JP2973642B2 - 光波長変換素子の製造方法 - Google Patents

光波長変換素子の製造方法

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JP2973642B2 JP3255164A JP25516491A JP2973642B2 JP 2973642 B2 JP2973642 B2 JP 2973642B2 JP 3255164 A JP3255164 A JP 3255164A JP 25516491 A JP25516491 A JP 25516491A JP 2973642 B2 JP2973642 B2 JP 2973642B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コヒーレント光を利用
する光情報処理分野、あるいは光応用計測制御分野に使
用する光波長変換素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4に従来の光導波路を基本とした光波
長変換素子の構成図を示す。以下0.84μmの波長の基本
波に対する高調波発生(波長0.42μm)について図を用
いて詳しく述べる。(K.Mizuuchi, K.Yamamoto and T.T
aniuchi, Applied Physics Letters, Vol 58, 2732ペー
ジ, 1991年6月号、参照).図4に示されるようにLiTa
O3基板1に光導波路2が形成され、さらに光導波路2に
は周期的に分極の反転した層3(分極反転層)が形成さ
れている。基本波P1と発生する高調波P2の伝搬定数
の不整合を分極反転層3および非分極反転層4の周期構
造で補償することにより高効率に高調波P2を出すこと
ができる。光導波路2の入射面10に基本波P1を入射
すると、光導波路2から高調波P2が効率良く発生さ
れ、光波長変換素子として動作する。
【0003】このような従来の光波長変換素子はプロト
ン交換法により作製された光導波路2を基本構成要素と
していた。この素子の製造方法について説明する。まず
LiTaO3基板1に通常のフォトプロセスとドライエッチン
グを用いてTaを周期状にパターニングする。次にTa
パターンが形成されたLiTaO3基板1に260℃、30分
間プロトン交換を行いTaで覆われていないスリット直
下に厚み0.8μmのプロトン交換層を形成する。次に
590℃の温度で10分間熱処理する。熱処理の上昇レ
ートは10℃/分、冷却レートは50℃/分である。こ
れにより分極反転層が形成される。プロトン交換層直下
はLiが減少しておりキュリー温度が低下するため部分
的に分極反転を行うことができる。次にHF:HNF3
の1:1混合液にて2分間エッチングしTaを除去す
る。さらに上記分極反転層中にプロトン交換を用いて光
導波路を形成する。光導波路用マスクとしてTaをスト
ライプ状にパターニングを行うことでTaマスクに幅4
μm、長さ12mmのスリットを形成する。このTaマ
スクで覆われた基板に260℃、16分間プロトン交換
を行い0.5μmの高屈折率層を形成する。Taマスク
を除去した後380℃で10分間熱処理を行う。プロト
ン交換された保護マスクのスリット直下の領域は屈折率
が0.03程度上昇した光導波路2となる。この従来の
方法により作製される光波長変換素子は波長0.84μmの
基本波P1に対して、光導波路2の長さを9mm、基本
波P1のパワーを27mWにしたとき高調波P2のパワ
ー0.13mW、変換効率0.5%が得られていた。こ
の場合1W当りの変換効率は18%/Wである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなプロトン
交換法により形成された光導波路を基本とした光波長変
換素子では光導波路を作製するためのプロトン交換時に
LiTaO3の結晶性が損なわれ非線形光学効果がなくなって
いた。図5に作製された光波長変換素子の断面図を示
す。最初にプロトン交換された高屈折率層5が非線形光
学効果を失う。熱処理により高屈折率層5は広がり光導
波路2となるが、その状態でも非線形性は失われたまま
である。そのため変換効率が理論にたいして1/6程度
に低下してしまうといった問題があった。
【0005】一方熱処理時間を例えば1時間程度に長く
すれば非線形性は回復するが作製される光導波路の厚み
が5μm以上になるなど閉じ込めが悪く実用上問題があ
った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解
決するため、光波長変換素子に新たな工夫を加えること
によって、高変換効率可能な光波長変換素子の製造方法
を提供するものである。つまり、非線形光学結晶中に分
極反転層を形成する工程と、プロトン交換法により高屈
折率層を形成した後、400℃以上の温度で4分以内の
熱処理を行う工程を有する光波長変換素子の製造方法と
する。
【0007】
【作用】本発明の光波長変換素子の製造方法は、400
℃以上の温度で熱処理によりプロトン交換された部分が
再結晶化され非線形光学定数が基板並みに回復する。ま
た、4分以内の短時間熱処理を行うことにより、光導波
路の厚みを広げることなく閉じ込めのよい光導波路を作
製することができる。このようにして製造される光波長
変換素子は変換効率が大幅に向上する。
【0008】
【実施例】導波路の製造方法について図を用いて説明
を行う。図1に光導波路の製造方法の工程図を示す。図
1(a)でLiTaO3基板1に光導波路用マスクとしてTa
6をストライプ状にパターニングを行いTa6に幅4μ
m、長さ12mmのスリットを形成した。次に同図
(b)で260℃、20分間ピロ燐酸中でLiTaO3基板1
に対してプロトン交換を行った。これにより厚み0.6
μmの高屈折率層5が形成された。次に同図(c)でT
aマスク6を除去した後、赤外線加熱装置を用いて46
0℃で10秒熱処理を行った。昇温レートは10℃/秒
である。昇温レートが遅いと高屈折率層は広がってしま
うため100℃/分以上が望ましい。アニール処理によ
りロスが減少した上に高屈折率層5に非線形性が戻る。
プロトン交換された保護マスクのスリット直下の領域は
屈折率が0.03程度上昇した高屈折率層2となる。光
は高屈折率層2を伝搬し、これが光導波路2となる。光
導波路2の非線形光学定数はLiTaO3基板1と同じ26pm
/vであった。また、厚みは1.6μmと薄いため閉じ込
めの良い光導波路2が形成できた。
【0009】次に本発明の光波長変換素子の製造方法に
ついて図を使って説明する。図2はその製造工程図であ
る。同図(a)でまずLiTaO3基板1に通常のフォトプロ
セスとドライエッチングを用いてTa6aを周期状にパ
ターニングする。次に同図(b)でTa6aによるパタ
ーンが形成されたLiTaO3基板1に260℃、30分間プ
ロトン交換を行いスリット直下に厚み0.8μmのプロ
トン交換層を形成した後、590℃の温度で10分間熱
処理する。熱処理の上昇レートは10℃/分、冷却レー
トは50℃/分である。これにより分極反転層3が形成
される。冷却レートが遅いと不均一反転が生じるので3
0℃/分以上が望ましい。プロトン交換層はLiが減少
しておりキュリー温度が低下するため部分的に分極反転
ができる。次にHF:HNF3の1:1混合液にて2分
間エッチングしTa6aを除去する。次に上記分極反転
層3に対してプロトン交換を用いて光導波路2を形成す
る。同図(c)で光導波路用マスクとしてTaをストラ
イプ状にパターニングを行った後、Taマスクに幅4μ
m、長さ12mmのスリットが形成されたものに260
℃、16分間ピロ燐酸中でプロトン交換を行った。これ
により厚み0.45μmの高屈折率層5が形成される。
次に同図(d)でTaマスクを除去した後、赤外線加熱
装置を用いて420℃で30秒熱処理を行った。熱処理
により均一化されロスが減少した上に高屈折率層5に非
線形性が戻る。熱処理により高屈折率層5は広がり屈折
率が0.03程度上昇した高屈折率層2となる。光は高
屈折率層2を伝搬し、これが光導波路2となる。最後に
蒸着によりSiO2を3000A付加した。
【0010】上記のような工程により非線形性の大きな
光導波路2が製造された。非線形光学定数はLiTaO3基板
1と同程度である。この光導波路2の厚みdは1.8μ
mであり分極反転層3の厚み2.0μmに比べ小さく有
効に波長変換される。分極反転層3の周期は10.8μ
mであり波長0.84nmに対して動作する。また、こ
の光導波路2の非分極反転層4と分極反転層3の屈折率
変化はなく、光が導波する場合の伝搬損失は小さい。光
導波路2に垂直な面を光学研磨し入射部および出射部を
形成した。このようにして光波長変換素子が製造でき
る。また、この素子の長さは9mmである。基本波P1
として半導体レーザ光(波長0.84μm)を入射部よ
り導波させたところシングルモード伝搬し、波長0.4
2μmの高調波P2が出射部より基板外部に取り出され
た。光導波路2の伝搬損失は1dB/cmと小さく高調波P2
が有効に取り出された。低損失化の原因の1つとして燐
酸により均一な光導波路が形成されたことがある。基本
波40mWの入力で1mWの高調波(波長0.42μ
m)を得た。この場合の変換効率は2.5%であり従来
のものにくらべて5倍の高効率化が図られている。図3
に420℃の温度での熱処理時間と光導波路厚みとの関
係を示す。熱処理時間が4分以内だと3μm以下の閉じ
込めの良い光導波路が形成でき実用的である。また、1
分以内の熱処理を行うことにより2μm以下の光導波路
の作製も可能となり光波長変換素子用光導波路の製造方
法として最適である。このような短時間処理を行うには
急速加熱が可能な赤外線加熱装置が適している。
【0011】次に本発明の光波長変換素子の製造方法を
用いた第3の実施例について説明する。光波長変換素子
の構成は実施例1と同様である。光導波路2は燐酸中で
のプロトン交換により作製した後、400℃で3分間熱
処理を行った。その厚みは2μm、幅4μm、長さは1
cmである。分極反転の周期は3.6μm、分極反転層
の厚みは1.5μmである。波長840nmに対してこ
の実施例での変換効率は1次の分極反転周期を用いてい
るため高く40mW入力で10%である。光損傷はなく
高調波出力は非常に安定していた。
【0012】なお実施例では非線形光学結晶としてLiTa
O3を用いたがLiNbO3、KNbO3、KTP等の強誘電体にも
適用可能である。
【0013】
【発明の効果】以上説明した光導波路の製造方法によれ
ば、プロトン交換後に400℃以上の温度で4分以内の
熱処理を行うことで大きな非線形性を有しなおかつ閉じ
込めの良い光導波路を形成することができる。また、本
発明の光波長変換素子の製造方法によれば同様に非線形
性の大きな光導波路を分極反転層上に形成することがで
き光波長変換素子の変換効率を大幅に向上させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】導波路の製造方法の工程断面図
【図2】本発明の光波長変換素子の製造方法の工程断面
【図3】熱処理時間と光導波路厚みの関係を示す特性図
【図4】従来の光波長変換素子の構成図
【図5】従来の方法により製造された光波長変換素子の
工程断面図
【符号の説明】
1 LiTaO3基板 2 光導波路 3 分極反転層 5 高屈折率層 P1 基本波 P2 高調波
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−118605(JP,A) 特開 平3−191332(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/37 G02B 6/12 G02F 1/035

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 LiTaO3中に分極反転層を形成する
    工程と、プロトン交換法により高屈折率層を形成した
    後、昇温レートが100℃/分以上で400℃以上の温
    度とし、前記400℃以上の温度で4分以内の熱処理を
    行う工程を有する、光波長変換素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 プロトン交換法は燐酸を用いる請求項
    に記載の光波長変換素子の製造方法。
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