JP2975258B2 - 形状記憶性マイクロバネ - Google Patents

形状記憶性マイクロバネ

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JP2975258B2
JP2975258B2 JP8398294A JP8398294A JP2975258B2 JP 2975258 B2 JP2975258 B2 JP 2975258B2 JP 8398294 A JP8398294 A JP 8398294A JP 8398294 A JP8398294 A JP 8398294A JP 2975258 B2 JP2975258 B2 JP 2975258B2
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16FSPRINGS; SHOCK-ABSORBERS; MEANS FOR DAMPING VIBRATION
    • F16F2224/00Materials; Material properties
    • F16F2224/02Materials; Material properties solids
    • F16F2224/0258Shape-memory metals, e.g. Ni-Ti alloys

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  • Micromachines (AREA)
  • Springs (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コイル素線径が100
μm以下、コイル外径が500μm以下の形状記憶性の
マイクロバネ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】従来、コイル外径が500μm以下程度
のマイクロバネとしては、ステンレスなどの極細金属線
を用いて形成されたものがある。このようなバネを、例
えば人体の血管に挿入して各種の治療を行うマイクロマ
シンや多機能カテーテル等の構成部品の一つとして用い
ようとする場合、サイズ的には問題ないが通常のバネ動
作しか示さないため、バネの伸縮を遠隔地から外力によ
らず自在に制御することができない。従って、なるべく
少ない部品での多機能化が要求される上記マイクロマシ
ンやカテーテル等の構成部品としては基本的に不向きで
ある。
【0003】一方、形状記憶性金属を用いた通常のサイ
ズのバネも知られている。該形状記憶性バネは外力によ
らずバネを通電加熱する等して温度変化を与えるだけ
で、伸長若しくは縮小動作を行わせ得る。従来の形状記
憶性バネは、専ら温度変化で伸縮動作が可能という点の
みに注目され、その動作の高速性すなわち良好な応答性
はさほど問題とせず、また高速応答性が要求されない用
途につき主に形状記憶性バネの開発が行われてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】マイクロマシンや多機
能カテーテル等の用途に使用されるバネは、微小でかつ
遠隔地からの伸長若しくは縮小の制御が可能であり、し
かもバネを加熱若しくは冷却したときに瞬時にバネが伸
縮する高速応答性を具備していることが要求される。と
りわけ高速応答性が、マイクロマシン等の高機能化を実
現するにあたり最も重要となる。しかしながら、上記の
要望を満足するマイクロバネは現状では何等提案されて
おらず、上記のマイクロマシンや多機能カテーテル等の
実用化のネックとなっている。従って本発明は、マイク
ロマシンや多機能カテーテル等の構成部品として好適
な、極めて微小で、伸縮の応答性に優れる形状記憶性マ
イクロバネ及びその製造方法を提供することを課題とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の形状記憶性マイ
クロバネは、外径が100μm以下の形状記憶性金属か
らなる素線を用いたコイル外径が500μm以下のマイ
クロバネであって、且つ前記形状記憶性金属がNi−T
i合金であり、該バネの伸縮制御がバネ素線自身への通
電により行われる形状記憶性マイクロバネにおいて、
イルピッチが素線外径の1〜10倍であり、かつコイル
平均径をD、上記の素線径をdとするときD/dで
あらわされるバネ指数Cが1.5〜10の範囲であるこ
とを特徴とするものである。本発明者らは、上記要件を
全て満足するようにバネを構成することにより、実用に
充分供し得るような伸縮の高速応答性を備える形状記憶
性マイクロバネが実現されることを知見した。
【0006】まず、図1に符号dで示す形状記憶性金属
からなる素線の外径が100μmを越えたり、コイル外
径Dが500μmを越えたりすると、基本的な目的であ
るバネのマイクロ化が図り得ないのは当然として、バネ
の温度変化による応答性が低下する。すなわち、応答速
度は形状記憶性マイクロバネ自身の加熱・冷却速度に依
存することになり、該加熱・冷却速度、とりわけ冷却速
度はバネの熱容量に左右され、従って熱容量が小さい程
応答性が良好となるという仮定に基づき種々実験を重ね
た結果、素線の外径及びコイル外径が上記の範囲にある
とき、実用に耐え得ることを見出したものである。
【0007】すなわち、素線の外径dが100μmを越
え、またコイル外径Dが500μmを越えると、バネの
熱容量が大きくなってしまい応答性が低下する。一方こ
れらが小さすぎると製作の困難性が増大する点より望ま
しくないので、好ましい素線の外径は10〜80μm、
とりわけ20〜70μmであり、好ましいコイル外径は
50〜300μm、とりわけ80〜200μmである。
【0008】また、応答性を良好とするには上記の素線
外径及びコイル外径だけでなく、そのコイルピッチ及び
バネ指数を適宜な範囲に選定する必要があることを知見
した。すなわち、コイルピッチPが素線外径dの1〜1
0倍の範囲であり、かつコイル平均径をD0 、上記の素
線径をdとするときD0 /dで表されるバネ指数Cが
1.5〜10の範囲であることを要する。
【0009】上記コイルピッチPは換言するとバネの伸
長範囲を特定するものであって、常温状態若しくは形状
回復状態のいずれかにおいて最大限に伸長しうる範囲を
意味する。例えば、当該形状記憶性マイクロバネを完全
に縮小した状態(この場合コイルピッチP=素線外径d
となる)を形状記憶形態とし、通常時は伸長させた形態
で使用する場合においては、バネの伸長時におけるコイ
ルピッチPが、長くとも10倍以下となるよう設定する
ものである。逆に伸長状態が形状記憶形態であるとき
は、前述のピッチ以下となるよう設定するものである。
このコイルピッチPが素線外径dの10倍を越えると応
答速度が緩慢になる傾向が強くなると共に、本来のバネ
性が低下する。より高速な応答性を目的とする点で好ま
しいコイルピッチPは、素線外径dの1〜8倍、とりわ
け1〜6倍である。
【0010】通常のバネのバネ指数は、必要とする伸縮
力等に応じて適宜選定されるものであるが、本発明の形
状記憶性マイクロバネのように非常に微細で、伸縮動作
が温度変化により達成され、かつ高速応答性が要求され
る特殊バネにおいては、特定範囲に設定する必要があ
る。かかる要求を達成できるバネ指数Cは1.5〜10
であり、好ましくは1.7〜8、特に2〜6である。バ
ネ指数Cが1.5以下の場合若しくは10以上の場合は
いずれも応答速度が低下し、これは前者の場合は機械的
剛性が高くなって温度による形状回復力が阻害されるた
め、後者の場合は形状回復時にバネ形状に歪みが生じ易
いためと考えられる。
【0011】後述する実施例からも明らかな通り、上記
した特定範囲の素線外径d、コイル外径D、コイルピッ
チP及びバネ指数Cが一体不可分となって応答性に優れ
る本発明の形状記憶性マイクロバネが実現されるもので
ある。
【0012】上記の形状記憶性金属としてはNi−Ti
合金が用いられ、好ましいものは、Ni:49〜51a
t%、Ti:51〜49at%のNi−Ti合金であ
る。該形状記憶合金は本質的に温度変化にともなう変態
特性に優れ、本発明のバネに好適に用いることができ
る。
【0013】また、バネの全長は、3〜1000mmの範
囲で選択することが望ましい。短尺すぎるバネは、上記
の特定された諸元でかつ形状記憶特性を利用したバネで
ある関係上、ごく僅かな伸縮動作しか示さないため好ま
しくなく、長尺すぎるバネは応答性がどうしても緩慢と
なるため好ましくない。このため、より望ましい全長は
5〜100mmであり、マイクロマシンやカテーテルへの
組み込み性の点からは7〜30mm程度が好ましい。
【0014】上記した形状記憶性マイクロバネは、例え
外径が500μm以下であってその軸線を中心として
回転する高強度芯線に、外径が100μm以下の形状記
憶性金属からなる素線を、1.5〜300gfのバック
テンションを加えつつ前記芯線の回転力にて巻き付け、
得られたコイルを熱処理することにより製造することが
できる。
【0015】好ましくは上記芯線の回転は、同期回転す
る一対のチャック間に上記高強度芯線を保持することに
より行わせること、また素線の芯線への巻き付けピッチ
を、素線外径1〜10倍の範囲において選択することが
望ましい。
【0016】図2に本発明にかかる形状記憶性マイクロ
バネの製造方法を達成する製造装置の一例を示す。図に
おいて、1は高強度芯線であり、例えばSUS304等
のステンレス線若しくはステンレス線と同等またはそれ
以上の抗張力を備える線材が使用される。また2はコイ
ルの素線であり、上述したNi−Ti合金やCu−Zn
−Al合金等からなる形状記憶性金属の線材が使用され
る。コイル外径が500μm以下のバネを製造する関係
上、芯線1の外径は500μm以下の範囲において選択
される。例えば素線2の外径が50μmである場合、芯
線1としては400μm以下で所望のバネ指数等を考慮
したものが選択される。
【0017】上記芯線1は、その軸線を中心として回転
するよう構成され、この回転力により素線2が芯線1上
にコイル状に巻回される。この回転手段については特に
限定はないが、図2の例では、芯線1の両端を保持し、
かつ同期回転する一対のチャック31,32を用いた例
を示している。この方式によれば、非常に細いものであ
る芯線1を撓ませることなく安定して回転させることが
でき、また芯線1の取り付け及び取り外しが容易である
という利点がある。なおチャック31,32の回転速度
は、1500rpm以下の範囲で選定するのが適当であ
る。
【0018】4は素線供給装置であり、素線2に所定の
バックテンションを付与しつつ芯線1へ素線2を供給す
る。該素線供給装置4は芯線1と並行方向に移動自在と
されている。素線2に与えるバックテンションは1.5
〜300gfの範囲において選択する必要があり、テン
ションが上記より小さいと素線2に撓みが生じ易くなっ
て芯線1への密巻きが行いにくくなり、上記より大きい
と素線2が断線し易くなる。図2の例では、テンション
付与手段として3個のテンションロール41を用いた場
合を示した。
【0019】実際にバネを製造する場合、チャック3
1,32の回転速度、素線2へのバックテンション、及
び素線2の芯線1への巻き付けピッチを、素線外径や所
望のバネ指数に応じて制御する。ピッチの制御は、素線
供給装置4の移動速度を調整することにより制御すれば
良い。また素線供給装置4を固定しチャック31,32
をピッチに応じて平行移動させるようにしても良い。な
おピッチは、上述した理由により、素線外径の1〜10
倍の範囲で選定することが望ましい。
【0020】上記のようにして得られたコイルは、その
後形状記憶性を付与するために熱処理が施される。この
熱処理は、例えば素線2としてNi−Ti合金線を用い
た場合、350℃、1時間程度のものである。
【0021】なお、上記のような形状記憶性マイクロバ
ネを使用するにあたり、その伸縮制御を遠隔地から行う
手段としては、例えば光ファイバを介してレーザー光を
バネに照射し得るよう構成し、照射時の熱によりバネを
縮小若しくは伸長状態の形状記憶形態に復元させ、照射
停止により伸長若しくは縮小させるという制御、若しく
はバネ自身を通電加熱して同様の伸縮を行わせる制御等
が、最も簡易で合理的な方法であると考えられる。しか
し、本発明のように外径が100μm以下のNi−Ti
合金からなる素線を用いる場合、例えば500μm外径
のNi−Ti合金の場合は電気抵抗が数Ωであるが、5
0μm外径とすると数100Ωまで上昇し制御の精度が
向上するため、バネ自身へ通電して伸縮制御を行なう方
法を採用しているものである。
【0022】
【実施例】(実施例1〜6,比較例1〜5) 素線材としてNi:49.5at%、Ti:50.5a
t%のNi−Ti合金からなるものを用い、図2に示す
装置を使用し、表1に示す素線外径及びコイル外径が得
られる外径のSUS304芯線をそれぞれ使用して、素
線を芯線へ密巻き(巻き付けピッチ=1)してコイルを
作製した。得られたコイルに350℃、1時間の熱処理
を施して形状記憶させた後、各コイルを一定長さ(30
mm)に切断し、それぞれ45mmに伸長させて、11本の
形状記憶性マイクロバネを作成した。
【0023】(応答性評価試験) 図3に示すように、シリンダ5内にフランジ部61を具
備し、その前方部がシリンダ5から突出可能なピストン
6を収納し、フランジ部61の後方側にバイアスバネ6
2を、前方側に上記で得た形状記憶性マイクロバネ20
を配置し、バイアスバネ62と形状記憶性マイクロバネ
20とが互いに引き合うようにセットした。さらに形状
記憶性マイクロバネ20にレーザ光を照射するための光
ファイバ7を、シリンダ5の側壁に配置した。また、ピ
ストン6の前方に、ピストン6が突出したときに投光路
が遮断されるように一対のアレイ型投受光器からなる光
センサ8を配置した。
【0024】そして、光センサ8の投受光をモニター
し、ピストン6の前進により光センサ8の投光路が完全
に遮光されたとき、光ファイバ7の他端に接続される図
示しないレーザ光源のスイッチがOFFとし、ピストン
の後退により光センサ8の投光路が完全に解放されたと
き前記レーザ光源のスイッチがONとなるようセッティ
ングした。
【0025】この測定装置を用い、バネの応答性を確認
するために、上記で得た11本の形状記憶性マイクロバ
ネそれぞれにつき、1分間のピストン6のストローク回
数(光センサ8における完全遮光回数)を計測した。そ
の結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】以上説明した通りの本発明の形状記憶性
マイクロバネによれば、温度変化を与えたときのバネの
伸長若しくは縮小の応答性に極めて優れる形状記憶性マ
イクロバネを得ることができる。従って、マイクロマシ
ンや多機能カテーテル等に本発明のバネを組み込んだ場
合、各種動作を高速で行わせることが可能となり、より
高度で高機能なマイクロマシンや多機能カテーテルを実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の形状記憶性マイクロバネを示す側面図
である。
【図2】本発明のバネの製造装置の一例を示す斜視図で
ある。
【図3】応答性を評価する測定装置の断面図である。
【符号の説明】
1 芯線 2 形状記憶性金属からなる素線 20 形状記憶性マイクロバネ 31,32 チャック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16F 1/00 - 6/00 C22C 19/03

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外径が100μm以下の形状記憶性金属
    からなる素線を用いたコイル外径が500μm以下のマ
    イクロバネであって、且つ前記形状記憶性金属がNi−
    Ti合金であり、該バネの伸縮制御がバネ素線自身への
    通電により行われる形状記憶性マイクロバネにおいて、
    コイルピッチが素線外径の1〜10倍であり、かつコイ
    ル平均径をD、上記の素線径をdとするときD/d
    であらわされるバネ指数Cが1.5〜10の範囲である
    ことを特徴とする形状記憶性マイクロバネ。
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