JP2969726B2 - 湿式燐酸中の有機物の除去法 - Google Patents

湿式燐酸中の有機物の除去法

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    • C01B25/18Phosphoric acid
    • C01B25/234Purification; Stabilisation; Concentration
    • C01B25/235Clarification; Stabilisation to prevent post-precipitation of dissolved impurities

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 未焼成燐鉱石を硫酸で分解してえられた湿式燐酸を溶
媒抽出法によって精製するには、まえもってその中の有
機物を、焼成燐鉱石からえられる湿式燐酸と同程度の、
たとえば炭素換算100ppm以下になるまで除去しておかな
いと、溶媒抽出における相分離をわるくするなどトラブ
ルの原因となる。本発明は、このトラブルの原因である
有機物を塩素酸塩によって連続的に除く方法に関するも
のである。
[従来の技術] 湿式燐酸中の有機物を塩素酸塩によって除去する方法
として、湿式燐酸を硫化水素または硫化物のアルカリ溶
液と接触させ、析出物を分離して有機物の70%以上を除
去したのち、塩素酸塩などの酸化剤と接触させる(特公
昭62−7122号公報);湿式燐酸を塩素酸塩などの酸化剤
と接触させて脱色する、すなわち着色不純物を除去する
(英国特許第1215664号公報)などの方法が知られてい
る。
溶媒抽出法で処理した燐酸ではあるが、それを塩酸の
存在下で塩素酸塩で処理して有機物を除去する方法が特
開昭52−98698号公報に提案されている。
[発明が解決しようとする課題] ところで、未焼成燐鉱石を硫酸で分解してえられた湿
式燐酸中の有機物含有量は、燐鉱石の産地などによって
大きく異なり、炭素換算200〜4000ppmの範囲にわたる。
本発明者らは、この湿式燐酸を塩素酸塩と接触させて、
焼成燐鉱石からえられる湿式燐酸と同程度にまで有機物
を除去する方法について検討した結果、以下のことが分
かった。すなわち、湿式燐酸中の有機物を焼成燐鉱石か
らえられる湿式燐酸と同程度のものにするには、塩素酸
塩を過剰に使用して燐酸液中に未分解の塩素酸塩を存在
させ、その分解によって生じる活性酸素等による酸化性
雰囲気に充分に保つ必要がある。この過剰の塩素酸塩お
よび分解生成物を含んだ湿式燐酸を前記の溶媒抽出法で
処理すると、抽出操作中に未分解の塩素酸塩が分解して
ClO2,Cl2等が生成し、これらは爆発性および毒性がある
ので、操作を困難にするだけでなく、非常に危険なこと
となる。
本発明は、このような問題の解決、すなわち未焼成燐
鉱石を硫酸で分解してえられた湿式燐酸を塩素酸塩で処
理して溶媒抽出に供することができる程度に有機物を除
去するとともに、過剰に使用した塩素酸塩を除去する方
法を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段および作用] 本発明は、未焼成燐鉱石を硫酸で分解してえられた湿
式燐酸(以下、「湿式燐酸」という)を該湿式燐酸中の
有機物に対して過剰量の塩素酸塩と接触させて該湿式燐
酸中の有機物を除去する方法において、 該湿式燐酸と、該湿式燐酸中の硫酸根と反応して不
溶解物を生じさせない塩素酸塩とを110℃以上かつ系内
の反応液の沸点未満の温度で撹拌下に連続的に反応させ
る第一工程 および 第一工程でえられた燐酸液を50℃以上かつ系内の反
応液の沸点未満の温度で不活性ガスを吹き込みつつ塩酸
と連続的に反応させる第二工程 からなる、湿式燐酸中の有機物の除去法を要旨とするも
のである。
以下、本発明の詳細を説明する。
湿式燐酸には各種のものがあり、たとえば、P2O554wt
%に濃縮したものでは、下表のとおり原料燐鉱石の種類
によって組成を大きく異にするが、本発明は、未焼成燐
鉱石を硫酸で分解してえられたそのままの濃度のものや
それを濃縮したいずれのものにも適用することができ
る。
(第一工程) まず、湿式燐酸と塩素酸塩とを第一工程の反応槽に連
続的に供給し、撹拌下に反応させる。この反応槽は1槽
でも有機物含有量100ppm以下の燐酸液をうることができ
るが、図−1に示すように2槽以上を直列に接続し、第
1槽に原料湿式燐酸と塩素酸塩の一部とを供給し、塩素
酸塩を第2槽以下にも供給して前の反応槽から排出する
燐酸液と反応させる態様にすれば、設備費は大きくなる
が、塩素塩の全使用量は少なくなる。とくに有機物含有
量の多い湿式燐酸を処理する場合、反応槽を複数用いる
のが有利であるが、それでも、2〜5槽とすればよい。
フロリダ燐鉱石からの湿式燐酸のように有機物含有量が
きわめて多く、かつ後に説明するように有機物の除去の
とくに困難なものにおいても、通常、3槽がもっともよ
い。このように反応槽を複数用いる場合、有機物濃度の
高い前のほうの反応槽ほど塩素酸塩の利用率が高く、か
つ、分解されやすい有機物ほど先に分解され、分解され
にくい有機物は残りがちであるので、後記のフロリダ燐
鉱石からえた湿式燐酸を処理する場合を除いて、その供
給割合は前の反応槽ほど少なく、そして後の反応槽ほど
多くするのがよい。
塩素酸塩を第一工程出口においてなお残存するだけの
量使用しなければならない。たとえば、塩素酸塩として
ナトリウム塩を使用する場合、原料湿式燐酸中の有機物
の6重量倍以上、このましくは7〜10重量倍使用すれ
ば、燐酸液中の有機物を前述の100ppm以下とすることが
できる。他の塩を使用する場合は、ナトリウム塩とモル
数を同じにすればよい。すなわち、カリウム塩を使用す
る場合は、有機物の6.9重量倍以上使用すればよい。上
の表からも明らかなように、湿式燐酸の種類によって有
機物含有量が大きく異なるので、塩素酸塩の全供給量
は、湿式燐酸の種類によって異なることとなるが、たと
えば、モロッコ燐鉱石からの湿式燐酸を処理する場合は
P2O5の0.1〜1wt%、フロリダ燐鉱石からの湿式燐酸の場
合は2〜8wt%使用することによりこの条件が満足され
る。もっとも、上記の反応槽の数,処理温度,処理時間
などにも塩素酸塩の利用効率が左右されるので、これら
の条件によっては塩素酸塩を原料湿式燐酸中の有機物に
対し、6重量倍以上にしなくとも燐酸液中の有機物を前
述の100ppm以下とすることができるが、6重量倍以上に
することによってそれが確実なものとなる。
各反応槽における反応液の平均滞在時間は、通常、1
〜10時間、このましくは1〜5時間にすればよい。
各反応系における処理温度をその中の燐酸液の沸点未
満としたのは、該液を沸とうさせると発泡がひどくなっ
て操作の続行が困難となるからである。この沸とうの危
険を避けるために、沸点よりも2〜3℃低い温度で処理
するのがよい。もっとも、135℃にもなると有機物の分
解速度がきわめて速くなるので、それよりも温度を上げ
る必要性は乏しい。また、その温度を110℃以上とした
のは、この温度が低すぎると有機物の分解速度が遅くな
るだけでなく、過剰の塩素酸塩が分解しにくくなって第
二工程における負担が大きくなるからである。
ところで、湿式燐酸の多くは、P2O5基準(以下の燐酸
に係わる濃度は、このP2O5基準による)30〜45wt%濃度
のものおよびこれらを濃縮した45〜55wt%濃度のもので
ある。そして、常圧で沸点が110℃なのは、濃度35wt%
の燐酸である。したがって、この濃度未満の湿式燐酸に
本発明を適用するには、加圧して燐酸液の沸点を上げね
ばならない。もっとも、加圧するにはそのための設備費
がかさむだけでなく、塩素酸塩の分解によって生じる二
酸化塩素の爆発などの問題がある。上記の濃縮した湿式
燐酸は、加圧の必要がないので、本発明を適用するのに
好適な酸であるといえる。
フロリダ燐鉱石以外の燐鉱石からえた湿式燐酸を本発
明によって処理する場合は、反応によって生成したガス
の脱泡が速やかなので、この温度条件さえ守れば、操作
を困難にするほどに反応液が発泡することはない。
いっぽう、フロリダ燐鉱石を硫酸で分解してえられた
湿式燐酸を処理する場合は、この第一工程の反応槽を上
記の複数直列に用いる方式をとり、その第1槽における
反応液中の有機物含有量が500〜1100ppmとなるようにそ
れへ添加する塩素酸塩の供給量を調整するのが望まし
い。この湿式燐酸は他の種類の湿式燐酸と異なって発泡
しやすく、第1槽中で上記の有機物の炭素換算含有量が
1100ppmをこえると、生成した泡が抜けにくく;いっぽ
う、500ppm未満となるまで反応させると、当然第1槽へ
の塩素酸塩の添加量を多くすることとなり、それによっ
て有機物および塩素酸塩の分解による泡の発生が激しく
なり、これらいずれの場合も発泡が操業をむつかしくす
るからである。第1槽の有機物濃度を上記の範囲のもの
とするため、第1槽へは全塩素酸塩添加量の20〜40%を
供給すればよい。第2槽以降へは、残りの塩素酸塩を前
記と同じ理由により、前の反応槽ほど少なく、後の反応
槽ほど多くなるように供給して、塩素酸塩を効果的に作
用させるのがよい。
塩素酸塩としては、硫酸根と反応して不溶解物を生じ
させるもの、たとえばカルシウム,バリウムなどの塩素
酸塩を用いると有機物だけでなく硫酸根をも同時に除去
することができると考えられ、本発明者らが試みたとこ
ろ、塩素酸塩との反応によって析出する硫酸塩が発生し
た泡と集合してクリーム状となって消泡がまったくでき
なくなることが分かった。これは、上記の反応によって
生成した硫酸塩の結晶核に有機物が吸着され、そこに泡
が付着して安定な泡物質を形成することによるものと推
定される。したがって、塩素酸塩としては、ナトリウム
塩,カリウム塩など硫酸根と反応して不溶解物を生成さ
せることのないものでなければならない。とくに、燐酸
液との均一な混合を容易にするために、図−1における
ように水溶液にして添加するのがこのましい。また、こ
の塩素酸塩水溶液は、反応槽内の燐酸液の表面ではなく
液中へ添加したほうがよりよく反応の均一化を図ること
ができ有利である。ところで、湿式燐酸中には濾過機で
除去しきれなかった石こう,温度変化によって析出した
金属燐酸塩などの固体物質が通常0.1〜2wt%含まれてい
るが、理由は明らかでないが、これらの固体物質は泡に
対して格別の作用はしないので、本発明を適用するにあ
たって濾別などによってこれらの固体物質を除いておく
必要はない。
添加した塩素酸塩は、分解して活性酸素となって有機
物を分解するので、有機物の分解速度は、塩素酸塩の分
解速度に左右されることとなる。本発明者らは、湿式燐
酸中の金属イオン類、とくに比較的多量に含まれている
Feイオンがこの塩素酸塩の分解速度に大きく影響するこ
とを見出だした。図−2はFeイオンおよび塩素酸ナトリ
ウムを添加して湿式燐酸中の塩素酸塩に対するFeイオン
のモル比(Fe/NaClO3モル比)を各種の値に調整してそ
れと塩素酸ナトリウムの分解速度定数との関係を調べた
結果を示すものであるが、これからもFeイオンの塩素酸
塩の分解速度への影響の大きさが明らかであろう。した
がって、いずれの湿式燐酸もある程度Feイオンを含有し
ているが、とくにその含有量の少ない湿式燐酸に本発明
を適用する場合は、第一工程にFeイオンを補給するのが
望ましい。この湿式燐酸に添加するFe源としては、鉄
粉,酸化鉄,塩化鉄,燐酸鉄など(鉄粉もまた二価の鉄
も反応液中で酸化されて三価となる)をあげることがで
きる。このようにFe源を補給する場合は、湿式燐酸中の
FeイオンがP2O5の0.016重量倍以上となるように添加す
るのがよい。図−2に示すように、このFeイオンの作用
の程度は湿式燐酸の種類によって異なり、かつ、Feイオ
ンの作用対象は燐酸分でなく有機物であってその有機物
濃度の燐酸濃度に対する比率も湿式燐酸の種類によって
さまざまであるので、湿式燐酸の種類によってはこの値
よりFeイオンの量が少なくてもFeイオンが充分に作用す
るが、上記の量とすることによって湿式燐酸の種類に関
係なくその作用を確実なものとすることができるのであ
る。もっとも、理由は明らかでないが、反応槽を上記の
複数直列に使用する方式を採る場合、後段ほどこのFeイ
オンの作用が衰える(図−2のデータは、第1槽に相当
するものにおけるものである)。反応槽を3槽使用して
有機物を100ppmとする場合は、第1槽にくらべて第3槽
では塩素酸塩の分解速度が1/10になる。したがって、こ
の方式をとり、かつFe源を添加する場合は、Fe源を第2
槽以降にも分解して添加するのがよい。
このように、鉄は有機物の分解にきわめて有効に作用
するが、塩素酸塩をあまりに激しく分解するものは第一
工程に使用することができない。たとえば、第二工程に
使用する塩酸は、塩素酸塩を瞬時に分解し、生成したガ
スは有機物に作用する余裕なく反応系から離脱するの
で、有機物の分解には役立たない。
(第二工程) 第一工程でえられる燐酸液には、上記のとおり、塩素
酸塩が残存しているので、図−1に示すとおり、これを
第二工程で、塩酸によって分解し、塩化水素および分解
生成物である塩素などを不活性ガスによって放散させ
る。
第一工程でえられる燐酸液中の残存塩素酸塩の濃度
は、通常、0.02〜0.5wt%である。このように薄くなる
と、塩素酸塩をさらに分解させるのは困難であって、こ
れを加熱のみによって行うには、150℃以上の高温ある
いは極めて長時間の処理を要し、エネルギーの消費量,
装置材質,設備の大きさなどの点で実用性に難点があ
る。
ところが、この分解を塩酸との反応によって行なう
と、この処理温度を下げ、処理時間を短くすることがで
きる。この温度は、あまり下げすぎるとやはり塩素酸塩
の分解速度が低くなりすぎるので、50℃〜沸点未満、こ
のましくは70〜110℃としなければならない。塩酸源の
供給および不活性ガスの吹き込みを常温で行なえば、第
一工程からの燐酸液を冷やすことになるが、工業的規模
では、通常、第一工程からの110℃以上の燐酸液を第二
工程で加熱しなくとも、70℃とくに50℃よりも低くなら
ないが、所望の温度を維持しえない場合は上記不活性ガ
スを加熱して吹込めばよい。
塩酸源は、ガス(塩化水素),水溶液(塩酸)のいず
れをも用いうるが、市販の濃度35wt%で充分である。塩
酸は、第一工程から排出する燐酸液中に残存する塩素酸
塩の1モル倍以上、このましくは2モル倍以上供給する
ことにより、低温で短時間に塩素酸塩の分解を完結させ
ることができる。
不活性ガスとしては、空気や窒素ガスでよく、その使
用量を第二工程に供給される液(第一工程から燐酸液と
塩酸源として水溶液が用いられる場合はその水溶液との
合計)の150体積倍以上、このましくは200〜350体積倍
とすることにより、過剰の塩酸および塩素酸塩の分解生
成ガスがほぼ完全に除かれる。
第二工程に使用する反応器は、槽式,塔式のいずれを
も採用することができる。
塩酸と塩素酸塩との反応は、きわめて速く、この反応
器における液の平均滞在時間を0.5〜3時間、このまし
くは1〜2時間とすることにより、50℃以上で液相にお
ける塩酸濃度が痕跡程度でも充分この反応が進行するの
で、槽式による場合でも反応槽は一つでよい。
[発明の効果] 以上の説明から明らかなように、本発明によれば、 湿式燐酸中の有機物を高効率で除去することがで
き、 (焼成燐鉱石からえられる湿式燐酸と同程度のものにす
ることができる) 燐酸液中に残存する塩素酸塩を除去することがで
き、 運転を安定的に行なうことができ、生産効率が高
く、 溶媒抽出法による精製燐酸製造の前処理工程として
利用することにより高純度燐酸を高品質で高生産性で製
造することができ、 処理温度が比較的低くできるので、装置材料の選択
が容易である。
[実施例] 例中の組成に係わる「%」および「ppm」は、重量基
準による。
実施例1 (第一工程) 未焼成フロリダ燐鉱石を硫酸で分解してえた P2O5 54% SO4 1.3% Fe 0.85% Al 0.89% 有機物 3200ppm の組成の湿式燐酸(沸点131℃)を585ml/hrの流量で、
撹拌機,オーバーフロー口および排出ガスラインのつい
た2ガラス製セパラブルフラスコ3個を連結した装置
に供給し、各フラスコに濃度25%の塩素酸ナトリウム水
溶液を25ml/hrの流量で供給し(NaClO3/有機物重量比7.
2)、各フラスコ内の液の温度を128℃に保持して連続運
転を行なった。
各フラスコ内の液における有機物および塩素酸ナトリ
ウムの含有量はそれぞれ、第1槽では645ppmおよび60pp
m、第2槽では287ppmおよび602ppm、第3槽では57ppmお
よび2168ppmであった。
(第二工程) ついで、ガス吹き込み管つきオーバーフロー口および
排出ガスラインのついた2ガラス製セパラブルフラス
コに、第一工程でえられた燐酸液を250ml/hrの流量で、
35%塩酸を2.3ml/hrの流量(HCl/残存NaClO3モル比3)
で、かつ、空気を63/hrの流量(ガス/液体積比250)
で供給しつつ、フラスコ内の液の温度を80℃に保持して
連続運転を行なった。
第二工程でえられた燐酸液中の有機物は55ppm、塩素
酸ナトリウムは10ppm以下、塩酸は痕跡程度であった。
この燐酸液を溶媒抽出法で処理したところ、層分離を
悪くするなどのトラブルは起こらなかった。
実施例2 未焼成モロッコ燐鉱石を硫酸で分解してえた P2O5 54% SO4 1.0% Fe 0.3% Al 0.51% 有機物 510ppm の組成の湿式燐酸を塩素酸塩で処理した。第一工程の条
件を反応槽 1槽,湿式燐酸の供給流量850ml/hrおよび
塩素酸ナトリウム水溶液供給流量 15.2ml/hrとし(NaC
lO3/有機物重量比6.3)、他の条件は実施例1と同一
(ただし、塩酸の供給流量は残存塩素酸塩に対する比率
が、空気のそれは液に対する比率が実施例1と同じ。実
施例3および4においても同じ)にした。第一工程でえ
られた燐酸液は有機物を10ppmおよび塩素酸ナトリウム
を602ppm含み、第二工程でえられた燐酸液は有機物を10
ppm,塩素酸ナトリウムを10ppm以下および塩酸を痕跡程
度含むものであった。
実施例1と同様、溶媒抽出工程に供給して相分離にト
ラブルを起こすことはなかった。
実施例3 未焼成ヨルダン燐鉱石を硫酸で分解してえた P2O5 54% SO4 1.3% Fe 0.3% Al 0.48% 有機物 1500ppm の組成の湿式燐酸を塩素酸塩で処理した。第一工程の条
件を反応槽 2槽,湿式燐酸の供給流量567ml/hrならび
に25%塩素酸ナトリウム水溶液供給流量 第1槽20ml/h
rおよび第2槽30ml/hrとし(NaClO3/有機物重量比10.
5)、他の条件は実施例1と同一にした。第一工程でえ
られた燐酸液は有機物を25ppm,塩素酸ナトリウムを1807
ppm含み、第二工程でえられた燐酸液は有機物を22ppm,
塩素酸ナトリウムを10ppm以下および塩酸を痕跡程度含
むものであった。
実施例4 第一工程の第1槽に塩化第二鉄の45%水溶液を流量8.
4ml/hrで供給し(すなわち、燐酸液中のFe/P2O5重量比
を0.016にし)、湿式燐酸の流量を850ml/hrに変更した
ほかは実施例3と同一条件(ただし、塩素酸ナトリウム
の供給流量は、原料湿式燐酸中の有機物に対する比率が
同じ)にして処理した。
第一工程でえられた燐酸液は有機物を15ppmおよび塩
素酸ナトリウムを903ppmを含み、第二工程でえられた燐
酸液は有機物を10ppmならびに塩素酸ナトリウムおよび
塩酸をいずれも痕跡程度含むものであった。
実施例5 第一工程の反応温度を115℃とするほかは、実施例1
と同一にして実施した。結果は、下表に示すとおりであ
った。
実施例6 第一工程の反応温度を115℃とするほかは、実施例2
と同一にして実施した。結果は、下表に示すとおりであ
った。
実施例7〜12 実施例1の第一工程でえられた燐酸液を、下表に示す
条件を除いて実施例1の第二工程と同一にして処理し
た。結果を下表に示す。
比較例1 第1槽で沸とうさせて沸点が150℃となるまで濃縮し
た形で、すなわち沸とうさせつつ反応温度を150℃に
し、残りのフラスコにおける反応温度も150℃とした以
外は、実施例1と同じ条件で実施した。全フラスコにお
いて発泡が激しく、オーバーフロー口より上の空間部に
泡が充満し、排出ラインから泡が吹き出て運転を中止せ
ざるをえなかった。
比較例2 反応温度を105℃とした以外は、実施例1と同じ条件
で第一工程を実施し、有機物含有量125ppmおよび塩素酸
ナトリウム含有量9637ppmの燐酸液がえられた。第二工
程の35%塩酸供給量を23.5ml/hr(HCl/残存NaClO3モル
比3.5)、ガス/液供給体積比を300とすることによっ
て、燐酸液中の塩素酸ナトリウムおよび塩酸含有量を実
施例1の製品と同程度のものとすることができた。
比較例3 第二工程における塩酸の添加を省く以外は実施例1と
同一条件で実施したところ、第二工程でえられた燐酸液
の有機物濃度は55ppmおよび塩素酸ナトリウム濃度は210
3ppmであった。
比較例4 第二工程における反応温度を45℃とした以外は実施例
1と同一条件で実施したところ、第二工程でえられた燐
酸液の有機物濃度は434ppmおよび塩素酸ナトリウム濃度
は250ppmであった。
比較例5 塩素酸ナトリウムを塩素酸カルシウムにかえるほかは
実施例1と同一条件で第一工程を実施したところ、運転
開始1時間後から連続的にクリーム状の泡が発生して運
転の続行が不可能となった。
【図面の簡単な説明】
図−1は、本発明の1例の工程を示す図である。図−2
は、フロリダ燐鉱石およびモロッコ燐鉱石からそれぞれ
えられた湿式燐酸中125℃におけるNaClO3の分解速度定
数とFe/NaClO3モル比との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01B 25/237

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】未焼成燐鉱石を硫酸で分解してえられた湿
    式燐酸を該湿式燐酸中の有機物に対して過剰量の塩素酸
    塩と接触させて該湿式燐酸中の有機物を除去する方法に
    おいて、 該湿式燐酸と、該湿式燐酸中の硫酸根と反応して不
    溶解物を生じさせない塩素酸塩とを110℃以上かつ系内
    の反応液の沸点未満の温度で撹拌下に連続的に反応させ
    る第一工程 および 第一工程でえられた燐酸液を50℃以上かつ系内の反
    応液の沸点未満の温度で不活性ガスを吹き込みつつ塩酸
    と連続的に反応させる第二工程 からなることを特徴とする、湿式燐酸中の有機物の除去
    法。
  2. 【請求項2】第一工程における燐酸液中のFeイオン含有
    量を該燐酸液中のP2O5に対し0.016重量倍以上となるよ
    うに調整する、請求項(1)記載の方法。
  3. 【請求項3】燐酸液中のFeイオン含有量の調整を、第一
    工程の燐酸液に鉄粉,酸化鉄,塩化鉄および燐酸鉄の中
    の1種以上を添加することによって行なう、請求項
    (2)記載の方法。
  4. 【請求項4】第二工程において燐酸液と反応させる塩酸
    の量が第二工程に供給される燐酸液中に残存する塩素酸
    塩に対するHCl/ClO3モル比で1以上であり、かつ、第二
    工程で吹き込まれる不活性ガスの量が第二工程に供給さ
    れる燐酸液の150体積倍以上である、請求項(1)、
    (2)または(3)記載の方法。
  5. 【請求項5】第二工程における反応温度が70〜110℃で
    ある、請求項(1)〜(4)のいずれかの項記載の方
    法。
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