JP2961655B2 - 建築物の湿式外通気工法 - Google Patents

建築物の湿式外通気工法

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JP2961655B2
JP2961655B2 JP17237898A JP17237898A JP2961655B2 JP 2961655 B2 JP2961655 B2 JP 2961655B2 JP 17237898 A JP17237898 A JP 17237898A JP 17237898 A JP17237898 A JP 17237898A JP 2961655 B2 JP2961655 B2 JP 2961655B2
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mortar
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佳伸 熊川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木造建築物や鉄骨
造建築物等の建築、増改築、補修に際し、外壁内の結露
を防ぎ、断熱・気密性能を向上させる外通気を、モルタ
ル塗りなどの湿式工法にて形成するものであり、建築物
及びモルタル層の耐久性を向上させ、モルタル層のひび
割れ、剥落を防止し、モルタルの保護性能の強化と化粧
性の向上を同時に実現できる建築物の湿式外通気工法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、外壁の外通気工法は窯業系の
外壁材を使用したものが主流であり、モルタル塗りなど
の湿式での外通気工法は殆どみられなかった。モルタル
塗りでの外通気工法としては、所定間隔で配設された胴
縁等の構造部材に、防水紙付き鉄網を取付け、普通セメ
ントモルタル又は軽量セメントモルタルを塗着し、乾燥
養生させた後、仕上げ施工する工法が考えられる。しか
し、このような湿式工法では、防水紙付き鉄網は胴縁上
のみで固定されるので、その胴縁上の取付け部には外壁
層の荷重ばかりでなく、モルタルの伸縮に伴う応力も作
用する。さらに、形成される通気層が外壁層の内側方向
への撓みを許容するため、この撓みに伴う応力も取付け
部に作用する。このように外壁層の荷重、伸縮や撓みに
伴う応力が取付け部に集中するため、この取付け部付近
において経時と共にひび割れが発生し、美観を損ねるも
のであった。また、特に窓枠等の開口部においては、複
数方向(上下・左右方向)の応力が作用するため、コー
ナー部分付近に斜め方向のひび割れが発生し易いもので
あった。しかもこのようなひび割れが発生すると、雨水
等が侵入して鉄網に錆が発生するため、鉄網の耐久性を
著しく低下させ、地震時或いは経時によりラスモルタル
が剥落する事故を起こすこともあった。また、火災時に
おける火炎がひび割れから入りやすいなど防火上も好ま
しくなかった。
【0003】前記以外のひび割れの原因として考えられ
ることは、建築物の構造、下地の問題(下地の種類、防
水紙付き鉄網の種類等)、施工の問題(防水紙付き鉄網
の張り方、骨材の種類、モルタルの配合等)があり、こ
れらが互いに複雑に絡み合っている場合が多い。したが
って、モルタルのひび割れ防止対策としては以下の4点
が考えられる。 モルタルの乾燥収縮の低減 モルタルの引張強さの改善 モルタルの引張応力を分散させる。 モルタルへのゴム弾性の付与 具体的に、収縮低減剤の添加、モルタル組成、強度の検
討、各種繊維の添加、軽量骨材の使用、或いは既調合製
品等種々提案されてきたが未だ満足するものは見出され
ていない。
【0004】さらに、従来の外通気工法では、防水紙付
き鉄網の張り方のバラツキ或いはモルタルの塗厚のバラ
ツキが出てひび割れが発生し、外壁面としての仕上げ精
度もバラツキ、現場管理が容易でなく、さらにモルタル
の施工に際しては下塗り施工後、長期間放置し、鉄網の
撓み等の動きを固定した後、上塗りし、仕上げる必要が
あり、工期が長くなるという欠点もあった。しかも、長
期間の養生期間をとってもモルタルの剛性及び強度特性
が低いため、経時と共にひび割れが発生し、美観を損ね
るものであった。また、外壁層は、その裏面に通気層が
形成されるために胴縁以外の部分では内側の構造部材に
直接的に支持されていないので、衝撃や荷重等に対する
強度が低く、場合によってはへこむという問題があっ
て、通気層が形成されない一般的な外壁施工に比べて外
壁層自体に高い強度特性が必要とされる。そのためモル
タルの単位容積質量を大きくすると、外壁層の強度は向
上するが、荷重が大きくなるため前記取付け部に作用す
る応力も大きくなり、ひび割れの解消にはならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、胴縁上の取付
け部付近や窓枠等の開口部においてもひび割れを発生さ
せることがなく、施工性を向上させて工期短縮ができ、
且つモルタル層の剥落等の前記問題点の全てを長期間に
わたって防止することができ、しかも外通気工法により
気密・断熱性能を向上し、内部結露を防止し、建築物の
耐久性を向上させ、施工の信頼性を確実にする工法が嘱
望されていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記に鑑み提
案されたもので、軸組工法、枠組壁工法、木質系組立構
造等の木造建築物及び鉄骨造などの建築物の外壁に胴縁
等を適宜間隔で配設することにより通気層(間隔)を形
成し、外通気ができるように防水紙及び鉄網、若しくは
防水紙付き鉄網をステーブル等で留め付け、練り上り時
の単位容積質量が0.9〜1.8である軽量セメントモ
ルタルを塗着し、壁面全体の表面又は内部、或いは壁面
の一部の表面又は内部、例えば開口部周り等の弱点部な
どにガラス繊維ネット,アラミド繊維ネット,ビニロン
繊維ネット,カーボン繊維ネット等から選ばれる質量が
40〜250g/m 2 で、引張強度が100kgf/m
2 以上の網材を押圧して埋設した後、仕上げ施工する
ことを特徴とする建築物の湿式外通気工法に関するもの
である。尚、外通気とは、建築物の外周壁を通気する
時、通気層を当該部位の主要構造体と外壁材の間に設け
る通気工法を言う。
【0007】
【発明の実施の形態】前記本発明に用いる防水紙、鉄
網、防水紙付き鉄網としては、特にその形状構成や素材
構成等について限定するものではないが、鉄網(防水紙
付き鉄網の鉄網も同様)としては一般的にはメタルラス
防錆処理品が好ましく、その質量が450〜4000g
/m2 のものを使用することが望ましい。これらの防水
紙及び鉄網、防水紙付き鉄網は、後述する軽量セメント
モルタルの塗厚を均一化し、その結果、施工管理を容易
とし、ひび割れを防止し、通気層を確保する。そして、
モルタルの施工性及び壁面の仕上げ精度が改善される。
尚、防水紙付き鉄網は、継ぎ合わせを必要としない場合
には取付作業性に優れているが、市販品は比較的厚いも
のが多く、軽量セメントモルタルの塗着に際して回り込
みが生じるため、その塗厚も厚くなってコストがかかる
ものとなる。また、継ぎ合わせて敷設する必要がある場
合には、端縁にて防水紙をめくって防水紙どうしを重ね
合わせ接合しなければならないので作業が面倒であり、
鉄網どうしの重ね合わせ部分もより一層厚肉となる。こ
れに対し、防水紙及び鉄網を別々に配設する場合、任意
の厚みの(薄い)鉄網を使用することができ、軽量セメ
ントモルタルの塗厚も薄くすることができる。継ぎ合わ
せに際しても防水紙を所定の範囲に敷設した後に、鉄網
を配設するので、別々に重ね合わせ接合を行うことがで
き、作業性が優れている。
【0008】前記防水紙及び鉄網、或いは防水紙付き鉄
網に塗着する軽量セメントモルタルとしては、練り上り
時の単位容積質量が0.9〜1.8であり、特にその原
材料及び組成について限定するものではないが、セメン
ト20〜60wt%、無機質混和材20〜60wt%、
有機質混和材2〜10wt%を含有する軽量セメントモ
ルタルを使用することが望ましい。ラスモルタル塗り工
事に多く用いられている従来の軽量セメントモルタル
は、練り上がり時の単位容積質量が0.8〜0.9程度
で、曲げ強度が15〜20kgf/cm2 程度である。
しかし、外壁層の裏面側に通気層が形成される外通気構
造では、胴縁部分を除くほとんどの部分に鉄網を固定す
る下地材がないため、前記従来の軽量セメントモルタル
を使用すると、十分に養生期間をとっても風及びその他
の応力により容易に壁面が撓み等の動きを生じ、ひび割
れが入り易く、特に胴縁への取付け部に応力が集中して
いた。また、下地材が無い部分では、外壁層自体に衝撃
や荷重等が作用するため、へこむという問題もあった。
そこで、剛性及び強度特性を向上させるため、単位容積
質量が0.9〜1.8の軽量セメントモルタル、より好
ましくは単位容積質量が1.2〜1.5の軽量セメント
モルタルを使用すると、剛性及び強度特性が向上し、撓
みが少ない外壁層とすることができる。この外壁層は、
曲げ強度が25〜40kgf/cm2 になり、鉄網の撓
み等の動きを固定できる剛性と、壁面として要求される
強度を確保することができる。尚、上記無機質混和材と
しては、ドロマイトプラスター、フライアッシュ、高炉
スラグ粉末、パーライト、珪砂等の1種以上を使用する
ことができ、上記有機質混和材としては、EVA−炭酸
カルシウム発泡骨材、スチレン発泡骨材、増粘剤、ビニ
ロン繊維等の1種以上を使用することができる。また、
前記範囲の軽量セメントモルタルを用いることにより、
強度、吸水性、施工性、収縮性がより改良されたものと
なる。具体的には曲げ強度、圧縮強度が高いものとな
り、比較的早期に壁面強度が向上して高強度の下地材を
必要としない。また、吸水性が小さいので、耐久性が向
上する。さらに、施工性が向上するので、勿論作業効率
が向上する。また、モルタルの乾燥収縮が小さいため、
ひび割れが発生しにくいものとなる。
【0009】前記軽量セメントモルタルの表面又は内面
に埋設する網材としては、例えばガラス繊維ネットやア
ラミド繊維ネット、ビニロン繊維ネット等を用いること
ができ、特にその材質及び特性について限定するもので
はないが、質量40〜250g/m2 のもので、引張強
度が100kgf/mm2 以上の網材を使用する。前記
範囲の網材は、乾燥収縮を低減し、軽量セメントモルタ
ルの引張強さを補強(引張応力を分散)し、ひび割れを
防止する。また、この網材は、壁面全体の表面又は内面
に埋設するようにしても良いし、壁面の一部の表面又は
内面、例えば開口部周り等の亀裂等が発生しやすい弱点
部などに埋設するようにしても良い。
【0010】通気層は、躯体壁外側に設けられる厚さ間
隔が5〜30mmの空部であり、これより厚みが薄い
と、結露の防止効果、断熱性の向上効果等が十分でなく
なる。このような通気層は、厚さ5〜30mmの胴縁を
適宜間隔に取り付けることにより形成され、基礎天端若
しくは下屋部の壁当たり部分から空気を取入れ、軒天や
棟部分から空気を排出するので、常時新鮮な外気が流れ
ることとなる。
【0011】本発明の湿式外通気工法においては、まず
躯体壁外側に透湿防水シートを貼り付け、取付間隔が3
00〜600mm程度となるように胴縁を固定する。こ
の胴縁は、壁面の構造強度が確保されるように取り付け
られるが、その取付間隔が大きいほどその後に胴縁に固
定する鉄網が内側方向へ撓み易くなる。そして、鉄網の
外面に軽量セメントモルタルを塗着する際にも内側方向
へ押圧力が作用して鉄網が撓むので、養生硬化前の亀裂
等を防止するために、例えば15〜16mm程度で良い
ところを25〜30mmもの厚みに塗着してしまう場合
が生ずる。このような場合には、胴縁と胴縁の間に取付
間隔が150〜300mm程度となるように補助胴縁を
取り付けるようにすると、鉄網の撓みが抑制され、鉄網
の取付け作業も軽量セメントモルタルの塗着作業も何の
困難もなく実施することができる。また、補助胴縁によ
って過大な撓みが抑制できるので、素材的に軟質の鉄網
を適用することも可能となる。
【0012】このような補助胴縁は、木製或いはプラス
チック製など特に材質を限定するものではない。例えば
産業廃棄物となる廃プラスチックを原料とする成形体で
も良く、この場合、公害等の環境問題にも寄与するもの
となる。またその長さも胴縁のように長尺である必要が
なく、例えば一本当たり300〜3000mm程度にし
て適宜間隔をあけて配設すれば、取扱いも容易で、作業
も極めて簡易である。さらにその形状も角柱状でもどの
ような形状でも良い。例えばI型(H型)の成形体とす
れば軽量で構造強度が高いものとなる。さらにこの場
合、上下のフランジ間のウエブ部に貫通孔を穿設した補
助胴縁とすれば、仮に施工完了後にこの補助胴縁の固定
が外れて傾斜しても空気は貫通孔によって自在に流通す
ることができるので、通気層を閉塞(部分的に空気の流
れを遮断)することがない。また、この補助胴縁は、少
なくとも軽量セメントモルタルの塗着作業が完了するま
で、好適にはその養生硬化が行われるまで固定されるも
のであればどのような固定手段を採用しても良く、タッ
カー釘、ステイプル、両面粘着テープ、接着剤等の簡易
手段(特に両面粘着テープが好ましい)により固定すれ
ば、左官工程を増やすことなく、極めて容易に実施する
ことができる。尚、鉄網は、通常胴縁に取り付けるが、
この補助胴縁にも部分的に固定するようにしても良い。
【0013】本発明においては、前記のようにまず建築
物の外壁に胴縁を固定し、必要に応じて補助胴縁を取り
付けて通気層(間隔)を形成し、次に外通気ができるよ
うに防水紙及び鉄網、或いは防水紙付き鉄網を取付け、
軽量セメントモルタルを塗着し、さらに壁面全体の表面
又は内部、或いは壁面の一部の表面又は内部、例えば開
口部周り等の弱点部などに網材を押圧して埋設した後、
仕上げ施工するものであって、網材が、軽量セメントモ
ルタルの乾燥収縮を低減すると共に、引張強さを補強す
るため、鉄網或いは防水紙付き鉄網の取付け部である胴
縁付近でのひび割れを抑制することができる。網材を壁
面全面の表面又は内部に埋設した場合、部分的に引張応
力を集中させることがなく全面に引張応力を分散するこ
とができる。さらに、網材を(特に軽量セメントモルタ
ルの表面に)埋設することによって見掛け上の支持強度
が向上するので、従来のように長期間放置することなく
仕上げ施工を行うことができ、施工性が向上して工期を
短縮することができる。また、外壁にゴム弾性を付与す
ることができるので、網材と鉄網とが共振して仮りに地
震等の多大な応力が発生しても表面の仕上げ材層に微細
なひびが入る程度であって、内部にまで至る亀裂等の大
きなひび割れは発生しない。加えて、特にひび割れが発
生しやすい窓枠等の開口部周りの弱点部などには、補強
用の網材を斜めに張る等の処理を行うことができ、こう
してひび割れの発生を防止することができる。
【0014】
【実施例】[性能試験] 〈1.基礎試験〉 1.1試験体の作製(n=3) 試験体は、既調合軽量セメントモルタル(ラスモル:富
士川建材工業株式会社製)を練り混ぜた後、合板型枠3
00mm×75mm×厚さ20mmの大きさに打設し、
その後、その表面に各網材(繊維ネット)を置き、軽く
コテで押さえ、湿空養生室(温度20℃±2℃、湿度8
0%以上)に48時間静置する。その後脱型し、材令1
4日間まで恒温恒湿室(温度20℃±2℃、湿度65%
±10%)中で養生したものを試験体(実施例)とし
た。 1.2試験方法 試験体をオートグラフ(島津AG−5000C)にセッ
トし、クロスヘッド速度0.5mm/minで1点曲げ
荷重を加え、最大荷重、ひび割れ発生時の荷重及び試験
開始時から試験終了時(フルスケールの0.5%荷重ま
で)までのエネルギー値を求めた。尚、ガラス繊維ネッ
ト等の補強がないものを比較例として同様に評価した。 1.3試験結果 前記実施例及び比較例について、得られた最大荷重、ひ
び割れ発生時の荷重、エネルギー値を表1に示した。
【0015】
【表1】
【0016】〈2.応用試験〉 2.1試験体の作製(n=3) 長さ800mm×幅150mm×厚さ9mmの合板下地
に、MTシート(旭デュポン製)を張り、その上にWラ
ス(日鉄ビルコン製)をステーブル1010(プラス
製)で留め付け、既調合軽量セメントモルタル(ラスモ
ル:富士川建材工業株式会社製)を厚さ16mmに塗り
付け、その表面に耐アルカリ性ガラス繊維ネット(日本
電気硝子株式会社製)を置き、コテで押さえた後、湿空
養生室(温度20℃±2℃、湿度80%以上)に48時
間静置する。その後、材令14日間まで恒温恒湿室(温
度20℃±2℃、湿度65%±10%)中で養生したも
のを試験体(実施例)とした。 2.2試験方法 試験体を、万能強度試験機(島津UD−100A)にセ
ットし、クロスヘッド速度0.5mm/minで1点曲
げ荷重を加え、ひび割れ発生時の荷重及び変位量を求め
た。尚、ガラス繊維ネット等の補強がないものを比較例
として同様に評価した。 2.3試験結果 前記実施例及び比較例について、ひび割れ発生時の荷
重、変位量を表2に示した。
【0017】
【表2】
【0018】〈3.現場施工試験〉 3.1試験方法 木造軸組工法の建築物(約200m2 )で施工試験を実
施した。まず、軸組下地材の構造を図1に示すように、
火山性ガラス質複層板〔ダイライト:大建工業(株)
製〕を張り、さらに、その上に透湿防水シート〔タイベ
ック:旭デュポンフラッシュスパンプロダクツ(株)
製〕を張り、その上に図2,図3に示すように縦胴縁を
455mm間隔に取付け、その上に防水紙付き鉄網〔S
Kラス:(株)ニッケンビルコン製〕をタッカー釘〔6
5TR−D:マックス(株)製〕で留め付け、配合例6
の軽量セメントモルタルを15mm厚程度下塗りし、な
か1日の養生期間をとった後、10mm厚程度に塗り付
け、網材〔耐アルカリ性ガラス繊維ネットTD5×5:
日本電気硝子(株)製〕を張り、こてですり込み、モル
タルと馴染ませた。その後、2週間の養生期間を取り、
薄付仕上塗材Eで仕上げた。図1中、1は石膏ボード、
2はグラスファイバーネット〔日本電気硝子(株)製〕
入り軽量セメントモルタル、3はSKラス、4は防水透
湿シート、5は火山性ガラス質複層板、6はグラスウー
ルであり、図2,3中、7は縦胴縁、8は軒天ライン、
9はヨレ止めベニア、10は土台通気見切、11は壁通
気見切、12は雨押え板金である。尚、図2,3中の矢
印は通気方向を示すものである。形成される外通気構造
は、図4に示す通りである。尚、図4中、Aは壁体内通
気口、Bは軒裏通気であり、C通気層である。また、前
記軽量セメントモルタルの他表3に示す各種組成を用
い、さらに前記網材として表4に示す各種の特性の材料
を用いて同様の施工を行った。また、網材を用いないも
のを比較例として同様に施工した。
【0019】
【表3】
【0020】
【表4】
【0021】3.2試験結果 前記実施例及び比較例について、施工後1年経過した時
点での表面を観察し、ひび割れ等の発生の状況を調べ
た。実施例では1年経過後もひび割れの発生はなく、美
観を維持していた。これに対し、網材を全く用いない比
較例では施工面(縦胴縁の上、開口部コーナー部分等)
に大きな亀裂が発生していた。
【0022】〈4.施工試験〉図5(a)に示すように
石膏ボード13、グラスウール14、構造用合板(厚
7.5mm以上)15等よりなる下地構造の上に透水防
水シート16を敷設し、その表面に胴縁(厚18mm)
17を配設固定し、その配設間隔の略中央に補助胴縁1
8を取り付けた。この補助胴縁18は、図5(b)に示
すように所謂I型鋼材と略同形状の成形体であって廃プ
ラスチックを原料とするものであり、ウエブ部の長さ方
向には複数の貫通孔19が形成されている。また、裏面
には予め両面テープ20を貼着してあり、極めて容易に
取付作業を行うことができた。次に、胴縁17上にアス
ファルトフェルト430(21)を取付け、さらにWラ
ス(0.7kg/m2 )22をタッカー釘で留め付け、
配合例6の軽量セメントモルタル23を15mm以上塗
り付けた。その後、図示しないが、耐アルカリ性ガラス
繊維ネットを埋設し、養生期間を取った後、薄付仕上塗
材で仕上げた。前記補助胴縁18を用いないで同様の施
工を行って比較したところ、補助胴縁18を用いた場合
には、比較的雑な作業でもクラック等が発生することは
なかったが、用いない場合には、雑な作業でクラックが
発生し、厚塗りしなければならなかった。
【0023】〈施工例〉さらに図6(a)に示すように
鉄骨製架台の上に横2730mm×高さ2000mmの
下地を組み(枠材45×90mm)、中央部に開口部2
4を設け、両面に構造用合板(厚9mm)25を貼り、
その上に透湿防水シート〔タイベック:旭デュポンフラ
ッシュスパンプロダクツ(株)製〕26を貼り、その上
に図6に示すように縦胴縁(42×厚18mm)27を
455mm間隔に取り付け、その中間部に施工試験4に
記載した補助胴縁18を取り付けた。次に縦胴縁27に
アスファルトフェルト430(28)を取り付け、さら
にWラス〔(株)ニッケンビルコン製〕29をタッカー
釘1019〔マックス(株)製〕で取り付け、A面、B
面に配合例6の軽量セメントモルタル30を10mm厚
塗り付け、図6(b)に示すようにB面のみに幅250
mmにカットした耐アルカリ性グラスファイバーネット
〔145g/m2 :日本電気硝子(株)製〕31を補強
のため貼り、2日間養生後両面にさらに配合例6の軽量
セメントモルタル30を5mm厚に塗り付け平滑に仕上
げた。4週間放置後クラックの発生状況を確認したが、
A面には胴縁間及び開口部コーナー部にクラックが発生
した。しかし、B面にはクラックが発生しなかった。さ
らに壁体の上部にH形鋼を置き、上部架台にロードセル
〔20t:(株)東京計器研究所製〕及び油圧ジャッキ
〔理研機器(株)製〕をセットし、1.8tの荷重で載
荷し、クラックの発生状況を確認した。A面には開口部
上部及びコーナー部にさらにクラックが発生したが、B
面にはクラックが発生しなかった。
【0024】以上本発明を実施例に基づいて説明した
が、本発明は前記した実施例に限定されるものではな
く、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限りど
のようにでも実施することができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、木造建築
物や鉄骨造建築物等の外壁内の結露を防ぎ、断熱・気密
性能を向上させる外通気を、湿式にて実施することがで
きる。そして、建築物及びモルタル層の耐久性を向上さ
せ、モルタル層のひび割れ、剥落を防止し、モルタルの
保護性能の強化と化粧性の向上を同時に実現することが
できる。即ち、本発明においては、軽量セメントモルタ
ルに埋設させる網材が、軽量セメントモルタルの乾燥収
縮を低減し、引張強さを補強するため、防水紙付き鉄網
の取付け部である胴縁付近でのひび割れを抑制すること
ができる。また、軽量セメントモルタルに埋設する網材
は、外壁全面に亙って配設されるので、部分的に引張応
力を集中させることがなく全面に引張応力を分散するこ
とができる。さらに、網材によって見掛け上の支持強度
が向上するので、長期間放置することなく仕上げ施工を
行うことができ、施工性が向上して工期を短縮すること
ができる。加えて、特にひび割れが発生しやすい窓枠等
の開口部付近には、補強用の網材を斜めに張る等の処理
を行うことができ、こうしてひび割れの発生を防止する
ことができる。
【0026】さらに、練り上り時の単位容積質量が0.
9〜1.8の軽量セメントモルタルを用いたので、剛性
及び強度特性が向上し、施工時の作業性が良く、耐久性
能、防火性能等の点で優れている。即ち、従来の軽量セ
メントモルタルでは、十分に養生期間をとっても風及び
その他の応力により容易に壁面が撓み等の動きを生じ、
へこみ易かった。また、下地材が無い部分では、外壁層
自体に衝撃や荷重等が作用するため、へこむという問題
もあった。これに対し、前記本発明の軽量セメントモル
タルは、風及びその他の応力が作用しても撓みが少な
く、衝撃等によってへこむこともない外壁層とすること
ができる。
【0027】また、質量が40〜250g/m2 で、引
張強度が100kgf/mm2 以上の網材を用いたの
で、乾燥収縮を低減し、軽量セメントモルタルの引張強
さを補強(引張応力を分散)し、ひび割れの発生がな
く、耐久性の向上及び美観上の点で優れている。
【0028】さらに、胴縁と胴縁の間に補助胴縁を取り
付けるようにすると、網材或いは防水紙付き網材の撓み
が抑制され、軽量セメントモルタルの塗厚が薄くてもク
ラック等を生ずることがない。
【0029】また、長さ300〜3000mmの補助胴
縁をタッカー釘、ステイプル、両面粘着テープ、接着剤
により取り付けると、左官工程を増やすことなく容易に
取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の現場施工試験における軸組下地材の構
造を示す一部を欠截した平面図である。
【図2】実施例の現場施工試験において、下地表面に縦
胴縁を取り付けた状態を示す平面図である。
【図3】実施例の現場施工試験において、下地表面に縦
胴縁を取り付けた状態を示す平面図である。
【図4】本発明の施工方法により得られる外通気構造を
模式的に示す断面図である。
【図5】(a)実施例の施工試験における外壁構造の一
部を模式的に示す断面図、(b)それに用いた補助胴縁
を示す斜視図である。
【図6】(a)実施例の施工例における外壁構造の正面
図、(b)断面図、(c)B面側に網材を埋設した状態
を示す正面図である。
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 英文 大阪府大阪市中央区北浜4丁目7番28号 住友林業株式会社内 (72)発明者 原田 進 神奈川県横浜市磯子区田中2丁目4番13 −103号 (56)参考文献 特開 昭54−78828(JP,A) 特開 平8−312019(JP,A) 実開 昭58−145918(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04B 1/70 E04F 13/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建築物の外壁に通気層を設け、外通気が
    できるように防水紙及び鉄網、若しくは防水紙付き鉄網
    を取付け、練り上り時の単位容積質量が0.9〜1.8
    である軽量セメントモルタルを塗着し、壁面全体の表面
    又は内部、或いは壁面の一部の表面又は内部に、ガラス
    繊維ネット,アラミド繊維ネット,ビニロン繊維ネッ
    ト,カーボン繊維ネット等から選ばれる質量が40〜2
    50g/m 2 で、引張強度が100kgf/mm 2 以上
    の網材を押圧して埋設した後、仕上げ施工することを特
    徴とする建築物の湿式外通気工法。
  2. 【請求項2】 躯体壁外側に厚さ間隔が5〜30mmの
    通気層を設け、基礎天端若しくは下屋部の壁当たり部分
    から空気を取入れ、軒天及び/又は棟部分から空気を抜
    く方法であることを特徴とする請求項1に記載の建築物
    の湿式外通気工法。
  3. 【請求項3】 躯体壁外側に透湿防水シートを貼り付
    け、厚さ5〜30mmの胴縁を適宜間隔に取り付けるこ
    とにより通気層を形成することを特徴とする請求項1又
    は2に記載の建築物の湿式外通気工法。
  4. 【請求項4】 胴縁と胴縁の間に補助胴縁を取り付ける
    ことを特徴とする請求項3に記載の建築物の湿式外通気
    工法。
  5. 【請求項5】 補助胴縁は、長さ300〜3000mm
    であり、タッカー釘、ステイプル、両面粘着テープ、接
    着剤により取り付けることを特徴とする請求項4に記載
    の建築物の湿式外通気工法。
  6. 【請求項6】 軽量セメントモルタルの組成が、セメン
    ト20〜60wt%、無機質混和材20〜60wt%、
    有機質混和材2〜10wt%であることを特徴とする請
    求項1乃至5の何れか一項に記載の建築物の湿式外通気
    工法。
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