JP2969249B2 - 高炉操業方法 - Google Patents

高炉操業方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高炉操業方法に係り、
更に詳しくは、高O/C操業時における溶融帯の厚さを
薄くして、鉄原料(以下、鉱石という場合がある)層の
通気性および鉱石の到達還元率を向上でき、また鉱石の
溶融開始温度と滴下開始温度との差を低減できる高炉操
業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、スクラップを装入する高炉操業方
法として、例えば特開昭63−137110号公報の
「高炉での低Si濃度溶銑の製造方法」に記載されてい
るようなものが知られている。この方法は、高炉に装入
する原料にスクラップ(炭素含有量0.45重量%以
下、平均0.3重量%)を加えて装入し、このスクラッ
プの装入量を調節して、生成する溶銑中のSi濃度を制
御することにより、溶銑中のSi濃度を0.15重量%
以下に調整して、製鋼工程で脱珪過程を不要とし、処理
時間の短縮やフラックス原単位を低下できるようにした
ものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来技術の
高炉操業方法においては、高PCR(高微粉炭吹込比)
操業時など、羽口から吹き込まれる微粉炭の量が多い場
合には、高炉の炉頂部から装入される鉱石に対してコー
クスの割合が小さく、高O/Cの操業が行なわれてい
る。しかし、実際の操業ではコスト低減の観点から、さ
らに鉱石量を増加させてO/Cを上昇させる操業が行な
われており、この場合には鉱石層厚が厚くなって融着帯
の通気性が悪化し、炉内を降下して900℃以上の高温
領域部に到達する鉱石の還元率(以下、到達還元率とい
う)が低下する。また、高O/Cが進み、コークスベー
スを低減させて鉱石量を減らしても、コークスベースが
下限値まで達してしまうと、この方法による操業は行き
詰まってしまうという問題点があった。また、高炉炉内
の鉱石の還元と昇温に伴い、鉱石の表面に徐々に溶融状
態の鉄が生成されるが、スクラップを装入することなく
鉱石のみを装入して操業する場合、高O/C化に伴って
鉱石層厚が厚くなると、鉱石層の還元率が低下して溶融
開始温度が低下するので、鉱石が溶融を開始してから滴
下するまでに時間がかかり、これが融着帯の厚さを薄く
できない一つの大きな要因となっていた。
【0004】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、高O/C操業時における融着帯の厚さを薄くして、
鉱石層の通気性および鉱石の到達還元率を向上でき、ま
た鉱石の溶融開始温度と滴下開始温度との差を低減でき
る高炉操業方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載の高炉操業方法は、鉄鉱石焼結鉱などの鉄原料とコ
ークスとを交互に装入すると共に羽口から微粉炭を吹き
込みつつ操業する高炉操業方法において、3〜50mmの
粒度で、炭素を0.5〜5重量%含有した炭素含有鉄
を、前記鉄原料に対して1.0〜6.5重量%混合して
装入するように構成されている。
【0006】
【作用】請求項1記載の高炉操業方法は、炭素含有鉄は
Fe−C系状態図から明らかなように、その融点が純
鉄、すなわち鉱石に比べて低いので、図1(a)、
(b)に示すように、鉱石と混合して炉内に装入する
と、鉱石11より先に炭素含有鉄12が溶融して溶け落
ち、鉱石層10の空隙率が増加して通気性が向上し、還
元ガスと鉱石の接触面積が増加することにより、鉱石の
到達還元率が向上する。これを示したのが、図3に示
す、鉱石中の炭素含有鉄の配合割合と、還元率との関係
を示すグラフである。グラフ中、折れ線aは炉内を降下
する鉱石の温度が900°Cに達した時、折れ線bは同
1000°Cに達した時、折れ線cは同1100°Cに
達した時、折れ線dは同1200°Cに達した時を示し
ている。このグラフから明らかなように、鉱石中の炭素
含有鉄の配合割合が1.0〜6.5重量%のとき、炭素
含有鉄を配合していないベースの鉱石に比べて、還元率
が最高2%近く向上した。この配合割合が1.0重量%
未満であると前記空隙率生成効果を発現できず、また
6.5重量%を超えてしまうと、炭素含有鉄の融液が多
量に発生し、鉱石層の空隙や鉱石(特に焼結鉱)の気孔
を塞ぐ現象が顕著になり、通気性を悪化させて、図3に
示すように還元率が低下する。
【0007】また、図2に示すように、加熱されて融液
状態になった炭素含有鉄12に含まれる炭素は、隣合う
鉱石11の還元により生成した表層部11aの鉄と結合
し、浸炭が促進されて炭素含有鉄となる。これにより、
通常時、すなわち鉱石を単に溶融して生成した鉄の場合
より融点が低下し、ベースの鉱石だけを装入(炭素含有
鉄を装入しない)した場合より鉄の滴下が早く始まるの
で、図4のグラフに示すように、鉱石の溶融開始温度と
滴下開始温度との差(以下、ΔTという場合がある)が
低減でき、これにより融着帯の厚さがさらに薄くなり易
い。しかし、炭素含有鉄の炭素量が0.5重量%未満に
なると、鉱石表層部11aへの浸炭の発現が極めて少な
くなることから、これ以上の炭素含有鉄を使用する必要
がある。図4のグラフにおいて、炭素含有鉄を配合して
いないベースの鉱石のΔTは260°Cであったが、鉱
石中の炭素含有鉄の配合割合が1.0〜6.5重量%の
ときには、最大40℃低い220℃までΔTが低下し
た。
【0008】また、炭素含有鉄の粒度が3mm未満になる
と、高炉上部(炭素含有鉄が溶融しない位置)の鉱石層
で目詰まりを起こし、空隙率の減少を招いて通気性が悪
化し、さらには炭素含有鉄の溶融後においても、鉱石層
の空隙率の増加効果がほとんどない。さらに、炭素含有
鉄の粒度が50mmを超えると、鉱石層中に均等に配合す
ることが難しくなり、空隙率の生成および浸炭の効果が
充分に得られない場合がある。
【0009】
【実施例】続いて、本発明を具体化した実施例につき説
明し、本発明の理解に供するが、本発明はこれらの実施
例に限定されないのは言うまでもない。
【0010】実施例1〜5、比較例1〜5 内容積5000m3 級の超大型高炉を用い、表1、2に
示す操業条件で鉱石を加熱・還元することにより溶銑を
得た。なお、表において、実施例および比較例は、互い
に同一番号どうしを対比配置している。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】表1、2から明らかなように、実施例1〜
5の高炉操業方法では、所定粒度の炭素含有鉄を、鉄原
料に対して1.0〜6.5重量%混合させたことによ
り、比較例1〜5のものより、燃料比(コークス比と微
粉炭比の合計)が2〜23Kg/T-pigだけ低減し、炉頂ガ
ス利用率が0.6〜2.0%向上し、出銑量が最高19
0T/D向上し、通気抵抗指数は0.05〜0.15だ
け低下し、ソリューションロスカーボンは1〜3Kg/T-p
igだけ低減し、溶銑中シリコンが0.02〜0.06%
減少した。これにより、高炉操業は安定化し、生産弾力
性が向上した。なお、比較例1は炭素含有鉄を炉内に装
入しなかった時の例である。比較例2は炭素含有鉄の粒
度が2mmと小さく、比較例4は粒度が60mmと大きく、
いずれも本発明の範囲を外れた例である。比較例3は、
炭素含有鉄の鉱石層中への配合割合が7重量%と多く、
比較例5は0.5重量%と少なく、いずれも本発明の範
囲を外れている。
【0014】
【発明の効果】請求項1記載の高炉操業方法において
は、このように高炉に使用する鉄原料として、3〜50
mmの粒度で、炭素を0.5〜5重量%含有した炭素含有
鉄を、前記鉄原料に対して1.0〜6.5重量%混合し
て装入したので、鉱石より先に炭素含有鉄が溶融して溶
け落ち、鉱石層の空隙率が増加して通気性が向上し、こ
れにより鉱石の到達還元率が向上する。しかも、融液に
なった炭素含有鉄中の炭素が、鉱石表層部に浸炭し、こ
れにより通常時より鉄の融点が低下するので、鉱石の溶
融開始温度と滴下開始温度との差が低減でき、融着帯の
厚さが薄くなり易くなる。以上のことから、高炉操業を
安定化でき、生産弾力性も向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) 本発明の一実施例に係る高炉操業方法
における鉱石層の炭素含有鉄が溶融する前の状態を示す
要部拡大断面図である。 (b) 同鉱石層の炭素含有鉄が溶融した後の状態を示
す要部拡大断面図である。
【図2】同融液状態の炭素含有鉄中から鉱石側へ炭素が
移行する説明図である。
【図3】同鉱石中の炭素含有鉄の配合割合と、還元率と
の関係を示すグラフである。
【図4】鉱石中の炭素含有鉄の配合割合と、鉱石の溶融
開始温度と滴下開始温度との差との関係を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
10 鉱石層 11 鉱石 11a 表層部 11b 未還元部 12 炭素含有鉄

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄鉱石焼結鉱などの鉄原料とコークスと
    を交互に装入すると共に羽口から微粉炭を吹き込みつつ
    操業する高炉操業方法において、 3〜50mmの粒度で、炭素を0.5〜5重量%含有した
    炭素含有鉄を、前記鉄原料に対して1.0〜6.5重量
    %混合して装入したことを特徴とする高炉操業方法。
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