JP2975027B2 - 連続鋳造鋳型 - Google Patents

連続鋳造鋳型

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JP2975027B2 JP1155264A JP15526489A JP2975027B2 JP 2975027 B2 JP2975027 B2 JP 2975027B2 JP 1155264 A JP1155264 A JP 1155264A JP 15526489 A JP15526489 A JP 15526489A JP 2975027 B2 JP2975027 B2 JP 2975027B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、鉄鋼例えば低炭素鋼、高炭素鋼、ステンレ
ス高、特殊合金鋼などを鋳造するための連続鋳造鋳型に
関するものであり、高温での耐熱、耐摩耗性に優れ、特
に、鋳型の被熱量の多い高速連続鋳造に適するものであ
る。
[従来の技術] 連続鋳造鋳型は、一般に熱伝導性の良い銅又は銅合金
から作られているが、この鋳型に注入される溶湯が非常
に高温であって、且つ、溶湯の冷却で成長してくる凝固
殻によってこすられるために、鋳型の内壁面の損傷が激
しく、短時間の間に寿命限界に達するという問題があっ
た。このような問題を解決するために、鋳型内壁面に金
属保護メッキ層を設けることがよく行なわれ、前記メッ
キ層としてニッケルメッキ層やクロムメッキ層、その他
の種々の合金、例えば、4〜6重量%の鉄の含むニッケ
ル−鉄合金などを用いることが提案されている。
また、特願昭61−27597号出願では、前記メッキ層と
して、コバルト、又はコバルト−鉄合金に、酸化クロム
の微粒子を分散含有する複合メッキ層を用いることが提
案されている。同出願に開示された複合メッキ層を用い
た場合、鋳型の使用温度範囲で極めて高い耐摩耗性を確
保することができ、鋳型の寿命を飛躍的に改善すること
が期待されるものであった。
[発明が解決しようとする課題] しかるに、前記出願に記載されている複合メッキ層を
有する鋳型を用いて実際に操業を繰り返してみると、複
合メッキ層の下部で比較的速やかに腐食(コロージョ
ン)が発生し、この下部腐食発生が鋳型の寿命を律速し
ていることが経験的に分かった。つまり、上述の複合メ
ッキ層は、ニッケル−鉄合金などの従来のメッキ層に比
べると極めて高い耐摩耗性を有しているにも拘わらず、
鋳型の使用環境における耐食性が劣るために、その本来
の特性を発揮する前に使用不能になることが分かった。
このような下部腐食発生は、鋳型の使用環境が高温度
で、しかもイオウ酸化物あるいは硫化物雰囲気であるた
めに、コバルト又はコバルト−鉄合金よりなるマトリッ
クスでは耐食性が不十分であることに起因するものと考
えられる。
[課題を解決するための手段] そこで、本発明者らは鋳型の使用環境に適するマトリ
ックスの組成について種々検討した結果、コバルトに若
干のニッケルを合金化させ、これをマトリックスとする
ことを試みたところ、ニッケル共析率7重量%前後で耐
食性の改善のみならず、摩耗特性の向上、電着応力の低
減などの派生効果が得られることを発見した。また、ニ
ッケルが重量比でコバルトよりも多くなると、表面の酸
化コバルト皮膜が形成されにくくなり、高温度での耐摩
耗性が不十分になることを確認した。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであ
り、第1図に示すように、銅又は銅合金からなる鋳型1
の溶鋼注入面に、4〜8重量部、好ましくは約7重量部
のニッケルを含むコバルト−ニッケル合金99〜60重量部
に対して粒径30ミクロン以下の酸化クロムを1〜40重量
部分散含有するメッキ層2を設けたことを特徴とするも
のである。
なお、このメッキ層2を酸素の存在下にて加熱して、
表面に酸化皮膜2aを予め形成しておくことが好ましい。
[作用] 本発明にあっては、メッキ金属として4〜8重量部、
好ましくは約7重量部のニッケルを含むコバルト−ニッ
ケル合金を使用し、また、これと組み合わされる酸化物
としては酸化クロムを用いているので、後述のデータが
詳細に示すように、複合メッキの耐摩耗性を最大限に改
善・向上させると共に、鋳型の受ける広範囲の温度領域
での耐摩耗性を確保することができる。コバルト−ニッ
ケル合金に、酸化クロムを組み合わせることは、それら
の相乗作用によって耐熱性・高温での耐摩耗性が得られ
るということ以外に、コバルト−ニッケル合金メッキ自
体の内部応力を著しく低減させ、鋳型の変形や操業中の
剥離によるブレークアウトを防止するという重大な機能
がある。つまり、本発明においては、酸化クロムは、メ
ッキの内部応力減少材としても作用しているのである。
なお、酸化クロム自体が、硬度が高く、耐熱性・耐摩耗
性に優れていることは言うまでもない。
さらに、メッキ層2を酸素の存在下で加熱して、表面
に強制的に酸化コバルト(四三酸化コバルト)の皮膜
(使用中にいずれ形成されるものであるが、鋳込み初期
には未だ形成されていない)を予め作っておくと、鋳込
み初期のスプラッシュ(溶鋼飛沫)の付着を防止できる
と共に、初期摩耗を著しく低減することができる。しか
も、皮膜中には酸化クロムが点在して存在するので、形
成された四三酸化コバルトの保持力(密着性)が改善さ
れ、コバルト単体の場合に比べると、四三酸化コバルト
自体の耐熱性・耐摩耗性を有効に活用することができ
る。
操業が開始されると、鋳型は高温度にさらされなが
ら、イオウ酸化物あるいは硫化物雰囲気に置かれること
になるが、メッキ層2は4〜8重量部、好ましくは約7
重量部のニッケルを含むので、表面の酸化コバルト皮膜
による耐摩耗性の効果を保ちながら、コバルト単体又は
コバルト−鉄合金に比べると、鋳型の使用環境での耐食
性が改善されており、メッキ層2の下部腐食の進行は従
来例よりも遅くなる。したがって、本発明の鋳型の寿命
はメッキ層2の耐摩耗性によって律速されることにな
り、メッキ層2の本来の特性が発揮されるので、鋳型の
寿命は飛躍的に改善されるものである。
[実施例] 以下、本発明の好ましい実施例について具体的に説明
する。
第1図は、本発明の一実施例に係る連続鋳造鋳型の縦
断面構造を示す図である。1は鋳型の本体であり、熱伝
導性の良好な脱酸銅、クロム・ジルコニウム含有銅、銀
含有銅などから成る。2は前記鋳型1の内壁面(溶湯注
入面)に形成された単層のメッキ層であり、コバルト−
ニッケル合金に酸化クロムの微粒子を分散含有させてあ
る。このメッキ層の表面には、後述のように、酸素の存
在下での加熱により、酸化皮膜2aが形成されている。3
は前記鋳型1に埋設された冷却装置であり、鋳型1の中
空部に注入された溶湯の熱を抜いて凝固させるためのも
のである。
前記メッキ層2の形成法について説明する。まず、鋳
型1の内壁面を切削研摩して整面した後、内壁面に付着
する油脂類などを除去する脱脂処理を行って、さらに水
洗する。次に活性化処理を施すがこの処理液としては、
特に硫酸と過酸化水素との混合水溶液が用いられる。
この処理液によると、鋳型の内壁面にその整面工程な
いしそれ以降の工程で物理的な外力ないし熱を受けて形
成される加工による変質層がまず溶解除去され、これに
より露出してくる地肌が微細な凹凸面に形成される。前
記変質層には内部に油脂類などが含まれていることがあ
るから、一般の活性化処理液たとえば硫酸、硝酸、塩酸
などのように変質層の表面をそのまま凹凸面とするもの
では、充分な活性化効果が得られない。これに対し、変
質層を溶解除去する前記活性化処理液によれば、活性化
効果が大となり、引き続き施されるメッキ層の密着強度
に好結果を与える。
前記活性化処理後、コバルト−ニッケル合金を主体と
し、これに酸化クロムの微粒子を分散含有した複合メッ
キ層2を形成する。メッキ層2を形成するためのメッキ
液として特に好ましい液組成、またこの場合のメッキ条
件を示すと次の通りである。
メッキ浴 硫酸コバルト(7水塩) 80〜450g/ 硫酸コバルト(6水塩)塩化ナトリウム 10〜350g/ 塩化ナトリウム 又は塩化カリウム 又は塩化ニッケル 又は塩化コバルト 0〜40g/ ホウ酸 30〜40g/ pH 3.0〜4.5 電流密度 1〜5A/dm2 アニオン型界面活性剤 10〜500ppm ただし、硫酸コバルトと硫酸ニッケルの比率は目的と
する合金比によって適宜選定することになる。そして、
上記組成のコバルト−ニッケルメッキ液に対して酸化ク
ロムは20〜500g/、好ましくは50〜350g/の範囲が良
好な結果を得る。これに対応して得られる複合メッキ層
においては、酸化クロムは主体となるコバルト−ニッケ
ル合金99〜60重量部に対して、1〜40重量部の比率とな
る。
酸化クロムの添加により、メッキ液が増量するので、
あらかじめ水を少な目に入れ、酸化クロムを添加して
後、水にて規定量とする。また、酸化クロムをそのまま
メッキ液に添加すると、粒子の凝集力が高く液中に均一
分散しないので、分散剤を利用するのが特に好ましい。
分散剤としては、界面活性剤が効果的であるが、アニオ
ン型のものしか利用出来ない。つまり、酸化クロムの分
散剤としては、ノニオン型、カチオン型の界面活性剤で
も良いが、これらはいずれも内部応力を高めるために好
ましいものではない。アニオン型界面活性剤の添加量は
10〜500ppmである。
メッキ液として、硫酸塩浴を選定した理由は、スルフ
ァミン酸浴はやや安定性に欠け、加水分解してスルファ
ミン酸塩の分解生成物であるアゾジスルフォネートを生
じ、このものが応力減少剤として作用し、その結果、イ
オウをメッキ皮膜中に共析するのでメッキ皮膜の耐熱物
性を損なうことになる。
また、塩化物浴が本発明の目的に適さない理由は、メ
ッキの陽極として、不溶解性陽極を利用したときに、著
しく塩素ガスの発生が多く、メッキ装置の腐食を促進さ
せるためである。
操業条件として、液温は30〜60℃、撹拌方法は液中の
酸化クロムを均一に分散できる方法であれば何でも良い
が、スクリュー(プロペラ)撹拌は粒子を均一分散でき
ず、不適当であり、エア撹拌と、ポンプによる循環の方
法が最も良好な結果を示した。
酸化クロムの微粒子の粒径の範囲は、0.1〜30μmの
範囲に設定される。粒径が前記下限値よりも小さい場合
には、酸化クロム分散の効果が小さくなり、前記上限値
よりも大きい場合には、メッキ液中で酸化クロムの微粒
子を懸濁状態に保つことが困難になる。
前記メッキ層2の厚みの範囲は、10〜2000μmの範囲
に設定される。メッキ厚が前記下限値よりも薄い場合に
は、耐久性に劣るので、分散メッキの機能が充分に発揮
されず、また、前記上限値よりも厚い場合には、熱伝導
性が悪くなるなどの問題が生じ、またメッキ時間が長く
なって生産性を損なう結果となる。
次に、メッキ層2は酸素の存在下にて加熱されて、表
面に酸化皮膜(四三酸化コバルト)を予め形成される。
この酸化皮膜は、鋳型の使用中にいずれは形成されるも
のであるが、鋳込み初期には未だ形成されていない。酸
化皮膜を予め形成しておくことによって、鋳込み初期の
ズプラッシュの付着を防止できると共に、メッキ層2の
初期摩耗を低減することができる。すなわち、コバルト
−ニッケル合金に酸化クロムを分散含有した複合メッキ
層は、常温よりもむしろ高温度での耐摩耗性の方が優れ
ているものであるが、これは、本発明者らの検討したと
ころによれば、表面に酸化コバルト(四三酸化コバル
ト)の皮膜が形成されることによる。従来例にあって
は、コバルトを主体とし、酸化クロムを分散含有された
複合メッキを使用したものであっても、鋳込み初期には
酸化皮膜がないために、初期摩耗が激しかったが、本発
明にあっては、酸化皮膜を予め設けてあるので、鋳込み
初期から高い耐摩耗性を期待することができる。
この鋳型を用いた金属の連続鋳造は、次のごとく行な
われる。すなわち、鋳型1の中空部に上方からタンディ
シュを介して溶湯を流し込み、これを鋳型内壁面を介し
て冷却する。この冷却によって成長してくる凝固殻は、
鋳型内壁面の下部側と接触しながら下方に引き抜かれ、
その後、二次冷却工程ないし切断工程などを経て所望の
形態に鋳造される。
前記連続鋳造において、鋳型内壁面は溶湯ないし凝固
殻から大量の熱を受け、また、凝固殻によってこすられ
るが、鋳型の内壁面はコバルト−ニッケル合金に酸化コ
バルトの微粒子を分散させた耐摩耗性の良好なメッキ層
2により被覆され、しかも、その表面は酸化皮膜(四三
酸化コバルト)で覆われているので、鋳型の損傷防止に
大きく貢献し、鋳型の寿命を飛躍的に向上できるように
なっている。なお、メッキ層2の損傷は、主として凝固
殻によってこすられる鋳型内壁面の下部側で起こり易い
ものであり、したがって、その問題を回避するために
は、第2図乃至第4図に示すように、メッキ層2の厚み
を鋳型内壁面の下部側亜ほど厚くなるようにするのが好
適である。
本発明におけるメッキ層2は、従来の酸化物分散含有
の複合メッキに比べると、常温よりもむしろ高温度での
耐摩耗性が改善され、内部応力が低減され、銅表面への
密着性も改善され、銅を被覆したときの製鋼雰囲気での
耐食性も向上している。本発明者らは、これらの総ての
点について、非常に詳細に検討し、幾多の実験を繰り返
して、コバルト−ニッケル合金に酸化コバルトの微粒子
を分散させたメッキ層が鋳型の内壁面保護に最適である
ことを発見した。
以下、それぞれの点について、実験データを交えなが
ら詳細に検討する。
まず、マトリックスとなるコバルト−ニッケル合金の
特性を知るために、コバルト基本液に対してニッケル
(イオン)を順次添加し、ニッケル比率と電着応力、ニ
ッケル比率と摩耗との関係、そして最も重要なことであ
るが、ニッケル比率と腐食との関係を調べたところ、第
5図乃至第7図に示す結果が得られ、いずれもニッケル
の添加により望ましい傾向を示すことが分かった。第5
図はコバルト−ニッケル合金中のニッケルの比率(重量
%)と平均電着応力(Kg/cm2)の関係をスパイラルコン
トラクトメーターにより測定した結果を示す。第6図は
コバルト−ニッケル合金中のニッケルの比率(重量%)
と摩耗覆(mg/1000rev.)の関係をテーバーアブレッシ
ョンテスターにより測定した結果を示す。第7図はコバ
ルト−ニッケル合金中のニッケルの比率(重量%)と腐
食量(mg/cm2/day)の関係を希硫酸溶液による腐食試験
により測定した結果を示す。腐食試験に用いた希釈酸溶
液は1vol%硫酸で液温は55℃であった。
第5図乃至第7図からコバルト−ニッケル合金中のニ
ッケル比率は4〜8重量%とすることが好ましいことが
分かる。ニッケル比率がこの範囲よりも少ないと、電着
応力、摩耗量、腐食量の低減効果が期待できなくなり、
ニッケル比率がこの範囲よりも多いと、コバルト合金と
いうよりはニッケル合金となり、特にニッケルが重量比
でコバルトよりも多くなると、表面の酸化コバルト皮膜
の形成が困難になる。
そこで、7重量%のニッケルを含むコバルト−ニッケ
ル合金をマトリックスとして、これに酸化クロムの微粒
子を分散させた複合メッキ層を形成し、その平均電着応
力、硬度、摩耗特性、耐食性を測定し、従来のメッキ層
と比較した。
電着応力について まず、第1表はコバルト−ニッケル合金に酸化クロム
微粒子を分散させた複合メッキ層と、コバルト単体に酸
化クロム微粒子を分散させた複合メッキ層と、ニッケル
−鉄合金メッキ層について、電着応力(Kg/cm2)をスパ
イラルコントラクトメーターにより測定した結果を示
す。コバルト−ニッケル合金に酸化クロム微粒子を分散
させた複合メッキ層については、電解条件を1A/dm2、3A
/dm2、5A/dm2と変化させた場合についてそれぞれ測定
し、他のメッキ層については電解条件を3A/dm2として測
定した。
第1表から明らかなように、コバルト−ニッケル合金
に酸化クロム微粒子を分散させた複合メッキ層は、コバ
ルト単体に酸化クロム微粒子を分散させた複合メッキ層
やニッケル−鉄合金メッキ層に比べて、電着応力の低い
ものが得られることが分かる。また、コバルト−ニッケ
ル合金/酸化クロム分散メッキにおいて、ニッケル含有
量を7重量%、10重量%、20重量%、50重量%と変化さ
せた場合の測定結果から明らかなように、ニッケル合金
比率が20重量%以下であれば、平均電着応力はほとんど
変化しない。
硬度について 次に、コバルト−ニッケル合金に酸化クロム微粒子を
分散させた複合メッキ層と、コバルト単体に酸化クロム
微粒子を分散させた複合メッキ層と、ニッケル−鉄合金
メッキ層、及び溶射によるニッケル−クロム自溶合金に
ついて、その硬度をミクロビッカース法により測定した
結果を第8図に示す。また、加熱温度による硬度条件を
併せて同図に示す。加熱時間はそれぞれ1時間とした。
なお、コバルト−ニッケル合金に酸化クロム微粒子を分
散させた複合メッキ層については、電解条件を1〜5A/d
m2の範囲で変化させたが、硬度には大きな差異が認めら
れず、斜線で示す範囲内に含まれる。この第8図から明
らかなように、コバルト−ニッケル/酸化クロム皮膜
は、室温から700℃被熱時においても、摩耗特性は良好
で、むしろ、被熱時において摩耗特性は一層良好となる
ことが分かる。これは、表面に形成されるコバルト酸化
物の皮膜と酸化クロムとが効果的に作用するためである
と考えられる。
摩耗特性について 次に、コバルト−ニッケル合金に酸化クロム微粒子を
分散させた複合メッキ層と、コバルト単体に酸化クロム
微粒子を分散させた複合メッキ層と、ニッケル−鉄合金
メッキ層、及び溶射によるニッケル−クロム自溶合金に
ついて、その摩耗特性をテーバーアブレッションテスタ
ーにより測定した結果を第9図に示す。また、加熱温度
による摩耗特性の変化を併せて同図に示す。加熱時間は
それぞれ1時間とした。この第9図から明らかなよう
に、メッキで作成したにも拘わらず、コバルト系分散メ
ッキはニッケル−鉄合金メッキのように加熱による摩耗
量の増大という現象もなく、特にコバルト−7重量%ニ
ッケル合金/酸化クロムについては、ニッケル−クロム
自溶合金(ヒュージングしたもの)と比べても何ら遜色
の無い特性が得られている。また、第8図と第9図を比
較しても分かるように、摩耗特性は必ずしも硬度差を反
映したものとはならない。
耐食性について 次に、ニッケル単体、ニッケル−鉄合金メッキ、コバ
ルト単体、ニッケル−クロム自溶合金、コバルト−ニッ
ケル合金メッキ、コバルト−ニッケル合金に酸化クロム
微粒子を分散させた複合メッキ、コバルト単体に酸化ク
ロム微粒子を分散させた複合メッキについて、その腐食
特性を希硫酸溶液による腐食試験により測定した結果を
第2表に示す。腐食試験に用いた希硫酸溶液は1vol%硫
酸で液温は55℃であった。表中、コバルト−7%ニッケ
ル/酸化クロムの試料,,は、電解条件がそれぞ
れ1A/dm2、3A/dm2、5A/dm2であった。
この第2表から明らかなように、コバルトをニッケル
と合金化することにより、耐食性が改善される。また、
分散メッキはマトリックス自体よりも耐食性が劣ること
が分かる。従来のコバルト/酸化クロム複合メッキ層と
本発明のコバルト−ニッケル合金/酸化クロム複合メッ
キ層とを比較すると、前者に比べて1/5以下に腐食量が
低減され、著しい耐食性の改善効果が認められる。ま
た、ニッケル含有量が7〜50重量%の範囲で変化して
も、耐食性の改善効果はほとんど変化しない。
なお、第10図はニッケル含有量を変化させた場合にお
けるコバルト−ニッケル合金/酸化クロム分散メッキ層
の被熱温度に対する硬さの変化を示している。同図から
明らかなように、コバルトに対するニッケル含有量が10
重量%までのときは被熱温度の上昇につれて、メッキ層
の硬さが増加傾向にあるが、10重量%を越え20重量%に
なると、徐々にニッケル単体をマトリックスとした加熱
硬さ変化の特定に近付くことが判る。また、第3表はテ
ーバー方によるコバルト/酸化クロム分散メッキ層及び
コバルト−ニッケル合金/酸化クロム分散メッキ層につ
いて、摩餅特性を示している。摩耗減量の単位は〔mg/1
000rev.〕である。同表から明らかなように、コバルト
に対するニッケル含有量を高めて行くと、摩耗量が増加
することが判る。ニッケル含有量が50重量%の場合に
は、コバルト/酸化クロム分散メッキ層よりも摩耗量が
増加し、ニッケルを合金化する意味が失われつつある。
したがって、コバルトに対するニッケルの含有量は50重
量%未満とし、好ましくは10重量%以下とする。
以上の測定結果から明らかなように、若干量のニッケ
ルを含むコバルト合金を主体とし、これに酸化コバルト
の微粒子を分散含有させたメッキ層は、常温よりも高温
度でむしろ優れた耐摩耗性を示し、また鋳型に適用する
のに好都合な内部応力の低減作用を有し、硬度が高く、
製鋼雰囲気中での耐食性に優れており、鋳型内壁面の保
護には最適のものである。
本発明の連続鋳造鋳型の構造並びに製法については、
既に当業者が容易に実施できる程度に開示したが、さら
に、本発明者らは試作した鋳型についてのデータを開示
しておく。
本発明者らは、横幅240mm、長さ1200mm、厚み70mmの
銀入り銅製スラブ用鋳型(短辺)の表面に、硫酸100ml/
、35%過酸化水素100mlからなる混液で銅を活性化し
たのち、硫酸コバルト450g/、硫酸ニッケル100g/、
塩化ナトリウム5g/、ホウ酸35g/、アニオン型界面
活性剤150ppm、粒径1〜10μmの酸化クロム350g/を
含む分散メッキ溶液中において、50℃で3A/dm2にて50時
間コバルト−ニッケル合金/酸化クロム分散メッキを施
し、第4図に示す構成の鋳型を得た。この鋳型は、上部
厚み0.2mm、下部の厚肉の箇所で1.0mmのコバルト−ニッ
ケル合金/酸化クロム分散メッキを有するものである。
メッキ後の表面機械加工における切削片を化学分析する
と、酸化クロムを約16重量%含有していた。この鋳型表
面をアセチレンバーナーで加熱し、酸化皮膜を形成させ
たのち、実用に供したが、400チャージでも、鋳型の表
面には何ら銅の露出を認めなかった。
[発明の効果] 本発明の連続鋳造鋳型にあっては、メッキ金属として
コバルト−ニッケル合金を使用し、また、これを組み合
わされる金属酸化物としては酸化クロムを用いているの
で、複合メッキの耐摩耗性を最大限に改善・向上させる
と共に、鋳型の受ける広範囲の温度領域での耐摩耗性を
確保することができ、鋳型の寿命を飛躍的に改善できる
という効果がある。また、コバルト−ニッケル合金に、
酸化クロムを組み合わせることによって、メッキ層の内
部応力が低減され、鋳型の変形や操業中のメッキ層の剥
離によるブレークアウトが防止されるという効果もあ
る。さらに、メッキ金属は4〜8重量部、好ましくは約
7重量部のニッケルを含むので、酸化クロムが分散され
た表面の酸化コバルト皮膜による優れた耐摩耗性の効果
を保ちながら、コバルト単体又はコバルト−鉄合金に比
べると、鋳型の使用環境での耐食性が改善されており、
したがって、本発明の鋳型の寿命はメッキ層の耐摩耗性
によって律速されることになり、メッキ層の本来の特性
が発揮されるので、鋳型の寿命は飛躍的に改善されると
いう効果がある。
なお、メッキ層の表面に予めコバルト酸化皮膜を形成
しておけば、鋳込み初期のスプラッシュの付着を防止で
きると共に、初期摩耗を著しく低減することができると
いう効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第4図は本発明の夫々別の実施例に係る連続
鋳造鋳型の要部縦断面構造を示す断面図、第5図、第6
図及び第7図は同上の連続鋳造鋳型の内面被覆に用いる
コバルト−ニッケル合金のニッケル含有量に対する平均
電着応力、摩耗量及び腐食量をそれぞれ示す図、第8図
及び第9図は同上のコバルト−ニッケル合金に酸化クロ
ムを分散させた複合メッキ層の加熱温度に対する硬さ及
び摩耗量をそれぞれ示す図、第10図は同上のニッケル含
有量を変化させた場合における加熱温度に対する硬さを
示す図である。 1は鋳型、2はメッキ層、2aは酸化皮膜である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝田 順一郎 兵庫県神戸市西区春日台9丁目11番73号 (72)発明者 上田 輝 兵庫県加古川市平岡町二俣1003 (72)発明者 谷川 完士 兵庫県加古郡稲美町中村495―100 (72)発明者 高垣 孝繁 兵庫県加古川市上荘町都台1丁目9番1 号 (56)参考文献 特開 昭62−183939(JP,A) 特開 昭58−23539(JP,A) 特開 昭58−212841(JP,A) 特開 昭54−2224(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 11/04 312 B22D 11/04 313

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銅又は銅合金からなる鋳型の溶鋼注入面
    に、4〜8重量部のニッケルを含むコバルト−ニッケル
    合金99〜60重量部に対して粒径30ミクロン以下の酸化ク
    ロムを1〜40重量部分散含有するメッキ層を設けて成る
    ことを特徴とする連続鋳造鋳型。
  2. 【請求項2】コバルト−ニッケル合金は約7重量部のニ
    ッケルを含むことを特徴とする請求項1記載の連続鋳造
    鋳型。
  3. 【請求項3】酸素の存在下にて加熱して、メッキ層の表
    面に酸化皮膜を形成して成ることを特徴とする請求項1
    又は2記載の連続鋳造鋳型。
  4. 【請求項4】メッキ層は、コバルトイオン、ニッケルイ
    オン、硫酸イオン、塩素イオン、ホウ酸イオン、酸化ク
    ロム、及び、アニオン型界面活性剤を含むメッキ液にて
    形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の連続
    鋳造鋳型。
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