JP2971465B1 - 液化ガス運搬船の蒸発ガス処理制御装置および方法 - Google Patents

液化ガス運搬船の蒸発ガス処理制御装置および方法

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  • Control Of Steam Boilers And Waste-Gas Boilers (AREA)

Abstract

【要約】 【課題】 代替燃料の消費を増加させることなく、簡単
な制御回路でかつ容易に余剰BOGを処理できる液化ガ
ス運搬船の蒸発ガス処理制御装置および方法を提供す
る。 【解決手段】 ボイラマスタ制御手段51は主蒸気圧力
P2と主蒸気圧力設定値PSとに基づいてボイラ負荷を
算出し、燃料配分手段53は、BOG燃料を優先的に消
費するようにBOG燃料量指令および代替燃料量指令を
算出する。タンク圧力制御手段54は、タンク圧力P1
とタンク圧力設定値Ptとに基づいてBOG燃料量指令
を出力する。BOGが増加し、タンク圧力P1が増加す
ると、BOG制御弁12はタンク圧力制御手段54から
のBOG燃料量指令に基づいて流量制御手段63により
制御される。ダンプ制御手段52は、主蒸気圧力P2と
ダンプ圧力設定値Pdとに基づいてダンプ制御弁14を
制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液化天然ガス(L
NG)などの液化ガスを運搬する液化ガス運搬船で用い
られ、タンク内で気化する蒸発ガスを処理する液化ガス
運搬船の蒸発ガス処理制御装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液化ガス運搬船の一例であるLNG船に
おいては、積み荷である極低温のLNGが、タンクが断
熱されているとはいえ外からの侵入熱によって気化す
る。LNG船ではこの蒸発ガス(Boil Off Gas:以下B
OGと略称する)をボイラで燃焼させ、蒸気に変換して
航行時の推進動力として利用している。
【0003】図6は、LNG船1の構成を示すブロック
図である。LNG船1は、ボイラ2で発生する蒸気によ
って高圧および低圧蒸気タービン3,4を回転させ、各
タービン3,4の回転を減速機5で減速してプロペラ6
を回転させて推進する。
【0004】LNGを貯蔵するタンク10内で蒸発する
BOGは圧縮機11に送給されて圧縮され、さらにボイ
ラ2に送給されて燃焼される。ボイラ2へのBOGの供
給量は、BOG制御弁12によって調整される。BOG
が不足した場合は、重油などの代替燃料をボイラ2に供
給する。この代替燃料の供給量は代替燃料制御弁13に
よって調整する。またボイラ2の外部に設けられる復水
器15とボイラ2との間にはダンプ制御弁14が介在さ
れ、ボイラで発生する蒸気の主蒸気圧力が大きい場合に
は、このダンプ制御弁14を調整して蒸気を復水器15
に排出して主蒸気圧を低下させる。復水器15内で蒸気
は海水によって冷やされて水に戻される。また、タンク
圧力検出手段16は、タンク10内のBOGのタンク圧
力P1を検出し、主蒸気圧力検出手段17は、ボイラ2
の主蒸気圧力P2を検出する。
【0005】BOG処理の自動化は、LNG船の高度化
の鍵でもあり、ボイラとガス処理を統合したTGMS
(Total Gas Management System)の開発が進められて
いる。
【0006】LNG船は、停船時などで推進エネルギが
不要となり、BOGが余剰となった場合、LNGタンク
10の圧力上昇など、安全上の問題があるため、従来、
乗員の操作によって余剰BOGを処理していた。これ
は、まずダンプ制御弁14を開く。すると、主蒸気圧力
が低下し、ボイラ制御装置が燃料を増やす。これによっ
てBOGが処理される。このようにして余剰BOGが適
正に処理されるようにダンプ制御弁14の弁開度を調整
していた。
【0007】本件出願人は、上述した従来の余剰BOG
処理の手順を基にBOG処理制御装置18を設計した。
【0008】図7は、BOG処理制御装置18のBOG
処理制御回路を示すブロック図である。ボイラマスタ制
御手段20は、予め定める主蒸気圧力設定値PSと主蒸
気圧力検出手段17の検出出力に基づいて、主蒸気圧力
P2が前記主蒸気圧力設定値PSになるようなボイラ負
荷を算出してボイラ負荷指令callを出力する。燃料
配分手段21は、ボイラ負荷指令callに基づいてボ
イラ負荷に応じたBOGが供給されるようにBOG燃料
量指令を算出し、ボイラ負荷にBOGの供給が追従でき
ない場合は、代替燃料で補うように代替燃料量指令を算
出し、流量制御手段63にBOG燃料量指令を出力し、
流量制御手段66に代替燃料量指令を出力する。流量制
御手段63はBOG燃料量がBOG燃料量指令に追従す
るように、BOG制御弁12を制御し、流量制御手段6
6は代替燃料量が代替燃料量指令に追従するように、代
替燃料制御弁13を制御する。
【0009】また圧縮機の負荷制御手段22は、予め定
めるBOG弁開度設定値と、BOG制御弁12の弁開度
に基づいて圧縮機11の負荷を算出して圧縮機負荷指令
を出力する。負荷指令配分手段23は、圧縮機負荷指令
に応答し、圧縮機負荷に追従するように圧縮機11のモ
ータ11aおよび入口可変翼11bを制御する。
【0010】またダンプ制御手段27は、前記主蒸気圧
力設定値PSよりも高い予め定めるダンプ圧力設定値P
dと、主蒸気圧力検出手段17の検出出力に基づき、主
蒸気圧力P2がダンプ圧力設定値Pdになるようなダン
プ制御弁14の弁開度を算出してダンプ弁開度指令を出
力し、ダンプ制御弁14を制御する。これによって、ボ
イラ2の負荷急変時などに、主蒸気圧力P2が大きくな
ったときにダンプ制御弁14を開いて迅速に対応するこ
とができる。タンク10内でBOGが増加して余剰BO
Gが発生した場合は、前述した従来の操作手順に基づい
てダンプ制御弁14を制御する余剰BOGダンプ制御手
段25を用いて制御する。
【0011】すなわち、タンク圧力制御手段24は、タ
ンク圧力検出手段16の検出出力と予め定めるタンク圧
力設定値Ptとから消費すべきBOG量を算出して余剰
BOG指令を出力する。余剰BOGダンプ制御手段25
は、余剰BOG指令に基づき、余剰BOGを燃焼させる
のに必要なボイラ負荷を推定し、ボイラ負荷を発生蒸気
流量に換算する。この発生蒸気流量とボイラ2で発生す
る蒸気の主蒸気流量とに基づいて復水器15に排出すべ
き主蒸気流量を算出し、これに応じたダンプ弁開度指令
を出力する。このようにしてダンプ系統へ蒸気が流れる
ことにより、ボイラ主蒸気圧力P2が低下するので、ボ
イラマスタ制御手段20はボイラ2の主蒸気圧力P2を
維持するようにボイラ負荷指令を増加し、これに従って
燃料がボイラ2で燃焼され、余剰BOGが処理される。
【0012】また、高位選択器26を介して、ダンプ制
御手段27からの第1のダンプ制御弁開度指令と、余剰
BOGダンプ制御手段25からの第2のダンプ制御弁開
度指令を接続することにより、ダンプ制御手段27と余
剰BOG制御手段25との優先順位を自動的に選択でき
るようにしている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところが、代替燃料と
BOGとの混焼運転時は、この処理方法では圧縮機11
の追従性が充分でない場合に代替燃料を投入して主蒸気
圧力P2を維持する可能性があり、非常に不経済な運転
となる。この対策として、ダンプ制御弁14の操作を制
限する機能の追加が必要となる。具体的には、図7に示
すように代替燃料増加防止制御手段30と低位選択器3
1とを設ける。代替燃料増加防止制御手段30は、BO
G弁開度と予め定めるBOG弁開度設定値とに基づい
て、ボイラ2で代替燃料が消費されないような第2のダ
ンプ制御弁開度を算出して出力する。低位選択器31
は、余剰BOGダンプ制御手段25からの第1のダンプ
弁開度指令と代替燃料増加防止制御手段30からの第2
のダンプ弁開度指令のうち、低い方の弁開度指令を選択
し、選択したダンプ弁開度指令を出力する。
【0014】このように代替燃料増加防止制御手段30
を用いて代替燃料を増加しないように構成した制御回路
は図7に示されるように非常に複雑となってしまう。ま
た、タンク圧力検出手段16によって検出された余剰B
OGは、ダンプ制御弁14を開いて主蒸気圧力P2を低
下させることによるボイラ負荷の増加によって余剰BO
Gを燃焼させて処理するといった長い処理経路をたどる
ので、ダンプ制御弁を制御して余剰BOGを処理する制
御は非常に困難である。
【0015】また、特開平6−336192号公報「液
化ガス運搬船におけるボイルオフガスの燃焼制御装置」
には、BOGのみ、代替燃料のみ、もしくはBOGと代
替燃料との混焼で運転する場合の制御に関して記載され
ているが、BOGが余ったときにいかに効率よくBOG
を処理するかの記載はない。
【0016】本発明の目的は、代替燃料の消費を増加さ
せることなく、簡単な制御回路でかつ容易に余剰BOG
を処理することができる液化ガス運搬船の蒸発ガス処理
制御装置および方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、液化ガスを貯蔵するタンク内で気化した蒸発ガス
を、液化ガス運搬船の推進動力用の燃料として燃焼させ
るための液化ガス運搬船の蒸発ガス処理制御装置におい
て、前記蒸発ガスおよびこれ以外の代替燃料の少なくと
も一方を燃焼させて蒸気を発生させるボイラと、液化ガ
スを貯蔵するタンクと、タンクからボイラに供給される
蒸発ガスの供給流量を調整する蒸発ガス制御弁と、前記
代替燃料のボイラへの供給流量を調整する代替燃料制御
弁と、タンク内の蒸発ガスの圧力を検出するタンク圧力
検出手段と、ボイラで発生する蒸気の主蒸気圧力を検出
する主蒸気圧力検出手段と、ボイラから外部に排出され
る蒸気の流量を調整するダンプ制御弁と、主蒸気圧力検
出手段の検出出力と、予め定める主蒸気圧力設定値とに
基づいて、主蒸気圧力が主蒸気圧力設定値になるような
ボイラ負荷を算出してボイラ負荷指令を出力するボイラ
マスタ制御手段と、主蒸気圧力検出手段の検出出力と、
前記主蒸気圧力設定値よりも高い予め定めるダンプ圧力
設定値とに基づいて、主蒸気圧力がダンプ圧力設定値に
なるようにダンプ制御弁の弁開度を算出し、ダンプ弁開
度指令を出力してダンプ制御弁の弁開度を調整するダン
プ制御手段と、ボイラ負荷指令に応答し、ボイラ負荷に
応じて蒸発ガスを優先的に燃焼し、不足分は代替燃料で
補うような代替燃料量指令および蒸発ガス燃料量指令を
配分演算し、代替燃料量指令および第1の蒸発ガス燃料
量指令を出力する燃料配分手段と、タンク圧力検出手段
の検出出力と、予め定めるタンク圧力設定値とに基づい
て、タンク圧力がタンク圧力設定値になるような余剰蒸
発ガス量を算出し、第2の蒸発ガス燃料量指令を出力す
るタンク圧力制御手段と、第1の蒸発ガス燃料量度指令
および第2の蒸発ガス燃料量指令のうち高い方の燃料量
指令を選択する高位選択手段とを備えることを特徴とす
る液化ガス運搬船の蒸発ガス処理制御装置である。
【0018】本発明に従えば、余剰蒸発ガスが発生し、
タンク圧力検出手段がタンク内の圧力の上昇を検出する
と、消費すべき余剰蒸発ガスに応じた蒸発ガス燃料量指
令を出力し、蒸発ガス制御弁はこの蒸発ガス燃料量指令
に応じて蒸発ガス制御弁を開き、余剰蒸発ガスをボイラ
で燃焼させる。従来技術では余剰蒸発ガスを消費するた
めにダンプ制御弁を開けて主蒸気圧力を低下させること
によってボイラ負荷を増加させていたため、蒸発ガスだ
けでなく代替燃料も増加させる場合があり、このような
状態を防ぐために代替燃料増加防止制御手段を設ける必
要があったが、本発明では蒸発ガス制御弁を開いて余剰
蒸発ガスを燃焼させるように制御するので、代替燃料増
加防止制御手段などを設けることなく代替燃料を不必要
に消費せずに余剰蒸発ガスを処理することができる。こ
れによって、従来に比べて制御回路を極めて簡略化する
ことができる。また、前述した従来技術では、ダンプ制
御弁を制御していたため余剰蒸発ガスを処理するまでに
長い処理経路をたどらなければならず制御が困難であっ
たが、本発明ではボイラに蒸発ガスを供給する蒸発ガス
制御弁を制御するので、制御が非常に容易となる。
【0019】請求項2記載の本発明は、前記高位選択手
段が第2の蒸発ガス燃料量指令を選択したとき、前記主
蒸気圧力設定値以上でかつ前記ダンプ圧力設定値以下の
第2のダンプ圧力設定値と、主蒸気圧力検出手段の検出
出力とに基づき、主蒸気圧力が前記第2のダンプ圧力設
定値になるようなダンプ制御弁の弁開度を算出して第2
のダンプ制御弁開度指令を出力する余剰蒸発ガスダンプ
制御手段と、ダンプ制御手段が出力する第1のダンプ制
御弁開度指令と、余剰蒸発ガスダンプ制御手段が出力す
る第2のダンプ弁開度指令のうち高い方の弁開度を選択
し、選択した弁開度指令に応じてダンプ制御弁を調整す
る第2の高位選択手段とを備えることを特徴とする。
【0020】本発明に従えば、高位選択手段が第2の蒸
発ガス燃料量指令を選択したとき、ダンプ制御弁は余剰
蒸発ガスダンプ制御手段によって制御される。余剰蒸発
ガスダンプ制御手段は、主蒸気圧力が前記ダンプ圧力設
定値以下の第2のダンプ圧力設定値になるようにダンプ
制御弁を制御する。このような余剰蒸発ガスダンプ制御
手段が設けられない場合、ダンプ制御弁はダンプ制御手
段によって制御され、ダンプ制御手段は主蒸気圧力がダ
ンプ圧力設定値を超えるとダンプ制御弁を開いて主蒸気
圧力をダンプ圧力設定値以下になるように制御する。す
なわち、余剰蒸発ガスを燃焼させると、主蒸気圧力が増
加することになるが、主蒸気圧力がダンプ圧力設定値を
超えるまで、いわば定常的に主蒸気圧力がバイアスされ
た状態の運転となってしまう。またダンプ制御弁の制御
は、本来ボイラ負荷急変時にダンプ制御弁を開けて主蒸
気圧力を低下させるものであるが、定常的に主蒸気圧力
がバイアスされた状態にあるときにダンプ制御弁を開い
た場合には、ハンチングなどが発生する恐れがある。こ
れに対して本発明では余剰蒸発ガスダンプ制御手段を設
けることにより、蒸発ガス制御弁がタンク圧力制御手段
によって制御されるように切換わった場合、ダンプ制御
弁は主蒸気圧力がダンプ圧力設定値よりも低い第2のダ
ンプ圧力設定値となるように制御される。これによっ
て、定常的に主蒸気圧力がダンプ圧力設定値までバイア
スされた状態の運転となるといったことが防がれる。
【0021】請求項3記載の前記第2のダンプ圧力設定
値は、第1の高位選択手段が第1の蒸発ガス燃料量指令
を選択している場合は、ダンプ圧力設定値に等しく選ば
れ、第1の高位選択手段が第2の蒸発ガス燃料量指令を
選択したとき、第2のダンプ圧力設定値をダンプ圧力設
定値から主蒸気圧力設定値近傍まで徐々に低下させるこ
とを特徴とする。
【0022】本発明に従えば、ダンプ制御弁の制御がダ
ンプ制御手段から余剰蒸発ガスダンプ制御手段に切換わ
ったとき、第2のダンプ圧力設定値がダンプ圧力設定値
から主蒸気圧力設定値近傍まで徐々に低下する。したが
って、余剰蒸発ガスダンプ制御手段に切換わったときに
ダンプ制御弁が急激に開かれるといったことがなく、円
滑にバイアス分を除去して通常の主蒸気圧力設定値を指
標としてダンプ制御弁を制御することができる。
【0023】請求項4記載のダンプ制御手段は、余剰蒸
発ガスダンプ制御手段よりも応答性が高いことを特徴と
する。
【0024】本発明に従えば、余剰蒸発ガスダンプ制御
手段よりもダンプ制御手段の方が応答性が高く設定され
ているので、余剰蒸発ガスダンプ制御手段によってダン
プ制御弁を制御しているとき、ボイラの負荷急変により
余剰蒸気が発生した場合、高位選択手段によってダンプ
制御弁の制御を余剰蒸発ガスダンプ制御手段からダンプ
制御手段に切換えて迅速に余剰蒸気をダンプ制御弁から
逃がすことができる。
【0025】請求項5記載の本発明は、液化ガスを貯蔵
するタンク内で気化した蒸発ガスを、液化ガス運搬船の
推進動力用の燃料として燃焼させるための液化ガス運搬
船の蒸発ガス処理制御方法において、前記蒸発ガスおよ
びこれ以外の代替燃料の少なくとも一方を燃焼させて蒸
気を発生させるボイラと、液化ガスを貯蔵するタンク
と、タンクからボイラに供給される蒸発ガスの供給流量
を調整する蒸発ガス制御弁と、前記代替燃料のボイラへ
の供給流量を調整する代替燃料制御弁と、タンク内の蒸
発ガスの圧力を検出するタンク圧力検出手段と、ボイラ
で発生する蒸気の主蒸気圧力を検出する主蒸気圧力検出
手段と、ボイラから外部に排出される蒸気の流量を調整
するダンプ制御弁とを備え、主蒸気圧力検出手段の検出
出力と、予め定める主蒸気圧力設定値とに基づいて、主
蒸気圧力が主蒸気圧力設定値になるようなボイラ負荷を
算出してボイラ負荷指令を出力し、主蒸気圧力検出手段
の検出出力と、前記主蒸気圧力設定値よりも高い予め定
めるダンプ圧力設定値とに基づいて、主蒸気圧力がダン
プ圧力設定値になるようにダンプ制御弁の弁開度を調整
し、ボイラ負荷指令に応答し、ボイラ負荷に応じて蒸発
ガスを優先的に燃焼し、不足分は代替燃料で補うような
代替燃料量指令および蒸発ガス燃料量指令を配分演算し
て、代替燃料量指令および第1の蒸発ガス燃料量指令を
出力し、タンク圧力検出手段の検出出力と、予め定める
タンク圧力設定値とに基づいて、タンク圧力がタンク圧
力設定値になるような余剰蒸発ガスを算出して、第2の
蒸発ガス燃料量指令を出力し、第1の蒸発ガス燃料量指
令および第2の蒸発ガス燃料量指令のうち高い方の燃料
量指令を選択する高位選択手段とを備えることを特徴と
する液化ガス運搬船の蒸気ガス処理制御装置である。
【0026】本発明に従えば、タンク圧力制御手段はダ
ンプ制御弁でなく蒸発ガス制御弁を制御するので、従来
のように代替燃料増加防止制御手段を設けることなく代
替燃料の増加を防止して確実に余剰蒸発ガスを処理する
ことができる。また、制御回路が従来に比べて簡単とな
り、さらにタンク圧力制御手段がダンプ制御弁でなく蒸
発ガス制御弁を制御することにより余剰蒸発ガスの処理
制御が容易となる。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
あるLNG船1のBOG処理制御装置50の制御回路を
示すブロック図である。なお、LNG船1の構成は前述
した図6に示すLNG船1と同様のものとし、対応する
構成には同一の参照符号を付し、説明を省略する。した
がって、図1に示す制御回路は図6に示すBOG処理制
御装置18の制御回路に対応するものである。
【0028】ボイラマスタ制御手段51は、ボイラ2で
発生した主蒸気圧力を検出する主蒸気圧力検出手段17
の検出出力である主蒸気圧力P2と、予め定める主蒸気
圧力設定値PSとに基づき、主蒸気圧力P2が前記主蒸
気圧力設定値PSになるようにボイラ負荷を算出し、ボ
イラ負荷指令を出力する。たとえば、主蒸気圧力P2が
低下した場合にはボイラ負荷指令を増加させる。
【0029】燃料配分手段53は、ボイラ負荷に応答
し、ボイラ負荷に応じてBOGを優先的に燃焼し、不足
分は代替燃料で補うような代替燃料量指令およびBOG
燃料量指令を配分演算し、代替燃料量指令および第1の
BOG燃料量指令を出力する。流量制御手段66では、
代替燃料量と代替燃料量指令が一致するように代替燃料
制御弁開度を算出し、代替燃料制御弁13が制御され
る。
【0030】タンク圧力制御手段54は、タンク圧力検
出手段16による検出出力であるタンク圧力P1と、予
め定めるタンク圧力設定値Ptとに基づいて、タンク圧
力が前記タンク圧力設定値になるような余剰BOG量を
算出する。すなわち、タンク10で余剰BOGが発生し
てタンク圧力P1が上昇した場合には、この余剰BOG
をボイラで燃焼して処理できるような余剰BOG量を算
出する。算出した余剰BOG量は第2のBOG燃料量指
令として出力される。
【0031】高位選択器55は、前記燃料配分手段53
とタンク圧力制御手段54とから出力される第1および
第2のBOG燃料量指令のうち、高い方の燃料量指令を
選択し、流量制御手段63では、BOG燃料量とこの選
択したBOG代替燃料量指令が一致するようにBOG制
御弁開度を算出し、BOG制御弁12が制御される。
【0032】すなわち、余剰BOGが小さく、ボイラ2
から発生する主蒸気圧力P2の低下が大きい場合には、
第2のBOG燃料量指令よりも第1のBOG燃料量指令
が大きくなるので、主蒸気圧力P2が主蒸気圧力設定値
SになるようにBOG制御弁12の弁開度が調整され
る。逆に、主蒸気圧力P2と主蒸気圧力設定値PSとの
差が小さく、余剰BOGが多く、タンク圧力P1が上昇
した場合には、第1のBOG燃料量指令よりも第2のB
OG燃料量指令が大きくなり、BOG制御弁12は第2
のBOG燃料量指令によって制御されて余剰BOGが処
理される。
【0033】圧縮機負荷制御手段22は、高位選択器5
5で選択されたBOG制御弁12の弁開度と、予め定め
るBOG制御弁の設定弁開度設定値とに基づいて圧縮機
11の負荷を算出して圧縮機負荷指令を出力する。すな
わち、BOG制御弁12の弁開度が大きくなった場合に
は圧縮機11の負荷を大きくし、逆にBOG制御弁12
の弁開度が小さくなった場合には圧縮機11の負荷を小
さくする。負荷指令配分手段23は、圧縮機負荷指令に
応答し、圧縮機負荷指令に追従するように圧縮機のモー
タ11aおよび入口可変翼11bを制御する。
【0034】ダンプ制御手段52は、主蒸気圧力検出手
段17からの主蒸気圧力P2と、前記主蒸気圧力設定値
Sよりも大きい予め定めるダンプ圧力設定値Pdとに
基づき、主蒸気圧力P2がダンプ圧力設定値Pdになる
ようなダンプ制御弁14の弁開度を算出してダンプ制御
弁14を制御する。すなわち、主蒸気圧力P2がダンプ
圧力設定値Pdを超えると、ダンプ制御弁14を開けて
主蒸気圧力P2がダンプ圧力設定値Pdになるまで低下
するように制御する。これによって、主蒸気圧力P2が
過大になるといったことが防がれる。
【0035】本発明では余剰BOGの発生によってタン
ク圧力P1が上昇したときには、タンク圧力制御手段5
4によってBOG制御弁12を調整するので、代替燃料
とBOG燃料との混焼運転において代替燃料を増加して
蒸気ダンプするようなことを避けることが可能となる。
また、前述の従来の技術のように代替燃料増加防止制御
手段を設ける必要がないので制御回路が簡単となる。ま
た従来技術のようにタンク圧力制御手段はダンプ制御弁
14を制御するのでなく、BOG制御弁12を制御する
ので、制御が容易となる。
【0036】図2は、燃料配分手段53の制御手順を示
すブロック図である。まず、図2で使用する符号の定義
を示す。
【0037】 Rate 燃料配分比 Call ボイラ負荷指令 ΔC 不足発熱量 CG(set) BOG燃料発熱指令 CG(act) 実総BOG燃料発熱量 FO(set) 代替燃料量指令 FG(set) BOG燃料量指令 FO(min) 代替燃料量最小量 FG(act) 実BOG燃料量 Fo(lst) 代替燃料量最終指令 KCFG BOG発熱量換算係数 KFCG BOG流量換算係数 KFCO 代替燃料流量換算係数 燃料配分手段53はBOG燃料を最優先で消費し、実B
OG燃料量が追従できない場合に重油などの代替燃料を
補充するようにBOG燃料量と代替燃料量とを配分す
る。したがって、本実施形態では燃料配分比Rateを1
とする。次にBOG燃料量指令と実BOG燃料量指令が
等しいケースと、実BOG燃料量が少ないケースとの2
つのケースについて燃料配分手段53の制御手段につい
て説明する。
【0038】(1)BOG燃料量指令と実BOG燃料量
が一致するケース(FG(set)=FG(act)) まず、ボイラマスタ制御手段51からボイラ負荷指令C
allが出力されると、BOG燃料発熱指令手段60で、
G(set)=Rate×Callとして算出される。RateはB
OG燃料と代替燃料との配分比(発熱量換算)であり、
通常はBOG燃料を優先的に消費するために1に設定さ
れている。
【0039】また、BOG発熱量換算手段62では実B
OG燃料量に基づいて実総BOG燃料発熱量:CG(act)
=KCFG×FG(act)が算出され、減算器67において不
足発熱量ΔCがΔC=Call−CG(act)と算出される
が、本ケースでは不足発熱量ΔCは0となる。なぜな
ら、ボイラ負荷指令をBOG燃料量指令で表すと、C
all=1/Rate×1/KFCG×FG(set)=1/KFCG×F
G(set)であり、実総BOG燃料発熱量CG(act)は、C
G(act)=KCFG×FG(act)であり、BOG発熱量換算係
数KCFG、BOG流量換算係数KFCGはお互いの逆数K
CFG=1/KFCG(KCFG×KFCG=1)であるから、 ΔC=Call−CG(act)=1/KFCG×FG(set)−KCFG×FG(act) =1/KFCG×(FG(set)−KCFG×KFCG×FG(act)) =1/KFCG×(FG(set)−FG(act))=0となる。
【0040】したがって、代替燃料流量換算手段64で
算出する代替燃料指令FO(set)も、FO(set)=KFCO×
ΔC=0となる。本実施形態ではバーナの火が消えない
ように最低限の代替燃料量FO(min)が設定されており、
高位選択器65は代替燃料流量換算手段64からの代替
燃料量指令FO(set)と代替燃料量最小量FO(min)とから
大きい方を選択する。このケースでは代替燃料最小量F
O(min)を選択し、代替燃料量最終指令FO(lst)を出力す
る。流量制御手段66ではこの代替燃料量最終指令F
0(lst)に応じた代替燃料制御弁13の弁開度を算出して
代替燃料制御弁13を制御する。
【0041】前述のBOG燃料発熱指令手段60で算出
されたBOG燃料発熱指令CG(set)はBOG流量換算手
段61で、BOG燃料量指令:FG(set)=KFCG×C
G(set)が算出される。流量制御手段63においてBOG
燃料量最終指令FG(set)に応じたBOG制御弁12の弁
開度を算出し、BOG制御弁開度指令を出力する。
【0042】(2)BOG燃料量指令より実BOG燃料
量が少ないケース(FG(set)>FG(act)) (1)と同様に考えると、減算器67で算出される不足
発熱量は、ΔC=1/KFCG×(FG(set)−FG(act)
>0となる。したがって、代替燃料流量換算手段64で
算出する代替燃料量指令がFO(set)=KFCO×ΔC=K
FCO/KFCG×(FG(set)−FG(act))>FO(min)となる
と、高位選択器65で、代替燃料指令FO(set)が選択さ
れて代替燃料量最終指令FO(lst)として出力され、流量
制御手段66において代替燃料最終指令FO(lst)に応じ
た代替燃料制御弁13の弁開度が算出されて代替燃料制
御弁13が制御される。
【0043】BOG流量換算手段61でBOG燃料量指
令:FG(set)=KFCG×CG(set)が算出され、高位選択
器55は、この第1のBOG燃料量指令とタンク圧力制
御手段54とから出力される第2のBOG燃料量指令の
うち高い方の燃料量指令を選択し、流量制御手段63に
おいて高位選択器55で選択されたBOG燃料量指令に
応じたBOG制御弁12の弁開度を算出し、BOG制御
弁開度を出力する。
【0044】安定に運転されていれば、通常はFG(set)
=FG(act)となるのでほとんどのケースは(1)とな
る。代替燃料が消費されるケース(2)になるのは、
BOG燃料量指令KG(set)変化に対して実BOG燃料量
G(act)が追従できなかった場合、BOGを供給する
圧縮機11が何らかの要因で能力を制限されている場合
(たとえば、タンク圧力が下がり過ぎてBOGを供給し
たくない場合)などがある。
【0045】図3は、本発明の実施の他の形態であるL
NG船1のBOG処理制御装置70の制御回路を示すブ
ロック図である。なお、図1に示すBOG処理制御装置
50に対応する構成には同一の参照符号を付し、説明を
省略する。図1に示されるBOG処理制御装置50で
は、余剰BOGが発生した場合にはBOG制御弁12を
開いてBOGを燃焼させるので、ボイラ2で発生する主
蒸気圧力P2が高くなる。この主蒸気圧力P2は、ダン
プ圧力設定値Pdを超えるとダンプ制御手段52がダン
プ制御弁14を開いて復水器15へ蒸気を逃がして主蒸
気圧力P2を低下させるように制御する。ダンプ圧力設
定値Pdは主蒸気圧力設定値PSよりも高いので、ボイ
ラが低負荷の場合、定常的に主蒸気圧力P2がバイアス
された状態での運転となり問題が生じる場合がある。
【0046】本実施形態のBOG処理制御装置70で
は、主蒸気圧力設定値PSよりも大きくダンプ圧力設定
値Pdよりも小さい第2のダンプ圧力設定値Pd2を設
定し、この第2のダンプ圧力設定値Pd2に主蒸気圧力
P2がなるようにダンプ制御弁14を制御する余剰BO
Gダンプ制御手段71が設けられる。
【0047】具体的には、バイアス値ΔPBを生成する
バイアス設定手段73と、バイアス値ΔPBを主蒸気圧
設定値PSに加えて第2のダンプ圧力設定値Pd2を生
成する加算器74と、加算器74が入力される接点Qと
ダンプ圧力設定値Pdが入力される接点Pとを切換える
切換えスイッチSW1と、余剰BOGダンプ制御手段7
1と、切換スイッチSW2と、第2の高位選択器72と
を備える。余剰BOGダンプ制御手段71は、主蒸気圧
力P2と第2のダンプ圧力設定値Pd2とに基づき、主
蒸気圧力P2が第2のダンプ圧力設定値Pd2となるよ
うなダンプ制御弁14の第2の弁開度を算出し、第2の
ダンプ弁開度指令として出力する。切換スイッチSW2
は余剰BOGダンプ制御手段71と第2の高位選択器7
2とを連通する接点Rと、遮断する接点Sとに切換え
る。バイアス設定手段73が生成するバイアス値ΔPB
は、ダンプ圧力設定値Pdと主蒸気圧力設定値PSとの
差以下(ΔPB≦Pd−PS)である。
【0048】次に図4に示されるタイミングチャートを
参照して余剰BOGダンプ制御手段71の制御状態の説
明をする。図4(1)〜(4)はそれぞれ第1の高位選
択器55、切換スイッチSW1、切換えスイッチSW2
およびバイアス設定手段73の生成するバイアス値ΔP
Bのタイミングチャートを示す。時刻t1において第1
の高位選択器55が燃料配分手段53からの第1のBO
G燃料量指令を選択しているとき、スイッチSW1は接
点P側にあり、スイッチSW2は接点S側にあるので、
第2の高位選択器72はダンプ制御手段52からの第1
のダンプ弁開度指令に基づいてダンプ制御弁14を制御
している。また、バイアス設定手段73は、生成したバ
イアス値ΔPBを加算器74で主蒸気圧力設定値PSに加
算して切換スイッチSW1の接点Qに入力される値がダ
ンプ圧力Pdと等しくなるように、ダンプ圧力設定値P
dと主蒸気圧力設定値PSとの差Pd−PSに相当する値
を出力している。
【0049】時刻t2において第1の高位選択器55が
タンク圧力制御手段54からの第2のBOG燃料量指令
を選択したとき、まず切換えスイッチSW2が接点Sか
ら接点Rに切換わる。時刻t2から所定時間経過した時
刻t3において次に切換スイッチSW1が接点Pから接
点Qに切換わるとともにバイアス設定手段73のバイア
ス値PBが徐々に低くなり、時刻t4において0とな
る。すなわち、時刻t3において切換えスイッチSW1
が接点Pから接点Qに切換わると余剰BOGダンプ制御
手段71に入力される第2のダンプ圧力設定値Pd2は
時刻t3においてPd2=PS+ΔPB=Pdであり、そ
こからバイアス値ΔPBが徐々に除去されて時刻t4に
おいて第2のダンプ圧力設定値Pd2は主蒸気圧力設定
値PSと等しくなる。余剰BOGダンプ制御手段71
は、主蒸気圧力P2と第2のダンプ圧力設定値Pd2と
に基づいて主蒸気圧力P2が第2のダンプ圧力設定値P
d2になるようなダンプ制御弁14の弁開度を算出して
第2のダンプ制御弁開度指令を出力する。第2の高位選
択器72にはダンプ制御手段52からの第1のダンプ弁
開度指令と、余剰BOGダンプ制御手段71からの第2
のダンプ弁開度指令とが入力され、弁開度の高い方が選
択される。前述したように第2のダンプ弁開度はダンプ
圧力設定値Pdよりも低い第2のダンプ圧力設定値Pd
2に基づいて算出されるので、第2のダンプ弁開度指令
に基づいてダンプ制御弁14が制御されることになる。
このとき、第2のダンプ圧力設定値Pd2は図4(4)
に示されるように徐々にΔPBが除去されるので、これ
に応じてダンプ制御弁14が徐々に開き、主蒸気圧力P
2のバイアス分を円滑に除去することができる。
【0050】余剰BOGが処理され、タンク圧力P1が
低下し、時刻t5においてタンク圧力制御手段54から
の第2のBOG弁開度指令よりも燃料配分手段53から
の第1のBOG燃料量指令が高くなった場合には、高位
選択器55は第1のBOG燃料量指令を選択してBOG
制御弁12は燃料配分手段53側のボイラマスタ制御手
段51によって制御される。かつ、切換えスイッチSW
2は接点Rから接点Sに切換わる。このような切換えス
イッチSW2が接点S側に切換わることにより、タンク
圧力制御手段54による余剰BOG処理制御ではなく、
ボイラマスタ制御手段51が選択される通常の運転にお
いて、余剰BOGダンプ制御手段71が機能しないよう
にすることができる。また、この時刻t5より一定時間
経過した時刻t6において、切換えスイッチSW1は接
点Qから接点Pに切換わり、バイアス設定手段73の生
成する余剰BOGダンプ制御のバイアス値も初期の状態
ΔPBに戻される。
【0051】また図5に示されるように、一定時間経過
の時刻t6より前の時刻t7に、再び、高位選択器55
が燃料配分手段53からの第1のBOG燃料量指令か
ら、タンク圧力制御手段54からの第2のBOG燃料量
指令に切換わった場合は、時刻t7で切換えスイッチS
W2が接点Sから接点Rに切換ることにより、余剰BO
Gダンプ制御が開始される。この条件では、切換えスイ
ッチSW1は接点Qの状態を維持しており、かつ、バイ
アス設定手段73の生成するバイアス値は0であるか
ら、円滑に余剰BOGダンプ制御に移行することができ
る。
【0052】また、ダンプ制御手段52は余剰BOGダ
ンプ制御手段71よりも高い応答性を有する。すなわ
ち、ダンプ制御手段52の出力をu1とし、余剰BOG
ダンプ制御手段71の出力をu2とし、ダンプ制御手段
52の応答係数をK1とし、余剰BOGダンプ制御手段
71の応答係数をK2としたとき、 u1=K1×(Pd−P2) u2=K2×(Pd2−P2) K2<K1 PS≦Pd2≦Pd となる。したがって、余剰BOGダンプ制御中にボイラ
2の負荷急変時など急激に主蒸気圧力P2が上昇した場
合には、余剰BOGダンプ制御手段71からの第2のダ
ンプ制御弁開度指令よりもダンプ制御手段52からの第
1のダンプ制御弁開度指令が大きくなって第2の高位選
択器72によって第1のダンプ弁開度指令が選択されて
ダンプ制御弁14は、ダンプ制御手段52によって制御
され、迅速にボイラ負荷急変に対応することができる。
【0053】また、バイアス設定手段73においてバイ
アス値ΔPBを除去する際、許容される範囲でバイアス
分を残すようにすることによって、ダンプ制御弁14の
弁開度を抑制し、代替燃料の消費を最小として運転する
ことが容易に可能となる。
【0054】本実施形態ではボイラ負荷に応じてBOG
制御弁12および代替燃料制御弁13の弁開度を制御す
るようにのみ構成したが、本発明の実施のさらに他の形
態としてボイラ負荷に応じて弁操作と合わせてバーナの
本数を増減するように構成してもよい。この場合におい
て、第2の高位選択器72によって余剰BOGダンプ制
御手段71が選択されているときでも、余剰BOGダン
プ制御手段71に応じてバーナの本数の増減を制御する
ことができる回路を追加すればよい。
【0055】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、余剰B
OGが発生しタンク圧力が上昇したとき、タンク圧力制
御手段がBOG制御弁を制御するので代替燃料増加防止
制御手段などを設けることなく、代替燃料の消費を増加
させずに余剰BOGを処理することができる。また、制
御回路も簡単となり、タンク圧力制御手段はダンプ制御
弁でなく蒸発ガス制御弁を制御するので、余剰蒸発ガス
の処理制御が容易となる。
【0056】請求項2記載の本発明によれば、余剰BO
Gダンプ制御手段を用いてダンプ制御弁を制御すること
によって、主蒸気圧力がバイアスされた状態で定常的に
運転されるといったことが防がれる。
【0057】請求項3記載の本発明によれば、第2のダ
ンプ圧力設定値はバイアス分を徐々に除去するように低
下するので、主蒸気圧力のバイアス分を円滑に除去する
ことができる。
【0058】請求項4記載の本発明によれば、ダンプ制
御手段は余剰蒸発ガスダンプ制御手段よりも応答性が高
いので、負荷急変により余剰蒸気が発生して主蒸気圧力
が大きく上昇したとしても、ダンプ制御手段によって迅
速に対応することができる。
【0059】請求項5記載の本発明によれば、タンク圧
力制御手段によってBOG制御弁を制御することによっ
て簡単な制御回路でかつ代替燃料の消費量を増加するこ
となく容易に余剰蒸発ガスの処理制御を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるLNG船1のBO
G処理制御装置50の制御回路を示すブロック図であ
る。
【図2】燃料配分手段53の制御手段を示すブロック図
である。
【図3】本発明の実施の他の形態であるLNG船1のB
OG処理制御装置70の制御回路を示すブロック図であ
る。
【図4】第1の高位選択器55、切換スイッチSW1、
切換えスイッチSW2およびバイアス設定手段73の生
成するバイアス値ΔPBのタイミングチャートである。
【図5】第1の高位選択器55、切換スイッチSW1、
切換えスイッチSW2およびバイアス設定手段73の生
成するバイアス値ΔPBのタイミングチャートである。
【図6】LNG船1の構成を示すブロック図である。
【図7】従来のBOG処理制御装置18の制御回路を示
すブロック図である。
【符号の説明】
1 LNG船 2 ボイラ 10 タンク 11 圧縮機 12 BOG制御弁 13 代替燃料制御弁 14 ダンプ制御弁 15 復水器 16 タンク圧力検出手段 17 主蒸気圧力検出手段 18,50,70 BOG処理制御装置 51 ボイラマスタ制御手段 52 ダンプ制御手段 53 燃料配分手段 54 タンク圧力制御手段 55 高位選択器 71 余剰BOGダンプ制御手段 72 第2の高位選択器
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F22B 35/00 F22B 35/00 K (72)発明者 深尾 知 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内 (72)発明者 森山 巧 東京都江東区南砂2丁目11番1号 川崎 重工業株式会社 東京設計事務所内 (72)発明者 浅野 岳 東京都江東区南砂2丁目11番1号 川崎 重工業株式会社 東京設計事務所内 (56)参考文献 特開 平7−81670(JP,A) 特開 平6−336193(JP,A) 特開 平6−336192(JP,A) 特開 平6−123569(JP,A) 特開 昭62−23565(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B63B 25/16 B63H 21/38 F02D 19/06 F02D 41/02 F02M 25/08 F22B 35/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液化ガスを貯蔵するタンク内で気化した
    蒸発ガスを、液化ガス運搬船の推進動力用の燃料として
    燃焼させるための液化ガス運搬船の蒸発ガス処理制御装
    置において、 前記蒸発ガスおよびこれ以外の代替燃料の少なくとも一
    方を燃焼させて蒸気を発生させるボイラと、 液化ガスを貯蔵するタンクと、 タンクからボイラに供給される蒸発ガスの供給流量を調
    整する蒸発ガス制御弁と、 前記代替燃料のボイラへの供給流量を調整する代替燃料
    制御弁と、 タンク内の蒸発ガスの圧力を検出するタンク圧力検出手
    段と、 ボイラで発生する蒸気の主蒸気圧力を検出する主蒸気圧
    力検出手段と、 ボイラから外部に排出される蒸気の流量を調整するダン
    プ制御弁と、 主蒸気圧力検出手段の検出出力と、予め定める主蒸気圧
    力設定値とに基づいて、主蒸気圧力が主蒸気圧力設定値
    になるようなボイラ負荷を算出してボイラ負荷指令を出
    力するボイラマスタ制御手段と、 主蒸気圧力検出手段の検出出力と、前記主蒸気圧力設定
    値よりも高い予め定めるダンプ圧力設定値とに基づい
    て、主蒸気圧力がダンプ圧力設定値になるようにダンプ
    制御弁の弁開度を算出し、ダンプ弁開度指令を出力して
    ダンプ制御弁の弁開度を調整するダンプ制御手段と、 ボイラ負荷指令に応答し、ボイラ負荷に応じて蒸発ガス
    を優先的に燃焼し、不足分は代替燃料で補うような代替
    燃料量指令および蒸発ガス燃料量指令を配分演算し、代
    替燃料量指令および第1の蒸発ガス燃料量指令を出力す
    る燃料配分手段と、 タンク圧力検出手段の検出出力と、予め定めるタンク圧
    力設定値とに基づいて、タンク圧力がタンク圧力設定値
    になるような余剰蒸発ガス量を算出し、第2の蒸発ガス
    燃料量指令を出力するタンク圧力制御手段と、 第1の蒸発ガス燃料量度指令および第2の蒸発ガス燃料
    量指令のうち高い方の燃料量指令を選択する高位選択手
    段とを備えることを特徴とする液化ガス運搬船の蒸発ガ
    ス処理制御装置。
  2. 【請求項2】 前記高位選択手段が第2の蒸発ガス燃料
    量度指令を選択したとき、前記主蒸気圧力設定値以上で
    かつ前記ダンプ圧力設定値以下の第2のダンプ圧力設定
    値と、主蒸気圧力検出手段の検出出力とに基づき、主蒸
    気圧力が前記第2のダンプ圧力設定値になるようなダン
    プ制御弁の弁開度を算出して第2のダンプ制御弁開度指
    令を出力する余剰蒸発ガスダンプ制御手段と、 ダンプ制御手段が出力する第1のダンプ制御弁開度指令
    と、余剰蒸発ガスダンプ制御手段が出力する第2のダン
    プ弁開度指令のうち高い方の弁開度を選択し、選択した
    弁開度指令に応じてダンプ制御弁を調整する第2の高位
    選択手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の液
    化ガス運搬船の蒸発ガス処理制御装置。
  3. 【請求項3】 前記第2のダンプ圧力設定値は、第1の
    高位選択手段が第1の蒸発ガス燃料量指令を選択してい
    る場合は、ダンプ圧力設定値に等しく選ばれ、第1の高
    位選択手段が第2の蒸発ガス燃料量指令を選択したと
    き、第2のダンプ圧力設定値をダンプ圧力設定値から主
    蒸気圧力設定値近傍まで徐々に低下させることを特徴と
    する請求項2記載の液化ガス運搬船の蒸発ガス処理制御
    装置。
  4. 【請求項4】 ダンプ制御手段は、余剰蒸発ガスダンプ
    制御手段よりも応答性が高いことを特徴とする請求項2
    または3記載の液化ガス運搬船の蒸発ガス処理制御装
    置。
  5. 【請求項5】 液化ガスを貯蔵するタンク内で気化した
    蒸発ガスを、液化ガス運搬船の推進動力用の燃料として
    燃焼させるための液化ガス運搬船の蒸発ガス処理制御方
    法において、 前記蒸発ガスおよびこれ以外の代替燃料の少なくとも一
    方を燃焼させて蒸気を発生させるボイラと、 液化ガスを貯蔵するタンクと、 タンクからボイラに供給される蒸発ガスの供給流量を調
    整する蒸発ガス制御弁と、 前記代替燃料のボイラへの供給流量を調整する代替燃料
    制御弁と、 タンク内の蒸発ガスの圧力を検出するタンク圧力検出手
    段と、 ボイラで発生する蒸気の主蒸気圧力を検出する主蒸気圧
    力検出手段と、 ボイラから外部に排出される蒸気の流量を調整するダン
    プ制御弁とを備え、 主蒸気圧力検出手段の検出出力と、予め定める主蒸気圧
    力設定値とに基づいて、主蒸気圧力が主蒸気圧力設定値
    になるようなボイラ負荷を算出してボイラ負荷指令を出
    力し、 主蒸気圧力検出手段の検出出力と、前記主蒸気圧力設定
    値よりも高い予め定めるダンプ圧力設定値とに基づい
    て、主蒸気圧力がダンプ圧力設定値になるようにダンプ
    制御弁の弁開度を調整し、 ボイラ負荷指令に応答し、ボイラ負荷に応じて蒸発ガス
    を優先的に燃焼し、不足分は代替燃料で補うような代替
    燃料指令および蒸発ガス燃料量指令を配分演算して、代
    替燃料量指令および第1の蒸発ガス燃料量指令を出力
    し、 タンク圧力検出手段の検出出力と、予め定めるタンク圧
    力設定値とに基づいて、タンク圧力がタンク圧力設定値
    になるような余剰蒸発ガスを算出し、第2の蒸発ガス燃
    料量指令を出力するタンク圧力制御手段と、 第1の蒸発ガス燃料量指令および第2の蒸発ガス燃料量
    指令のうち高い方の燃料量指令を選択する高位選択手段
    とを備えることを特徴とする液化ガス運搬船の蒸発ガス
    処理制御方法。
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