JP2966823B2 - 変倍光学装置 - Google Patents

変倍光学装置

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JP2966823B2
JP2966823B2 JP31548097A JP31548097A JP2966823B2 JP 2966823 B2 JP2966823 B2 JP 2966823B2 JP 31548097 A JP31548097 A JP 31548097A JP 31548097 A JP31548097 A JP 31548097A JP 2966823 B2 JP2966823 B2 JP 2966823B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、被写体情報を変倍して受光面に
与える変倍光学装置に関し、特に物像間距離を変化させ
て変倍を行なう変倍光学装置に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】変倍光学装置は、例えば変
倍機能を持つ複写機に用いられ、また最近では、イメー
ジスキャナ、ファクシミリ、デジタル複写機等の、受光
素子としてCCD等の光電変換素子を用いた装置にも用
いられている。このような装置に用いられる変倍光学装
置は、物像間距離を一定に保持するズームレンズ系によ
るものと、固定焦点の結像レンズを用い、物像間距離お
よび結像レンズ位置を変化させて変倍を行なうものとに
大別される。前者は高精度の変倍が可能でしかも物像間
距離が変化しないという利点があるが、ズームレンズが
大型化するため、コスト、スペースの点から、小型化、
低コスト化を要求される装置への適用は難しい。これに
対し後者は、固定焦点レンズによるため安価であるが、
一般的に固定焦点レンズは特定の倍率位置において最良
の像が生じるように設計されるため、変倍を行なうため
に被写体面および像面に対して相対移動させると、結像
性能が大きく劣化するという問題点がある。
【0003】
【発明の目的】本発明は、物像間距離を変化させて変倍
を行なう小型で安価なタイプの変倍光学装置において、
全変倍範囲で結像性能の劣化の少ない装置を得ることを
目的とする。また本発明は、結像性能を向上させるため
に、構造が複雑化しない変倍光学装置を得ることを目的
とする。
【0004】
【発明の概要】本発明は、被写体面と、受光面と、被写
体面におかれた被写体の像を受光面に結像する結像レン
ズとを備え、変倍時には、被写体面と受光面との間の光
学的距離を変化させる変倍光学装置において、結像レン
ズを相対移動できる主レンズ群と補正レンズ群から構成
し、この主レンズ群と補正レンズ群のいずれか一方と受
光面を移動ベースに固定するとともに、主レンズ群と補
正レンズ群の他方を光軸方向に移動可能に支持し、さら
に、この移動ベースを変倍時に光軸方向に移動させて、
固定して設けた被写体面との距離を変化させる変倍手段
と、この移動ベースの移動位置に応じ、移動ベース上で
可動の主レンズ群または補正レンズ群を所定の位置に移
動させる補正手段とを備えたことを特徴としている。
【0005】移動ベースは、例えば、固定ベースに固定
されたガイドバーに移動自在に支持し、パルスモータに
よってその移動位置を制御することができる。そしてこ
の移動ベースに移動可能に支持した主レンズ群または補
正レンズ群は、移動ベースに枢着されたカムレバーの一
端に連動させ、このカムレバーの他端を、固定ベースに
一体に設けたカム面と係合させれば、移動ベースの移動
位置に応じ、主レンズ群または補正レンズ群を所定の位
置に移動させることができる。
【0006】あるいは、移動ベースに移動可能に支持し
た主レンズ群または補正レンズ群を、ギヤ列を介して別
のパルスモータにより、その移動位置を制御するように
してもよい。
【0007】以上は、物像間距離を変化させるために、
受光面を移動させる装置であるが、受光面および被写体
面を固定したまま、物像間距離を変化させることもでき
る。この装置は、被写体面の走査手段に改良を施したも
ので、固定された被写体面を走査する照明光源と、被写
体面で反射した照明光を被写体面と平行な方向に反射す
る第一ミラーを搭載した第一キャリッジ;第一ミラーで
反射した光をこれと反対の方向に折り返して上記結像レ
ンズに入射させる、第二ミラーおよび第三ミラーを搭載
した第二キャリッジ;この第一キャリッジと第二キャリ
ッジを2:1の速度比で被写体面と平行な同一方向に移
動させる走査駆動手段;および第一キャリッジと第二キ
ャリッジの初期位置を変倍率に応じて変化させる物像間
距離変更手段を備えている。この装置によれば、受光面
と被写体面の双方を固定することができ、従って、主レ
ンズ群と補正レンズ群のいずれか一方も固定することが
できる。
【0008】走査手段は、第一キャリッジと第二キャリ
ッジに結合された無端ワイヤを巻回した、直径比が1:
2の同軸の各一対のプーリと、このプーリを回転駆動す
るモータとから構成することができ、物像間距離変更手
段は、この直径比が1:2のプーリ間にクラッチ手段を
介在させて構成することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は本発明による変倍光学装置
の光学的な第一の構成例を示すもので、被写体面11と
受光面12との間に、結像レンズ群20が配置されてい
る。結像レンズ群20は、ともに正のパワーを持つ主レ
ンズ群(前群)21と補正レンズ群(後群)22とから
なっていて、補正レンズ群22が受光面12に対して固
定した関係にある。つまり補正レンズ群22と受光面1
2との距離LB は常に一定である。変倍は、この結像レ
ンズ群20の主レンズ群21を補正レンズ群22に対し
て所定の関係で移動させるとともに、被写体面11を受
光面12に対して所定の関係で移動させることで行なう
ことができる。すなわち被写体面11から結像レンズ群
20の主レンズ群21迄の距離LA は、変倍率に応じて
変化する。
【0010】この例では、変倍率が0.112x、0.168x、0.
224xと大きくなるにつれて被写体面11と受光面12が
接近し、同時に主レンズ群21が補正レンズ群22から
離れる方向に移動して、受光面12上に被写体面11に
置く被写体の像が結像される。
【0011】この第一の構成例において、結像レンズ2
0は結像するという性質上、全体として正のパワーを有
する。これに対し、補正レンズ群21もまた、倍率が増
大したとき焦点位置を受光面12に一致させるように補
正するという目的上、正のパワーを持つことが必要であ
る。そして補正レンズ群21の焦点距離をfBとし、結像
レンズ20全体の焦点距離をfとしたとき、0<f/fB
0.5 を満たすことが望ましい。0<f/fBを満たさない
と、補正レンズ群を固定することができず、f/fB<0.5
を満たさないと、全変倍範囲において焦点位置を補正す
ることができない。
【0012】図2は本発明による光学変倍装置の第二の
光学的な構成例を示すものである。第一の構成例と異な
る点は、主レンズ群21を受光面12に対して固定し、
補正レンズ群22を主レンズ群21に対して移動できる
ように構成した点である。この実施例では、主レンズ群
21と受光面12の距離LC が一定に保持され、変倍率
が大きくなるにつれて、補正レンズ群22が主レンズ群
21から離れていく。
【0013】図3は本発明を適用する機器の構成例であ
る。原稿台ガラス31は上記被写体面11に相当し、C
CD32は同受光面12に相当する。この原稿台ガラス
31は原稿33(被写体)を載置してその平面方向に移
動する。この原稿台ガラス31の下には、原稿33を照
明する照明光源34とミラー35が配設され、このミラ
ー35で反射した原稿33の像が結像レンズ群20を介
してCCD32に入射する。この実施例では、物像間距
離を変化させて変倍を行なうために、破線で示すよう
に、結像レンズ群20を支持したレンズ台36とCCD
32がミラー35に対して接離可能となっている。レン
ズ台36は、主レンズ群21と補正レンズ群22の一方
を固定し、他方を所定の関係で移動させる。
【0014】次に結像レンズ群20の具体例について本
発明を説明する。以下の具体例はいずれも図1の光学的
構成例に対応する。 [具体例1]表1および図4は、第一の具体例を示すも
のである。図4においてレンズ21a〜21fは一体の
主レンズ群21であり、補正レンズ群22は単レンズか
らなっている。
【表1】 F=4.0 0.112x 〜0.168x〜0.224x f= 39.149〜39.916〜40.721 d11=2.05 〜4.92 〜7.81 LA=370.37〜314.95〜261.77 LB=19.52 (一定) r1 22.28 d1 3.29 n1 1.80440 ν1 39.6 r2 52.26 d2 0.10 r3 13.14 d3 4.70 n2 1.79952 ν2 42.2 r4 39.37 d4 1.10 n3 1.80518 ν3 25.4 r5 8.69 d5 11.14 r6 -9.41 d6 1.70 n4 1.80518 ν4 25.4 r7 -13.36 d7 0.20 r8 -44.38 d8 3.52 n5 1.69680 ν5 55.5 r9 -14.90 d9 0.10 r10 41.20 d10 4.00 n6 1.69680 ν6 55.5 r11 42.56 d11 変化 r12-391.39 d12 2.50 n7 1.71300 ν7 53.9 r13 -76.59 ri; 第i面の曲率半径 di; 第i面と第i+1面の間隔 ni; 第iレンズのd線の屈折率 νi;第iレンズのアッベ数 f;結像レンズ群20全体の焦点距離(e線) LA;被写体面11から主レンズ群21迄の距離 LB;補正レンズ群22から受光面12迄の距離
【0015】図5は以上の結像レンズ群20の倍率m=0.
168x(設計値)におけるコマ収差図(e線)であり、図
6(A)および(B)は、補正レンズ群22を受光面1
2に対して固定し主レンズ群21を上の表のように移動
させた場合のm=0.112xおよびm=0.224xにおけるコマ収差
図(同)である。このようにm=0.112xおよびm=0.224xに
おけるコマ収差は、m=0.168xにおけるコマ収差とほとん
ど遜色がない。ちなみに、図7(A)および(B)は、
補正レンズ群22を主レンズ群21に固定して移動させ
た場合のm=0.112xおよびm=0.224xにおけるコマ収差を示
すもので、コマ収差の劣化が顕著に減少していることが
理解される。
【0016】[具体例2]表2および図8は、第二の具
体例を示すものである。図8においてレンズ21g〜2
1iは一体の主レンズ群21であり、補正レンズ群22
は単レンズからなっている。
【表2】 F=5.0 0.112x〜0.168x〜0.224x f= 29.905〜30.001〜30.098 d6= 1.12 〜2.96 〜4.81 LA=295.92〜207.49〜163.27 LB=25.0(一定) r1 10.37 d1 4.77 n1 1.80400 ν1 46.6 r2 20.03 d2 0.61 r3 -25.15 d3 0.70 n2 1.74077 ν2 27.8 r4 11.33 d4 1.26 r5 30.43 d5 1.83 n3 1.83481 ν3 42.7 r6 -18.07 d6 変化 r7 161.87 d7 1.80 n4 1.77250 ν4 49.6 r8 259.34 ri; 第i面の曲率半径 di; 第i面と第i+1面の間隔 ni; 第iレンズのd線の屈折率 νi;第iレンズのアッベ数 f;結像レンズ群20全体の焦点距離(e線) LA;被写体面11から主レンズ群21迄の距離 LB;補正レンズ群22から受光面12迄の距離
【0017】図9は以上の結像レンズ群20の倍率m=0.
168x(設計値)におけるコマ収差図(e線)であり、図
10(A)および(B)は、補正レンズ群22を受光面
12に対して固定し主レンズ群21を上の表のように移
動させた場合のm=0.112xおよびm=0.224xにおけるコマ収
差図(同)である。このようにm=0.112xおよびm=0.224x
におけるコマ収差は、m=0.168xにおけるコマ収差とほと
んど遜色がない。ちなみに、図11(A)および(B)
は、補正レンズ群22を主レンズ群21に固定して移動
させた場合のm=0.112xおよびm=0.224xにおけるコマ収差
を示すもので、コマ収差の劣化が顕著に減少しているこ
とが理解される。
【0018】次に、主レンズ群21と補正レンズ群22
の好ましい焦点距離比についての構成例を、表3ないし
表9、および図12ないし図18について説明する。こ
れらはいずれも主レンズ群21が移動し、補正レンズ群
22が受光面12に対して固定されたもので、主レンズ
群21は複合レンズ、補正レンズ群22は単レンズから
なり、かつ主レンズ群21および補正レンズ群22はと
もに正の焦点距離を持つ。また各表および各図の(A)
はレンズ構成図、同(B)、(C)、(D)はそれぞ
れ、変倍率が0.112x, 0.168x, 0.224xの場合の諸収差を
示す。各表には、主レンズ群21と補正レンズ群の焦点
距離fAとfB、およびその比fB/fAを示した。これらの各
表および各図から、2<fB/fA<8を満足すると、全変
倍率において良好な結像性能が得られることが理解され
る。また補正レンズ群22の後方の符合23は、平面ガ
ラスからなるCCD32のカバーガラス24である。従
ってその曲率半径r14,r15(r13,r14 またはr12,r13)はい
ずれも無限大(∞)である。
【0019】なお以下の各表においては、 ri; 第i面の曲率半径 di; 第i面と第i+1面の間隔 ni; 第iレンズのe線の屈折率 νi;第iレンズのアッベ数 f;結像レンズ群20全体の焦点距離(e線) LA;被写体面11から主レンズ群21迄の距離 LB;補正レンズ群22から受光面12迄の距離 である。
【0020】
【表3】(図12(A))
【0021】
【表4】(図13(A))
【0022】
【表5】(図14(A))
【0023】
【表6】(図15(A))
【0024】
【表7】(図16(A))
【0025】
【表8】(図17(A))
【0026】
【表9】(図18(A))
【0027】次に図19ないし図21について、以上の
変倍光学装置を具体的にした、本発明の実施例を説明す
る。固定の原稿台ガラス40(被写体面11)の下部に
は、固定ベース41が設けられており、この固定ベース
41に、原稿台ガラス40と平行なガイドバー42が固
定されている。このガイドバー42には、移動ベース4
4が移動自在に支持されており、この移動ベース44
に、主レンズ群21と補正レンズ群22からなる結像レ
ンズ群20が搭載されている。補正レンズ群22は、移
動ベース44と一体の固定鏡筒48に固定されており、
主レンズ群21は、固定鏡筒48に摺動可能に嵌めた摺
動筒50に固定されている。さらに移動ベース44に
は、補正レンズ群22の後方に位置させて受光面12と
してのCCD51が固定されている。
【0028】摺動筒50には、その下部に駆動ピン54
が突出形成されており、この駆動ピン54は、カムレバ
ー55の一端に穿けた連動孔56に嵌まっている。カム
レバー55は、軸57で移動ベース44上に枢着されて
おり、その他端には、カムフォロア58が枢着されてい
る。カムフォロア58は、固定ベース41に形成したカ
ム溝60と係合する。カム溝60は、ガイドバー42に
沿わせて形成されており、移動ベース44の移動に伴な
い、主レンズ群21を補正レンズ群22(CCD51)
に対して例えば図1の関係で移動させるように、その形
状が設定されている。
【0029】固定ベース41上には、パルスモータ62
が固定されており、その出力軸63は、親プーリ64と
同軸で一体のギヤ65と噛み合っている。また固定ベー
ス41上には、ガイドバー42の両端部に位置させて一
対のプーリ66、67が設けられており、これらの親プ
ーリ64、プーリ66および67間に滑りのないように
して巻回したワイヤ68の両端が、それぞれ移動ベース
44に固定されている。
【0030】原稿台ガラス40の下面には、照明走査光
学系70が配設されている。この照明走査光学系70
は、原稿台ガラス40上の原稿O(被写体)を走査し
て、その反射光を結像レンズ群20に入射させる周知の
ものである。この照明走査光学系70は、2:1の速度
比で移動する第一キャリッジ71と、第二キャリッジ7
2とを備え、第一キャリッジ71には、照明光源73
と、原稿Oで反射した照明光を被写体面と平行な方向に
反射する第一ミラー74とが搭載されている。また第二
キャリッジ72には、第一ミラー74で反射した光をこ
れと反対の方向に折り返して結像レンズ群20に入射さ
せる、第二ミラー75aと第三ミラー75bが搭載され
ている。なお図20、図21において、69は、移動ベ
ース44の位置検出足44aと協働して、移動ベース4
4の初期位置を検出制御するフォトインタラプタであ
る。
【0031】上記構成の本装置は、パルスモータ62を
駆動して移動ベース44を移動させることにより倍率を
変更することができる。すなわち移動ベース44を移動
させると、図1に示した関係とは逆に、被写体面11が
固定、および受光面12が移動する関係で物像間距離が
変化し、倍率が変更される。そして移動ベース44が移
動すると、移動ベース44に軸57で枢着されているカ
ムレバー55も移動し、この移動に伴ない、カム溝60
と当接しているカムフォロア58によって、カムレバー
55が軸57を中心に所定量揺動する。このカムレバー
55の揺動により、連動孔56および駆動ピン54を介
して、主レンズ群21が補正レンズ群22との相対位置
を変え、変倍に伴なう結像性能の劣化を防止する。
【0032】そして各倍率において、照明走査光学系7
0を走査すると、第一キャリッジ71は、図19に示す
符合71’、71”で示す位置に移動し、第二キャリッ
ジ72は、同じく符合72’、72”で示す位置に移動
して、原稿Oからの反射光を結像レンズ群20を介して
CCD51に結像させる。第一キャリッジ71と第二キ
ャリッジ72を2:1の速度比で移動させるのは、周知
のように、原稿OとCCD51間の光路長を一定にする
ためである。
【0033】図22ないし図26は、本発明のさらに他
の実施例を示すものである。この実施例は、原稿台ガラ
ス40とCCD51を固定しながら、照明走査光学系7
0Aによって、物像間距離を変化させる実施例である。
いま図22において、照明走査光学系70Aの第二キャ
リッジ72が、第一キャリッジ71に対して初期位置を
調整可能であるとする。すなわち、第二キャリッジ72
が符合72A、72Bで示すように、第一キャリッジ7
1に対して位置を変えることができ、その調整後の位置
関係により、両キャリッジ71、72が2:1の速度比
で原稿台ガラス40の下面を走行したとすると、原稿台
ガラス40とCCD51間の光学的距離、つまり物像間
距離は変化する。この実施例は、この着眼によって構成
されたものである。
【0034】そこで図23、図24について、この第一
キャリッジ71と第二キャリッジ72間の初期位置を変
更する手段を説明する。第一キャリッジ71と第二キャ
リッジ72は、それぞれガイドバー96および97によ
って、原稿台ガラス40の下面を移動自在に支持されて
いる。ガイドバー96の両端部には、プーリ軸76、7
7が配設され、このプーリ軸76、77にそれぞれ、直
径比が1:2の小プーリ78、79と、大プーリ80、
81が支持されている。そしてプーリ軸76と77の一
方のプーリ軸77は、パルスモータ82、そのピニオン
83、およびこのピニオン83と噛み合う、プーリ軸7
7と一体のギヤ84を介して回転駆動され、かつ、その
大プーリ81と小プーリ79の間には、クラッチ機構8
5が介在している。
【0035】そして、大プーリ80と81間に巻回した
ワイヤ86には、固定具87を介して第二キャリッジ7
2が固定され、小プーリ78と79間に巻回したワイヤ
88には、固定具89を介して第一キャリッジ71が固
定されている。
【0036】従って、上記照明走査光学系70Aによる
と、クラッチ85を切った状態でパルスモータ82を駆
動すると、第二キャリッジ72のみを移動させることが
できる。すなわち第一キャリッジ71と第二キャリッジ
72との初期位置を変えることができ、原稿台ガラス4
0とCCD51を固定したままで、図1のように、原稿
台ガラス40(被写体面11)とCCD51(受光面1
2)間の光学的距離を倍率に応じて変えることができ
る。そして、クラッチ85を接続した状態でパルスモー
タ82を駆動すれば、第一キャリッジ71と第二キャリ
ッジ72を2:1の速度比で移動させることができる。
【0037】次に固定ベース41上の結像レンズ群20
の支持調整構造を図22、図25、および図26につい
て説明する。固定ベース41上には、固定鏡筒48が固
定されており、この固定鏡筒48に補正レンズ群22が
固定され、補正レンズ群22の後方にCCD51が固定
されている。固定鏡筒48には、主レンズ群21を固定
した摺動筒50が直進移動自在に嵌められている。以上
の構造は、図19ないし図21の構造と同じである。
【0038】摺動筒50にはその下面に、ラック90が
固定されており、原稿台ガラス40には、このラック9
0と噛み合うピニオン91を有する駆動軸92が回転自
在に支持されている。この駆動軸92は、パルスモータ
93およびこれの出力ピニオン94に連なるギヤ列95
を介して回転駆動される。従って、上記照明走査光学系
70Aによる第一キャリッジ71と第二キャリッジ72
の初期位置の調整、つまり設定倍率に応じ、主レンズ群
21と補正レンズ群22が所定の間隔になるように、パ
ルスモータ93を駆動制御すれば、原稿台ガラス40と
CCD51を固定したままで、物像間距離を変化させる
倍率変更、および変更に伴なう結像性能の劣化の防止を
同時に行なうことができる。このような制御は、第一キ
ャリッジ71と第二キャリッジ72の初期位置と、パル
スモータ93に与える駆動パルスの関係をあらかじめ求
めることにより、簡単に行なうことができる。
【0039】この実施例に示した主レンズ群21の移動
機構は、図19ないし図21に示した実施例におけるカ
ムレバー55、カム溝60等による主レンズ群21の移
動機構に代えることができる。図27はその実施例を示
すもので、固定ベース41上のガイドバー42に移動自
在に支持された移動ベース44’に、図22、図25お
よび図26の固定ベース41上に支持された要素が搭載
されている。移動ベース44’自体の移動制御は、図1
9ないし図21の実施例と同様に行なうことができる。
図27においては、前の実施例と同一の構成要素には同
一の符合を付した。
【0040】
【発明の効果】以上のように本発明の変倍光学装置は、
物像間距離を変化させて変倍を行なう変倍光学装置にお
いて、結像レンズを相対移動できる主レンズ群と補正レ
ンズ群から構成し、その一方を受光面に対して固定した
位置関係とし、他方を変倍率に応じて移動させる構成と
したので、すべての結像レンズ群が一体に移動していた
従来のこの種の変倍光学装置に比し、変倍に伴なう結像
性能の劣化を著しく小さくすることができる。そして主
レンズ群と補正レンズ群の一方は受光面に対して移動し
ないから、結像レンズ群の移動機構も複雑化することが
なく、したがって小型で高性能で安価な変倍光学装置を
得ることができる。
【0041】特に、主レンズ群と補正レンズ群のいずれ
か一方と受光面を移動ベースに固定するとともに、主レ
ンズ群と補正レンズ群の他方をこの移動ベース上で光軸
方向に移動可能に支持し、この移動ベースを変倍時に光
軸方向に移動させて固定された被写体面との距離を変化
させる変倍手段と、この移動ベースの移動位置に応じ、
移動ベース上で可動の主レンズ群または補正レンズ群を
所定の位置に移動させる補正手段とを備えているから、
移動ベースの移動制御によって、簡単に主レンズ群と補
正レンズ群の位置制御を行なうことができる。さらにパ
ルスモータによって移動ベースを駆動すると、固定ベー
スに形成されたカム溝によって移動ベース上の可動のレ
ンズ群の位置が制御されるから、移動ベースの移動力で
可動レンズの位置制御ができる。
【0042】また移動ベース上の可動レンズは、移動ベ
ースを駆動するパルスモータとは別のパルスモータによ
って移動制御することもでき、この構成によれば、より
精密な可動レンズの位置制御ができる。また本発明装置
によれば、被写体面を走査する走査手段の第一キャリッ
ジと第二キャリッジの初期位置を調節することにより、
被写体面および受光面をともに固定したまま、物像間距
離を調節することができ、固定ベース上で可動レンズの
位置を調節するという構成に合わせ、別の構造によっ
て、物像間距離の変更による変倍と、変倍に伴なう結像
性能の劣化の防止とを図ることができる。従って、特に
被写体面および受光面を固定する必要がある場合にも本
発明の適用ができる。物像間距離変更手段は、第一キャ
リッジと第二キャリッジに結合された無端ワイヤを巻回
した、直径比が1:2の同軸の各一対のプーリと、この
直径比が1:2のプーリ間に介在させたクラッチ手段か
ら構成すれば、容易にこれを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の変倍光学装置の光学構成の例を示
す、各要素の光軸方向位置関係図である。
【図2】 本発明の変倍光学装置の光学構成の他の例を
示す、各要素の光軸方向位置関係図である。
【図3】 本発明装置の具体的構成例を示す正面図であ
る。
【図4】 本発明に用いる結像レンズの具体的構成例を
示すレンズの断面図である。
【図5】 図4の結像レンズのm=0.168xにおけるコマ収
差図である。
【図6】 (A)図4の結像レンズにおいて補正レンズ
群を固定し主レンズ群を移動させたときのm=0.112xにお
けるコマ収差図である。(B)図4の結像レンズにおい
て補正レンズ群を固定し主レンズ群を移動させたときの
m=0.224xにおけるコマ収差図である。
【図7】 (A)図4の結像レンズにおいて補正レンズ
群を主レンズ群と一体に移動させたときのm=0.112xにお
けるコマ収差図である。(B)図4の結像レンズにおい
て補正レンズ群を主レンズ群と一体に移動させたときの
m=0.224xにおけるコマ収差図である。
【図8】 本発明に用いる結像レンズの他の具体的構成
例を示すレンズの断面図である。
【図9】 図8の結像レンズのm=0.168xにおけるコマ収
差図である。
【図10】 (A)図8の結像レンズにおいて補正レン
ズ群を固定し主レンズ群を移動させたときのm=0.112xに
おけるコマ収差図である。(B)図8の結像レンズにお
いて補正レンズ群を固定し主レンズ群を移動させたとき
のm=0.224xにおけるコマ収差図である。
【図11】 (A)図8の結像レンズにおいて補正レン
ズ群を主レンズ群と一体に移動させたときのm=0.112xに
おけるコマ収差図である。(B)図8の結像レンズにお
いて補正レンズ群を主レンズ群と一体に移動させたとき
のm=0.224xにおけるコマ収差図である。
【図12】 (A)本発明に用いる結像レンズの具体例
を示すレンズの断面図である。(B)図12(A)の結
像レンズの変倍率0.112xの場合の各収差図である。
(C)図12(A)の結像レンズの変倍率0.168xの場合
の各収差図である。(D)図12(A)の結像レンズの
変倍率0.224xの場合の各収差図である。
【図13】 (A)本発明に用いる結像レンズの具体例
を示すレンズの断面図である。(B)図13(A)の結
像レンズの変倍率0.112xの場合の各収差図である。
(C)図13(A)の結像レンズの変倍率0.168xの場合
の各収差図である。(D)図13(A)の結像レンズの
変倍率0.224xの場合の各収差図である。
【図14】 (A)本発明に用いる結像レンズの具体例
を示すレンズの断面図である。(B)図14(A)の結
像レンズの変倍率0.112xの場合の各収差図である。
(C)図14(A)の結像レンズの変倍率0.168xの場合
の各収差図である。(D)図14(A)の結像レンズの
変倍率0.224xの場合の各収差図である。
【図15】 (A)本発明に用いる結像レンズの具体例
を示すレンズの断面図である。(B)図15(A)の結
像レンズの変倍率0.112xの場合の各収差図である。
(C)図15(A)の結像レンズの変倍率0.168xの場合
の各収差図である。(D)図15(A)の結像レンズの
変倍率0.224xの場合の各収差図である。
【図16】 (A)本発明に用いる結像レンズの具体例
を示すレンズの断面図である。(B)図16(A)の結
像レンズの変倍率0.112xの場合の各収差図である。
(C)図16(A)の結像レンズの変倍率0.168xの場合
の各収差図である。(D)図16(A)の結像レンズの
変倍率0.224xの場合の各収差図である。
【図17】 (A)本発明に用いる結像レンズの具体例
を示すレンズの断面図である。(B)図17(A)の結
像レンズの変倍率0.112xの場合の各収差図である。
(C)図17(A)の結像レンズの変倍率0.168xの場合
の各収差図である。(D)図17(A)の結像レンズの
変倍率0.224xの場合の各収差図である。
【図18】 (A)本発明に用いる結像レンズの具体例
を示すレンズの断面図である。(B)図18(A)の結
像レンズの変倍率0.112xの場合の各収差図である。
(C)図18(A)の結像レンズの変倍率0.168xの場合
の各収差図である。(D)図18(A)の結像レンズの
変倍率0.224xの場合の各収差図である。
【図19】 本発明による変倍光学装置の具体的な実施
例を示す正面図である。
【図20】 図19の移動ベース部分の平面図である。
【図21】 図20のA−A線に沿う断面図である。
【図22】 本発明による変倍光学装置の他の実施例を
示す正面図である。
【図23】 図22の装置の照明走査機構の平面図であ
る。
【図24】 図23の正面図である。
【図25】 図22の固定ベース部の平面図である。
【図26】 図25のB−B線に沿う断面図である。
【図27】 本発明による変倍光学装置のさらに他の実
施例を示す正面図である。
【符号の説明】
11 被写体面 12 受光面 20 結像レンズ群 21 主レンズ群 22 補正レンズ群 31 40 原稿台ガラス(被写体面) 32 51 CDD(受光面) 33 原稿(被写体) 34 照明光源 35 ミラー 36 レンズ台 41 固定ベース 42 ガイドバー 44 移動ベース 48 固定鏡筒 50 摺動筒 54 駆動ピン 55 カムレバー 58 カムフォロア 60 カム溝 62 パルスモータ 64 親プーリ 66 67 プーリ 68 69 ワイヤ 70 70A 照明走査光学系 71 第一キャリッジ 72 第二キャリッジ 73 照明光源 74 第一ミラー 75a 第二ミラー 75b 第三ミラー 76 77 プーリ軸 78 79 小プーリ 80 81 大プーリ 82 パルスモータ 85 クラッチ 90 ラック 91 ピニオン 92 駆動軸 93 パルスモータ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−249130(JP,A) 特開 昭60−131530(JP,A) 特開 昭59−125719(JP,A) 特開 昭58−79269(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03B 27/34 - 27/40 G02B 15/16 - 15/20

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被写体面と、受光面と、被写体面におか
    れた被写体の像を受光面に結像する結像レンズとを備
    え、変倍時には、被写体面と受光面との間の光学的距離
    を変化させる変倍光学装置において、 上記結像レンズを相対移動できる主レンズ群と補正レン
    ズ群から構成し、この主レンズ群と補正レンズ群のいず
    れか一方と上記受光面を移動ベースに固定するととも
    に、主レンズ群と補正レンズ群の他方をこの移動ベース
    上で光軸方向に移動可能に支持し、 上記被写体面を固定して設け、 さらに上記移動ベースを変倍時に光軸方向に移動させて
    被写体面との距離を変化させる変倍手段と、この移動ベ
    ースの移動位置に応じ、移動ベース上で可動の主レンズ
    群または補正レンズ群を所定の位置に移動させる補正手
    段とを備えたことを特徴とする変倍光学装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の変倍光学装置において、
    移動ベースは、固定ベースに固定されたガイドバーに移
    動自在に支持されていて、パルスモータによってその移
    動位置が制御され、この移動ベースに移動可能に支持し
    た主レンズ群または補正レンズ群は、移動ベースに枢着
    されたカムレバーの一端に連動しており、このカムレバ
    ーの他端は、固定ベースに一体に設けたカム面と係合し
    て、移動ベースの移動位置に応じ、主レンズ群または補
    正レンズ群を所定の位置に移動させる変倍光学装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の変倍光学装置において、
    移動ベースは、固定ベースに固定されたガイドバーに移
    動自在に支持されていて、パルスモータによってその移
    動位置が制御され、この移動ベースに移動可能に支持し
    た主レンズ群または補正レンズ群は、ギヤ列を介して別
    のパルスモータにより、その移動位置が制御される変倍
    光学装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項記載の
    変倍光学装置において、補正レンズ群と受光面が移動ベ
    ースに固定され、主レンズ群が移動ベース上に光軸方向
    に移動可能に支持されている変倍光学装置。
  5. 【請求項5】 被写体面と、受光面と、被写体面におか
    れた被写体の像を受光面に結像する結像レンズとを備
    え、変倍時には、被写体面と受光面との間の光学的距離
    を変化させる変倍光学装置において、 上記被写体面と受光面とをそれぞれ固定して設け、結像
    レンズを相対移動できる主レンズ群と補正レンズ群から
    構成し、この主レンズ群と補正レンズ群の一方を受光面
    に対して固定して設けるとともに、他方を変倍に伴ない
    移動調節する手段を設け、さらに、 固定された被写体面を走査する照明光源と、被写体面で
    反射した照明光を被写体面と平行な方向に反射する第一
    ミラーを搭載した第一キャリッジ;第一ミラーで反射し
    た光をこれと反対の方向に折り返して上記結像レンズに
    入射させる、第二ミラーおよび第三ミラーを搭載した第
    二キャリッジ;この第一キャリッジと第二キャリッジを
    2:1の速度比で被写体面と平行な同一方向に移動させ
    る走査駆動手段;および上記第一キャリッジと第二キャ
    リッジの初期位置を変倍率に応じて変化させる物像間距
    離変更手段を設けたことを特徴とする変倍光学装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の変倍光学装置において、
    走査駆動手段は、第一キャリッジと第二キャリッジに結
    合された無端ワイヤを巻回した、直径比が1:2の同軸
    の各一対のプーリと、このプーリを回転駆動するパルス
    モータとから構成され、物像間距離変更手段は、この直
    径比が1:2のプーリ間に介在させたクラッチ手段から
    構成されている変倍光学装置。
  7. 【請求項7】 請求項5または6記載の変倍光学装置に
    おいて、主レンズ群が光軸方向に移動し、補正レンズ群
    が受光面に対して固定されている変倍光学装置。
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