JP2971768B2 - 導電性ビトリファイド砥石の製造方法 - Google Patents

導電性ビトリファイド砥石の製造方法

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JP2971768B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解研磨、放電研削或
いは電解放電複合研削等に用いられる導電性砥石に関す
る。
【0002】
【従来の技術】SUS鋼や窒化ケイ素セラミックス等の
難削材は、通常の研削加工では良好な研削面や高い加工
能率が得られない。そこで、このような難削材を研削加
工するには電解研磨、放電研削或いは電解放電複合研削
等が行われる。これらの研削加工は、一般に砥石と工作
物との間に電圧をかけることにより放電或いは電解作用
を発生させながら行われ、被削材の表面層が変化して研
削が容易になると同時に、放電作用で砥石が常時ドレッ
シングされるため、高能率且つ高品質の研削加工が可能
となる。したがって、この加工に用いられる砥石には導
電性が要求され、従来は結合剤自体に導電性を有するメ
タルボンド砥石が主に用いられていた。
【0003】
【発明が解決すべき課題】ところが、研削加工において
は、ツルーイングおよびドレッシングの容易性や被削材
が限定されないという利点から、ビトリファイド砥石が
必要とされることも多い。このビトリファイド砥石に導
電性を与える方法としては、例えばこの砥石の多孔質性
を利用して、砥粒の結合後に内部の気孔表面にニッケル
等の無電解メッキを施すという方法がある。しかしなが
ら、このようにして導電性を与えても、研削加工中の切
り屑により表層のメッキの剥がれ等が生じ易いため、研
削点での導電性がなくなって比較的短時間で放電或いは
電解作用がなくなることとなる。特にCBN砥粒を用い
た砥石においては、メッキ強度が得られ難いので上記の
不都合が顕著である。
【0004】そこで、ビトリファイド砥石に導電性を与
える方法として、砥粒とビトリファイド結合剤を混合す
る際にIrO2,SnO2,Ag2O等の還元し易い金属酸化物を添
加して焼成後にこれを還元する技術(例えば特公昭53
−41833号公報)、上記金属酸化物に替えて有機化
合物を添加して焼成時にこれを炭化する技術(例えば特
公昭53−36638号公報)、或いは砥粒の一部をTi
C 等の導電性のある材料で構成する技術(例えば、特開
昭62−264855号公報)等が提案されている。し
かしながら、これらの技術では、導電性が不十分であっ
たり、結合剤の結合力が添加された金属等によって損な
われるため、砥石の強度が不十分になるという問題があ
った。
【0005】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は十分な導電性と強度とを兼
ね備えた導電性砥石を提供することにある。
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
、本発明の要旨とするところは、砥粒をビトリファイ
ド結合剤で結合して成り、砥石全体に導電性を有する導
電性ビトフィファイド砥石の製造方法であって、(a)
トリファイド結合剤とニッケル硼化物と砥粒とを含む砥
石原料を混合する混合工程と、(b) その砥石原料を所定
形状の砥石生成形体に成形する成形工程と、(c) その砥
石生成形体を所定の焼成温度で焼成することにより、前
記ビトリファイド結合剤により砥粒を結合させると同時
に、前記ニッケル硼化物の少なくとも一部を加熱分解し
前記導電性を付与するためのニッケル金属元素を前記
ビトリファイド結合剤の表面に生成させる焼成工程と
を、含むことにある。
【0013】
【作用および発明の効果】このようにすれば、砥石原料
中に混合されたニッケル硼化物が、焼成工程において加
熱分解させられることにより導電性を付与するためのニ
ッケル金属元素が生成させられ、砥粒を結合するビトリ
ファイド結合剤の表面には、その生成させられたニッケ
金属の層が形成される。そのため、ビトリファイド
石の結合強度を低下させる要因となり易い金属(ガラス
を形成し得ない金属)の添加量を比較的少なくしても高
い導電性を得ることが可能であり、しかも、加熱分解さ
せられたニッケル硼化物内の硼素は、酸素と結合してB2
O3等のガラス成分となり砥石強度に寄与する結合剤とし
て作用することとなるため、ビトリファイド結合剤によ
る結合強度が殆ど低下させられない。したがって、砥石
全体に十分な導電性と強度とを兼ね備えた導電性ビトリ
ファイド砥石が得られるのである。しかも、Niは高い導
電性を有すると共に、耐酸化性や耐食性に優れるため、
長期に亘って安定した高い導電性が得られるという利点
もある。なお、上記ニッケル硼化物としては、NiB ,Ni
2B,Ni3B等が好適に用いられる。
【0014】
【0015】ここで、好適には、(a-2) 前記ニッケル
化物としては、Ni3Bが用いられる。このようにすれば、
Ni3Bは、金属含有量がモル比で3:1と大きいため、分
解生成時に生成されるNiの量が多くなって導電性に優れ
ると共に、生成されるB の量が少なくなってビトリファ
イド結合剤の結合強度の低下が抑制されるという利点が
ある。しかも、生成されるB の量が比較的少ないことか
ら一層金属硼化物の添加量を多くできて、一層高い導電
性を得ることができる。
【0016】また、好適には、前記砥粒としては、ダイ
ヤモンド砥粒またはCBN砥粒が用いられる。このよう
な導電性ビトリファイド砥石は、砥粒自体が高い研削性
能を有するため、放電或いは電解作用と併せて一層高い
加工能力が得られる。
【0017】
【実施例】以下に、本発明の一実施例を図面を参照して
説明する。
【0018】図1は、本発明の一実施例の導電性砥石1
0を示す斜視図である。この導電性砥石10は、円筒研
削、平面研削やロール研削等において電解研磨、放電研
削或いは電解放電複合研削等に用いられるものであっ
て、中央部に取付穴12を有する例えばスチール製の円
板状のコア14と、そのコア14の外周面に例えば銀ペ
ースト等の導電性を有する接着剤で固着された、略矩形
状の複数のセグメント砥石16とから構成されている。
なお、複数のセグメント砥石16間も相互に同じ接着剤
で接合されて、導電性砥石10の強度が高められてい
る。このセグメント砥石16は例えば、ダイヤモンド砥
粒やCBN砥粒等の超砥粒がビトリファイド結合剤によ
り結合されることにより、例えば砥粒率 45vol%程度、
気孔率 35vol%程度に構成されたものであり、以下のよ
うにして製造される。
【0019】先ず、例えば、下記表1に示す組成のガ
ラスフリット(すなわちビトリファイド結合剤)を、ポ
ットミルにて粉砕・混合し、平均粒径 3〜10μm のガラ
ス粉末を得る。次いで、例えば、このガラス粉末 80v
ol%に硼化ニッケル(Ni3B)粉(平均粒径4.19μm )を
20vol%添加し、混合して結合剤を得る。更に、例え
ばCBN砥粒(GE社製 TYPE-I #80) 45vol%と、上
記結合剤 20vol%と、デキストリン等の有機接着剤であ
る一次粘結剤 10vol%とを混合し、砥石原料粉末を調製
する。この砥石原料粉末を、例えば油圧プレス装置を
用いて加圧成形し、例えば約40×17×4mm の大きさの略
矩形状の砥石生成形体を得る。そして、この砥石生成
形体を、例えば、窒素雰囲気下 900℃で焼成することに
より、砥粒がビトリファイド結合剤により結合されて、
前記図1に示したセグメント砥石16が得られる。な
お、上記焼成温度は、ビトリファイド結合剤の組成に応
じて適宜変更されるものである。本実施例においては、
上記乃至の工程が混合工程に、の工程が成形工程
に、の工程が焼成工程にそれぞれ対応する。
【0020】
【表1】
【0021】上記セグメント砥石16の組織は、図2に
模式的に示すように、CBN砥粒18が結合剤20で結
合された状態になっており、砥粒18間には多数の開放
性気孔22が形成されている。この結合剤20の表面及
び内部には、図3に砥粒18の近傍を更に拡大して示す
ように、上記焼成工程においてNi3Bが加熱分解されるこ
とにより金属ニッケル24が層状に生成させられて導電
性が与えられている。そのため、セグメント砥石16に
は、前記コア14に固着された状態において、そのコア
14とセグメント砥石16の外周面26間の抵抗値が、
例えば 1Ω以下となるように導電性が付与されている。
なお、図3においては、ニッケル24が島状に分散して
いるように描かれているが、開放性気孔22の表面に位
置するニッケル24の大部分は、結合剤20の表面及び
内部で連続させられており、これによりセグメント砥石
16全体に導電性が与えられている。
【0022】ここで、本実施例によれば、砥石10に
は、上述のように、砥粒18を結合する結合剤20の表
面に導電性を有するニッケル24がNi3Bの加熱分解によ
り生成させられて構成される。このような生成させられ
たニッケル24は、結合剤20の表面に金属層を形成す
るため、砥石10の結合強度を低下させる要因となり易
いニッケル24の添加量を比較的少なくでき、十分な導
電性と強度とを兼ね備えた砥石10が得られることとな
る。
【0023】また、前記焼成時の窒素雰囲気は、例え
ば、焼成炉内に窒素ガスを流入させながら加熱すること
で実現されるものであり、窒素と酸素が共存した雰囲気
である。そのため、上記のNi3Bの加熱分解反応は、例え
ば、4Ni3B +3O2 →12Ni+2B 2O3 、或いは、Ni3B→
3Ni+B であると考えられるが、酸素の存在により、少
なくとも一部はの反応が生じていると推定される。す
なわち、加熱分解させられたNi3B中の硼素の少なくとも
一部は、酸素と結合してガラス成分となって砥石強度に
寄与する結合剤として(すなわち結合剤20の一部とし
て)作用するため、セグメント砥石16の強度が十分に
得られる。したがって、導電性砥石10は、放電研削或
いは電解放電複合研削等に用いる導電性砥石として好適
であり、SUS鋼、窒化ケイ素セラミックス等の難削材
の研削に用いられた場合には、高品質の加工を高能率で
行い得る。なお、上記焼成時の雰囲気すなわち窒素と酸
素の比率は、混合されるNi3Bの量等に応じて種々の比率
が適宜選択される。
【0024】また、砥石10に導電性を与える金属とし
てNiが用いられていることから、同様に加熱分解により
生成され得るMn等よりも高い導電性を有すると共に、N
b,Mo,W ,Fe等よりも耐酸化性や耐食性に優れるた
め、長期に亘って安定した高い導電性が得られるという
利点がある。また、そのNiはNi3Bとして添加されている
ことから、金属含有量がモル比で3:1と大きいため、
分解生成時に生成されるNiの量が多くなって導電性に優
れると共に、生成されるB の量が少なくなって結合剤2
0の結合強度の低下が抑制されるという利点がある。し
かも、生成されるBの量が比較的少ないことから一層Ni3
Bの添加量を多くできて、一層高い導電性を得ることが
できる。
【0025】また、本実施例においては、セグメント砥
石16に用いられる砥粒がCBN砥粒であって砥粒自体
が高い研削能力を有するため、放電或いは電解作用と併
せて一層高い加工能力が得られる。
【0026】なお、前記のNi3B粉末の混合比(以下、単
に混合比というときは、金属硼化物のガラス粉末に対す
る混合比を示すものとする)は以下の実験で定めたもの
である。例えば、前記のガラスフリット粉末に、前記の
Ni3B粉末を表2に示す比率で混合後、φ10×10mmの円柱
形状にプレス成形して試験片を作製する。この試験片の
一方の端面を上側に位置させて 900℃で加熱、冷却後、
前記端面の円周上で径方向に対向する任意の二点間の抵
抗値を測定した。なお、加熱時に溶融して変形している
ものは上記の二点に相当する二点間の抵抗値を測定し
た。結果を表2の右列に示す。なお、抵抗値の測定に
は、フルスケール1kΩ,最小目盛り 1Ωのテスタ(例え
ば、 HIOKI製 3127 CLAMP ON Hi TESTER)を用い、下記
表において「<1 」は測定限界以下であったことを示
す。
【0027】
【表2】
【0028】導電性砥石10のセグメント砥石16は、
抵抗値が低いことが望ましく、また、研削中にその導電
性は劣化したり場所により不均一とならないことが必要
である。Ni3B粉末の混合比を5vol%以上とすることによ
り、抵抗値は 1Ω以下と十分に低くなるが測定点による
ばらつきが大きく、均一な抵抗値を得るためには、混合
比が 20vol%以上であることが望ましい。一方、Ni3B粉
末は、焼成工程において加熱分解させられて金属ニッケ
ルが生成する際に硼素がガラス成分となるため、結合剤
20の結合強度の低下が生じ難く、例えば混合比 95vol
%程度までは実用に耐える強度を有するものの、このよ
うなガラス成分の発生は結合剤20の組成に変化を与え
るため、その結合強度を比較的高く保つためには、混合
比が可及的に低いことが好ましい。したがって、本実施
例のセグメント砥石16においては、Ni3Bの混合比は 2
0vol%程度が適切となる。
【0029】一方、上記のNi3Bの混合比において、セグ
メント砥石16としての強度を十分に維持できるガラス
フリットの組成を決定するため、数種の組成のガラスフ
リット粉末を用意し、上記セグメント砥石16と同様な
方法で同砥粒率、同気孔率の40× 4×6mm の曲げ試験片
を作製して、その特性を比較した。その結果、長手方向
の両端面間の抵抗値は何れも 1Ω以下で大差なく、3点
曲げ強度は表1の組成のガラスフリットが約50MPa と最
も高強度であり、従来のニッケルメッキにより導電性を
与えていた砥石と同等の強度が得られた。なお、3点曲
げ強度はJIS R1601 に準じて測定した。
【0030】次に、本発明の他の実施例を説明する。な
お、以下の実施例において、前述の実施例と共通する部
分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】前述の実施例と同様にして結合剤および砥
石原料を調製し、同様なセグメント砥石16を作製し
た。但し、結合剤を調製する際に混合する金属硼化物
は、前記のNi3Bに代えて六硼化ランタン(LaB6 平均粒
径3.85μm )を用い、混合比を例えば 40vol%とした。
このセグメント砥石16も、コア14の外周面に導電性
接着剤等で固着されることにより、砥石10として用い
られる。
【0032】本実施例においても、前述の実施例ほどで
はないが、十分な導電性と強度とを兼ね備えた砥石10
が得られた。但し、本実施例においては、LaB6自体が導
電性を有し且つ前記のようなセグメント砥石16の焼成
温度( 900℃程度)では加熱分解させられないことか
ら、結合剤20中にLaB6粒子が相互に接触した状態で存
在する。そして、この導電性を有する粒子相互の接触に
よりセグメント砥石16全体に導電性が与えられてい
る。
【0033】なお、上記のLaB6の混合比は、前述の実施
例と同様にして円柱状の試験片を作製し、抵抗値を測定
して決定したものである。調合例および測定結果を下記
表3に示す。放電研削或いは電解放電複合研削用として
用いるためには、前述のように砥石10の抵抗値が可及
的に低いことが望ましい。しかしながら、一般には、セ
グメント砥石16がコア14に固着された状態において
1kΩ以下であれば十分実用に耐え、そのためには、前記
試験片において抵抗値が数百Ω以下であれば良い。下記
表3に示されるように、混合比 20vol%では導電性を示
さないが、 25vol%程度の添加で数百Ω程度の抵抗値と
なり、混合比 40vol%で実用性の高い 100〜300 Ω程度
の抵抗値となるが、混合比が大きくなると結合剤20に
よる結合力が低下させられて砥石10の強度が得られな
いことから、混合比は可及的に低いことが望まれる。し
たがって、前述のように混合比 40vol%とされているの
である。
【0034】
【表3】
【0035】なお、LaB6は加熱分解されず混合された比
較的大径の粒子の状態でその結合剤20の内部に存在す
ることから、多量に添加した場合の強度低下が前述の実
施例の場合よりも著しく、混合比 80vol%程度が砥石1
0として用いる場合の強度的な限界となる。
【0036】図4は、上記のNi3B或いはLaB6を用いてセ
グメント砥石16を作製するに際して、セグメント砥石
16の焼結後に、その内部に形成されている気孔22の
内表面に例えばニッケルメッキ層28が形成されたメッ
キ層付セグメント砥石30の組織を模式的に示した図で
ある。この気孔22は、殆どが開放性気孔として形成さ
れているため、セグメント砥石30の内部にまでニッケ
ルメッキ層28が形成されている。このニッケルメッキ
層28は、例えば、脱脂を含む前処理が施されたセグメ
ント砥石16内をニッケルメッキ液が貫流させられるこ
とにより、無電解メッキによって気孔22内表面に形成
される。
【0037】このメッキ付セグメント砥石30を用いた
砥石10は、放電研削或いは電解放電複合研削等に用い
られる際に、例え表層のニッケルメッキ層28が切り屑
によって剥離させられたとしても、表層ではニッケル2
4から成る導電性薄膜或いは結合剤20により導電性を
有し、内部ではニッケルメッキ層28により一層高い導
電性を有する。したがって、単にビトリファイド結合剤
で砥粒を結合した後にメッキが施された従来の導電性砥
石に比較して、放電研削或いは電解放電複合研削につい
て高い耐久性を有すると共に、前記のセグメント砥石1
6よりも一層高い導電性を有する。したがって、特に、
LaB6が用いられた場合のように、混合された金属硼化物
がそのままの形態で結合剤20中に存在して比較的導電
性の低いセグメント砥石16においては、ニッケルメッ
キ層28を施す効果が高い。
【0038】図5は、CBN砥粒18にLaB6或いは前記
のLaB6を含む結合剤を例えば 2〜3vol%添加・混合し
て、例えば 900℃で焼成した後に 解砕して被覆砥粒を
作製し、例えば、この被覆砥粒 45vol%と、前記ガラス
フリット粉末20〜19 vol%と、一次粘結剤 10vol%とを
混合して、前記セグメント砥石16と同様に成形・焼成
した後、更にメッキ付きセグメント砥石30と同様にし
てニッケルメッキを施した砥粒被覆セグメント砥石32
の組織を模式的に示す図である。このセグメント砥石3
2の砥粒18の周囲にはLaB6を含む皮膜34が形成され
ており、砥粒18を結合している結合剤36は、ビトリ
ファイド結合剤中に砥粒18の皮膜34から拡散したLa
B6が含まれて構成されている。
【0039】上記砥粒被覆セグメント砥石32は、砥粒
18を被覆している皮膜34により気孔22内表面のニ
ッケルメッキ層28相互の導電性が高められていると共
に、結合剤36内部にもLaB6が拡散することによって十
分な導電性が与えられている。したがって、前述の実施
例と同様に十分な導電性を有すると共に、従来の、単に
ビトリファイド結合剤で結合した後にニッケルメッキを
施した砥石に比較して、表層のニッケルメッキが剥離し
た際の導電性の維持に優れている。また、結合剤36
は、その大部分がビトリファイド結合剤から構成されて
いるため、前述のLaB6をガラスフリットと混合して結合
剤を調製した場合に比較して一層高強度のセグメント砥
石32が得られる。
【0040】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施され
る。
【0041】例えば、ビトリファイド結合剤中に混合す
る金属硼化物は、一種類だけでなく二種以上の金属硼化
物を適当な比率で併用しても良い。例えば前述の実施例
で用いた二種の金属硼化物を、Ni3B 10vol%,LaB6 10v
ol%といった比率で併用しても、それぞれが前述のよう
に作用して導電性が得られる。また、金属硼化物のう
ち、Ni3Bと同様に加熱分解して金属を生成する化合物と
しては、NiB ,Ni2B等の他のニッケル硼化物、FeB ,Fe
2B等の鉄硼化物、MnB2等のマンガン硼化物、Mo2B等のモ
リブデン硼化物、NbB ,NbB2等のニオブ硼化物、W2B 等
のタングステン硼化物等が用いられ得、また、LaB6と同
様に結合剤20中に分散してその結合剤20自体に導電
性を与える希土類金属六硼化物としては、CeB6,YB6
の種々の希土類金属の六硼化物が用いられ得る。これら
の金属硼化物の量・種類は、砥石10に必要とされる強
度のみならず、研削条件や被削材の性質等によって定め
られるものである。
【0042】また、前述の実施例においては、砥粒とし
てCBN砥粒18を用いたが、ダイヤモンド砥粒を用い
ても同様な効果が得られ、また、砥石寿命の点では少々
難があるが必要に応じて一般砥粒にも適用される。な
お、砥粒の粒度は用途に応じて適宜定められるものであ
る。
【0043】また、結合剤としてのガラスフリットの組
成は、必ずしも実施例で述べたものに限られず、砥石に
要求される強度に応じて適宜定められるものである。例
えば、表1の組成のガラスフリットの組成の一部が変更
されたものが用いられても良い。
【0044】また、結合剤に混入するニッケル硼化物の
量は、研削条件、ワーク材質、砥石のボンド体積率等に
より適宜定められる。
【0045】また、金属硼化物の混合比は、ニッケルメ
ッキ28が併用される場合には少なくされても良い。例
えば、NiB6の場合には 20vol%よりも少なく、LaB6の場
合には 40vol%よりも少なくされても、砥石10全体と
しては十分高い導電性をえることができる。このような
場合には、コア14からセグメント砥石30表層近傍ま
での導電性はニッケルメッキ28によって確保されるた
め、表層近傍のみの短い距離の導電性を高めれば良いか
らである。
【0046】また、砥粒被覆セグメント砥石32におい
て、皮膜34に用いられる結合剤のLaB6の含有量は、 4
0vol%よりも多くされても良い。このようにすれば、皮
膜34内から結合剤36中に拡散するLaB6の量が多くさ
れて、一層導電性が向上させられると共に、結合剤36
はその大部分がビトリファイド結合剤から構成されてい
ることに変わりはないためセグメント砥石32の強度は
維持される。
【0047】また、コア14はスチールの他に、炭素繊
維強化樹脂や表面にメッキが施された繊維強化樹脂等で
構成されていても良い。このコア14は、研削砥石とし
て通常要求される強度等の特性の他に、導電性を有する
ものであれば良い。
【0048】また、導電性砥石10は、前記実施例では
金属製のコア14の外周面にセグメント砥石16が接着
されることにより円筒研削等に用いられる円板状に構成
されたが、カップ状砥石や切断砥石等でも良く、単独の
セグメント砥石が所定の導電性を有するホルダに取り付
けられて用いられるものでも良い。なお、ホルダを用い
る場合にはコア14は不要である。
【0049】また、実施例においては、Ni等の金属が加
熱分解により結合剤20の表面及び内部に層状に生成さ
れた場合について説明したが、結合剤20の表面で連続
的な金属層が生成される場合には、その内部には金属層
が生成されていなくとも差し支えない。
【0050】その他、一々例示はしないが、本発明はそ
の主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の導電性砥石を示す斜視図で
ある。
【図2】図1におけるセグメント砥石の組織を模式的に
示す図である。
【図3】図2の砥粒近傍を更に拡大して示す図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す図であって図2に対
応する図である。
【図5】本発明の更に他の実施例を示す図であって図2
に対応する図である。
【符号の説明】
16:セグメント砥石 18:砥粒 20:結合剤 24:ニッケル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 左合 澄人 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番 36号 株式会社ノリタケカンパニーリミ テド内 (56)参考文献 特開 昭58−99170(JP,A) 特開 昭57−71774(JP,A) 特開 平6−344264(JP,A) 特開 平1−274338(JP,A) 特開 昭61−284030(JP,A) 特開 平6−79632(JP,A) 特公 昭49−8995(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B24D 3/34 B24D 3/00 340 B24D 3/06 B24D 3/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 砥粒をビトリファイド結合剤で結合して
    り、砥石全体に導電性を有する導電性ビトリファイド
    砥石の製造方法であって、 ビトリファイド結合剤とニッケル硼化物と砥粒とを含む
    砥石原料を混合する混合工程と、 該砥石原料を所定形状の砥石生成形体に成形する成形工
    程と、 該砥石生成形体を所定の焼成温度で焼成することによ
    り、前記ビトリファイド結合剤により砥粒を結合させる
    と同時に、前記ニッケル硼化物の少なくとも一部を加熱
    分解して前記導電性を付与するためのニッケル金属元素
    前記ビトリファイド結合剤の表面に生成させる焼成工
    程とを、含むことを特徴とする導電性ビトリファイド
    石の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ニッケル硼化物は、Ni3Bである請求
    の導電性ビトリファイド砥石の製造方法。
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