JP2969225B2 - Mn―Cr系非磁性鋼の機械構造部品 - Google Patents

Mn―Cr系非磁性鋼の機械構造部品

Info

Publication number
JP2969225B2
JP2969225B2 JP26226890A JP26226890A JP2969225B2 JP 2969225 B2 JP2969225 B2 JP 2969225B2 JP 26226890 A JP26226890 A JP 26226890A JP 26226890 A JP26226890 A JP 26226890A JP 2969225 B2 JP2969225 B2 JP 2969225B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
treatment
carbonitriding
layer
nitriding
steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP26226890A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04141572A (ja
Inventor
喜久男 前田
碩一 中島
昌文 上田
浩一 奥上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ENUTEIENU KK
Original Assignee
ENUTEIENU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ENUTEIENU KK filed Critical ENUTEIENU KK
Priority to JP26226890A priority Critical patent/JP2969225B2/ja
Publication of JPH04141572A publication Critical patent/JPH04141572A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2969225B2 publication Critical patent/JP2969225B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はMn−Cr系オーステナイト非磁性鋼によって製
作され、浸炭窒化法などの熱処理により表面硬化された
非磁性軸受体その他の非磁性機械構造部品とその製造方
法に関する。
(従来の技術) 近年、磁気浮上モータカーや核融合炉の開発が進めら
れ、強磁場を発生させる超伝導技術が実用化の階段に至
るに伴い、軸受の技術分野においても、強磁場で使用可
能な軸受の開発が要求されている。例えば、上記の磁気
浮上モータカーは、車体下部の超電導磁石と地上部のコ
イルとの間の磁気的反発力と推進力とによって、車体を
浮上させて、進行するのであるが、始動時又は減速時に
は、浮力が不足するので、車輪をもって車体を支持し、
走行に供するのである。車輪の車軸を軸支する軸受は、
車軸の回転に伴い、超電導磁石からの強い磁界を切っ
て、回転するため、炭素鋼や合金鋼などの強磁性体によ
って作製されている場合、軸受の転動体のみならず、軌
道輪も表面近傍に誘導電流を発生し、この誘導電流の磁
気相互作用により、回転を妨げる反対トルクを生じ、
又、渦電流損失による軸受体の温度上昇を伴って、軸受
体は、焼き付きを生じ、使用不能となる事態も予想され
る。
強磁場で使用される軸受体の渦電流の発生を防止する
技術には、従来から、軸受体自体を常磁性体で構成する
方法が知られており、軸受に適用可能な非磁性材料とし
ては、窒化珪素系などのセラミック材料が開発されてい
る。また、関連分野では、非磁性バネ材について、高マ
ンガン高クロム非磁性鋼の表面に窒化処理を施して、高
い表面機械的強度を得る方法(特開昭62−278258)も、
知られている。
(発明が解決しようとする課題) 軸受体を常磁性体で構成する方法は、常磁性体には、
軸受用としての機械的強度と特に表面硬度が要求される
が、この用件を満たすセラミック材料を利用するとすれ
ば、軸受用として強度は十分に有するけれど、硬度が高
すぎるため、研磨加工が著しく困難であり、軸受自体が
高価になるという欠点がある。
鉄鋼材料の中では、常音でオーステナイト相を有する
オーステナイト鋼は、非磁性を示し、一般に強度も高い
ことから、軸受素材に利用できそうであるが、軸受体に
要求される表面硬度を得る方法は実用化されていない。
上述の高マンガン高クロム非磁性鋼の窒化処理は、冷間
加工後に、500℃の温度下のアンモニア雰囲気中で、高
温保持をすることによって、当該鋼の表面に窒化層を形
成し、窒化物による表面硬化を実現したものであって、
非磁性バネ材の耐摩耗性や高応力化での疲労強度を改善
した。しかしながら、硬化は極く表面に限られ、その窒
化層の厚みは0.05mm以下であって、窒化層内部の母材
は、硬度が尚低く、軟質であるから、軸受体には使用で
きない。
軸受体は、表面硬度として、ロックウェルC硬さ55、
好ましくは、60以上が要求され、窒化処理などの熱処理
の後には、表面の精密研磨によつて表面から0.1mm程度
削除されるので、熱処理後の硬化層厚みとしては、0.2m
m程度は必要である。従つて、高マンガン高クロム系非
磁性鋼を単に、窒化処理したのでは、軸受体に所望され
る表面硬度は得られない。
本発明は、上記問題に対処すべくなされたものであっ
て、軸受体の要求する強度を有する非磁性鋼を軸受体に
使用して、これに表面硬度を付与する方法を明らかにし
て、強磁場中での使用可能な非磁性軸受体を提供し、ま
た強磁場中で使用される他の非磁性機械構造部品をも提
供しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明の非磁性機械構造部品は、Mn−Cr系オーステナ
イト非磁性鋼によって製作され、当該オーステナイト鋼
に予め窒化処理をして、その後に浸炭窒化処理をして形
成された窒素富化層による表面硬化層を有する非磁性機
械構造部品であり、特に、ロックウェルC硬度55以上の
硬さを有する当該表面硬化層の厚みが、浸炭窒化処理後
において、0.2mm以上であることを特徴とするものであ
る。
本発明は、上記非磁性機械構造部品の製造方法に関し
て、MN−Cr系オーステナイト非磁性鋼に予め窒化処理を
し、その後に、浸炭窒化処理をして、窒素富化層を形成
せしめることにより、所望の表面硬化層を得ることを特
徴とするものである。
以下に、本発明の構成を説明する。
Mn−Cr系オーステナイト鋼には、10〜20%Mn、3〜20
%Crを含有する鋼が使用される。また、オーステナイト
相の安定化のためNiが0〜5%の範囲で添加される。同
様の目的でnが0.25%まで添加されることがある。この
鋼は、あらかじめ鍛造と機械加工により成形品の粗仕上
げ段階まで、最終の精密仕上げの削り代を残して、機械
構造部品に加工される。
当該Mn−Cr系オーステナイト鋼は、第1段階の熱処理
として、窒化処理がされる。この窒化法は、普通鋼や低
合金鋼を対象にされる軟窒化法あるいは、窒化用鋼を対
象とするガス窒化法と同様の方法を採用することができ
る。軟窒化法を利用する場合は、カリウムもしくはナト
リウムのシアン化塩とシアン酸塩と炭酸塩の混合浴中に
浸漬して、550〜600℃の温度範囲で、1〜2hr保持した
後、空冷する。又は、アンモニア性分割ガス中で、500
〜600℃の比較的低温で1〜2hrの短時間もしくは50hr以
内の長時間の加熱保持をして実施される。
第2段階の熱処理として、浸炭窒化性雰囲気中で浸炭
窒化処理がされる。この方法は、普通鋼等の浸炭窒化法
の概ね同じで良いが、一酸化炭素を含む炭化水素とアン
モニアとの混合ガス中で、700〜900℃の比較的高温に加
熱保持されて後冷却される。この浸炭窒化処理の加熱時
間は、表面からロックウェルC硬度55以上の硬さを有す
る当該表面硬化層の厚みが2mm以上になるようにするた
めには、6〜12hrを必要とする。
また、窒化処理と浸炭窒化処理とは、連続工程で行う
ことができる。この場合は、窒化性雰囲気又は浸炭窒化
性雰囲気の中で、500〜600℃の温度に保持して後、700
〜900℃に昇温して、この温度範囲に長時間保持して後
常温に冷却する。
本発明の非磁性機械構造部品には、軸受体の転動体と
軌道輪があり、また歯車、カムなど、上記表面処理によ
り、相当表面硬化層を有する非磁性部品が含まれる。
(実施例) 以下に、本発明の実施例を説明する。
供試材は、C0.60%、Si0.95%、P0.02%、S0.005%、
Mn12.5%、Ni2.4%、Cr10.2%、V2.2%の組成を有し、
熱間鍛造により直径12mm、長さ12mmの円筒の形状に加工
し、この供試材を電気炉内1150℃に1hr加熱した後、水
冷して、溶体化処理を行った。
次いで、当該供試材をKCN−NaCN−炭酸塩系溶融塩窒
化炉中で、580℃で、1hrの浸漬加熱をおこない、水中冷
却した。
窒化処理後の供試材は、ロータリーレトルト炉レトル
ト中に装入して、浸炭性ガス(CO20〜25%、H230〜50
%、N228〜45%、CO21%、H2O1%)にプロパン0.42%、
アンモニア7.5%を混合して混合ガス12Nm3で供給し続
け、840℃で6hrないし12hr加熱保持して後、加熱炉か
ら、レトルトを引き出して、冷却して、試片Jを得た。
その後は、焼入れ焼戻しをすることなく、切断面の顕微
鏡組織観察とマイクロヴィッカース硬度試験に供すると
共に、また、表面研磨を行って、軸受の転がり寿命試験
に供した。
比較例として、上記の溶体化処理をした供試材を使用
して、次の熱処理をも行ない、実施例と同様の試験を行
った。
(1);700℃、4hrの加熱による時効硬化処理をした
(試片A)。
(2);実施例の窒化処理と同一条件の下で、窒化処理
のみを行った(試片B)。
(3);実施例の浸炭窒化処理と同一条件の下で、浸炭
窒化処理のみを行った(試片C)。
(4);浸炭用ピット炉に装入して、浸炭処理のみを行
った(試片D)。浸炭条件は、940℃、225min(カーボ
ンポテンシャル1.25)の浸炭後、940℃、135min(同1.1
5)の拡散処理し、焼入れのため850℃、135min(同0.
7)の加熱保持して、120℃油中急冷するものであった。
但し、カーボンポテンシャルの数値は、炭素鋼に対する
もので、単にCO/CO2組成を間接的に表示しているにすぎ
ない。
(5);実施例の窒化処理と同一条件の下で、窒化処理
を行った後、840℃で6hrの真空中加熱又は大気中加熱を
行った(試片K)。
(6);実施例の窒化処理と同一条件の下で、窒化処理
を行った後、比較例(4)の浸炭処理と同一条件の下
で、浸炭処理を行った(試片L)。
(7);実施例の浸炭窒化処理と同一条件の下で、先に
浸炭窒化処理を行ない、その後に実施例の窒化処理と同
一条件の下で、窒化処理を行った(試片M)。
(8);実施例の浸炭窒化処理と同一条件の下で、浸炭
窒化処理を行った後、比較例(4)の浸炭処理と同一条
件の下で、浸炭処理を行った(試片N)。
本実施例の窒化−浸炭窒化の処理試片(J)について
の表面近傍の顕微鏡組織写真とヴィッカース硬度曲線を
第1図に示すが、同図a)の顕微鏡組織は、浸炭窒化処
理時間6hrの場合であって、極く表面に近い部分で、析
出層が見られ、この析出層から内部に向かって、拡散層
が認められ、析出層と拡散層とは、窒素富化層を構成し
ている。同図b)に示した硬度曲線から、浸炭窒化処理
時間6hrの場合(図中の記号●)は表面から0.05〜1.0mm
の位置で、ヴィッカース硬度Hv700であり、更に内部で
は0.2mm位置でHv約500に低下し、内部に至る程硬度は低
下する。この硬度の低下する範囲は、概ね上記の拡散層
と対応している。また、浸炭窒化処理時間12hrの場合
(図中の記号○)は、表面から0.1mmの位置で、ヴィッ
カース硬度Hv750の最高値を示し、これはロックウェル
C硬度Hrc60以上に当り、また0.3mmの位置でHv約500に
低下している。転がり軸受体として実用上重要な硬さの
下限は、ロックウェルC硬度Hrc55、ヴィッカース硬度H
vで600を必要とするから、表面から研削代0.1mmを削除
した転動部表面の硬度は、Hrc60以上で、その表面から
0.2mmの範囲の硬化層では、軸受に要求される相当硬度
を確保することができる。
次に、比較例を検討するに、比較例(1)の時効硬化
理のみを実施しても、第2図b)試片Aの強度曲線に示
すように、表面層の硬度は、内芯部の硬度Hv330と変わ
りなく、軸受体としては軟質であって、利用できない。
比較例(2)は、窒化処理のみ行ったものであるが、
第3図b)の試片Bの硬化曲線が示すように、表面から
0.05mmの位置での硬度がHv500程度まで上昇するが、0.1
mm以上の内芯部では、硬度はHv400以下である。この硬
化曲線と、同図a)の試片表層部の顕微鏡組織を対応さ
せると、表面硬化層が、表面の窒化層もしくは拡散層と
概ね一致しており、短時間の窒化処理のみでは、十分な
拡散層は得られず、硬化層は薄い。なお、窒化処理時間
を10Hrと長くした場合も実施したが硬化はみられなかっ
た。即ち溶体化処理後窒化処理のみ実施しても、軸受体
用の表面硬度は得られず、研削代を削除すればもはや軟
質材料にすぎない。
比較例(5)は、窒化処理後に大気中と真空中で高温
加熱保持したものであるが、第5図b)に示すように、
高温保持により表面の極く近傍の硬度は減じ、より内芯
部に緩やかな硬度勾配となる。但し、同図a)に示すよ
うに、表面部は、0.05mm以下の薄い拡散層が残存してい
る。
比較例(6)の窒化処理後に浸炭処理をした場合は、
6図a)、b)に示すように、浸炭処理の効果は認めら
れず、窒化処理のみ実施した場合よりも軟化する。
次に、比較例(3)の浸炭素窒化処理をみ行った場合
は、第4図(図中の記号○)に示すように、表面硬化は
全く生ずることはなく、また、比較例(4)の浸炭処理
のみ行った場合は、同図(図中の記号●)に示すよう
に、内芯部よりも表層部が軟化する挙動され示し、何れ
も単独の熱処理は効果がないことがわかる。また、比較
例(7)の浸炭窒化処理を行った後に窒化処理を行った
場合(第7図b)中記号●)、及び比較例(8)の浸炭
窒化処理を行った後に浸炭処理を行った場合(第7図
b)中記号○)は、ともに表面硬化を生ぜず、顕微鏡組
織を見ても、表層部と内芯部はほぼ均一な組織を示す。
以上述べた如く、本発明のMn−Crオーステナイト鋼の
窒化後浸炭窒化処理を行うことにより、研削代削除後の
表面硬度と相当深さの硬化層を得ることが可能となるの
であって、窒化、浸炭窒化もしくは浸炭の各処理を単独
で、又は本発明の処理方法とは異なる組合せをしても十
分な表面硬化は得られないのである。
次に、表1に、本発明の熱処理の試片Jの初透磁率μ
の測定結果を示す。比較例として、時効処理のみ行った
試片Aと、代表的な軸受用マルテンサイト鋼の測定結果
も併記した。
このように、Mn−Cr系オーステナイト鋼は、本発明の
窒化−浸炭窒化処理を行っても、透磁率は低く、非磁性
鋼として扱うことができる。
表2には、窒化−浸炭窒化処理を行った当該オーステ
ナイト鋼を研削して、転動試験片とし、軸受鋼製の径20
mmのころを相手にして、負荷速度20400cpm(回転速度10
200rpm)で転動する転がり寿命の試験の結果を示す。
表2から転がり寿命は、車両用に中程度の荷重で使用
される軸受として十分に実用になる数値をしめしてい
る。
(作用) 本発明に適用される材料は、Mn−Cr系のオーステナイ
ト鋼であり、非磁性を示す。このMn−Cr系のオーステナ
イト鋼の表面部を硬化するには、1段階の工程に、窒化
処理を行って後、第2段階の工程として、浸炭窒化処理
がなされる。
第1段階の熱処である窒化処理によって、当該鋼の表
面から極薄い窒化層が形成され、表面は硬くなる。しか
し、この層は、50μm以下であるので、硬化層も著しく
薄く、表面の精密研磨を行って、機械構造部品に提供さ
れる用途には、この窒化法単独では、実用的ではない。
しかしながら、窒化処理の代りに、浸炭窒化処理や浸
炭処理行っても、何ら表面部には窒化層或いは他の化合
物層を形成することはできず、表面硬化は生じないが、
低温である程、表面窒化物の形成に有利であり、浸炭窒
化性ガスに窒化能があったとしても、浸炭窒化処理の高
温度では、表面に窒化物は形成され難いのである。この
傾向は、炭素鋼における浸炭窒化性ガスの表面層におけ
る炭素−窒素の浸透に及ぼす温度の影響と近似してい
る。
第1段階の窒化処理の後、第2段階の熱処理である浸
炭窒化によって、相当厚みをもって、当該硬化層表面近
似の化合物層と、その内部にいたる拡散層から成る窒素
富化層によって硬化層が形成される。この第2段階の熱
処理で、浸炭窒化処理に代えて、真空中もしくは大気中
での高温保持や高温での浸炭処理では表層部の化合物層
は極めて薄く存在するか、もしくは消滅して、ほとんど
表面硬化に寄与しないが、これは、気相側から窒素が供
給されることなく、表面部の濃縮した窒素が内芯部に拡
散して、希釈されるからである。これに対して第2段階
の浸炭窒化処理により、気相側からの窒素の補給と、内
芯部への窒素の拡散とによって、化合物層成長と拡散層
の緩やかな濃度勾配が生ずるのである。この場合、前述
のように窒化処理をすることなく浸炭窒化処理のみを実
施しても、表面部組織になんら変化を生じないことを考
慮すれば、浸炭窒化処理の際には、表面部には窒化物層
が存在して、この窒化物層を介在して、気相側から内芯
部への窒素の移動を容易にするものと考えられる。
高Mn高Cr含有鋼である当該オーステナイト鋼は、窒化
物生成元素MnとCrを多量に含有し、特に、Cr窒化物は、
鋼を硬化し、窒化−浸炭窒化の2重処理によって、表面
から浸透拡散した窒素は、Cr窒化物として固定されて、
表面の近傍に窒化物層を形成して、硬化層となり、表面
を著しく硬化する。当該オーステナイト鋼にVに含有す
るとき、当該窒化層に生成したV窒化物は、一層硬化に
寄与する。
本発明の適用鋼種がV含有Mn−Cr系オーステナイト鋼
であるときは、溶体化処理を実施した後、窒化−浸炭窒
化処理により、内芯部は、時効硬化により強化され、前
述の表層部のVによる硬化の効果とともに、表面硬化層
を有する強靭な機械構造部材が形成される。
また、表面硬化の原因となる窒化物は、非磁性である
から、本発明の熱処理方法によって製作された軸受体そ
の他の構造部材は、非磁性となる。
(発明の効果) 本発明の非磁性構造部品の製造方法を実施すれば次の
ような効果を奏する。
1.Mn−Cr系オーステナイト鋼は、窒化−浸炭窒化の熱処
理がなされて、当該鋼の表層部には、硬化した化合物層
と拡散層が形成され、拡散層においても転がり軸受体に
要求されるロックウェルC硬度55以上となる相当厚みが
得られ、精密加工のための削り代を削除した後において
も、転がり軸受体にとり十分な表面硬度が得られる。硬
化層の厚みは、浸炭窒化処理時間によって調整すること
ができる。
2.Mn−Cr系オーステナイト鋼は非磁性鋼であり、窒化−
浸炭窒化処理により形成される窒化物層も非磁性である
から、表面硬化層を有する非磁性軸受体を製作すること
ができる。
3.本発明の窒化処理と浸炭窒化処理とは、いずれも炭素
鋼もしくは窒化鋼を対象にされる軟窒化法と浸炭窒化法
とを利用することができるから、本発明のMn−Cr系オー
ステナイト鋼の表面処理には、既存の表面処理設備を使
用して、従来の表面処理方法をそのまま適用することが
でき、従って、多量にかつ安価に熱処理を実施すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図a)は、に本発明の実施例の窒化−浸炭窒化処理
した後のMn−Cr系オーステナイト鋼の表面近傍の金属組
織の顕微鏡写真と、同図b)は、同実施例の鋼表面から
の各深さにおけるヴィカース硬度を示す硬度曲線図を、
第2図a)、b)は、溶体化処理のみ行った比較例(試
片A)の第1図同様図を、第3図a)、b)は、窒化処
理のみ行った比較例(試片B)の第1図同様図を、第4
図は、浸炭窒化処理のみ(試片C)と、浸炭処理のみ
(試片D)とを行った比較例のヴィカース硬度曲線図
を、第5図a)、b)は、窒化処理後に真空中もしくは
大気中加熱処理した比較例(試片K)の第1図同様図
を、第6図a)、b)は、窒化処理後に浸炭処理した比
較例(試片L)の第1図同様図を、第7図a)、b)
は、浸炭窒化処理後に、窒化処理(試片M)もしくは浸
炭処理(試片N)をした比較例の第1図同様図を、それ
ぞれ示す。 (符号の説明) A……試片A、B……試片B、C……試片C、J……試
片J、K……試片K、L……試片L、M……試片M、N
……試片N。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 8/20 - 8/78

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Mn−Cr系オーステナイト鋼に、予め窒化処
    理をし、その後に浸炭窒化処理をして形成された窒素富
    化層による表面硬化層を有する非磁性機械構造部品。
  2. 【請求項2】ロックウェルC硬度55以上の硬さを有する
    当該表面硬化層の厚みが、浸炭窒化処理後において、0.
    2mm以上である請求項1記載の非磁性機械構造部品。
  3. 【請求項3】Mn−Cr系オーステナイト鋼に、予め窒化処
    理をし、その後に浸炭窒化処理をして、窒素富化層を形
    成させることにより、所望の表面硬化層を得る非磁性機
    械構造部品の製造方法。
  4. 【請求項4】窒化処理をし、引続き、昇温して浸炭窒化
    処理をする請求項2もしくは3記載非磁性機械構造部品
    の製造方法。
JP26226890A 1990-09-28 1990-09-28 Mn―Cr系非磁性鋼の機械構造部品 Expired - Fee Related JP2969225B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26226890A JP2969225B2 (ja) 1990-09-28 1990-09-28 Mn―Cr系非磁性鋼の機械構造部品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26226890A JP2969225B2 (ja) 1990-09-28 1990-09-28 Mn―Cr系非磁性鋼の機械構造部品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04141572A JPH04141572A (ja) 1992-05-15
JP2969225B2 true JP2969225B2 (ja) 1999-11-02

Family

ID=17373433

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26226890A Expired - Fee Related JP2969225B2 (ja) 1990-09-28 1990-09-28 Mn―Cr系非磁性鋼の機械構造部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2969225B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005114144A (ja) * 2003-10-10 2005-04-28 Ntn Corp 転がり軸受
WO2005036003A1 (ja) * 2003-10-10 2005-04-21 Ntn Corporation 転がり軸受
JP2005249161A (ja) * 2004-03-08 2005-09-15 Ntn Corp ジョイント用爪付き転動軸
JP4475985B2 (ja) * 2004-03-08 2010-06-09 Ntn株式会社 ジョイント用爪付き転動軸
MY185935A (en) * 2011-02-14 2021-06-14 Yamaha Motor Co Ltd Steel part, single-cylinder internal combustion engine, saddled vehicle, and process for manufacture of steel part

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04141572A (ja) 1992-05-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5611828B2 (ja) ベアリング用鋼から形成された回転要素又は回転リング
JP4560141B2 (ja) 表面硬化用機械構造用鋼及び機械構造鋼部品
JP4800444B2 (ja) 表面硬化用機械構造用鋼及び機械構造用部品
JP5535922B2 (ja) 鋼のための熱処理プロセス
US6966954B2 (en) Spall propagation properties of case-hardened M50 and M50NiL bearings
KR100898679B1 (ko) 고농도 침탄·저변형 담금질부재 및 그 제조방법
JPH0826446B2 (ja) 転がり軸受
WO2011013559A1 (ja) 複合熱処理方法及び焼入れ鉄鋼部材
US3737204A (en) Extended life bearing
JP3787663B2 (ja) 転がり軸受の熱処理方法
JP2969225B2 (ja) Mn―Cr系非磁性鋼の機械構造部品
JPH0835054A (ja) 肉薄の構造部分を熱化学的に処理する方法
JP3792341B2 (ja) 冷間鍛造性及び耐ピッチング性に優れた軟窒化用鋼
JP2006241480A (ja) 転がり支持装置、転がり支持装置の転動部材の製造方法、鋼の熱処理方法
JP2961768B2 (ja) 転がり軸受
JPH05331615A (ja) 非磁性鋼製転がり軸受部品
KR102463834B1 (ko) 금속 부품의 침탄질화 열처리 방법
JP3047088B2 (ja) 転動体を有する機械部品
KR20120111077A (ko) 고내구성 및 고내식성 철강소재 기계부품의 표면개질 처리방법
JP3982368B2 (ja) 転動装置
JP2019508634A (ja) 駆動ベルト用の横断エレメント、駆動ベルト、および該横断エレメントを製造する方法
JPH01283430A (ja) 転動疲労寿命特性に優れた軸受
JPH05118336A (ja) 転がり軸受
JP2006183845A (ja) 転がり軸受
JP2006002194A (ja) 軸の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080827

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080827

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090827

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090827

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100827

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees