JP2976708B2 - 偏平形有機電解質電池の製造法 - Google Patents

偏平形有機電解質電池の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、偏平形有機電解質電池
の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】偏平形有機電解質電池は、高エネルギー
密度を有し信頼性に優れているため、近年急速に需要が
増加し、特に電子機器の発展と共に軽薄短小化が進み電
池に対しても偏平形のものが要求されるに至っている。
【0003】この偏平形電池において、従来の電池の製
造法としては、電池を密閉封口するために、図2に示す
ように所定の曲率半径部を有したカール部分のある封口
金型を用い、電池総高を規制するために、電池の上下表
面部分を表面部分の直径とほぼ同様の上・下スピンドル
で保持し、封口前の電池を金型の中に挿入しケースを内
側に金型でカールしていた。上・下スピンドル間の距離
設定は、封口後の電池総高や断面形状及び漏液試験など
の結果から、経験的に決定されていたため、上・下スピ
ンドル間の最終距離設定が各電池の種類によって様々で
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図1に示すリチウム等
の軽金属を活物質とする負極4と、正極3と、これら正
・負極間に介在するセパレーター5と、有機電解質を有
し、正極端子を兼ねる電池ケース1と負極端子を兼ねる
封口板との間で、電池ケースの底面を座として圧縮され
たガスケット6により密封する電池は、電池製造工程上
で発生する電池内容物の寸法、充填量のバラツキによ
り、電池内容物個々の高さ寸法の合計が、図2に示すよ
うに封口板内面とケース内底面までの高さ寸法よりも低
くなった場合、封口時において、ガスケット底部に過大
な封口押さえ圧力が負荷されるため、ガスケット底部に
亀裂が発生したり、あるいは切断され、封口板とケース
が直接接触し内部短絡を起こしていた。
【0005】また、ガスケット切れの程度の軽いもの
は、最終検査での外観・電池特性検査では判定できない
こともあり、経年変化で突然に短絡することもある。
【0006】本発明は、上記のような従来の問題点を解
決し、ガスケット切れの発生しない封口方法、電池製造
方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この問題を解決するため
本発明の偏平形有機電解質電池の製造法は、封口金型
と嵌合して摺動する一対の上スピンドル、下スピンドル
によって封口を行うものであって、上部開口した有底筒
状の電池ケースに、発電要素を収容し、底部周縁部に設
けたガスケットを介して開口部に封口板を配した未封口
状態にある電池を下スピンドルに載置する工程、上スピ
ンドルが未封口状態にある封口板を上方から保持する工
程、封口金型が電池ケースの開口部を内方にカシメ封口
する工程から構成され、上部開口した有底筒状の電池ケ
ースの厚み(mm)と、キャップ状の封口板の主面から下
端部までの高さ(mm)から、カシメ封口時における上ス
ピンドルと下スピンドル間の距離設定寸法H(mm)を、
下記の式を満たす寸法に設定することを特徴とするもの
である。
【0008】 (式) H≧封口板高さ(mm)+ケース板厚(mm)+0.05(mm)
【0009】
【作用】クリンプ封口時の圧縮設定寸法を、使用する電
池の部品寸法高さ、すなわち封口板高さ+ケース板厚+
0.05以上にして封口することにより、電池内容物が
ばらついて、電池内容物の個々の高さ寸法の合計が封口
板内面とケース内底面までの高さ寸法よりも低くなった
場合でも封口時の封口金型の上下スピンドル間の距離設
定寸法H=封口板高さ+ケース板厚+0.05に設定さ
れているため、ケースと封口板の隙間は常に0.05mm
以上となりガスケットに封口押さえ圧力が付加され、ガ
スケットが切断されることはない。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を高さ3.2mm、直径
20mmの偏平形有機電解質電池を例に説明する。
【0011】図1は、リチウム二酸化マンガン系の偏平
形有機電解質電池の断面で、図中1はステンレス鋼製の
ケース、2はステンレス鋼製の封口板、3は正極であ
り、二酸化マンガン、導電剤、結着剤からなる、4は負
極であるリチウム、5はポリプロピレン製の不織布セパ
レーター、6はポリプロピレン製のガスケット、7は導
電性被膜、8は正極リング、電解液には炭酸プロピレン
と1・2ヂメトキシエタンとの混合溶媒に過塩素酸リチ
ウムを溶解したものを使用した。また封口金型の上・下
スピンドル間の設定寸法Hは、使用する電池の部品寸法
高さから、下記の計算式により2.90に設定し封口し
た。
【0012】 (式) H≧封口板高さ+ケース板厚+0.05 H(2.90)≧2.60+0.25+0.05 設定寸法 封口板高さ ケース厚み 定数 次に、本発明品と従来品を比較するため比較品の封口設
定寸法Hを2.75,2.80,2.85、本発明とし
て2.90,2.95,3.00に設定し、電池を各々
1000個構成し、電池封口後電池を分解し、ガスケッ
ト切れの発生率を調査した。発生率を表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】この結果より、本発明品が優れていること
が明らかである。
【0015】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、封口時
の封口金型の上・下スピンドル間の距離設定寸法Hを、
特定することにより、封口時にガスケット底部の切断が
完全に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における有機電解質電池の断面
【図2】封口時の金型設定を説明するための要部断面図
【符号の説明】
1 ケース 2 封口板 3 正極 4 負極 5 セパレーター 6 ガスケット 7 導電性被膜 8 正極リング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−75249(JP,A) 特開 昭61−10848(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01M 6/02 - 6/16 H01M 2/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軽金属を活物質とする負極4と、正極3
    と、これら正・負極間に介在するセパレーター5と、有
    機電解質から構成される発電要素を、正極端子を兼ね
    上部開口した有底筒状の電池ケース1および負極端子を
    兼ねるキャップ状の封口板2からなる電池容器に収容
    し、ガスケット6を介して封口、密封する偏平形有機電
    解質電池の製造法であって、前記製造法は、 封口金型と嵌合して摺動する下スピンド
    に、未封口状態にある電池を載置する工程、前記下ス
    ピンドルと対をなす上スピンドルが、未封口状態にある
    電池の封口板2を上方から保持する工程、封口金型
    池ケースの開口部を内方にカシメ封口する工程を有し、
    このカシメ封口時における前記上スピンドルと前記下ス
    ピンドル間の距離設定寸法H(mm)を、下記の式を満た
    寸法に設定することを特徴とする偏平形有機電解質電
    池の製造法。 (式) H≧封口板高さ(mm)+ケース板厚(mm)+0.05(mm) 但し、封口板高さは、封口板2の主面から下端までの高
    さとする。
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