JP2972925B2 - 固体高分子電解質膜を用いる水電解槽 - Google Patents

固体高分子電解質膜を用いる水電解槽

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JP2972925B2 JP10057657A JP5765798A JP2972925B2 JP 2972925 B2 JP2972925 B2 JP 2972925B2 JP 10057657 A JP10057657 A JP 10057657A JP 5765798 A JP5765798 A JP 5765798A JP 2972925 B2 JP2972925 B2 JP 2972925B2
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浩志 梶山
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  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子電解質膜を
用いる水素および酸素製造のための水電解槽に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、高分子電解質膜を用いて水電解に
よって水素および酸素を製造する場合のフィルタープレ
ス式水電解槽としては、特開平8−260177に開示
されたものが知られている。この水電解槽は、図8およ
び図9に示すように、両端に配された陽極主電極(1) お
よび陰極主電極(2) と、これら主電極(1) (2) の間に直
列に配された複数の単位セルと、これらを一体化する各
4本の締め付けボルトおよびナットとから主として構成
され、1つのセルは、チタン合金製の複極板(9)の陽極
側と、チタン基材(マイクロメッシュ、フォトエッチ処
理、パンチングプレートなど)およびチタン繊維層を拡
散接合してなる陽極給電体(7) と、固体高分子電解質膜
からなる電極接合体膜(3) と、チタン基材(マイクロメ
ッシュなど)を白金メッキしてなる陰極給電体(8) と、
隣の複極板(9) の陰極側からなり、電極接合体膜(3)
は、イオン交換膜(4) とその両面に設けられた触媒電極
層(5)(6) とからなる。単位セルの個数は、商業規模の
電解槽では、80から600である。同図において、(2
1)はフランジ、(22)はノズルプレート、(23)は絶縁パッ
キン、(24)はOリングガスケット、(25)は多孔質スペー
サー、(26)はシールガスケットをそれぞれ示す。
【0003】上記構成の水電解槽によると、先ず電解槽
下部の給水ヘッダー(10)から供給された水は、多孔質の
陽極給電体(7) を通って、電極接合体膜(3) の陽極側触
媒電極層(5) に達する。ここで付加された電力により水
の電気分解反応が起こり、酸素が発生する。発生した酸
素は陽極給電体(7) を通り、複極板(9) の陽極側に設け
られた垂直流路内を未反応の水とともに上昇し、複極板
(9) の酸素ヘッダー(11)の外周に設けられた多孔質スペ
ーサー(25)を通って酸素ヘッダー(11)に排出される。一
方、電極接合体膜(3) の陰極側触媒電極層(6) 表面で発
生した水素とイオン交換膜(4) を透過した水は、陰極給
電体(8) を通り、複極板(9) の陰極側に設けられた垂直
流路内を上昇し、複極板(9) の水素ヘッダー(12)の外周
に設けられた多孔質スペーサー(25)を通って水素ヘッダ
ー(12)に排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の電解槽で
は、電解時に陽極側に生じる酸化皮膜(酸化チタン)に
より、電気抵抗と電気的な接触抵抗とが増加し、電解セ
ル電圧が高くなって、電解槽の電解特性が悪くなるとい
う問題があった。
【0005】本発明は、上記のような問題点を解決すべ
く工夫されたもので、電気抵抗が小さく、したがって、
電解特性に優れた電解槽を提供することをその目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の発明による水電解
槽は、両端に配された陽極主電極(1) および陰極主電極
(2) と、これら主電極(1) (2) の間に直列に配された複
数の単位セルと、これらを一体化する締め付け具とを具
備し、1つのセルは、複極板(9) の陽極側と、チタン基
材(7')およびチタン繊維層(7'') を拡散接合してなる陽
極給電体(7) と、固体高分子電解質膜からなる電極接合
体膜(3) と、陰極給電体(8) と、隣の複極板(9) の陰極
側からなり、陰極給電体(8) と複極板(9) と陽極給電体
(7) とが一体化されている、固体高分子電解質膜を用い
る水電解槽において、陽極給電体(7) の片側の面にのみ
貴金属メッキ層(31)が設けられており、陽極給電体(7)
は、貴金属メッキ層(31)の無い面を介して複極板(9) と
一体化され、貴金属メッキ層(31)を介して電極接合体膜
(3) に接していることを特徴とするものである。
【0007】貴金属メッキは、陰極給電体(8) と複極板
(9) と陽極給電体(7) との一体化前に施してもよいし、
一体化後に施してもよい。
【0008】第2の発明による水電解槽は、両端に配さ
れた陽極主電極(1) および陰極主電極(2) と、これら主
電極(1) (2) の間に直列に配された複数の単位セルと、
これらを一体化する締め付け具とを具備し、1つのセル
は、複極板(9) の陽極側と、陽極給電体(7) と、固体高
分子電解質膜からなる電極接合体膜(3) と、陰極給電体
(8) と、隣の複極板(9) の陰極側からなり、複極板(9)
がチタン合金板(28)とステンレス鋼板(29)の積層板より
なる構成とされて、ステンレス鋼板(29)が陰極側に来る
ように配置されている、固体高分子電解質膜を用いる水
電解槽において、チタン合金板(28)の片側の面にのみ貴
金属メッキ層(32)が設けられており、チタン合金板(28)
は、貴金属メッキ層(32)の無い面を介してステンレス鋼
板(29)に接し貴金属メッキ層(32)を介して陽極給電体
(7) に接していることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0010】第1の発明の固体高分子電解質膜を用いる
水電解槽は、図8および図9に示した従来のものと陽極
給電体(7) の構成のみが異なっている。すなわち、この
陽極給電体(7) は、図1に示すように、複極板(9) に接
するマイクロメッシュ・チタン基材(7')と外側で電極接
合体膜(3) に接するチタン繊維層(7″)とからなり、そ
のチタン繊維層(7″)の電極接合体膜(3) に接する面
に、白金メッキ層(31)が設けられているものである。
【0011】チタン基材(7')とチタン繊維層(7'') とは
拡散接合されている。また、陰極給電体(8) と複極板
(9) と陽極給電体(7) とは、超塑性加工による複極板
(9) の成形と、陰極給電体(8) と複極板(9) と陽極給電
体(7) の拡散接合とを同時に行うことによって、一体成
形されている。陽極給電体(7) と複極板(9) の拡散接合
による一体成形を行うに当たり、複極板(9) に陽極給電
体(7) 用のチタン基材(7')を配し、ついで同基材(7')に
チタン繊維層(7'') を配した。
【0012】上記構成によると、陰極給電体(8) と複極
板(9) と陽極給電体(7) とが一体化され、陽極給電体
(7) の電極接合体膜(3) に接する面に白金メッキ層(31)
が設けられているので、陽極側で生成する酸素により酸
化チタン皮膜が形成されることはなく、電気抵抗が小さ
くなる。上記の陽極給電体(7) を備えた構成で電極サイ
ズ250cm2 のセルを20層積層した電解槽を運転した
ところ、陽極給電体に白金メッキが施されていない電解
槽に比べ、電解槽の電気抵抗が小さくなり、初期電解特
性が向上した。
【0013】第2の発明の固体高分子電解質膜を用いる
水電解槽は、図8および図9に示した従来のものと複極
板(9) の構成のみが異なっている。すなわち、複極板
(9) は、チタン合金板(28)とステンレス鋼板(29)の積層
板に超塑性加工を施すことにより構成されており、ステ
ンレス鋼板(29)が陰極側に来るように配置されるととも
に、図7に示すように、チタン合金板(28)の陽極給電体
(7) に接する面に、白金メッキ層(32)が設けられている
ものである。陰極給電体(8) と複極板(9) と陽極給電体
(7) とは一体化されていない。
【0014】図2は、複極板(9) の平面図を示し、図3
は図2中のa−a断面、図4はb−b断面、図5はc−
c断面、図6はd−d断面および図7は図3の要部拡大
断面をそれぞれ示す。
【0015】図2中のa−a断面では、図3に示される
ように、電極接合体膜(3) と陽極給電体(7) と陰極給電
体(8) は、複極板(9) の山部および谷部の間隙がおおむ
ね1〜3mmとなり、山と谷が交互に組み合わされるよ
うな構造になされたものであり、この構造により両給電
体(7)(8)の接触が維持され、且つセルの弾力性が得られ
る。また、陽極側および陰極側の谷部がそれぞれ酸素お
よび水素の上方への流路となっている。複極板(9) の外
周部に設けられた凹条(27)は、シールのためのOリング
ガスケット(24)の嵌込み溝である。複極板(9) の上下の
部分は、流体が上下左右に自由に流動でき且つ電極接合
体膜(3) を均一にサポートする機能が要求される部分で
あり、図2中のb−b断面を示す図4のように、略立方
体の多数の突起によって電極接合体膜(3) を両面からサ
ポートし、それ以外の部分が流路として機能するように
なされている。
【0016】図2において、複極板(9) の下部の孔は給
水ヘッダー(10)であり、上部左側の孔は酸素ヘッダー(1
1)である。これらのヘッダーは、図5に示される断面の
ように加工することにより、水を陽極側に供給し、発生
した酸素を酸素ヘッダー(11)に排出する。図5および図
6において、複極板(9) の各ヘッダーの外周には、複極
板(9) と電極接合体膜(3) との間に多孔質スペーサー(2
5)が介在され、電極接合体膜(3) ともう1つの複極板
(9) との間にシールガスケット(26)が介在されている。
また、複極板(9) の上部右側の孔は水素ヘッダー(12)
で、この部分は、図6に示される断面のように加工する
ことにより、発生した水素を水素ヘッダー(12)に排出す
る。複極板(9) の中央部の電極部分では、流体が均一に
流れることが望ましい。偏流があると、極端な場合その
部分がドライになり、膜の損傷を来たすといった事故の
原因になる。この構造では、複極板(9) の上下部分に略
立方体の多数の突起を形状すること、およびその分布を
流体力学的に設計することにより、いっそう均一な流れ
を実現することが可能である。更に、水電解槽の各セ
ル、具体的には入口ヘッダーおよび出口ヘッダーに設置
するリング状の多孔質スペーサー(25)の空隙率または幅
を調整することにより、各セルへの水の流入量を均一に
することができる。このような構造を採用すると、単位
セルの厚さは2〜6mm程度となる。
【0017】上記構成によると、複極板(9) の陽極給電
体(7) に接する面に白金メッキ層(32)が設けられている
ので、陽極側で生成する酸素により酸化チタン皮膜が複
極板(9) に形成されることはなく、電気抵抗が小さくな
る。上記の白金メッキ層(31)付きチタン合金板(28)とス
テンレス鋼板(29)とからなる複極板(9) を備えた構成で
電極サイズ250cm2 のセルを20層積層した電解槽を
運転したところ、白金メッキ層なしのチタン合金板(28)
とステンレス鋼板(29)とからなる複極板(9) を備えた電
解槽に比べ、電解槽の電気抵抗が小さくなり、初期電解
特性が向上した。
【0018】なお、上記第2の発明において、陰極給電
体(8) と複極板(9) と陽極給電体(7) とを一体化すると
ともに、白金メッキ層を複極板(9) でなく陽極給電体
(7) に設けること(すなわち第1の発明と同様の構成と
すること)も可能である。
【0019】
【発明の効果】請求項1の水電解槽によると、陽極給電
体は、貴金属メッキ層の無い面を介して複極板と一体化
され、貴金属メッキ層を介して電極接合体膜に接してい
ので、陽極給電体の片側の面にしか貴金属メッキ層が
設けられていないのにもかかわらず、電解時に陽極給電
体表面に酸化皮膜が生じることが防止され、酸化皮膜に
よる電気抵抗の増大および電気的な接触抵抗の増大が抑
えられ、したがって、電解特性に優れた水電解槽が得ら
れる。
【0020】請求項2の水電解槽によると、チタン合金
板は、貴金属メッキ層の無い面を介してステンレス鋼板
に接し貴金属メッキ層を介して陽極給電体に接している
ので、チタン合金板の片側の面にしか貴金属メッキ層が
設けられていないのにもかかわらず、電解時に複極板の
表面に酸化皮膜が生じることが防止され、酸化皮膜によ
る電気抵抗の増大および電気的な接触抵抗の増大が抑え
られ、したがって、電解特性に優れた水電解槽が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の要部である陰極給電体(8) と複極
板(9) と陽極給電体(7) との一体成形状態を示す断面図
である。
【図2】複極板(9) 全体を示す平面図である。
【図3】図2中のa−a線に沿う断面を示す部分断面図
である。
【図4】図2中のb−b線に沿う断面を示す部分断面図
である。
【図5】図2中のc−c線に沿う断面を示す部分断面図
である。
【図6】図2中のd−d線に沿う断面を示す部分断面図
である。
【図7】図3の要部拡大図である。
【図8】従来のフィルタープレス式水電解槽を示す模式
断面図である。
【図9】従来のフィルタープレス式水電解槽の分解状態
を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1:陽極主電極 2:陰極主電極 3:電極接合体膜 4:イオン交換膜 5:陽極側触媒電極層 6:陰極側触媒電極層 7:陽極給電体 8:陰極給電体 9:複極板 28:チタン合金板 29:ステンレス鋼板 31:白金(貴金属)メッキ層 32:白金(貴金属)メッキ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (74)上記1名の指定代理人 工業技術院大阪工業技術研 究所長 (外5名) (72)発明者 近藤 雅芳 東京都港区西新橋2丁目8番11号 第7 東洋海事ビル 財団法人地球環境産業技 術研究機構 CO2 固定化等プロジェ クト室内 (72)発明者 稲住 近 東京都港区西新橋2丁目8番11号 第7 東洋海事ビル 財団法人地球環境産業技 術研究機構 CO2 固定化等プロジェ クト室内 (72)発明者 梶山 浩志 東京都港区西新橋2丁目8番11号 第7 東洋海事ビル 財団法人地球環境産業技 術研究機構 CO2 固定化等プロジェ クト室内 (72)発明者 小黒 啓介 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業 技術院大阪工業技術研究所内 審査官 廣野 知子 (56)参考文献 特開 平8−260177(JP,A) 特開 平9−241880(JP,A) 特開 平8−260178(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C25B 1/00 - 15/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両端に配された陽極主電極(1) および陰
    極主電極(2) と、これら主電極(1) (2) の間に直列に配
    された複数の単位セルと、これらを一体化する締め付け
    具とを具備し、1つのセルは、複極板(9) の陽極側と、
    チタン基材(7')およびチタン繊維層(7'') を拡散接合し
    てなる陽極給電体(7) と、固体高分子電解質膜からなる
    電極接合体膜(3) と、陰極給電体(8) と、隣の複極板
    (9) の陰極側からなり、陰極給電体(8) と複極板(9) と
    陽極給電体(7) とが一体化されている、固体高分子電解
    質膜を用いる水電解槽において、陽極給電体(7) の片側
    の面にのみ貴金属メッキ層(31)が設けられており、陽極
    給電体(7) は、貴金属メッキ層(31)の無い面を介して複
    極板(9) と一体化され、貴金属メッキ層(31)を介して電
    極接合体膜(3) に接していることを特徴とする、固体高
    分子電解質膜を用いる水電解槽。
  2. 【請求項2】 両端に配された陽極主電極(1) および陰
    極主電極(2) と、これら主電極(1) (2) の間に直列に配
    された複数の単位セルと、これらを一体化する締め付け
    具とを具備し、1つのセルは、複極板(9) の陽極側と、
    陽極給電体(7) と、固体高分子電解質膜からなる電極接
    合体膜(3) と、陰極給電体(8) と、隣の複極板(9) の陰
    極側からなり、複極板(9) がチタン合金板(28)とステン
    レス鋼板(29)の積層板よりなる構成とされて、ステンレ
    ス鋼板(29)が陰極側に来るように配置されている、固体
    高分子電解質膜を用いる水電解槽において、チタン合金
    板(28)の片側の面にのみ貴金属メッキ層(32)が設けられ
    ており、チタン合金板(28)は、貴金属メッキ層(32)の無
    い面を介してステンレス鋼板(29)に接し貴金属メッキ層
    (32)を介して陽極給電体(7) に接していることを特徴と
    する、固体高分子電解質膜を用いる水電解槽。
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