに等しい構造とすることも提案
する。
【0018】もちろん、この構造に従う場合にあって、
上述のように下部電極配線層に対してもヴィアホールを
介して接続し、上部電極配線層と同一の面に設けられた
引出し配線層を設ける構造とする場合には、この引出し
配線層の下面側にも引出し配線層と積層関係となる一層
または複数層の超伝導体層を設けて当該引出し配線層の
下方延長部とし、これにより実効的に引出し配線層をグ
ラウンドプレーンに近づけに等しい構造とすることも提
案する。
【0019】本発明はまた、上記の目的を達成するため
の超伝導回路構造の作製方法としても規定できる。すな
わち、本発明に特徴的なステップとして、上部電極配線
層の形成の前にグラウンドプレーンに隆起部を設け、こ
の隆起部上に層間絶縁層を設けた後、当該層間絶縁層上
に上部電極配線層を形成する工程を含む超伝導回路構造
の作製方法を提案できる。
【0020】さらに、上部電極配線層の設けられている
面と同じ面に設けられ、下部電極配線層にヴィアホール
構造を介して接続し、層間絶縁層を挟みグラウンドプレ
ーンを対向導体とするマイクロストリップ線路構造を構
成する引出し配線層をも有する超伝導回路構造を作製す
る場合には、この引出し配線層を含む面の表面平坦性を
保ちながらその特性インピーダンスを低下させるため、
当該引出し配線層の形成の前にグラウンドプレーンに隆
起部を設け、この隆起部上に層間絶縁層を設けた後、そ
の上に引出し配線層を形成する手法も提案する。
【0021】ここで、隆起部はグラウンドプレーン上に
一層または複数層の超伝導体層を積層することで形成す
ることができ、積層関係にある第一、第二の超伝導体層
から構成する場合には、グラウンドプレーンに接する第
一の超伝導体層は第一の嵩上げ層として下部電極配線層
とグラウンドプレーンの間の層間絶縁層の厚味に等しく
なるように形成し、第二の超伝導体層は第二の嵩上げ層
として第一の嵩上げ層に接してその上に形成すると共
に、当該第二の嵩上げ層も下部電極配線層も、共にこの
同一の超伝導体層からの切り出しで形成することができ
る。
【0022】これと異なり、また別な隆起部形成法とし
て、当該隆起部を形成する前に、基板の一主面上にあっ
てグラウンドプレーン隆起部を形成する個所に盛り上が
った土台を形成し、この土台の上面に沿うようにグラウ
ンドプレーンを一連に形成することで、土台の上面に乗
った部分をグラウンドプレーンの隆起部として形成する
手法も提案できる。土台自体の物性は原理的には問題と
ならない。絶縁性でも半導体性でも、また導電性でも良
い。別途な土台部材を用いるのではなく、基板自体を加
工することでもこうした土台は形成可能である。例えば
エッチング技術等により基板に凹部を穿てば、凹部でな
い部分を相対的に盛り上がった土台とすることもでき
る。
【0023】本発明のまた別な態様によると、上部電極
配線層の形成の前に、グラウンドプレーン上に設けた層
間絶縁層の上に一層または複数層の超伝導体層を形成し
て上部電極配線層の下方延長部を予め形成し、この予め
形成された下方延長部上に上部電極配線層を積層形成す
る手法も提案できる。
【0024】このように、予め超伝導体層による下方延
長部を形成しておく手法はまた、先に述べたように、上
部電極配線層の設けられている面と同じ面に設けられ
た、下部電極配線層用の引出し配線層をも有する超伝導
回路構造を作製する場合には、当該引出し配線層に対し
てもその表面平坦性を保証しながら低インピーダンス化
を図るために適用し得る手法である。
【0025】
【発明の実施の形態】図1には、本発明を適用すること
で構成された超伝導回路構造の要部概略断面が示されて
いる。実際には既述のように、本発明の適用された超伝
導回路は多数個のジョセフソン接合50を含む超伝導集積
回路として構成されることが多いが、理解のため、図示
の場合はジョセフソン接合50を一つのみ示しており、た
だし、このジョセフソン接合50とグラウンドプレーン21
との間に設けられ、一般に当該ジョセフソン接合50の負
荷抵抗として用い得る抵抗器61も形成された場合を併示
している。なお、既述の従来構造との対比を容易にする
ため、既に説明した図22中における各構成要素と同一な
いし同様で良い構成要素には、本発明の実施形態におい
ても同じ符号を付して用いる。
【0026】以下、便宜上、図2から図19までに即し、
図1に示す構造を得るための作製工程につき順に説明し
て行くことで、当該図1に示す構造につき言及するが、
図2以降の各図は、それぞれその工程までの断面図を示
す。もちろん各図を通じ、同じ構成要素には同じ符号を
付す。
【0027】まず最初の工程では、図2に示すように、
適当なる半導体基板か絶縁性基板、例えばシリコン(Si)
基板10の上に、グラウンドプレーン21となるべき超伝導
体層として例えばニオブ(Nb)層21を適当なる手法、例え
ばスパッタ法で基板全面の上に形成した後、次のドライ
エッチング工程においてグラウンドプレーン21にまでは
エッチングが進行しないようにエッチングを停止させる
エッチング停止層22として、例えば弗素系ガスでのドラ
イエッチング時に効果的なアルミニウム(Al)層22を同じ
くスパッタ法等により積層形成する。ただし、この層22
の超伝導性は保たねばならないので、このようにアルミ
ニウムを用いる場合、その厚味は 100Å以下と薄くす
る。その上で、エッチング停止層22の上に第一の超伝導
体積層26として、例えばニオブ層26を形成する。
【0028】次いで図3に示すように、第一超伝導積層
26の上に適当なるレジスト層71を付し、公知既存のパタ
ーニング技術により当該レジスト層71を所定のパタンに
形成し、これをエッチングマスクとしてこれも公知既存
のエッチング技術、望ましくは CF4ガスやSF4 ガス等、
弗素系ガスを用いてのドライエッチングを行い、エッチ
ング停止層22を所定のパタンに従って露出させ、第一超
伝導体積層26に開口72を形成する。アルミニウムのエッ
チング停止層22は、上記のような弗素ガス系でのドライ
エッチング時に殆どエッチングされず、良好なエッチン
グ停止機能を営む。ただし、この時のドライエッチング
の均一性、制御性に余り厳密な要求をしなくて良い場
合、ないし満足な程度である場合には、エッチング停止
層22は省略することもできる。
【0029】しかるに、形成された開口72の中には、将
来、ジョセフソン接合50の下部電極51(図1)及び下部
電極51と実質的に一体の下部電極配線層54(図1)が形
成され、また、第一超伝導体積層26の残存部分23,23
は、電気的にグラウンドプレーン21に接続、導通する第
一の嵩上げ層23,23となり、かつ、この実施形態では、
この第一嵩上げ層23の厚味が、最終的に形成された下部
電極配線層54(図1)とグラウンドプレーン21との間の
第一層間絶縁層31(図1)の厚味h1と実質的に同じ厚味
となる(誤差は許容する)。ここで「嵩上げ」とは、グラ
ウンドプレーン21の実効的な表面の高さを上げるという
意味で、この図3の段階で既に、グラウンドプレーン21
の実効的な表面の高さ位置は、第一嵩上げ層23,23のあ
る所では当該第一嵩上げ層23,23の表面の位置する高さ
位置にまで高められている。
【0030】この後、レジスト層71を残したまま、図4
に示すように、全面に例えば酸化シリコン(SiO2)から成
る絶縁層30を堆積し、その上に、絶縁性のエッチング停
止層33として、例えば後続のドライエッチング時に好適
なエッチング停止機能を果たす酸化マグネシウム(MgO)
層33を形成してから、全構造を有機溶媒に浸す。これに
より、いわゆるリフトオフ法により、不要なレジスト層
71共々、その上の絶縁層30とエッチング停止層33が除去
され、図5に示すように、第一嵩上げ層23,23の表面
と、その間の開口部分72(図3)に充填された絶縁層30
とエッチング停止層33の積層構造から成る厚味h1の第一
層間絶縁層31の表面とが面一となって露呈した構造が得
られる。
【0031】この構造の上に、図6に示すように、例え
ばニオブから成る第二超伝導体積層27、将来ジョセフソ
ン接合50のトンネル障壁層となり、また、望ましくは後
述のドライエッチング時に良好なエッチング停止機能を
呈する材料として例えば酸化アルミニウム(AlOX)から成
るトンネル障壁層53、そして、最終的にジョセフソン接
合50の上部電極52(図1)となるべきニオブ等から成る
上部電極形成用超伝導体層28を適当なる手法、例えばス
パッタ法により堆積形成する。なお、こうした各層堆積
手続を採る前に、望ましくはアルゴン(Ar)により表面ク
リーニングを行うのが良く、また、酸化アルミニウム層
53の形成は、当初アルミニウム層を堆積した後、酸化雰
囲気中で酸化処理するのが便宜である。
【0032】次いで、最上層の超伝導体層28の上にレジ
スト層73を付した後、最終的に下部電極配線層54(図
1)に要求される所定パタンに対応するパタン部分と、
若干の溝を介してその周囲のパタン部分とに切り分ける
ように、当該レジスト層73を公知既存のリソグラフィ技
術によりパターニングしてドライエッチングを行うと、
図7に示すように、図6に示した第二超伝導体積層27か
ら、所定パタンの下部電極配線層54と、横方向に若干の
隙間をおいてその周りを囲繞する第二嵩上げ層24とが、
便利なことに一遍に切り出される。もちろん、これに応
じ、下部電極配線層54や第二嵩上げ層24の上のトンネル
障壁層53と上部電極形成用超伝導体層28も同じパタンに
切り出される。またこのとき、ドライエッチングを CF4
ガスやSF4ガス等、弗素系ガスを用いて行えば、先に形
成してある酸化マグネシウムのエッチング停止層33は殆
どエッチングされず、良好なエッチング停止機能を呈す
る。さらに、この段階で既に、グラウンドプレーン21の
実効的な表面は、第二嵩上げ層24,24のある所では当該
第二嵩上げ層24,24の表面となり、位置的にその高さ位
置にまで嵩上げされたことになる。
【0033】この構造の全面上に、図8に示すように酸
化シリコン等の絶縁層34を堆積してから有機溶媒に浸
し、レジスト層73共々、いわゆるリフトオフ法によりそ
の上の絶縁層34を除去すると、図9に示すように、上部
電極形成用超伝導体層28の表面が露呈し、かつ、下部電
極配線層54と第二嵩上げ層24,24との間の横方向の隙間
が残存絶縁層34で埋められた構造が得られる。
【0034】ただし、このリフトオフ法の援用に代え
て、例えば先にレジスト層73を除去してしまい、露呈し
た上部電極形成用超伝導体層28の表面上に直接に絶縁層
34を堆積してから、公知のCMP(Chemical Mechanical Po
lishing)法により平坦化することでも、下部電極配線層
54の側方に存在する溝を絶縁層34で埋めた図9の構造を
得ることができる。
【0035】いずれにしても、表面が露呈した上部電極
形成用超伝導体層28の上にレジスト層を付し、最終的に
ジョセフソン接合50(図1)の所定パタンと実効寸法
(例えば断面幅で言えば図1中の実効断面幅tw)を規定
するように当該レジスト層をパターニングし、これをエ
ッチングマスクとして、望ましくは CF4ガスやSF4 ガス
等、弗素系ガスを用いてのドライエッチングを行うと、
この条件では殆どエッチングされない酸化アルミニウム
製のトンネル障壁層53の所で当該エッチングを停止さ
せ、これにより図10に示すように、当該所定パタンのレ
ジスト層74の下に、上部電極形成用超伝導体層28から切
り出された小寸法の上部電極52を形成することができ
る。従って、既に形成されている下部電極配線層54にあ
って当該上部電極52の下に位置する面積部分が最終的に
形成されるジョセフソン接合50(図1)の実効的な下部
電極51となり、それらの間に挟まれる酸化アルミニウム
層部分が実効的なトンネル障壁層53となる。
【0036】この構造の上に、図11に示すように、最終
的に厚味h2の第二層間絶縁層32となる例えば酸化シリコ
ン層32を当該所定の厚味h2に堆積形成し、その後、有機
溶媒に浸してリフトオフ法により残存レジスト層74とそ
の上の絶縁層部分を除去すれば、図12に示すように、上
部電極52の表面が露呈し、第二嵩上げ層24の上に所定の
厚味h2の第二層間絶縁層32の形成された構造を得ること
ができる。なお、ここでもリフトオフ法に代え、予めレ
ジスト層73を除去してから絶縁層32を堆積し、前述の C
MP法を採ることによっても図12の構造を得ることができ
る。また、図示していないが、第二層間絶縁層32の上に
酸化マグネシウム等のエッチング停止層を付し、以降に
おけるドライエッチング時のエッチング停止層として機
能させることで第二層間絶縁層32の厚味h2の確保を図る
と良い場合もある。
【0037】しかるに、この実施形態では、図1に示す
ように、ジョセフソン接合50の下部電極配線層54はヴィ
アホール55を介し第二層間絶縁層32の表面上に形成され
た引出し配線層56に導通させることを図っており、ま
た、抵抗器61(図1)を設けてその一端を第二、第一嵩
上げ層24,23や超伝導性エッチング停止層22を介してグ
ラウンドプレーン21に接地することを図っているので、
次の工程以降、これらの配線に必要な構造部分と抵抗器
61の作製に移る。
【0038】まず、図13に示すように、第二層間絶縁層
32の上にレジスト層75を付した後、下部電極配線層54及
び第二嵩上げ層24のそれぞれに対し、上から導通を採る
べき位置に所定のヴィアホール55,62を開けるように当
該レジスト層75をパターニングし、残存レジスト層75を
エッチングマスクとして当該ヴィアホール55,62の底に
それぞれ対応する下部電極配線層54と第二嵩上げ層24の
表面が露呈するよう、エッチングを行う。
【0039】その後、レジスト層75を有機溶媒に浸して
除去してから、図14に示すように、例えばニオブ等の超
伝導体材料により全面にヴィアホール充填用超伝導層58
を形成し、ヴィアホール55,62内に超伝導体材料を充填
する。以降、先の約束の通りに、内部に超伝導体材料が
充填された絶縁層貫通孔による垂直線路構造55,62を単
にヴィアホール55,62と呼ぶ。
【0040】次いで図15に示すように、ヴィアホール5
5,62の上にのみ、レジスト層76が残るようにレジスト
層をパターニングし、これをエッチングマスクとして例
えばドライエッチングを行い、再び上部電極52の表面と
第二層間絶縁層32の表面を露呈させる。
【0041】この時のレジスト層76を有機溶媒に浸して
除去した後、図16に示すように新たにレジスト層77を形
成し、これに抵抗器61を設けるべき適当なる位置に抵抗
器61に必要なパタンに即する形状の開口を開けてから、
例えば鉛(Pb)等による抵抗材料層64を望ましくは電子ビ
ーム蒸着法等により全面に形成する。この後、不要な残
存レジスト77とその上の抵抗材料層64を除去すると、図
17に示すように、第二層間絶縁層32の上の所定個所に所
定パタンの抵抗器61が形成され残る。
【0042】この構造に対し、必要に応じて公知既存の
表面清浄化処理、例えば軽いエッチング処理による表面
部分の深さ方向への若干の削り取り処理等を行った後、
図18に示すように、全面にニオブ等の超伝導体材料層59
を例えばスパッタ法により堆積形成する。
【0043】この上に新たにレジスト層78を形成し、こ
れを所定のパタンにパターニングしてエッチングマスク
とし、超伝導体材料層59(図18)を例えばドライエッチ
ングすることで、図19に示すように、一端側ではジョセ
フソン接合50の上部電極52に接続し、他端側では抵抗器
61の一端側に接続した所定配線パタンの上部電極配線層
57、ヴィアホール55を介し下部電極配線層54に接続した
所定配線パタンの引出し配線層56、そして抵抗器61に一
端を接続し、ヴィアホール62を介し第二嵩上げ層24から
ひいてはグラウンドプレーン21に導通する所定配線パタ
ンの配線層63が一遍に切り出し形成される。
【0044】そこで、最後にレジスト層78を有機溶媒に
浸して除去すれば、最終的に図1に示す超伝導回路構造
が得られる。本発明の構造において特徴なことは、ジョ
セフソン接合50の下部電極配線層54が設けられていない
個所で上部電極配線層57の下に位置するグラウンドプレ
ーン21には、下部電極配線層54を囲むように、この場合
は第一、第二の二枚の嵩上げ層23,24の積層構造による
隆起部25が形成されている結果、実効的にこの部分での
グラウンドプレーン21の表面が上部電極配線層57に近づ
くように嵩上げされていることである。
【0045】これは換言すれば、図22に示して説明した
従来構造の場合、上部電極配線層57とグラウンドプレー
ン21との間に存在している層間絶縁層41の厚味h2は、下
部電極配線層54とグラウンドプレーン21の間の層間絶縁
層41の厚味h1に比し、相当に大きくなる宿命にあった結
果、それぞれグラウンドプレーン21と相まってマイクロ
ストリップ線路構造を構成する上部電極配線層57と下部
電極配線層54の特性インピーダンスにかなりな差を生
じ、これが全体としての超伝導回路の信号伝搬特性を損
なっていた所、本発明によると、グラウンドプレーン21
の方に隆起部25が設けられているために、上部電極配線
層57とグラウンドプレーン21との間の誘電体介在距離で
ある層間絶縁層32の厚味h2を大いに低減でき、もって下
部電極配線層54の特性インピーダンスと上部電極配線層
57の特性インピーダンスを揃えることが可能になったこ
とを意味する。
【0046】もちろん、線路幅等、特性インピーダンス
に関する他のパラメータが同じであるならば、隆起部25
の隆起高さは任意の高さに作製可能なので、下部電極配
線層54とグラウンドプレーン21の平坦部との離間距離h1
に対し、上部電極配線層57と隆起部25の表面との離間距
離h2を同じにすれば、それら下部電極配線層54と上部電
極配線層57の特性インピーダンスはほぼ完全に等しくす
ることができる。逆に線路幅W に若干の相違がある等の
時には、第一、第二の層間絶縁層31,32の厚味h1,h2を
全く同じにしてしまうとむしろ特性インピーダンスに相
違を生じてしまうが、このような場合にも、作製時点で
の層間絶縁層32の厚味h2の調整によって補償し、結果と
して上下電極配線層57,54の特性インピーダンスを揃え
ることができる。
【0047】なお、厳密には図示構造の場合、上部電極
配線層57とグラウンドプレーン21との実効的な誘電体離
間距離h2は、第二層間絶縁層32の厚味にトンネル障壁層
53の厚味を加えたものになるが、周知のようにトンネル
障壁層53の厚味は極めて薄いため、本書では以降もこの
厚さ寸法を無視して取扱う。また、既に既掲の式1)に即
して述べたように、グラウンドプレーン21に隆起部25を
設けることでこの部分のグラウンドプレーンの厚味(式
1)中のt1)は実効的に厚くなるが、同じく式1)中の項
に関し述べた通り、線路の厚味は特性インピーダンスの
変動に殆ど影響しないので、無視可能である。
【0048】さらに、図示構造の場合、下部電極配線層
54に対しヴィアホール55を介して接続した引出し配線層
56や、抵抗61に一端を接続した配線層63に関しても、上
部電極配線層57に関してと同じことが言え、これらの特
性インピーダンスもまた、下部電極配線層54のそれに整
合を採ることができる。上部電極配線層57に対し、これ
らの配線層56,63の線路幅が異なる場合には、作製手順
は面倒になるが、それぞれの下の隆起部25の高さを変え
るように作製することでそれぞれの層間絶縁層の厚味を
変えることができ、同様にそれら各線路の特性インピー
ダンスの調整が図れる。
【0049】そして、このような効果に加え、本発明構
造によると、上部電極配線層57を含む面や、図示のよう
に同一の面内にさらに引出し配線層56や配線層63を含む
場合にも、その表面の平坦性を損なわないですむ。
【0050】図1に示す構造は、本発明の要旨構成に即
する限り、変更することもできる。例えば、上述の作製
法に従う場合、実質的にグラウンドプレーン21の一部と
捕えて差し支えない隆起部25は、第一、第二の嵩上げ層
23,24の二層を含み、さらに要すれば超伝導性のエッチ
ング停止層22をも含んだ積層構造であった。しかし、当
該隆起部25は単一の超伝導体層から構成することもでき
るし、もっと多くの数の超伝導体層の積層構造から構成
することもできる。この場合にも、公知の加工手法を任
意に援用することで、そうした構造を得ることができ、
各素工程自体には特別な手法を必要としない。
【0051】平坦な層であるグラウンドプレーン21に隆
起部25を設けると言う概念に代え、グラウンドプレーン
自体を断面で見ると凸凹した構造にすることでも本発明
は全うできる。図20はそのような改変例を示している。
すなわち、基板10の一主面上には、絶縁性でも半導体性
でも、また導電性でも良いが、予め隆起部を形成すべき
位置に盛り上がった土台層36が形成されており、この上
に例えばニオブ等の超伝導材料をスパッタする等の手法
により、グラウンドプレーン21が形成されている。その
結果、土台層36のある所でグラウンドプレーン21は必然
的に盛り上がって隆起部25となる。換言すれば、この実
施形態の場合、隆起部25はグラウンドプレーン21と連続
した超伝導体層で構成されることになる。なお、図示し
ていないが、土台は基板10と別途な土台層36により構成
するのではなくて、基板自体を加工することでも得られ
る。例えば、基板の一主面に対しエッチング技術で凹部
を設けるようにすれば、相対的に凹部以外の部分をグラ
ウンドプレーン21に隆起部25を作るための土台とするこ
ともできる。ただし、いずれの場合にも、土台の側面
は、グラウンドプレーン21の段切れを防止するため、図
示のように斜面とするのが良い。
【0052】もちろん、基板自体に凹部を作ることでそ
れ以外の部分にグラウンドプレーン21の隆起部25を作る
のであれば、隆起部のある位置以外の相対的に凹部とな
ったグラウンドプレーン部分の上に厚味h1の第一層間絶
縁層31を介してジョセフソン接合50の下部電極配線層54
を設け、隆起部25の上に厚味h2の第二層間絶縁層32を介
して上部電極配線層57や引出し配線層56を設ければ良
い。図20中では省略しているが、図1と同様、抵抗器や
その配線層等も、要すれば同様に作製できる。もちろ
ん、この実施形態でも、隆起部25をどの位隆起させるか
によって上部電極配線層57や引出し配線層56を含む面の
平坦性を保証しながら第二層間絶縁層32の厚味h2を調整
でき、それらの特性インピーダンスを下部電極配線層54
のそれに等しくなるよう図ることができる。
【0053】図21は、本発明のさらに他の改変例を示し
ている。断面構造で見ると、上部電極配線層57や引出し
配線層56の下面に導電性下方延長部67,68が設けられ、
言って見れば上部電極配線層57や引出し配線層56の方か
ら平らなグラウンドプレーン21に向かって垂下する部分
が形成されることで、実質的に下部電極配線層54とグラ
ウンドプレーン21、上部電極配線層57や引出し配線層56
とグラウンドプレーン21間の層間絶縁層30の厚味h1,h2
が等しくなるようにされている。もちろん、線路幅が下
部電極配線層54と上部電極配線層57や引出し配線層56と
で異なる場合には、上部電極配線層57や引出し配線層56
の下面に接触、接続する下方延長部67,68の厚味を調整
し、それらの下の層間絶縁層の厚味を調整することで、
それぞれマイクロストリップ線路構造としての特性イン
ピーダンスを同じ値に整合させることができる。
【0054】このような構造は、実際にはそれぞれの下
方延長部67,68の方を先に形成してからその上に上部電
極配線層57や引出し配線層56を形成する。この際、それ
ら下方延長部67,68が複数の超伝導体層の積層構造から
成っていても良い。図示の場合には下部電極配線層54と
ほぼ同じ厚味の超伝導体層が一番下にあり、その上に中
間の超伝導体層があって、さらにその上に上部電極配線
層57や引出し配線層56が形成されている場合が示されて
いる。従って、下部電極配線層54と一番下の超伝導体層
は同一の出発超伝導体層から切り出すことができる。た
だしもちろん、これは限定的なことではなく、作製方法
の都合により、下方延長部67,68を単層構造とすること
もできるし、より多くの数の積層構造とすることもでき
る。
【0055】こうした構造によっても、上部電極配線層
57や引出し配線層56を含む最上層の表面の平坦性を保証
しながら、それらの特性インピーダンスを揃えることが
可能となる。もし仮に、上部電極配線層57や引出し配線
層56に断面で見て大きな凹部が生ずるようにすることで
グラウンドプレーン21に近づけるような構成を採った場
合には、表面の平坦性を保証することができず、そのた
め先に少し触れたように、その後の追加工程に不都合を
生じたり、装置としてパッケージングされるに際し、機
械的、熱的均一性や強度に問題を生ずる恐れが出る。
【0056】以上、本発明の幾つかの実施形態につき詳
記したが、本発明の要旨構成に良くする改変は種々考え
られる。例えば、図1及び図20に示した本発明の各実施
形態に認められるように、グラウンドプレーン21に隆起
部を形成することでその上に位置する上部電極配線層57
や引出し配線層56、配線層63等との間の層間絶縁層の厚
味を低減すると言う技術思想と、図21に示した実施形態
に認められるように、上部電極配線層57や引出し配線層
56、配線層63の方に下方延長部を設けることで層間絶縁
層の厚味を低減すると言う技術思想は組み合せることが
できる。すなわち、グラウンドプレーンには隆起部を、
各配線層には下方延長部をそれぞれ設けることで、当該
隆起部と下方延長部との間の層間絶縁層の厚味を低減
し、これにより各配線層の特性インピーダンスを低減す
る構造も可能である。このように構成された製品は、本
発明要旨構成中において、隆起部に関し規定した請求項
による発明と、下方延長部に関し規定した請求項による
発明を共に具現したものとなる。
【0057】
【発明の効果】本発明によると、表面の平坦性を保証し
ながら、グラウンドプレーンと相まってマイクロストリ
ップ線路構造を構成し、ジョセフソン接合の上部電極に
接続する上部電極配線層と下部電極に接続する下部電極
配線層の特性インピーダンスを揃えることが可能とな
る。そのため、表面に凹凸があることによる種々の不都
合を甘受することなく、作製される超伝導回路の信号伝
搬特性を大幅に改善し、結果として高速化を果たすこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超伝導回路の望ましい実施形態の断面
図である。
【図2】図1に示す超伝導回路を得るための途中工程時
の断面図である。
【図3】図2に続く工程終了時における断面図である。
【図4】図3に続く工程終了時における断面図である。
【図5】図4に続く工程終了時における断面図である。
【図6】図5に続く工程終了時における断面図である。
【図7】図6に続く工程終了時における断面図である。
【図8】図7に続く工程終了時における断面図である。
【図9】図8に続く工程終了時における断面図である。
【図10】図9に続く工程終了時における断面図であ
る。
【図11】図10に続く工程終了時における断面図であ
る。
【図12】図11に続く工程終了時における断面図であ
る。
【図13】図12に続く工程終了時における断面図であ
る。
【図14】図13に続く工程終了時における断面図であ
る。
【図15】図14に続く工程終了時における断面図であ
る。
【図16】図15に続く工程終了時における断面図であ
る。
【図17】図16に続く工程終了時における断面図であ
る。
【図18】図17に続く工程終了時における断面図であ
る。
【図19】図18に続く工程終了時における断面図であ
る。
【図20】本発明の第二の実施形態としての超伝導回路
の断面図である。
【図21】本発明の第三の実施形態としての超伝導回路
の断面図である。
【図22】従来における超伝導回路の代表的構造例の断
面図である。
【符号の説明】
10 基板, 21 グラウンドプレーン, 22 超伝導性エッチング停止層, 23 第一嵩上げ層, 24 第二嵩上げ層, 25 グラウンドプレーンの隆起部, 30 絶縁層, 31 第一層間絶縁層, 32 第二層間絶縁層, 33 絶縁性エッチング停止層, 36 土台層, 50 ジョセフソン接合, 51 下部電極, 52 上部電極, 53 トンネル障壁層, 54 下部電極配線層, 55 ヴィアホール, 56 引出し配線層, 57 上部電極配線層, 61 抵抗器, 62 ヴィアホール, 63 配線層, 67 下方延長部, 68 下方延長部.
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 39/22 H01L 39/24 H01L 39/00 H01P 3/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板の一主面上に設けられたグラウンドプ
    レーンと, 該グラウンドプレーンの上に絶縁層を介して設けられ、
    下部電極、トンネル障壁層、上部電極を順に積層して成
    るジョセフソン接合と, 該ジョセフソン接合の上記下部電極及び上記上部電極に
    それぞれ接続し、上記グラウンドプレーンとの間にそれ
    ぞれ層間絶縁層を挟むことで該グラウンドプレーンを対
    向導体とするマイクロストリップ線路構造を構成する下
    部電極配線層及び上部電極配線層と, を有する超伝導回路構造であって; 上記上部電極配線層の設けられている面と同じ面に、上
    記下部電極配線層に接続する引き回し配線用として、層
    間絶縁層を挟み上記グラウンドプレーンを対向導体とす
    るマイクロストリップ線路構造を構成する引出し配線層
    を有し;該引出し配線層と上記下部電極配線層とはヴィ
    アホール構造を介して接続していると共に; 上記グラウンドプレーンは、 上記上部電極配線層を含む面の表面平坦性を保ちながら
    該上部電極配線層の特性インピーダンスを低下させるた
    め、上記グラウンドプレーンに該上部電極配線層に向か
    って隆起する第1の隆起部と、 上記引出し配線層を含む面の表面平坦性を保ちながら該
    引出し配線層の特性インピーダンスを低下させるため、
    該引出し配線層の下に位置する上記グラウンドプレーン
    の部分にも、該引出し配線層に向かって隆起する第2の
    隆起部とが設けられ、 上記第1及び第2の隆起部は、上記グラウンドプレーン
    と連続した超伝導体層であり、上記基板自体を加工する
    ことで形成された土台、または該基板の上記一主面上に
    形成された土台の上に乗り上がる形で形成され、 上記第1及び第2の隆起部により、上記下部電極配線層
    と上記上部電極配線層の特性インピーダンスを揃えるよ
    うに、上記下部電極配線層及び上記上部電極配線層及び
    上記引出し配線層と上記グラウンドプレーン間とのそれ
    ぞれの層間絶縁層距離が調整されること; を特徴とする超伝導回路構造。
  2. 【請求項2】基板の一主面上に設けられたグラウンドプ
    レーンと,該グラウンドプレーンの上に絶縁層を介して
    設けられ、下部電極、トンネル障壁層、上部電極を順に
    積層して成るジョセフソン接合と,該ジョセフソン接合
    の上記下部電極及び上記上部電極にそれぞれ接続し、上
    記グラウンドプレーンとの間にそれぞれ層間絶縁層を挟
    むことで該グラウンドプレーンを対向導体とするマイク
    ロストリップ線路構造を構成する下部電極配線層及び上
    部電極配線層と,を有する超伝導回路構造であって; 上記上部電極配線層を含む面の表面平坦性を保ちながら
    該上部電極配線層の特性インピーダンスを低下させるた
    め、該上部電極配線層の下面側に該上部電極配線層と積
    層関係となる一層または複数層の超伝導体層を設けて該
    上部電極配線層の下方延長部とし、これにより実効的に
    該上部電極配線層を該グラウンドプレーンに近づけたに
    等しくしたこと; を特徴とする超伝導回路構造。
  3. 【請求項3】請求項2記載の超伝導回路構造であって; 上記上部電極配線層の設けられている面と同じ面に、上
    記下部電極配線層に接続する引き回し配線用として、層
    間絶縁層を挟み上記グラウンドプレーンを対向導体とす
    るマイクロストリップ線路構造を構成する引出し配線層
    も有し; 該引出し配線層と上記下部電極配線層とはヴィアホール
    構造を介して接続していると共に; 該引出し配線層を含む面の表面平坦性を保ちながら該引
    出し配線層の特性インピーダンスを低下させるため、該
    引出し配線層の下面側にも該引出し配線層と積層関係と
    なる一層または複数層の超伝導体層を設けて該引出し配
    線層の下方延長部とし、これにより実効的に、該引出し
    配線層を該グラウンドプレーンに近づけたに等しくした
    こと; を特徴とする超伝導回路構造。
  4. 【請求項4】基板の一主面上に設けられたグラウンドプ
    レーンと,該グラウンドプレーンの上に絶縁層を介して
    設けられ、下部電極、トンネル障壁層、上部電極を順に
    積層して成るジョセフソン接合と,該ジョセフソン接合
    の上記下部電極及び上記上部電極にそれぞれ接続し、上
    記グラウンドプレーンとの間にそれぞれ層間絶縁層を挟
    むことで該グラウンドプレーンを対向導体とするマイク
    ロストリップ線路構造を構成する下部電極配線層及び上
    部電極配線層と,を有する超伝導回路構造の作製方法で
    あって; 上記上部電極配線層を含む面の表面平坦性を保ちながら
    該上部電極配線層の特性インピーダンスを低下させるた
    め、該上部電極配線層の形成の前に、上記グラウンドプ
    レーン上に設けた層間絶縁層の上に一層または複数層の
    超伝導体層を形成して上記上部電極配線層の下方延長部
    を予め形成し; 該予め形成された下方延長部上に該上部電極配線層を積
    層形成すること; を特徴とする超伝導回路構造の作製方法。
  5. 【請求項5】基板の一主面上に設けられたグラウンドプ
    レーンと,該グラウンドプレーンの上に絶縁層を介して
    設けられ、下部電極、トンネル障壁層、上部電極を順に
    積層して成るジョセフソン接合と,該ジョセフソン接合
    の上記下部電極及び上記上部電極にそれぞれ接続し、上
    記グラウンドプレーンとの間にそれぞれ層間絶縁層を挟
    むことで該グラウンドプレーンを対向導体とするマイク
    ロストリップ線路構造を構成する下部電極配線層及び上
    部電極配線層と,該上部電極配線層の設けられている面
    と同じ面に設けられ、該下部電極配線層にヴィアホール
    構造を介して接続し、層間絶縁層を挟み上記グラウンド
    プレーンを対向導体とするマイクロストリップ線路構造
    を構成する引出し配線層と,を有する超伝導回路構造の
    作製方法であって; 上記上部電極配線層及び上記引出し配線層を含む面の表
    面平坦性を保ちながら該上部電極配線層及び該引出し配
    線層の特性インピーダンスを低下させるため、該上部電
    極配線層及び該引出し配線層の形成の前に、それぞれ上
    記グラウンドプレーン上に設けた層間絶縁層の上に一層
    または複数層の超伝導体層を形成して上記上部電極配線
    層と上記引出し配線層の下方延長部をそれぞれ予め形成
    し; 該予め形成された、それぞれ対応する下方延長部上に、
    該上部電極配線層及び該引出し配線層を形成すること; を特徴とする超伝導回路構造の作製方法。
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