JP2970450B2 - 高炉操業方法 - Google Patents

高炉操業方法

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JP2970450B2
JP2970450B2 JP32932694A JP32932694A JP2970450B2 JP 2970450 B2 JP2970450 B2 JP 2970450B2 JP 32932694 A JP32932694 A JP 32932694A JP 32932694 A JP32932694 A JP 32932694A JP 2970450 B2 JP2970450 B2 JP 2970450B2
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furnace
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親司 上城
公平 砂原
隆信 稲田
和明 佐藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉱石とコークスを層状
に装入する高炉操業方法に係り、より詳しくは高炉の炉
壁側の温度が低下して炉況が不安定になった場合に、炉
中心部および周辺部のガス流速を適正化することによっ
て操業の安定化をはかる高炉操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高炉においては、炉下部に設置された羽
口から吹込まれる熱風とコークスとの反応によって生成
する還元性ガス(CO)の作用で、鉱石は炉内を降下し
つつ徐々に還元され、軟化融着帯を形成した後、炉芯コ
ークス層の隙間を伝って炉底に溜り、溶銑は定期的また
は連続的に出銑口より抜き出される。
【0003】このような高炉操業の安定性を高めるため
には、高炉内を上昇するガスの流速分布を中心流化し
て、融着帯形状を逆V字形に維持することが有効である
ことが経験的に知られている。
【0004】一方、炉中心部でのガス流速が他の部分よ
りも速くなりすぎると、壁側の温度が低下したり、付着
物の形成、成長等の問題が起こり炉況が不安定になる。
そこで、かかる対策として、従来より種々の原料装入方
法が提案されている。
【0005】例えば、特開昭55−18764号公報に
は、高炉の下部炉壁に付着物が形成しプロフィルの乱れ
が生じた場合に、コークスの数チャージ連続装入を行う
ことにより、周辺流を強めて炉壁付着物を溶融除去する
方法が提案されている。また、特開昭61−20177
1号公報には、シャフト部の任意の設定位置における炉
壁近傍の鉱石/コークスの層厚比を、前記設定位置にお
ける平均層厚比に比べ10%以上増大するように原料を
装入することで、炉壁近傍の荷重応力および鉱石層の溶
融に伴う消滅体積を増加させ、その結果炉壁近傍の装入
物の降下速度が増加することにより原料降下停滞域が縮
小、炉腹部以下の装入物の降下領域が拡大され、降下速
度を小さくして平均化することが可能となり、生鉱下り
等による急激な炉熱低下を防止できるとした原料装入方
法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た従来の原料装入方法には、以下に示す問題点がある。
すなわち、コークスの数チャージ連続装入を行うことに
より、周辺流を強めて炉壁付着物を溶融除去する方法
(特開昭55−18764号)では、高炉中心部より周
辺部の方がガスが流れ易くなるため、炉内を上昇するガ
スの流速分布を中心流化して融着帯形状をV字形に維持
し、操業の安定化をはかることが難しいという問題があ
る。また、シャフト部の任意の設定位置における炉壁近
傍の鉱石/コークスの層厚比を増大するように原料を装
入する方法(特開昭61−201771号)では、炉壁
周辺部における鉱石の存在率が高くなるため、炉壁周辺
部のガス流れが悪くなり、炉壁部の急激な温度低下を招
き、結果として炉況不調に陥るという問題がある。
【0007】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みなされたものであり、炉中心部でのガス流速に起因
する壁側の温度低下、あるいは付着物の形成、成長等に
より起こる炉況の不安定化を防止し、あるいは不調に陥
った高炉を迅速に正常な状態に回復させることが可能な
高炉操業方法を提案しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、高炉の炉壁側
の温度が低下してステーブ給排水温度差が所定の管理値
以下になった時に鉱石とコークスを同時にかつ中心およ
び炉壁部において粗粒コークスが偏析するように装入す
ることによって、炉芯の通気、通液性を確保するととも
に、同時装入する鉱石とコークスの炉内落下位置を適正
に制御することによって、中心部を流れるガス流速を高
位に維持しながら壁側のガス流速も高めて壁側の温度を
上昇させ操業の安定化をはかるもので、その要旨は、鉱
石、コークスを層状に炉内に装入して高炉を操業するに
際し、ステーブ給排水温度差が所定の管理値以下になっ
た時に、鉱石の粒度の粗い方から10vol%の加重平
均粒径の2.5倍以上の加重平均粒径を持つ粗粒コーク
スを鉱石と同時に装入することによって中心部の鉱石存
在率を低減し、さらにその鉱石とコークスの炉内落下位
置を高炉の無次元半径で0.7〜0.9の範囲に制御す
ることによって、原料の偏析現象により中心部の鉱石存
在率を低減させたままで炉壁近傍の鉱石存在率も低減さ
せ、壁側のガス流速の低下による操業の不安定化を解消
することを特徴とするものである。
【0009】
【作用】本発明において、ステーブ給排水温度差が所定
の管理値以下になった時の対応として、鉱石の粒度の粗
い方から10vol%の加重平均粒径の2.5倍以上の
加重平均粒径を持つ粗粒コークスを鉱石と同時に装入
し、さらにその鉱石とコークスの炉内落下位置を高炉の
無次元半径で0.7〜0.9の範囲に制御する理由につ
いて以下に説明する。
【0010】本発明者は、図1に示す高炉炉頂部の装入
実験装置を用いて、鉱石とコークスの混合装入物が炉内
で堆積する際の粒度および密度偏析機構を定量化するた
めの装入実験を行った。
【0011】装入実験は、ベル1上にまず鉱石粒子を装
入し、ベル駆動装置2によってベル1を降下させ、これ
を繰返すことにより円筒4内に一定の堆積角を持った鉱
石充填層を形成した。次に、着色した鉱石粒子をベル1
上に装入し、ベル駆動装置2によってベル1を降下さ
せ、先に形成させた鉱石充填層上に色の異なる鉱石層を
形成させ、最後にコークス粒子を混合した鉱石粒子をコ
ークス層上に装入した。なお、装入実験装置には、ムー
バブルアーマの代りとなる取外し可能なアーマ3が設置
されており、このアーマ3を角度の違うものと交換する
ことで、実炉におけるムーバブルアーマの操作による原
料落下位置の変更が再現できる機能を備えている。
【0012】本実験では、鉱石とコークスの粒径比とし
て、鉱石の粒度の粗い方から10vol%の加重平均粒
径の2.5倍以上の加重平均粒径を持つ粗粒コークスを
使用した。ここで、鉱石の粗粒側10vol%の粒度を
コークス粒度と比較する根拠は、従来の鉱石単一層にお
いて、粒度偏析により炉軸より体積比で10%以内の領
域に堆積する粗粒鉱石を、混合したコークスによって偏
析現象を利用し置き換えるという技術思想に基づく。こ
の置換えによって、高炉中心部においてコークスに対す
る鉱石の存在率が減少するので、コークスを反応劣化さ
せるCOガスおよびHOガスの発生量を低位に抑え
ることができる。さらに、コークスの炉内反応劣化量の
評価を行ったところ、炉芯を構成するコークスが良好な
通気、通液性を有する粒径を保つためのコークスの最大
反応量を超えないように炉頂中心部における鉱石とコー
クスの重量比を制御するためには、鉱石と混合するコー
クスの加重平均粒径が鉱石の粒度の粗い方から10vo
l%の加重平均粒径の2.5倍以上であることが判明し
た。かかる知見より、本発明では鉱石と同時に装入コー
クスの粒径を鉱石の2.5倍以上と限定したのである。
【0013】また、同時に装入する鉱石とコークスの炉
内落下位置の適正制御範囲を調べるため、アーマ3を使
って原料の装入実験を行い、実験後のサンプリングの結
果求められた半径方向での鉱石重量/コークス重量(以
下O/Cと略す)の一例を図2に示す。図2の(A)〜
(F)はそれぞれXが1.0、0.95、0.9、0.
7、0.65、0.6における無次元半径(ー)と相対
O/C(ー)の関係を示したものである。ここで、Xと
相対O/Cはそれぞれ下記(1)式、(2)式で表され
る。
【0014】図2の結果より明らかなごとく、鉱石とコ
ークスを同時に装入(以下「混合装入」と称する)した
ときの落下位置が実験装置の無次元半径0.9より炉芯
側になると、壁側に偏析するコークスの量が増えるの
で、壁側のO/Cが2以下になった。また、落下位置が
無次元半径0.7より炉壁側にあると、中心のO/Cは
0であった。
【0015】
【0016】
【0017】また、図2に示す結果を基に、同一の操業
条件を与えてシミュレートしたガス流速分布の変化を調
査した結果を図3に示す。図3の結果より明らかなごと
く、混合装入したときの落下点が無次元半径0.9であ
ると、壁側のガス流速は、落下点が壁近傍であったとき
に1.8m/sだったのが2.2m/sになった。落下
点をさらに炉内側に移動させていくと、落下地点が壁近
傍の時に比べて、壁側のガス流速は速くなるのに対し中
心のガス流速は遅くなった。そして、落下点が無次元半
径0.7になると、炉中心部でのガス流速は4.8m/
sになった。
【0018】以上の結果より、落下点が無次元半径0.
9よりも炉内側にあると、壁側のガス流速は落下点が壁
近傍であるときに比べて2割以上速くなり、落下点が無
次元半径0.7よりも炉内側にあると、炉中心部のガス
流速は落下点が壁近傍にあるときに比べて2割以上遅く
なることが判明した。
【0019】
【実施例】容積2700m、炉口径8.6mのステー
ブ冷却方式の高炉に本発明を適用して操業した時の炉壁
冷却水の温度推移を図4に示す。すなわち、最初の1ケ
月間においては中旬から下旬にかけて、ステーブ給排水
温度差に大きな変化は見られず、休風時(休風A)にボ
ーリングを行って測定した付着物の平均厚さは500m
mであった。ところがその後徐々にステーブ給排水温度
差が下がりはじめ、翌月の下旬にはこの月の初旬の温度
差に比べて管理値(5℃)以下に下がり、付着物の平均
厚さは540mmと厚くなっていた(休風B)ので、こ
の時点で本発明を適用し期間aにわたって実施した。こ
の期間aにおける混合装入原料の落下位置Xは、高炉の
無次元半径で0.65であった。その結果、短期間でス
テーブ給排水温度差は再び管理値を超えるレベルまで回
復したが、今度は管理値を大幅に超える状態が続き、炉
体熱負荷の高まりで炉体延命の立場から問題が出てき
た。また、休風B直前まで6m/sあった中心ガス流速
が、この期間で4.2m/sになり炉内通気性が悪化し
た。そこで、期間bにおいて、混合装入原料の落下位置
Xを高炉の無次元半径で0.95に変更した。その結
果、中心のガス流速は5.3m/sまで回復し、炉内通
気性も改善されたが、再びステーブ給排水温度差が低下
し、休風Cでの付着物厚を測定した結果530mmであ
った。そこで、期間cにおいて、混合装入原料の落下位
置Xを高炉の無次元半径0.7〜0.9に限定して操業
を行った結果、中心のガス流速は5.3m/s、炉壁ガ
ス流速は2.5m/sが維持されて炉況が安定し、ステ
ーブ給排水温度差も当初のほぼ正常なレベルまで回復し
た。
【0020】
【発明の効果】以上説明したごとく、本発明方法によれ
ば、炉中心部でのガス流速に起因する壁側の温度低下、
あるいは付着物の形成、成長等により起こる炉況の不安
定化を、鉱石と混合するコークスの粒径の適正化と混合
装入原料の落下位置制御という比較的簡易な方法で防止
し、あるいは不調に陥った高炉を迅速に正常な状態に回
復させることができるので、高炉操業の安定化に大なる
効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における高炉炉頂部の装入実験装置を示
す概略図である。
【図2】同上の実験装置を使用して行った装入実験によ
る半径方向での鉱石重量/コークス重量(以下O/Cと
略す)の一例を示す図で、(A)〜(F)はそれぞれX
が1.0、0.95、0.9、0.7、0.65、0.
6における無次元半径(ー)と相対O/C(ー)の関係
を示したものである。
【図3】同上の実験装置を使用し、図2に示す結果を基
に、同一の操業条件を与えてシミュレートしたガス流速
分布の変化を調査した結果を示す図である。
【図4】本発明の実施例における炉壁冷却水の温度推移
を示す図である。
【符号の説明】
1 ベル 2 ベル駆動装置 3 アーマ 4 円筒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 和明 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−208404(JP,A) 特開 平3−267308(JP,A) 特開 平7−150207(JP,A) 特開 平4−45210(JP,A) 特開 平4−45209(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21B 5/00 311

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉱石、コークスを層状に炉内に装入して
    高炉を操業するに際し、ステーブ給排水温度差が所定の
    管理値以下になった時に、鉱石の粒度の粗い方から10
    vol%の加重平均粒径の2.5倍以上の加重平均粒径
    を持つ粗粒コークスを鉱石と同時に装入し、その鉱石と
    コークスの炉内落下位置を高炉の無次元半径で0.7〜
    0.9の範囲に制御することを特徴とする高炉操業方
    法。
JP32932694A 1994-12-02 1994-12-02 高炉操業方法 Expired - Lifetime JP2970450B2 (ja)

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