JP2967278B2 - 密封装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は特にほぼチユーブ状のハウジングとスピンド
ルとの間に互いに軸方向に移動可能に且つ回転可能に配
設される隙間調整器に採用せしめられる密封装置に関す
る。

（従来の技術） 各ブレーキ動作時にスピンドルとハウジングとが軸方
向及び回転方向の双方に相対移動可能な車両用隙間調整
器は当業者に周知である。この場合、スピンドルハウジ
ングとの間の密封部は隙間調整器を取り付ける車両の下
部の環境が極めて悪くなくとも高い摩擦を受ける。

ハウジングに対する従来の代表的な密封構成としては
スピンドルと係合する１または複数の内部密封リングが
挙げられる。これら密封リングはゴムリングより耐摩耗
性の高いプラスチツク材料で形成される。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、この密封部はある期間動作させるとそ
の密封性が悪くなり、汚染物が隙間調整器内に入り込み
錆びが生じて隙間調整器が故障する欠点があつた。

従つて本発明の目的はハウジングとスピンドルとが連
続的に相対移動する際に生じる摩耗を最小限に押さえ得
る密封装置を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本発明によれば上記目的は、カツプ部材がスピンドル
と共に移動可能で、且つスピンドルと密封リングとを当
接させるように設けられ、カツプ部材の内径はスピンド
ルの径より大にされ、カツプ部材はスピンドルに沿いハ
ウジングの自由端部を越えて延設されてなることを特徴
とする密封装置を提供することにより達成される。

（作用） 上述のように構成された本発明の密封装置によれば、
ハウジングの端部を越えて延びるカツプ部材が回転方向
に亘り、所定の長さを越えない範囲で軸方向にスピンド
ルと共に移動可能であるから、密封リングは摩耗を殆ど
受けない。

また密封部に対し遠位置にあるカツプ部材の端部から
ハウジング内への異物の侵入を防止するように、カツプ
部材に内径がハウジングの内径より僅かに大の内部リン
グが具備され、内部リングにより保護機能のみならずカ
ツプ部材をハウジング上で案内する機能をも有する。

この保護構成にもかかわらず、一部湿気若しくは水が
カツプ部材内に侵入する。この湿気若しくは水がカツプ
部材から容易に放出され得るようにするため、カツプ部
材の壁部が内側へ傾斜して設けられる、即ちカツプ部材
の径はスピンドルと当接する端部より自由端部に向うに
応じ大になる。更に、カツプ部材の内部リングにはカツ
プ部材の内面との間に複数の穴が形成され、このため水
が穴を介してカツプ部材から自由に放出され得る。

上述した如く、カツプ部材内部においてハウジングに
所定の相対移動を行わせることが可能である。即ちハウ
ジングをカツプ部材との重なりが小さくなる方向に大き
く移動するときカツプ部材の相対移動を所定の範囲に収
めるため、ハウジングにカツプ部材の内部リングと係止
する円周棟部が具備される。またハウジングを軸方向に
大きく移動させる際上記の反対方向即ちカツプ部材との
重なりが大となる方向である場合に所定の相対移動を行
わせるようにカツプ部材にハウジングの自由端部と係止
するような密封リング近傍に設けた内部当接部をカツプ
部材に具備せしめることになる。

（実施例） 本発明の基礎的な事項の理解を促進するため第１図の
車両用の軸形隙間調整器の一般的な構成を示しており、
スピンドル１が軸方向に前後に移動可能に且つ実質的に
チユーブ状のハウジング２に対し相対回転可能に設けら
れる。また、チユーブ状のハウジング２内にはこのハウ
ジング２に対し相対移動可能であり、ハウジング２内へ
の異物の侵入を防止する密封装置が配設される。即ちチ
ユーブ状ハウジング２の拡大端部内に内径がスピンドル
１の径より僅かに大のプラスチツク材のインサート部材
３が配設され、且つインサート部材３とチユーブ状ハウ
ジング２との間に通常のＯリング４が両者を密封可能に
なるよに配設される。インサート部材３が形成される好
適な内部溝には１以上の（図示の場合、２個の）密封リ
ング５が嵌着される。密封リング５はリング５に加わる
応力に耐え得るよう、耐摩耗性のプラスチツク材で作成
されることが好ましい。各密封リング５にはこれを分割
したり内部バネリング６を具備させることにより所定の
たわみ度を与えることになる。しかしながらこの構成で
は各制御動作の都度相対移動されるので、密封装置の使
用寿命は短くなることが理解されよう。

第２図に本発明による密封装置が示されており、この
場合、円筒状のスピンドル１は軸方向において前後に移
動可能に且つ実質的にチユーブ状のハウジング７に対し
相対回転可能に設けられる。ハウジング７の自由端側に
は円周棟部８と、スピンドル１を回転自在にする反面緊
着に囲繞するハウジング端部９とが設けられる。

更に、傾斜角の小さなほぼ円錐台状のカツプ部材10に
より、ハウジング７の自由端側（即ち円周棟部８及びハ
ウジング部９）が囲繞される。またカツプ部材10の前端
部（即ち第２図の左端部）には密封リング11が装着され
ており、この密封リング11はスピンドル１に当し得るよ
うなゴム製のＯリングであることが望ましい。カツプ部
材10の他端部（右端部）は左端部より幾分径が大で且つ
径が左端部から右端部に向かつて次第に大になるように
設けられている。カツプ部材10の右端部には内径がハウ
ジング７の径より僅かに大きい内部リング12が形成され
る。内部リング12はカツプ部材10の案内機能を有する
上、カツプ部材10内への異物の侵入防止機能をも有して
いる。且つ内部リング12にはその円周方向に沿つてカツ
プ部材10の内面との間に複数の穴12′が形成される。こ
れによりカツプ部材10に侵入した水あるいは汚染物はこ
れらの穴12′からカツプ部材10の傾斜面に沿つて放出さ
れ得る。

第２図に示す本発明になる密封装置は、密封リング11
による密封部と、カツプ部材10と内部リング12とのラビ
リンス密封部と、円周棟部８とハウジング部９とによる
密封部とから構成されることになる。

しかしていま、通常の動作時カツプ部材10は密封リン
グ11及びスピンドル１に当接された状態で且つハウジン
グ７に対し軸方向及び回転方向に相対移動可能にしてス
ピンドル１を追従動作するので、密封リング11は実質的
に摩耗しない。一方、スピンドル１が軸方向に大きく移
動したときにのみ、ハウジング部９と内部の当接部10′
との当接、又はハウジング７の円周棟部８とカツプ部材
10の内部リング12との当接を介しカツプ部材10に力が伝
達される。このような大きな軸方向移動には頻繁に生ず
るものではないので、密封リング11の寿命が大巾に短縮
されることはない。

尚本発明の密封装置は車両用隙間調整器に使用する場
合について説明したが、同様な問題を有する他の分野の
装置にも採用可能である。

（発明の効果） 上述のように構成された本発明による密封装置におい
ては、摩擦を最小限に抑え得るから、耐用性を大巾に向
上することができる等々の顕著な効果を達成する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の密封装置を有する隙間調整器の一部を断
面で示す側面図、第２図は本発明の密封装置を有する隙
間調整器の一部を断面で示す側面図である。 １……ハウジング、３……インサート部材、４……Ｏリ
ング、５……密封リング、６……内部バネリング、７…
…ハウジング、８……円周棟部、９……ハウジング部、
10……カツプ部材、10′……内部当接部、11……密封リ
ング、12……内部リング、12′……穴。

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】チユーブ状のハウジングとスピンドルとの
   間に互いに軸方向に移動可能に且つ回転可能に配設され
   る隙間調整器に採用される密封装置において、カツプ部
   材がスピンドルと共に移動可能で、且つスピンドルと密
   封リングとを当接させ、カツプ部材の内径はスピンドル
   の径より大にされ、カツプ部材はスピンドルに沿い、ハ
   ウジングの自由端部を越えて延設され、且つこの延設さ
   れた、カツプ部材の部分に密封リングが配設されてなる
   ことを特徴とする密封装置。
2. 【請求項２】カツプ部材の、ハウジングの自由端部と反
   対側の一端部に内径がハウジングの内径より僅かに大で
   且つハウジングに覆設された内部リングが具備されてな
   る特許請求の範囲第１項記載の密封装置。
3. 【請求項３】カツプ部材の径はスピンドルと当接する端
   部の径より自由端部の径の方が大に且つ自由端部に向う
   に応じ次第に大に設けられ、カツプ部材の内部リングに
   おいてカツプ部材の内面との間に複数の穴が形成されて
   なる特許請求の範囲第２項記載の密封装置。
4. 【請求項４】ハウジングにはカツプ部材の内部リングと
   係止可能な円周棟部に具備されてなる特許請求の範囲第
   １項〜第３項のいずれか１項記載の密封装置。
5. 【請求項５】カツプ部材はハウジングの自由端部と係止
   する密封リング近傍に形成された内部当接部を有してな
   る特許請求の範囲第１項〜第４項のいずれか１項記載の
   密封装置。