JP2961823B2 - 圧電アクチュエータによる薄板の打ち抜き方法 - Google Patents

圧電アクチュエータによる薄板の打ち抜き方法

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JP2961823B2
JP2961823B2 JP2170494A JP17049490A JP2961823B2 JP 2961823 B2 JP2961823 B2 JP 2961823B2 JP 2170494 A JP2170494 A JP 2170494A JP 17049490 A JP17049490 A JP 17049490A JP 2961823 B2 JP2961823 B2 JP 2961823B2
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達也 和田
光晴 野並
幸則 河村
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
この発明は、薄板の打ち抜き方法に関し、特に積層型
圧電素子からなるアクチュエータでポンチを駆動するプ
レス機を用いて薄板を打ち抜く方法に関する。
【従来の技術】
積層型圧電素子は圧電セラミックスなどからなる圧電
材料層と金属膜などからなる電極層とを交互に積層して
一体化したもので、外部電極から電極層間に電圧を印加
することによって、各々の圧電材料層に圧電縦効果によ
る伸び歪みを生じさせ、全体として大きな伸び変位を得
ることができるものである(特開昭60-86880号、同60-1
54581号など公報参照)。 この積層型圧電素子は応答速度が速く制御も容易であ
ることなどから、近時、メカトロニクス機器の分野でア
クチュエータとしての応用が図られているが(以下、積
層型圧電素子からなるアクチュエータを圧電アクチュエ
ータという)、その一つとして圧電アクチュエータでポ
ンチを駆動して被加工物を打ち抜くプレス加工が試みら
れており、本出願人も先に圧電素子を使用したプレス加
工装置について提案した(実願昭62-173451号、特願平1
-117494号など参照)。 ところで、従来、圧電アクチュエータでポンチを駆動
して薄板(例えば、厚さ5〜100μmの金属箔)を打ち
抜く場合、第2図に示すように、半抜き及び逆抜きの過
程で、加工側ポンチと反対の側のポンチは被加工物に接
触しないように、その表面から十分な距離だけ退避させ
ていた。ここで、図の1は半抜きポンチ、2は逆抜きポ
ンチ、3は半抜きダイス、4は逆抜きダイス、5は被加
工物としての薄板で、第2図(A)は半抜き工程の終期
を、また同(B)は逆抜き工程の開始直後の状態を示し
ている。
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来方法では、図に示すように
半抜き及び逆抜き工程でいずれも被加工物に反りSが発
生する。そのため、ステンレス材などの硬質材を加工す
る場合に、十分なだれ面が形成される前に剪断面に早期
にクラックが発生し、剪断切り口のかえり(ばり)が大
きくなるという問題があった。 この発明は、加工の過程での被加工材の反りを抑える
ことにより、ばりの生成を防止した薄板の打ち抜き方法
を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
この発明は、積層型圧電素子からなるアクチュエータ
でそれぞれ駆動される上下一対のポンチを使用し、ダイ
スに保持された薄板を一方の面から半抜きし、次いで他
方の面から逆抜きして打ち抜く薄板の打ち抜き方法にお
いて、半抜き工程では半抜きポンチで逆抜きポンチを押
し戻し、逆抜き工程では前記逆抜きポンチで前記半抜き
ポンチを押し戻すように前記積層型圧電素子を変位さ
せ、打ち抜きの過程で前記半抜き及び逆抜きポンチによ
り前記薄板を両面から弾性的に拘束するものとする。
【作用】
この発明は、ポンチを駆動する積層型圧電素子が剛体
ではなく高ばね定数の弾性体であることに着目し、半抜
き及び逆抜き工程を通して薄板を両面からポンチで弾性
的に拘束することにより、その反りを抑えるものであ
る。 ここで、第3図及び第4図に圧電アクチュエータを構
成する積層型圧電素子の弾性変形の様子を示す。すなわ
ち、第3図(A)の初期状態の積層型圧電素子6に電圧
を印加すると、第3図(B)に示すようにΔLの伸び変
位を生じる。そこで、これに圧縮荷重を加えると、積層
型圧電素子6は第4図に示すように固有のばね定数で縮
み、荷重がP1になったところで第3図(C)に示すよう
に変位が零になり元の寸法に戻る。 この発明はこのような積層型圧電素子の弾性を利用し
て、剪断加工の過程でポンチにより被加工物を両面から
拘束するものである。すなわち、半抜き工程では、まず
逆抜きポンチを被加工物に接触するまで突出させ、次い
で半抜きポンチを突出させて逆抜きポンチを押し戻す。
この段階で、逆抜きポンチと半抜きポンチとはこれらを
それぞれ駆動する圧電アクチュエータの荷重が釣り合っ
た点で停止する。その際、圧電アクチュエータを構成す
る積層型圧電素子は上記荷重により縮み、その弾性力を
受けた半抜き及び逆抜きポンチは被加工物を両面から拘
束する。 ここで、逆抜きポンチを被加工物から離れる方向に徐
々に変位させると、それに追随して半抜きポンチが突出
し、その間に挟まれた被加工物は反りのない状態で半抜
きされる。次に、この状態から逆抜きポンチを突出させ
ると、半抜きポンチは逆抜きポンチと釣り合う点まで後
退する。更に、半抜きポンチを被加工物から離れる方向
に変位させると、それに追随して逆抜きポンチが移動
し、その間に挟まれた被加工物は反りのない状態で逆抜
きされる。
【実施例】
それでは、第1図の工程図に基づいて、この発明によ
る薄板の打ち抜き加工について更に詳しく説明する。図
の半抜き及び逆抜きポンチの駆動変位はプラス(+)が
初期状態(圧電アクチュエータの印加電圧が零)からの
突出、マイナス(−)が後退を意味する。 図において、第1工程は半抜きダイス3と逆抜きダイ
ス4との間に薄板5がクランプされた状態で、半抜きポ
ンチ1及び逆抜きポンチ2は図示しない圧電アクチュエ
ータに電圧が印加されていないため、共に薄板5から後
退している。 次いで、第2工程では逆抜きポンチ2を薄板5に軽く
接触するまで突出させる。 第3工程〜第5工程は半抜き工程で、まず第3工程で
は逆抜きポンチ2をそのままに保ち、半抜きポンチ1を
逆抜きポンチ2よりも大きく最大まで突出させる。これ
により、逆抜きポンチ2が押し戻され、ポンチ1及び2
はこれらを駆動する積層型圧電素子をそれぞれ弾性変形
させながら図示釣り合い点で停止する。 このままではまだ半抜き量が不十分であり、第4工程
で逆抜きポンチ2の変位を零に、更に第5工程でこれを
マイナス側(後退)にする。これによって、半抜きポン
チ1が突出し、図示状態までの半抜きが完了する。な
お、逆抜きポンチ2の後退速度は追随する半抜きポンチ
1の突出速度以下とする。 次に、第6工程〜第8工程は逆抜き工程で、逆抜きポ
ンチ2が突出し、薄板5の半抜きポンチ1側にだれを形
成しながら剪断加工を完了する工程である。すなわち、
まず第6工程では逆抜きポンチ2の変位を零にする。こ
れにより、半抜きポンチ1は図示釣り合い点まで押し戻
される。 次いで、第7工程で逆抜きポンチ2を最大まで変位さ
せる一方、半抜きポンチ1の変位を零とし、更に第8工
程では半抜きポンチ1を後退させて図示状態まで逆抜き
をする。 第9工程〜第11工程はプッシュバック工程で、逆抜き
が完了した第8工程のままでは打ち抜き部5aが逆抜きダ
イス4内にあり金型の外へ取り出せないため、これを薄
板5内に戻す工程である。すなわち、第9工程で逆抜き
ポンチ2の変位を零にして半抜きダイス3内に退避さ
せ、その後、第10工程で後退していた半抜きポンチ1を
元に戻し、更に第11工程でこれを突出させて打ち抜き部
5aを薄板5と同一面まで押し込む 最後に、第12工程〜第14工程は材料送り工程で、まず
第12工程では半抜きポンチ1及び逆抜きポンチ2の変位
をいずれも零にする。ただし、このままでは半抜き及び
逆抜きの両方の積層型圧電素子にプラス側の変位を与え
た時のヒステリシスが残っているので、第13工程で逆変
位を与えてこれを取り除く。次いで、第14工程では図示
しないストリッパを金型内に内蔵させた図示しない別の
圧電アクチュエータで駆動して持ち上げ、これに固定さ
れている逆抜きダイス4を図示の通り逃がして薄板5を
所定量送る。これで、第1工程に戻り、薄板1は次加工
位置にセットされて待機する。 以上の通り、図示方法によれば、第3工程〜第5工程
の半抜き過程、及び第6工程〜第8工程の逆抜き過程
で、薄板5は常にポンチ1と2により両面から拘束され
るため反りが生じず、早期にクラックが発生することに
よるばりの生成がなくなる。しかも、上記拘束は積層型
圧電素子固有の弾性により無理なく行われる。
【発明の効果】
この発明によれば、半抜き及び逆抜きの過程で薄板に
反りが生じないため、この反りに起因する早期のクラッ
ク発生、更にこれに基づくばりの生成が抑制され、圧電
アクチュエータの特性が一層活かされた精密な加工が可
能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例を示す工程図、第2図(A)
は従来の半抜き過程を説明するポンチ部分の要部縦断面
図、第2図(B)は同じく逆抜き過程の縦断面図、第3
図(A)〜(C)は積層型圧電素子の変形を説明する
図、第4図は第3図の積層型圧電素子の荷重と変位の関
係を示す線図である。 1……半抜きポンチ、2……逆抜きポンチ、3……半抜
きダイス、4……逆抜きダイス、5……薄板。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−27181(JP,A) 特開 昭63−162195(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B26F 1/00 - 3/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】積層型圧電素子からなるアクチュエータで
    それぞれ駆動される上下一対のポンチを使用し、ダイス
    に保持された薄板を一方の面から半抜きし、次いで他方
    の面から逆抜きして打ち抜く薄板の打ち抜き方法におい
    て、半抜き工程では半抜きポンチで逆抜きポンチを押し
    戻し、逆抜き工程では前記逆抜きポンチで前記半抜きポ
    ンチを押し戻すように前記積層型電素子を変位させ、打
    ち抜きの過程で前記半抜き及び逆抜きポンチにより前記
    薄板を両面から弾性的に拘束することを特徴とする圧電
    アクチュエータによる薄板の打ち抜き方法。
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