JP2964194B2 - ガス混合物から一酸化炭素を分離する方法 - Google Patents

ガス混合物から一酸化炭素を分離する方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はガス混合物から一酸化炭
素を分離する方法に関する。更に詳しくは、本発明は、
水の含有量の多いガス混合物から一酸化炭素を分離する
のに好適な方法およびその際に用いる一酸化炭素吸収剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】一酸化炭素はC1化学用の原料として重
要な原料であり、製鉄所、石油化学工場等から排出され
る混合ガス中にNO2 、H2 、CO2 、CH4 等と共に
存在する。
【0003】そのために、高純度の一酸化炭素を経済的
に分離する方法の開発が注目されており、弱酸の銅アン
モニウム塩錯体の水溶液を使用する方法が「窒素産業労
働者用便覧第二版、1986年、モスクワ」に開示され
ている。この方法は二酸化炭素が存在すると錯体が不安
定であり、また、アンモニアの揮発性が高いことによる
設備費および運転費が高く、経済的にも問題がある。
【0004】また、アメリカ特許第3651159号、
あるいはイギリス特許第1318790号には無水塩化
アルミニウムと塩化第一銅との錯体(CuAlCl4
と芳香族溶剤(例えばトルエン)をベースとした吸収剤
が開示されており、工業的にはテネコケミカル社の開発
した「COSORB法」が実用化されている。この方法
は産出留分として高純度の一酸化炭素(純度99容量%
以上) を産出し、実用上ガス混合物から完全に一酸化炭
素を分離できる。しかしながら、この方法には、使用中
に水分が存在すると錯体が分解を起し、不活性化して一
酸化炭素を吸収する能力が低下するという問題がある。
それ故に、ガス混合物を吸収剤と接触させる前に、予め
充分に水分を除去(露点が−100℃になるまで)する
ことが必要であり、そのために特殊な構造のポンプやガ
ス乾燥設備が必要である。さらに、溶剤であるトルエン
は揮発性が高く引火の危険性があり、しかも、拡散した
多量のトルエン蒸気を捕集するための大掛かりな冷却設
備が必要となる。従ってこの方法によると実用プロセス
の設備費、運転費共に膨大なものとなる。
【0005】また、ソ連特許第865359号には塩化
第一銅、メタトルイジンおよび芳香族炭化水素からなる
一酸化炭素の吸収剤が開示されている。この方法は「C
OSORB法」に較べて吸収剤の水に対する安定性は改
良されているが、吸収剤の成分として高揮発性芳香族炭
化水素を含むため、「COSORB法」の場合と同様
に、吸収剤は引火の危険性があり、しかもガス中に蒸発
拡散した多量の芳香族炭化水素を捕集するための大掛か
りな冷却設備が必要となる。従ってこの方法によると
「COSORB法」の場合と同様に実用プロセスの設備
費、運転費は共に膨大なものとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を克服し、産出留分(一酸化炭素)の純度が高く、水
分に対して安定で、しかも蒸気圧の低い溶剤を用いて引
火の危険性を避け、それにより設備費、運転費の低減を
可能にする一酸化炭素の分離方法およびそれに適した一
酸化炭素吸収剤の提供を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意研究
の結果、一酸化炭素吸収剤として塩化第一銅、メタトル
イジンおよびグリコールエーテル系溶剤の組合せを使用
することより、上記課題を解決できることを見出し、本
発明を完成させたものである。
【0008】すなわち、本発明は、塩化第一銅とメタト
ルイジンからなる錯体およびグリコールエーテル系溶剤
を含有する吸収剤に、ガス混合物に含まれる一酸化炭素
を吸収させて分離することを特徴とする一酸化炭素の分
離方法に関する。
【0009】本発明はまた、塩化第一銅とメタトルイジ
ンからなる錯体およびグリコールエーテル系溶剤を含有
する一酸化炭素吸収剤に関する。
【0010】本発明において使用される塩化第一銅とメ
タトルイジンからなる錯体は、塩化第一銅とメタトルイ
ジンのモル比が1. 0:1. 0〜7. 5が好ましい。塩
化第一銅とメタトルイジンのモル比が1. 0:1. 0未
満になると錯体の安定性に乏しく、塩化第一銅が遊離し
やすくなる。また、両者のモル比が1. 0:7. 5を越
えると錯体の安定性は増すが、一酸化炭素の吸収能力が
低下する。特に好ましいモル比は1. 0:1. 5〜6.
5である。このモル比による錯体はそのままでは粘度が
高いので、適度な粘度の吸収剤とするために安定性、溶
解性に優れた溶剤が必要である。
【0011】このために、本発明者等は、上記錯体の溶
解性と安定性に優れた溶剤としてグリコールエーテル系
溶剤を見出したもので、これは本発明の特徴の一つでも
ある。
【0012】本発明におけるグリコールエーテル系溶剤
としては次式(1): R1 O〔CH(R2 )CH2 O〕m 3 (1) (式中、R1 は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、
2 の各々は互いに独立して水素原子、メチル基または
エチル基を表し、R3 は水素原子または炭素原子数1〜
6のアルキル基を表し、そしてmは2〜12の整数を表
す)で表される化合物が好ましい。
【0013】本発明において、塩化第一銅とメタトルイ
ジンのモル比が1. 0:1. 5〜6. 5である錯体と、
次式(2): CH3 O(CH2 CH2 O)q CH3 (2) (式中、qは2〜12の整数を表す)で表される化合物
からなるグリコールエーテル系溶剤とを、錯体と溶剤と
のモル比1. 0:0. 5〜5. 0で含有する吸収剤が特
に好ましい。
【0014】本発明のグリコールエーテル系溶剤の中で
上記式(1)または(2)で表される代表的化合物の群
は、メタノール、エタノール、プロパノールおよび/ま
たはブタノール1モルに対し、酸化エチレンおよび/ま
たは酸化プロピレンを2〜12モル付加したグリコール
モノアルキルエーテル系化合物である(第1群)。ま
た、それらの代表的化合物の別の群は上記グリコールモ
ノアルキルエーテル系化合物の末端のOH基のHをメチ
ル基、エチル基、プロピル基またはブチル基で置換した
グリコールジアルキルエーテル系化合物である(第2
群)。なお、これらのグリコールエーテル系溶剤は1種
または2種以上の混合物を用いることができる。
【0015】これらの代表的な化合物の具体例を以下に
示す: 第1群 ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール
モノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、ト
リエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチ
レングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレング
リコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコー
ルモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモ
ノブチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、ペンタエチレングリコールモノエチルエー
テル、ペンタエチレングリコールモノブチルエーテル、
ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル、ヘキサ
エチレングリコールモノエチルエーテル、ヘキサエチレ
ングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ
エチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピル
エーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテ
ル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ト
リプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロ
ピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレ
ングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレング
リコールモノプロピルエーテル、ヘキサプロピレングリ
コールモノブチルエーテル、メチルアルコールの酸化エ
チレン/酸化プロピレン付加物( 平均分子量:202)
、エチルアルコールの酸化エチレン/酸化プロピレン
付加物( 平均分子量:195) 、 第2群 ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレング
リコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブ
チルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテ
ル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエ
チレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレング
リコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコール
ジエチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチル
エーテル、ペンタエチレングリコールジエチルエーテ
ル、ヘキサエチレングリコールジブチルエーテル、ジエ
チレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレン
グリコールエチルブチルエーテル、テトラエチレングリ
コールメチルブチルエーテル、ジプロピレングリコール
ジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチル
エーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテ
ル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テ
トラプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピ
レングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレン
グリコールメチルブチルエーテル、ジブチレングリコー
ルジメチルエーテル、トリブチレングリコールジエチル
エーテル。
【0016】本発明に係る吸収剤中の溶剤成分は混入水
分に対し安定で蒸気圧が低いため、引火の危険性が無く
しかも錯体の溶解性に優れた性質を持っていることが特
徴であると同時に吸収剤の粘度を低下させる作用を持っ
ている。そのため、溶剤量は塩化第一銅とメタトルイジ
ンとの錯体の溶解性あるいは吸収剤の粘度等を考慮して
決められる。一般的には吸収剤中の溶剤量は10重量%
以上90重量%以下であり、特に好ましくは20〜80
重量%である。吸収剤中の溶剤量が10重量%未満では
吸収剤の粘度が高く、装置負荷が大きくなり、一方、9
0重量%を越えると一酸化炭素の吸収能力が低下し、実
用性に乏しくなる。
【0017】本発明に係る吸収剤はその製造方法を特に
限定するものではないが、一般的には塩化第一銅とメタ
トルイジンとの錯体を調製した後、所定量の溶剤を加え
て製造することができる。
【0018】
【実施例】以下に実施例に基づき一部図面を参照して本
発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。
【0019】まず、本発明に係る吸収剤を使用した一酸
化炭素の分離プロセスの一例を図1を参照して説明す
る。
【0020】一酸化炭素を含むガスはほとんどの場合2
kg/cm2 以上の圧力で、パイプライン1から吸収塔
2に入る。塩化第一銅とメタトルイジンとの錯体および
グリコールエーテル系溶剤からなる吸収剤はパイプライ
ン3から吸収塔2の上部に供給される。一酸化炭素を抽
出するのに必要な吸収剤の循環速度は、精製すべきガス
混合物の一酸化炭素含有量、ガスの温度と圧力および吸
収剤の組成によって決定される。
【0021】一酸化炭素が除去されたガスは吸収塔2の
上部からパイプライン4を通り、含まれている溶剤分を
分離回収するため、分離器5に入り、そこから系外にで
る。一方、一酸化炭素で飽和した吸収剤は、吸収塔2か
らパイプライン6を通ってプレヒーター7を経由して中
間脱着塔8の中央部に入る。
【0022】中間脱着塔8では吸収されていた不活性ガ
ス(CO2 ,H2 ,NO2 ,CH4等) を吸収剤から分
離させる。それ故に、中間脱着塔8の内圧は吸収塔の内
圧より低くしておく。通常、中間脱着塔8の内圧は1.
8kg/cm2 以下である。また、再生された吸収剤の
一部がパイプライン9を通って中間脱着塔8の上部に供
給され、不活性ガス中に含まれる微量の一酸化炭素を吸
収する。放出された不活性ガスは中間脱着塔8からパイ
プライン10を通って系外に出る。しかし、不活性ガス
の一部はコンプレッサー11を経由して吸収塔2に戻さ
れる。
【0023】中間脱着塔8から出た吸収剤はポンプ12
を経由して熱交換器13を通って再生装置14の上部に
送られる。そこでの温度は約100〜105℃、圧力は
約1. 3〜1. 5kg/cm2 であり、この条件下で一
酸化炭素を分離する。ガスの加熱に必要な熱はリボイラ
ー15から供給される。
【0024】再生装置14から出た再生された吸収剤は
熱交換器13に入り、持っている熱を飽和吸収剤に与
え、更に吸引ポンプ16を通って冷却装置17を経由し
て吸収塔2および中間脱着塔8に送られる。
【0025】一方、一酸化炭素と溶剤蒸気を含むガスは
再生装置14の上部からパイプライン18を通ってコン
デンサー19に送られ、さらに熱交換器20とアンモニ
ア冷却機21へと送られる。純粋な一酸化炭素留分は分
離器22の上部から熱交換器20を経て取りだされる。
分離器22中の残りの成分はポンプ23を通ってさらに
循環させる。
【0026】新鮮な吸収剤の調製は撹拌装置を備えた溶
解槽24で行う。吸収剤はポンプ25を通り、パイプラ
イン26を介してシステムに供給される。
【0027】この吸収剤の製造は例えば以下のように行
われる。撹拌機、温度計、コンデンサーおよび窒素ガス
吹き込み装置をセットした500ml四ツ口フラスコに
メタトルイジン268g(2. 5モル)を仕込み、充分
窒素ガスでフラスコ内の空気を置換した後、100℃ま
で昇温する。これに塩化第一銅50g(0. 5モル)を
添加し、100℃で3時間撹拌し、錯体を製造する。次
にフラスコ内温度を60℃まで冷却し、これにトリエチ
レングリコールジメチルエーテル196g(1. 0モ
ル) を添加し、1時間撹拌を続けた後、濾過し、吸収剤
504gを得た。
【0028】実施例1 上記のようにして製造した本発明に係る吸収剤の水含有
量と一酸化炭素吸収能力との関係を調べた。比較のた
め、従来の吸収剤(ソ連特許第865359号に開示)
に関する同様の関係も調べた。結果を表1にまとめて示
す。
【0029】
【表1】
【0030】この結果から、本発明による吸収剤は、従
来のものに比べ一酸化炭素吸収能力が高く、しかも水含
有量(0〜2. 0%)による一酸化炭素吸収能力に変化
が無く水分に対する安定性に優れていることがわかる。
【0031】実施例2 本発明に係る吸収剤に使われる溶剤の代表的化合物で、
最も蒸気圧の高いジエチレングリコールジメチルエーテ
ルおよびトリエチレングリコールジメチルエーテルの蒸
気圧を測定した。結果をトルエンの蒸気圧と共に表2に
まとめて示す。
【0032】
【表2】
【0033】この結果から20℃ではジエチレングリコ
ールジメチルエーテルの蒸発性はトルエンの48分の
1、トリエチレングリコールジメチルエーテルは実質的
にはガスへの拡散はないと云える。また、40℃でもト
ルエンの40分の1から50分の1以下の蒸発性を示す
のみである。従って本発明の吸収剤を使った場合には産
出留分(一酸化炭素)への溶剤の拡散は少ないことがわ
かる。それ故に、得られる一酸化炭素の純度は高く、し
かも吸収剤のロスの少ないことがわかる。
【0034】実施例3 本発明に係る吸収剤の長期安定性を試験した。試験に使
ったガスはアンモニア生産時に得られたガスで、一酸化
炭素を10〜30容量%含んでいた。このガスと吸収剤
とを40℃の条件下で接触させた後、吸収剤の組成を調
べた。結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】この結果から新鮮な吸収剤を補給せずに4
000時間運転しても吸収剤の成分は何ら変化せず、本
発明に係る吸収剤が非常に安定であり、一酸化炭素の分
離・吸収プロセスの運転は信頼性が高く、安定した運転
操作が可能であることを示している。
【0037】実施例4 本発明の方法と従来法(ソ連特許第835号に開示)の
同一ガス混合物から一酸化炭素の分離に要するエネルギ
ー使用量等を計算し、表4に示した。
【0038】
【表4】
【0039】この結果から、本発明に係る方法によると
電気エネルギー、加熱、冷却に要するエネルギー消費量
は従来法より約20%低く、溶剤の損失量は2. 5分の
1になることが明らかとなった。
【0040】以下の実施例5〜7において図1に準じた
吸収プロセスでの一酸化炭素の吸収分離操作を詳細に説
明する。
【0041】実施例5 温度40℃、圧力30気圧のガス8000m3 /時間
(標準状態)を吸収塔の下部より吹き込んだ。ガスの組
成は以下のとおりであった(単位は容量%)。 CO2 12. 74 CO 7. 33 N2 22. 48 H2 56. 82 Ar+CH4 0. 63 温度30℃の吸収剤〔(0. 8モル/l CuCl)+
(4. 0モル/l MT)+(2. 2モル/l DET
G)〕をポンプで吸収塔の上部に供給し、この内圧を3
0気圧に維持した(MTはメタトルイジンを、DETG
はトリエチレングリコールジメチルエーテルをそれぞれ
示す)。吸収剤の使用量は70m3 /時間だった。一酸
化炭素を0. 3容量%含有する精製ガスを吸収塔の上部
から排出し、分離器に導き、さらに次の生産段階に向け
た。
【0042】温度40℃の一酸化炭素を含む飽和吸収剤
を吸収塔の下部から取りだした。飽和吸収剤をプレヒー
ターに通し、そこで50℃に加熱し、中間脱着塔に導い
た。その内圧は2. 0kg/cm2 に維持した。温度3
0℃の再生吸収剤を装置の上部に供給した(17m3
時間)。中間脱着塔から出るガス(標準状態で400m
3 )は実際には不活性ガス〔CO2 :68. 54,
2 :6. 33,NO2 :25. 05,(CH4 +A
r):0. 08(いずれも容量%)〕を含んでおり、中
間脱着塔の上部から装置外に取りだした。
【0043】中間脱着塔から出る吸収剤を、ポンプによ
り熱交換器を経て再生装置の上部に供給し、その内圧を
1. 5kg/cm2 、温度を105℃に維持した。再生
装置に必要な熱はボイラーから水蒸気として供給した
(P=3kg/cm2 ,T=150℃)。再生装置から
出る再生溶液は熱交換器に入り、更にポンプで冷却装置
に送られ、そこで30℃に冷却され、次に2つの装置、
吸収塔(70m3 /時間) と中間脱着塔(70m3 /時
間)に散布した。
【0044】再生装置の上部から出る蒸気ガス混合物を
コンデンサーに送り、そこで40℃に冷却し、更に熱交
換器とアンモニア冷却機に通し、そこで−20℃まで冷
却した。溶剤の濃縮蒸気は分離器で分離した。
【0045】以下の組成の純粋な一酸化炭素留分が10
00Nm3 /時間の流量で分離器の上部から排出され、
熱交換器を経て温度30℃、圧力1. 3kg/cm2
状態で装置から取り出された(単位はいずれも容量
%)。 CO 99. 95 CO2 0. 035 H2 +NO2 0. 015
【0046】実施例6 温度40℃、圧力2気圧の溶鉱炉ガスを3000m3
時間( 標準状態) の流量で吸収塔の下部に供給した。ガ
スの組成は下記のとおりであった(単位はいずれも容量
%)。 CO 23. 4 CO2 20. 4 N2 48.0 CH4 0. 63 O2 0. 1 温度30℃の吸収剤〔(CuCl:1. 0モル/l)+
(MT:5. 0モル/l)+(テトラエチレングリコー
ルジメチルエーテルとジチレングリコールジエチルエー
テルの混合物:8モル/l)〕をポンプにより上部から
吸収塔に供給した。この内圧は2気圧に維持した。吸収
剤の使用量は90m3 /時間だった。一酸化炭素を4.
0容量%含む精製ガスは吸収塔の上部から排出し、分離
器を経て取りだした。
【0047】一酸化炭素を含む飽和吸収剤を40℃で吸
収塔の下部からプレヒーターに送り、ここで50℃に加
熱し、中間脱着塔に導いた。この内圧を1. 3kg/c
2に維持した。温度30℃の再生吸収剤を10m3
時間の流量でこの装置の上部から供給した。
【0048】中間脱着塔で分離したガス(80Nm3
は精製ガスと合流させ、全量を取りだした。分離したガ
スの組成は以下のとおりであった(単位はいずれも容量
%)。 CO2 77. 0 H2 0. 5 NO2 22. 0 CH4 0. 6
【0049】中間脱着塔から出る吸収剤は熱交換器を経
て、ポンプにより再生装置の上部に送られた。そこでの
内圧は1. 5kg/cm2 、再生温度は100℃に維持
された。CO脱着に必要な熱はボイラーからガスコンデ
ンセート(温度130℃)として供給された。再生装置
から出る再生溶液は熱交換器に送られ、さらにポンプに
より冷却装置に送られ、そこで30℃に冷却され、2つ
の装置、吸収塔(90Nm3 /時間)と中間脱着塔(1
0Nm3 /時間)に散布した。
【0050】再生装置の上部から出る水蒸気/ガス混合
物は冷却コンデンサーに入り、そこで40℃に冷却さ
れ、更に熱交換器とアンモニア冷却機に送られ、そこで
−20℃まで冷却された。溶剤の濃縮蒸気は分離器で分
離した。
【0051】純粋な一酸化炭素留分は6000Nm3
Hrの流量で分離器上部から排出し、熱交換器を経て温
度30℃、圧力1. 3Kg/cm2 で装置外に取りださ
れた。一酸化炭素留分の組成は下記のとおりであった
(単位はいずれも容量%)。 CO 98. 0 CO2 1. 5 H2 0. 1 N2 0. 4
【0052】実施例7 アンモニア製造の際、低温分離ブロックから導入される
温度20℃、圧力1.2kg/cm2 の一酸化炭素留分
を5000Nm3 の流量で吸収塔下部から供給した。そ
の組成は以下のとおりであった(単位はいずれも容量
%)。 CO 20. 5 H2 2. 6 N2 55. 6 Ar 6. 7 CH4 14. 6 温度30℃の吸収剤〔(CuCl:10. 9モル/l)
+(メタトルイジン:5. 0モル/l)+(テトラエチ
レングリコールジメチルエーテルとジエチレングリコー
ルジエチルエーテルの混合物:1. 8モル/l)〕をポ
ンプにより吸収塔上部に送入した。この内圧は1. 2k
g/cm2 に保持した。吸収剤の使用量は130m3
時間であった。COを0. 05容量%含有する精製ガス
は吸収塔上部から排出され、分離器を経て系外に取りだ
し、燃焼処分を行った。
【0053】COを含む温度35℃の飽和吸収剤は吸収
塔の下部から排出され、ポンプによって中間脱着塔を経
て熱交換器に送られ、更に上部から再生装置に送られ
た。この中は再生温度105℃、圧力1. 5kg/cm
2 に保った。COの脱着に必要な熱はボイラーから水蒸
気で供給した(3気圧,50℃)。
【0054】再生装置から出る再生溶液は熱交換器に送
られ、更に冷却設備に送られ40℃に冷却され、更に熱
交換器と冷却機に送られ−20℃まで冷却された。溶剤
の濃縮蒸気は分離器で分離された。分離器の上部から排
出される高純度の一酸化炭素は800Nm3 /時間で、
熱交換器を経て温度30℃、圧力1. 3kg/cm2
装置外に排出された。その組成は以下のとおりであった
(単位はいずれも容量%)。 CO 95. 8 H2 0. 04 CH4 0. 82 N2 +Ar 3. 34
【0055】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の一
酸化炭素吸収剤は、水に対して安定性が高いので、水の
含有量の多いガス混合物でも予め水分除去せずに直接接
触させることができ、また、溶剤の揮発性が低いので引
火の危険性が実質的に解消され、溶剤のロスがほとんど
無く、しかも吸収・分離される一酸化炭素への溶剤の混
入が無い、等の効果を奏するものである。従って、この
一酸化炭素吸収剤を用いる本発明の方法によれば、ガス
混合物からの一酸化炭素の除去または回収プロセスはコ
ンパクトで安全性が高く、経済性にも優れたプロセスと
なり、しかも高純度の一酸化炭素を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるガス混合物からの一酸
化炭素吸収・分離装置の系統図である。
【符号の説明】
1,3,4,6,9,10,18,26 パイプライン 2 吸収塔 5 分離器 7 プレヒーター 8 中間脱着塔 11 コンプレッサー 12,23,25 ポンプ 13,20 熱交換器 14 再生装置 15 リボイラー 16 吸引ポンプ 17 冷却装置 19 コンデンサー 21 アンモニア冷却機 22 分離器 24 溶解槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07B 63/00 B01D 53/34 135A (73)特許権者 000221797 東邦化学工業株式会社 東京都中央区明石町6番4号 (72)発明者 レイテス ヨジフ レイセロビッチ ロシア連邦 モスクワ 109652 ドネツ カヤ ウリツァ ドム 12 クファルテ ィーラ 84 (72)発明者 カルポバ ユリヤ グレボブナ ロシア連邦 モスクワ 109429 カポテ ィニャー4 クバルタール ドム 4 クファルティーラ 9 (72)発明者 アントソウタ アンドリュース リトアニア カウナス ウリツァ バー ルパ ドム 10 クファルティーラ 28 (72)発明者 ルビス ブロニスラブ リトアニア イオナバ ウリツァ ヴィ リニャーウス ドム 5 クファルティ ーラ 21 (72)発明者 ラドビラビチュテ エレナ リトアニア カウナス ウリツァ キャ ストウチャ ドム3アー クファルティ ーラ 11 (72)発明者 モルダス ビタウタス リトアニア イオナバ ウリツァ ゲレ シンキャレ ドム 10 クファルティー ラ 3 (72)発明者 高橋 則雄 神奈川県横須賀市粟田1−17−1 (72)発明者 松崎 威毅 神奈川県横浜市栄区小菅ヶ谷町1695 (72)発明者 清水 敏通 神奈川県横浜市神奈川区七島町106 (72)発明者 日原 健 神奈川県逗子市桜山2−2−13 (56)参考文献 特開 昭64−90014(JP,A) 特公 昭33−458(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C10K 1/16 B01D 53/14 - 53/18 B01D 53/34 C01B 31/00 - 31/36

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化第一銅とメタトルイジンからなる錯
    体およびグリコールエーテル系溶剤を含有する吸収剤
    に、ガス混合物に含まれる一酸化炭素を吸収させて分離
    することを特徴とする一酸化炭素の分離方法。
  2. 【請求項2】 塩化第一銅とメタトルイジンのモル比が
    1. 0:1. 0〜7. 5である錯体を含有する吸収剤が
    使用される請求項1記載の一酸化炭素の分離方法。
  3. 【請求項3】 グリコールエーテル系溶剤として次式
    (1): R1 O〔CH(R2 )CH2 O〕m 3 (1) (式中、R1 は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、
    2 の各々は互いに独立して水素原子、メチル基または
    エチル基を表し、R3 は水素原子または炭素原子数1〜
    6のアルキル基を表し、そしてmは2〜12の整数を表
    す)で表される化合物を含有する吸収剤が使用される請
    求項1記載の一酸化炭素の分離方法。
  4. 【請求項4】 塩化第一銅とメタトルイジンのモル比が
    1. 0:1. 5〜6. 5である錯体と、次式(2): CH3 O(CH2 CH2 O)q CH3 (2) (式中、qは2〜12の整数を表す)で表される化合物
    からなるグリコールエーテル系溶剤とを、錯体と溶剤と
    のモル比1. 0:0. 5〜5. 0で含有する吸収剤が使
    用される請求項1記載の一酸化炭素の分離方法。
  5. 【請求項5】 塩化第一銅とメタトルイジンからなる錯
    体およびグリコールエーテル系溶剤を含有する一酸化炭
    素吸収剤。
  6. 【請求項6】 塩化第一銅とメタトルイジンのモル比が
    1. 0:1. 0〜7. 5である錯体を含有する請求項5
    記載の一酸化炭素吸収剤。
  7. 【請求項7】 グリコールエーテル系溶剤として次式
    (1): R1 O〔CH(R2 )CH2 O〕m 3 (1) (式中、R1 は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、
    2 の各々は互いに独立して水素原子、メチル基または
    エチル基を表し、R3 は水素原子または炭素原子数1〜
    6のアルキル基を表し、そしてmは2〜12の整数を表
    す)で表される化合物を含有する請求項5記載の一酸化
    炭素吸収剤。
  8. 【請求項8】 塩化第一銅とメタトルイジンのモル比が
    1. 0:1. 5〜6. 5である錯体と、次式(2): CH3 O(CH2 CH2 O)q CH3 (2) (式中、qは2〜12の整数を表す)で表される化合物
    からなるグリコールエーテル系溶剤とを、錯体と溶剤と
    のモル比1. 0:0. 5〜5. 0で含有する請求項5記
    載の一酸化炭素吸収剤。
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JP5582960B2 (ja) * 2010-10-22 2014-09-03 株式会社東芝 二酸化炭素分離回収システム及びリボイラー入熱量測定方法
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