JP2973803B2 - 光記録媒体の検査方法および製造方法 - Google Patents

光記録媒体の検査方法および製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光記録媒体の検査方法
および製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光記録媒体は、基板上に保護層、記録層
などの各層が順次形成されたものである。各層の中で保
護層の膜厚が最も厚いので、保護層の膜厚の管理は光記
録媒体の性能を管理する上で非常に重要なことである。
従来は、基板上に保護層、記録層等の各層を形成するプ
ロセスにおいて、光記録媒体の一片を取りだし、分光光
度計により基板からの反射光を任意の一波長において測
定し反射率を検出することにより、保護層の光学的膜厚
を求め、その光学的膜厚の値が設定値に対して正しいか
を確認していた。また、保護層の膜厚が異なると基板側
から光記録媒体を見た場合に色相が変わることを利用し
て、色相を目視で調べ光学的膜厚が設定値に対して正し
いかを確認していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術で保護層の膜厚の管理を行う場合、光記録媒体の反射
率測定を生産ラインで実行することは非常に手数がかか
るという難点があった。また、膜厚に対応する反射率変
化が小さく、例えば、200nm程度第1保護層の膜厚
が変わっても反射率はほぼ変わらないため、反射率と膜
厚の対応がとれにくく、膜厚の精密な管理が難しいとい
う難点もあった。さらに、光記録媒体の色相から膜厚の
管理を行う場合、色の判定を目視で行うため個人差が生
じ易く、知覚的な違いを定量的に表すことができないた
め、保護層の膜厚の管理は困難であった。
【0004】本発明は、これらの諸欠点に鑑み創案され
たものであって、光記録媒体の保護層の光学的膜厚に基
づく色相の変化を定量的に管理することにより、光記録
媒体製造時の保護層の膜厚の補正ならびに管理が可能な
光記録媒体の検査方法および製造方法を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
基板上に少なくとも保護層と記録層を順次積層した光記
録媒体の検査方法において、波長の異なる複数の光を照
射し、基板からの反射光を測定することにより保護層の
光学的膜厚を検査することを特徴とする光記録媒体の検
査方法により達成される。
【0006】また、本発明の目的は、基板上に少なくと
も保護層と記録層を積層した光記録媒体の製造方法にお
いて、波長の異なる複数の光を照射し、基板からの反射
光を測定することにより前記保護層の光学的膜厚を検査
し、保護層の膜厚形成条件を修正することを特徴とする
光記録媒体の製造方法により達成される。
【0007】本発明の光記録媒体の製造方法において
は、下記の(1)〜(4)の工程順で行うことが、特に
好ましい
【0008】(1)基板上に保護層を形成する第一工
程。
【0009】(2)保護層上に記録層を形成する第二工
程。
【0010】(3)波長の異なる複数の光を照射し、基
板からの反射光を測定することにより前記保護層の光学
的膜厚を検査する第三工程。
【0011】(4)前記第三工程で得られた保護層の光
学的膜厚に関する情報を、前記第一工程にフィードバッ
クし、保護層の膜厚形成条件を修正する第四工程。
【0012】本発明における光記録媒体は、基板上に少
なくとも保護層と記録層を順次積層したものであり、好
ましくは、基板上に、保護層、記録層、反射層を順次積
層したものであり、より好ましくは、図1に示されるよ
うに、基板1上に、第一保護層2、記録層3、第二保護
層4、反射層5を順次積層したものである。通常、膜厚
は、第一保護層:100〜500nm、記録層:10〜
30nm、第二保護層:10〜30nm、反射層:10
〜200nm程度である。各層の材質としては、基板:
ガラス、ポリカーボネート、ポリメチル・メタクリレー
ト、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹
脂、保護層:ZnS、SiO2 、窒化シリコン、酸化ア
ルミニウムなどの無機薄膜、ZnSとSiO2 の混合
膜、ZnSとSiO2 と炭素の混合膜、記録層:Pd−
Ge−Sb−Te合金、Nb−Ge−Sb−Te合金、
Pt−Ge−Sb−Te合金、Ni−Ge−Sb−Te
合金、Ge−Sb−Te合金、Co−Ge−Sb−Te
合金、In−Sb−Te合金、In−Se合金、反射
層:Al、Auなどの金属、およびこれらを主成分とす
る合金、より具体的にはAlにSi、Mg、Cu、P
d、Ti、Cr、Hf、Ta、Nb、Mnなどの少なく
とも一種の元素を合計で5原子%以下1原子%以上加え
た合金、あるいは、AuにCr、Ag、Cu、Pd、P
t、Niなどの少なくとも一種の元素を合計で20原子
%以下1原子%以上加えた合金などが例としてあげられ
るが、これらに限定されない。
【0013】本発明の光記録媒体の検査方法は、波長の
異なる複数の光を照射し、基板からの反射光を測定する
ことにより、保護層の光学的膜厚を検査することを特徴
とする。
【0014】基板からの反射光は、図1に示されるよう
に、保護層の先の記録層の手前で反射されたものである
ので、基板からの反射光を測定することにより検出され
る反射率は保護層の膜厚と相関関係がある。上述した通
り、20nm程度膜厚が変化しても反射率はほぼ変わら
ないが、反射率と保護層の膜厚との相関関係は測定波長
に依存するので、本発明のように波長の異なる複数の光
を照射し反射率を検出すれば、反射率の微小な変化から
正確な光学的膜厚の管理が可能となる。ここで、光学的
膜厚とは、以上のような反射率の測定から求められる保
護層の膜厚のことをさし、実際の保護層の膜厚と一対一
に対応しているものである。
【0015】波長の異なる複数の光を照射し、基板から
の反射光を測定することにより保護層の光学的膜厚を検
査する方法として、最も好ましいのは、色彩色差計を用
いる方法である。色彩色差計とは、波長の異なる複数の
光を照射し、測定試料からの反射光を測定し反射率を検
出する手段と、該反射率の値から測定試料の色相、彩
度、明度に基づく三刺激値を求める手段とを備えるもの
である。
【0016】測定原理の一例について簡単に述べる。す
なわち、人間の目の分光感度(国際照明委員会(CI
E)1931)等色関数である可視領域に相当する等色
関数x2 λ(Xの長波長側ピーク)、yλ、zλの感度
をもつセンサにより測定試料からの反射光を測定すると
共に、x2 λ、yλ、zλ、の感度をもつセンサで照明
光源を直接測定して、試料の三刺激値X、Y、Zを算出
し各種の色度を演算する。三刺激値X、Y、Zは、色
相、彩度、明度の3つの独立変数に基づくものであり、
これらから各種の色度(表色系色度)を算出する。表色
系色度は、CIEに基づきXYZ表色系(JIS Z8
71)やL* * * 表色系(JIS Z8729)や
UCS(JIS Z8729)、などがある。このよう
に基板からの反射光を色度という数値で管理することに
より、保護層の光学的膜厚を間接的に数値で管理・検査
できる。色彩色差計としては、反射物体色CIE表色系
デジタル色彩色差計CR−300(ミノルタ(株)製)
などが挙げられる。
【0017】このように色彩色差計を用いて光記録媒体
の検査を行うと、短時間で精度良く検査することができ
る。また、光学的膜厚に関するデータの管理、光記録媒
体の品質の管理を容易に行うことができる。この場合に
コンピュータを用いれば、さらに管理は容易になる。
【0018】本発明の光記録媒体の製造方法は、基板上
に保護層を形成し、該保護層上に記録層を形成した後、
上述の光記録媒体の検査方法により検査し、それによっ
て得られた保護層の光学的膜厚に関する情報を、保護層
形成工程にフィードバックし、保護層の膜厚形成条件
(例えば、スパッタリングで形成する場合にはその条
件)を修正することを特徴とする。すなわち、あらかじ
め、最良の光記録媒体の検査結果または最初に製造した
光記録媒体の検査結果を設定値として定めておき、その
値からずれた場合に膜厚形成条件を修正する。厚い方向
にずれていれば薄くなるように、薄い方向にずれていれ
ば厚くなるように条件を修正する。このような修正を行
いながら光記録媒体を製造すれば、一定品質の光記録媒
体を安定して製造できるので生産性が向上する。
【0019】つまり、従来は一波長における反射率の測
定を分光光度計によって行っていたので、保護層の光学
的膜厚の検査を生産ラインで行うことは困難であった
が、本発明の検査方法、特に色彩色差計を用いた検査方
法を使用することにより、保護層の光学的膜厚の検査を
生産ラインで行うことが可能となる。
【0020】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて説明する。
【0021】実施例1 光記録媒体の各層の膜厚は、水晶振動子式膜厚計により
モニターした。
【0022】透明基板上にスパッタリング装置によって
第1保護層は70.6ZnS26.4SiO2 3.0 C(at%)
混合膜を186.5〜392.9nm任意に変えて形成
し、記録層は0.08Pd0.5 Nb19.0Ge25.4Sb55.0T
e(at%)合金を24nm形成し、第2保護層は72.8
ZnS27.2SiO2 (at%)混合膜を26nm形成
し、反射層は0.2 Pd1.4 Hf98.3Al(at%)合金
を120〜140nm形成し、スピンコートによってア
クリル酸エステル系紫外線硬化樹脂を8μm形成し、光
記録媒体を得た。
【0023】得られた光記録媒体を反射物体色CIE表
色系デジタル色彩色差計CR−300(ミノルタ(株)
製)によって、基板側の表色系色度を測定した。表1に
第1保護層膜厚を変えた時の光記録媒体のL* * *
表色の結果を示す。図2に色度図を示す。
【0024】第1保護層の膜厚を186.5nmの赤色
から膜厚を厚くしていくと、赤紫−紫−青紫−青−緑−
黄緑の392.9nmまで順に色の変化が色度図から確
認でき色相を数値で管理することができた。また、第1
保護層の膜厚差が10nmになると、実際にこの差を段
差計あるいはエリプソメータにより膜厚を測定しても手
間と、1検体あたりの測定時間が30〜60分かかり、
膜厚差が明確でないこともある。しかし、色彩色差計を
用いると、図2に示すように第1保護層の膜厚差が10
〜20nmであっても非常に簡単に測定ができ、3秒で
精度良い膜厚値が得られた。
【0025】以上に述べてきたように従来技術では、目
視で色の判別をする際個人差が生じ、また知覚的な違い
を表すことができず色合わせのための第1保護層膜厚の
決定が困難であったが、本発明によると、短時間で検査
を行うことができ、かつ色を数値化して色相の判別をす
るので保護層の光学的膜厚の管理・検査が容易になる。
【0026】
【表1】 実施例2 実施例1において、第1保護層の膜厚を200nmと固
定した以外同様にして、光記録媒体の製造および検査を
行った。それと同時に、検査によって得られた保護層の
光学的膜厚に関する情報を、保護層形成工程にフィード
バックし、保護層形成のスパッタリング条件を修正し
た。その結果、光記録媒体は安定した性能のものが得ら
れ、生産の収率が向上した。
【0027】
【発明の効果】本発明の光記録媒体の検査方法によれ
ば、保護層の形成状態を短時間で精度よく検査すること
ができ、保護層の光学的膜厚の管理・検査も容易にな
る。この検査を公知の自動測定可能な色彩色差計を用い
て行えば、さらに短時間で精度よく検査ができ、かつ光
学的膜厚のデータ管理、品質管理が容易に行える。この
場合、コンピュータを用いてデータ管理、品質管理がで
きる。この検査方法を光記録媒体の製造方法に適用し、
保護層形成工程へフィードバックすることによって生産
の収率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる光記録媒体の一例を表す概略断
面図である。
【図2】本発明にかかる光記録媒体の検査結果の一例を
表す色度図である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 7/26 G01B 11/06 G11B 23/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に少なくとも保護層と記録層を順次
    積層した光記録媒体の検査方法において、波長の異なる
    複数の光を照射し、基板からの反射光を測定することに
    より保護層の光学的膜厚を検査することを特徴とする光
    記録媒体の検査方法。
  2. 【請求項2】波長の異なる複数の光を照射し、測定試料
    からの反射光を測定し反射率を検出する手段と、該反射
    率の値から測定試料の色相、彩度、明度に基づく三刺激
    値を求める手段とを備える色彩色差計を用いて、保護層
    の光学的膜厚を検査することを特徴とする請求項1記載
    の光記録媒体の検査方法。
  3. 【請求項3】基板上に少なくとも保護層と記録層を積層
    した光記録媒体の製造方法において、波長の異なる複数
    の光を照射し、基板からの反射光を測定することにより
    前記保護層の光学的膜厚を検査し、保護層の膜厚形成条
    件を修正することを特徴とする光記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】記の(1)〜(4)の工程を含むことを
    特徴とする請求項3記載の光記録媒体の製造方法。 (1)基板上に保護層を形成する第一工程。 (2)保護層上に記録層を形成する第二工程。 (3)波長の異なる複数の光を照射し、基板からの反射
    光を測定することにより前記保護層の光学的膜厚を検査
    する第三工程。 (4)前記第三工程で得られた保護層の光学的膜厚に関
    する情報を、前記第一工程にフィードバックし、保護層
    の膜厚形成条件を修正する第四工程。
  5. 【請求項5】前記保護層の光学的膜厚を検査する工程に
    おいて、波長の異なる複数の光を照射し、測定試料から
    の反射光を測定し反射率を検出する手段と、該反射率の
    値から測定試料の色相、彩度、明度に基づく三刺激値を
    求める手段とを備える色彩色差計を用いて、保護層の光
    学的膜厚を検査することを特徴とする請求項3または4
    記載の光記録媒体の製造方法。
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